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ライティング・プロダクトから
ライティング・プロセスへ
―Writing MaetriX Corpus Project―
石井雄隆(早稲田大学大学院)
石井卓巳 (筑波大学大学院)
草薙邦広(名古屋大学大学院・日本学術振興会特別研究員)
阿部大輔(名古屋大学大学院)
福田純也(名古屋大学大学院・日本学術振興会特別研究員)
川口勇作(名古屋大学大学院)
公募シンポジウム
外国語教育メディア学会第54回全国大会
2014/8/5 於:福岡大学
はじめに
• ライティングのキー入力記録システム
Writing MaetriX (WMX; 草薙・阿部・福
田・川口, 2013)に基づく,ライティン
グ・プロセス可視化コーパスの構築に関
する3種類の提案を行う。
シンポジウムの流れ
• 趣旨説明
• Writing Maetrixについて(草薙)
• 短い質疑応答
• Writing MaetriX Corpus Projectの概要
(石井(雄))
• 短い質疑応答
• Writing MaetriX Corpus Projectの予備的検討
(石井(卓))
• 総括
• 質疑応答
Writing Maetrixについて
• 第一に,WMXの概説とその可能性である。
– 外国語教育におけるライティング研究では,ライティン
グ・プロセスの評価や指導に重心を置いてきたものの,主
として内省的研究法(e.g., 刺激再生法・思考発話法)が用
いられてきた。一方,キー入力の時系列記録データを用い
た量的研究法により,産出過程を測定しようとする試みも
存在する。
– 本シンポジウムでは,特に研究方法に焦点を当て,著者等
が開発した無償ソフトウェアWMXを用いたライティング・
プロセスに関する研究の展望を提示する。
Writing MaetriX Corpus Project
の概要
• 第二に,WMXに基づくコーパス構築の計画である。
– 既存の学習者コーパスは,主に学習者のライティング・
プロダクトを対象としたものであり,ライティング・プ
ロセスに十分な焦点を当ててきたとはいえない。
– しかし,WMXで記録した学習者の産出過程のデータを大
量に蓄積することで,母語別・習熟度別の学習者のライ
ティング・プロセスを横断的・縦断的に分析することが
可能になる。そこで,既存の学習者コーパスの構築手順
に則りながら,Writing MaetriX Corpus Projectの概略
を説明する。
Writing MaetriX Corpus Project
の予備的検討
• 第三に,予備研究の事例紹介である。
– 国立大学の2つの習熟度別クラス(計74名)を対象に,WMX
を用いて3種類のエッセイを収集,小規模コーパスの構築・分
析を行った。学習者のライティング・プロダクトとライティン
グ・プロセスの双方に影響を及ぼす要因を可能な限り統制する
ため,本予備研究ではICNALE (Ishikawa, 2013)のライティ
ング条件に準拠した。
– 習熟度別クラス・語彙サイズとの関係,エッセイのトピックや
ジャンルによる類似・差異等の分析を通じて,本プロジェクト
の狙いである学習者のライティング・プロセスの可視化の一端
を示す。また,そこから見えてくるWMX改良・コーパス構築
に対する示唆についても検討したい。

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  • 1. ライティング・プロダクトから ライティング・プロセスへ ―Writing MaetriX Corpus Project― 石井雄隆(早稲田大学大学院) 石井卓巳 (筑波大学大学院) 草薙邦広(名古屋大学大学院・日本学術振興会特別研究員) 阿部大輔(名古屋大学大学院) 福田純也(名古屋大学大学院・日本学術振興会特別研究員) 川口勇作(名古屋大学大学院) 公募シンポジウム 外国語教育メディア学会第54回全国大会 2014/8/5 於:福岡大学
  • 2. はじめに • ライティングのキー入力記録システム Writing MaetriX (WMX; 草薙・阿部・福 田・川口, 2013)に基づく,ライティン グ・プロセス可視化コーパスの構築に関 する3種類の提案を行う。
  • 3. シンポジウムの流れ • 趣旨説明 • Writing Maetrixについて(草薙) • 短い質疑応答 • Writing MaetriX Corpus Projectの概要 (石井(雄)) • 短い質疑応答 • Writing MaetriX Corpus Projectの予備的検討 (石井(卓)) • 総括 • 質疑応答
  • 4. Writing Maetrixについて • 第一に,WMXの概説とその可能性である。 – 外国語教育におけるライティング研究では,ライティン グ・プロセスの評価や指導に重心を置いてきたものの,主 として内省的研究法(e.g., 刺激再生法・思考発話法)が用 いられてきた。一方,キー入力の時系列記録データを用い た量的研究法により,産出過程を測定しようとする試みも 存在する。 – 本シンポジウムでは,特に研究方法に焦点を当て,著者等 が開発した無償ソフトウェアWMXを用いたライティング・ プロセスに関する研究の展望を提示する。
  • 5. Writing MaetriX Corpus Project の概要 • 第二に,WMXに基づくコーパス構築の計画である。 – 既存の学習者コーパスは,主に学習者のライティング・ プロダクトを対象としたものであり,ライティング・プ ロセスに十分な焦点を当ててきたとはいえない。 – しかし,WMXで記録した学習者の産出過程のデータを大 量に蓄積することで,母語別・習熟度別の学習者のライ ティング・プロセスを横断的・縦断的に分析することが 可能になる。そこで,既存の学習者コーパスの構築手順 に則りながら,Writing MaetriX Corpus Projectの概略 を説明する。
  • 6. Writing MaetriX Corpus Project の予備的検討 • 第三に,予備研究の事例紹介である。 – 国立大学の2つの習熟度別クラス(計74名)を対象に,WMX を用いて3種類のエッセイを収集,小規模コーパスの構築・分 析を行った。学習者のライティング・プロダクトとライティン グ・プロセスの双方に影響を及ぼす要因を可能な限り統制する ため,本予備研究ではICNALE (Ishikawa, 2013)のライティ ング条件に準拠した。 – 習熟度別クラス・語彙サイズとの関係,エッセイのトピックや ジャンルによる類似・差異等の分析を通じて,本プロジェクト の狙いである学習者のライティング・プロセスの可視化の一端 を示す。また,そこから見えてくるWMX改良・コーパス構築 に対する示唆についても検討したい。