SlideShare uma empresa Scribd logo
1 de 11
Baixar para ler offline
KURI-LAB 2021 http://www.ai.comp.ae.keio.ac.jp/
Humanity X.0
共⽣創発と情報の⾝体性
栗原 聡
慶應義塾⼤学理⼯学部
慶應義塾⼤学共⽣知能創発社会研究センター
電気通信⼤学⼈⼯知能先端研究センター
KURI-LAB 2021 http://www.ai.comp.ae.keio.ac.jp/
現状の世界
⾼い⾃律性・汎⽤性を持つことで⾼い能動的学習能⼒・適応能⼒を発揮するAI開発が急務
急発展するインターネット・⾼速通信インフラ・IoT・⾼度化するAI技術
▸Society5.0実現に向けて進⾏中(実質的には表層的な効率化の追求に過ぎない)
⼀⽅,現代社会が直⾯する課題
実空間︓
・超少⼦⾼齢化対策,地域活性化,With Covid-19社会への変容,外交・・・・・・
サイバー空間︓
・巨⼤化・制御不能化するサイバー空間がもたらす混乱が⼈類への脅威となりつつある
表層的な効率化重視に対する⼤きな代償としての,炎上,デマ,フェイク,フィルターバブル,エコーチェン
バー,いじめ,過度な誹謗中傷,特定個⼈への過度な攻撃,⼆局化など,様々な社会問題の発⽣.こ
の状況は加速する⼀⽅であり,サイバー空間の範疇では収まらない,⼈類に対する不可逆な甚⼤な影響とし
て顕在化しつつある.
現在の道具型AI(機械学習)/ITでは解決できない
狙い
▸⾃律・汎⽤型AIの社会浸透による諸問題の解決
▸隠された狙い
共⽣による共⽣創発を起こすことで ⼈のアップグレードを起こす
⼈とAIとの共⽣関係を実現できるかが鍵
KURI-LAB 2021 http://www.ai.comp.ae.keio.ac.jp/
次世代の情報社会である超スマート社会「Society5.0」の実現を⽬指した取り組みが開始さ
れている.これまでの⼈間社会(Human Society)は,
狩猟社会(1.0)→農耕社会(2.0)→⼯業社会(3.0)→情報社会(4.0)と進化してきた︓現在
は情報社会(4.0)であるSociety4.0.
クラウドやエッジコンピューティング,SNSなど,すでにサイバー空間の活⽤が加速しているものの,
サイバーフィジカル連携,サイバー空間⾃体はいずれも未熟な段階.
→スマート社会(5.0)の実現を⽬指すのがSociety5.0
背景︓現在のSociety4.0からSociety5.0へという流れ
KURI-LAB 2021 http://www.ai.comp.ae.keio.ac.jp/
Question: Society5.0が到達点なのか︖
Society6.0への続くが,その流れでそもそもよいのか︖
社会としての視点は個⼈を⾒えなくしてしまう
※便利の追求は⼈を幸せにつながるのか︖
「社会」は⼈々の社会活動にて
創発される実体のない概念
Society
実体は⼈々の活動のみ
⼈々の活動が社会という実体なきモノを創発させ
るに過ぎない.⼈を起点としなければならない.
Society
KURI-LAB 2021 http://www.ai.comp.ae.keio.ac.jp/
Society5.0 Humanity2.0
⼈とAIとの共⽣社会
⼈間を起点
⼀⼈⼀⼈が⾒えにくくなる
道具型AI
⾃律型・汎⽤型AI
⼈間社会
Humanity2.0
社会は⼈々の⾏動から創発される結果的に⽣み出されるもの.
現在のSociety5.0のデザインには「⼈」が⽋けている(⼈が系の外).
「Human in the loop」でなければならない.
KURI-LAB 2021 http://www.ai.comp.ae.keio.ac.jp/
⼈の能⼒
ユビキタス
コンピューティング
アンビエント
コンピューティング
Humanity2.0
Society5.0
⾃動型AI
⿊⼦AI
時間
単なる情報⼊⼒としてのIoT
から,能動的なIoTへ︓
Active-IoTへ
⾃律型汎⽤型AI
AIという⿊⼦により能⼒が
向上したと勘違いする
ただし・・・・
※なんでも便利になればよいのか︖
それで⼈は幸せになるのか︖
共⽣社会実現に向けた展開
※HumanityX.0ロードマップ
Society 1.0(狩猟) → 2.0 (農耕)→ 3.0(⼯業)→ 4.0(情報(現在))
Humanity 0.1 → 0.5 → 1.0 → 1.5
Humanity1.6
Humanity1.8
道具
⾒えない道具
2015 2025 2030
道具型AI
共⽣創発
Society6.0?
KURI-LAB 2021 http://www.ai.comp.ae.keio.ac.jp/
創発
創発の代表例
https://mas.kke.co.jp/model/ant_model/
※身体性が重要
長い列という身体性が
最短経路を創発する
KURI-LAB 2021 http://www.ai.comp.ae.keio.ac.jp/
創発された結果が⼈に影響を及ぼすループ → 1.0 から 2.0 へ
⼈間社会
⼈・AI共⽣社会
共⽣創発による⼈のアップグレード
KURI-LAB 2021 http://www.ai.comp.ae.keio.ac.jp/
⼈の能⼒
ユビキタス
コンピューティング
アンビエント
コンピューティング
Humanity2.0
Society5.0
⾃動型AI
⿊⼦AI
時間
単なる情報⼊⼒としてのIoT
から,能動的なIoTへ︓
Active-IoTへ
⾃律型汎⽤型AI
AIという⿊⼦により能⼒が
向上したと勘違いする
ただし・・・・
※なんでも便利になればよいのか︖
それで⼈は幸せになるのか︖
共⽣社会実現に向けた展開(を実現させたい)
※HumanityX.0ロードマップ
Society 1.0(狩猟) → 2.0 (農耕)→ 3.0(⼯業)→ 4.0(情報(現在))
Humanity 0.1 → 0.5 → 1.0 → 1.5
Humanity1.6
Humanity1.8
道具
⾒えない道具
2015 2025 2030
道具型AI
共⽣創発
Society6.0?
物理的⾝体性
マシンとの融合
Humanity3.0
(ハラリの⾔う⼈間のアップデート)
※脳のネットとの結合
⼈とAIの信頼関係
⼈のことを想うAI
情報とのインタラクション能⼒
情報の⾝体性知覚とサイバー空間における分⼈の⾝体性
異なる個⼈⾝体性間インタラクション
より⾼い妄想⼒・創造⼒
KURI-LAB 2021 http://www.ai.comp.ae.keio.ac.jp/
KURI-LAB 2021 http://www.ai.comp.ae.keio.ac.jp/
私たちは、
いかに上⼿に
AIの
⼿のひらに
着地できるのか?

Mais conteúdo relacionado

Semelhante a 第6回WBAシンポジウム:Humanity X.0 共生創発と情報の身体性

ソーシャルファブを育てよう0323
ソーシャルファブを育てよう0323ソーシャルファブを育てよう0323
ソーシャルファブを育てよう0323
Izumi Aizu
 

Semelhante a 第6回WBAシンポジウム:Humanity X.0 共生創発と情報の身体性 (20)

Academic community紹介資料
Academic community紹介資料Academic community紹介資料
Academic community紹介資料
 
オープンデータとSNSは 地域の交通課題、地域活性化に どう活用できるか
オープンデータとSNSは地域の交通課題、地域活性化にどう活用できるかオープンデータとSNSは地域の交通課題、地域活性化にどう活用できるか
オープンデータとSNSは 地域の交通課題、地域活性化に どう活用できるか
 
ソーシャルファブAizu0423 D
ソーシャルファブAizu0423 DソーシャルファブAizu0423 D
ソーシャルファブAizu0423 D
 
20160223 ドローン社会共創コンソーシアム-説明資料
20160223 ドローン社会共創コンソーシアム-説明資料20160223 ドローン社会共創コンソーシアム-説明資料
20160223 ドローン社会共創コンソーシアム-説明資料
 
IOTの技術開発が可能とすると企業会計と 社会統計が同化・連動した状態空間の構築
IOTの技術開発が可能とすると企業会計と 社会統計が同化・連動した状態空間の構築IOTの技術開発が可能とすると企業会計と 社会統計が同化・連動した状態空間の構築
IOTの技術開発が可能とすると企業会計と 社会統計が同化・連動した状態空間の構築
 
調和系工学研究室パンフレット
調和系工学研究室パンフレット調和系工学研究室パンフレット
調和系工学研究室パンフレット
 
7 18localnet
7 18localnet7 18localnet
7 18localnet
 
AIGID設立記念シンポジウム講演資料 コード・フォー・ジャパン 活動報告 理事 白川 展之
AIGID設立記念シンポジウム講演資料 コード・フォー・ジャパン 活動報告 理事 白川 展之AIGID設立記念シンポジウム講演資料 コード・フォー・ジャパン 活動報告 理事 白川 展之
AIGID設立記念シンポジウム講演資料 コード・フォー・ジャパン 活動報告 理事 白川 展之
 
CKL_about_panf2022.pdf
CKL_about_panf2022.pdfCKL_about_panf2022.pdf
CKL_about_panf2022.pdf
 
6 Social Good Trends & 10 News-Gathering Tips - #smwtok
6 Social Good Trends & 10 News-Gathering Tips - #smwtok6 Social Good Trends & 10 News-Gathering Tips - #smwtok
6 Social Good Trends & 10 News-Gathering Tips - #smwtok
 
kaneko202304.pptx
kaneko202304.pptxkaneko202304.pptx
kaneko202304.pptx
 
HoloLens2からKNX&DALIで制御と状態確認してみた
HoloLens2からKNX&DALIで制御と状態確認してみたHoloLens2からKNX&DALIで制御と状態確認してみた
HoloLens2からKNX&DALIで制御と状態確認してみた
 
エンジニアよ、今こそ社会課題に立ち向かおう!- Code for Japan
エンジニアよ、今こそ社会課題に立ち向かおう!- Code for Japanエンジニアよ、今こそ社会課題に立ち向かおう!- Code for Japan
エンジニアよ、今こそ社会課題に立ち向かおう!- Code for Japan
 
LiBRA 05.2021 / Juku_Biz_Strategy
LiBRA 05.2021 / Juku_Biz_StrategyLiBRA 05.2021 / Juku_Biz_Strategy
LiBRA 05.2021 / Juku_Biz_Strategy
 
デジタル市民社会
デジタル市民社会デジタル市民社会
デジタル市民社会
 
ソーシャルファブを育てよう0323
ソーシャルファブを育てよう0323ソーシャルファブを育てよう0323
ソーシャルファブを育てよう0323
 
社会価値創造と交流型イノベーション
社会価値創造と交流型イノベーション社会価値創造と交流型イノベーション
社会価値創造と交流型イノベーション
 
第4回楽天研究開発シンポジウム.開会挨拶
第4回楽天研究開発シンポジウム.開会挨拶第4回楽天研究開発シンポジウム.開会挨拶
第4回楽天研究開発シンポジウム.開会挨拶
 
避難所における混雑状況可視化システム
避難所における混雑状況可視化システム避難所における混雑状況可視化システム
避難所における混雑状況可視化システム
 
専門演習説明会『河野ゼミの紹介2019』
専門演習説明会『河野ゼミの紹介2019』専門演習説明会『河野ゼミの紹介2019』
専門演習説明会『河野ゼミの紹介2019』
 

Mais de The Whole Brain Architecture Initiative

Mais de The Whole Brain Architecture Initiative (20)

第7回WBAシンポジウム:松嶋達也〜自己紹介と論点の提示〜スケーラブルなロボット学習システムに向けて
第7回WBAシンポジウム:松嶋達也〜自己紹介と論点の提示〜スケーラブルなロボット学習システムに向けて第7回WBAシンポジウム:松嶋達也〜自己紹介と論点の提示〜スケーラブルなロボット学習システムに向けて
第7回WBAシンポジウム:松嶋達也〜自己紹介と論点の提示〜スケーラブルなロボット学習システムに向けて
 
第7回WBAシンポジウム:予測符号化モデルとしての 深層予測学習とロボット知能化
第7回WBAシンポジウム:予測符号化モデルとしての 深層予測学習とロボット知能化第7回WBAシンポジウム:予測符号化モデルとしての 深層予測学習とロボット知能化
第7回WBAシンポジウム:予測符号化モデルとしての 深層予測学習とロボット知能化
 
第7回WBAシンポジウム:全脳確率的生成モデル(WB-PGM)〜世界モデルと推論に基づく汎用人工知能に向けて
第7回WBAシンポジウム:全脳確率的生成モデル(WB-PGM)〜世界モデルと推論に基づく汎用人工知能に向けて第7回WBAシンポジウム:全脳確率的生成モデル(WB-PGM)〜世界モデルと推論に基づく汎用人工知能に向けて
第7回WBAシンポジウム:全脳確率的生成モデル(WB-PGM)〜世界モデルと推論に基づく汎用人工知能に向けて
 
第7回WBAシンポジウム:基調講演
第7回WBAシンポジウム:基調講演第7回WBAシンポジウム:基調講演
第7回WBAシンポジウム:基調講演
 
第7回WBAシンポジウム:WBAI活動報告
第7回WBAシンポジウム:WBAI活動報告第7回WBAシンポジウム:WBAI活動報告
第7回WBAシンポジウム:WBAI活動報告
 
BriCAプラットフォーム説明会(2022-05)
BriCAプラットフォーム説明会(2022-05)BriCAプラットフォーム説明会(2022-05)
BriCAプラットフォーム説明会(2022-05)
 
第3回WBAレクチャー:BRA評価
第3回WBAレクチャー:BRA評価第3回WBAレクチャー:BRA評価
第3回WBAレクチャー:BRA評価
 
第3回WBAレクチャー:BRAに基づく海馬体の確率的生成モデルの構築
第3回WBAレクチャー:BRAに基づく海馬体の確率的生成モデルの構築第3回WBAレクチャー:BRAに基づく海馬体の確率的生成モデルの構築
第3回WBAレクチャー:BRAに基づく海馬体の確率的生成モデルの構築
 
第3回WBAレクチャー:海馬体周辺におけるBRA駆動開発の進展
第3回WBAレクチャー:海馬体周辺におけるBRA駆動開発の進展第3回WBAレクチャー:海馬体周辺におけるBRA駆動開発の進展
第3回WBAレクチャー:海馬体周辺におけるBRA駆動開発の進展
 
第6回WBAシンポジウム:人の手のひら AIの手のひら
第6回WBAシンポジウム:人の手のひら AIの手のひら第6回WBAシンポジウム:人の手のひら AIの手のひら
第6回WBAシンポジウム:人の手のひら AIの手のひら
 
第6回WBAシンポジウム:人間は動物を必要とするが、
AIは人間を必要とするか?
第6回WBAシンポジウム:人間は動物を必要とするが、
AIは人間を必要とするか?第6回WBAシンポジウム:人間は動物を必要とするが、
AIは人間を必要とするか?
第6回WBAシンポジウム:人間は動物を必要とするが、
AIは人間を必要とするか?
 
第6回WBAシンポジウム:脳参照アーキテクチャ 駆動開発からの AGI構築ロードマップ
第6回WBAシンポジウム:脳参照アーキテクチャ 駆動開発からの AGI構築ロードマップ第6回WBAシンポジウム:脳参照アーキテクチャ 駆動開発からの AGI構築ロードマップ
第6回WBAシンポジウム:脳参照アーキテクチャ 駆動開発からの AGI構築ロードマップ
 
第6回WBAシンポジウム:WBAI活動報告
第6回WBAシンポジウム:WBAI活動報告第6回WBAシンポジウム:WBAI活動報告
第6回WBAシンポジウム:WBAI活動報告
 
技術進展がもたらす進化戦略の終焉
技術進展がもたらす進化戦略の終焉技術進展がもたらす進化戦略の終焉
技術進展がもたらす進化戦略の終焉
 
The 5th WBA Hackathon Orientation -- Cerenaut Part
The 5th WBA Hackathon Orientation  -- Cerenaut PartThe 5th WBA Hackathon Orientation  -- Cerenaut Part
The 5th WBA Hackathon Orientation -- Cerenaut Part
 
Task Details of the 5th Whole Brain Architecture Hackathon
Task Details of the 5th Whole Brain Architecture HackathonTask Details of the 5th Whole Brain Architecture Hackathon
Task Details of the 5th Whole Brain Architecture Hackathon
 
Introduction to the 5th Whole Brain Architecture Hackathon Orientation
Introduction to the 5th Whole Brain Architecture Hackathon OrientationIntroduction to the 5th Whole Brain Architecture Hackathon Orientation
Introduction to the 5th Whole Brain Architecture Hackathon Orientation
 
WBAレクチャー#1BRAの審査と登録(山川宏)
WBAレクチャー#1BRAの審査と登録(山川宏)WBAレクチャー#1BRAの審査と登録(山川宏)
WBAレクチャー#1BRAの審査と登録(山川宏)
 
WBAレクチャー#1SCID法の実例 (布川絢子)
WBAレクチャー#1SCID法の実例 (布川絢子)WBAレクチャー#1SCID法の実例 (布川絢子)
WBAレクチャー#1SCID法の実例 (布川絢子)
 
WBAレクチャー#1脳機能の体系的理解を目指して(山川宏)
WBAレクチャー#1脳機能の体系的理解を目指して(山川宏)WBAレクチャー#1脳機能の体系的理解を目指して(山川宏)
WBAレクチャー#1脳機能の体系的理解を目指して(山川宏)
 

第6回WBAシンポジウム:Humanity X.0 共生創発と情報の身体性