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体験学習中心
の自由学校
「きのくに子
どもの村学
園」とは
出典:『きのくに子どもの村の教育―体験学習中心の自由学校の20年』堀 真一郎、2013/7/1
アジェンダ
● 自由学校とは?
○ 参考書籍
○ 参考映像
○ 自由教育とは
○ ニイルの自由な学校
● きのくに子どもの村学園とは?
○ 従来の常識を逆転させた3つの原則
○ (参考)系譜
○ (参考)コミュニケーション手法
● 取り巻く環境
○ 保護者との関係
○ 後戻りを始めた日本の学校
自由学校とは
何か
主な出典:『きのくに子どもの村
の教育―体験学習中心の自由学校
の20年』堀 真一郎、20137/1
堀慎一郎(学園長、元
大阪市立大学教授)の
著書・訳書
「未来の学校」より
https://berd.benesse.jp/feature/future/topics_2/activity01/
他多数
動画 「未来の学校」https://youtu.be/JkhLFBA3A88
とてもわかりやすい映像で短くまとまっています!
(参考)きのくに子どもの村学園の現在
南アルプス子どもの村
小中学校2009~
かつやま子どもの村
小中学校2009~
きのくに子どもの村小中学校
1992~
きのくに国際高等専修学校
1998~
北九州子どもの村小
中学校2009~
長崎東そのぎ子どもの村
小中学校2019~
キルクハニティ子どもの村
スクール(スコットラン
ド)2009~
1984年に新しい学校を作る会が発足し、1992年に開校。全国5箇所。小中高。25
年以上の歴史。
“まずは子どもを
幸福にしよう。
すべてはそのあ
とにつづく。”
A.S.ニイル
世界で最も自由な学校サマーヒ
ルスクールを創設した教育家
”子どもたちの心の奥深くにある不
安や自己否定感が問題行動の原因
を見抜いたのがニイル。自然な生
きる力が、親や社会からの不適切
で厳しいしつけと葛藤。
管理教育や古い権威主義の道徳か
らの解放。自由であたたたかい共
同生活の場がサマーヒル。”
余談:なぜ幸福が
重要なのか?
幸福度は総合指標(幸福学×経営学)
幸福だと!?
ポジティブ心理学 セリグマン博士
脳神経科学 安全安心と学習
もっともよい教
師は、子どもと
共に笑う。
もっともよくな
い教師は、子ど
もを笑う。
A.S.ニイル
”子どもの村は、ニイルの考え方を
中心に、デューイの体験学習の理
論を統合した学校。
子どもたちはすこぶる元気で活動
的で幸福。
教師たち大人も子どもたちととも
に生きる喜びを満喫。子どもと同
様に教師も幸福。”
余談:なぜこの関
係性が重要なの
か?
ダニエル・キム「成功循環モデル」
きのくに子どもの
村に、ないものと
は?
● 学年がない。縦割りクラス
● 普通の教科がない。プロジェ
クトという体験学習が大半
● 宿題がない。チャイムがない。
試験がない。普通の通知簿も
ない。
● 「先生」といわれる大人がい
ない。大人は基本「さん付
け」やニックネーム
● 大人に給料の差がない。年齢
職種問わず常勤職員の基本給
は同じ
きのくに子どもの村にないもの10
1. 学年がない。縦割りクラス
2. 普通の教科がない。プロジェクトという体験学習が大半
3. 宿題がない。チャイムがない。試験がない。普通の通知簿もない。
4. 「先生」といわれる大人がいない。大人は基本「さん付け」やニックネーム
5. 大人に給料の差がない。年齢職種問わず常勤職員の基本給は同じ
6. 廊下がない。オープンプラン方式を取り入れた校舎
7. 学校と地域社会との壁がない。
8. 堅苦しい儀式がない。入学式でなくて入学を祝う会
9. 校長室がない
10.お金もない!?
反対に、きのくに
子どもの村にある
ものは?
● 学年がない。縦割りクラス
● 普通の教科がない。プロジェ
クトという体験学習が大半
● 宿題がない。チャイムがない。
試験がない。普通の通知簿も
ない。
● 「先生」といわれる大人がい
ない。大人は基本「さん付
け」やニックネーム
● 大人に給料の差がない。年齢
職種問わず常勤職員の基本給
は同じ
あるもの
楽しいことがいっぱいあります
楽しくなければ学校ではない
幸福な子どもは成長する
そして、成長している子どもは幸
福である。
笑顔と歓声は、子どもの成長のし
るし
このように信じる教師と親が中心
となってつくった学校
自由教育とは?
自由教育とは
● 古代ギリシャ:
○ 理性と徳性を備えた「自由人」を育てる教養教育
● レッセフェールの教育:
○ 国家による教育支配を批判し、個人の自由や私的な教育を擁護する理論(ジョン・ロック、
ジョン・スチュアート・ミルの教育論)
● 自由主義教育:
○ 自由な個人の育成を目的にし、子どもの側の自由に重きを置く。権威主義や高圧的な指導を
いましめ、子どもの自発性や興味を尊重し、個性やレディネスに即した学習を強調する。教
育内容においては、古典的文芸や知識体系の習得より創造的活動や知的探求を重視する。児
童中心主義もこの範疇の一つ
自由学校における自由教育とは、自由主義教育をさす
ニイルの自由な学
校とは?どんな自
由?なぜ自由を?
ニイルの自由な
学校
”子どもに「自分自身の生き方をす
る自由」を徹底して認める
授業への出席さえ子どもの意思に
任せられる
権威主義が否定され、大人と子ど
もはファーストネームで呼び合う
学校は一つの民主的な共同社会と
考えられ、子どももその担い手へ
と育つように期待されている
全校集会では大人と子どもが対等
の一票を行使して採決する”
全校集会では大人と子どもが
対等の一票を行使して採決す
る
余談:するとどん
なことが起こるの
か?
どんなことが起こるのか?
民主的な学校運営のオルタナティブ教育事例
なぜ自己決定を大
切にするのか?
ニイルが自己決
定を大事にする
理由
”ニイルが自己決定を大事にするの
は、ただたんに大人や社会による
拘束から子どもを解放しようとす
るからではない。
むしろ既存の権威にすがらないで
自分自身で考える態度と能力を伸
ばして欲しいと願うからだ。”
自己決定は幸福度の重要因子
所得や学歴より「自己決定」が幸福度を上げる 2万人を調査(神戸大学)
http://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2018_08_30_01.html?fbclid=IwAR02hhc-qPO0QpM7nzO_RouwRLsFynio3NIGdezXU2kyPsoqf5zEl08Aazs
幸福の4因子
「幸福学×経営学」(慶應義塾大学SDM研究科教授 前野隆司 、2018)より
自由学校の教育目
標とは?
教育方法とは?
自由学校の
教育目標と
教育方法
目標:自分の価値観、生き方を
築く
方法:自己決定で実験的に進め
る
教育目標:子どもが既成の価値観
に拘束されずに、自分自身の生き
方やものの見方をきずくのを援助
する学校
教育方法:大人による直接的な統
制をできるだけ減らし、子ども自
身の決定や選択や実験を何より大
切にする学校
余談:実験的に進
めることの事例
アジャイル
この視点でのオルタナティブ教育事例
ニイルの取り組
み
教育本来の目的は、自由な子ど
もへの成長を支援すること。
臨床心理学的対応はそのための
一つの方法にすぎない。
”精神分析の理論を基礎にして問題
児の治療にあたった教育家という
のはとても一面的な見方
なぜなら、フロイトを知るより以
前から、公立小学校で、自由な子
どもへの成長と、そのための自己
決定を原則とする教育に取り組む
精神分析の知識と技法による子ど
もの心理的解放はそれ自体が究極
の目的ではない”
自由教育の目指
すもの
子どもの自己決定。そのため、
子どもが自発的に行動学習する
ための環境や条件を用意する
”自由な子どもという理想。だから
子どもに自己決定を。
サマーヒルは、子どもが自分のこ
とを大人に決めてもらうのを許さ
ない。教師は、子どもが自発的に
行動し学習するための環境や条件
を用意する
これは強制によって子どもを指導
するより、はるかにむずかしい仕
事。子どもの自由が多ければ、教
師の側には周到な準備が要求され
るからだ”
伝統的な教育と自
由教育の目的はど
う違う?
自由教育の目指
すもの
子ども自らが価値観や世界観を
創造する。
価値や世界観を伝えるのではな
く、創造するのを援助する。
伝統的な教育:特定の価値観や世
界観の「伝達」を目的にする
自由主義教育:子ども自らが価値
観や世界観を創造するのを援助す
る
そして、自由主義教育家は社会へ
の関心が高い。(モットーに酔い
しれ、現実離れしたおしゃべりに
興じることではない。妥協せず長
期に渡り実践を重ね、有効性を検
証すること)
まとめると
自由学校とは
(ほぼ再掲)
子どもが既成の価値観に拘束され
ずに、自分自身の生き方やものの
見方をきずくのを援助しようとす
る学校
教育方法:大人による直接的な統
制をできるだけ減らし、子ども自
身の自己決定や選択や実験を何よ
り大切にする学校
余談:企業の組織
運営での事例
ザッポスでは?
ザッポスのデリバリングハピネスの鍵は?
パーパスマネジメントの鍵は?
では、子どもをし
たい放題をさせて
放任すれば自由な
子どもが育つの
か?
それを考えるため、
まず不自由な子ど
もとは?
心理面、知性面、
人間関係において
不自由な子どもと
は?個性尊重され
ない、自己受容で
きない、自己嫌悪、
自己憎悪がある子
どもは?
不自由な子ども
(心理面)
”感情面、無意識の領域に不安、緊
張、罪の意識、自己憎悪などを秘
めた子ども。自分自身の生き方を
する喜びを感じにくい
自己肯定感が弱く、常に外部から
の評価を気にして生きている”
不自由な子ども
(知性面)
”自分自身で知識をつくるのではな
く、既成の知識の暗記
暗記中心の教育では、創造的に考
える態度や力は育ちにくい”
不自由な子ども
(人間関係)
”既成の行動様式を当然のこととし
て押し付けられている
人間関係の知恵、道徳でさえ、教
科書で一斉授業。結果、実際的な
生活や具体的な活動の中で、お互
いの欲求をぶつけて調整し合い、
そこから自分たち自身の知恵をつ
くり出す機会がほとんどない
実感や体験のない徳目では、実際
的な社会性は育ちにくい。今はさ
らに受験戦争という孤独な競争”
余談:キャリアコ
ンサルティング
(カウンセリン
グ)がなぜ国家資
格化され重要にな
ったのか?
キャリア自律
キャリアコンピタンシー
ライフワークインテグレーシ
ョン
まとめると
不自由な子ども
とは
”内面に不安や自己憎悪を抱えた自
己肯定感の低い子ども
知識の量は多くても自分で考えら
れない子ども
大人から道徳を押し付けられ、思
いやりや実際的な共に生きるため
の知恵の乏しい子ども”
一方、自由な子ど
もとは?
感情、知性、人間
関係において
一方、
自由な子どもと
は
”自由な子どもとは、
感情的に解放され、
自分で考える態度を持ち、
共同生活の中で民主的な行動の術
を学ぶ子ども”
自由な学校とは
感情的にも
知的にも
人間関係でも
自由な子どもを目指す学校
きのくに子ど
もの村学園と
は
1992年開校。ニイル研究会、
1984年、新しい学校を作る会
きのくには、学校
づくりで、学校に
関する常識を見直
した
従来の
学校の常識3つ
● 大人がすべてを決める教師中
心主義
● 個人差や一人ひとりの興味な
どをほとんど無視する画一主
義
● 知識や徳目の伝達を中心とす
る書物中心主義
学校づくりで見直した10の常識
1. 教育とは学校に行くこと(schooling)である
○ 今あるままの学校でよいのか?
2. 先生は教え、児童は教わる
○ 「なぜそうしなければならないのか?」と問うと非常識な子どもと見られてしまう。子ども
なりに知識や技術を創造したり、ものの見方を築いたりする能力は、無視されている。非効
率で時間の無駄だと思われている
3. 学習とは教科書の中身を習得すること。国語/算数/理科/社会/英語が主要教科
○ 教科書の中身の記憶量が子どもの能力を判定する最善、唯一の尺度となっている
○ 教育の中身が多様化され、結果として評価の尺度も多様化されれば偏差値教育はなくなる
4. 子どもは年齢によってグルーピング
○ 誕生からの時間の長さが、子どもの発達や能力を測るための最善の尺度という間違った仮設
に準拠
1. すべての子どもに同じことを教えるのが民主教育
○ すべての子どもに高い学力をというスローガンは、子どもはすべて同じ存在という前提にな
りたっている。現実は違う
○ 教師自身をも縛っている。自主的に教材をつくったり、指導方法を工夫したりする自由を奪
っている
2. 一つのクラスに一人の担任が配置される。クラスの大きさはほぼ同じ
○ 同じ大きさで均質のグループにしなければいけない理由はない。柔軟でよい
○ チーム・ティーチングでよい。1時限の長さも45~50分にこだわらなくてよい
3. 学校教育は教師が行う。教師は教員免許を
○ 広く人格形成とみればその限りではない。また、子どもも素晴らしい教師になりうる
4. 年長の教師は高い給与をもらう
○ 通勤手当や家族の養育費などは別に考慮すればよい
5. 校舎は主として同じ大きさと長い廊下でできている
6. 教師の権威は教師という立場に付託されている
○ 子どもより教師のほうが地位が上。教師は教師であるがゆえにエライ。
○ 本当の教師の権威は、子どもをより幸福にし成長させる力を持つ人に対して、子どものほう
で実感するものではないか
どう変えたのか?
● 先生が教える → 先生と言われる大人はいない
● 教科書中心 → 体験学習
● 同年齢 → 異年齢
● 一律の教育 → 個性尊重、教師の自由・裁量
● 均一のクラス → プロジェクト(クラス)は子どもが選ぶ
● 教師 → 地域、学校外
● 教師の年功序列の給与 → 一律
● 校舎 → オープンプラン方式
きのくには、そこ
で発想を逆転させ
る
きのくには、従来の学校の常識を逆転させる
従来の学校の常識
教師中心主義 画一主義
自己決定
書物中心主義
個性尊重 体験学習
きのくにの学校の考え方
学園HPより
従来の常識を逆転させた3つの原則
● 自己決定(⇔教師中心主義)
○ 授業に出る出ないの自由に象徴されるように、子どもの意思を尊重。彼らの内からの成長を
信頼する
● 個性尊重または個性化(⇔画一主義)
○ 個別学習や小グループ学習を柔軟に組み合わせて活動を多様化する
○ 体系化された教材よりも、一人ひとりの心理面に目を向け尊重する
● 体験学習(⇔書物中心主義)
○ 農業、大工仕事、印刷、裁縫、食事づくり、そして地域活動など、様々な実際的な仕事を教
育内容の中心のすえ、創造的な思考と態度と能力を伸ばす。さらに自治や共同生活を通じて
社会生活の術を育む
自己決定の原則と
は?自由?自己決
定?なぜ?規範や
ルールは?学習の
評価は?
自己決定の原則
”自由=自己決定。子どもの行動や
思考面での自由、つまり行動の選
択、発想と判断、そして検証と評
価といった面における自由。
自発性、自主性、自律性、主体性
は、いずれも行動や思考の仕方と
いうよりも教育やしつけの成果と
しての性格やパーソナリティ。
自己決定の原則とは、実際生活に
おける自発的な行動の原則、思考
や意思決定における自発性の原則”
なぜ自己決定が重要なのか
”ニイルは自由な子どもへの成長にとって、感情面(無意識)の解放が何よりも大
切と考えた。
そのためにはまず第一に幼児期から蓄積された権威に対する恐怖から子どもを自
由にする
さらに自己決定の生活の積み重ねを通して、自分自身のものの見方を作っていく
子どもを子どもを育てようとした。
こういう子どもは、権威にすがったり、伝統的なものの見方や世論へと逃避しな
いで自分自身の目でものを見たり、自らの仮説や判断を大切にする。誤りや失敗
があっても、落ち込んだり、他人を恨んだり、ヤケクソになったりしないで、ま
たやり直すだろう。自由な子どもとはそのようなたくましくてしなやかな子ども”
自由な学校におけ
る規範や道徳性
は?
”一番大切にされるのは、
子どもたちが実験や失敗を通して、
あるいは共同生活の中で、
子どもと大人が創造していく規範
や道徳性である。
外から押し付けられた既成の社会
規範ではない。”
規範や道徳性は?活動や学習の評価は?
”自由な学校でも、規範や道徳性は存在する。しかし一番大切にされるのは、子ど
もたちが実験や失敗を通して、あるいは共同生活の中で、子どもと大人が創造し
ていく規範や道徳性である。外から押し付けられた既成の社会規範ではない。
活動や学習の評価は、たとえ教師の助言や示唆を受けるとしても、子ども自身が
行うのがよい。そしてしかも、子どもがそれに納得するのがよい。
子どもと教師の評価が食い違った場合でも、教師のそれを押し付けてはいけない。
むしろこうした食い違いは、次の活動や学習を喚起するきっかけとして積極的に
活用すべき”
企業の組織運営で
の事例は?
ノーレィティングと
グロースマインドセット
グロースマインドセットとは?
評価がない。
ではどう関わるの
か?
OECD 21世紀の教育目標
Meta-Learningとは?
新・社会人基礎力の鍵になるのは?
余談:叱る、褒め
るでもない。どう
する?
認めるとは?
企業組織にどう応
用する?
企業組織に応用すると
余談:なぜBeingに
フォーカスできな
いことが多いの
か?
なぜBeingを見られないのか
余談:
条件付きの愛情と
無条件の愛情
無条件の愛情、条件付きの愛情とは?
余談:
ではどうしたらい
いのか?周りの人
の価値観を大切に
するには?
自分の価値観を
大切にする 応用すると、
言葉はどう変わる
のか?
問題発生時、どのように対応する?
余談:
褒められたいけど
どうしたらいい?
誰が自分を褒めるのか?
なぜ個性化の原則
が必要なのか?
個性化の原則
自己決定の原則と活動の多様化
の原則は表裏一体。自立した個
性ある人間の育成に不可欠
“
受験においては唯一の基準によっ
て判定され序列化される。基準か
ら外れると罪悪感を感じる
一方、こどもの自己決定を大事に
する学校とは、人と同じことをす
るように強制されない学校、活動
(学習)を選択する自由を大切に
する学校。結果、活動や学習は、
内容的にもプロセスの面でも、必
然的に多様なものになる。
つまり学習や活動の多様化と個性
化が必要になる。”
余談:
今、知性はどのよ
うに捉えられてい
るか?
知性とは 8つの知性
マルチプル・インテリジェンス(多重知性、ハー
バード大学ガードナー教授)学力以外に、
アート、運動、、、、。
自己決定と個性化
はセットである必
要がある。なぜ
か?個別に子ども
が学習できればよ
いのでは?
どう評価する?たとえば
● クラスは学力別?
● 個人ごとにあわせた学習ペース
自己決定と個性
化はセットであ
ることが必要
“もし切り離されると、悪しき能力
主義に陥る
同じ教材を全員に、しかし、「能
力」に従って別々に学ばせるとい
うのは、「画一性の中の個別化」
にすぎない。
こういうタイプの個別化には、学
ぶ内容はあらかじめ固定して設定
されているし、評価の尺度も一つ
しかない。子どもが選択したよう
にみせかけても主導権は教師の側
にある”
個別学習をすれば
よいのか?
個性尊重とグルー
プ学習は矛盾しな
いか?
ひとり学びでも
ない。学習の形
の個別化は個性
化ではない
“子どもの集団のダイナミックな
「学び合い」「教え合い」の意義。
集団による探求(学習)には、例
えば問題への敏感さ(気付き)、
多角的な視点からの観察、多様な
仮説の形成、役割分担による実行
と検証など、個別の学習にはない
有利な面がいくつもある。”
個性理解に、グル
ープ活動はなぜ必
要か?
個性化のための
取り組み
● 柔軟な学習計画と融通のきく
時間配分
● 個性化を大事にすれば、学年
や暦年齢によって、クラスや
グループを固定化するわけに
はいかない。従って無学年制
で活動を行う。
● 評価も自己評価に重きをおく
だけでなく、個別評価を中心
にして行われる。ただ一つの
尺度によって序列をつけるの
ではなく、一人ひとりの成長
が評価され記録される。その
ため、通常の通知表、五段階
評価などは行われない。
「個性を育てる」「個性に
合わせて」「その子の本当
の個性を伸ばす」「個性豊
かな子どもを育てる」は違
う。なぜ?
”教師は個性を育てるのでは
ない。個性が内から育ってく
るのを援助する。”
”「その子の本当の個性を伸ば
す」もありえない。個性を「自
分自身になる自由」と理解する
なら、客観的に個性を把握する
ことは無理。だから「どんな個
性の子でも尊重する」”
よくある危険な
誤り
「個性を育てる」「個性に合わ
せて」「その子の本当の個性を
伸ばす」「個性豊かな子どもを
育てる」
これらは違う。
“教師主導の個性化教育は論理的に
ありえない。教師は個性を育てる
のではない。個性が内から育って
いくのを援助する。
「個性に合わせて」「その子の本
当の個性を伸ばす」もありえない。
個性を「自分自身になる自由」と
理解するなら、客観的に個性を把
握することは無理。だから「どん
な個性の子でも尊重する」
「個性豊かな子どもを育てる」と
いう新たな能力主義でもない。
「個性に合わせて」は、個性が別
の目的の追求のための手段で。”
個性が育つとは?
個性豊かとは?
個性とは何か?
”個性が育つとは、より自由にな
ること、自分自身の生き方がで
きるようになること。
個性豊かな人とは、知識や技能
の多い人というわけではない。
むしろ自由な人である。”
人間の成長とは何
か?
”人間の成長とは、自分自身に気
付き、外面的な権威への依存を
やめて、自分自身の主人公にな
る過程である。”
個性とは何か
自分自身の生き方。
自由になること。
自分自身に気付き、権威への依
存をやめて、自分自身の主人公
になる。
● 個性化教育の目指す個性は、
それ自体が目的である。あら
かじめ用意された教材を吸収
するためではない。
● 個性が育つとは、より自由に
なること、自分自身の生き方
ができるようになる
● 個性豊かな人とは、知識や技
能の多い人というわけではな
い。むしろ自由な人である。
● 人間の成長とは、自分自身に
気付き、外面的な権威への依
存をやめて、自分自身の主人
公になる過程である。
体験学習とは?そ
の要件は?
体験学習の原則
活動が知的探求として自発的に
なされるには、子どもにとって
価値のあるホンモノの活動であ
ることが必要
具体的な学習内容や指導方法の面
では、デューイから。彼は1896年
にシカゴ大学に実験校(デュー
イ・スクール)を開く
活動が知的探求として自発的にな
されるには、それ自体に内実的価
値があり、しかもそれが子どもに
実感され、見通されていなくては
いけない。「ホンモノ」の活動で
あることが必要。
Anounce of experience is better
than a ton of theory.
1オンスの経験は1トンの理論にま
さる。
体験学習の位置づ
けは?教科との関
係は?総合学習と
違う?
活動的な仕事は、
あらゆる学習の
出発点
いろいろな教科の統合の中核と
なる
“次に大切なのは、これらの活動は、
学校における教育的経験の中心に
すえられ、いろいろな教科の統合
の中核となること。
「活動的な仕事」は、教科学習の
補完物ではない。あらゆる学習の
出発点になる。
※デューイは、衣食住の一番基礎
的な活動に子どもが全能力をあげ
て従事するとき、それを「活動的
な仕事」と名付けた。”
体験学習(活動
的な仕事)は、
総合学習とは異
なる
きのくには、子どもの自己決定
および個性化と一体化した体験
学習
“総合学習は、子どもの自己決定や
自発的な取り組みは必ずしも十分
に考慮されているとはいえない
たんに生活に結びつけるとか、合
科的な学習を行うというだけでは、
広い意味での総合学習とはいえて
も、ここでいう体験学習とはいえ
ない。
なぜなら、子どもの自己決定や個
性を軽視した総合学習も考えられ
るからだ。つまり教師中心にクラ
ス全体で画一的にすすめられる総
合学習もあり得る”
3つの原則はそれぞ
れ独立したもので
しょうか?どのよ
うな関係?
3つの原則は同一のものの3
つの側面
3原則の統合
自己決定と個性尊重と体験学習
とは同一のものの3つの側面
“自己決定と個性尊重と体験学習の
諸原則は切り離すことができない
自己決定を重視しても子どもの心
を捉えるもの(活動的な仕事)で
なければ意味がない
個性を重視するといっても、子ど
もが教師から指示を受けていたの
では自由になることはできない
教師の監督のもと、クラス単位で
同じ作業を行っても本来の体験学
習とはいえない”
各原則のまとめ
自己決定の原則
子どもが中心
自由
自己評価
● 教科書やドリルの学習ではな
く、子どもが自らの思考と行
動と生活を通して、広くもの
の見方を形成する
● 選択の自由がある
● 教師の仕事は子どもの心をと
らえ、魅力ある活動を準備す
ること
● 自己決定には自己評価が伴う
個性尊重の原則
個性尊重=学習の多様化
個別化(学習ペース)≠個性化
個性尊重とグループ学習
個性化教育とは自分自身になる
のを支援する教育
● 個性尊重と学習の多様化は一
体。個性を尊重するから多様
なプログラム
● 個別化と個性化は異なる。教
材や活動が画一化されて子ど
ものペースにあわせるのは悪
しき能力主義の危険
● 個性尊重とグループ学習は矛
盾しない。学習や成長を促す
● 個性尊重にはグルーピングや
時間配分を柔軟に
● 個性化教育とは一人ひとりの
子どもが自分自身になるのを
援助する教育。感情、知的、
人間関係において自由
体験学習の原則
衣食住など生活の中核に関わる
知的探求
教科学習の補完物ではない
カリキュラムの中心で学習の出
発点
● 体験学習とはからだ(手)と
知性を存分に使って衣食住な
ど生活の中核に関わる仕事
● 単なる手作業ではなく、自発
的な知的探求。体験学習は教
科学習の補完物ではない。カ
リキュラムの中心であり学習
の出発点
● 体験学習を取り入れれば、必
然的に子どもの自己決定が必
要になる
3つの原則は同
一のものの3つ
の側面
● 自己決定といっても心をとら
える活動がなければ生き生き
できない
● 個性を重視しても教師から厳
しい指示があると自由になら
ない
● クラス単位で同じ作業を行っ
ても、本来の体験学習とはい
えない
系譜
自由教育に関わる国内外の人物
自由教育の日本での系譜
コミュニケー
ション手法
P.E.T ゴードンメソッド
保護者との関
係
学校に対する親
の不満と、学校
での子どもの調
子は反比例する
● 親の不安は周りと比較したと
きに起こる。そして不安や不
満は学園生活に影響を及ぼす
● 子どもの調子が悪くなる、プ
ロジェクトへの意欲や友人関
係において
親が自由学校の理
念を受け入れられ
ない原因は?
自由学校の理念
を受け入れられ
ない原因
サマーヒルのニイルより
● 親自身が子ども時代に愛され
肯定的に育ったか
● 内心の自己嫌悪や人生に対す
る不満を秘めていないか
● 両親の仲はよいか(不仲だと
学校に対抗することで仲を保
つ)
● 家庭が経済状況などで安定し
ているか
● 両親が子育てに関しておおよ
そ同じ考えを持っているかど
うか。また、祖父母などが強
硬に反対していないか
なぜ親が自己受容
できていないとい
けないのか?
親が自己受容で
きているか
厳しく子どもを支配する親から
「そんなことでは駄目だ」と育て
られると内心に自己嫌悪を秘め、
自己受容しにくい。そしてこの内
心の自己嫌悪を身近な他人に投影
する。その人の言葉や行動の中に
自分自身の中の認めたくないイヤ
な姿を見てしまう。そして、それ
を非難する。
子ども時代に”勉強しな
くてはいけない”と言い
続けられてきた親は子ど
もや学校に対して?どん
な心理になる?
例えば、子ども
時代に「勉強し
なくてはいけな
い」と言われ続
けた親は?
“勉強に興味を示さない子どもを許
すことができない。同時に、「勉
強に熱を入れてくれない学校」も
許すことができない。
どんなに頭で自由な教育がいいと
か、きのくにに任せたいと思って
いても内心ではそうはいかない。
そして本人はその無意識の心理に
は気づいていない。気付きそうに
なっても「抵抗」と「合理化」の
心理が働いてしまう。”
親の内心の自己自己憎悪と不満は、
学校に対する不満と比例する。
そして、学校での子どもの調子は、
学校に対する親の不満と反比例する。
幸福な親は子ど
もを叩かない
ニイル
“自分自身が内心において、幸せな
人は自分を肯定し、自分が好きな
人だ。自分が好きな人は、子ども
が好きだ。そして、子どもを肯定
して見守ることができる。
親から肯定され愛されている子ど
もは、自分が好きになり、自分を
肯定できる。こういう子は他の子
をいじめたりはしない。こういう
子どもを親はますます好きになる。
すべてがよい方向に回る。これが
逆になるといつまでも逆循環が続
く。”
問題の親とは?
「ああ、親さえ
いなければ、い
い子なのにね
え」という嘆き
『問題の親』ニイル
”おお、親たちよ。あなた方に思い
やりと理解が理解が必要なことは、
私にもわかっている。しかし、私
はあなた方にはもううんざりだ。
あなた方は問題の親である。私は
あなたがたのせいで問題の子ども
になった子の相手をしている。ど
の子どもも幸福で有能な子どもへ
と変わってくる。しかし……、あな
た方は、私の仕事を誤解し、せっ
かくの仕事の成果を台無しにする。
あなた方は、私の仕事に疑いを抱
き、そのために私の時間と努力が
無駄になっている。”
きのくにの保護
者からの手紙
”きのくに子どもの村を希望したの
は、自由という言葉に強く魅かれ
たからです。だけど、”自由”という
漢字は読めても、それを理解する
には二年もかかってしまうなんて
想像もしていませんでした。……で
も、今は何が真実なのかはっきり
見えるようになり、すっかり楽に
なりました。……きのくにほど我慢
強くて、愛情深くて、信念を持っ
ている人達がいるところはないと
思います。”
後戻りを始めた日本の学校
後戻りを始めた
日本の学校
● ゆとり教育悪者論
○ OECDによる国際学力
調査で日本の順位が低
下
○ 授業時間が増え、総合
的学習の時間が減らさ
れる
ではトップのフィ
ンランドはどう
か?授業時間は?
一方、トップの
フィンランドで
は?
● 一方トップを維持するフィン
ランドは、日本よりも授業時
間ははるかに少ない。
● 日本では教師に対する指導を
強化せよというがフィンラン
ドでは、現場教師たちは信頼
され、教育現場の裁量権が尊
重されている。
● 調査では考える力が試される
方向がはっきりとしてきた。
● だから量ではなく質を変える
ことが必要。
● 詰め込み教育に後戻りしては
いけない。
宿題なし、統一テストなしの
フィンランドの教育
フィンランドの
教育
映画『マイケル・ムーアの世界
侵略のススメ』よりフィンラン
ドの教育
https://youtu.be/qK20_-MDJYc
子どもを大人扱いする
子どもが決める
幸せに生きる方法を教えることが
教師の務め
フィンランドの教育事例
なぜ総合学習が機
能しないのか?
総合学習や体験
学習の可能性を
正しく捉えてい
ないと、総合学
習も有名無実化
● 総合学習も有名無実化
○ 一週間にたった3時限に過ぎず、
ほかの教科を統合するものではな
かった。本来の良さをはっきでき
ない。文科省も教科が主食で総合
学習が副食という。
○ 総合学習や体験学習の可能性を正
しく捉えていない。教育の質を変
えず、量だけを減らしたり、高学
年に繰り延べていては、ある年齢
段階での従来型の学力は落ちてい
るように見え、学力低下論者に付
け入る隙を与えてしまった。
目に余る教師バ
ッシング
● また学力の二極化は経済格差
によって助長されている
● 教師を無能呼ばわりする前に、
時間の余裕と、若干の研修費
と、そして何よりも自由を教
師に認めなくてはならない。
100年前、シカ
ゴ大学で実験学
校を開き、体験
学習を提示した
ジョン・デュー
イ
”これから始まる20世紀は、今まで
では検討もつかない時代だ。大き
な変化が待っている。難しい時代
だ。何が起きるかわからない。だ
から自分の頭でしっかり考え行動
する人にならないといけない”
実際、デューイが言ったとおり20
世紀は戦争の世紀と呼ばれている。
それから100年、世界は今どうか。
もっと難しい世界だからこそ、自
分自身を大切にして、自分の頭で
考え、積極的に行動し、そして他
の人と触れ合って楽しくいきてほ
しい。(卒業を祝う会、堀さんの
言葉)
これらを踏まえ、
私達が取り組むこ
ととは?
私達が取り組むことは?
ジョン・デューイ
の言葉を踏まえる
と?
為すことによって学ぶ
Learning by Doing
仮説をたて、行動によって検証する
理論は検証されるまでは仮説である

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