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ソーシャル・インパクト・ボンド
   将来への開発と傾向


                          (株)ソーシャルインパクトリサーチ 翻訳 / コメント




Social Finance is Authorised and Regulated by the Financial Service Authority. FSA No: 497568   ©Social Finance, 2011   1
目次

Section 1 - イントロダクション・定義

Section 2 - ソーシャル・チェンジのモデル
 ・成果に基づく事業委託
 ・効果的なソーシャル・エコノミーに向けて
 ・早期の介入



Section 3 - 新しい社会的分野への適用
 ・政府の課題
 ・モデル構築における課題
 ・市場の成長ポテンシャル



Section 4 - 各ステークホルダーのチャレンジ
 ・事業委託者
 ・サービス事業者
 ・投資家




                              ©Social Finance, 2011   2
ソーシャル・ファイナンス
私たちは、ソーシャルセクターファイナンスのスペシャリストチームです。
社会的問題に効果的に取り組もうとする組織は、イノベーションを起こし成長するために持
続的な収益と投資を必要とします。そのための財務の構造化と資金調達手法のアイデアを提
供するのが私たちの役割です。



      非営利セク            政府
        ター                        民間セクター


                  ソーシャル・ファイナンス
                     研究・開発
                     財務構造化
                      資金調達



                   重要な社会的課題




        長期的な         社会的投資の        非営利
     ソーシャル・チェンジ       市場成長       セクターの発展


                                           ©Social Finance, 2011   3
ソーシャル・インパクト・ボンド (SIB) とは


• ソーシャル・インパクト・ボンドとは、公共事業において社会的成果が生
み出された場合にのみ支払いを行う公共セクター契約のことである。

• ソーシャル・インパクト・ボンドの契約においては、社会的な動機付けに
基づいた投資家から資金を調達する。

• 集められた資金は、社会的な成果を生み出した介入 ( サービス ) への支払い
に当てられます。

• 投資家が受け取る金銭的リターンは、その社会的な課題の成果の達成の大
きさに依存します。




                                   ©Social Finance, 2011   4
ソーシャルインパクト・ボンド・メカニズム

SIB( ソーシャルインパクト・ボンド ) は、公共セクターとの契約に基づき、成果を生み出す
活動に対する資金を集める。投資家は成果が達成された場合にリターンを得る。



                        諮問委員会

           事前に定めた成果に                成果に応じた
           基づいて支払い                  金銭的リターン


  公共セクター               SIB 事業代理業者             投資家

                                    初期投資


社会的成果
公費の削減                  サービス事業者
社会へのより広範囲な利益                                  資金

                                              サービス

                                              情報
                       サービス対象者


                                               ©Social Finance, 2011   5
目次

Section 1 - イントロダクション・定義

Section 2 - ソーシャル・チェンジのモデル
 ・成果に基づく事業委託
 ・効果的なソーシャル・エコノミーに向けて
 ・早期の介入



Section 3 - 新しい社会的分野への適用
 ・政府の課題
 ・モデル構築における課題
 ・市場の成長ポテンシャル



Section 4 - 各ステークホルダーのチャレンジ
 ・事業委託者
 ・サービス事業者
 ・投資家




                              ©Social Finance, 2011   6
成果に基づく事業委託

 これまで、事業委託は品質よりもインプット ( 投入したモノやサービス ) 、その効率、プロセスに
 フォーカスしてきた。事業委託を改善する方法はいくつかあるが、そのうちの一つが ”成果” である。
 以下は成果に基づく委託を難しくしている2つのポイントである。


   サービスに対する資金の確保                       帰属の問題
•後払いの場合、サービスを提供するために、サー        •一つのサービスから成果が生まれることはまれで
 ビス事業者は資金を調達しなければならない。          ある。
•多くの第3セクターはこのギャップをカバーする
 運転資金の確保に苦戦している                •例えば、犯罪者が刑期を終えた後の社会復帰を助
    ・ 組織内に資金供給構造はない             けるには、居住地のアドバイスや就職相談、薬物
    ・ 提供サービスに対する支払いができる         に依存しないためのサポート等が必要である。
 余剰資金が                         •意図した成果がどのサービスを通じて達成された
       ある組織はごくまれである             のかを特定することは、たいていの場合難しい。
•結果として、成果に基づいた事業委託に対応でき
 る組織は少数にすぎない                   •成果を達成するのに必要な全てのサービスを一つ
•効果的な活動を行える組織が参加できない            の組織が単独で提供できることはまれである。
                               •結果として、個々の組織と成果に基づいた契約を
                                するのは難しい。
                      成果の達成と
 サービスの提供               資金獲得


           資金調達ギャップ

SIB は個々の投資家を一つにまとめて成果に対する資金を提供させ、複数のサービス事業者に
事業委託することを可能にする
                                               ©Social Finance, 2011   7
効果的なソーシャル・エコノミーに向けて

 慈善事業や社会的企業が公共サービスに参入すべきであり、効果的なソーシャル・エコノミーが求め
 られている。これは広く同意を得ている。

                             健全なソーシャル・エコノミーには
   第3セクターの公共サービス           供給力の多様性と合理的な市場原理が必要

第3セクターの公共サービスの利点          供給力の多様性
•委託された業者がローカライズしたサービスを開   •健全なソーシャル・エコノミーには、多種多様の
発しているため品質は高い              高品質かつ堅固なサービス事業者が必要である
•供給力の多様性を高め、選択肢が増えるため、競   •事業の実行においては、大手の民間セクターや
争が生まれサービスが向上する
                          サービス事業者が好ましい場合もある
第3セクター参入の障壁
•多くの第3セクターは公共契約に入札するだけの   合理的な市場原理
規模や生産能力に乏しい               現状の資金調達ストリームが効果的な市場原理とし
•第3セクターは概して生産能力を確保するための   て機能していないことが重要な問題である。
投資 ( 家 ) へのアクセスがない        •助成金は不透明で、時には非合理的である
•公共契約が必ずしも第3セクターのミッションに   •公共契約における収益はインプットとプロセスに
合致しない。契約することがミッション・ドリフト   基づいている
につながる。                    •寄附はインパクトではなくブランドに基づいてい
                          る



市場原理によって社会経済の成果は大きく改善し、成果を生む社会企業には投資が流れるだろう

                                          ©Social Finance, 2011   8
早期の介入

 SIB は緊急的処置からコミュニティ・ベースの対処法へのシフトを支援する。




 ソーシャル
 ソーシャル
                            •限りある政府の予算を効率的に使うためには、早
 インパクト
 インパクト                      期介入によって事態が難航した時に切り上げやす
  ボンド
  ボンド                       くし、コストを抑える
            早期介入へ
            早期介入へ
            の投資資金
            の投資資金
                            •ネガティブな支出サイクル:緊急対応に要する政
                            府のリソースが増え続け、高額なコストがかかる
   危機的状況
   危機的状況
   での介入に
   での介入に             さらなる
                     さらなる   •SIB が作り出すポジティブな支出サイクル:早期
   対するコス
   対するコス             早期介入
                     早期介入
    ト抑制
                            介入に投資を行い、コミュニティ・ベースで対処
    ト抑制
                            する

           より良い社会的
           成果:危機的状
           況で介入を必要
            とする人が
             減ること



ソーシャル・インパクト・ボンドは、公共セクターが早期介入において失敗するリスクを避け、
効果のない緊急的予算支出をすることなく、成果が達成するように投資を行うことができる。


                                              ©Social Finance, 2011   9
目次

Section 1 - イントロダクション・定義

Section 2 - ソーシャル・チェンジのモデル
 ・成果に基づく事業委託
 ・効果的なソーシャル・エコノミーに向けて
 ・早期の介入



Section 3 - 新しい社会的分野への適用
 ・政府の課題
 ・モデル構築における課題
 ・市場の成長ポテンシャル



Section 4 - 各ステークホルダーのチャレンジ
 ・事業委託者
 ・サービス事業者
 ・投資家




                              ©Social Finance, 2011   10
新しい社会的分野への適用

        子どものサービス                            刑事司法
ケアを受けている子どもの多くは社会における最貧           刑務所に収監される女性の多くが、彼女たち自身が
困層である                             虐待や家庭内暴力の被害者である
•犯罪者の 50 %がケアを受けている
•“Big Issue” 販売者の 80 %がケアを受けている   •複数のコミュニティから order を受けた女性たち
                                  に介入することによって、刑務所に入る女性を減ら
子どもの家族や里親への集中的なサポートによって           すことができないか?
、ケアを受ける人数を減らし、ケア・システムがよ
り安定した家庭環境を提供することができないか?




           医療・健康                       薬物リハビリテーション
入院患者数の増加は、一部には高齢者の増加と糖尿           薬物使用者は、犯罪に加担したり、補助金を要請し
病のような長期療養患者が増加したことに起因する。          たり健康問題を抱えることが極めて多く、彼らの子
関係行政機関にとってはコストが嵩み、患者にとっ
                                  どもたちもまたケアを必要とする
ては治療が受けられない状態。

より良いコミュニティの介入と初期治療サービスに           家族でのカウンセリングや経験者のメンター制度、
より、長期療養患者が健康を回復し、退院を手助け           暫定的な就労支援といった追加的なサービスにより
することはできないか?                       、治療の成果を改善することができないか?



                                                    ©Social Finance, 2011   11
政府の課題

             複数の対象者にとっての成果

                地域行政と住宅問題

                    刑事司法
 全ての問題が
  混沌とした              警察              薬物
    家庭                             リハビリテー
                    補助金             ション
                     健康


 ローカルでモデルを生み出し、統合する中央政府が成果に対する資金提供を行えば、
        いま拡大しつつあるこの市場を支援することができる


          容易に実現可能   ケアを受ける子どもを減らす→子どもを家庭に戻す
削減コストの
  金額化               ・入院患者数を減らす→病院のベッド数を減らす
          実現が難しい    ・犯罪を減らす→刑務所を減らす


   サービスの供給を削減するには SIB を使って需要を削減する戦略が必要

                                       ©Social Finance, 2011   12
モデル構築における課題


              包括的調整:再犯を減らす
  社会的価値のある
 コスト削減成果の調整
              部分的調整:ケアを受ける子どもの数を減らす




                  インセンティブを保証するのに必要な
                 二次的成果の測定が効果的に調整される




   規模と属性      対象者や比較グループの人数が少ないとモデル構築が難しい




               検討事項:履歴データ / ベースラインの安定性と
                     削減コストの金額化



                                      ©Social Finance, 2011   13
その他の観点


新しい社会的分野での SIB モデルの開発は複雑で時間を要する
•いったんモデル化されれば、幅広い分野への応用が期待できる



成果と比較の仕組み化に大方の作業を要する
•実用主義に基づいた注意深い分析とリサーチが必要
•私たちの定義による最も優れた効果測定とは: 効果的にサービス事業者の正しい行動を誘因し、
投資家に信頼感を与えることのできる可能な限りシンプルな測定



複数の行政機関の成果への支払いが相互にどのようにインパクトがあるのかが不明瞭
•例えば、
  労働プログラム=雇用年金局 (DWP) 、薬物リハビリテーション=保健省 (DH) 、再犯の削減=
司法省 (MoJ)



コスト節減実現の不確実性によって惰性が生まれる
•( サービス ) 供給を削減する戦略が既に実行されているとき、広範囲にコスト削減されている環境
で業務をすすめることが効果的である


                                             ©Social Finance, 2011   14
市場の成長ポテンシャル
                                2012 年 9 月      2013 年 9 月       2014 年 9 月
刑事司法
   SIB プログラム立ち上げ数 ( 年間 )   #        2                5                12
    SIB プログラム経済価値 ( 年間 )   £   UK£20,000,000   UK£50,000,000    UK£120,000,000
子どものサービス -LA SIB
   SIB プログラム立ち上げ数 ( 年間 )   #        2                8               20
    SIB プログラム経済価値 ( 年間 )   £   UK£14,000,000   UK£60,000,000    UK£160,000,000
ヘルスケア SIB
   SIB プログラム立ち上げ数 ( 年間 )   #         1               2                10
    SIB プログラム経済価値 ( 年間 )   £   UK£5,000,000    UK£15,000,000    UK£15,000,000
薬物リハビリテーション SIB
   SIB プログラム立ち上げ数 ( 年間 )   #         1               2                3
    SIB プログラム経済価値 ( 年間 )   £   UK£5,000,000    UK£12,000,000    UK£21,000,000
若年成人 -LA SIB
   SIB プログラム立ち上げ数 ( 年間 )   #        0                1                5
    SIB プログラム経済価値 ( 年間 )   £       UK£0         UK£5,500,000    UK£35,000,000
複雑な家庭 -LA SIB
   SIB プログラム立ち上げ数 ( 年間 )   #         1               3                6
    SIB プログラム経済価値 ( 年間 )   £   UK£5,000,000    UK£15,000,000    UK£30,000,000
SIB 市場 総計
   SIB プログラム立ち上げ数 ( 年間 )   #        7               20               53
    SIB プログラム経済価値 ( 年間 )   £   UK£46,000,000   UK£156,000,000   UK£445,000,000


   SIB プログラム立ち上げ数 ( 累積 )   #        7               27               80
    SIB プログラム経済価値 ( 累積 )   £   UK£49,000,000   UK£203,500,000   UK£718,500,000 2011
                                                                    ©Social Finance,   15
目次

Section 1 - イントロダクション・定義

Section 2 - ソーシャル・チェンジのモデル
 ・成果に基づく事業委託
 ・効果的なソーシャル・エコノミーに向けて
 ・早期の介入



Section 3 - 新しい社会的分野への適用
 ・政府の課題
 ・モデル構築における課題
 ・市場の成長ポテンシャル



Section 4 - 各ステークホルダーのチャレンジ
 ・委託者
 ・サービス提供者
 ・投資家




                              ©Social Finance, 2011   16
各ステークホルダーのチャレンジ



          •失敗と成功、両方のリスクの管理
          •経験の欠如
 事業委託者    •致命的なリスク・トランスファーの保証
          •大きな変化の時に革新的な仕組みを導入する


          •成果のための協働
          •エビデンスの利用
サービス事業者   •説得力のある介入の提案
             →デザイン・シンキング vs. エビデンス・プログラム



          •現在の社会的投資市場のプレイヤーは上記のようなレベルで資本
           をサポートしていない
  投資家
          •異なる投資家コミュニティに働きかける仕組みを生み出す必要が
           ある




                                      ©Social Finance, 2011   17
各ステークホルダーのチャレンジ

従来の調達をやめ、市場形成に移行するのは大きなチャレンジである

これまでの事業委託者: どんなサービスが必要なのかを評定し、できるだけ安価な調達
を行う

このモデルは、事業委託者が次のことを認識していることが前提となる
•どんなサービスが必要か、ユーザーにとって最も価値のあるサービスは何か
•大きな変化の時に革新的な仕組みを導入する


次のことによって市場を定義する役割がある
•サービスユーザーをサポートするための予算組みに同意する
•成果を評価し事業を委託する
→ それによってサービスユーザーに合った事業を生み出し、イノベーティブなサービス提供が生ま
れる

このモデルは、サービスユーザー ( 及びその集合体 ) とサービス提供者が何が最も必要かを認識して
いることが前提となる



   このモデルには、臨機応変に生み出される多様なスキルと専門性が求められる


                                           ©Social Finance, 2011   18
サービス供給者Ⅰ : 介入の開発

2 つのニーズ:介入の開発とサービスの統合

             エビデンス・ベースのプログラム
             科学的に証明された介入に焦点をあて、 独自のプログラム構成に則り
             品質を管理する
   介入の開発
  において検討
 すべき 2 つの点
             サービスデザイン
             ユーザー・エクスペリエンスから得た洞察に焦点をあてた開発



  どちらも重要で、データに基づくアプローチだが、相互に直接的な互換性はない
       それぞれベストな手法を見つけ出すことが私たちの課題である




                                        ©Social Finance, 2011   19
サービス供給者Ⅱ:サービスの統合


                       政府




 •契約管理
 •情報管理
 •技術的支援                統合        投資家 / 資金
 •パフォーマンス管理
 •相互作用管理



                    サービス供給者



サービスの統合は、今まさに必要とされている、成果を達成するためのキーとなる専門的技
                   術である




                                    ©Social Finance, 2011   20
投資家

必要とされる資金を集めるために新しい仕組みが求められている

             個別の SIB                              仕組みの構築
個々のプロジェクトにおいて、投資家はど                      市場を拡大するためには 2 つの仕組みが必
ちらかといえば特定されがちである                         要

•取引における諸経費・取引費用を削減すること
ができないか?                                  •保証資金または部分的に保証された SIB :把握
                                         できる資金リスクのレベルを下げることにより
•企業投資政策 (Enterprise Investment Scheme)   、 投資家の幅を広げることができる
やベンチャー・キャピタル・トラスト (Venture
Capital Trust) など、優遇税制を利用して、新た           •SIB ファンド:規模拡大・多様化のために資金
な資金プールを広げることはできないか?                      をプールする

                                         •上記仕組みの構築のためには、あといくつかの
                                         SIB が立ち上がり、運用されなければならない




                                                           ©Social Finance, 2011   21
結論


    ソーシャル・インパクト・ボンドが活きる2つの大きなトレンド
    公共サービスの提供に市場原理によるアプローチを導入
• 行政よりもサービスユーザーのニーズにフォーカスする
• インプット ( 投入したモノやサービス ) やプロセスよりも成果にフォーカスする
• サプライヤーは政府から独占的に事業を受託する立場を捨てる
    社会的投資市場の構築
• 人々は、自分たちのお金が世界を変えることができると気づき始めている
• 市民のために社会に働きかける投資の可能性に対する関心が高まり議論が始まっ
    ている
•   受動的な倫理的投資の規模はこの市場の潜在的規模を示している

いま、人とお金の関係を変え、私たちの社会にポジティブな変化を生み出す
 チャンスである!




                                     ©Social Finance, 2011   22
コメント

株式会社ソーシャルインパクト・リサーチが本資料を翻訳 / コメントした目
的は、日本におけるソーシャルインパクトボンド( SIB) の理解を促進するた
めである。

SIB は英国で生まれ、オバマ政権においても 1 億ドル予算化され、ニュー
ヨーク市で SIB 発行が予定されている。

SIB は、社会的課題の解決と投資家のリターンを両立する新しい金融商品で
ある。今後、日本においても SIB が普及することで、日本のソーシャルセク
ターに大きな変革をもたらすことが期待される。

そのためには、行政セクターの方々、 NPO/ ソーシャルベンチャーの方々、
我々金融仲介業者が SIB に関する正しい理解を得ることが不可欠である。本
思資料がその一助になれば幸いである。

何かご質問はございますか? ご興味ある方はご気軽にご連絡下さい。
takukumazawa@gmail.com                          



                                 23   ©Social Finance, 2011
会社概要


  社名      株式会社ソーシャルインパクト リ ・ サーチ
事業内容      ソーシャルベンチャーの経営支援事業
          ソーシャルインパクト   の測定およびコ ンサルティング
          ファ 組成、
             ンド     運用、証券化事業
          ソーシャルファ   イナンスのプラッ フォーム運営
                            ト
          証券会社向けアナリ レポート
                       スト    作成
 本社       東京都新宿区弁天町87-1105
 設立       2010 年10月1日
資本金       1000万円
 登録       適格機関投資家等特例業者
          第二種金融商品取引業者     関東財務局長( 金商)第2623号
代表者       熊沢  河合朋子
               拓、



       Copyright © 2012 Social Impact Research Co., Ltd. All rights reserved.
門脇 哲男
         株式会社ソーシャルインパクト リ
                       ・ サーチ パートナー

         日本貿易振興機構( JETRO)
         日本興業銀行NY支店 
         米国野村證券NY企業金融部    バイスプレジデント
         ケミカル証券東京事務所    取締役企業金融担当上席代表
         ドレスナー証券東京支店    引受部次長
         株式会社ジャフコ 海外投資部次長 、  香港社長、 他を歴任




         河合 朋子
         株式会社ソーシャルインパクト リ
                       ・ サーチ パートナー、工学博士
      
     
         東京都立大学大学院博士課程修了、  工学博士
         エコール・ダルシテクテュール・ =ベルヴィ
                        パリ    ル校留学
         文化女子短期大学非常勤講師
         不動産会社  取締役



             Copyright © 2012 Social Impact Research Co., Ltd. All rights reserved.
山本紗知  ( 株)ソーシャルインパクト・リサーチ 主任研究員

神戸大学発達科学部 人間環境科学科 卒業
大阪府立大学大学院 農学生命科学研究科 博士前期課程中退
出版社を経て 2006 年にトーマツ環境品質研究所に入社し、
CSR や ISO に関する国内外の動向調査等に携わった後、
三菱総合研究所 環境エネルギー部にて厚労省・環境省からの受託調査リサーチアシスタント
株式会社インテグレックスにて従業員コンプライアンス意識調査のプロジェクトマネジメント
ご清聴、ありがとうございました




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Sib開発と傾向 social finance 日本語訳 最終

  • 1. ソーシャル・インパクト・ボンド 将来への開発と傾向 (株)ソーシャルインパクトリサーチ 翻訳 / コメント Social Finance is Authorised and Regulated by the Financial Service Authority. FSA No: 497568 ©Social Finance, 2011 1
  • 2. 目次 Section 1 - イントロダクション・定義 Section 2 - ソーシャル・チェンジのモデル  ・成果に基づく事業委託  ・効果的なソーシャル・エコノミーに向けて  ・早期の介入 Section 3 - 新しい社会的分野への適用  ・政府の課題  ・モデル構築における課題  ・市場の成長ポテンシャル Section 4 - 各ステークホルダーのチャレンジ  ・事業委託者  ・サービス事業者  ・投資家 ©Social Finance, 2011 2
  • 3. ソーシャル・ファイナンス 私たちは、ソーシャルセクターファイナンスのスペシャリストチームです。 社会的問題に効果的に取り組もうとする組織は、イノベーションを起こし成長するために持 続的な収益と投資を必要とします。そのための財務の構造化と資金調達手法のアイデアを提 供するのが私たちの役割です。 非営利セク 政府 ター 民間セクター ソーシャル・ファイナンス 研究・開発 財務構造化 資金調達 重要な社会的課題 長期的な 社会的投資の 非営利 ソーシャル・チェンジ 市場成長 セクターの発展 ©Social Finance, 2011 3
  • 4. ソーシャル・インパクト・ボンド (SIB) とは • ソーシャル・インパクト・ボンドとは、公共事業において社会的成果が生 み出された場合にのみ支払いを行う公共セクター契約のことである。 • ソーシャル・インパクト・ボンドの契約においては、社会的な動機付けに 基づいた投資家から資金を調達する。 • 集められた資金は、社会的な成果を生み出した介入 ( サービス ) への支払い に当てられます。 • 投資家が受け取る金銭的リターンは、その社会的な課題の成果の達成の大 きさに依存します。 ©Social Finance, 2011 4
  • 5. ソーシャルインパクト・ボンド・メカニズム SIB( ソーシャルインパクト・ボンド ) は、公共セクターとの契約に基づき、成果を生み出す 活動に対する資金を集める。投資家は成果が達成された場合にリターンを得る。 諮問委員会 事前に定めた成果に 成果に応じた 基づいて支払い 金銭的リターン 公共セクター SIB 事業代理業者 投資家 初期投資 社会的成果 公費の削減 サービス事業者 社会へのより広範囲な利益 資金 サービス 情報 サービス対象者 ©Social Finance, 2011 5
  • 6. 目次 Section 1 - イントロダクション・定義 Section 2 - ソーシャル・チェンジのモデル  ・成果に基づく事業委託  ・効果的なソーシャル・エコノミーに向けて  ・早期の介入 Section 3 - 新しい社会的分野への適用  ・政府の課題  ・モデル構築における課題  ・市場の成長ポテンシャル Section 4 - 各ステークホルダーのチャレンジ  ・事業委託者  ・サービス事業者  ・投資家 ©Social Finance, 2011 6
  • 7. 成果に基づく事業委託 これまで、事業委託は品質よりもインプット ( 投入したモノやサービス ) 、その効率、プロセスに フォーカスしてきた。事業委託を改善する方法はいくつかあるが、そのうちの一つが ”成果” である。 以下は成果に基づく委託を難しくしている2つのポイントである。 サービスに対する資金の確保 帰属の問題 •後払いの場合、サービスを提供するために、サー •一つのサービスから成果が生まれることはまれで ビス事業者は資金を調達しなければならない。 ある。 •多くの第3セクターはこのギャップをカバーする 運転資金の確保に苦戦している •例えば、犯罪者が刑期を終えた後の社会復帰を助     ・ 組織内に資金供給構造はない けるには、居住地のアドバイスや就職相談、薬物     ・ 提供サービスに対する支払いができる に依存しないためのサポート等が必要である。 余剰資金が •意図した成果がどのサービスを通じて達成された        ある組織はごくまれである のかを特定することは、たいていの場合難しい。 •結果として、成果に基づいた事業委託に対応でき る組織は少数にすぎない •成果を達成するのに必要な全てのサービスを一つ •効果的な活動を行える組織が参加できない の組織が単独で提供できることはまれである。 •結果として、個々の組織と成果に基づいた契約を するのは難しい。 成果の達成と サービスの提供 資金獲得 資金調達ギャップ SIB は個々の投資家を一つにまとめて成果に対する資金を提供させ、複数のサービス事業者に 事業委託することを可能にする ©Social Finance, 2011 7
  • 8. 効果的なソーシャル・エコノミーに向けて 慈善事業や社会的企業が公共サービスに参入すべきであり、効果的なソーシャル・エコノミーが求め られている。これは広く同意を得ている。 健全なソーシャル・エコノミーには 第3セクターの公共サービス 供給力の多様性と合理的な市場原理が必要 第3セクターの公共サービスの利点 供給力の多様性 •委託された業者がローカライズしたサービスを開 •健全なソーシャル・エコノミーには、多種多様の 発しているため品質は高い 高品質かつ堅固なサービス事業者が必要である •供給力の多様性を高め、選択肢が増えるため、競 •事業の実行においては、大手の民間セクターや 争が生まれサービスが向上する サービス事業者が好ましい場合もある 第3セクター参入の障壁 •多くの第3セクターは公共契約に入札するだけの 合理的な市場原理 規模や生産能力に乏しい 現状の資金調達ストリームが効果的な市場原理とし •第3セクターは概して生産能力を確保するための て機能していないことが重要な問題である。 投資 ( 家 ) へのアクセスがない •助成金は不透明で、時には非合理的である •公共契約が必ずしも第3セクターのミッションに •公共契約における収益はインプットとプロセスに 合致しない。契約することがミッション・ドリフト 基づいている につながる。 •寄附はインパクトではなくブランドに基づいてい る 市場原理によって社会経済の成果は大きく改善し、成果を生む社会企業には投資が流れるだろう ©Social Finance, 2011 8
  • 9. 早期の介入 SIB は緊急的処置からコミュニティ・ベースの対処法へのシフトを支援する。 ソーシャル ソーシャル •限りある政府の予算を効率的に使うためには、早 インパクト インパクト 期介入によって事態が難航した時に切り上げやす ボンド ボンド くし、コストを抑える 早期介入へ 早期介入へ の投資資金 の投資資金 •ネガティブな支出サイクル:緊急対応に要する政 府のリソースが増え続け、高額なコストがかかる 危機的状況 危機的状況 での介入に での介入に さらなる さらなる •SIB が作り出すポジティブな支出サイクル:早期 対するコス 対するコス 早期介入 早期介入 ト抑制 介入に投資を行い、コミュニティ・ベースで対処 ト抑制 する より良い社会的 成果:危機的状 況で介入を必要 とする人が 減ること ソーシャル・インパクト・ボンドは、公共セクターが早期介入において失敗するリスクを避け、 効果のない緊急的予算支出をすることなく、成果が達成するように投資を行うことができる。 ©Social Finance, 2011 9
  • 10. 目次 Section 1 - イントロダクション・定義 Section 2 - ソーシャル・チェンジのモデル  ・成果に基づく事業委託  ・効果的なソーシャル・エコノミーに向けて  ・早期の介入 Section 3 - 新しい社会的分野への適用  ・政府の課題  ・モデル構築における課題  ・市場の成長ポテンシャル Section 4 - 各ステークホルダーのチャレンジ  ・事業委託者  ・サービス事業者  ・投資家 ©Social Finance, 2011 10
  • 11. 新しい社会的分野への適用 子どものサービス 刑事司法 ケアを受けている子どもの多くは社会における最貧 刑務所に収監される女性の多くが、彼女たち自身が 困層である 虐待や家庭内暴力の被害者である •犯罪者の 50 %がケアを受けている •“Big Issue” 販売者の 80 %がケアを受けている •複数のコミュニティから order を受けた女性たち に介入することによって、刑務所に入る女性を減ら 子どもの家族や里親への集中的なサポートによって すことができないか? 、ケアを受ける人数を減らし、ケア・システムがよ り安定した家庭環境を提供することができないか? 医療・健康 薬物リハビリテーション 入院患者数の増加は、一部には高齢者の増加と糖尿 薬物使用者は、犯罪に加担したり、補助金を要請し 病のような長期療養患者が増加したことに起因する。 たり健康問題を抱えることが極めて多く、彼らの子 関係行政機関にとってはコストが嵩み、患者にとっ どもたちもまたケアを必要とする ては治療が受けられない状態。 より良いコミュニティの介入と初期治療サービスに 家族でのカウンセリングや経験者のメンター制度、 より、長期療養患者が健康を回復し、退院を手助け 暫定的な就労支援といった追加的なサービスにより することはできないか? 、治療の成果を改善することができないか? ©Social Finance, 2011 11
  • 12. 政府の課題 複数の対象者にとっての成果  地域行政と住宅問題 刑事司法 全ての問題が 混沌とした 警察 薬物 家庭 リハビリテー 補助金 ション 健康 ローカルでモデルを生み出し、統合する中央政府が成果に対する資金提供を行えば、 いま拡大しつつあるこの市場を支援することができる 容易に実現可能 ケアを受ける子どもを減らす→子どもを家庭に戻す 削減コストの 金額化 ・入院患者数を減らす→病院のベッド数を減らす 実現が難しい ・犯罪を減らす→刑務所を減らす サービスの供給を削減するには SIB を使って需要を削減する戦略が必要 ©Social Finance, 2011 12
  • 13. モデル構築における課題 包括的調整:再犯を減らす 社会的価値のある コスト削減成果の調整 部分的調整:ケアを受ける子どもの数を減らす インセンティブを保証するのに必要な 二次的成果の測定が効果的に調整される 規模と属性 対象者や比較グループの人数が少ないとモデル構築が難しい 検討事項:履歴データ / ベースラインの安定性と 削減コストの金額化 ©Social Finance, 2011 13
  • 14. その他の観点 新しい社会的分野での SIB モデルの開発は複雑で時間を要する •いったんモデル化されれば、幅広い分野への応用が期待できる 成果と比較の仕組み化に大方の作業を要する •実用主義に基づいた注意深い分析とリサーチが必要 •私たちの定義による最も優れた効果測定とは: 効果的にサービス事業者の正しい行動を誘因し、 投資家に信頼感を与えることのできる可能な限りシンプルな測定 複数の行政機関の成果への支払いが相互にどのようにインパクトがあるのかが不明瞭 •例えば、   労働プログラム=雇用年金局 (DWP) 、薬物リハビリテーション=保健省 (DH) 、再犯の削減= 司法省 (MoJ) コスト節減実現の不確実性によって惰性が生まれる •( サービス ) 供給を削減する戦略が既に実行されているとき、広範囲にコスト削減されている環境 で業務をすすめることが効果的である ©Social Finance, 2011 14
  • 15. 市場の成長ポテンシャル 2012 年 9 月 2013 年 9 月 2014 年 9 月 刑事司法 SIB プログラム立ち上げ数 ( 年間 ) # 2 5 12 SIB プログラム経済価値 ( 年間 ) £ UK£20,000,000 UK£50,000,000 UK£120,000,000 子どものサービス -LA SIB SIB プログラム立ち上げ数 ( 年間 ) # 2 8 20 SIB プログラム経済価値 ( 年間 ) £ UK£14,000,000 UK£60,000,000 UK£160,000,000 ヘルスケア SIB SIB プログラム立ち上げ数 ( 年間 ) # 1 2 10 SIB プログラム経済価値 ( 年間 ) £ UK£5,000,000 UK£15,000,000 UK£15,000,000 薬物リハビリテーション SIB SIB プログラム立ち上げ数 ( 年間 ) # 1 2 3 SIB プログラム経済価値 ( 年間 ) £ UK£5,000,000 UK£12,000,000 UK£21,000,000 若年成人 -LA SIB SIB プログラム立ち上げ数 ( 年間 ) # 0 1 5 SIB プログラム経済価値 ( 年間 ) £ UK£0 UK£5,500,000 UK£35,000,000 複雑な家庭 -LA SIB SIB プログラム立ち上げ数 ( 年間 ) # 1 3 6 SIB プログラム経済価値 ( 年間 ) £ UK£5,000,000 UK£15,000,000 UK£30,000,000 SIB 市場 総計 SIB プログラム立ち上げ数 ( 年間 ) # 7 20 53 SIB プログラム経済価値 ( 年間 ) £ UK£46,000,000 UK£156,000,000 UK£445,000,000 SIB プログラム立ち上げ数 ( 累積 ) # 7 27 80 SIB プログラム経済価値 ( 累積 ) £ UK£49,000,000 UK£203,500,000 UK£718,500,000 2011 ©Social Finance, 15
  • 16. 目次 Section 1 - イントロダクション・定義 Section 2 - ソーシャル・チェンジのモデル  ・成果に基づく事業委託  ・効果的なソーシャル・エコノミーに向けて  ・早期の介入 Section 3 - 新しい社会的分野への適用  ・政府の課題  ・モデル構築における課題  ・市場の成長ポテンシャル Section 4 - 各ステークホルダーのチャレンジ  ・委託者  ・サービス提供者  ・投資家 ©Social Finance, 2011 16
  • 17. 各ステークホルダーのチャレンジ •失敗と成功、両方のリスクの管理 •経験の欠如 事業委託者 •致命的なリスク・トランスファーの保証 •大きな変化の時に革新的な仕組みを導入する •成果のための協働 •エビデンスの利用 サービス事業者 •説得力のある介入の提案    →デザイン・シンキング vs. エビデンス・プログラム •現在の社会的投資市場のプレイヤーは上記のようなレベルで資本 をサポートしていない 投資家 •異なる投資家コミュニティに働きかける仕組みを生み出す必要が ある ©Social Finance, 2011 17
  • 18. 各ステークホルダーのチャレンジ 従来の調達をやめ、市場形成に移行するのは大きなチャレンジである これまでの事業委託者: どんなサービスが必要なのかを評定し、できるだけ安価な調達 を行う このモデルは、事業委託者が次のことを認識していることが前提となる •どんなサービスが必要か、ユーザーにとって最も価値のあるサービスは何か •大きな変化の時に革新的な仕組みを導入する 次のことによって市場を定義する役割がある •サービスユーザーをサポートするための予算組みに同意する •成果を評価し事業を委託する → それによってサービスユーザーに合った事業を生み出し、イノベーティブなサービス提供が生ま れる このモデルは、サービスユーザー ( 及びその集合体 ) とサービス提供者が何が最も必要かを認識して いることが前提となる このモデルには、臨機応変に生み出される多様なスキルと専門性が求められる ©Social Finance, 2011 18
  • 19. サービス供給者Ⅰ : 介入の開発 2 つのニーズ:介入の開発とサービスの統合 エビデンス・ベースのプログラム 科学的に証明された介入に焦点をあて、 独自のプログラム構成に則り 品質を管理する 介入の開発 において検討 すべき 2 つの点 サービスデザイン ユーザー・エクスペリエンスから得た洞察に焦点をあてた開発 どちらも重要で、データに基づくアプローチだが、相互に直接的な互換性はない それぞれベストな手法を見つけ出すことが私たちの課題である ©Social Finance, 2011 19
  • 20. サービス供給者Ⅱ:サービスの統合 政府 •契約管理 •情報管理 •技術的支援 統合 投資家 / 資金 •パフォーマンス管理 •相互作用管理 サービス供給者 サービスの統合は、今まさに必要とされている、成果を達成するためのキーとなる専門的技 術である ©Social Finance, 2011 20
  • 21. 投資家 必要とされる資金を集めるために新しい仕組みが求められている 個別の SIB 仕組みの構築 個々のプロジェクトにおいて、投資家はど 市場を拡大するためには 2 つの仕組みが必 ちらかといえば特定されがちである 要 •取引における諸経費・取引費用を削減すること ができないか? •保証資金または部分的に保証された SIB :把握 できる資金リスクのレベルを下げることにより •企業投資政策 (Enterprise Investment Scheme) 、 投資家の幅を広げることができる やベンチャー・キャピタル・トラスト (Venture Capital Trust) など、優遇税制を利用して、新た •SIB ファンド:規模拡大・多様化のために資金 な資金プールを広げることはできないか? をプールする •上記仕組みの構築のためには、あといくつかの SIB が立ち上がり、運用されなければならない ©Social Finance, 2011 21
  • 22. 結論 ソーシャル・インパクト・ボンドが活きる2つの大きなトレンド 公共サービスの提供に市場原理によるアプローチを導入 • 行政よりもサービスユーザーのニーズにフォーカスする • インプット ( 投入したモノやサービス ) やプロセスよりも成果にフォーカスする • サプライヤーは政府から独占的に事業を受託する立場を捨てる 社会的投資市場の構築 • 人々は、自分たちのお金が世界を変えることができると気づき始めている • 市民のために社会に働きかける投資の可能性に対する関心が高まり議論が始まっ ている • 受動的な倫理的投資の規模はこの市場の潜在的規模を示している いま、人とお金の関係を変え、私たちの社会にポジティブな変化を生み出す チャンスである! ©Social Finance, 2011 22
  • 23. コメント 株式会社ソーシャルインパクト・リサーチが本資料を翻訳 / コメントした目 的は、日本におけるソーシャルインパクトボンド( SIB) の理解を促進するた めである。 SIB は英国で生まれ、オバマ政権においても 1 億ドル予算化され、ニュー ヨーク市で SIB 発行が予定されている。 SIB は、社会的課題の解決と投資家のリターンを両立する新しい金融商品で ある。今後、日本においても SIB が普及することで、日本のソーシャルセク ターに大きな変革をもたらすことが期待される。 そのためには、行政セクターの方々、 NPO/ ソーシャルベンチャーの方々、 我々金融仲介業者が SIB に関する正しい理解を得ることが不可欠である。本 思資料がその一助になれば幸いである。 何かご質問はございますか? ご興味ある方はご気軽にご連絡下さい。 takukumazawa@gmail.com   23 ©Social Finance, 2011
  • 24. 会社概要 社名 株式会社ソーシャルインパクト リ ・ サーチ 事業内容 ソーシャルベンチャーの経営支援事業 ソーシャルインパクト の測定およびコ ンサルティング ファ 組成、 ンド 運用、証券化事業 ソーシャルファ イナンスのプラッ フォーム運営 ト 証券会社向けアナリ レポート スト 作成 本社 東京都新宿区弁天町87-1105 設立 2010 年10月1日 資本金 1000万円 登録 適格機関投資家等特例業者 第二種金融商品取引業者  関東財務局長( 金商)第2623号 代表者 熊沢  河合朋子 拓、 Copyright © 2012 Social Impact Research Co., Ltd. All rights reserved.
  • 25.
  • 26. 門脇 哲男 株式会社ソーシャルインパクト リ ・ サーチ パートナー 日本貿易振興機構( JETRO) 日本興業銀行NY支店  米国野村證券NY企業金融部  バイスプレジデント ケミカル証券東京事務所  取締役企業金融担当上席代表 ドレスナー証券東京支店  引受部次長 株式会社ジャフコ 海外投資部次長 、 香港社長、 他を歴任 河合 朋子 株式会社ソーシャルインパクト リ ・ サーチ パートナー、工学博士              東京都立大学大学院博士課程修了、 工学博士 エコール・ダルシテクテュール・ =ベルヴィ パリ ル校留学 文化女子短期大学非常勤講師 不動産会社  取締役 Copyright © 2012 Social Impact Research Co., Ltd. All rights reserved.
  • 27. 山本紗知  ( 株)ソーシャルインパクト・リサーチ 主任研究員 神戸大学発達科学部 人間環境科学科 卒業 大阪府立大学大学院 農学生命科学研究科 博士前期課程中退 出版社を経て 2006 年にトーマツ環境品質研究所に入社し、 CSR や ISO に関する国内外の動向調査等に携わった後、 三菱総合研究所 環境エネルギー部にて厚労省・環境省からの受託調査リサーチアシスタント 株式会社インテグレックスにて従業員コンプライアンス意識調査のプロジェクトマネジメント
  • 28. ご清聴、ありがとうございました Copyright © 2012 Social Impact Research Co., Ltd. All rights reserved. 28