このスライドは2014年11月28日に東京大学のGlobal Design Seminarでの講演に使われました。
http://www.gcl.i.u-tokyo.ac.jp/wp-content/uploads/2014/11/Rakuten20141128.pdf
コンピュータは非常に高速な代わりに、機械語という単純な命令列しか理解できません。そのため、人間はコンピュータにしてほしいことを全て形式的に記述せねばなりません。
コンピュータ向けに翻訳することなしに、人間の直感による認識を表現するというのは、非常に難しい問題です。私達が日常行っているコミュニケーションは、聞き手や読み手の補完によって成り立っています。例えば、数学書の記述は、書き手の数学的認識を、読み手が自身の頭の中に構築するためのヒントの羅列に過ぎません。内容を理解するには、ただ一通り読むだけでは足りなくて、相当の思考が必要です。
人間の直感による認識の直接的な表現は、コンピュータの出現によって非常に重要な問題になりました。もしそのような表現が見つかれば、プログラミングにより、コンピュータに非常に少ない労力で仕事をさせることができるからです。幾つもの表現の抽象化の発見により、プログラミング言語は、直接かつ形式的に表現できる直感の範囲を広げてきました。しかしながら、人間の考えをコンピュータ向けに翻訳して記述せねばならない場面は未だにあります。そのような場面を見つけ、自身の直感を分析し、その直接的な表現を見出すことにより、私は新しいプログラミング言語Egisonを作りました。
本講演では、その研究の経緯を話すことにより、プログラミングやプログラミング言語の研究の面白さを共有したいと考えています。