blockchain.tokyo#21 登壇資料 https://blockchain-tokyo.connpass.com/event/135855/

1. DMM流ブロックチェーンエン
ジニア養成講座
Powered by DMM Blockchain Labs
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2. 本日のトピック - Topics
@ DMM.com
● 【10分】オリエンテーション
○ 自己紹介
○ 本日の目的
○ DMMでのブロックチェーン研修紹介
● 【45分】ブロックチェーン研修実践
○ 理解度テスト
○ ディスカッション
○ 解答例解説
● 【5分】DMMブロックチェーン研究室の取り組み
○ インターオペラビリティ技術の研究開発
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3. 自己紹介 - About me
@ DMM.com
加嵜 長門（Kasaki Nagato）
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DMM.com ブロックチェーン研究室 室長
分散処理技術やブロックチェーン技術の研究開発、
事業提案などを担当。
共著に
『試して学ぶ スマートコントラクト開発』（マイナビ出版）
『ブロックチェーンアプリケーション開発の教科書』（マイナビ出版）
『ビッグデータ分析・活用のための SQLレシピ』（マイナビ出版）
『詳解Apache Spark』（技術評論社）

4. 本日の目的
@ DMM.com
● ブロックチェーン技術を正確に理解するための姿勢を身につける
○ 「なんとなく」の理解からの脱却
○ ブロックチェーン以外の技術に対しても重要
● 前提
○ ブロックチェーンについてある程度調べた / 触った / 聞いた ことがある
○ 全くの初心者の方は...
■ 周りに聞く
■ あとで復習する（資料は公開します）
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5. 正確な理解とは？
@ DMM.com
● 理解したことを相手に説明でき、納得してもらえる
○ 理解したつもりになっていることでも、説明しようとすると理解していな
いことに気付く
○ 自分が理解していないことを知ること
● 他人の説明を鵜呑みにしない
○ 世の中の言説には矛盾が多い
○ 他人のトレースだけでは応用が効かない
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6. 理解のレベル感
@ DMM.com
1. 守「完全に理解した」
○ 物事の一側面を理解した状態
2. 破「なにもわからない」
○ 複数の視点から物事を理解し、矛盾に悩む状態
3. 離「チョットデキル」 ※1
○ 自分の立場を明らかにして物事を説明できる状態
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※1 Linus Torvalds: “I can develop Linux a little .”

7. DMM.comでのブロックチェーン研修
@ DMM.com
● 自習 ⇔ Q&A
○ 毎日自習教材で学習
○ 一日の終わりに1時間ほどQ&A
● テスト ⇒ Q&A
○ 1～2週間ごとに理解度テスト
○ テスト結果をもとにQ&A
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テスト Q＆A
自習 Q&A

8. DMM.comでのブロックチェーン研修 - 自習教材
@ DMM.com
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● 各種書籍
● 動画講義
○ Keio SFC Global Campus (SFC-GC)
■ ビヨンドブロックチェーン基礎 (2019)
○ Udemy
■ Udemy - Blockchain
● オンライン講座
○ B9lab Academy

9. DMM.comでのブロックチェーン研修 - Q&A
@ DMM.com
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Q&Aシート
● 自習中に感じた疑問など
をシートに記載
● 毎日1時間ほど質問の時
間をとり、皆で解決
● 結果をシートに残し、次の
学習者のために役立てる

10. DMM.comでのブロックチェーン研修 - 理解度テスト
@ DMM.com
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理解度テスト
● 1-2週間ごとに学習内容のテストを
実施
● 記述式で理解したことを説明しても
らう
● 皆の回答を集約してフィードバック
の会を設け、皆で議論する

11. ブロックチェーン研修実践
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12. 理解度テスト実践
@ DMM.com
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● 社内研修を元に改題した理解度テストに挑戦してもらう
○ 各問１分ほど考える時間を設ける
○ 積極的に周りの人と相談
○ わからないことはWebで調べてもよい
● 数人に解答を発表してもらい、ディスカッション
○ 希望者に発表を募る
○ いない場合は指名で

13. 積極的に間違えよう
@ DMM.com
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● 間違いはコミュニケーションの始まり
○ 間違え方でその人の理解や背景知識が理解できる
○ 正解するとそれ以上のコミュニケーションはない
● 正解は一つではない
○ 発表者の解説はあくまで一つの解
○ 自分なりの正解を見つけて、人に説明できるようになることがゴール
”教室はどのような空間であるべきか。それを一言で言えば、
まちがえることに意味がある空間だということにつきる ”
石原千秋『国語教科書の思想』（ちくま新書）p.36

14. 理解度テスト - ブロックチェーンの特徴を捉える
@ DMM.com
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● Q1. 分散台帳技術における、ブロックチェーンの特徴は？
● Q2. ブロックチェーン以前のP2Pアプリケーションと比較した、ブロック
チェーンアプリケーションの特徴は？
● Q3. Bitcoinを始めとする仮想通貨は、それまでの電子的な通貨と比較し
て何が新しいのか？

15. 補足 - 特徴を説明する
@ DMM.com
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● 「特徴」
○ 他と比べて特異だったり、他と区別できる点
○ 「何と比較するか（文脈）」が重要
● 特徴の抽象度
○ 良い特徴の表現は、一言に収められる
○ 特徴が複数挙がる場合は、抽象度が低いか、文脈が定まっていない

16. ブロックチェーンの側面
@ DMM.com
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● ブロックチェーンは異なる文脈で語られるこ
とが多い
○ 分散台帳
○ P2P
○ 仮想通貨
○ etc.
● 文脈が異なれば特徴も異なる
○ それぞれの文脈でみたブロックチェーンの
特徴を説明する
ブロック
チェーン
分散台帳
P2Pアプリケー
ション
仮想通貨

17. 理解度テスト Q1.
@ DMM.com
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Q1. 分散台帳技術における、ブロックチェーンの
特徴は？

18. Q1. 補足 - 分散台帳
@ DMM.com
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● 分散台帳技術（DLT: Distributed Ledger Technology）
○ 管理ノードや集中ストレージをもたない台帳システム
○ ブロックチェーンは分散台帳技術の一例（定義にもよる）
○ ブロックチェーンではない分散台帳例
■ R3 - Corda
■ IOTA

19. Q1. 解答例
@ DMM.com
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● ブロックチェーンの技術的な特徴
○ ハッシュチェーンを用いた改ざん検出が容易なデータ構造をもつ
● 狭義のブロックチェーンの特徴
○ パーミッションレスな不特定多数のノードを対象とした確率的合意プロ
トコルを用いる
https://jba-web.jp/archives/2011003blockchain_definition

20. 理解度テスト Q2.
@ DMM.com
20
Q2. ブロックチェーン以前のP2Pアプリケーション
と比較した、ブロックチェーンアプリケーションの
特徴は？

21. Q2. 解答例
@ DMM.com
21
● ハッシュチェーンを用いて、データの論理的な前後関係を定義できる
○ テレビ電話、ファイル共有、SNSなどでは、データの前後関係はあまり重要で
はない
○ 電子的な通貨をP2Pでやりとりする場合、現在の状態管理とトランザクション
の順序は重要
○ 通貨システム以外にも、ゲームやECなど、状態管理やデータの順序が重要
なシステムはたくさんある
⇒ ブロックチェーンの応用可能性

22. 理解度テスト Q3.
@ DMM.com
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Q3. Bitcoinを始めとする仮想通貨は、それまで
の電子的な通貨と比較して何が新しいのか？

23. Q3. 解答例
@ DMM.com
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● 非中央集権性
○ 特定の国や企業に、通貨の発行や管理を依存しない
○ 誰もが通貨の発行主体になり得る
■ 国家が発行して流通している通貨は世界で180種類程度 ※1
■ Bitcoin以降、2,300種類以上の仮想通貨が流通している ※2
※1 https://www.currency-iso.org
※2 https://coinmarketcap.com/all/views/all/

24. Q1～3. 出題意図
@ DMM.com
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● ブロックチェーンの特徴を異なる文脈から捉える
○ ブロックチェーンに関わる立場によって、ブロックチェーンの捉え方も異なる
○ 「これがブロックチェーンだ」という一面的な理解をせず、多面的に物事を捉え
ることを習慣づける

25. 理解度テスト Q4.
@ DMM.com
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Q4. ブロックチェーンで用いられる暗号学的ハッ
シュ関数は、通常のハッシュ関数と比べて何が必
要か？

26. Q4. 補足 - ハッシュ関数
@ DMM.com
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● あるデータの要約値を得るための関数
● 用途
○ チェックサム、誤り訂正、検索の高速化、改ざん検出など
● 単純なハッシュ関数の例
○ 入力： 連番のファイル名 k
○ ハッシュ関数： k mod n

27. Q4. 解答例
@ DMM.com
27
● 暗号学的ハッシュ関数に要求される性質
● 原像計算困難性
○ ハッシュ値から入力値の推測が困難
● 第2原像計算困難性
○ ある入力値と同じハッシュ値を返す別の入力値の発見が困難
● 強衝突耐性
○ 同じハッシュ値を返す2つの異なる入力値の発見が困難

28. Q4. 補足
@ DMM.com
28
● ブロックチェーンに暗号学的ハッシュ関数が使われる理由
● Proof of Workへの応用
○ ある値以下のハッシュ値を返す入力値を、総当たり以外の方法で探すことが
困難
● ブロックチェーンにそぐわないハッシュ関数の特性
○ 連続性
■ 近い入力値には近いハッシュ値を返す（検索などでは有効）
○ 低コスト
■ 一般的なハッシュ関数では必要な特性だが、PoWには不向き

29. Q4. 出題意図
@ DMM.com
29
● 専門用語を一面的な文脈で理解しない
○ 「ハッシュ関数」「Proof of Work」「DAG」などは、もともとブロックチェーンの用
語ではない
○ ブロックチェーンの文脈で用いられる意味と、本来的な意味（さらに異なる分
野での意味）を押さえると理解が深まる

30. 理解度テスト Q5.
@ DMM.com
30
Q5. ビザンチン将軍問題で取り上げられる「ビザ
ンチン障害」の特徴は？

31. Q5. 補足 - ビザンチン将軍問題
@ DMM.com
31
● ランポートらによって定式化された合意問題の思考実験
● ビザンチン帝国の将軍らが、敵の都市を攻めるための戦略に合意する
○ 将軍間の通信は、伝令を用いて2者間のみで可能
○ 将軍の中に、合意を阻もうとする裏切り者が存在する
○ 裏切り者の将軍が全体の3分の1未満でないと解決できない
https://lamport.azurewebsites.net/pubs/byz.pdf

32. Q5. 解答例
@ DMM.com
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ビザンチン障害の定義
● 予期しないあらゆる可能性を想定した障害
特徴
● 故障したノードは、システムで想定している以外の応答
をし得る
○ cf. 応答しない、エラーコードを返す
● ノードが故障しているかはシステム上判定できない
● 異なるノードに対して異なる応答をし得る
○ 悪意を持ってシステムを破壊しようとする可能性
もある
引用:
https://ti.tuwien.ac.at/cps/teaching/courses/depen
dable_systems-ss08/dcs_slides/dcs-2007-p5.pdf
Hierarchy of failure modes

33. Q5. 出題意図
@ DMM.com
33
● 人に物事を説明するとき、定義や比喩表現だけでは伝わらないこともある
● 物事の特徴をつかみ、文脈に合わせて説明できるようになる
○ 特徴を捉えるには、何と比較するか（文脈）が重要

34. 理解度テスト Q6.
@ DMM.com
34
Q6. CAP定理において、ブロックチェーンが一般
的に満たしにくい要素はC, A, Pのうちどれか？
理由とともに回答してください。

35. Q6. 補足 - CAP定理
@ DMM.com
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● Consistency（一貫性）
○ すべてのノードが同じデータを参照する
● Availability（可用性）
○ 必ず有限時間内に応答を返す
● Partition-tolerance（分断耐性）
○ ネットワークが分断されてもシステムが継続する
● CAP定理
○ 上記3つのうち、同時に3つの保証を満たすことはできない

36. Q6. 解答例
@ DMM.com
36
● 一貫性の担保が最も難しい
○ 一貫性を担保するNoSQL DBでは、全ノードに書き込みが終わるまで書込処
理の完了を待ったり、データのレプリカ数と同じノードに問い合わせをする、な
どの方法がある ※1
○ 不特定多数のノードが参加するブロックチェーンでは、そもそも「すべてのノー
ド」を定義することが不可能
○ 一貫性を担保しようとしたときのトレードオフが大きい
■ レイテンシ、分散性など
※1 https://riak.com/riaks-config-behaviors-part-2/

37. Q6. 出題意図
@ DMM.com
37
● 事象の観測だけでなく、根拠となる理由を考える
○ 世の中のブロックチェーンや分散システムを観測すれば、AP型の（一貫性の
保証を妥協した）システムが多いことはわかる
○ 観測結果をそのまま答えとするのではなく、なぜそのような傾向にあるのか、
逆の実装をしようとしたらどのような困難があるのか、などを考える力を身に
つける

38. オープンクエスチョン Q7.
@ DMM.com
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Q7. ブロックチェーンを用いたアプリケーションが
普及するために解決しなければならない最も重
要な技術的課題は何か？

39. Q7. ディスカッション
@ DMM.com
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● スケーラビリティ
● セキュリティ
● ガバナンス
● ユーザビリティ
● インターオペラビリティ
● etc.

40. DMMブロックチェーン研究室
の取り組み
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41. インターオペラビリティのUX向上のためのBridge技術研究
@ DMM.com
● OverlayToken
○ 異なるチェーン上で透過的に
トークンを利用するためのトーク
ン規格
○ あるチェーン上のアセットを別の
チェーンに移転するのではなく、
初めから移転を前提としたトーク
ンを設計する
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42. 既存BridgeにおけるUX課題
@ DMM.com
●
42
出典: Polkadot Bridges: Design Considerations for
Bridging to PoW Chains
https://hackmd.io/UVzp6Z-bRAOo9Ny531yhmA
Lock & Issue
● 片側のチェーン上でトークンや
ネイティブ通貨をLock
● Lockしている間、もう片方のチェーン
で新トークンを発行
ユーザーから見た課題
● 管理するトークンの種類が増加
● Lockしたアセットに拘束される

43. Substrateでの実証
● Substrateで2つの異なるピア
チェーンを実行し、両者にま
たがるOverlayTokenを実装
● TokenのMint, Burn, チェーン
間のToken送受信が可能
OverlayToken デモ
@ DMM.com
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44. Githubレポジトリ
@ DMM.com
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● ドキュメント
○ https://github.com/dmm-bclabs/overlay-token
● Substrate実装
○ https://github.com/dmm-bclabs/substrate-overlay-token
○ https://github.com/dmm-bclabs/substrate-overlay-token-bridge
○ https://github.com/dmm-bclabs/substrate-overlay-token-ui
● Ethereum実装
○ https://github.com/dmm-bclabs/ethereum-overlay-token
○ https://github.com/dmm-bclabs/ethereum-overlay-token-bridge
○ https://github.com/dmm-bclabs/ethereum-overlay-token-ui

45. 今後の展望
@ DMM.com
● トークン仕様ドキュメントやプロダクトリポジトリの公開
● セキュリティやユーザビリティの向上
● RelayerのTrustless化（分散Oracle）
● OverlayTokenを用いたデモプロダクトの実装
● Ethereum以外のパブリックチェーンとの接続
● トークン以外のアセットへの応用
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46. Thank you for the attention.
Powered by DMM Blockchain Labs
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