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学会・研究会の情報保障における
 ソーシャルネットワークの役割

          西本 卓也
     nishi@hil.t.u-tokyo.ac.jp
        Twitter @nishimotz
  東京大学 大学院情報理工学系研究科
                                 1
情報保障の実践
   視覚・聴覚に障害を持つ学会参加者への配慮
       信学会 福祉情報工学研究会/情報保障WG
   視覚障害への対応
       資料の点訳(人名の読み仮名)、テキストデータ提供
       WebやPDFの適切なマークアップ
       発表時の配慮(図や指示語の使用など)
       学会の場そのものよりも資料に関する作業
   聴覚障害への対応(本報告で主に議論)
       手話通訳/PC要約筆記=モダリティ変換=一種の通訳
           「情報を保障するのではなく参加を保障する」(三宅初穂さん)
       専門家が必要、コストがかかる、地方で手配にしにくい
       通訳者・筆記者は「分野の専門知識」の予習が必要
                                            2
「手頃な情報保障」
   坂根他 信学論 2007
       「情報保障の受け手から,必ずしも高品質でなくてよいという
        歩み寄りが得られるなら,素人なりの品質ではあるが,代わり
        に広く実施するという歩み寄りができる」
           PowerPointの「ノート」を「簡易字幕」として別画面に表示
   本発表の趣旨
       リアルタイム・ソーシャルメディアを,学会・研究会の
        ユニバーサルデザイン化の機会と捉えたい
           Twitter, Ustream, etc.
       常にある程度のアクセシビリティが考慮された状態を
        低コストで作り出すことを目指したい
           音声認識、参加者の書き込みやチャットの利用


                                               3
要約筆記の現状
   筆談(ノートテーク)
       利用者が少数の場合
   OHP要約筆記
       ロール式のOHPシートにマーカーペンで手書き
       略語や記号、矢印などの工夫
   パソコン要約筆記
       複数のオペレータが分担・協調して文字入力と修正作業
       日本ではIPTalkというソフトウェアが事実上の標準
           入力者4人とプロジェクタ接続用のPCをLAN接続
           2人1組で交代しながら筆記
       担当者の予習、仮名漢字変換の事前チューニングが有効
   予稿やスライドを1週間前に(運営者・講演者の負担)
                                       4
新しい技術による字幕
   遠隔PC要約筆記
       インターネット、テレビ会議システムの利用
       iPhoneによる実験(筑波技術大学とSBモバイルなど)
           BTマイク+音声通信+パケット通信+Safari
   スピードワープロ(速記タイプライタ)
       放送局の生番組の字幕などでも
       米国などでは「要約」筆記は特別扱いされていない
   (遠隔)音声認識字幕
       「要約」ではなく「話された内容そのもの」
       音声認識研究(精度向上が課題):京都大学 河原研究室など
       商用サービス:(株)ビー・ユー・ジー(現在は終了)
       リスピーク方式:必ずしも低コストとはいえない
                                       5
音声認識字幕の読みにくさ
   中野聡子他
       ヒューマンインタフェース学会論文誌2008 / 信学論2007
       聴覚障害者が感じる音声認識字幕の読みにくさの原因
           漢字等の誤認識だけではない
           言い誤りや会話的な表現など、話し言葉固有の性質にも
           若者言葉、話し言葉の文構造、文の切れ目が不明
   音韻的ワーキングメモリの知見
       視覚提示の黙読でも脳は音韻符号化
       2つのルートの仮説
           視覚をいったん音韻にするか、視覚をすぐに意味表象にするか
           ろう者は字幕を見て内的な音声化をしない
           ろう者は文字情報から想起される韻律的特徴を利用できない
   文章を短く切って改行することで問題の緩和を
                                           6
問題意識
   WIT配信WGの活動
       聴講者を増やす努力:会場に来られない方への配慮
       W3C/JISのWebコンテンツガイドライン改定
       2010年5月:字幕つきUstream配信(登録約60人)
           8月WIT研究会で報告予定
       10月WIT/SP/PRMU@幕張CEATECで音声認識実験
   Ustream時代の研究会のあり方
       会場でTwitterを眺め,オンラインとオフラインで同時参加
       遠隔からUstreamとTwitterを介して研究会に参加
   どうせ音声を配信するなら音声認識もついでに
       Ustream準備と一緒にやれば負荷は減るはず
   「契約から実験へ」「契約から善意へ」
                                         7
設計と当初構想
   音声認識技術+ソーシャルメディア
       現在使える技術を生かしたコミュニケーション支援ツール
       大掛かりな機材や専門技能保持者に頼らない
       モバイル機器とブロードバンドは前提となりつつある
   音声認識字幕の読みにくさ、不完全さをTLで補完?
       単語信頼度の視覚化
   HTML5時代の設計
       専用アプリは不要
       どこからでもサーバに接続
       モバイル機器対応



                                     8
Google Waveによる実験
   今すぐできる実験をTwitterで議論中
       IPTalkなどの専用アプリ不要
       iPhone, iPad, iPod touch, Android 対応(おそらく)
       招待された人が閲覧、共同編集できる
   ビデオの構成
       PC1: Windows XP + Chrome + ドラゴンスピーチ7
            Vista以降ならWindowsに音声認識エンジンが入っているはず
       PC2: Windows XP + Chromeで閲覧・編集
       iPod touch (2009) : Safari で閲覧
   展望: Wave APIの利用
       音声認識エンジン連携bot
       認識結果を読みやすく整形・加工するbot
                                                     9
参加の保障とは
   参加者が質問・発言できなくては意味がない
       かつて情報保障のある場でトークをお願いしたら
        「完全な読み上げ原稿」の通りに喋ってもらえたことがある
       手話通訳と要約筆記にとっては完璧だったが企画としては?
       三宅初穂さん「情報ではなく参加を保障せよ」で腑に落ちた
   情報の完全性とリアルタイム性のバランス
       情報が不完全でも議論がかみ合うことはある
       Twitterの中継を読んだだけの人から質問してもらえたことも
       Twitter発言を司会者がうまく拾えないと生かせない
       その場で講演者で伝えられることの価値
       やりとりを全員で共有できることの価値


                                          10
ソーシャルネットワークの役割
   当日の支援「ソーシャルストリームが字幕になる」
       川井拓也「USTREAM 世界を変えるネット生中継」2010
   学会前の準備
       音声認識とIMEのチューニング、聴講者の事前予習
       発表者、聴講者、運営者が効率的にファイル共有
   日頃の議論とニーズ調査、技術実験
       ろう、難聴の人たち(障害の状態や要求の多様性)
       PC要約筆記ボランティア(食べていけない)
       集会の運営者、主催者(理想は低コスト、低負担、高品質)
       PC要約筆記のソフトウェア開発者(お金にならない)
   Follow @nishimotz or #YoyakuHikki

                                         11

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Amazon SES を勉強してみる その32024/04/26の勉強会で発表されたものです。
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学会・研究会の情報保障におけるソーシャルネットワークの役割

  • 1. 学会・研究会の情報保障における ソーシャルネットワークの役割 西本 卓也 nishi@hil.t.u-tokyo.ac.jp Twitter @nishimotz 東京大学 大学院情報理工学系研究科 1
  • 2. 情報保障の実践  視覚・聴覚に障害を持つ学会参加者への配慮  信学会 福祉情報工学研究会/情報保障WG  視覚障害への対応  資料の点訳(人名の読み仮名)、テキストデータ提供  WebやPDFの適切なマークアップ  発表時の配慮(図や指示語の使用など)  学会の場そのものよりも資料に関する作業  聴覚障害への対応(本報告で主に議論)  手話通訳/PC要約筆記=モダリティ変換=一種の通訳  「情報を保障するのではなく参加を保障する」(三宅初穂さん)  専門家が必要、コストがかかる、地方で手配にしにくい  通訳者・筆記者は「分野の専門知識」の予習が必要 2
  • 3. 「手頃な情報保障」  坂根他 信学論 2007  「情報保障の受け手から,必ずしも高品質でなくてよいという 歩み寄りが得られるなら,素人なりの品質ではあるが,代わり に広く実施するという歩み寄りができる」  PowerPointの「ノート」を「簡易字幕」として別画面に表示  本発表の趣旨  リアルタイム・ソーシャルメディアを,学会・研究会の ユニバーサルデザイン化の機会と捉えたい  Twitter, Ustream, etc.  常にある程度のアクセシビリティが考慮された状態を 低コストで作り出すことを目指したい  音声認識、参加者の書き込みやチャットの利用 3
  • 4. 要約筆記の現状  筆談(ノートテーク)  利用者が少数の場合  OHP要約筆記  ロール式のOHPシートにマーカーペンで手書き  略語や記号、矢印などの工夫  パソコン要約筆記  複数のオペレータが分担・協調して文字入力と修正作業  日本ではIPTalkというソフトウェアが事実上の標準  入力者4人とプロジェクタ接続用のPCをLAN接続  2人1組で交代しながら筆記  担当者の予習、仮名漢字変換の事前チューニングが有効  予稿やスライドを1週間前に(運営者・講演者の負担) 4
  • 5. 新しい技術による字幕  遠隔PC要約筆記  インターネット、テレビ会議システムの利用  iPhoneによる実験(筑波技術大学とSBモバイルなど)  BTマイク+音声通信+パケット通信+Safari  スピードワープロ(速記タイプライタ)  放送局の生番組の字幕などでも  米国などでは「要約」筆記は特別扱いされていない  (遠隔)音声認識字幕  「要約」ではなく「話された内容そのもの」  音声認識研究(精度向上が課題):京都大学 河原研究室など  商用サービス:(株)ビー・ユー・ジー(現在は終了)  リスピーク方式:必ずしも低コストとはいえない 5
  • 6. 音声認識字幕の読みにくさ  中野聡子他  ヒューマンインタフェース学会論文誌2008 / 信学論2007  聴覚障害者が感じる音声認識字幕の読みにくさの原因  漢字等の誤認識だけではない  言い誤りや会話的な表現など、話し言葉固有の性質にも  若者言葉、話し言葉の文構造、文の切れ目が不明  音韻的ワーキングメモリの知見  視覚提示の黙読でも脳は音韻符号化  2つのルートの仮説  視覚をいったん音韻にするか、視覚をすぐに意味表象にするか  ろう者は字幕を見て内的な音声化をしない  ろう者は文字情報から想起される韻律的特徴を利用できない  文章を短く切って改行することで問題の緩和を 6
  • 7. 問題意識  WIT配信WGの活動  聴講者を増やす努力:会場に来られない方への配慮  W3C/JISのWebコンテンツガイドライン改定  2010年5月:字幕つきUstream配信(登録約60人)  8月WIT研究会で報告予定  10月WIT/SP/PRMU@幕張CEATECで音声認識実験  Ustream時代の研究会のあり方  会場でTwitterを眺め,オンラインとオフラインで同時参加  遠隔からUstreamとTwitterを介して研究会に参加  どうせ音声を配信するなら音声認識もついでに  Ustream準備と一緒にやれば負荷は減るはず  「契約から実験へ」「契約から善意へ」 7
  • 8. 設計と当初構想  音声認識技術+ソーシャルメディア  現在使える技術を生かしたコミュニケーション支援ツール  大掛かりな機材や専門技能保持者に頼らない  モバイル機器とブロードバンドは前提となりつつある  音声認識字幕の読みにくさ、不完全さをTLで補完?  単語信頼度の視覚化  HTML5時代の設計  専用アプリは不要  どこからでもサーバに接続  モバイル機器対応 8
  • 9. Google Waveによる実験  今すぐできる実験をTwitterで議論中  IPTalkなどの専用アプリ不要  iPhone, iPad, iPod touch, Android 対応(おそらく)  招待された人が閲覧、共同編集できる  ビデオの構成  PC1: Windows XP + Chrome + ドラゴンスピーチ7  Vista以降ならWindowsに音声認識エンジンが入っているはず  PC2: Windows XP + Chromeで閲覧・編集  iPod touch (2009) : Safari で閲覧  展望: Wave APIの利用  音声認識エンジン連携bot  認識結果を読みやすく整形・加工するbot 9
  • 10. 参加の保障とは  参加者が質問・発言できなくては意味がない  かつて情報保障のある場でトークをお願いしたら 「完全な読み上げ原稿」の通りに喋ってもらえたことがある  手話通訳と要約筆記にとっては完璧だったが企画としては?  三宅初穂さん「情報ではなく参加を保障せよ」で腑に落ちた  情報の完全性とリアルタイム性のバランス  情報が不完全でも議論がかみ合うことはある  Twitterの中継を読んだだけの人から質問してもらえたことも  Twitter発言を司会者がうまく拾えないと生かせない  その場で講演者で伝えられることの価値  やりとりを全員で共有できることの価値 10
  • 11. ソーシャルネットワークの役割  当日の支援「ソーシャルストリームが字幕になる」  川井拓也「USTREAM 世界を変えるネット生中継」2010  学会前の準備  音声認識とIMEのチューニング、聴講者の事前予習  発表者、聴講者、運営者が効率的にファイル共有  日頃の議論とニーズ調査、技術実験  ろう、難聴の人たち(障害の状態や要求の多様性)  PC要約筆記ボランティア(食べていけない)  集会の運営者、主催者(理想は低コスト、低負担、高品質)  PC要約筆記のソフトウェア開発者(お金にならない)  Follow @nishimotz or #YoyakuHikki 11