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やってみよう!ユーザーテスト
株式会社ポップインサイト
白石 啓(@ke_shira)
Code4Lib JAPANカンファレンス 2020(2020-06-21)
1
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本日伝えたいこと
ユーザーテストは、
ユーザーを深く理解し、
サービスの課題を把握するための
パワフルなツールです。
まずは一人ユーザーを捕まえて
やってみよう!
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本日の内容
1. 自己紹介・会社紹介
2. ユーザーテストとは
3. リモートユーザーテストを実施する流れ
3
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自己紹介
白石 啓 Kei SHIRAISHI
株式会社ポップインサイト
UXリサーチャー・マネージャー
• NDL(2006年~2013年3月/2015年4月~2018年4月)
➢ 主にメタデータの人。DC-NDL、NDLサーチ、Web NDL Authoritiesなど
➢ 東日本大震災アーカイブ(ひなぎく)は企画~リリースまで担当
➢ その他、電子リソース関係、ウェブアクセシビリティ関係なども
• NII(2013年4月~2015年3月)
➢ CiNiiの中の人。CiNiiのレスポンシブウェブデザイン対応、JSON-LD APIの設
計、Dissertations開発など
• 『情報の科学と技術』編集委員(長)(2009年5月~2014年9月)
• ポップインサイト(2018年5月~現在)
➢ UXリサーチャーとして不動産、飲食、教育、学術情報流通などさまざまな業
界のUXリサーチに携わる
➢ 2019年12月からマネージャーとなり、リサーチャーの育成や業務改善など
も担当
• おまけ:社員インタビュー記事
4
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会社紹介(1/2)
ユーザ視点を間近にすることで
“コミュニケーションバグ”をなくし
価値が正しく伝わる社会を実現する
代表取締役CEO 久川 竜馬
・早稲田大学卒
・UXリサーチ運用責任者として
年間100件超の案件運用に携わる。
2
ミッション
1
企業概要
株式会社ポップインサイト ・設立:2013年1月
・従業員数(2019年9月時点):50名
・本社:神奈川県横浜市青葉区荏田西1-12-5-101
3
事業&
ポジション
外部環境
デジタル化による
顧客のビッグデータ
マーケティングの基礎データが、リサーチ会社からク
ライアント企業に主権移動
VUCA化※による
デザインリサーチの重視
仮説検証よりもインサイト発見・課題発見が重要に
リサーチツールのセルフ化
ミルトークやfastaskなど、低価格で大量データを使え
るサービスが出現
当社の方向性
デザインリサーチ(≒UXリサーチ)
を継続的&スピーディに実施できる
体制・環境の構築を支援!!
アジャイルUXリサーチ体制構築
(UXリサーチャ・オンデマンド)
デザインファ
ームなど
リサーチ会社
など
当社
ハウスエージ
ェンシーなど
デザインリサーチ
(仮説探索、定性寄り)
単発
プロジェクト
継続
体制構築
マーケティングリサーチ
(仮説検証、定量寄り)
当社のメインサービス
UXリサーチャとリサーチツールを月額固定
でセット提供。貴社チームの一員としてリ
サーチ体制を構築。
5
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会社紹介(2/2)
出典:News Up ひとりぼっちのテレワーク 孤独感を解決するヒントは? | NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200413/k10012385081000.html
フルリモートワークの会社です
リモートワークスタイル – 株式会社ポップインサイト
https://popinsight.jp/remotework/
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本日の内容
1. 自己紹介・会社紹介
2. ユーザーテストとは
3. リモートユーザーテストを実施する流れ
7
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ユーザーテストとは
• ユーザーに実際にサイト・アプリの利用してもらい、その様子の観察やヒアリングを通じ、ユーザー心理や対象サ
イト・アプリの課題・機会を見つける手法(≒ユーザビリティテスト)。
• 被験者に対して、特定の状況とタスクを設定し、そのタスクを実施する行動を観察する。必要に応じて声かけや
質問を行うことで、思考発話(考えていることをひとりごとで呟く)を促す。
• タスクの終了後、行動した内容について質問を投げかけ、行動した理由や心理を深掘りする(回顧法)。
8
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ユーザーテストからわかること
ユーザ心理
ユーザ心理・視点から
導出される
サイト課題
• 「なぜ悪いか」の仮説が立つ
• 細部まで定性的な良し悪しが分かる
9
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アクセス解析・アンケートとの比較
10
アクセス解析 ユーザーテスト
• ユーザーの行動を量的に把
握できる(ボリューム感が
わかる)
• 課題となっているページが
把握できる
• セグメント別の傾向を把握
できる
メリット
デメリット
• ユーザーがなぜその行動を
したかの背景や理由を把握
できる
• 課題となっている箇所がな
ぜ課題なのかがわかり、次
の打ち手につながる
• 競合と比較しての良し悪し
を把握できる
• (副次的に)チームに一体
感が生まれる
アンケート
• ユーザーの行動を量的に把
握できる(ボリューム感が
わかる)
• 表層的なニーズを把握でき
る
• 自由回答質問により、定性
的な情報もある程度は把握
できる
• ユーザーがその行動をした
背景や理由がわからない
• 現状しかわからないため、
次の打ち手を考えづらい
• 自組織のデータしか得られ
ない(競合や似たサイトと
比較しての良し悪しを把握
できない)
• 表層的なニーズしか把握で
きない(ユーザーの潜在的
なニーズを把握できない)
• ユーザーの行動を把握しづ
らい
• 量的に傾向を把握すること
が難しい
• ユーザーテストは、アクセス解析やアンケートのデメリットをカバーできるため、組み合わせることでよりユー
ザー理解が深まり、サービスの改善につなげることが可能
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ユーザーテストの特徴
• 総括的評価ではなく形成的評価の一手法(ユーザビリティやUXを統計的に測定・分析することが目的ではなく、
具体的にどこに課題があるのか、なぜ課題が発生したのかを明らかにする目的の評価手法)
• 海外の調査結果から、1調査3~5人が最適と言われている。
n人のユーザ調査による、問題発見率は、次の式
で求められる。(Jakob Nielsen・Tom
Landauer )
ここでLはひとりのユーザをテストして発見でき
るユーザビリティ問題が全体に占める割合を示し
ている。プロジェクト調査の結果、典型的なLの
値は平均して31% となることが分かっている。
1-(1-L)n
3人の調査で問題点の約65%、
5人の調査で80%以上を発見可能
(※全く異なるユーザセグメントを狙う場合、それぞれ3~5人程度の実施を推奨)
ユーザ調査による問題点の発見率
*:ユーザビリティテストによる問題発見率
(出展:http://www.usability.gr.jp/alertbox/20000319.html)
11
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リモートユーザーテストとは
• Zoomなどのビデオ会議ソフトウェアを利用し、モデレーターが被験者へ調査タスクを指示し、被験者が操作す
る様子を画面共有機能を使って観察する形式で進める。
• モデレータは、被験者に対し必要に応じて声かけや質問を行うことで、思考発話(考えていることをひとりごと
で呟く)を促す。
• 操作と発話の模様は、Zoomのレコーディング機能を使って録画し分析する。
【モデレーター側】画面共有機能および録画機能により、
画面の動きや発言を確認・録画
被験者の調査の様子(例)
【被験者側】画面共有機能により、
ブラウザやスマホ画面を共有
12
Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. 13
リモートと対面のユーザーテストの違い
対面 リモート
• 行動観察から得られる情報量
が多い(視線、ボディランゲ
ージ、表情など)
• 介入して質問するタイミング
を図りやすい
• 行動観察から得られる情報量
が少ない
- 回顧法(振り返り質問)を充
実させることでカバー
• 介入して質問するタイミング
がやや図りづらい
• 機器操作の習熟が必要
メリット
デメリット
• コストがかかる(ラボのレン
タル料金、被験者への謝礼な
ど)
• 日程調整に時間がかかる
• 短期間で調査を実施できる
• 場所を問わず被験者を選べる
• コストが安くすむ
• 日程調整の融通がききやすい
• どの画面のどの部分を見てい
るか、操作しているか、細部
まで確認しやすい
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ユーザーテストの事例(1/2)
14
出典:ユーザビリティテストでユーザーの「行動」から課題を探る(調査の背景・観点と浮かび上
がった5個の重要課題)
https://biosciencedbc.jp/blog/20191206-01.html
転職サイトの事例 生命科学データベースの事例 JST-NBDC様
「Integbioデータベースカタログ」)
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ユーザーテストの事例(2/2)
15
出典:CiNii CiNiiの中の人から
https://www.nii.ac.jp/userimg/openhouse/Pt1_01_Oomukaii.pdf
メルペイ CiNii
• 「毎週4名のお客さまに対してコンセプト評価やユ
ーザビリティテストなどのUXリサーチを行ってい
ます。」
出典:メルペイが実践する「アジャイルUXリサーチ」とは UX MILK
https://uxmilk.jp/86816
• 2009年のリニューアル時、ユーザビリティテスト結
果に基づきUI設計。その後の利用者増・サービスの
発展につながる
• 当時設計したUIは、現在もほぼ変わっていない
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本日の内容
1. 自己紹介・会社紹介
2. ユーザーテストとは
3. リモートユーザーテストを実施する流れ
16
Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved.
テストの目的と「明らかにしたいこと」を明確にする
• 目的を明確にする
➢ 貸出数の増加?サイトリニューアルに向けての課題の洗い出し?
➢ 新規ユーザーを増やしたい?ヘビーユーザーの利用行動を知りたい? など
• 「明らかにしたいこと」を明確にする
➢ 検索機能の課題を把握したいのか?/書誌詳細画面で不足している情報がないかを確認
したいのか?/資料の貸出申し込みフォームの操作性について確認したいのか? など
• 目的と「明らかにしたいこと」をふまえ、被験者選びとタスク設計を進める
17
出典:ユーザビリティテストでユーザーの「行動」から課題を探る(調査の背景・観点と浮かび上がった5個の重要課題)
https://biosciencedbc.jp/blog/20191206-01.html
生命科学データベースの事例 JST-NBDC様「Integbioデータベースカタログ」での例:
1
調査企画
2
被験者を
選ぶ
4
実査
5
分析
3
タスクを
設計する
Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved.
被験者を見つける・選ぶときのポイント
• 気軽に声をかけられる範囲で見つける
➢ 知り合いや友人/声をかけやすい学生や先生/就職して間もない同僚など
➢ どうしても難しい場合は、リサーチ会社のパネルの利用を検討
• ターゲットユーザーにピンポイントの人でなくても大丈夫
➢ 近い方が望ましいが、まったく畑違いでなければそれなりにサイトの課題は出る
➢ 大学図書館の例:大学生が捕まらないなら⇒大学卒業後3年以内の人 など
➢ 公共図書館の例:市民が捕まらないなら⇒その市町村に過去住んでいて、市立図書館を過去に利用し
たことがある人 など
➢ 「図書館にまったく興味がない」など、利用する可能性が限りなく低い人は避ける
• 操作性やわかりやすさについて確認したい場合は、なるべくライトユーザーにやって
もらう
➢ ヘビーユーザーは操作方法を学習してしまっているため、ライトユーザーがつまづく箇所が把握で
きない恐れ
• ヘビーユーザーにやってもらうと良いケース
➢ 課題の優先度をつけやすくなる(ヘビーユーザーですらつまづく課題=直す優先度が高い)
➢ ヘビーユーザーが好意的に捉えている点が、ライトユーザーを引き込む訴求ポイントとして活用で
きる可能性あり(例:ヘビーユーザーが良いと感じている点を案内チラシに盛り込む、など)
18
1
調査企画
2
被験者を
選ぶ
4
実査
5
分析
3
タスクを
設計する
Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved.
タスク設計のポイント
• 所要時間は上限60分が目安
➢ それ以上長くなると、被験者の回答精度が下がる
恐れ
• 主要なタスクだけテストする
➢ サイトやサービスの目的からタスクを絞り込む
➢ 特に確認したい機能や手順の観点から絞り込む
• 実際の場面に近い状況を設定する
×文献を探してください。
○あなたは、卒業論文を書くため、参考文献をネット
で調べています。ネットで調べていたら●●というサ
イトを見つけたので、見てみることにしたとします。
• スタートとゴールを明確にする
➢ スタートする場所によって、観察できる行動が
異なる
➢ ゴールは「ユーザー視点から、そのサイトやサ
ービスで達成したい目的」を設定する
19
1
調査企画
2
被験者を
選ぶ
4
実査
5
分析
3
タスクを
設計する
「Integbioデータベースカタログ」でのタスクの例(抜粋)
Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved.
タスクの構成と流れ
20
事前
ヒアリング
• 被験者のバック
グラウンドを確
認
• タスクにスムー
ズにつなげるた
めに、簡単にい
くつか質問する
タスク1 タスク2 タスク3
事後
ヒアリング
1
調査企画
2
被験者を
選ぶ
4
実査
5
分析
3
タスクを
設計する
• タスクのブロックは、最大四つ程度までが目安
• 優先度の高いタスクほどテストの前半で確認する
• タスクのブロックは、状況設定→行動観察→振り返り質問で構成
される
➢ 状況設定:実際の場面に近い状況を設定する
➢ 行動観察:スタートとゴールを明示し、行動してもらう
➢ 振り返り質問:行動を終えた直後に、行動を振り返って質問に答えて
もらう。聞きたいポイントについて4択あるいは5択で答えてもらっ
たうえで、その理由を尋ねると良い
• 1タスクブロックにつき1タスクが原則
➢ 競合サイトの閲覧と、自組織のサイトの閲覧は別タスク
➢ サイトの自由閲覧と、サイトの申し込みフォーム入力は別タスク
状況
設定
行動
観察
振り返り
質問
状況
設定
行動
観察
振り返り
質問
状況
設定
行動
観察
振り返り
質問
• ユーザーテスト
全体を振り返っ
て、サイトやサ
ービス全体の印
象や、そのタス
クを実行する際
に期待する点や
重視する点を確
認
• 競合と比較した
場合は、どちら
が良かったか、
それはなぜかを
質問して確認
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環境面の事前準備が大事
• 被験者に、事前準備についてメールで案内
➢ ZoomのインストールURL、当日のURL
- 特にiPhoneは、画面収録の設定とマイク入力の設定が必要なので、画面キャプチャ付きで設定手順を
案内
➢ 個人情報の映り込みの防止
- ホーム画面上のファイルやフォルダの移動、ブラウザはシークレットモード、メール等の通知オフ
➢ その他、実施環境に関する注意事項
- 落ち着いて話ができる環境、電池残量、充電についてなど
• 音が鳴るものは消しておく(スマホ、メールやSlackの通知等…)
• 開始前に被験者と一緒に動作確認
➢ 画面共有ができるか(※特にiPhone)、声が聞こえるか
• ユーザーテストの目的や流れ、録画許可など被験者に事前説明
➢ 普段の様子を知りたいため、一人で操作しているものとして実施するよう依頼
• DebutやLoomなどの画面録画ツールで必ずバックアップ録画
• 思考発話はデモして見せる
➢ 対象サイトに直接関係のないサイトを例に実演(バイアスを防ぐため)
21
1
調査企画
2
被験者を
選ぶ
4
実査
5
分析
3
タスクを
設計する
Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved.
リモート環境でインサイトを得る工夫
• 事前説明時はカメラオン、ユーザーテストに入ったらカメラオフ
➢ 顔を見せて話をすることで、ラポールをなるべく構築
➢ ただし、実査のときは一人で操作している状況に近づけるため、カメラオフ
• 環境トラブルが起きても慌てない
➢ どうしても画面共有できなければ、日時を改める
➢ 調査デバイスを切り替える/モデレータ側の画面を共有するなどの代替手段も
• ユーザーテストで必要な情報は、Zoomのチャット機能で都度送付
➢ 見てほしいページのURL、フォーム入力時のダミー個人情報など
➢ スマホの場合、チャットの開き方がわかりにくいので、操作手順を案内できるよう準備
• 行動観察時は音声をミュートにする
➢ テキストエディタに気づきをメモする際の、キーボード音がバイアスになる恐れ
• 「どのページの」「どの部分のこと」を言っているかを尋ねる
➢ 特にスマホでは、指の動きがわからないため
• 終了後に、事後アンケートの確約を得ておく
➢ 聞き漏らしたことなどがあれば、あとでメールで確認できるようにしておく
22
1
調査企画
2
被験者を
選ぶ
4
実査
5
分析
3
タスクを
設計する
Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved.
動画から行動と発話を洗い出し、KJ法で発見点を抽出
23
1
調査企画
2
被験者を
選ぶ
4
実査
5
分析
3
タスクを
設計する
行動・発話の洗い出し
• 動画を見ながら、特徴的な発言・
行動や、問題がある点をメモ(
すべてをメモる必要はない)
• 「気づき」ではなく、実際に観
察した「事実」を書き出す
• 「ユーザ視点」で記述する
• ツールはやりやすいもので(テ
キストエディタ、スプレッドシ
ート、Miroなど)
発見点のまとめ
• メモの内容を振り返りながら、
「どんな発見点があったか」「
その根拠は何か」を整理
• 似たメモをまとめ、なるべく理
由と共に記載(例:~のため、
●●)
• 「要望」を鵜呑みにしない
• 関係者で集まって、動画を見な
がらワークショップ的にやるの
もおすすめ
発見点分類
例:Excelファイル例:テキストファイル例:テキストファイル
• 発見点に対して「その発見点の
種類(対象サイト、対象ページ
、ポジ/ネガなど)」に分類
Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved.
発見点を通じてわかったサイト課題に優先順をつける
24
1
調査企画
2
被験者を
選ぶ
4
実査
5
分析
3
タスクを
設計する
• 「ユーザビリティの3要素」(ISO9241-
11:1998)で重みづけ
➢ 有効さ(効果):ユーザーが、指定され
た目標を達成するうえでの正確さと完全
さ→そもそもタスクが達成できない⇒重
要度高
➢ 効率:ユーザーが、目標を達成する際に
正確さと完全さに費やした資源→タスク
は達成できるが時間や手間がかかる⇒重
要度中
➢ 満足度:不快さのないこと、および製品
仕様に対しての肯定的な態度→問題なく
タスクは達成できるが、不満な点がある
⇒重要度低
• 満足度に関わるものでも、離脱につながる場
合は有効さ(効果)の課題と判断
• 同じ問題が観察されたユーザーの人数も重要
度判断の目安になる
➢ 5人中1人で観察されたものより、5人中
4人で観察されたものは改善の優先度が
高い
Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. 25
まとめ
• ユーザーテストとは、ユーザーに実際にサイト・アプリの利用してもらい、その様子の
観察やヒアリングを通じ、ユーザ心理や対象サイト・アプリの課題・機会を見つける手
法
• 企画段階で、ユーザーテストの「目的」と「明らかにしたいこと」を明確にする
• 被験者はターゲットユーザーにピンポイントの人でなくても大丈夫(そのサービスを
使う可能性が高い人がベターだが、まずは気軽に声をかけられるところから)
• タスクは、主要なタスクを選択し、ユーザー視点の目的からスタートとゴールを明確
し、実際の場面に近い状況を設定する
• 実査では、なるべく口を挟まずにユーザーの行動を観察する。環境面の事前準備を念
入りに
• 分析は、ユーザーの行動や発話をリストアップしたうえで、有効さ(効果)・効率・
満足度に分類。関係者で動画を一緒に見てディスカッションするのも有効
まずは一人ユーザーを捕まえてきて
ユーザーテストをやってみよう!
Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. 26
参考資料
アジャイル・ユーザビリティ : ユーザエクスペリエンスのためのDIYテスティング
樽本徹也著
オーム社, 2012.2
ISBN: 9784274211607
https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB08823550
UXデザインの教科書
安藤昌也著
丸善出版, 2016.5
ISBN: 9784621300374
https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB21328501
超明快Webユーザビリティ : ユーザーに「考えさせない」デザインの法則
スティーブ・クルーグ著 ; 福田篤人訳
ビー・エヌ・エヌ新社, 2016.6
ISBN: 9784802510318
https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB21502507
Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. 27
ご不安な場合、
もちろんお手伝いもできますので
お気軽にご相談ください!
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  • 2. Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. 2 本日伝えたいこと ユーザーテストは、 ユーザーを深く理解し、 サービスの課題を把握するための パワフルなツールです。 まずは一人ユーザーを捕まえて やってみよう!
  • 3. Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. 本日の内容 1. 自己紹介・会社紹介 2. ユーザーテストとは 3. リモートユーザーテストを実施する流れ 3
  • 4. Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. 自己紹介 白石 啓 Kei SHIRAISHI 株式会社ポップインサイト UXリサーチャー・マネージャー • NDL(2006年~2013年3月/2015年4月~2018年4月) ➢ 主にメタデータの人。DC-NDL、NDLサーチ、Web NDL Authoritiesなど ➢ 東日本大震災アーカイブ(ひなぎく)は企画~リリースまで担当 ➢ その他、電子リソース関係、ウェブアクセシビリティ関係なども • NII(2013年4月~2015年3月) ➢ CiNiiの中の人。CiNiiのレスポンシブウェブデザイン対応、JSON-LD APIの設 計、Dissertations開発など • 『情報の科学と技術』編集委員(長)(2009年5月~2014年9月) • ポップインサイト(2018年5月~現在) ➢ UXリサーチャーとして不動産、飲食、教育、学術情報流通などさまざまな業 界のUXリサーチに携わる ➢ 2019年12月からマネージャーとなり、リサーチャーの育成や業務改善など も担当 • おまけ:社員インタビュー記事 4
  • 5. Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. 会社紹介(1/2) ユーザ視点を間近にすることで “コミュニケーションバグ”をなくし 価値が正しく伝わる社会を実現する 代表取締役CEO 久川 竜馬 ・早稲田大学卒 ・UXリサーチ運用責任者として 年間100件超の案件運用に携わる。 2 ミッション 1 企業概要 株式会社ポップインサイト ・設立:2013年1月 ・従業員数(2019年9月時点):50名 ・本社:神奈川県横浜市青葉区荏田西1-12-5-101 3 事業& ポジション 外部環境 デジタル化による 顧客のビッグデータ マーケティングの基礎データが、リサーチ会社からク ライアント企業に主権移動 VUCA化※による デザインリサーチの重視 仮説検証よりもインサイト発見・課題発見が重要に リサーチツールのセルフ化 ミルトークやfastaskなど、低価格で大量データを使え るサービスが出現 当社の方向性 デザインリサーチ(≒UXリサーチ) を継続的&スピーディに実施できる 体制・環境の構築を支援!! アジャイルUXリサーチ体制構築 (UXリサーチャ・オンデマンド) デザインファ ームなど リサーチ会社 など 当社 ハウスエージ ェンシーなど デザインリサーチ (仮説探索、定性寄り) 単発 プロジェクト 継続 体制構築 マーケティングリサーチ (仮説検証、定量寄り) 当社のメインサービス UXリサーチャとリサーチツールを月額固定 でセット提供。貴社チームの一員としてリ サーチ体制を構築。 5
  • 6. Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. 6 会社紹介(2/2) 出典:News Up ひとりぼっちのテレワーク 孤独感を解決するヒントは? | NHKニュース https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200413/k10012385081000.html フルリモートワークの会社です リモートワークスタイル – 株式会社ポップインサイト https://popinsight.jp/remotework/
  • 7. Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. 本日の内容 1. 自己紹介・会社紹介 2. ユーザーテストとは 3. リモートユーザーテストを実施する流れ 7
  • 8. Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. ユーザーテストとは • ユーザーに実際にサイト・アプリの利用してもらい、その様子の観察やヒアリングを通じ、ユーザー心理や対象サ イト・アプリの課題・機会を見つける手法(≒ユーザビリティテスト)。 • 被験者に対して、特定の状況とタスクを設定し、そのタスクを実施する行動を観察する。必要に応じて声かけや 質問を行うことで、思考発話(考えていることをひとりごとで呟く)を促す。 • タスクの終了後、行動した内容について質問を投げかけ、行動した理由や心理を深掘りする(回顧法)。 8
  • 9. Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. ユーザーテストからわかること ユーザ心理 ユーザ心理・視点から 導出される サイト課題 • 「なぜ悪いか」の仮説が立つ • 細部まで定性的な良し悪しが分かる 9
  • 10. Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. アクセス解析・アンケートとの比較 10 アクセス解析 ユーザーテスト • ユーザーの行動を量的に把 握できる(ボリューム感が わかる) • 課題となっているページが 把握できる • セグメント別の傾向を把握 できる メリット デメリット • ユーザーがなぜその行動を したかの背景や理由を把握 できる • 課題となっている箇所がな ぜ課題なのかがわかり、次 の打ち手につながる • 競合と比較しての良し悪し を把握できる • (副次的に)チームに一体 感が生まれる アンケート • ユーザーの行動を量的に把 握できる(ボリューム感が わかる) • 表層的なニーズを把握でき る • 自由回答質問により、定性 的な情報もある程度は把握 できる • ユーザーがその行動をした 背景や理由がわからない • 現状しかわからないため、 次の打ち手を考えづらい • 自組織のデータしか得られ ない(競合や似たサイトと 比較しての良し悪しを把握 できない) • 表層的なニーズしか把握で きない(ユーザーの潜在的 なニーズを把握できない) • ユーザーの行動を把握しづ らい • 量的に傾向を把握すること が難しい • ユーザーテストは、アクセス解析やアンケートのデメリットをカバーできるため、組み合わせることでよりユー ザー理解が深まり、サービスの改善につなげることが可能
  • 11. Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. ユーザーテストの特徴 • 総括的評価ではなく形成的評価の一手法(ユーザビリティやUXを統計的に測定・分析することが目的ではなく、 具体的にどこに課題があるのか、なぜ課題が発生したのかを明らかにする目的の評価手法) • 海外の調査結果から、1調査3~5人が最適と言われている。 n人のユーザ調査による、問題発見率は、次の式 で求められる。(Jakob Nielsen・Tom Landauer ) ここでLはひとりのユーザをテストして発見でき るユーザビリティ問題が全体に占める割合を示し ている。プロジェクト調査の結果、典型的なLの 値は平均して31% となることが分かっている。 1-(1-L)n 3人の調査で問題点の約65%、 5人の調査で80%以上を発見可能 (※全く異なるユーザセグメントを狙う場合、それぞれ3~5人程度の実施を推奨) ユーザ調査による問題点の発見率 *:ユーザビリティテストによる問題発見率 (出展:http://www.usability.gr.jp/alertbox/20000319.html) 11
  • 12. Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. リモートユーザーテストとは • Zoomなどのビデオ会議ソフトウェアを利用し、モデレーターが被験者へ調査タスクを指示し、被験者が操作す る様子を画面共有機能を使って観察する形式で進める。 • モデレータは、被験者に対し必要に応じて声かけや質問を行うことで、思考発話(考えていることをひとりごと で呟く)を促す。 • 操作と発話の模様は、Zoomのレコーディング機能を使って録画し分析する。 【モデレーター側】画面共有機能および録画機能により、 画面の動きや発言を確認・録画 被験者の調査の様子(例) 【被験者側】画面共有機能により、 ブラウザやスマホ画面を共有 12
  • 13. Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. 13 リモートと対面のユーザーテストの違い 対面 リモート • 行動観察から得られる情報量 が多い(視線、ボディランゲ ージ、表情など) • 介入して質問するタイミング を図りやすい • 行動観察から得られる情報量 が少ない - 回顧法(振り返り質問)を充 実させることでカバー • 介入して質問するタイミング がやや図りづらい • 機器操作の習熟が必要 メリット デメリット • コストがかかる(ラボのレン タル料金、被験者への謝礼な ど) • 日程調整に時間がかかる • 短期間で調査を実施できる • 場所を問わず被験者を選べる • コストが安くすむ • 日程調整の融通がききやすい • どの画面のどの部分を見てい るか、操作しているか、細部 まで確認しやすい
  • 14. Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. ユーザーテストの事例(1/2) 14 出典:ユーザビリティテストでユーザーの「行動」から課題を探る(調査の背景・観点と浮かび上 がった5個の重要課題) https://biosciencedbc.jp/blog/20191206-01.html 転職サイトの事例 生命科学データベースの事例 JST-NBDC様 「Integbioデータベースカタログ」)
  • 15. Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. ユーザーテストの事例(2/2) 15 出典:CiNii CiNiiの中の人から https://www.nii.ac.jp/userimg/openhouse/Pt1_01_Oomukaii.pdf メルペイ CiNii • 「毎週4名のお客さまに対してコンセプト評価やユ ーザビリティテストなどのUXリサーチを行ってい ます。」 出典:メルペイが実践する「アジャイルUXリサーチ」とは UX MILK https://uxmilk.jp/86816 • 2009年のリニューアル時、ユーザビリティテスト結 果に基づきUI設計。その後の利用者増・サービスの 発展につながる • 当時設計したUIは、現在もほぼ変わっていない
  • 16. Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. 本日の内容 1. 自己紹介・会社紹介 2. ユーザーテストとは 3. リモートユーザーテストを実施する流れ 16
  • 17. Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. テストの目的と「明らかにしたいこと」を明確にする • 目的を明確にする ➢ 貸出数の増加?サイトリニューアルに向けての課題の洗い出し? ➢ 新規ユーザーを増やしたい?ヘビーユーザーの利用行動を知りたい? など • 「明らかにしたいこと」を明確にする ➢ 検索機能の課題を把握したいのか?/書誌詳細画面で不足している情報がないかを確認 したいのか?/資料の貸出申し込みフォームの操作性について確認したいのか? など • 目的と「明らかにしたいこと」をふまえ、被験者選びとタスク設計を進める 17 出典:ユーザビリティテストでユーザーの「行動」から課題を探る(調査の背景・観点と浮かび上がった5個の重要課題) https://biosciencedbc.jp/blog/20191206-01.html 生命科学データベースの事例 JST-NBDC様「Integbioデータベースカタログ」での例: 1 調査企画 2 被験者を 選ぶ 4 実査 5 分析 3 タスクを 設計する
  • 18. Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. 被験者を見つける・選ぶときのポイント • 気軽に声をかけられる範囲で見つける ➢ 知り合いや友人/声をかけやすい学生や先生/就職して間もない同僚など ➢ どうしても難しい場合は、リサーチ会社のパネルの利用を検討 • ターゲットユーザーにピンポイントの人でなくても大丈夫 ➢ 近い方が望ましいが、まったく畑違いでなければそれなりにサイトの課題は出る ➢ 大学図書館の例:大学生が捕まらないなら⇒大学卒業後3年以内の人 など ➢ 公共図書館の例:市民が捕まらないなら⇒その市町村に過去住んでいて、市立図書館を過去に利用し たことがある人 など ➢ 「図書館にまったく興味がない」など、利用する可能性が限りなく低い人は避ける • 操作性やわかりやすさについて確認したい場合は、なるべくライトユーザーにやって もらう ➢ ヘビーユーザーは操作方法を学習してしまっているため、ライトユーザーがつまづく箇所が把握で きない恐れ • ヘビーユーザーにやってもらうと良いケース ➢ 課題の優先度をつけやすくなる(ヘビーユーザーですらつまづく課題=直す優先度が高い) ➢ ヘビーユーザーが好意的に捉えている点が、ライトユーザーを引き込む訴求ポイントとして活用で きる可能性あり(例:ヘビーユーザーが良いと感じている点を案内チラシに盛り込む、など) 18 1 調査企画 2 被験者を 選ぶ 4 実査 5 分析 3 タスクを 設計する
  • 19. Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. タスク設計のポイント • 所要時間は上限60分が目安 ➢ それ以上長くなると、被験者の回答精度が下がる 恐れ • 主要なタスクだけテストする ➢ サイトやサービスの目的からタスクを絞り込む ➢ 特に確認したい機能や手順の観点から絞り込む • 実際の場面に近い状況を設定する ×文献を探してください。 ○あなたは、卒業論文を書くため、参考文献をネット で調べています。ネットで調べていたら●●というサ イトを見つけたので、見てみることにしたとします。 • スタートとゴールを明確にする ➢ スタートする場所によって、観察できる行動が 異なる ➢ ゴールは「ユーザー視点から、そのサイトやサ ービスで達成したい目的」を設定する 19 1 調査企画 2 被験者を 選ぶ 4 実査 5 分析 3 タスクを 設計する 「Integbioデータベースカタログ」でのタスクの例(抜粋)
  • 20. Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. タスクの構成と流れ 20 事前 ヒアリング • 被験者のバック グラウンドを確 認 • タスクにスムー ズにつなげるた めに、簡単にい くつか質問する タスク1 タスク2 タスク3 事後 ヒアリング 1 調査企画 2 被験者を 選ぶ 4 実査 5 分析 3 タスクを 設計する • タスクのブロックは、最大四つ程度までが目安 • 優先度の高いタスクほどテストの前半で確認する • タスクのブロックは、状況設定→行動観察→振り返り質問で構成 される ➢ 状況設定:実際の場面に近い状況を設定する ➢ 行動観察:スタートとゴールを明示し、行動してもらう ➢ 振り返り質問:行動を終えた直後に、行動を振り返って質問に答えて もらう。聞きたいポイントについて4択あるいは5択で答えてもらっ たうえで、その理由を尋ねると良い • 1タスクブロックにつき1タスクが原則 ➢ 競合サイトの閲覧と、自組織のサイトの閲覧は別タスク ➢ サイトの自由閲覧と、サイトの申し込みフォーム入力は別タスク 状況 設定 行動 観察 振り返り 質問 状況 設定 行動 観察 振り返り 質問 状況 設定 行動 観察 振り返り 質問 • ユーザーテスト 全体を振り返っ て、サイトやサ ービス全体の印 象や、そのタス クを実行する際 に期待する点や 重視する点を確 認 • 競合と比較した 場合は、どちら が良かったか、 それはなぜかを 質問して確認
  • 21. Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. 環境面の事前準備が大事 • 被験者に、事前準備についてメールで案内 ➢ ZoomのインストールURL、当日のURL - 特にiPhoneは、画面収録の設定とマイク入力の設定が必要なので、画面キャプチャ付きで設定手順を 案内 ➢ 個人情報の映り込みの防止 - ホーム画面上のファイルやフォルダの移動、ブラウザはシークレットモード、メール等の通知オフ ➢ その他、実施環境に関する注意事項 - 落ち着いて話ができる環境、電池残量、充電についてなど • 音が鳴るものは消しておく(スマホ、メールやSlackの通知等…) • 開始前に被験者と一緒に動作確認 ➢ 画面共有ができるか(※特にiPhone)、声が聞こえるか • ユーザーテストの目的や流れ、録画許可など被験者に事前説明 ➢ 普段の様子を知りたいため、一人で操作しているものとして実施するよう依頼 • DebutやLoomなどの画面録画ツールで必ずバックアップ録画 • 思考発話はデモして見せる ➢ 対象サイトに直接関係のないサイトを例に実演(バイアスを防ぐため) 21 1 調査企画 2 被験者を 選ぶ 4 実査 5 分析 3 タスクを 設計する
  • 22. Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. リモート環境でインサイトを得る工夫 • 事前説明時はカメラオン、ユーザーテストに入ったらカメラオフ ➢ 顔を見せて話をすることで、ラポールをなるべく構築 ➢ ただし、実査のときは一人で操作している状況に近づけるため、カメラオフ • 環境トラブルが起きても慌てない ➢ どうしても画面共有できなければ、日時を改める ➢ 調査デバイスを切り替える/モデレータ側の画面を共有するなどの代替手段も • ユーザーテストで必要な情報は、Zoomのチャット機能で都度送付 ➢ 見てほしいページのURL、フォーム入力時のダミー個人情報など ➢ スマホの場合、チャットの開き方がわかりにくいので、操作手順を案内できるよう準備 • 行動観察時は音声をミュートにする ➢ テキストエディタに気づきをメモする際の、キーボード音がバイアスになる恐れ • 「どのページの」「どの部分のこと」を言っているかを尋ねる ➢ 特にスマホでは、指の動きがわからないため • 終了後に、事後アンケートの確約を得ておく ➢ 聞き漏らしたことなどがあれば、あとでメールで確認できるようにしておく 22 1 調査企画 2 被験者を 選ぶ 4 実査 5 分析 3 タスクを 設計する
  • 23. Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. 動画から行動と発話を洗い出し、KJ法で発見点を抽出 23 1 調査企画 2 被験者を 選ぶ 4 実査 5 分析 3 タスクを 設計する 行動・発話の洗い出し • 動画を見ながら、特徴的な発言・ 行動や、問題がある点をメモ( すべてをメモる必要はない) • 「気づき」ではなく、実際に観 察した「事実」を書き出す • 「ユーザ視点」で記述する • ツールはやりやすいもので(テ キストエディタ、スプレッドシ ート、Miroなど) 発見点のまとめ • メモの内容を振り返りながら、 「どんな発見点があったか」「 その根拠は何か」を整理 • 似たメモをまとめ、なるべく理 由と共に記載(例:~のため、 ●●) • 「要望」を鵜呑みにしない • 関係者で集まって、動画を見な がらワークショップ的にやるの もおすすめ 発見点分類 例:Excelファイル例:テキストファイル例:テキストファイル • 発見点に対して「その発見点の 種類(対象サイト、対象ページ 、ポジ/ネガなど)」に分類
  • 24. Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. 発見点を通じてわかったサイト課題に優先順をつける 24 1 調査企画 2 被験者を 選ぶ 4 実査 5 分析 3 タスクを 設計する • 「ユーザビリティの3要素」(ISO9241- 11:1998)で重みづけ ➢ 有効さ(効果):ユーザーが、指定され た目標を達成するうえでの正確さと完全 さ→そもそもタスクが達成できない⇒重 要度高 ➢ 効率:ユーザーが、目標を達成する際に 正確さと完全さに費やした資源→タスク は達成できるが時間や手間がかかる⇒重 要度中 ➢ 満足度:不快さのないこと、および製品 仕様に対しての肯定的な態度→問題なく タスクは達成できるが、不満な点がある ⇒重要度低 • 満足度に関わるものでも、離脱につながる場 合は有効さ(効果)の課題と判断 • 同じ問題が観察されたユーザーの人数も重要 度判断の目安になる ➢ 5人中1人で観察されたものより、5人中 4人で観察されたものは改善の優先度が 高い
  • 25. Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. 25 まとめ • ユーザーテストとは、ユーザーに実際にサイト・アプリの利用してもらい、その様子の 観察やヒアリングを通じ、ユーザ心理や対象サイト・アプリの課題・機会を見つける手 法 • 企画段階で、ユーザーテストの「目的」と「明らかにしたいこと」を明確にする • 被験者はターゲットユーザーにピンポイントの人でなくても大丈夫(そのサービスを 使う可能性が高い人がベターだが、まずは気軽に声をかけられるところから) • タスクは、主要なタスクを選択し、ユーザー視点の目的からスタートとゴールを明確 し、実際の場面に近い状況を設定する • 実査では、なるべく口を挟まずにユーザーの行動を観察する。環境面の事前準備を念 入りに • 分析は、ユーザーの行動や発話をリストアップしたうえで、有効さ(効果)・効率・ 満足度に分類。関係者で動画を一緒に見てディスカッションするのも有効 まずは一人ユーザーを捕まえてきて ユーザーテストをやってみよう!
  • 26. Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. 26 参考資料 アジャイル・ユーザビリティ : ユーザエクスペリエンスのためのDIYテスティング 樽本徹也著 オーム社, 2012.2 ISBN: 9784274211607 https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB08823550 UXデザインの教科書 安藤昌也著 丸善出版, 2016.5 ISBN: 9784621300374 https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB21328501 超明快Webユーザビリティ : ユーザーに「考えさせない」デザインの法則 スティーブ・クルーグ著 ; 福田篤人訳 ビー・エヌ・エヌ新社, 2016.6 ISBN: 9784802510318 https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB21502507
  • 27. Copyright © 2020 PopInSight,Inc. All Rights Reserved. 27 ご不安な場合、 もちろんお手伝いもできますので お気軽にご相談ください! https://popinsight.jp/inquiry.php