「アカイカ」は日本で多く漁獲されるイカの一種で、北太平洋の沖合に広く生息し、スルメイカの代替として裂きイカの原料に使われている。日本以外でも中国、韓国、台湾、ロシアなどがアカイカを漁獲しており、近年その資源量は減少傾向にある一方、具体的な管理方策は未だ確立されていない。アカイカ資源を適切に管理し、持続可能な漁業を可能にするためには、自国だけでなく他国がいつどこで漁業を行っているかを知る必要があるが、他国の活動を把握するのは容易ではない。そこで注目したのが、人命安全のために漁船に搭載されている自動船舶識別装置(AIS)である。AISは人工衛星からデータの取得が可能で、国籍、速度、位置情報などが含まれていることから、各国の漁船の動きをつぶさに観察することができる。我々はAISデータを用いて、日本漁船団だけでなく中国、台湾漁船団を追跡し、その動きから漁場の分布と変動の解析を行った。