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Omekaを用いた
デジタルコレクションの公開と活用
- 東京大学デジタルアーカイブズ構築事業における構築事例 -
中村覚
(東京大学情報基盤センター)
1
発表内容
● 自己紹介
● Omekaとは
○ Omekaとは
○ Omekaの活用例
● 東京大学デジタルアーカイブズ構築事業におけるOmekaの利用例
○ 東京大学学術資産等アーカイブズ共用サーバ
○ 東京大学文書館デジタル・アーカイブ
● 持続可能なデジタルアーカイブを目指して
● 結論
2
自己紹介
3
平賀譲デジタルアーカイブ
4
● 平賀譲 ひらが・ゆずる(1878-1943)
○ 海軍造船中将 
○ 第13代東京帝国大学総長 (1938-1943)
● 彼が遺した艦艇計画・建造関係の技術資料を中心とする史料 44,000点をデジタル
化し公開
http://gazo.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/hiraga2/
東京大学デジタルアーカイブズ構築事業
5
「東京大学ビジョン 」
アクション1
③ 学術の多様性を支える基盤の強化
• 東京大学が保持する学術資産のアーカイブを構築し、その公開と活用を促進する
ことで、学術の多様性を支える基盤を強化する
東京大学デジタルアーカイブズ構築事業
2016.09 東京大学学術資産等アーカイブズ委員会 設置
•東京大学に学術資産等アーカイブズを構築し、及び活用することにより、
学術の多様性を支える基盤の強化を図る
東京大学学術資産等アーカイブズ委員会規則(平成 年 月 日 役員会議決 東大規則第 号)
委員: 附属図書館長
    総合研究博物館長
    文書館長
    情報基盤センター長
    総長が指定する部局の長から推薦された教授又は准教授 各1名
    その他総長が必要と認めた者
6
東京大学デジタルアーカイブズ構築事業
2017.04 学術資産アーカイブ化推進室 設置
•東京大学が保持する学術資産等のアーカイブズの構築、活用にかかる
事業の推進を支援する
東京大学学術資産アーカイブ化推進室規則(平成 年 月 日 附属図書館長裁定)
 室長:附属図書館副館長
 室員:情報基盤センター教員
    附属図書館事務部各課職員
    情報システム部情報基盤課職員
7
8
9
Omekaとは
10
Omekaとは
11
● Omeka(オメカ)は、オンラインのデジタルコレクションのためのフリーでオープン
ソースのコンテンツ管理システム。文化遺産をオンライン上で発行したり展示するこ
とができるウェブアプリケーションであり、テーマとプラグインで機能を拡張すること
ができる。
○ https://ja.wikipedia.org/wiki/Omeka
● 開発元:Roy Rosenzweig Center for History and New Media, George Mason
University
○ https://rrchnm.org/
● 初版:2008年
Omekaの種類
● Omeka Classic(2008年〜)
○ 個別プロジェクトまたは教育者向け
○ 「5分で使えるように」というコンセプト
● Omeka.net(2010年10月〜)
○ Omeka Classicのクラウド版
○ 無料・有料オプションあり
● Omeka S(2017年11月 正式バージョン公開)
○ 機関向け
○ 複数サイトの管理、LOD(Linked Open Data)対応
12
Omeka Classicの特徴
● 使いやすさ:「5分で使えるように」というコンセプト
○ LAMP環境で動作可能 → 一般的なレンタルサーバでも動作可能
● 高い柔軟性と拡張性
○ テーマ、モジュール、 REST API
● メタデータ標準「Dublin Core」への準拠
● 各種ドキュメント(英語)の豊富さ
● オープンソース:無料で利用でき、自由に改変可能
● 個別または共同作業のための機会の提供
● 強力なサポートコミュニティ
13
Omeka Sの特徴
14
● 各種ドキュメント(英語)の豊
富さ
● オープンソース:無料で利用
でき、自由に改変可能
● 【簡便さ】LAMP環境で動作
可能
○ 一般的なレンタルサーバでも
動作可能
● 【拡張性】REST APIの提供
Omeka Classicの利用事例(海外)
15
https://omeka.org/classic/directory/https://omeka.org/classic/showcase/
Omeka Classicの利用事例(国内)
● 人文科学とコンピュータ研究会・研究報告検索サイト / DH articles in japan | DH
articles in Japan
○ http://www2.dhii.jp/dhomeka
● 2017年「NDLデジタルライブラリーカフェ」「地域資料を最新規格でお手軽に使いや
すくしてみよう」
○ http://digital.culturalresources.jp/iiifomeka/neatline/show/ndl-libcafe#records/6
● デジタル展示・からいと
○ http://digital.culturalresources.jp/omeka-yang/exhibits/show/karaito/karaito_intro
● 平賀譲デジタルアーカイブ
○ http://gazo.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/hiraga2/
● 横浜美術館(ヨコハマ・アート・LOD by 公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)
○ http://collection.yokohama.art.museum/
16
地図・年表へのマッピング
17
Omeka Classic - Neatline,
https://omeka.org/classic/plugins/Neatli
ne/
複数人による共同
アノテーション付与
18
Omeka Classic - IIIF Toolkit,
https://omeka.org/classic/plugins/IiifItems/
IIIFの配信
19
● Omeka Classic -
Omeka-plugin-UniversalViewer
https://github.com/Daniel-KM/Omeka-plug
in-UniversalViewer
● Omeka S - IIIF Server
https://omeka.org/s/modules/IiifServer/
Apache Solrとの連携
20
Omeka S - Solr
https://omeka.org/s/modules/Solr/
東京大学デジタルアーカイブズ構築事業に
おけるOmekaの利用例
21
東京大学デジタルアーカイブズ構築事業における
Omekaの利用例
22
● 東京大学学術資産等アーカイブズ共用サーバ
○ 2018年1月 公開
○ https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/contents/collection
○ 特徴:複数サイトの管理
● 東京大学文書館デジタル・アーカイブ
○ 2018年8月31日 公開
○ http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/UTArchives/uta/
○ 特徴:”スリムモデル”の実装
23
24
● 総合図書館
○ 明・弘治十八年八月二十日勅命
○ 百鬼夜行図
○ 『三十六歌撰』絵巻
○ 紀州熊野浦諸鯨之圖
○ 直江状
○ 写真帖『東京帝國大學』
○ 松乃栄
○ 救世主像
○ 稿本「自然真営道」
○ 松濤ノート
○ 田中芳男・博物学コレクション
○ 皇明條法事類纂デジタルアーカイブ
● 史料編纂所
○ 水野家古文書(水野忠幹氏旧蔵書文書 )
● 法学部
○ 甲州法度之次第
東京大学学術資産等アーカイブズ共用サーバ
25
東京大学デジタル・アーカイブ
持続可能なデジタルアーカイブを目指して
26
デジタルアーカイブの
利活用支援に向けて
27
● APIの提供
● データのオープン化
● LODの提供
● 国際的な標準規格へ
の準拠
○ IIIF
○ TEI
○ Vocabulary
■ Dublin Core
■ ISAD(G)
“スリムモデル”
28
福島 幸宏(京都府立図書館) , コメント ― スリムモデルのトップランナーへ ―, 【報告】アジアンライブラリーカ
フェno.002 古典籍 on flickr!~漢籍・法帖を写真サイトでオープンしてみると~ ,
http://u-parl.lib.u-tokyo.ac.jp/archives/japanese/report_cafe2
結論
29
結論
30
● Omekaの紹介
○ Omeka Classic, Omeka.net, Omeka S
○ プラグインによる機能拡張
● 東京大学デジタルアーカイブズ構築事業におけるOmekaの利用例
○ 複数コレクションの管理
○ スリムモデルの実装
● 持続可能なデジタルアーカイブを目指して
○ “持続可能性の向上”と”利活用支援”に向けて

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