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アブストラクトに
騙されない
2006年、Global Strategies for HIV Preventionの社長であるアーサー・アマンは
ある不穏な発言をしました
Lancet 2008;371:281
最近、アフリカ南部で周産期のHIV予防に取り組んでいる医師に会いまし
たが,彼らはインターネット上の抄録を主な情報源としていました.
彼らは1つのアブストラクトに基づいて,周産期HIV予防プログラムを,有
効な治療法から有効性の低い治療法に変更してしまったのです.
もし彼らが論文の全文を読んでいたら,その研究結果が非常に限定された
対象をもとに短期間の追跡調査に基づいており,さらに不完全なデータか
らも,自分たちの国の状況には当てはまらないことを間違いなく理解して
いたでしょう.
1999年,アブスト合ってませんよ事件
5大メジャー誌
Annals of Internal Medicine,BMJ,JAMA,Lancet,NEJMの
アブストと本文内容の不一致率が
18~68%
JAMA 1999;281:1110
業を煮やしたCONSORTが
RCTアブスト作成ガイドを公表
PLoS Med. 2008; 5: e20
内容としては,RCTの批判的吟味する内容を
細かくアブストにも記載せよというもの.
総論から確認,具体例も記載されている.
この文献を読むだけでも,かなり勉強になる.
現在のRCTのアブストの書き方はこれに準ずる
ようになっている.
不甲斐なさを克服するために
CONSORTのRCTアブストチェックリスト(1)
BMJ Open.2016;6:e011082
トピック チェック内容
タイトル ランダム割付と明示しているか
研究デザイン RCTの種類を明示しているか
ex)クラスター,クロスオーバー,非劣性など
METHOD 患者 組入/除外基準
セッティング(ex プライマリ・ケア,大学病院,国)
介入 介入内容(用法用量,期間)
目的 研究目的が明確か
アウトカム メイン,副次を明記しているか
ランダム化 割付方法,隠蔽化
マスキング 誰が?
なんだかんだいって
RCTの批判的吟味の
チェックポイントそのもの
トピック チェック内容
結果 それぞれの群に何人割付られたか
それぞれの群で解析された人数
それぞれの群のプライマリアウトカムの結果
結果の点推定値と信頼区間の記載
有害事象の記載.発生がないならないと記載
結論 解釈は明快か
登録 研究の登録番号
資金源 記載されているか
不甲斐なさを克服するために
CONSORTのRCTアブストチェックリスト(2)
BMJ Open.2016;6:e011082
せっかく作ったのにチェックリストの遵守率は高くはなかった
BMJ Open.2016;6:e011082
雑誌 チェックリスト遵守度
NEJM 55%
Annals of Internal Medicine 70%
Lancet 78%
BMJ 65%
JAMA 63%
2016年,アブスト まだまだですよ事件
チェックポイントごとの遵守率
BMJ Open.2016;6:e011082
ポイント 平均遵守率
タイトル 79%
研究デザイン 51%
組入基準 76%
研究セッティング 58%
介入 87%
研究目的 96%
プライマリアウトカム 91%
ランダム割付方法 19%
隠蔽化 8%
ポイント 平均遵守率
マスキング 60%
割付人数 61%
解析人数(ITT) 44%
アウトカム発生数 83%
効果推定値 81%
有害事象 50%
結果の解釈 99%
登録 96%
資金源 53%
遵守率が低い項目は本文でチェックしなければわからない
アブストを見るには,ここに特に注意
PICOを細かくしっかりチェック
自分の患者さんに適用可能かどうかの視点で
有害事象の記載をチェック
資金源をチェック
研究結果と解釈/結論が一致しているか
プライマリアウトカムがイマイチのときに,副次アウトカムの結果をメインのようにアピールしてたらアウト
企業ベースでは有意差が出やすいことが証明されている.質が低いかは別の話だが..
これの記載が不当にないことで,効果ばかりが強調される可能性がある
現実的には
ベースラインの違い,脱落は記載されていないかも
抄読会でやってみたら,これらはアブストの吟味からは外れていた.本文案件.

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