1. 奥村泰之1)，浅見優子2)
1) 一般財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構 研究部 研究員
2) ファイザー株式会社 循環器・代謝・中枢神経領域 メディカル・アフェアーズ部
ジェイゾロフト／ガバペン メディカルチーム
うつ病の医療経済
第4回アジア認知行動療法会議学術総会・第13回日本認知療法学会・日本行動療法学会第39回大会
ここまで進んだうつ病研究
2013/8/25 (日) 9:30-11:20
於:帝京平成大学池袋キャンパス 第3会場 4階 (416)
Health economics of depression

2. 話題
うつ病の社会全体のコスト (3 min)
うつ病と3大死因の病欠日数比較 (4 min)
労働生産性の測定法 (3 min)
ファイザー社との共同研究 (10 min)
2

3. 自殺やうつ病の損失は2兆6千億円
3
金子能宏・佐藤格:自殺・うつ対策の経済的便益. 2010.9.7
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000qvsy-att/2r9852000000qvuo.pdf
社会的コスト ４疾病の⽐較 測定法

4. うつ病による損失は3兆円
4
慶応義塾大学: 精神疾患の社会的コストの推計. 2011.3
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/cyousajigyou/dl/seikabutsu30-2.pdf
社会的コスト ４疾病の⽐較 測定法

5. うつ病による損失は1兆3千億円
5Okumura Y, Higuchi T: Prim Care Companion CNS Disord. 2011;13(3). pii: PCC.10m01082
労働生産性
の損失
社会的コスト ４疾病の⽐較 測定法

6. ２つの労働生産性の損失
病気欠勤による損失(absenteeism)
病欠日数
病気出勤による損失(presenteeism)
普段通りの仕事ができなかった時間
生産性低下の程度
6
社会的コスト ４疾病の⽐較 測定法

7. 話題
うつ病の社会全体のコスト (3 min)
うつ病と3大死因の病欠日数比較 (4 min)
労働生産性の測定法 (3 min)
ファイザー社との共同研究 (10 min)
7

8. 背景と目的
背景
疾病費用研究はリソース配分のための資料
疾病間の比較をしていないことが多い
目的
3大死因とうつ病の病欠日数を比較
8
奥村泰之・伊藤弘人:精神疾患，悪性新生物，心疾患と脳血管疾患による病欠日数の比較. 2011.3
厚生労働科学研究費補助金. 自殺のハイリスク者の実態解明及び自殺予防に関する研究
社会的コスト ４疾病の⽐較 測定法

9. データ源と流れ図
データ源
平成19年国民生活基礎調査
• 全国横断調査，集落抽出，訪問留め置き法
9
調査客対数: 5,440調査区，287,807世帯
回収客対数: 229,821世帯，624,168名
20歳以上/年齢性別欠損なし: 430,629名
奥村泰之・伊藤弘人:精神疾患，悪性新生物，心疾患と脳血管疾患による病欠日数の比較. 2011.3
厚生労働科学研究費補助金. 自殺のハイリスク者の実態解明及び自殺予防に関する研究
社会的コスト ４疾病の⽐較 測定法

10. 評価項目
病欠日数
過去1か月の間に，健康上の問題で床につい
たり，普段の活動ができなかった (仕事・学校
を休んだ，家事ができなかった等) 日数はどれ
くらいありましたか
10
奥村泰之・伊藤弘人:精神疾患，悪性新生物，心疾患と脳血管疾患による病欠日数の比較. 2011.3
厚生労働科学研究費補助金. 自殺のハイリスク者の実態解明及び自殺予防に関する研究
社会的コスト ４疾病の⽐較 測定法

11. 観察項目
11
 悪性新生物 (がん)
 狭心症・心筋梗塞
 脳卒中 (脳出血，脳梗塞等)
 うつ病やその他のこころの病気
通院状況
健常対照群通院群
奥村泰之・伊藤弘人:精神疾患，悪性新生物，心疾患と脳血管疾患による病欠日数の比較. 2011.3
厚生労働科学研究費補助金. 自殺のハイリスク者の実態解明及び自殺予防に関する研究
社会的コスト ４疾病の⽐較 測定法

12. 統計解析
傾向スコア調整法
独立変数: 各疾患 (通院群) vs 健常対照群
共変量: 性別，年齢，居住地区
アルゴリズム: マッチング法
12
通院群の傾向スコア
1ˆ ie0ˆ ie
健常群の傾向スコア
奥村泰之・伊藤弘人:精神疾患，悪性新生物，心疾患と脳血管疾患による病欠日数の比較. 2011.3
厚生労働科学研究費補助金. 自殺のハイリスク者の実態解明及び自殺予防に関する研究
社会的コスト ４疾病の⽐較 測定法

13. 健常者と比べ，うつ病の病欠は4-5日多い
脳卒中に匹敵！
13
0 2 4 6 8
健常対照群との病欠日数の平均値差
がん
(n=2735)
心疾患
(n=8299)
脳卒中
(n=5832)
うつ病
(n=6628)
3.92 (3.57 to 4.27)
2.28 (2.09 to 2.46)
4.68 (4.38 to 4.97)
4.63 (4.40 to 4.86)
奥村泰之・伊藤弘人:精神疾患，悪性新生物，心疾患と脳血管疾患による病欠日数の比較. 2011.3
厚生労働科学研究費補助金. 自殺のハイリスク者の実態解明及び自殺予防に関する研究
社会的コスト ４疾病の⽐較 測定法

14. 話題
うつ病の社会全体のコスト (3 min)
うつ病と3大死因の病欠日数比較 (4 min)
労働生産性の測定法 (3 min)
ファイザー社との共同研究 (10 min)
14

15. 労働生産性の測定法
尺度名 (略称) 項目数 想起時
間軸
欠勤の
測定
Work Limitation Questionnaire (WLQ)[1] 25 2/4週間 ×
Stanford Presenteeism Scale (SPS)[2] 13 4週間 ×
Work Productivity and Activity
Impairment Questionnaire (WPAI)[3]
6 1週間 ○
Health and Work Performance
Questionnaire-Short Form (HPQ-SF)[4]
10 4週間 ○
15
[1] 井田浩正ら: 産業衛生学雑誌 54: 101-107, 2012.
[2] 和田耕治ら: 産業衛生学雑誌 49: 103-109, 2007.
[3] REILLY ASSOCIATES: http://www.reillyassociates.net/
[4] 吉村健佑ら: 産業衛生学雑誌 55: 11-24, 2013.
社会的コスト ４疾病の⽐較 測定法

16. 臨床疫学研究における測定事例
目的
就労中の大うつ病外来患者における，抗うつ
薬開始8週間後の労働生産性の変化を推定
研究法
事前事後デザイン
16Woo JM et al: Value Health. 2011 Jun;14(4):475-82.
社会的コスト ４疾病の⽐較 測定法

17. 臨床疫学研究における測定事例
調査対象
大うつ病性障害
精神科外来に通院
20-60歳
抗うつ薬治療開始
評価項目
労働生産性と所得 (HPQ)
基準時と8週間時
17Woo JM et al: Value Health. 2011 Jun;14(4):475-82.
社会的コスト ４疾病の⽐較 測定法

18. 臨床疫学研究における測定事例
18Woo JM et al: Value Health. 2011 Jun;14(4):475-82.
治療後
治療前
病気欠勤
病気欠勤による損失時間 月/
0 5 10 15 20 25 30
2.82
25.76
治療後
治療前
病気出勤
病気出勤による損失時間 月/
0 20 40 60 80 100
61.58
85.55
治療後
治療前
労働生産性の損失
年間損失額 米ドル 患者( )/
0 4000 8000 12000
3628
11046
社会的コスト ４疾病の⽐較 測定法

19. Take Home Messages
うつ病による労働生産性の損失は甚大
測定法は既に存在
臨床疫学研究をやってみよう
19

20. 話題
うつ病の社会全体のコスト (3 min)
うつ病と3大死因の病欠日数比較 (4 min)
労働生産性の測定法 (3 min)
ファイザー社との共同研究 (10 min)
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