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Mais de Takumi Kurosawa (6)
エバンジェリストが語るパワーシステム特論 ~ 第3回:IBMオフコンはいかにして生き残れたのか?~第二章~
- 1. エバンジェリストが語るパワーシ
ステム特論
第三回
IBM オフコンはいかにして生き残れたのか ?
~ 第二章
日本 IBM 株式会社
安井賢克
http://www.facebook.com/masakatsu.yasui
1 © 2012 IBM Corporation
- 2. コンピュータの黎明期
‘40 ‘50
1942 ABC (Atanasoff-Berry Computer) 米
1973 ミネアポリス連邦地方裁判所の判断では世界最初のコンピュータ
1943 Colossus 英
ドイツ軍の暗号解読用
1946 ENIAC (Electronic Numerical
Integrator and Computer) 米 大砲の弾道計算用
1948 The Baby (Small Scale
Experimental Machine) 英 初のプログラム内蔵式
1949 EDSAC (Electronic Delay Storage
Autonomic Calculator) 英 初のノイマン型コンピュータ
ノイマン型コンピュータ: 主記憶装置、制御装置、演算装置、入力装置、出力装置により
2 構成され、内蔵したプログラムが処理を制御する方式のコンピュータ © 2012 IBM Corporation
- 3. テクノロジーが受け入れられる
条件
ハードウェア間の互換性
S/360: マイクロ・プログラム方式採用により、アプリケー
ションをシリーズ内で共通化
Unix: 記述言語をアセンブリ言語から C 言語へ
世代間の互換性
S/360: BCD コード採用の周辺機器をサポート(EBCDIC)
S/370: S/360 に対して上位互換性を維持
x86 互換プロセッサの成功と、x86 非互換 Itanium
接続性
BSD Unix: ARPANET 対応の TCP/IP 標準実装
3 © 2012 IBM Corporation
- 4. 科学技術計算(気象シミュレー
ション)の例
自然現象を方程式化し、
各メッシュ毎に解く
4 © 2012 IBM Corporation
- 6. IBM Rochesterがめざした先進
的なコンピュータの狙い
長期的にビジネス市場に受け入れられること
予測し得ない将来テクノロジーへの対応
アプリケーション資産継承
必要性に応じて柔軟にマシン機能を強化できる
ビジネス用途向けに最適化
お客様がテクノロジーに煩わされない
テクノロジーの隠蔽、 オール・イン・ワン
同時使用ユーザーが多い
セキュリティ、 コンテキスト・スイッチの高速化
データが散在する傾向にある
ディスク I/O 負荷が大きくなる
ループ以外の分岐命令が多い → I/O 発生の可能性
6
整数演算が多用される © 2012 IBM Corporation
- 7. IBM i を取り巻くプロセッサーの歴史
1990 1995 2000 02 04 06 07 10
科学技術計算を主な用途として開発 45 nm
浮動小数点演算パフォーマンスを重 4.25 GHz
POWER POWER2 POWER3 POWER7
1986 180 nm
IBM, Apple, Motorola
1.3 GHz
ROMP 32 ビット版・64 ビット版を開
(RT-PC)
PowerPC POWER4 130 nm
最初のRISC搭載マシン 1.65 GHz
64ビット RISC(PowerPC AS)
48ビットCISC POWER5
90 nm
Muskie Apache Pulsar 2.3 GHz
商業計算向けにチューニング 154MHz 125MHz 450MHz
POWER5+
命令セットの拡張 S-Star
同時使用ユーザーが多い
600MHz 65 nm
OS提供のサービスを多用する
Cobra Northstar I-Star 5 GHz
ポインターによるデータ・アクセスが
多いため、整数演算を多用する 50-77MHz 262MHz 540MHz
浮動小数点演算はあまり使われない POWER6
ループ以外の分岐命令が多い RS/6000でも採用
ディスク全体にデータが散在している
7 © 2012 IBM Corporation
- 8. ビジネス用途(販売管理アプリ
ケーション)の例
発注と仕入れ 受注と売上
購買・物流・管理 営業・物流・管理
買掛金 在庫 売掛金
入庫 物流・管理 出庫
支払い 請求
管理・物流 管理・営業
8 © 2012 IBM Corporation
- 9. マシンをどのように定義するか
黎明期 S/360 以降 S/38・AS/400 以降
• HW 依存のアプリ開発 • HW 中心だが差異を吸 • HW に依存しない、アプリ
• アプリの可搬性はない 収する事により、アプリの 中心のインターフェース
互換性をできるだけ維持 • 多機能なマシンを実現
アプリケーション アプリケーション アプリケーション
ミドルウェア
マイクロ・プログラム
マイクロ・プログラム
ハードウェア ハードウェア ハードウェア
9 © 2012 IBM Corporation
- 10. Global Technology Outlook
~創業者達の先見(?)の明
I think there is a world market for maybe five computers.
Thomas Watson, chairman of IBM, 1943
There is no reason anyone would want a computer in
their home.
Ken Olson, president, chairman and founder of Digital Equipment
Corp.,1977
640K ought to be enough for anybody.
Bill Gates, chairman and founder of Microsoft, 1981
I predict the Internet will soon go spectacularly
supernova and, in 1996, catastrophically collapse.
Bob Metcalfe, co-inventor of Ethernet and founder of 3Com
Corporation, 1995
10 Supernova (超新星); 恒星が燃え尽きるとき、最後に大爆発をする現象 Corporation
© 2012 IBM
- 11. PCにおけるアプリケーション稼
動の仕組み
コンパイルによって、プロセッサー命令セッ
トを生成する
ソース・
プログラム
稼動する?
実行コード
11 © 2012 IBM Corporation
- 12. ハードウェア・マシンの限界
プロセッサーの互換性が失われると、実行
コードは稼動しなくなる
プロセッサーに互換性が保たれたとしても、
新しいテクノロジーの恩恵を受けることは
できない
32ビット・プロセッサーにおける、16ビット互換
モード など
メモリにおけるアドレス境界の差異により、か
えって負荷がかかる場合がある
12 © 2012 IBM Corporation
- 13. ハイレベル・マシン・インター
フェース (TIMI)
OS, アプリケーションなど
TIMI 仮想マシン
Technology Independent Machine Interface
SLIC プロセッサーと仮想マシンと
マイクロコードに匹敵 の間の緩衝域として機能
ハードウェア
13 © 2012 IBM Corporation
- 14. TIMI の狙い
アプリケーションを、ハードウェア・テクノロ
ジー(プロセッサー)から独立させる
テクノロジーの変化は、アプリケーションに
影響を及ぼさない
世代を超えたアプリケーション資産の継承
が実現できる
長期的にはコスト削減に大きく寄与する
14 © 2012 IBM Corporation
- 15. ソフトウェア・マシンにおけるプロ
グラム生成と実行
ソース・
プログラム
外部からは見えない
(カプセル化されている)
TIMI プログラム ハードウェア依存
テンプレート 実行コード
SLIC トランスレータ 組み込み 実行
ハードウェア
15 © 2012 IBM Corporation
- 16. 新しいハードウェア上でのプログ
ラム実行 (1)
実行コードは有効ではないことが判明
TIMI プログラム ハードウェア依存
テンプレート 旧実行コード
SLIC
X
実行不可
テクノロジーの刷新
ハードウェア
16 © 2012 IBM Corporation
- 17. 新しいハードウェア上でのプログ
ラム実行 (2)
トランスレータが自動的に起動され、新実
行コードを生成する
TIMI プログラム ハードウェア依存
テンプレート 旧実行コード
トランスレータ
SLIC
テクノロジーの刷新
ハードウェア
17 © 2012 IBM Corporation
- 18. 新しいハードウェア上でのプログ
ラム実行 (3)
新実行コードを組み込んでから、プログラ
ムを実行
TIMI プログラム ハードウェア依存
テンプレート 新実行コード
組み込み 実行
SLIC
テクノロジーの刷新
ハードウェア
18 © 2012 IBM Corporation
- 19. システムの安全性を高める仕組
み
アプリケーションの視点 テクノロジーの視点
製品番号
• 参照や検索は可能 ディレクトリと
• 算術演算は不可 ビット配列
価格 • 技術的にはあらゆる
演算が可能
• 算術演算は可能 • 「製品番号」×5% ?
• 上記はいずれも • 価格の数値を命令と
実行コードではない みなして実行 ?
19 © 2012 IBM Corporation
- 20. オブジェクト指向
データに対して実行できる演算を限定する
エラーによる不正演算を防ぐ
オブジェクトの構造 メソッド
メソッド
データ
メソッド
メソッド
20 © 2012 IBM Corporation
- 21. 仮想マシンが実行するのはオブ
ジェクトのみ
OS, アプリケーションなど
仮想マシン
プロセッサーと仮想マシン
との間の緩衝域
安全なコードのみ
実行
21 © 2012 IBM Corporation
- 22. ウィルス耐性の違い
ウィルス:実行プログラムに見えない実行
プログラム
オブジェクト指向型 通常のシステム
• データの意味が考慮さ • データの意味は考慮され
れ、動作に制約がある ず、あらゆる動作が可能
実行ファイル?
テキスト・ファイル?
Excel? Word?
22 © 2012 IBM Corporation
- 23. 高速化の追求
複数ユーザー・複数アプリケーション
単一ユーザー・単一アプリケーションとは視点
が異なる
多ユーザーが利用する基幹業務システム
マルチ・プロセスにおけるスループットの向上
プロセス切り替え時間の短縮化が必要
ファイル I/O 負荷の軽減
23 © 2012 IBM Corporation
- 24. プロセス切り替えにおける負荷
各プロセスにはそれぞれプライベートなメ
モリ空間が割り当てられる
メモリ・アドレスはそれぞれ独
立している
プロセス切り替えは使用するメ
プロセス毎の モリー空間の切り替えを伴う
メモリ空間 共用メモリがないので、プロセ
ス間通信に負荷がかかる
一般に1,000~1,200ステップ
のプログラムが必要
24 © 2012 IBM Corporation
- 25. コンテキスト(CPUの状態)・ス
イッチの例
プロセス数とコピーされるメモリ・サイズが大き
くなると、タスク切り替え時間が大幅に伸びる
Xeon 搭載 PC + SLES-8
25 © 2012 IBM Corporation
- 26. プログラミングの考慮点
スレッド・プログラミングによって、複数プロ
セス間の切り替え負荷を軽減できる
プロセス間通信に関わるデバック負荷が大き
くなる
しかしながら、従来からある業務アプリケー
ションをスレッド化することは困難
メモリ空間の切り替え処理の高速化は避
けられない要件
26 © 2012 IBM Corporation
- 27. 単一化されたメモリ空間におけ
るプロセス切り替えの高速化
メモリ空間を単一化することで、プログラ
ム・コール並みの負荷に抑える
メモリー空間の独立性は
低い
プロセス毎の プロセス切り替えの高速
メモリ空間
化が期待できる
メモリー共用が可能なの
で、プロセス間通信の負
荷が小さい
二倍の性能を実測
27 © 2012 IBM Corporation
- 28. ファイル I/O の検討
典型的なシステムの記憶域管理
実メモリ 仮想メモリ ディレクトリ
作業用に読み込み ファイル・オープン
28 © 2012 IBM Corporation
- 29. 典型的なシステムにおける記憶
域管理の問題点
二重化された管理の仕組みが必要
ディレクトリとメモリ
ファイル・オープンが必要
実質的にディスク上のファイル・コピー
プロセッサーの I/O 待ちが発生しやすい
同一ファイルについて3つのコピーが作成
される可能性がある
ディスク、ディスク上の仮想メモリ、実メモリ
29 © 2012 IBM Corporation
- 30. 単一レベル記憶
仮想マシンよりも上位層では、ディスク空間を仮想化し
て、全体をメモリとして扱う ポインター B
ポインター A
仮想アドレス空間
OSは各オブジェクト
の名前を扱う
仮想マシンは各オブ 264バイト
ジェクトへのポイン
ターを扱う
仮想マシン
ポインター長は128
ビット 現在は64ビッ
トのみ使用
4KBページ : プロセス A 空間
30
: プロセス B 空間 © 2012 IBM Corporation
- 31. ポインター保護
全てのユーザーが同一のメモリ空間内にある
ポインターの不正な変更は、データ漏洩・改ざん
につながる可能性がある
ポインター毎に、タグビットを設定
タグビットが0ならば、不正アクセス
OSより上位層においてポインター変更が発生す
ると、タグビットは常に0にセットされる
マイクロコードだけがポインターを生成・変更でき、
その場合タグビットは常に1にセットされる
31 © 2012 IBM Corporation
- 32. IBM i アプリケーション環境
AIX アプリ
VIOS 旧来の環境
実行環境
アプリ資産継承 オープン性
• RPG 業界標準互換
I/O 仮想化 Native OS
• COBOL • Java(WAS)
サーバー統合
• C/C++ その他 • PHP
I/O 仮想化 • OSS 環境
TIMI 仮想マシン
SLIC マイクロコード
Power Hypervisor ファームウェアによる仮想化
32 © 2012 IBM Corporation
- 33. AIXアプリ実行環境のサポート
IBM i AIX
7.1 6.1 TL2
仕切られた空間
AIX アプリ 6.1 5.3 TL6
最大 1TB×220 個
実行環境 V5R4 5.3 TL3
タグビット無効
240バイト V5R3 5.2 TL0,2
IBM i 用
仮想アドレス空間
タグビット有効
264バイト
プロセッサーは上記に共通
タグビット有効・無効モード
をダイナミックに切り替え
33 © 2012 IBM Corporation
- 34. 単一レベル記憶の特徴
プロセス切り替えの高速化
仮想マシンから上位層の記憶域管理が単
純になる
ファイル・オープンがない
メモリ管理、ディスク管理はマイクロコード
(SLIC)に委ねられる
実メモリは全てキャッシュとして機能する
ディスク・アクセスを省略できる
タグビットによるポインター保護
34 © 2012 IBM Corporation
- 35. よくある「レガシー・システム」に
対する印象
アプリケーションの見栄えが悪い
エミュレータ搭載 PC が必要になり、クライアント
の管理に手間がかかる
ベンダー独自テクノロジーに依存しており将来が
不安
製品価格決定権がベンダーに握られているため、
不当に高いコストを強いられる恐れがある
技術者確保が困難になりそうである
35 © 2012 IBM Corporation
- 36. 日本における「オフコン」
高く評価されたメリット
業務用途に的を絞りながら、必要機能一式を装備した
使い勝手の良さ、アプリケーション開発生産性の高さ
をメリットに多くのお客様に導入いただいた
敬遠された理由
ベンダー固有技術に囲い込まれる懸念
「オープン」の時代にそぐわなくなった
現在 IBM i を除いたほとんどの旧オフコンは市
場から撤退しつつある
36 © 2012 IBM Corporation
- 37. AS/400 とその後継機の成長
テクノロジーの変化を乗り越えられる柔軟性
を備えていた(仮想マシンとしての TIMI)
アプリケーション資産が保護される
新機能を柔軟に実装できる
旧来のアーキテクチャーを前提に、最新テクノ
ロジーを実装する事で成長を続けてきた
Java、Webサービス、Unicode、POSIX API ・・
LPAR、SANストレージ、Live Partition Mobility ・・
PHP、MySQL、OSSアプリケーション ・・
37 © 2012 IBM Corporation
- 38. 2010年
2008年 POWER7
AS/400 から Power Systems へ IBM i 宣言
2008年
Power Systems
アプリケーション資産を継承し
2007年 新ブランド登場
ながら年率平均 69.0%で成長
POWER6
2006年
CPU能力 102,826 倍 System i5
ムーアの法則(18~24 ヶ月で処理能力 2 倍) 2005年 Systems Agenda
が示唆する年率 41~59% の成長率を凌ぐ イノベーション宣言
2004年
2004年 eServer i5
2001年 2002年搭載 POWER5 仮想化エンジン搭載
POWER4 POWER4
2000年
2000年 eServer iSeries
業界初の SOI テクノロジー eビジネス・オンデマンド対応
1995年 1997年
48 ビット CISC から AS/400e シリーズ
64 ビット RISC へ インターネットをサポート
1994年
AS/400 アドバンスト・シリーズ
クライアント・サーバー機
アーキテクチャーは S/38 (1979 年)から
TIMI による仮想マシンの実現
1988年
AS/400
単一レベル記憶によるディスク・パフォーマンスの
オフコンとして登場 最適化と管理の手間削減
38 オブジェクト指向によるセキュリティー © 2012 IBM Corporation
- 39. お客様にとっての選択肢
IBM i のレガシー環境に留 S/38・AS/400 以降
• HW に依存しない、アプリ
まり続ける 中心のインターフェース
システム資産は保護される • 多機能なマシンを実現
トレンドに乗って、IBM i か アプリケーション
らオープン系システムに移
行する 一部のミドルウェア
システム資産は破棄される
マイクロ・プログラム
レガシーな資産を活かしな
がら、オープンなテクノロ ハードウェア
39
ジーとの融合を図る
© 2012 IBM Corporation