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専門職問題セミナー                              平成24年2月23日




専門職問題セミナー
趣旨説明,及び全史料協の専門職問題に対する取り組みの
経緯

                                      琉球大学附属図書館
                                           大谷周平


1. 趣旨説明

1-1. 背景
• 平成22年 「公文書等の管理に関する法律」成立.
 衆議院附帯決議「公文書管理に関する職員の意識改革及び能力向上のための研修並びに 
 専門職員の育成を計画的に実施すること」
 参議院附帯決議「専門職員の資格制度の確立について検討を行うこと」
• 公文書館法第4条第2項
 「公文書館には,館長,歴史資料として重要な公文書等についての調査研究を行う専門   
  職員その他必要な職員を置くものとする」 
 に対する公文書館法 附則第2項
 「当分の間,地方公共団体が設置する公文書館には,第4条第2項の専門職員を置かな
  いことができる」
 理由は「専門職員を養成する体制が整備されていないことなど」
 (内閣官房副長官「公文書館法の解釈の要旨」)
• 全史料協は同職者団体として,専門職問題について継続的な提言を行ってきた.今後も
  同様の役割を求められる.


1-2. 図書館専門職問題を取り上げる意義
• 図書館法に規定された「司書となる資格」を有する.
• 図書館法(昭和25年)と公文書館法(昭和62年)と,情報専門職として先行する経験
• 資格・養成制度について課題も.


2. 全史料協の専門職問題に対する取り組み
2-1. 文書館法大綱案(昭和61年)
 全史料協法文小委員会作成
「文書館には専門的職員として文書士(アーキビスト)を置く.アーキビストは文書資料
に対する歴史的・文化的.行政的価値の評価を行い,第四の専門的業務を行う.」
専門職問題セミナー                              平成24年2月23日

「アーキビストの資格は,大学修了者または同等以上の学力及び経験を有する者と認めた
者で,アーキビスト養成機関の所定の課程を終了した者とする.」
 
2-2.「文書館専門職(アーキビスト)の養成についての提言」(平成元年)
 全史料協公文書館法問題小委員会の作成した最終報告書の第3部. 専門職の職務(収
集・移管,評価・選別,整理・分析,保存・提供) を明らかにした上で,以下の内容を
提言している.
   • アーキビストの(仮称)の資格は,大学院修士課程で必要な単位を修得したものに
     対し国が与えること.
   • アーキビスト養成のため大学院修士課程を設置すること.
   • 国は養成課程設置のために準備検討機関を早急に設けること. 


2-3.「文書館専門職(アーキビスト)養成制度の実現にむけて」(平成4年)
 全史料協(第一次)専門職問題特別委員会作成.
アーキビスト養成のカリキュラムの素案を示し,養成課程の設置形態及び資格認定に関し
以下のような提言.
   • 養成課程は大学院修士レベルとし,現職者も履修可能な形とすること.
   • 資格認定は養成機関で所定の単位を修得したものに国が行うこと.
   • 実務経験者には経過措置を講ずること.

2-4.「アーキビスト制度への提言」 (平成7年)
 全史料協第2次専門職問題特別委員会作成.以下のような内容を提言.
   • 第1種アーキビスト(大学院修了レベル),第2種アーキビスト(学部修了レベ
     ル),アーキビスト補(短期研修による資格認定)など階層制を設けること.
   • 資格認定については,高等専門職教育機関,管轄省庁のほかに全史料協を中心に第
     三者的認定機関を設けておこなうこと.
 
2-5. 専門職問題委員会の活動(平成8年 平成21年)
   • 「アーキビスト制度への提言」に対するアンケート調査.
   • 市区町村における史料保存関係者等の実務研修に関するアンケート調査.
   • 記録史料学等の開講に関する調査.
   • 海外におけるアーキビスト養成に関する調査.
   • 「アーキビスト制度関係資料集」刊行.

これまでの全史料協の専門職問題における取り組みを集約すると
公文書館法附則第2項の撤廃と現職者に対する配慮をしながら
 • 国民に広く開かれた大学院レベルの養成課程と資格制度の必要性.
 • 養成課程におけるカリキュラムの内容.
専門職問題セミナー                              平成24年2月23日




3.これからの専門職問題に対して全史料協としてどのよ
うに取り組むのか.
• 全史料協のこれまでの提言内容は形を変えつつも一定程度実現しつつある.
   • 大学院レベルの養成課程
   • 民間資格として日本アーカイブス学会の「 日本アーカイブス学会登録アーキビスト
     (仮称)」


これらの制度が上手く機能するのか,提案や協力を行いつつ,求められる専門職像を改め
て方向性を打ち出す必要がある.


本日の講演,それをうけて午後実施するワークショップでの意見を集約することで全史料
協として専門職像を改めて打ち出す場としたい.


資料
アーキビスト養成課程
                講座名                                     設置年
駿河台大学 メディア情報学部 図書館アーカイブズコース                               1994
駿河台大学 現代情報文化研究科 文化情報学専攻                                   1999
東京大学 情報学環 学際情報学専攻                                         2000
東京大学 人文社会系研究科 文化資源学専攻                                     2000
別府大学 文学部 史学・文化財学科 日本史・アーカイブズコース                           2004
学習院大学 人文科学研究科 アーカイブズ学専攻                                   2008
森本祥子. これからのアーキビスト養成の課題についての一考察 : アメリカの現状をふまえて.研究年報,56,2010,p239.


専門職問題年譜
昭和42年(1967)9月  日本歴史学協会「日本史資料の保存・整備・利用・サービス
               についての構想案」を提出.「専門職員の養成は,そのため
               の特別な養成機関において行う」ことを要望
昭和44年(1969)    日本学術会議「歴史資料保存法の制定について(勧告)」.
               「文書館には専門職員を置かねばならない.専門職員の認
               定・養成については別に定める」
昭和61年(1986)    全史料協「文書館法大綱案」.「文書館には専門的職員とし
               て文書士(アーキビスト)を置く」
昭和62年(1987)12月 公文書館法成立
昭和63年(1988)6月      公文書館法施行
昭和63年(1988)6月      シンポジウム「公文書館法の意義と専門職養成の課題」共催
専門職問題セミナー                              平成24年2月23日

平成元年(1989)1月     「記録遺産を守るために-公文書館法の意義と課題」公表,第
                 3部は「文書館専門職(アーキビスト)の養成についての提
                 言」
平成元年(1989)10月    全史料協第15回全国大会総会で「公文書館専門職員養成制度
                 の確立に関する要望書」採択,同26日内閣総理大臣宛に提
                 出.
平成3年(1991)3月     全史料協「会報」第21号特集「文書館専門職の諸問題」発行
平成3年(1991)11月    専門職問題特別委員会(第一次)設置(次年度総会までに報
                 告をまとめることを任務)
平成4年(1992)       専門職問題特別委員会.アンケート調査を実施.地区別
                 フォーラムの開催,報告書「文書館専門職(アーキビスト)
                 養成制度の実現にむけて」を作成
平成4年(1992)11月    全史料協全国大会総会で「文書館専門職員養成制度確立に関
                 する要望・請願」を決議.
平成5年(1993)3月     約1万人の署名をそえた「文書館専門職員養成制度確立に関
                 する請願書」衆参両院議長に提出,さらに内閣総理大臣,文
                 部大臣,自治大臣に提出
平成6年(1994)       両議員内閣委員会と本会議にて,誓願は議決.
平成5年(1993)3月     全史料協「会報」第27号特集「アーキビスト養成をめぐっ
                 て」発行
平成5年(1993)9月     全史料協「会報」第28号特集「専門職問題ー国立公文書館
                 『専門職に関する研究会報告書』をめぐって」発行
平成6年(1994)       専門職問題特別委員会(第二次)が全史料協会長の諮問機関
                 として設置
平成7年(1995)       シンポジウム「アーキビスト(文書館専門職)問題を考え
                 る」共催,報告書「アーキビスト制度への提言」を作成.
平成8年(1996)3月     全史料協「会報」36号特集第二次専門職特別委員会報告
平成8年(1996)4月     全史料協各種委員会の一つとして専門職問題委員会が設立さ
                 れ,専門職制度や養成制度問題を継続して検討.
平成8年(1996)12月    アーキビスト制度への提言に対するアンケート調査.平成9年7
                 月集計結果報告書発行
平成8年(1996)6月     全史料協「会報」37号特集第二次専門職特別委員会報告
平成10年(1998)3月    第1回専門職養成問題大学関係者懇談会開催
平成10年(1998)6月  国立公文書館「公文書館専門職員養成課程実施要項」を決
               定.国・地方公共団体の公文書館などに勤務する職員を対象
               とした4週間の専門職員研修課程を開設.
平成10年(1998)9月  資料保存期間職員の実態調査アンケート.平成11年3月集計結
               果配布
平成10年(1998)11月 全史料協総会で「養成制度の確立を望むアピール」を採択
平成11年(1999)10月   国文学研究資料館再編にともなう要望書.国立資料館の機能の
                 維持.拡充を求めた要望書を国文学研究資料館長に提出.
専門職問題セミナー                              平成24年2月23日

平成12年(2000)4月  記録史料学等の開講に関する調査.全国の大学を対象に標記
               調査を実施.平成13年集計結果報告書を発行
平成12年(2000)4月  市区町村における史料保存関係者等の実務研修に関するアン
               ケート調査を実施,平成13年10月にその集計結果報告書を
               作成し配布
平成13年(2001)11月 国文学研究資料館史料館の充実強化について,全史料協総会
               で要望を提案し,採択.
平成14年(2002)11月 全史料協総会大会テーマ研究会.高埜利彦委員「史料保存の
               担い手とその養成-専門職問題委員会の取り組み-」
平成15年(2003)3月  イギリス・アイルランドでの調査結果をまとめた「海外にお
               けるアーキビスト養成に関する調査報告書」刊行
平成16年(2004)4月 中国で開催されたICA・SAE主催の「アジア太平洋地域アー
               カイブズ学教育国際会議」に委員が参加.会議概要や報告2
               編を翻訳した「海外におけるアーキビスト養成に関する調査
               報告書(2)」を刊行
平成16年(2004)    資料管理学等開講大学に対する第2次調査.平成18年3月
               「アーキビスト養成の現状分析と今後の展望」として,まと
               めたものを配布
平成19年(2007)10月 第2回アジア太平洋アーカイブズ学教育国際会議の共催,大
               会の全体テーマは「電子時代におけるアーカイブズ学研究と
               アーカイブズ学教育」
平成20年(2008)6月  シンポジウム「公文書館法施行20周年に考える」共催,日本
               学術会議史学委員会・日本歴史学協会との共催,
平成21年(2009)3月  「アーキビスト制度関係資料集」発行
平成21年(2009)3月   専門職問題委員会は,その他の委員会とともに調査・研究委
                員会として発展的解消
平成21年(2009)     公文書管理法成立
平成21年(2009)6月   公文書管理法付帯決議 衆議院「専門職員の育成を計画的に
                実施」参議院「専門職員の資格制度の確立について検討を行
                うこと」
平成23年(2011)     公文書管理法施行
平成23年(2011)6月   「日本アーカイブス学会登録アーキビスト(仮称)」の資格
                認定制度創設について
 

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2012023全史料協専門職問題セミナー大谷報告

  • 1. 専門職問題セミナー                              平成24年2月23日 専門職問題セミナー 趣旨説明,及び全史料協の専門職問題に対する取り組みの 経緯 琉球大学附属図書館 大谷周平 1. 趣旨説明 1-1. 背景 • 平成22年 「公文書等の管理に関する法律」成立.  衆議院附帯決議「公文書管理に関する職員の意識改革及び能力向上のための研修並びに   専門職員の育成を計画的に実施すること」  参議院附帯決議「専門職員の資格制度の確立について検討を行うこと」 • 公文書館法第4条第2項  「公文書館には,館長,歴史資料として重要な公文書等についての調査研究を行う専門      職員その他必要な職員を置くものとする」   に対する公文書館法 附則第2項  「当分の間,地方公共団体が設置する公文書館には,第4条第2項の専門職員を置かな   いことができる」  理由は「専門職員を養成する体制が整備されていないことなど」  (内閣官房副長官「公文書館法の解釈の要旨」) • 全史料協は同職者団体として,専門職問題について継続的な提言を行ってきた.今後も 同様の役割を求められる. 1-2. 図書館専門職問題を取り上げる意義 • 図書館法に規定された「司書となる資格」を有する. • 図書館法(昭和25年)と公文書館法(昭和62年)と,情報専門職として先行する経験 • 資格・養成制度について課題も. 2. 全史料協の専門職問題に対する取り組み 2-1. 文書館法大綱案(昭和61年)  全史料協法文小委員会作成 「文書館には専門的職員として文書士(アーキビスト)を置く.アーキビストは文書資料 に対する歴史的・文化的.行政的価値の評価を行い,第四の専門的業務を行う.」
  • 2. 専門職問題セミナー                              平成24年2月23日 「アーキビストの資格は,大学修了者または同等以上の学力及び経験を有する者と認めた 者で,アーキビスト養成機関の所定の課程を終了した者とする.」   2-2.「文書館専門職(アーキビスト)の養成についての提言」(平成元年)  全史料協公文書館法問題小委員会の作成した最終報告書の第3部. 専門職の職務(収 集・移管,評価・選別,整理・分析,保存・提供) を明らかにした上で,以下の内容を 提言している. • アーキビストの(仮称)の資格は,大学院修士課程で必要な単位を修得したものに 対し国が与えること. • アーキビスト養成のため大学院修士課程を設置すること. • 国は養成課程設置のために準備検討機関を早急に設けること.  2-3.「文書館専門職(アーキビスト)養成制度の実現にむけて」(平成4年)  全史料協(第一次)専門職問題特別委員会作成. アーキビスト養成のカリキュラムの素案を示し,養成課程の設置形態及び資格認定に関し 以下のような提言. • 養成課程は大学院修士レベルとし,現職者も履修可能な形とすること. • 資格認定は養成機関で所定の単位を修得したものに国が行うこと. • 実務経験者には経過措置を講ずること. 2-4.「アーキビスト制度への提言」 (平成7年)  全史料協第2次専門職問題特別委員会作成.以下のような内容を提言. • 第1種アーキビスト(大学院修了レベル),第2種アーキビスト(学部修了レベ ル),アーキビスト補(短期研修による資格認定)など階層制を設けること. • 資格認定については,高等専門職教育機関,管轄省庁のほかに全史料協を中心に第 三者的認定機関を設けておこなうこと.   2-5. 専門職問題委員会の活動(平成8年 平成21年) • 「アーキビスト制度への提言」に対するアンケート調査. • 市区町村における史料保存関係者等の実務研修に関するアンケート調査. • 記録史料学等の開講に関する調査. • 海外におけるアーキビスト養成に関する調査. • 「アーキビスト制度関係資料集」刊行. これまでの全史料協の専門職問題における取り組みを集約すると 公文書館法附則第2項の撤廃と現職者に対する配慮をしながら • 国民に広く開かれた大学院レベルの養成課程と資格制度の必要性. • 養成課程におけるカリキュラムの内容.
  • 3. 専門職問題セミナー                              平成24年2月23日 3.これからの専門職問題に対して全史料協としてどのよ うに取り組むのか. • 全史料協のこれまでの提言内容は形を変えつつも一定程度実現しつつある. • 大学院レベルの養成課程 • 民間資格として日本アーカイブス学会の「 日本アーカイブス学会登録アーキビスト (仮称)」 これらの制度が上手く機能するのか,提案や協力を行いつつ,求められる専門職像を改め て方向性を打ち出す必要がある. 本日の講演,それをうけて午後実施するワークショップでの意見を集約することで全史料 協として専門職像を改めて打ち出す場としたい. 資料 アーキビスト養成課程 講座名 設置年 駿河台大学 メディア情報学部 図書館アーカイブズコース 1994 駿河台大学 現代情報文化研究科 文化情報学専攻 1999 東京大学 情報学環 学際情報学専攻 2000 東京大学 人文社会系研究科 文化資源学専攻 2000 別府大学 文学部 史学・文化財学科 日本史・アーカイブズコース 2004 学習院大学 人文科学研究科 アーカイブズ学専攻 2008 森本祥子. これからのアーキビスト養成の課題についての一考察 : アメリカの現状をふまえて.研究年報,56,2010,p239. 専門職問題年譜 昭和42年(1967)9月 日本歴史学協会「日本史資料の保存・整備・利用・サービス についての構想案」を提出.「専門職員の養成は,そのため の特別な養成機関において行う」ことを要望 昭和44年(1969) 日本学術会議「歴史資料保存法の制定について(勧告)」. 「文書館には専門職員を置かねばならない.専門職員の認 定・養成については別に定める」 昭和61年(1986) 全史料協「文書館法大綱案」.「文書館には専門的職員とし て文書士(アーキビスト)を置く」 昭和62年(1987)12月 公文書館法成立 昭和63年(1988)6月 公文書館法施行 昭和63年(1988)6月 シンポジウム「公文書館法の意義と専門職養成の課題」共催
  • 4. 専門職問題セミナー                              平成24年2月23日 平成元年(1989)1月 「記録遺産を守るために-公文書館法の意義と課題」公表,第 3部は「文書館専門職(アーキビスト)の養成についての提 言」 平成元年(1989)10月 全史料協第15回全国大会総会で「公文書館専門職員養成制度 の確立に関する要望書」採択,同26日内閣総理大臣宛に提 出. 平成3年(1991)3月 全史料協「会報」第21号特集「文書館専門職の諸問題」発行 平成3年(1991)11月 専門職問題特別委員会(第一次)設置(次年度総会までに報 告をまとめることを任務) 平成4年(1992) 専門職問題特別委員会.アンケート調査を実施.地区別 フォーラムの開催,報告書「文書館専門職(アーキビスト) 養成制度の実現にむけて」を作成 平成4年(1992)11月 全史料協全国大会総会で「文書館専門職員養成制度確立に関 する要望・請願」を決議. 平成5年(1993)3月 約1万人の署名をそえた「文書館専門職員養成制度確立に関 する請願書」衆参両院議長に提出,さらに内閣総理大臣,文 部大臣,自治大臣に提出 平成6年(1994) 両議員内閣委員会と本会議にて,誓願は議決. 平成5年(1993)3月 全史料協「会報」第27号特集「アーキビスト養成をめぐっ て」発行 平成5年(1993)9月 全史料協「会報」第28号特集「専門職問題ー国立公文書館 『専門職に関する研究会報告書』をめぐって」発行 平成6年(1994) 専門職問題特別委員会(第二次)が全史料協会長の諮問機関 として設置 平成7年(1995) シンポジウム「アーキビスト(文書館専門職)問題を考え る」共催,報告書「アーキビスト制度への提言」を作成. 平成8年(1996)3月 全史料協「会報」36号特集第二次専門職特別委員会報告 平成8年(1996)4月 全史料協各種委員会の一つとして専門職問題委員会が設立さ れ,専門職制度や養成制度問題を継続して検討. 平成8年(1996)12月 アーキビスト制度への提言に対するアンケート調査.平成9年7 月集計結果報告書発行 平成8年(1996)6月 全史料協「会報」37号特集第二次専門職特別委員会報告 平成10年(1998)3月 第1回専門職養成問題大学関係者懇談会開催 平成10年(1998)6月 国立公文書館「公文書館専門職員養成課程実施要項」を決 定.国・地方公共団体の公文書館などに勤務する職員を対象 とした4週間の専門職員研修課程を開設. 平成10年(1998)9月 資料保存期間職員の実態調査アンケート.平成11年3月集計結 果配布 平成10年(1998)11月 全史料協総会で「養成制度の確立を望むアピール」を採択 平成11年(1999)10月 国文学研究資料館再編にともなう要望書.国立資料館の機能の 維持.拡充を求めた要望書を国文学研究資料館長に提出.
  • 5. 専門職問題セミナー                              平成24年2月23日 平成12年(2000)4月 記録史料学等の開講に関する調査.全国の大学を対象に標記 調査を実施.平成13年集計結果報告書を発行 平成12年(2000)4月 市区町村における史料保存関係者等の実務研修に関するアン ケート調査を実施,平成13年10月にその集計結果報告書を 作成し配布 平成13年(2001)11月 国文学研究資料館史料館の充実強化について,全史料協総会 で要望を提案し,採択. 平成14年(2002)11月 全史料協総会大会テーマ研究会.高埜利彦委員「史料保存の 担い手とその養成-専門職問題委員会の取り組み-」 平成15年(2003)3月 イギリス・アイルランドでの調査結果をまとめた「海外にお けるアーキビスト養成に関する調査報告書」刊行 平成16年(2004)4月 中国で開催されたICA・SAE主催の「アジア太平洋地域アー カイブズ学教育国際会議」に委員が参加.会議概要や報告2 編を翻訳した「海外におけるアーキビスト養成に関する調査 報告書(2)」を刊行 平成16年(2004) 資料管理学等開講大学に対する第2次調査.平成18年3月 「アーキビスト養成の現状分析と今後の展望」として,まと めたものを配布 平成19年(2007)10月 第2回アジア太平洋アーカイブズ学教育国際会議の共催,大 会の全体テーマは「電子時代におけるアーカイブズ学研究と アーカイブズ学教育」 平成20年(2008)6月 シンポジウム「公文書館法施行20周年に考える」共催,日本 学術会議史学委員会・日本歴史学協会との共催, 平成21年(2009)3月 「アーキビスト制度関係資料集」発行 平成21年(2009)3月 専門職問題委員会は,その他の委員会とともに調査・研究委 員会として発展的解消 平成21年(2009) 公文書管理法成立 平成21年(2009)6月 公文書管理法付帯決議 衆議院「専門職員の育成を計画的に 実施」参議院「専門職員の資格制度の確立について検討を行 うこと」 平成23年(2011) 公文書管理法施行 平成23年(2011)6月 「日本アーカイブス学会登録アーキビスト(仮称)」の資格 認定制度創設について