Mais conteúdo relacionado Mais de Matsushita Laboratory (20) 異なる作品間のキャラクタの関係を比較するための相関図可視化システム39. 参考文献
[1]全国出版協会【編集】/出版科学研究所【編集】,『出版月報2021年2月号』,出版科学研究所
(2021/3/12)
[2] Card, M.: Readings in Information Visualization―Using Vision To Think―, Morgan
Kaufmann(1999)
[3] A vocabulary for describing relationships between people. 『RELATIONSHIP: A vocabulary for
describing relationships between people』.https://vocab.org/relationship/ , (参照 2021/02/01)
[4] 小林達哉,松下光範:性格要素と外見要素の加減算による類似キャラクタの検索, ARG Webイン
テリジェンスとインタラクション研究会第16回研究会予稿集, pp. 106–111 (2020)
Notas do Editor 「多くのコミックの中から読みたい作品を探すには,コミックが持つ魅力に踏み込んで探すことが主流」
コミックは年間多くの作品が発刊されています.
2020年には12,700冊のコミックが発刊された.
多くの作品の中から読みたい作品を探すには,コミックが持つ魅力をもとにすることが多いです.
「コミックの魅力の中でも,キャラクタ間の関係性に着目する」
コミックは物語,作風,キャラクタなど,様々な魅力を持ちます.
キャラクタは作品の魅力の一つですが,ストーリーを形成するのはキャラクタ同士のやり取りです.
複数のキャラクタの人間関係が作品のストーリーを面白くする重要な要素でもあります. 「関係性はどんな魅力を持つのか?(本当にコミックの魅力の一つか具体例を挙げて説明する)」
「キャラクタが持つ魅力を助長する」
関係性の魅力の一つにキャラクタを立たせることができます.
例えば,ワンピースの主人公であるルフィが一人で冒険を始めた時は,お調子者や元気なイメージが強いですが,仲間が増え,仲間達とのやり取りを見るとルフィのカリスマ性やリーダーっぷり,人の良さが際立つ. 様々な関係性の中から,例えば「冴えない主人公がハーレムを形成する」や「ツンレデなヒロインが片思いする」など,ユーザが好みの関係性が登場する作品を調べることができると,より内容に踏み込んで作品を探すことができます.
そのためには,システムが作品間で登場する関係性の類似判定を,ユーザが提示された関係性は自身が求めた関係性と類似するのか確認できる必要があります. 「キャラクタの紹介文や,作品紹介などの文字情報だけでは作品に登場する関係性を把握するのに手間がかかる」ことを言いたいスライド
しかし,コミックキャラクタの関係性は,種類も多く,作品にどのような関係性があるのかわからない.
こちらの画像は作品に登場するキャラクタ紹介の一部ですが,このような文字情報のみだと,一目でその作品に登場するキャラクタ同士の関係性を把握することが難しい.
そのため,その作品にユーザが好きな関係性が登場するのかすぐにわかりません.
「今回研究で主に取り扱う要素である相関図についての紹介」
そこで,関係性をわかりやすくするために,相関図というものが存在します.
作品に登場する主要キャラクタの人間関係を大まかに表す一枚絵です.
これにより,作品に登場するキャラクタの人間関係を把握しやすくなります. しかし,現状の相関図は静的であるため,いくつかの問題点があります.
まず一つ目は,登場人物が多い場合や,複雑で大量の関係性が描かれる場合,全体像の把握が困難になります.
2つ目は,キャラクタ の性格が関係性の類似判定に影響を与える点です.
同じ言葉で表現される関係性でもキャラクタごとにとる行動は異なっており,それぞれのストーリーの展開は異なっていきます.
具体的に,ライバルが切磋琢磨する関係性には,主人公が元気でライバルがクールな場合と,主人公が頑張り屋でライバルが喧嘩腰な場合があるように,同じライバル関係でもキャラクタの性格は異なることが多いです.
このような,同じ言葉で表現される関係性であっても,キャラクタの性格が異なることで人によって異なった関係性に捉えられます.
そのため,関係性とともにキャラクタについての情報もわからないと,ユーザにとって好みな関係性と類似するのかわかりません. 前のページの締め「そのため,関係性とともにキャラクタについての情報もわからないと,ユーザにとって好みな関係性と類似するのかわかりません.」
関係性が類似しているか判断するためにはキャラクタの性格も相関図に加えて提示する必要がありますが,
さらに情報過多となり,キャラクタの関係性を把握することの妨げとなる懸念があります. (「静的な相関図では複雑な関係性の把握や類似判定が難しい」という,自分が取り組む問題について,はっきりと言うスライド)
「複雑な相関図はユーザの関係性理解の妨害になる」点と,「キャラクタの性格も関係性類似判定に必要」という二つの問題から,
ユーザが好みな関係性であるか判断できるためには,情報が過密にならず,より詳細に関係性を把握できる相関図を提示する必要があります. 本研究は,
キャラクタの性格要素と関係性を選択的に確認可能にすることでユーザにより詳細な関係性を提示し,
類似した関係性の把握や複数の関係性の対比を可能にするインタラクティブな相関図を作成を目的とします. 提案手法として,キャラクタの関係性をネットワーク図にします.
ネットワーク図にすることで,キャラクターどうしの繋がりとそのキャラクター自身について視覚的に確認できるようにしました. (デモ動画.動いている証拠.)
こちらが作成したネットワーク図のデモ動画です.
キャラクタ名が表示されるnodeにカーソルを合わせることで,そのキャラクタの性格要素が表示されます.
キャラクタを繋ぐedgeは有効関係を表現し,カーソルを合わせることで,どのような関係性であるのか確認できます.
右側に配置したcheckboxはedgeに視覚効果を付与します.checkbox内の関係性ラベルを選択すると,選択した関係性ラベルと同じ関係性のedgeを太く表示します.複数のedgeを強調することも可能です.
このネットワーク図作成のために必要なデータと設定の方法につてい説明に移ります. ネットワーク図を作成するにあたり,情報視覚化参照モデルを元に,これらの3つのプロセスを経て作成しました.
はじめに可視化するためのデータを抽出し,次にデータをどの可視化構造に当てはまるか決め,そして視覚効果を高める機能を付与します.
決定された可視化構造のパラメータを変化させて注目点の強調や表示範囲の調整などの処理により視覚効果を高める View transformation
先ほどのプロセスを詳しくすると,
1.作品に登場する関係性の整理
2.キャラクタの性格要素の取得
3.キャラクタやその関係性を視覚的に表現
の順にネットワーク図を作成していきます. 「システムが関係性の類似判定をできるように,関係性をラベリングする」というスライド
関係性をラベリングすることで,システムが作品に登場する関係性の類似判定をできるようにします.
人間関係を語彙的に説明するメタデータ群であるRELATUONSIPを参考に9種類のラベルを作成しました. 関係性の抽出に関しては,作成した関係性ラベルを辞書とし,wikipediaのキャラクタ概要文中に他のキャラクタの名前である固有名詞や,関係性ラベルと類似する単語を含む文節を対象とし,
関係性辞書と一致する単語部分を抽出しました.
ちなみに,関係性辞書の単語総数は66,edgeのデータ数は340 抽出した関係性をネットワーク図のedgeに設定することで,ユーザのマウス操作により,キャラクタ間の関係性を確認可能にします. 続いて,キャラクタの性格要素に関してもwikipediaを参照します.
Wikipediaのキャラクタ概要文を形態素解析であるMecabを用いて名詞と形容詞を抽出し,先行研究のキャラクタ萌え要素辞書を参考に「不器用や天然」などの性格要素のみを抽出しました.
ちなみにキャラクタの総数は209 抽出した性格要素をネットワーク図のnodeに設定します.これにより,ユーザがキャラクタ名が表示されるnodeにマウスオーバすることでキャラクタの性格を確認できます. 最後に,
キャラクタやその関係性を視覚的に把握可能にするために,nodeやedgeの配色を策定することや,ユーザが選択した情報を強調する機能を付与しました. 「配色を決めることで視覚的に区別がしやすい」ことを伝えるスライド
配色の策定に関して,
Nodeについては,キャラクタの性別が一目で分かるように,男性キャラクタを青,女性キャラクタを赤に設定します.
Edgeについては,9種類の関係性ラベルごとに異なる色を表示します.例えば,好意はピンク,親友はオレンジなど,それぞれ関係性ごとに色を変えます.
これにより,関係性を見比べる時に,どのキャラクタ間の関係性が類似するのか把握しやすくします. 「強調表示機能」について教えるための導入.
続いて,ユーザが選択した関係性を強調表示するために,関係性ラベルを友人やライバルなどの役割と,敵対や好意といった感情の2つに区分したCheckcboxを配置した. Checkbox内の文字の変化についてのスライド
Checkbox内の文字にカーソルを合わせると,edgeと対応した色に変化します.
「Checkboxを使うことでどう画面が変化する」か伝えたいスライド.
Checkbox内の関係性ラベルを選択することで,選択した関係性ラベルと同じ関係性のedgeを強調表示します.
ここでは,好意が選択されているため,ピンク色のedgeが他と比べて太くなっている. これにより,他作品と見比べるとき,類似する関係性が登場するのか,どのキャラクタ間の関係性が類似するのか把握を容易にします. 実装したシステムを使うことで,
異なる作品間からキャラクタ情報を加味した関係性を視覚的に確認可能かを検証するために,男女合計11人を対象にユーザ実験を行いました. 「実験手順について伝えるスライド」.この手順で進めた.
まず協力者にシステムの操作方法を伝えてから,
システムを自由に触ってもらい,任意のタイミングで質問に答えてもらいました.
最後に,システムの見やすさや使いやすさについて自由記述形成のアンケートに答えてもらいました. 伝えること
こちらが実験時に提示したシステム画面です.
作品について事前知識があると質問の回答に影響を与える懸念のため,作品名とキャラクタ名を伏せて提示した 回答してもらう質問は合計5問あり,
提示した作品の中から,「三角関係」や「一人の女性が多数の男性から好意を向けられている」などの指定した関係性を含む作品を全て選択してもらいました. ユーザ観察から,
回答前に質問事項の関係と対応したラベルのcheckboxを選択してedgeを強調しているか
また,edgeやnodeにカーソルを合わせて内容を確認しているか
これらの動作を行なっているのか確認しました. こちらが質問の回答結果です.
各設問の答えには複数の関係性が当てはまるため,全ての関係性を正しく選択した場合を完全一致、一部でも正しい場を部分一致,その他を誤りとして評価しました.
その結果,完全一致が74.5%,部分一致が18.2%,誤りが7.3%という結果でした.
ユーザ観察からは
質問に全問一致したユーザはcheckboxを用いてedgeを強調してから関係性の内容やキャラクタの性格要素を確認する傾向が,
部分一致したユーザはedgeを強調せずに,マウス操作によるnodeやedgeの内容確認のみで回答する傾向が確認された.
自由記述アンケートから得られた意見の一部です.
edgeに関してはわかりやすい,強調表示機能により,わかりやすい,情報を整理しやすいという良かった点と,edgeが密集している一部が見にくいという悪かった点の両方が得られましたが,
nodeに関しては性格を見比べることがedgeと比べてやりにくいという意見が多く,まだまだ表示方法について改善の余地があることがわかりました. 質問の全問一致と部分一致を含めた割合が92.7%と高いことと,
操作傾向として,全問一致したユーザはcheckboxを用いてedgeを強調し,表示されるキャラクタの性格要素や関係性の内容を確認することから
キャラクタの性格要素を確認できるインタラクティブ性を持つ相関図は関係性判断に有効であることが示唆さた. Edgeの改善点としては,関係性が多い場合,Edgeを全て表示すると情報過多となるため,ユーザが選択してedgeの表示消せる機能を付与する.
Nodeの改善点としては,性格要素も視覚的に類似するか判断できるように,色情報の付与や,ユーザが選択したキャラクタと類似する性格のキャラクタを強調表示などの視覚効果の付与が考えられる.
(性格の類似判定に関してはpakuらの性格要素の類似計算を用いて事前にキャラクタの性格を数値化し,ユーザが選択したキャラクタと性格要素の数値が類似するキャラクタを強調する.)