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実数列全体を
V = {x = (x1,x2,...,xk,...) : x1,x2,...,xk,... ∈ R}
とする.V の元 x = (x1,x2,...,xk,...), y = (y1,y2,...,yk,...) と c ∈ R に対 し,和 x+y
とスカラー倍 cx を x + y = (x1 + y1,x2 + y2,...,xk + yk,...) cx = (cx1,cx2,...,cxk,...)
と定めて,V にベクトル空間の構造を入れる. a1, a2, a3 ∈ R に対し,漸化式
(∗) xn+3 + a1xn+2 + a2xn+1 + a3xn = 0 (n = 1,2,...) を満たす実数列 x =
(x1,x2,...,xk,...) 全体を W とする.以下の問に答えよ.
(1) W は V の部分空間であることを示せ.
(2) x1,x2,x3 ∈W を
x1 = (1,0,0,......) x2 = (0,1,0,......) x3 = (0,0,1,......)
とするとき,x1, x2, x3 は W の基底であることを示せ.
(3) 線形変換 T : W → W を
T(x1,x2,...,xk,xk+1,...) = (x2,x3,...,xk+1,xk+2,...) によって定めるとき,基底 x1, x2, x3
に関する T の表現行列を求めよ.
(4) 実数 λ が T の固有値であるとき,λ に対する固有空間を λ を用いて
表せ.
実数列全体を
V = {x = (x1,x2,...,xk,...) : x1,x2,...,xk,... ∈ R}
とする.V の元 x = (x1,x2,...,xk,...), y = (y1,y2,...,yk,...) と c ∈ R に対 し,和 x+y とスカラー倍 cx を
x + y = (x1 + y1,x2 + y2,...,xk + yk,...) cx = (cx1,cx2,...,cxk,...)
と定めて,V にベクトル空間の構造を入れる. a1, a2, a3 ∈ R に対し,漸化式
(∗) xn+3 + a1xn+2 + a2xn+1 + a3xn = 0 (n = 1,2,...) を満たす実数列 x = (x1,x2,...,xk,...) 全体を W とする.以下の問
に答えよ.
(1) W は V の部分空間であることを示せ
証明 例えばスカラー倍は xn+3 + a1xn+2 + a2xn+1 + a3xn = 0 ならばk(xn+3 + a1xn+2 + a2xn+1 + a3xn
= 0 )からわかる。他も同様。
(2) x1,x2,x3 ∈W を
x1 = (1,0,0,......) x2 = (0,1,0,......) x3 = (0,0,1,......)
とするとき,X1, X2, X3 は W の基底であることを示せ.
独立性は明らか。また任意の元x=(x1,x2,x3,x4….)はx1とx2とx3が決まれば他も決まるので
W=<X1,X2,X3>がわかる。
(3) 線形変換 T : W → W を
T(x1,x2,...,xk,xk+1,...) = (x2,x3,...,xk+1,xk+2,...) によって定めるとき,基底 x1, x2, x3 に関する T の表現行列を求め
よ.
T=
0 1 0
0 0 1
−𝑎1 −𝑎2 −𝑎3
(4) 実数 λ が T の固有値であるとき,λ に対する固有空間を λ を用いて表せ.
λが0でない時、λx=Txとするとx2=x3/λ x3=x4/λ λx4=-a1x2-a2x3-a3x4 x2=x4/λ
これを説くとx=t(1/λλ,1/λ,1)である。

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  • 2. 実数列全体を V = {x = (x1,x2,...,xk,...) : x1,x2,...,xk,... ∈ R} とする.V の元 x = (x1,x2,...,xk,...), y = (y1,y2,...,yk,...) と c ∈ R に対 し,和 x+y とスカラー倍 cx を x + y = (x1 + y1,x2 + y2,...,xk + yk,...) cx = (cx1,cx2,...,cxk,...) と定めて,V にベクトル空間の構造を入れる. a1, a2, a3 ∈ R に対し,漸化式 (∗) xn+3 + a1xn+2 + a2xn+1 + a3xn = 0 (n = 1,2,...) を満たす実数列 x = (x1,x2,...,xk,...) 全体を W とする.以下の問 に答えよ. (1) W は V の部分空間であることを示せ 証明 例えばスカラー倍は xn+3 + a1xn+2 + a2xn+1 + a3xn = 0 ならばk(xn+3 + a1xn+2 + a2xn+1 + a3xn = 0 )からわかる。他も同様。 (2) x1,x2,x3 ∈W を x1 = (1,0,0,......) x2 = (0,1,0,......) x3 = (0,0,1,......) とするとき,X1, X2, X3 は W の基底であることを示せ. 独立性は明らか。また任意の元x=(x1,x2,x3,x4….)はx1とx2とx3が決まれば他も決まるので W=<X1,X2,X3>がわかる。 (3) 線形変換 T : W → W を T(x1,x2,...,xk,xk+1,...) = (x2,x3,...,xk+1,xk+2,...) によって定めるとき,基底 x1, x2, x3 に関する T の表現行列を求め よ. T= 0 1 0 0 0 1 −𝑎1 −𝑎2 −𝑎3 (4) 実数 λ が T の固有値であるとき,λ に対する固有空間を λ を用いて表せ. λが0でない時、λx=Txとするとx2=x3/λ x3=x4/λ λx4=-a1x2-a2x3-a3x4 x2=x4/λ これを説くとx=t(1/λλ,1/λ,1)である。