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エネルギ自立型・電動超小型モビリティの実証
The actual proof of the micro electric vehicle system which has energy independence
宮 村 智 也* 二 木 真 弥**
Tomoya MIYAMURA Masaya FUTATSUGI
ABSTRACT
The P.C.D., Prominence Commuting Device, that is
single seater electric vehicle, can be run 90km on the
public road in practical use at electric energy of a little
less than 2 hours of ordinary hot plate use. This energy
efficiency is 5 times or more compared with a
commercial electric vehicle, is a level which can support
itself in energy with the small-scale photovoltaics
equipment which can be installed in ordinary homes. In
order to prove the usefulness of the mobility system
which can be self-sufficient in required energy with
small-scale photovoltaics equipment, we participated in
"World Green Challenge" by the P.C.D with fixed
formula photovoltaics charger that output 557W
maximum. The P.C.D. was described for three days, ran
only by charge by the above-mentioned photovoltaics
charger, and ran a total of 875 km in three days. It was
shown that the electric vehicle which cared about
reduction of running resistance can become a practical
transportation device which can support itself in run
energy by small-scale photovoltaics.
要 旨
日立環境財団・平成21年度環境NPO助成にて試作し
た単座の電動超小型モビリティ「Prominence Commuting
Device」(以下 P.C.D)は,一般的なホットプレート使用2
時間弱相当の電力量で 90km の実用走行が可能であり,市
販の電気自動車比で5倍以上のエネルギ効率を達成した.
これは,一般家庭に設置可能な小規模の太陽光発電設備で,
日常使用で走行に要する電力を自給可能な水準である.
上記の観点より,走行に要するエネルギを小規模太陽光
発電設備で自給自足できるモビリティシステムの有用性を
実機確認するため,P.C.D.と今回試作した最大出力
557W の定置式太陽光発電式充電器を組み合わせることで
エネルギ自立型の電動超小型モビリティシステムを構築,
2012年7月に秋田県大潟村で開催されたソーラーカー
レース「World Green Challenge」へ参加し,公開走行実
験を行った.
P.C.D.は3日間のべ24時間の競技時間を上記太陽光発
電式充電器による充電だけで走行し,3日間で合計 875km
を走行した.この結果から,走行抵抗の低減に留意した電
気自動車は,走行エネルギを小規模太陽光発電で自給可能
な実用的な移動手段になりうることを示した.
ところが,2011 年 3 月に東日本大震災が発生,これによ
り東京電力福島第一原子力発電所で大規模な原子力災害が
発生,自然災害に対する原子力発電の安全性に疑問符が付
き,国内のほとんどの原子力発電所が運転停止に追い込ま
れ,現在でもその再稼動の目処は立っていない.
1. まえがき
2009 年頃から大手自動車メーカから相次いで電気自動
車が市販されるようになり,時を同じくしてこれらを充電
するための充電インフラ整備が,わが国では電力会社を中
心に開始された 1).充電インフラ整備の推進役を電力会社
が担った理由は,当時国内の電力供給能力の3割強を担っ
ていた原子力発電の,夜間における供給過剰分の有効利用
にあった.したがって,現在市販されている電気自動車は,
原子力発電による電力供給を前提とするものであったとも
いえる 2).原子力発電は原理的に発電時の温室効果ガス発
生がないため,これを電源とする電気自動車はこれからの
エコ・モビリティであるとして期待された.
このため,現在のわが国電力供給の主力は火力発電 3)と
せざるを得ず,当面はこの状況が続くものとみられる.
火力発電の燃料は天然ガス・石炭・石油の化石燃料であ
る.これらは海外からほぼ全量を輸入せざるを得ず,発電
用化石燃料の輸入額は 2011 年以降大幅に増加した.この
燃料輸入額の増大のため,わが国は 2011 年に通年で貿易
赤字を計上した 4).通年での貿易赤字は 31 年ぶりのことで
あり,今なお貿易収支はマイナスのままである.したがっ
* ソーラーカーチーム プロミネンス 宇都宮研究所
**ソーラーカーチーム プロミネンス 松本研究所 - 1 -
て,わが国は東日本大震災以降,経済・エネルギの両面で
重い課題に直面することになったといえる.
図1 わが国の電源別発電電力量構成比 3)
図2 わが国の貿易収支推移 4)
さらに,短期間で約3割の電力供給力を失った結果,こ
れを補うために老朽化のため運転を停止していた火力発電
設備を応急的に再稼動させている側面もあり,夏季に代表
される高い電力需要期には広域大停電のリスクも抱えるこ
ととなった.
こうした背景から,以前にも増して太陽光発電や風力発
電などの再生可能エネルギに期待が寄せられている.しか
し,各種普及策が導入された今日でも,わが国における電
力供給量に占める再生可能エネルギの割合は 2%に満たず
3),再生可能エネルギが原子力発電喪失分を補完するには,
更に長い年月を要するとみるのが妥当であろう.
電気自動車にあっても,走行に要する電力を再生可能エ
ネルギで賄うアイディアは従来から提唱されている 2).し
かしながら,現在市販されている電気自動車の消費電力や
電力消費率を考えたとき,太陽光発電等によりそのすべて
の必要電力を自給するには相当規模の設備を要することは
明らかである.一般家庭のレベルにおいて,現在普及が進
む家庭用太陽光発電システムを前提としてエネルギ自立を
考えたとき,これは補助的なエネルギ源にしかならない.
これは,現在の市販電気自動車が,本来潤沢に供給される
はずであった原子力発電による電力活用を前提に企画・設
計されていることも理由のひとつといえ,再生可能エネル
ギによる電気自動車のエネルギ自給を考えるならば,電気
自動車の在り様も根本的に見直す必要がある.
2. 実証の方法
2.1. 車両の選定
日立環境財団・平成21年度環境NPO助成を得て試作
し た 単 座 の 電 動 超 小 型 モ ビ リ テ ィ 「 Prominence
Commuting Device」(以下 P.C.D)は,公道走行可能な道
路運送車両でありながら,自転車を凌駕するエネルギ効率
と,震災前の電力の温室効果ガス排出原単位を前提とした
ときに,国内旅客鉄道同等以下の温室効果ガス排出原単位
を実現することをその試作目的とした 5).
写真1 Prominence Commuting Device(P.C.D.)
一般公道における走行試験の結果,車両そのもののエネ
ルギ消費率は 17.8Wh/km で市販電気自動車の 1/5 以下,
Well to Wheel の温室効果ガス排出原単位は 13.4g-eqCO2/
人・キロで国内旅客鉄道以下になることを実機証明した 6).
もともと,P.C.D.は再生可能エネルギによるエネルギの自
給自足を目的に企画・製作したわけではなかったが,その
省エネルギ性能は再生可能エネルギによる走行用エネルギ
自給の可能性を予見させるレベルにあった.再生可能エネ
ルギと親和性の高い電力をエネルギ源とすること,道路運
送車両としてナンバーを交付された車両であることも踏ま
え,本実証での使用車両は P.C.D.とすることとした.
2.2. エネルギ源の選定
今日の日常生活において,最も身近な再生可能エネルギ
源は太陽光である.家庭用の太陽光発電システムは既に普
及段階にあり,一般家庭の屋根に太陽電池が装備されてい
る風景は今や珍しいものではなくなった.そうした意味で,
太陽光発電は専門家でない人でも必要となる再生可能エネ
ルギの量的イメージが捉えやすいといえる.また,太陽光
- 2 -
発電は機械的な可動部分がなく取り扱いが容易なこと,発
電能力の設定が太陽電池パネルの使用枚数の変更で比較的
容易に行えること,一般家庭への導入がイメージしやすい
等の観点から,本システムのエネルギ源は太陽電池で構成
する太陽光発電システムとした.
2.3. 試験方法
本実証実験は,第三者認定の公式記録が残る方法がよい
と考えた.本実証はエネルギ源に太陽光発電を用いること
としたため,公式記録を残すにはソーラーカーの競技会へ
参加することが現状の最適解と判断した.
わが国で開催されているソーラーカーの競技会として
代表的なものに,三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで毎年開
催される「ソーラーカーレース鈴鹿」と,秋田県大潟村の
ソーラースポーツラインで毎年開催される「World Green
Challenge」(以下 W.G.C.)がある.
図4 ソーラースポーツライン コース図 10)
3. 実証システムの構成
3.1. レース用ソーラーカーと本システムの違いソーラーカーレース鈴鹿は,競技時間が5時間と短いう
え,車両規定がレース用ソーラーカーを対象としたものの
みであり,後述するような本実証で試みるシステム(車両
と太陽光発電装置が別体)は対象としておらず,出走が許
されたとしても参考出走扱いとなり公式記録が残らない恐
れがある.また,5時間という競技時間は太陽光発電の性
質上発電量が限られてしまうため,システムの有効性を検
証するには不適であった.
太陽光からエネルギを得て走行する車両としてソーラ
ーカーが知られている.単にソーラーカーと聞いて想起さ
れるのはレース用のソーラーカーであり,これらは国際ソ
ーラーカー連盟が定める車両規則に準拠するよう車両が製
作されている.
一方,W.G.C.は3日間にわたって競技が行われ,走行時
間は3日間の日中のべ24時間である.2011 年より車両カ
テゴリが追加され,レース用ソーラーカー以外の実験車両
の出走が認められるようになった.
公式記録が残ること,システム検証に十分な競技時間が
確保できることから,実証実験は W.G.C.への参加により行
うこととした.本実証は,W.G.C.競技中に必要となる車両
への充電電力のすべてを,新規製作の太陽光発電式充電シ
ステムで供給し,車両が走行した距離をもってその有用性
を検証することとした.
写真2 レース用ソーラーカーの例
(太陽光発電装置が車載されている)
この規則上,レース用ソーラーカーでは太陽電池を車両
に搭載することが求められる.走行に利用できるエネルギ
を最大化するには,車両規則で定められた寸法ぎりぎりま
で車体を大型化し,可能な限り太陽電池を搭載することが
有効なため,乗車定員(1~2名)に対し車両が大型乗用
車並みに大型化する傾向にある.レース用として走行性能
を最大化するには有効なアプローチではあるものの,わが
国ではこのような大きな車両を道路運送車両として届け出
るのは,関連の法規要件を考えると極めて困難であり,レ
ース用ソーラーカーをそのまま実用に供することは現実的図3 2012 W.G.C.開催概要 10)
- 3 -
ではない. しかしながら,今回の実証実験では走行時間が24時間と
限られており,これには充電時間も含まれるため,限られ
た時間内で走行距離を最大化するためには車両への充電に
代わるエネルギ供給手段を考える必要がある.
本実証の目的は,再生可能エネルギを使用して,走行に
必要なエネルギを自給可能な「実用的な」モビリティシス
テムの実証であり,現在の国内法規で道路運送車両となる
車両にするため,本実証システムでは車両大型化の要因と
なる太陽光発電システムは車載せず,車両とは別に定置型
の太陽光発電システムとして設置することとした.
P.C.D.は,設計時の基本コンセプトとして,エネルギ効
率を高めることで搭載電池量を減らし,車両軽量化と製作
コスト低減を実現することを掲げていた.
軽量化軽量化
+低空気抵抗化+低空気抵抗化
搭載バッテリ量搭載バッテリ量
削減削減
走行エネルギ走行エネルギ
減少減少
軽量化軽量化
+低空気抵抗化+低空気抵抗化
搭載バッテリ量搭載バッテリ量
削減削減
走行エネルギ走行エネルギ
減少減少
・大人1名の移動に必要な機能を絞込む
・Curb Weight徹底削減
・空力最優先デザイン
高効率な動力システムとの
組合せでモビリティ中
最高のエネルギ効率
を実現
最も高価かつ重量増の
要因であるバッテリの
極小化
“バイクでもない、クルマでもない”
EVの特長である高エネルギ効率を生かしたコミュータビークルの実現
図5 P.C.D.の設計コンセプト写真3 本実証における太陽光発電システムと車両
(太陽光発電装置は定置型とした)
2010 年の試作時点では走行用電池に比較的廉価で,重量
48kgの鉛蓄電池を採用した.更に電池重量を軽量化でき
れば,人の手による電池交換が容易となる水準となる.
したがって,太陽光発電システムを車両に搭載せず,定置
型として車両外部に設置する点が,競技用ソーラーカーと
本システムの大きな違いである. このため,走行用電池を鉛蓄電池から軽量なリチウムイ
オン電池に変更した.リチウムイオン電池への変更により,
走行用電池の重量は 15.8kg と従来の約 1/3 に軽量化し,車
載する電池パックを2分割構造として人手による電池交換
が可能な重量とした.また,電池交換が容易となるように
車両各部を改修した.この結果,電池交換に要する時間を
従来の約30分から2分あまりに短縮した.
3.2. 車両の構成
P.C.D.は,実用的で高いエネルギ効率の移動手段とする
ため,道路運送車両法で第1種原動機付自転車に分類され
る車室付きの3輪車として製作した.第1種原動機付自転
車は全長を 2.5m 以内とする必要があるが,P.C.D.は既に
全長が 2.5m にほぼ達しており,車両には太陽電池を搭載
していない.したがって,車両は全くの電気自動車の構成
となっている.
一般に電気自動車は,車両外部の電源から充電すること
でエネルギの供給を受ける.しかしながら,電気自動車の
エネルギストレージである電池は電気化学反応によって機
能する装置であり,その充電時間は電気化学反応に要する
時間の制約を受けるため,ガソリンの給油作業に比して充
電時間は長くなることが避けられない.
走行用
電池
(交換式)
モータ
コントローラ
駆動
モータ
DC‐DC
コンバータ
ライトなど
12V電装品
写真4 本実証用に用意したリチウムイオン電池パック 9)
(写真は1台分で 1.3kWh,交換用に計3セットを用意)
図4 P.C.D.のシステム構成 さらに,走行用の電池を3セット用意し,走行によって
消耗した電池を定置型太陽光充電器でオフボード充電でき
- 4 -
る構成として,計 3.9kWh 分を用意した.電池が消耗した
らピットインして消耗した電池と充電済みの電池を交換し,
車両が走行している間は消耗した電池をピットに設置した
太陽光発電式充電器で充電するという運用とした.これに
より,競技時間中に走行時間を最大化すること,および太
陽光発電装置の稼働率を最大化することを両立できる構成
となる.表1に改修した P.C.D.の諸元を示す.なお,用意
した走行用電池の総容量は市販の普通自動車タイプ電気自
動車の 1/6 以下である.
太陽電池パネル
(シリコン単結晶・557Wmax)
充電装置
(MPPT+直流電力計)
走行用電池
(車外で充電)
表1 W.G.C.参戦時の P.C.D.仕様
項目 仕様 備考
車体寸法 L×W×H =2490×720×1100 [mm] サイドミラー除く
車両重量 104kg バッテリ込み/乗員除く
Cd・A 0.1以下
ボディ GFRP製ゲルコート仕上げ
シャシ Cr-Mo鋼管製バックボーンフレーム
ブレーキ
Fr:ワイヤ駆動機械式ディスク
Rr:カンチ式Vブレーキ+KERS
サスペンション
Fr:マクファーソンストラット
Rr:トレーリングアーム
ステアリング アンダーシート/サイドスティック式
タイヤサイズ
Fr:16×1.5
Rr:20×1.75
バッテリ種類 リン酸鉄リチウムイオン電池
原動機 電動自転車用ハブ内蔵型DCブラシレス
原動機定格出力 500W
バッテリ容量 1.3kWh 実容量
最高速度 80km/h
航続距離 125km
充電方式 電池交換式
市販品
競技での実測値
図6 太陽光発電式充電器のシステム構成
MPPTは,時々刻々変化する日射量や太陽電池温度に
より変化する最適動作点を追尾し,その条件下で得られる
発電量を最大化する装置である.また,発電量の絶対値は
天候に大きく左右されるため,得られる電力量を事前に高
い精度で予測することは困難で,競技中は実際の発電量を
みながら車両の運行計画を臨機応変に見直す必要がある.
このため,太陽電池出力の監視,および電池充電の進行状
況の常時監視を目的に,積算電力測定機能を備えた直流電
力計を装備した.これにより,競技期間中の天候に応じた
運行計画が現場で検討できる構成とした.
3.3. 太陽光発電式充電器の構成
2.3.項で述べたとおり,実証実験のフィールドとして
W.G.C.を選んだ.このため,筆者らの活動拠点から W.G.C.
開催会場まで実証システムを運搬する必要がある.このた
め,太陽光発電式充電器は,小型トラック等で運搬可能な
サイズとすることが求められた.この理由から,太陽電池
パネル寸法は 3000×1500[mm]とした.太陽電池には単結
晶シリコンタイプを用い,最大出力は 557W とした.
3.4. レース前の性能予測
本実証にあたっては,日立環境財団・平成24年度環境
NPO助成申請時に提案システムの性能予測を行い,
W.G.C.に参戦した場合,太陽光発電だけでどれだけの距離
を走行可能か予測した.太陽電池の出力は,太陽電池に入射する光量および太陽
電池の温度により,出力が最大となる動作点が変化する.
太陽電池で利用可能な電力を最大化するには,太陽電池の
動作点を常に最適化することが重要である.本システムの
ように,太陽電池パネルの寸法に制約があって最大発電能
力が制限される場合,太陽電池動作点の最適化は必須であ
る . こ の た め , 本 シ ス テ ム で は 太 陽 電 池 に M P P T
(Maximum Power Point Tracker:最大出力点追尾装置)
を装備して,発電量の最大化を図った.
走行可能な距離は,競技時間中に太陽電池パネルから得
られる電力量と,車両の走行に要する消費電力から計算で
きる.申請時の性能予測は,次の条件によった.
(予測条件)
・ 最大発電電力:480W
・ 設備稼働率:10%
・ 車両の速度-消費電力特性:図7のとおり
・ 競技時間:24時間
- 5 -
0
100
200
300
400
500
0 10 20 30 40 50 60
走行速度[km/h]
消費電力[W]
図7 P.C.D.の消費電力特性(定常走行時)
上記条件では,3日間の日中・のべ24時間で 3,456Wh
の発電電力が得られる計算結果となった.これをすべて車
両の走行に充てることとして,競技時間である 24 時間で
走行可能な距離を求めた結果を図8に示す.
0
100
200
300
400
500
600
700
0 10 20 30 40 50 60
平均速度[km/h]
走行距離予測値[km]
図8 W.G.C.走行距離予測結果
消費電力は,空気抵抗の増加により車両速度のおよそ3
乗に比例して増加するため,走行時間と利用可能な電力量
に制約があると,走行速度と走行可能距離の関係に極大値
が現れる.図8にもその傾向が現れており,提案システム
で W.G.C に参戦した場合,太陽光発電だけで最大 594km
の走行が可能であるとの予測を得た.当初は 480W の太陽
電池パネルで性能予測を行ったが,更なる成績向上を目指
し,最終的に太陽電池パネル出力は 557W とした.
4. 結 果
4.1. レース結果
W.G.C.のソーラーカー競技には国内から計18台が参
加し,2012 年7月29日から31日の3日間にわたって競
技が行われた.初日は14時スタートで競技時間は5時間,
2日目は8時スタートで競技時間は11時間,最終日は8
時スタートで競技時間8時間,計24時間でのコース周回
数を争った.表2に本実証システムの車両(P.C.D.:Car No.
#301)を含む上位5チームの周回数と所要時間を示す.
表2 2012W.G.C.上位5チーム周回数と所要時間 10)
#301
#301 #22 #3 #21 #211 Position
1 0:37:32 0:37:13 0:39:56 0:35:00 0:36:24 5
2 1:16:04 1:23:30 1:20:24 1:16:49 1:13:25 3
3 1:59:11 1:56:41 2:01:30 1:58:40 1:50:57 5
4 2:34:59 2:36:05 2:43:10 2:46:33 2:32:57 3
5 3:10:13 3:18:42 3:27:54 3:27:57 3:36:53 2
6 3:55:50 3:56:11 3:56:27 4:12:45 4:29:24 2
7 4:32:25 4:36:58 4:38:31 4:52:35 5:04:54 1
8 5:03:13 5:18:20 5:12:12 5:31:38 5:41:11 1
9 5:36:33 5:53:58 5:46:35 6:10:36 6:18:08 1
10 6:10:31 6:29:06 6:21:17 7:09:58 6:54:08 1
11 7:10:29 7:03:27 6:55:45 7:42:41 7:45:11 3
12 7:49:08 7:42:27 7:29:41 8:14:31 8:17:17 4
13 8:23:58 8:18:30 8:06:47 8:46:33 8:47:12 4
14 9:00:39 8:57:27 8:39:16 9:19:46 9:17:39 4
15 9:35:46 9:36:13 9:13:39 9:52:48 9:46:55 3
16 10:15:44 10:18:32 9:47:03 10:27:11 10:22:28 3
17 10:46:45 10:55:31 10:20:25 10:58:18 11:00:58 2
18 11:17:48 11:30:37 10:59:54 11:29:24 11:32:02 2
19 11:49:04 12:08:08 11:33:06 12:02:41 12:03:16 2
20 12:20:56 12:45:06 12:06:25 12:35:23 12:33:33 2
21 12:59:42 13:31:09 12:41:50 13:08:42 13:08:44 2
22 13:32:30 14:23:06 13:15:20 13:41:02 13:52:18 2
23 14:06:51 14:53:49 13:52:36 14:12:13 14:24:50 2
24 14:44:35 15:27:48 14:33:46 14:45:56 15:02:17 2
25 15:11:53 16:02:07 15:10:28 15:14:39 15:31:16 2
26 15:43:01 16:35:41 15:47:54 15:44:28 16:01:15 1
27 16:13:00 17:14:11 16:24:31 16:16:32 16:30:59 1
28 16:43:35 17:49:44 17:01:40 16:47:35 17:01:47 1
29 17:24:46 18:24:16 17:39:46 17:26:11 17:33:55 1
30 17:57:10 19:00:04 18:15:43 18:02:34 18:15:36 1
31 18:28:09 19:38:05 18:52:10 18:36:16 18:44:13 1
32 18:58:23 20:11:08 19:28:08 19:10:05 19:13:09 1
33 19:34:44 20:44:24 20:04:56 19:48:07 19:41:46 1
34 20:03:41 21:19:27 20:40:54 20:20:48 20:21:48 1
35 20:32:35 22:02:06 21:16:18 20:53:48 20:53:51 1
36 21:52:29 21:27:42 21:27:42 4
37 22:03:35 22:00:32 4
1日目 2日目 3日目
走行分 走行分 走行分
Car No.(上位5チーム)
Lap
凡例
競技の行われた3日間はいずれも晴天で,ソーラーカー
の競技会としては理想的な天候に恵まれた.
P.C.D.は序盤から上位グループを形成する1台として走
行し,レース用ソーラーカーと互角の性能を発揮した.
写真5 競技走行中の P.C.D. 9)
- 6 -
初日は計7周・175km を4時間32分で走行し総合首位,
この日の平均速度は 38.9km/h であった.また,この走行
で行ったバッテリ交換は1回であった.
このため,競技期間中に得た太陽光発電による電力量,
車両の走行に要した電力量および走行距離から,太陽光発
電による走行距離を算出した.
2日目も初日と同様に軽快な走りをみせ,通算10周回
終了時まで首位で走行したが,10周回終了時点で30分
のメディア・ストップ(観客に車両を展示・説明する)を
命ぜられ,来場の観客に本実証の目的やシステムを披露す
ることができたが,このため順位を総合4位まで下げる結
果となった.なお,メディア・ストップは今大会からレー
ス用ソーラーカー以外の車両に義務付けられた規則であり,
メディア・ストップ中の時間も競技時間に算入される.
3日間の競技期間中に,太陽光発電から供給した走行用
電池の充電電力量は,5,375Wh で,太陽光発電設備の稼働
時間はのべ 23.4 時間であった.また,3日間の走行に要し
た電力量は 8,610Wh であった.3日間の実走行距離を
875km とすれば,競技中の平均電力消費率は
[km]
[Wh]
[Wh/km]
走行距離
走行に要した電力
平均電力消費率 = …①
2日目の走行時間は10時間12分,走行距離は 425km,
1日の平均速度は 42.7km/h で,この日の競技終了時の順
位は総合2位であった.また,2日目の走行では4回の電
池交換を行った.
であらわされ,競技中の平均電力消費率は,
[Wh/km]9.84
[km]758
[Wh],6108
=
=
       
平均電力消費率
…②
最終日もペースを落とすことなく走行し,最終日スター
トから1時間弱で総合首位に浮上,通算35周回終了時に
は2位以下に20分強の差をつけた走りをみせた.しかし,
36周回目走行中,競技時間残り1時間の時点で駆動輪の
バーストが発生,残り時間での修理ができずそのまま競技
を終了した.このため,走行できなかった約1時間で総合
4位まで順位を落とす結果となった.なお最終日の走行距
離は 275km で,1日の平均速度は 48.0km/h であった.ま
た,最終日のバッテリ交換回数は5回であった.
となる.②で得られた平均電力消費率から,太陽光発電に
よる走行距離は,
[km]546
[Wh/km]9.84
[Wh]5,375
[Wh/km]
[Wh]
[km]
=
=
=
               
              
平均電力消費率
太陽光発電量 
 距離太陽光発電による走行
3日間通算の走行時間は20時間32分,走行距離は
875km,3日間通算の平均走行速度は 43.4km/h で総合4
位,グリーン・フリートクラス優勝の成績を得た.また,
モビリティの将来像を示したことが評価され,特別賞であ
る未来賞を受賞した.
と求められ,今回の競技会で走行した距離の 62%・546km
は太陽光から得たエネルギで走行したことになる.
なお,最終日にコース途中で競技を終了したことから,
公式記録は競技規則により実際の周回数より1周回減算さ
れるため,公式の認定記録は34周・850km となった.な
お,1周回減算による総合順位の影響はなかった.
太陽光発電による
走行距離
546km
( 62%)
商用電源による
走行距離
329km
( 38%)
総走行距離
875km
図9 走行距離とエネルギ源の割合
4.2. 走行に要したエネルギの分析
一般のレース用ソーラーカーは,太陽光発電装置の出力
平準化を目的に走行用電池を車載している.ソーラーカー
の競技会において走行距離を最大化するには,太陽光発電
装置から得られる電力に加え,走行用電池の電力を併用し,
車両推進用の電動機に供給する電力を最大化することが有
効である.
本システムは,太陽光発電装置を車載しない点が一般の
レース用ソーラーカーと異なるが,競技における車両運用
の考え方はレース用ソーラーカーと同様であり,太陽光発
電装置から得られた電力に加え,用意した走行用電池に予
め蓄えられた電力を併用している.走行用電池は競技開始
前までに商用電力で満充電しておく点もレース用ソーラー
カーと同様である.
以上の結果より,今回の条件では,太陽光発電による1
日あたりの走行距離は 182km であったといえ,日常の近
距離移動であれば,本システムは太陽光発電によるエネル
ギ自給が可能なレベルにあるといえる.
- 7 -
5. 考 察
5.1. 助成申請時予測と結果の差異について
3.4 項の予測は太陽光発電による走行分を予測しており,
3,456Wh の発電で 594km が走行可能とした.これに対し,
今回の実証では太陽光発電の発電量 5,375Wh で 546km の
走行距離となり,予測より多く発電量を確保できたにもか
かわらず,太陽光発電による走行距離が予測より少ない結
果となった.
3.4 項で示した走行距離予測は,太陽光発電により得ら
れるであろう総電力量だけで走行可能な距離を予測してお
り,走行用電池の電力使用を考慮しなかった.実際の運用
では,太陽光発電で得られる電力に加え,走行用電池の電
力を同時に使用したため,全体として利用可能な電力量が
増加した.このため,より高い速度での走行が可能となり,
予測より多くの発電量が得られたことも影響して,当初予
測の平均走行速度 23.4km/h に対し実際の平均走行速度が
43.4km/h と,予測に対し 1.8 倍の高車速となった.これに
より,車両の平均消費電力は予測に対し 2.5 倍あまりとな
り電力消費率は悪化した.このため,太陽光発電による発
電電力が予測より増えたにもかかわらず,太陽光発電分の
走行距離は当初予測より減少する結果となった.
5.2. 本システムを一般公道で使用した際の性能予測
4.2 項で示したとおり,太陽光発電装置の稼働時間は
23.4 時間で,総発電量は 5,375Wh であった.本システム
の発電能力は 557W であるので,3日間の本太陽光発電装
置の設備稼働率は 13.4%と算出される.国内の太陽光発電
設備の設備稼働率の平均値は 12%7)とされており,本実証
では平均より 11.6%稼働率が高い結果となった.これは,
3日間を通して晴天に恵まれたこと,季節的に日照時間が
長かったことに起因する.
本システムを日本国内において通年で運用した際に太陽
光発電で期待できる電力量は,設備稼働率を 12%とすれば,
1日あたりの平均値は 1.6kWh となる.ここで,P.C.D.の
市街地実用走行時の電力消費率は 17.8Wh/km5)6)であるの
で,1.6kWh の電力では 90km の市街地走行が可能で,か
つ P.C.D.を満充電とするのに十分な電力量である.自家用
乗用車1日あたり平均走行距離は 29km 程度 8)であること
も考えれば,日常の通勤や買い物で移動するには十分な移
動距離が,軽自動車が駐車可能な場所があれば設置可能な
小規模太陽光発電設備で自給可能となる.
また,本システムでは走行用電池が交換可能であり,走
行用電池は人手による交換が可能な水準に小型・軽量化し
ている.走行用電池を2セット用意して,一方の電池は太
陽光発電装置の設置場所で充電,もう一方は車両に搭載し
て使用するようにしておけば,昼夜を問わず車両の使用が
連日可能で,商用電源による補助は原則必要とならない.
このため,災害等により電力供給が途絶しても運用可能で
あり,災害発生時の移動手段としての機能が期待できる.
5.3. 市販電気自動車で必要となる太陽光発電設備試算
筆者は,市販の普通乗用車タイプの電気自動車を2週間
借用する機会を得たので,2週間にわたって通勤等に使用
した.このとき,エアコンを使用しないときの2週間通算
の平均電費は 145Wh/km であった.この値から1日 90km
の移動を太陽光発電で賄おうとしたとき,設備稼働率を
12%とすれば 4.5kW 出力の太陽光発電設備が必要となる.
これは,一般的な住宅用太陽光発電システムを超える規模
であり,都市部の比較的小さな一戸建てでは設置が不可能
である.また,走行用電池は交換不可能であるから,日中
に車両を使用した場合,翌日の日中は充電のため車両を使
用することができない.このため,商用電源の力を借りな
ければ日中の連日使用は困難である.現在市販の普通乗用
車タイプの電気自動車では,個人が所有しうる設備規模で
エネルギ的に自立したシステムの実現は困難である.しか
し,エネルギ的に自立した電気自動車システムを考えるの
であれば,本実証システム並みの小型・軽量車両が求めら
れる.
6. まとめ
本活動により下記事項を実証した.
(1) 走行抵抗の低減に留意した電動超小型モビリティの
電源に出力 557Wの小規模太陽光発電設備を採用し,
3日間・のべ24時間で 875kmを走行した.
(2) 上記結果より,一般家庭に設置可能な小規模太陽光発
電設備によるエネルギ自立型の移動手段が実現可能
なことを示した.
(3) 今回示したシステムは,移動手段用エネルギの自給率
向上に資するだけでなく,災害等で電力供給が長期に
遮断された場合にも有効な移動手段となりうる.
謝 辞
本実証は,日立環境財団の第11回(平成24年度)環
境NPO助成を得て実施致しました.
本活動にあたり,活動資金を助成下さった(財)日立環境
財団,実証実験の場を設けてくださったクリーン・エナジ
ー・アライアンスをはじめ,御協力・ご支援を頂きました
内外の関係者の方々に紙面を借りて厚く御礼申し上げます.
- 8 -
参考・引用文献
1) 畑陽一郎:自動車 4 社と東京電力が電気自動車向け充
電設備の標準化団体を設立,2010 年 3 月 15 日,
EE Times Japan,
http://eetimes.jp/ee/articles/1003/15/news076.html
2) 島村・堤・谷田部・橋本:低炭素交通社会の実現に向
けて,三菱自動車テクニカルレビュー 2009 No.21,
三菱自動車工業株式会社,
http://www.mitsubishi-motors.com/jp/spirit/technolo
gy/technical_review/pdf/technical_review_2009.pdf
3) 電気事業連合会:電源別発電電力量構成比,
2013 年 5 月 17 日,
http://www.fepc.or.jp/about_us/pr/sonota/__icsFiles/
afieldfile/2013/05/17/kouseihi_2012.pdf
4) 時事ドットコム:【図解・経済】貿易収支の推移(最新),
2013 年 4 月 18 日,時事通信社,
http://www.jiji.com/jc/v?p=ve_eco_trade-balance
5) 宮村智也:鉄道より「エコ」な次世代パーソナルモビ
リティの実証,第 2 回「環境NPO助成」受領団体活動
報告会予稿集 PP26-27,2010 年 10 月 20 日,日立環
境財団,
http://www.hitachi-zaidan.org/kankyo/docdata/topic
s52_13.pdf
6) 宮村智也:鉄道より低炭素なパーソナルモビリティの
実証,第 6 回日本LCA学会研究発表会予稿集 PP46-47,
2011 年 2 月 14 日,日本LCA学会,
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ilcaj/2010/0/2010
_0_25/_article/-char/ja/
7) 村上敬亮:再生可能エネルギーを巡る現状と課題,第
21 回日本エネルギー学会大会招待講演,2012 年 8 月,
日本エネルギー学会,
http://www.jie.or.jp/2012/taikai/21taikai_syoutaikou
en_meti.pdf
8) 国土交通省:自家用自動車の使用実態,
http://www.mlit.go.jp/jidosha/iinkai/seibi/5th/5-2.pd
f
9) 日立環境財団Facebookページ,日立環境財団
https://www.facebook.com/hitachi.kankyo
10) ワールド・グリーン・チャレンジ組織委員会:ワール
ド・グリーン・チャレンジ 2012 大会リポート,クリ
ーン・エナジー・アライアンス,
http://www2.ogata.or.jp/wgc/2012wgc/car/index.htm
- 9 -

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エネルギ自立型・電動超小型モビリティの実証

  • 1. エネルギ自立型・電動超小型モビリティの実証 The actual proof of the micro electric vehicle system which has energy independence 宮 村 智 也* 二 木 真 弥** Tomoya MIYAMURA Masaya FUTATSUGI ABSTRACT The P.C.D., Prominence Commuting Device, that is single seater electric vehicle, can be run 90km on the public road in practical use at electric energy of a little less than 2 hours of ordinary hot plate use. This energy efficiency is 5 times or more compared with a commercial electric vehicle, is a level which can support itself in energy with the small-scale photovoltaics equipment which can be installed in ordinary homes. In order to prove the usefulness of the mobility system which can be self-sufficient in required energy with small-scale photovoltaics equipment, we participated in "World Green Challenge" by the P.C.D with fixed formula photovoltaics charger that output 557W maximum. The P.C.D. was described for three days, ran only by charge by the above-mentioned photovoltaics charger, and ran a total of 875 km in three days. It was shown that the electric vehicle which cared about reduction of running resistance can become a practical transportation device which can support itself in run energy by small-scale photovoltaics. 要 旨 日立環境財団・平成21年度環境NPO助成にて試作し た単座の電動超小型モビリティ「Prominence Commuting Device」(以下 P.C.D)は,一般的なホットプレート使用2 時間弱相当の電力量で 90km の実用走行が可能であり,市 販の電気自動車比で5倍以上のエネルギ効率を達成した. これは,一般家庭に設置可能な小規模の太陽光発電設備で, 日常使用で走行に要する電力を自給可能な水準である. 上記の観点より,走行に要するエネルギを小規模太陽光 発電設備で自給自足できるモビリティシステムの有用性を 実機確認するため,P.C.D.と今回試作した最大出力 557W の定置式太陽光発電式充電器を組み合わせることで エネルギ自立型の電動超小型モビリティシステムを構築, 2012年7月に秋田県大潟村で開催されたソーラーカー レース「World Green Challenge」へ参加し,公開走行実 験を行った. P.C.D.は3日間のべ24時間の競技時間を上記太陽光発 電式充電器による充電だけで走行し,3日間で合計 875km を走行した.この結果から,走行抵抗の低減に留意した電 気自動車は,走行エネルギを小規模太陽光発電で自給可能 な実用的な移動手段になりうることを示した. ところが,2011 年 3 月に東日本大震災が発生,これによ り東京電力福島第一原子力発電所で大規模な原子力災害が 発生,自然災害に対する原子力発電の安全性に疑問符が付 き,国内のほとんどの原子力発電所が運転停止に追い込ま れ,現在でもその再稼動の目処は立っていない. 1. まえがき 2009 年頃から大手自動車メーカから相次いで電気自動 車が市販されるようになり,時を同じくしてこれらを充電 するための充電インフラ整備が,わが国では電力会社を中 心に開始された 1).充電インフラ整備の推進役を電力会社 が担った理由は,当時国内の電力供給能力の3割強を担っ ていた原子力発電の,夜間における供給過剰分の有効利用 にあった.したがって,現在市販されている電気自動車は, 原子力発電による電力供給を前提とするものであったとも いえる 2).原子力発電は原理的に発電時の温室効果ガス発 生がないため,これを電源とする電気自動車はこれからの エコ・モビリティであるとして期待された. このため,現在のわが国電力供給の主力は火力発電 3)と せざるを得ず,当面はこの状況が続くものとみられる. 火力発電の燃料は天然ガス・石炭・石油の化石燃料であ る.これらは海外からほぼ全量を輸入せざるを得ず,発電 用化石燃料の輸入額は 2011 年以降大幅に増加した.この 燃料輸入額の増大のため,わが国は 2011 年に通年で貿易 赤字を計上した 4).通年での貿易赤字は 31 年ぶりのことで あり,今なお貿易収支はマイナスのままである.したがっ * ソーラーカーチーム プロミネンス 宇都宮研究所 **ソーラーカーチーム プロミネンス 松本研究所 - 1 -
  • 2. て,わが国は東日本大震災以降,経済・エネルギの両面で 重い課題に直面することになったといえる. 図1 わが国の電源別発電電力量構成比 3) 図2 わが国の貿易収支推移 4) さらに,短期間で約3割の電力供給力を失った結果,こ れを補うために老朽化のため運転を停止していた火力発電 設備を応急的に再稼動させている側面もあり,夏季に代表 される高い電力需要期には広域大停電のリスクも抱えるこ ととなった. こうした背景から,以前にも増して太陽光発電や風力発 電などの再生可能エネルギに期待が寄せられている.しか し,各種普及策が導入された今日でも,わが国における電 力供給量に占める再生可能エネルギの割合は 2%に満たず 3),再生可能エネルギが原子力発電喪失分を補完するには, 更に長い年月を要するとみるのが妥当であろう. 電気自動車にあっても,走行に要する電力を再生可能エ ネルギで賄うアイディアは従来から提唱されている 2).し かしながら,現在市販されている電気自動車の消費電力や 電力消費率を考えたとき,太陽光発電等によりそのすべて の必要電力を自給するには相当規模の設備を要することは 明らかである.一般家庭のレベルにおいて,現在普及が進 む家庭用太陽光発電システムを前提としてエネルギ自立を 考えたとき,これは補助的なエネルギ源にしかならない. これは,現在の市販電気自動車が,本来潤沢に供給される はずであった原子力発電による電力活用を前提に企画・設 計されていることも理由のひとつといえ,再生可能エネル ギによる電気自動車のエネルギ自給を考えるならば,電気 自動車の在り様も根本的に見直す必要がある. 2. 実証の方法 2.1. 車両の選定 日立環境財団・平成21年度環境NPO助成を得て試作 し た 単 座 の 電 動 超 小 型 モ ビ リ テ ィ 「 Prominence Commuting Device」(以下 P.C.D)は,公道走行可能な道 路運送車両でありながら,自転車を凌駕するエネルギ効率 と,震災前の電力の温室効果ガス排出原単位を前提とした ときに,国内旅客鉄道同等以下の温室効果ガス排出原単位 を実現することをその試作目的とした 5). 写真1 Prominence Commuting Device(P.C.D.) 一般公道における走行試験の結果,車両そのもののエネ ルギ消費率は 17.8Wh/km で市販電気自動車の 1/5 以下, Well to Wheel の温室効果ガス排出原単位は 13.4g-eqCO2/ 人・キロで国内旅客鉄道以下になることを実機証明した 6). もともと,P.C.D.は再生可能エネルギによるエネルギの自 給自足を目的に企画・製作したわけではなかったが,その 省エネルギ性能は再生可能エネルギによる走行用エネルギ 自給の可能性を予見させるレベルにあった.再生可能エネ ルギと親和性の高い電力をエネルギ源とすること,道路運 送車両としてナンバーを交付された車両であることも踏ま え,本実証での使用車両は P.C.D.とすることとした. 2.2. エネルギ源の選定 今日の日常生活において,最も身近な再生可能エネルギ 源は太陽光である.家庭用の太陽光発電システムは既に普 及段階にあり,一般家庭の屋根に太陽電池が装備されてい る風景は今や珍しいものではなくなった.そうした意味で, 太陽光発電は専門家でない人でも必要となる再生可能エネ ルギの量的イメージが捉えやすいといえる.また,太陽光 - 2 -
  • 3. 発電は機械的な可動部分がなく取り扱いが容易なこと,発 電能力の設定が太陽電池パネルの使用枚数の変更で比較的 容易に行えること,一般家庭への導入がイメージしやすい 等の観点から,本システムのエネルギ源は太陽電池で構成 する太陽光発電システムとした. 2.3. 試験方法 本実証実験は,第三者認定の公式記録が残る方法がよい と考えた.本実証はエネルギ源に太陽光発電を用いること としたため,公式記録を残すにはソーラーカーの競技会へ 参加することが現状の最適解と判断した. わが国で開催されているソーラーカーの競技会として 代表的なものに,三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで毎年開 催される「ソーラーカーレース鈴鹿」と,秋田県大潟村の ソーラースポーツラインで毎年開催される「World Green Challenge」(以下 W.G.C.)がある. 図4 ソーラースポーツライン コース図 10) 3. 実証システムの構成 3.1. レース用ソーラーカーと本システムの違いソーラーカーレース鈴鹿は,競技時間が5時間と短いう え,車両規定がレース用ソーラーカーを対象としたものの みであり,後述するような本実証で試みるシステム(車両 と太陽光発電装置が別体)は対象としておらず,出走が許 されたとしても参考出走扱いとなり公式記録が残らない恐 れがある.また,5時間という競技時間は太陽光発電の性 質上発電量が限られてしまうため,システムの有効性を検 証するには不適であった. 太陽光からエネルギを得て走行する車両としてソーラ ーカーが知られている.単にソーラーカーと聞いて想起さ れるのはレース用のソーラーカーであり,これらは国際ソ ーラーカー連盟が定める車両規則に準拠するよう車両が製 作されている. 一方,W.G.C.は3日間にわたって競技が行われ,走行時 間は3日間の日中のべ24時間である.2011 年より車両カ テゴリが追加され,レース用ソーラーカー以外の実験車両 の出走が認められるようになった. 公式記録が残ること,システム検証に十分な競技時間が 確保できることから,実証実験は W.G.C.への参加により行 うこととした.本実証は,W.G.C.競技中に必要となる車両 への充電電力のすべてを,新規製作の太陽光発電式充電シ ステムで供給し,車両が走行した距離をもってその有用性 を検証することとした. 写真2 レース用ソーラーカーの例 (太陽光発電装置が車載されている) この規則上,レース用ソーラーカーでは太陽電池を車両 に搭載することが求められる.走行に利用できるエネルギ を最大化するには,車両規則で定められた寸法ぎりぎりま で車体を大型化し,可能な限り太陽電池を搭載することが 有効なため,乗車定員(1~2名)に対し車両が大型乗用 車並みに大型化する傾向にある.レース用として走行性能 を最大化するには有効なアプローチではあるものの,わが 国ではこのような大きな車両を道路運送車両として届け出 るのは,関連の法規要件を考えると極めて困難であり,レ ース用ソーラーカーをそのまま実用に供することは現実的図3 2012 W.G.C.開催概要 10) - 3 -
  • 4. ではない. しかしながら,今回の実証実験では走行時間が24時間と 限られており,これには充電時間も含まれるため,限られ た時間内で走行距離を最大化するためには車両への充電に 代わるエネルギ供給手段を考える必要がある. 本実証の目的は,再生可能エネルギを使用して,走行に 必要なエネルギを自給可能な「実用的な」モビリティシス テムの実証であり,現在の国内法規で道路運送車両となる 車両にするため,本実証システムでは車両大型化の要因と なる太陽光発電システムは車載せず,車両とは別に定置型 の太陽光発電システムとして設置することとした. P.C.D.は,設計時の基本コンセプトとして,エネルギ効 率を高めることで搭載電池量を減らし,車両軽量化と製作 コスト低減を実現することを掲げていた. 軽量化軽量化 +低空気抵抗化+低空気抵抗化 搭載バッテリ量搭載バッテリ量 削減削減 走行エネルギ走行エネルギ 減少減少 軽量化軽量化 +低空気抵抗化+低空気抵抗化 搭載バッテリ量搭載バッテリ量 削減削減 走行エネルギ走行エネルギ 減少減少 ・大人1名の移動に必要な機能を絞込む ・Curb Weight徹底削減 ・空力最優先デザイン 高効率な動力システムとの 組合せでモビリティ中 最高のエネルギ効率 を実現 最も高価かつ重量増の 要因であるバッテリの 極小化 “バイクでもない、クルマでもない” EVの特長である高エネルギ効率を生かしたコミュータビークルの実現 図5 P.C.D.の設計コンセプト写真3 本実証における太陽光発電システムと車両 (太陽光発電装置は定置型とした) 2010 年の試作時点では走行用電池に比較的廉価で,重量 48kgの鉛蓄電池を採用した.更に電池重量を軽量化でき れば,人の手による電池交換が容易となる水準となる. したがって,太陽光発電システムを車両に搭載せず,定置 型として車両外部に設置する点が,競技用ソーラーカーと 本システムの大きな違いである. このため,走行用電池を鉛蓄電池から軽量なリチウムイ オン電池に変更した.リチウムイオン電池への変更により, 走行用電池の重量は 15.8kg と従来の約 1/3 に軽量化し,車 載する電池パックを2分割構造として人手による電池交換 が可能な重量とした.また,電池交換が容易となるように 車両各部を改修した.この結果,電池交換に要する時間を 従来の約30分から2分あまりに短縮した. 3.2. 車両の構成 P.C.D.は,実用的で高いエネルギ効率の移動手段とする ため,道路運送車両法で第1種原動機付自転車に分類され る車室付きの3輪車として製作した.第1種原動機付自転 車は全長を 2.5m 以内とする必要があるが,P.C.D.は既に 全長が 2.5m にほぼ達しており,車両には太陽電池を搭載 していない.したがって,車両は全くの電気自動車の構成 となっている. 一般に電気自動車は,車両外部の電源から充電すること でエネルギの供給を受ける.しかしながら,電気自動車の エネルギストレージである電池は電気化学反応によって機 能する装置であり,その充電時間は電気化学反応に要する 時間の制約を受けるため,ガソリンの給油作業に比して充 電時間は長くなることが避けられない. 走行用 電池 (交換式) モータ コントローラ 駆動 モータ DC‐DC コンバータ ライトなど 12V電装品 写真4 本実証用に用意したリチウムイオン電池パック 9) (写真は1台分で 1.3kWh,交換用に計3セットを用意) 図4 P.C.D.のシステム構成 さらに,走行用の電池を3セット用意し,走行によって 消耗した電池を定置型太陽光充電器でオフボード充電でき - 4 -
  • 5. る構成として,計 3.9kWh 分を用意した.電池が消耗した らピットインして消耗した電池と充電済みの電池を交換し, 車両が走行している間は消耗した電池をピットに設置した 太陽光発電式充電器で充電するという運用とした.これに より,競技時間中に走行時間を最大化すること,および太 陽光発電装置の稼働率を最大化することを両立できる構成 となる.表1に改修した P.C.D.の諸元を示す.なお,用意 した走行用電池の総容量は市販の普通自動車タイプ電気自 動車の 1/6 以下である. 太陽電池パネル (シリコン単結晶・557Wmax) 充電装置 (MPPT+直流電力計) 走行用電池 (車外で充電) 表1 W.G.C.参戦時の P.C.D.仕様 項目 仕様 備考 車体寸法 L×W×H =2490×720×1100 [mm] サイドミラー除く 車両重量 104kg バッテリ込み/乗員除く Cd・A 0.1以下 ボディ GFRP製ゲルコート仕上げ シャシ Cr-Mo鋼管製バックボーンフレーム ブレーキ Fr:ワイヤ駆動機械式ディスク Rr:カンチ式Vブレーキ+KERS サスペンション Fr:マクファーソンストラット Rr:トレーリングアーム ステアリング アンダーシート/サイドスティック式 タイヤサイズ Fr:16×1.5 Rr:20×1.75 バッテリ種類 リン酸鉄リチウムイオン電池 原動機 電動自転車用ハブ内蔵型DCブラシレス 原動機定格出力 500W バッテリ容量 1.3kWh 実容量 最高速度 80km/h 航続距離 125km 充電方式 電池交換式 市販品 競技での実測値 図6 太陽光発電式充電器のシステム構成 MPPTは,時々刻々変化する日射量や太陽電池温度に より変化する最適動作点を追尾し,その条件下で得られる 発電量を最大化する装置である.また,発電量の絶対値は 天候に大きく左右されるため,得られる電力量を事前に高 い精度で予測することは困難で,競技中は実際の発電量を みながら車両の運行計画を臨機応変に見直す必要がある. このため,太陽電池出力の監視,および電池充電の進行状 況の常時監視を目的に,積算電力測定機能を備えた直流電 力計を装備した.これにより,競技期間中の天候に応じた 運行計画が現場で検討できる構成とした. 3.3. 太陽光発電式充電器の構成 2.3.項で述べたとおり,実証実験のフィールドとして W.G.C.を選んだ.このため,筆者らの活動拠点から W.G.C. 開催会場まで実証システムを運搬する必要がある.このた め,太陽光発電式充電器は,小型トラック等で運搬可能な サイズとすることが求められた.この理由から,太陽電池 パネル寸法は 3000×1500[mm]とした.太陽電池には単結 晶シリコンタイプを用い,最大出力は 557W とした. 3.4. レース前の性能予測 本実証にあたっては,日立環境財団・平成24年度環境 NPO助成申請時に提案システムの性能予測を行い, W.G.C.に参戦した場合,太陽光発電だけでどれだけの距離 を走行可能か予測した.太陽電池の出力は,太陽電池に入射する光量および太陽 電池の温度により,出力が最大となる動作点が変化する. 太陽電池で利用可能な電力を最大化するには,太陽電池の 動作点を常に最適化することが重要である.本システムの ように,太陽電池パネルの寸法に制約があって最大発電能 力が制限される場合,太陽電池動作点の最適化は必須であ る . こ の た め , 本 シ ス テ ム で は 太 陽 電 池 に M P P T (Maximum Power Point Tracker:最大出力点追尾装置) を装備して,発電量の最大化を図った. 走行可能な距離は,競技時間中に太陽電池パネルから得 られる電力量と,車両の走行に要する消費電力から計算で きる.申請時の性能予測は,次の条件によった. (予測条件) ・ 最大発電電力:480W ・ 設備稼働率:10% ・ 車両の速度-消費電力特性:図7のとおり ・ 競技時間:24時間 - 5 -
  • 6. 0 100 200 300 400 500 0 10 20 30 40 50 60 走行速度[km/h] 消費電力[W] 図7 P.C.D.の消費電力特性(定常走行時) 上記条件では,3日間の日中・のべ24時間で 3,456Wh の発電電力が得られる計算結果となった.これをすべて車 両の走行に充てることとして,競技時間である 24 時間で 走行可能な距離を求めた結果を図8に示す. 0 100 200 300 400 500 600 700 0 10 20 30 40 50 60 平均速度[km/h] 走行距離予測値[km] 図8 W.G.C.走行距離予測結果 消費電力は,空気抵抗の増加により車両速度のおよそ3 乗に比例して増加するため,走行時間と利用可能な電力量 に制約があると,走行速度と走行可能距離の関係に極大値 が現れる.図8にもその傾向が現れており,提案システム で W.G.C に参戦した場合,太陽光発電だけで最大 594km の走行が可能であるとの予測を得た.当初は 480W の太陽 電池パネルで性能予測を行ったが,更なる成績向上を目指 し,最終的に太陽電池パネル出力は 557W とした. 4. 結 果 4.1. レース結果 W.G.C.のソーラーカー競技には国内から計18台が参 加し,2012 年7月29日から31日の3日間にわたって競 技が行われた.初日は14時スタートで競技時間は5時間, 2日目は8時スタートで競技時間は11時間,最終日は8 時スタートで競技時間8時間,計24時間でのコース周回 数を争った.表2に本実証システムの車両(P.C.D.:Car No. #301)を含む上位5チームの周回数と所要時間を示す. 表2 2012W.G.C.上位5チーム周回数と所要時間 10) #301 #301 #22 #3 #21 #211 Position 1 0:37:32 0:37:13 0:39:56 0:35:00 0:36:24 5 2 1:16:04 1:23:30 1:20:24 1:16:49 1:13:25 3 3 1:59:11 1:56:41 2:01:30 1:58:40 1:50:57 5 4 2:34:59 2:36:05 2:43:10 2:46:33 2:32:57 3 5 3:10:13 3:18:42 3:27:54 3:27:57 3:36:53 2 6 3:55:50 3:56:11 3:56:27 4:12:45 4:29:24 2 7 4:32:25 4:36:58 4:38:31 4:52:35 5:04:54 1 8 5:03:13 5:18:20 5:12:12 5:31:38 5:41:11 1 9 5:36:33 5:53:58 5:46:35 6:10:36 6:18:08 1 10 6:10:31 6:29:06 6:21:17 7:09:58 6:54:08 1 11 7:10:29 7:03:27 6:55:45 7:42:41 7:45:11 3 12 7:49:08 7:42:27 7:29:41 8:14:31 8:17:17 4 13 8:23:58 8:18:30 8:06:47 8:46:33 8:47:12 4 14 9:00:39 8:57:27 8:39:16 9:19:46 9:17:39 4 15 9:35:46 9:36:13 9:13:39 9:52:48 9:46:55 3 16 10:15:44 10:18:32 9:47:03 10:27:11 10:22:28 3 17 10:46:45 10:55:31 10:20:25 10:58:18 11:00:58 2 18 11:17:48 11:30:37 10:59:54 11:29:24 11:32:02 2 19 11:49:04 12:08:08 11:33:06 12:02:41 12:03:16 2 20 12:20:56 12:45:06 12:06:25 12:35:23 12:33:33 2 21 12:59:42 13:31:09 12:41:50 13:08:42 13:08:44 2 22 13:32:30 14:23:06 13:15:20 13:41:02 13:52:18 2 23 14:06:51 14:53:49 13:52:36 14:12:13 14:24:50 2 24 14:44:35 15:27:48 14:33:46 14:45:56 15:02:17 2 25 15:11:53 16:02:07 15:10:28 15:14:39 15:31:16 2 26 15:43:01 16:35:41 15:47:54 15:44:28 16:01:15 1 27 16:13:00 17:14:11 16:24:31 16:16:32 16:30:59 1 28 16:43:35 17:49:44 17:01:40 16:47:35 17:01:47 1 29 17:24:46 18:24:16 17:39:46 17:26:11 17:33:55 1 30 17:57:10 19:00:04 18:15:43 18:02:34 18:15:36 1 31 18:28:09 19:38:05 18:52:10 18:36:16 18:44:13 1 32 18:58:23 20:11:08 19:28:08 19:10:05 19:13:09 1 33 19:34:44 20:44:24 20:04:56 19:48:07 19:41:46 1 34 20:03:41 21:19:27 20:40:54 20:20:48 20:21:48 1 35 20:32:35 22:02:06 21:16:18 20:53:48 20:53:51 1 36 21:52:29 21:27:42 21:27:42 4 37 22:03:35 22:00:32 4 1日目 2日目 3日目 走行分 走行分 走行分 Car No.(上位5チーム) Lap 凡例 競技の行われた3日間はいずれも晴天で,ソーラーカー の競技会としては理想的な天候に恵まれた. P.C.D.は序盤から上位グループを形成する1台として走 行し,レース用ソーラーカーと互角の性能を発揮した. 写真5 競技走行中の P.C.D. 9) - 6 -
  • 7. 初日は計7周・175km を4時間32分で走行し総合首位, この日の平均速度は 38.9km/h であった.また,この走行 で行ったバッテリ交換は1回であった. このため,競技期間中に得た太陽光発電による電力量, 車両の走行に要した電力量および走行距離から,太陽光発 電による走行距離を算出した. 2日目も初日と同様に軽快な走りをみせ,通算10周回 終了時まで首位で走行したが,10周回終了時点で30分 のメディア・ストップ(観客に車両を展示・説明する)を 命ぜられ,来場の観客に本実証の目的やシステムを披露す ることができたが,このため順位を総合4位まで下げる結 果となった.なお,メディア・ストップは今大会からレー ス用ソーラーカー以外の車両に義務付けられた規則であり, メディア・ストップ中の時間も競技時間に算入される. 3日間の競技期間中に,太陽光発電から供給した走行用 電池の充電電力量は,5,375Wh で,太陽光発電設備の稼働 時間はのべ 23.4 時間であった.また,3日間の走行に要し た電力量は 8,610Wh であった.3日間の実走行距離を 875km とすれば,競技中の平均電力消費率は [km] [Wh] [Wh/km] 走行距離 走行に要した電力 平均電力消費率 = …① 2日目の走行時間は10時間12分,走行距離は 425km, 1日の平均速度は 42.7km/h で,この日の競技終了時の順 位は総合2位であった.また,2日目の走行では4回の電 池交換を行った. であらわされ,競技中の平均電力消費率は, [Wh/km]9.84 [km]758 [Wh],6108 = =         平均電力消費率 …② 最終日もペースを落とすことなく走行し,最終日スター トから1時間弱で総合首位に浮上,通算35周回終了時に は2位以下に20分強の差をつけた走りをみせた.しかし, 36周回目走行中,競技時間残り1時間の時点で駆動輪の バーストが発生,残り時間での修理ができずそのまま競技 を終了した.このため,走行できなかった約1時間で総合 4位まで順位を落とす結果となった.なお最終日の走行距 離は 275km で,1日の平均速度は 48.0km/h であった.ま た,最終日のバッテリ交換回数は5回であった. となる.②で得られた平均電力消費率から,太陽光発電に よる走行距離は, [km]546 [Wh/km]9.84 [Wh]5,375 [Wh/km] [Wh] [km] = = =                                平均電力消費率 太陽光発電量   距離太陽光発電による走行 3日間通算の走行時間は20時間32分,走行距離は 875km,3日間通算の平均走行速度は 43.4km/h で総合4 位,グリーン・フリートクラス優勝の成績を得た.また, モビリティの将来像を示したことが評価され,特別賞であ る未来賞を受賞した. と求められ,今回の競技会で走行した距離の 62%・546km は太陽光から得たエネルギで走行したことになる. なお,最終日にコース途中で競技を終了したことから, 公式記録は競技規則により実際の周回数より1周回減算さ れるため,公式の認定記録は34周・850km となった.な お,1周回減算による総合順位の影響はなかった. 太陽光発電による 走行距離 546km ( 62%) 商用電源による 走行距離 329km ( 38%) 総走行距離 875km 図9 走行距離とエネルギ源の割合 4.2. 走行に要したエネルギの分析 一般のレース用ソーラーカーは,太陽光発電装置の出力 平準化を目的に走行用電池を車載している.ソーラーカー の競技会において走行距離を最大化するには,太陽光発電 装置から得られる電力に加え,走行用電池の電力を併用し, 車両推進用の電動機に供給する電力を最大化することが有 効である. 本システムは,太陽光発電装置を車載しない点が一般の レース用ソーラーカーと異なるが,競技における車両運用 の考え方はレース用ソーラーカーと同様であり,太陽光発 電装置から得られた電力に加え,用意した走行用電池に予 め蓄えられた電力を併用している.走行用電池は競技開始 前までに商用電力で満充電しておく点もレース用ソーラー カーと同様である. 以上の結果より,今回の条件では,太陽光発電による1 日あたりの走行距離は 182km であったといえ,日常の近 距離移動であれば,本システムは太陽光発電によるエネル ギ自給が可能なレベルにあるといえる. - 7 -
  • 8. 5. 考 察 5.1. 助成申請時予測と結果の差異について 3.4 項の予測は太陽光発電による走行分を予測しており, 3,456Wh の発電で 594km が走行可能とした.これに対し, 今回の実証では太陽光発電の発電量 5,375Wh で 546km の 走行距離となり,予測より多く発電量を確保できたにもか かわらず,太陽光発電による走行距離が予測より少ない結 果となった. 3.4 項で示した走行距離予測は,太陽光発電により得ら れるであろう総電力量だけで走行可能な距離を予測してお り,走行用電池の電力使用を考慮しなかった.実際の運用 では,太陽光発電で得られる電力に加え,走行用電池の電 力を同時に使用したため,全体として利用可能な電力量が 増加した.このため,より高い速度での走行が可能となり, 予測より多くの発電量が得られたことも影響して,当初予 測の平均走行速度 23.4km/h に対し実際の平均走行速度が 43.4km/h と,予測に対し 1.8 倍の高車速となった.これに より,車両の平均消費電力は予測に対し 2.5 倍あまりとな り電力消費率は悪化した.このため,太陽光発電による発 電電力が予測より増えたにもかかわらず,太陽光発電分の 走行距離は当初予測より減少する結果となった. 5.2. 本システムを一般公道で使用した際の性能予測 4.2 項で示したとおり,太陽光発電装置の稼働時間は 23.4 時間で,総発電量は 5,375Wh であった.本システム の発電能力は 557W であるので,3日間の本太陽光発電装 置の設備稼働率は 13.4%と算出される.国内の太陽光発電 設備の設備稼働率の平均値は 12%7)とされており,本実証 では平均より 11.6%稼働率が高い結果となった.これは, 3日間を通して晴天に恵まれたこと,季節的に日照時間が 長かったことに起因する. 本システムを日本国内において通年で運用した際に太陽 光発電で期待できる電力量は,設備稼働率を 12%とすれば, 1日あたりの平均値は 1.6kWh となる.ここで,P.C.D.の 市街地実用走行時の電力消費率は 17.8Wh/km5)6)であるの で,1.6kWh の電力では 90km の市街地走行が可能で,か つ P.C.D.を満充電とするのに十分な電力量である.自家用 乗用車1日あたり平均走行距離は 29km 程度 8)であること も考えれば,日常の通勤や買い物で移動するには十分な移 動距離が,軽自動車が駐車可能な場所があれば設置可能な 小規模太陽光発電設備で自給可能となる. また,本システムでは走行用電池が交換可能であり,走 行用電池は人手による交換が可能な水準に小型・軽量化し ている.走行用電池を2セット用意して,一方の電池は太 陽光発電装置の設置場所で充電,もう一方は車両に搭載し て使用するようにしておけば,昼夜を問わず車両の使用が 連日可能で,商用電源による補助は原則必要とならない. このため,災害等により電力供給が途絶しても運用可能で あり,災害発生時の移動手段としての機能が期待できる. 5.3. 市販電気自動車で必要となる太陽光発電設備試算 筆者は,市販の普通乗用車タイプの電気自動車を2週間 借用する機会を得たので,2週間にわたって通勤等に使用 した.このとき,エアコンを使用しないときの2週間通算 の平均電費は 145Wh/km であった.この値から1日 90km の移動を太陽光発電で賄おうとしたとき,設備稼働率を 12%とすれば 4.5kW 出力の太陽光発電設備が必要となる. これは,一般的な住宅用太陽光発電システムを超える規模 であり,都市部の比較的小さな一戸建てでは設置が不可能 である.また,走行用電池は交換不可能であるから,日中 に車両を使用した場合,翌日の日中は充電のため車両を使 用することができない.このため,商用電源の力を借りな ければ日中の連日使用は困難である.現在市販の普通乗用 車タイプの電気自動車では,個人が所有しうる設備規模で エネルギ的に自立したシステムの実現は困難である.しか し,エネルギ的に自立した電気自動車システムを考えるの であれば,本実証システム並みの小型・軽量車両が求めら れる. 6. まとめ 本活動により下記事項を実証した. (1) 走行抵抗の低減に留意した電動超小型モビリティの 電源に出力 557Wの小規模太陽光発電設備を採用し, 3日間・のべ24時間で 875kmを走行した. (2) 上記結果より,一般家庭に設置可能な小規模太陽光発 電設備によるエネルギ自立型の移動手段が実現可能 なことを示した. (3) 今回示したシステムは,移動手段用エネルギの自給率 向上に資するだけでなく,災害等で電力供給が長期に 遮断された場合にも有効な移動手段となりうる. 謝 辞 本実証は,日立環境財団の第11回(平成24年度)環 境NPO助成を得て実施致しました. 本活動にあたり,活動資金を助成下さった(財)日立環境 財団,実証実験の場を設けてくださったクリーン・エナジ ー・アライアンスをはじめ,御協力・ご支援を頂きました 内外の関係者の方々に紙面を借りて厚く御礼申し上げます. - 8 -
  • 9. 参考・引用文献 1) 畑陽一郎:自動車 4 社と東京電力が電気自動車向け充 電設備の標準化団体を設立,2010 年 3 月 15 日, EE Times Japan, http://eetimes.jp/ee/articles/1003/15/news076.html 2) 島村・堤・谷田部・橋本:低炭素交通社会の実現に向 けて,三菱自動車テクニカルレビュー 2009 No.21, 三菱自動車工業株式会社, http://www.mitsubishi-motors.com/jp/spirit/technolo gy/technical_review/pdf/technical_review_2009.pdf 3) 電気事業連合会:電源別発電電力量構成比, 2013 年 5 月 17 日, http://www.fepc.or.jp/about_us/pr/sonota/__icsFiles/ afieldfile/2013/05/17/kouseihi_2012.pdf 4) 時事ドットコム:【図解・経済】貿易収支の推移(最新), 2013 年 4 月 18 日,時事通信社, http://www.jiji.com/jc/v?p=ve_eco_trade-balance 5) 宮村智也:鉄道より「エコ」な次世代パーソナルモビ リティの実証,第 2 回「環境NPO助成」受領団体活動 報告会予稿集 PP26-27,2010 年 10 月 20 日,日立環 境財団, http://www.hitachi-zaidan.org/kankyo/docdata/topic s52_13.pdf 6) 宮村智也:鉄道より低炭素なパーソナルモビリティの 実証,第 6 回日本LCA学会研究発表会予稿集 PP46-47, 2011 年 2 月 14 日,日本LCA学会, https://www.jstage.jst.go.jp/article/ilcaj/2010/0/2010 _0_25/_article/-char/ja/ 7) 村上敬亮:再生可能エネルギーを巡る現状と課題,第 21 回日本エネルギー学会大会招待講演,2012 年 8 月, 日本エネルギー学会, http://www.jie.or.jp/2012/taikai/21taikai_syoutaikou en_meti.pdf 8) 国土交通省:自家用自動車の使用実態, http://www.mlit.go.jp/jidosha/iinkai/seibi/5th/5-2.pd f 9) 日立環境財団Facebookページ,日立環境財団 https://www.facebook.com/hitachi.kankyo 10) ワールド・グリーン・チャレンジ組織委員会:ワール ド・グリーン・チャレンジ 2012 大会リポート,クリ ーン・エナジー・アライアンス, http://www2.ogata.or.jp/wgc/2012wgc/car/index.htm - 9 -