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Promotion of Migration from Urban to Local Areas in Mongolia
- 8. IOM Mongoliaによる地方移住PR
• 世界移住機関(IOM: International Organization of Migration)は人
の移動の問題を専門的に扱う国際機関
• モンゴル事務所IOM Mongoliaは2011年に開設
• YouTubeチャンネルを開設、都市から地方への移住に関する動画
を相次いで配信
• 地方移住に関するシンポジウムをモンゴル政府と共催
2023年度日本モンゴル学会春季大会研究発表 (c) Minato, Kunio MMXXIII 8
- 12. 新再生政策における地方移住支援
番号 活動 達成する成果
4.2.4 ウランバートル市から地方に移転した国民、
企業に対して予算および金融政策による支
援を提供する
ウランバートル市への移住の動きが緩やか
になっている
4.2.5 地方に移住した国民を採用した中小企業に
対し低利融資を供与するための法的環境を
整備する
地方に移住した国民を採用した中小企業に
対し低利融資を供与するための法的環境が
整備されている
4.2.6 地方での生産・サービスおよび人口の集中
を実現するための土木インフラを整備する
地方で生産・サービスが創出され、雇用が
増加し、移住の動きが緩和されている
4.2.7 地方に移住、定着した国民・世帯・労働従
事者に対し、分野別マスタープランに基づ
き土木インフラの整備された住宅を提供す
べく、支援を行う
地帯別開発政策および分野別マスタープラ
ンに基づき遊牧地域・地方の都市・定住地
域が発展し、ウランバートル市の集中と負
担が緩和されている
4.2.8 地方での事業環境を支援し、都市から遊牧
地域へ移住、定着した国民に家畜を提供す
るとともに、他の農牧業方面の小規模事業
を国家の政策により支援する
都市から遊牧地域へ移住、定着した国民に
家畜が提供され、他の農牧業方面の小規模
事業が国家の政策によって支援されている
2023年度日本モンゴル学会春季大会研究発表 (c) Minato, Kunio MMXXIII 12
- 23. 参考文献
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2023年度日本モンゴル学会春季大会研究発表 (c) Minato, Kunio MMXXIII 23
- 24. 参考文献(続)・動画
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https://montsame.mn/mn/read/309019
Tuul, B. (2023.4.29.) Dornogovi aimag shiljin suurishigchdyg khüleej avakh bodlogoo taniltsuullaa. MONTSAME agyentlag. https://
montsame.mn/mn/read/317923
【動画】
IOM Mongolia (2021.3.10.) “Khotoos khödöö rüü” tsuvral nevtrüüreg: Khentii. [Video]. YouTube.
https://www.youtube.com/watch?v=aTHAW64hZvM
IOM Mongolia (2021.3.14.) “Khotoos khödöö rüü” tsuvral nevtrüüreg: Dornogovi. [Video]. YouTube. https://www.youtube.com/watch?v=-
8jXCrJ2wYg)
IOM Mongolia (2021.3.15.) “Khotoos khödöö rüü” tsuvral nevtrüüreg: Töv. [Video].
YouTube.https://www.youtube.com/watch?v=jAYavFm0MgE)
IOM Mongolia (2021.4.14.) “Khotoos khödöö rüü” tsuvral nevtrüüreg: Bulgan aimag Khutag-öndör sum. (op.cit.) [Video]. YouTube.
https://www.youtube.com/watch?v=GNBRd8Cth-c
IOM Mongolia (2021.4.15.) “Khotoos khödöö rüü” tsuvral nevtrüüreg: Bulgan aimag Khutag-öndör sum. [Video]. YouTube.
https://www.youtube.com/watch?v=B54TevCMflY
IOM Mongolia (2021.11.19.). Introducing the Reverse Migration Activator in Mongolia. [Video]. YouTube.
https://www.youtube.com/watch?v=ee3AuvbKWAY
IOM Mongolia. (2022.7.1.) Butsakh shiljilt khödölgöön: Khdoonii ail. [Video]. YouTube. https://www.youtube.com/watch?v=bMOa5CHLwHw
2023年度日本モンゴル学会春季大会研究発表 (c) Minato, Kunio MMXXIII 24
Notas do Editor
- 議論の前提として、モンゴルの人口の都市・ウランバートル集中と地方の停滞について見ておく。
グラフは2000年の人口を100とした上での各年の人口を指数化したものを示す。左側は地帯別、右側は都市と遊牧地域、さらに都市の中でもウランバートルを示したもの。
どちらのグラフでも、特に1990年代後半からウランバートルの人口のみがほぼ一貫して急増していることが分かる。反面、この間モンゴル全国の人口が増加を続けているにもかかわらず、地方の人口の伸びはウランバートルと比較すると明らかに小さく、場合によっては減少している例すらある。
- 左のグラフは各地帯の人口流入から人口流出を差し引いた値を示したもの。ほとんどの年においてウランバートルは流入超過、つまり地方から入ってくる人口の方が多くなっているが、地方各地帯では一部の年を除き、流出超過が続いている。一般的に言われているウランバートルへの人口集中は、このグラフからも裏付けられる。
このような人口流出の背景としては、ゾド(雪害)による家畜の大量死がしばしば挙げられてきた。これは間違いではないが、ウランバートルの人口増は2000年からのゾドよりも前に加速していることから、ゾドばかりが主な原因と考えることはできない。
むしろ、後述する世界移住機関による調査によれば、地方と都市との賃金水準の格差、家族の都合、ウランバートルに集中する教育の機会や保健医療サービスへのアクセスが、移動の理由として挙げられている。したがって、地方と都市との間の経済水準、生活条件の格差も、地方からの人口流出の背景として注目されるべきである。
- 地方からウランバートルへの人口移動の弊害としては、渋滞と大気汚染に代表される都市問題など、ウランバートルの状況がとりわけ注目を集め続けてきた。もちろんこれが問題ではないわけはないのだが、ここでは人口の流出元である地方に焦点を当ててみたい。
直前のスライドで紹介した調査報告によれば、地方からの人口流出による負の影響としては、過疎化や人材不足が挙げられる。また特に若い女性の人口流出が進んだ結果、地方の牧民男性の結婚難が報告されている。この背景として、人口流出が高学歴層で顕著であること、またモンゴルでは男性より女性が高等教育を受ける傾向が高いことがある。
これらの結果として、牧民人口における若手人口の比率が半減したこと、未婚牧民のほとんどを男性が占めていることが報じられている。モンゴルでは日本のような第1次産業従事者の高齢化は今のところ起きていないが、中期的には予断を許さない。
- このようなモンゴルにおいて、近年ウランバートルから地方への移住を促そうとする動きがみられるようになっている。本発表ではそれらのうち、モンゴル社会一般へのインパクトを持ち得るものとして、国際機関や中央政府による取り組みを紹介する。具体的には、スライドの2つである。
- 実は一部タイトル間違いがあって、参考文献欄もそのまま掲載せざるを得なかったのだが、スライドの各地について動画が配信されていることは確認している。
- “Butsakh shiljiltiin khödölgöön”は、細かく言えば日本でいうUターンだけではなくてIターンやJターンを含む概念だが、「帰る」「戻る」とい内容を反映するためにこう訳した。ちなみに英語では“reverse migration movement”で、地方からウランバートルの移動を逆転させるというイメージになる。
- 新再生政策では6つの分野での「再生」が掲げられており、このうちの第4の分野が「都市・遊牧地域の再生」。この分野では4つの目標が示されていて、その2つ目となる4.2.が 「新たな定住地帯や衛星都市、経済自由地帯建設を活発化し、ウランバートル市から地方に移転した国民・企業を包括的政策により支援する方法で集中を緩和する」となっている。そして、この目標の下に10件の活動内容、さらにそれぞれによって達成すべき成果が記されている。それらのうち、地方移住に関するものを次のスライドで示す。
- 「新たな定住地帯や衛星都市、経済自由地帯建設を活発化し、ウランバートル市から地方に移転した国民・企業を包括的政策により支援する方法で集中を緩和する」
- これらは今回の発表までに報道されたものであり、今後他県やウランバートルのナライハ、バガハンガイ、バガノールでも同様の政策が策定されたり、実施されたりする可能性がある。
- ここまで見てきた地方移住促進の取り組みは始まって間がなく、成果を問うのは時期尚早である。とはいえ、今後取り組みを展開する上で、解決すべき課題が4つ指摘される。次のスライドから、それぞれについて述べておきたい。
- モンゴルの地方では鉱山を擁する地域といった一部を除いて農牧業以外の産業が乏しい。政府統計によれば、2021年時点で活動中の企業84494社のうち、ウランバートル以外に拠点を置くのは30.2%の25507社に止まる。それだけに、新再生政策による取り組みのところで述べた大作である、地方で勤務する公務員の給与引き上げや、地方に移転した企業への法人税減額等が実行に移されるかどうかが注目される。一方で、地方の側でも自ら産業を振興していこうとする姿勢が問われる。
- 先に紹介したIOMモンゴル事務所の動画では、政府の担当者として当時の国家開発庁の職員が登場していた。その後の省庁改編で、国家開発庁は経済・開発省に改編された経緯があるので、地方移住促進の取り組みについても継承されていそうなものである。
ただ、同省のウェブサイトを確認した限り、少なくとも現時点において、地方移住事業についての触れたページはない。
さらに、モンゴルでは来年総選挙が予定されており、その結果次第では現在のオヨーン=エルデネ政権が変わることも十分あり得る。その場合、過去の政権交代の例から考えても、新再生政策が継続されるかは微妙であり、その一環である地方移住促進についても引き継がれず、そのまま消えてしまう懸念は決して小さくない。
- 正直なところ伝手を全くもっていないので、もし情報、ご助言、ご提案等あればぜひ伺いたい。