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多様な学生の教材としてしての
プロトタイピング用
マイコンボードの可能性
秋田純一(金沢大学)
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Contents
研究者・教育実践者としての
私の属性・立ち位置
Mooreの法則とコンピュータの道具化
技術の「民主化」とMake
「技術」の教育実践の変化と「プロ」の役割
技術の「民主化」のラスボス:半導体
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自己紹介
 1970名古屋生まれ
 東京で大学→大学院
 金沢大(’98~’00・’04~)
 公立はこだて未来大(’00~’04)
 ’95〜’00:はこだて未来大 計画策定委員(翼セミナーOBの縁)
 本業:集積回路、特に(機能つき)イメージセンサ
 好きなプロセスはCMOS 0.35μm
 +集積回路を使うデバイス・システム
 ユーザインタフェース・インタラクティブシステム(人間相手の機械)
集積回路(イメージセンサ)のレイアウト図
(プロッタ出力して目視チェック) 基板設計
研究室(実験室)
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自己紹介(副業)
Maker、ハンダテラピスト
好きな半田はPb:Sn=40:60
好きなパッケージはDIP8p
NT金沢の企画・運営(6月末頃@金沢駅地下広場)
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研究?趣味?
電子工作
(ホビー)
業界
半導体
業界
(学会・産業界)
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研究者としての転換点?
(実は一時期、半導体の研究に魅力を感じなくなっ
て、足を洗おうと思った時期もあった)
Mooreの法則=半導体の継続的な微細化・性能向上
すごいがんばって工夫して「性能0.1%アップ」
巨額投資で技術が進歩(大学の出番・役割は?)
平本俊郎「データ駆動社会の展望(中) 半導体、設計思想の変革を」
(日経新聞「経済教室」2019/7/18)
Si原子
10個分
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研究者としての転換点?
研究としてのユニーク性(他にいない)
半導体がわかるMaker
Makeがわかる半導体研究者
How to MakeとWhat to Make
「誰でもチップ設計・製造」
AI/IoT時代にこそ、「道具」に
半導体設計のオープンソース化
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Mooreの法則と
コンピュータの部品化
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ICの進化の歴史:Mooreの法則
ref: http://www.intel.com/jp/intel/museum/processor/index.htm
傾き:×約1.5/年
年を追って、複雑・高機能な集積回路がつくられるようになった
※G.Moore (インテルの創業者の一人)
G.Mooreが1965年に論文[1]で述べる→C.Meadが「法則」と命名→「予測」→「指針(目標)」へ
G.E.Moore, "Cramming more components onto integrated circuits," IEEE Solid-State Circuit Newsletter, Vol.11, No.5, pp.33-35, 1965.
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Mooreの法則の2つの側面
DEC VAX(1976)
1MIPS
Cray-1 (1978)
100MIPS
MIPS:Million Instruction Per Second (1秒間に実行できる命令数)
(世界最初のスーパーコンピュータ)
「世界トップの高速化」+「身近なものにも高速化の恩恵」の2つの側面がある
107MFLOPS
10MIPS
100MIPS
100MIPS
108MIPS
5×1011MFLOPS
106MFLOPS
100MIPS
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Mooreの法則の帰結
実は半導体は枯れた技術でも、
革新的な使い方はある
Mooreの法則=トレードオフのない性能向上
突然のゲームチェンジの源泉
機器の頭脳 関節ごとに小さい脳(神経節)
コンピュータが、システムの「主役」から「構成要素(部品)」になった
※基本的には「コンピュータ」だが、小型で安価
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「Lチカ」のパラダイムシフト
MCU
#Component=1
$1
Oscillator(555)
#Component=4
$1.5 while(1){
a = 1;
sleep(1);
a = 0;
sleep(1);
}
可能だが非現実的なLチカ
合理的なLチカ
マイコン(MCU)を使って
「Lチカ」しない理由がない
コスト、機能性、・・・
コンピュータの使い方がもったいなくなくなった
Mooreの法則の結果、コンピュータが「部品」になった例
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技術の「民主化」とMake
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技術の進歩と独裁化
科学技術の進歩=社会水準の向上
科学技術の進歩=技術の高度化・複雑化
「製造者」と「利用者」の分離
製造者の「特権」:
原材料の入手(原油、電子部品、・・・)
工場・製造装置
販売チャンネル
利用者の「意識」
「ものは買う物」
大量生産・大量消費の時代が長く続いた
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技術の民主化へ
技術を、市民の手に「取り戻す」流れ
大量生産→ロングテールへ
「技術の民主化」を可能にする技術革新
実はルネッサンス時代への回帰でもある
様々な技術的・社会的背景が揃った
半導体・コンピュータの部品化・民主化
デジタル加工技術の普及
“Maker”ムーブメントへ
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FabLabの源泉
「(ほぼ)なんでも作る方法」
(MITでの演習)
上流から下流まで一通りを
すべて体験する
「作りたいもの」を
「具現化する」プロセス
http://fab.cba.mit.edu/classes/MIT/863.08/
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FabLabと、その派生コミュニティ
加工機をコアにしたものづくりコミュニティ
レーザーカッター、3Dプリンタ等
DIYからDo It With Others (DIWO)へ
現在、日本では鎌倉とつくば他
「製造技術の民主化」
→市民が「製品は買うものではなく作るもの」へ
カフェ併設などの派生型も
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Makeの要請:ロングテール
(昔)少数のヒット商品
→(今)多数のニッチ商品
ニッチも多数なので
総和は大きい
例:音楽販売では、
25,000位以下で売上の40%
「一部のヒット商品」がなくなる
音楽業界:△25%(’01〜’07)
ヒットアルバム:△60%(’01〜’07)
(C.アンダーソン「ロングテール」,早川書房 (2009))
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“Maker”ムーブメントへ
従来型の「大量生産型」産業を
補完するものとして一定の定着
ものづくりの「ロングテール」を支える技術革新
3Dプリンタ等によるプロトタイピング
クラウド・ファンディング(市場調査・資金調達)
サプライチェーン活用による
小ロット量産の低ハードル化
「モノへの愛着」の重要性
(熱心なファン)
「製造業・製造技術」の
「民主化」とでも呼ぶべき現象
C.アンダーソン
「MAKERS」
(NHK出版,2012)
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Make: 理工離れ?どこの世界の話?
“Maker”の活動の広がり
実はみんな「作るのが大好き」
FabLab(レーザーカッター、
3Dプリンタ等の加工機を
コアにしたコミュニティ)
今までは「技術が手元になかった」だけ
道具・技術が「民主化」されて、
使えるようになった
MakerFaireTokyo2013
の様子
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技術の「民主化」がもたらすもの
(以前)プロのみ
音楽、映画、・・・
我々は「消費者」
(現在)アマチュアでもコンテンツを
作ることができる
DTM, Vocaloid, …
YouTube, …
我々は「制作者」にもなれる
(可能性・裾野が広がった) 宮下芳明「コンテンツは民主化をめざす
―表現のためのメディア技術」
(明治大学出版会, 2015)
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技術の「民主化」がもたらすもの
プログラミング
(以前)PCもプログラミングツールも高価
「遊び」から始められない
(現在)PCもプログラミングツールも安価orタダ
「遊び」などから始められる
=敷居の低下=裾野の広がり
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技術の「民主化」がもたらすもの
裾野が広がる=イノベータの多様化
「アツい思い」を具現化する
道具がある
多様性=イノベーションの土壌
小川進「ユーザーイノベーション:
消費者から始まるものづくりの未来」
(東洋経済新報社, 2013)
(L.Fleming, Harvard Business Review,
8(9), pp.22-24 (2004))
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「技術の民主化」の必要条件
技術が「道具」になる
開発/発明される
お店で買えるようになる
使い方が知られるようになる
みんなが使うようになる
それが「道具」となって、次のステップへ
プロのみ マニア(ハイレベルアマチュア)向け だれでも
プロ(詳しい人)しか使えない
アマ(詳しくない人)でも使える
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技術が生まれて「道具」になるまで
エリンギの例
1993年に日本へ
2003年ごろから一般化
↑10年かかって「道具」に
料理番組、調理例・・・
農林水産省「平成20年度 農林水産物貿易円滑化推進事業
台湾・香港・シンガポール・タイにおける品目別市場実態調査
(生鮮きのこ)報告書」(林野庁経営課特用林産対策室 )より
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道具としてのマイコンボード
文具のように、いつのまにかなくなるので
常時ストック、という感覚
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「Makerの道具」としてのArduino
Arduino←→それまでのマイコンボード
USBケーブルのみでPC接続(給電・通信・書き込み)
DTRリセット(PCからリセットをかける)
メスソケット(ジャンパ線を挿せる)
ArduinoIDE(ソフトウエアはこれで完結。ライブラリと
サンプルも)
いずれも「なんだ、そんなことか」と思えること
(特に、「詳しい人」にとっては)
しかし、それで「世の中が
変わった」のも事実
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「技術」の教育実践の変化と
「プロ」の役割
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最近の秋葉原(あきば)
※客層が変わってきている(こっちの)
(昔)ロボコン高専生・電子工作マニア(おっさん)
(今)↑+親子連れ,美大生
29
西餅「ハルロック」
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「Lチカの次」の谷
Arduinoなどで、マイコン(Lチカ)デビュー
・・・さて、その次は・・・?
センサ?
モータ?
制御プログラム?
「とりあえずつないで動く」のレベルの次が
とたんにハードルが上がる
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「なぜ電子回路を学ぶのか?」
身の回りのものは、ほとんど
電子回路で動いている。
情報/IT社会だからこそ、
電子回路の勉強は大事!
プログラミングなんて軟弱。
ハードウエア・電子回路こそ、
本当に大事だし、役にたつ。
なんでその大事さがわからないかなあ(嘆)。
そんなこと言われても、コンピュータは
使えるしなあ。
プログラミングのほうが楽しいし。
電子回路っても、何ができるか
よくわからないんだよなあ。
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「で、なぜ電子回路を学ぶのか?」
「世の中、ほとんどの機器が電子回路で動い
ているから」
でも知らなくてもスマホもネットも使える
・・・よね?
プログラミングの勉強をしたいし・・・
電子回路からコンピュータの限度を知る
=「使いこなせる」
ソフト/ハードで分けずに両方できるとお得
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“Make”で、いろいろつながってきた
電子回路(理論)
エレクトロニクス(産業)
電子工作(ホビー)
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“Make”の教育実践の例
M5Stackでセンサ・IoT(共通機材)
プログラミング入門、センサ、 アクチュエータ、
IoT (Webスクレイピング、IFTTT、 LINE)
「純正」ではないセンサ類も(IOピンを直接制御)
ブラウザからWiFi経由でコーディング・実行(UIFlow)
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“Make”の教育実践の例
電子情報通信学類「情報通信実験第1」(3週分)
CdS分圧などの回路も少々、Pythonも
共通教育「デザイン思考とプロトタイピング」(1Q)
文系の学生も
金沢美大「デザイン工学」(4回分)
製品デザイン専攻3年生、早速作品制作に応用も
先導学類「デザイン思考」(うち2回分:予定)
文理融合学科、プロトタイピングの道具として
最後に「自由課題」を設定
あったらいいな、と思うものを考えて実装
柔軟な発想と、それを具現化する経験
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“Make”の課外活動の例
理系文系関係なく「なんかつくってみたい」という学生はいる
そういう学生の「きっかけ」の場
メインはオンライン(Discord)、ときどき作業
対面での作業の経験・対話も、けっこう有効そう
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プロの役割・意義の向上
「電子回路-電子工作-エレクトロニクス」が
Makeの登場・普及で、やっとつながった
電子回路を勉強
机上の理論(←いままで)
+Makeの実践(その裏づけ)
やってみると、怪しい知識の
限界に気づく
勉強したら、Makeで「生かせる」
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プロの仕事:公共事業型
例:センシングシステム
高価・高性能な観測機
広い観測網、高い信頼性
得られるデータの高い公共性
維持のための継続的な(主に公的)資金提供
「先立つもの」が必要
ロングテールに向かない
例:おばあちゃんセンシング
(畑や裏山は気になるが、「発注」できるはずがなく、
自分で観測)
(AMEDAS観測所)
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アマの仕事:趣味型
例:センシングシステム
観測機を自作
狭い観測網、低い信頼性
得られるデータはオレ向け
その人にとっては「死活問題」の場合もある
ロングテール向き
高いモチベーション
「具現化の道具」がそろってきた
(道具の民主化=まさにMake)
そこからプロへ進化できる 「でっかいさとるさん:山梨県でお米と野菜を作るでっかい人」blogより
http://www.jumbo-satoru.net/wordpress/
39
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期待されるプロの役割
民主化された根幹回路技術(プロしかできない)
特に、電力(エナジーハーベスト)と
通信(ラスト1メータ・IoT (Internet of Things))
電子回路の設計技術の提供
汎用のマイコン・回路と設計ツール(スマートアナログ、PSoC、
FPGA等) 、および「ユーザコミュニティ」
(悪い例:がじぇっとるねさす・・・技術先行、ユーザ不在)
ユーザへのサポート
ロングテールの裾ほど事業規模は小さい
=兼業やアマチュア形態が多い
アマチュア作品・趣味を「製品・事業」へ昇華させる
「受託開発」だけでなくコンサルティングなども
40
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ライフスタイルの多様化?
41
器具メーカー
コミュニティ
(カフェ・大会)
素材メーカー
(ランニング)
産業・ビジネス
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技術の「民主化」ののラスボス
:半導体
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半導体は「道具」になっているか?
「ハード」=電子回路、プリント基板あたり
「集積回路(半導体チップ)」までは、なかなか
どうしても「今あるもの・使えるもの」を使う
カメラ、Kinect、マイコン、FPGA・・・
新技術で、一気にパラダイムが変わることがある
「集積回路をつくれる」という道具
=「いまできること」という発想の縛りから開放
Depth画像
※昔は「可能だが高価」
→Kinect後は「誰でも使える」
→ユーザインタフェース界の革命
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集積回路(IC)は「道具」か?:調査
https://www.youtube.com/watch?v=A188CYfuKQ0
http://www.nicovideo.jp/watch/sm23660093
CMOS 0.18um 5Al
2.5mm x 2.5mm
RingOSC x 1001
T-FF (Div)
(※LSI=集積回路のこと)
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Lチカ動画:ニコ動でのコメント
 こっから?
 ニコ技界のTOKIO
 ゲートの無駄遣い
 ここから!!?
 ひでえ、勿体ない使い方wwwww
 マジかよ。レジストレベルの設計とか
ガチすぎる。
 無駄遣い過ぎるだろw
 贅沢というかなんというか
 え?まじでここからかよ」wwww」」
 IC版FusionPCB的なところが現れれば・・・
 (FPGAでは)いかんのか?
 俺はFPGAで我慢することにする
 いや、そこまでは必要ないです
 量産品すらFPGA使う時代に専用LSI・・・
 アマチュアはFPGAで良いんだよなぁ・・・w
「集積回路=すごいことをやるためのもの」という意識
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なんでこんなアホなことを?
LSIは「道具」になりきっているか?
オレLSI
「作る?ちょっとそこまでは・・・」「使うけど・・・」
他の技術はどうなってきたか?
コンピュータ:大型機→PC
マイコン:H8→Arduino
プリント基板:業務用→アマチュア
3Dプリンタ:業務用→フィギュア
動画編集:映画→YouTube/ニコ動
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Mooreの法則がもたらしたもの
LSI設計・製造コストの高騰
シャトル製造サービス〜$1k
製造初期コスト(マスク)〜$1M
設計ツール 〜$1M
秘密保持契約(NDA; Non Disclosure Agreement)
: Priceless
製造工場 〜$1G
cf:プリント基板製造($10~)、Arduino($10~)
cf: 設計CAD&コンパイラ(IDE)(Free~)
「専用LSIつくってLチカ」ってもったいない&無駄遣いすぎる
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これまでに・・・
「懲りずに再度、LED点滅用のLSIを
つくってLチカをやってみた」
Inkscape設計、クリーンルームで製造、
センサ
「また懲りずに再度、LED点滅用の
LSIをつくってLチカをやってみた 」
555互換(デジアナ混載)
「またまた懲りずに再度、LED点滅用
のLSIをつくってLチカをやってみた 」
Cortex-M0(HDLから設計)
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オレLSIをつくってみたい:実践
情報収集・整理
探せば、ないことはない
仲間さがし
やや古めのテクノロジで
NDAフリー
&オープンソース
GitHubで回路をシェア
http://j.mp/make_lsi
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・・・と思っていたら
NDA不要・オープンソースなチップ設計環境
やや議論が発散気味な印象だが、猛スピードで整備中
予定では11月に相乗り試作
「なんてNDAなしでできたんですかね?」
→「だって130nmなんて枯れた技術だし、
隠すより、エコシステム作ったほうがいいじゃん?」
※ほかにも世界中にいくつか似たプロジェクトがある
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チップ製造のお手軽化(基板の感覚)
1[um]/3Alプロセス・0.5inウエハに
Cortex-M0コアが4ショットは入る
カスタムなペリフェラル・アナログ・センサ・MEMS
の混載も(これが数万円&1週間@1個から)
「つくって試す」ことで抜群の教育効果
※0.18[um]/3Alでの配置配線結果の
レイアウトデータ(GDS)を1/0.18=28倍に
拡大して作成
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LSIが道具になるとは・・・
『3Dプリンタは、私たちに「何をつくりたいの
か」を問いかけているのです。』
あなたなら、何を作りますか?
いまのうちから、考えておいても
損はないはず。
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まとめ
Mooreの法則とコンピュータの道具化
技術の「民主化」の土壌
技術の「民主化」とMake
ホビー-電子回路-エレクトロニクスが
やっとつながった
「技術」の教育実践の変化と「プロ」の役割
ホビー-電子回路-エレクトロニクスがつながった
時代にこそ、「プロ」の価値が高まる
技術の「民主化」のラスボス:半導体
世界的にも進行中

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多様な学生の教材としてしてのプロトタイピング用マイコンボードの可能性

  • 1. Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 多様な学生の教材としてしての プロトタイピング用 マイコンボードの可能性 秋田純一(金沢大学)
  • 2. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Contents 研究者・教育実践者としての 私の属性・立ち位置 Mooreの法則とコンピュータの道具化 技術の「民主化」とMake 「技術」の教育実践の変化と「プロ」の役割 技術の「民主化」のラスボス:半導体
  • 3. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 自己紹介  1970名古屋生まれ  東京で大学→大学院  金沢大(’98~’00・’04~)  公立はこだて未来大(’00~’04)  ’95〜’00:はこだて未来大 計画策定委員(翼セミナーOBの縁)  本業:集積回路、特に(機能つき)イメージセンサ  好きなプロセスはCMOS 0.35μm  +集積回路を使うデバイス・システム  ユーザインタフェース・インタラクティブシステム(人間相手の機械) 集積回路(イメージセンサ)のレイアウト図 (プロッタ出力して目視チェック) 基板設計 研究室(実験室)
  • 4. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 自己紹介(副業) Maker、ハンダテラピスト 好きな半田はPb:Sn=40:60 好きなパッケージはDIP8p NT金沢の企画・運営(6月末頃@金沢駅地下広場)
  • 5. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 研究?趣味? 電子工作 (ホビー) 業界 半導体 業界 (学会・産業界)
  • 6. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 研究者としての転換点? (実は一時期、半導体の研究に魅力を感じなくなっ て、足を洗おうと思った時期もあった) Mooreの法則=半導体の継続的な微細化・性能向上 すごいがんばって工夫して「性能0.1%アップ」 巨額投資で技術が進歩(大学の出番・役割は?) 平本俊郎「データ駆動社会の展望(中) 半導体、設計思想の変革を」 (日経新聞「経済教室」2019/7/18) Si原子 10個分
  • 7. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 研究者としての転換点? 研究としてのユニーク性(他にいない) 半導体がわかるMaker Makeがわかる半導体研究者 How to MakeとWhat to Make 「誰でもチップ設計・製造」 AI/IoT時代にこそ、「道具」に 半導体設計のオープンソース化
  • 8. Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Mooreの法則と コンピュータの部品化
  • 9. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ ICの進化の歴史:Mooreの法則 ref: http://www.intel.com/jp/intel/museum/processor/index.htm 傾き:×約1.5/年 年を追って、複雑・高機能な集積回路がつくられるようになった ※G.Moore (インテルの創業者の一人) G.Mooreが1965年に論文[1]で述べる→C.Meadが「法則」と命名→「予測」→「指針(目標)」へ G.E.Moore, "Cramming more components onto integrated circuits," IEEE Solid-State Circuit Newsletter, Vol.11, No.5, pp.33-35, 1965.
  • 10. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Mooreの法則の2つの側面 DEC VAX(1976) 1MIPS Cray-1 (1978) 100MIPS MIPS:Million Instruction Per Second (1秒間に実行できる命令数) (世界最初のスーパーコンピュータ) 「世界トップの高速化」+「身近なものにも高速化の恩恵」の2つの側面がある 107MFLOPS 10MIPS 100MIPS 100MIPS 108MIPS 5×1011MFLOPS 106MFLOPS 100MIPS
  • 11. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Mooreの法則の帰結 実は半導体は枯れた技術でも、 革新的な使い方はある Mooreの法則=トレードオフのない性能向上 突然のゲームチェンジの源泉 機器の頭脳 関節ごとに小さい脳(神経節) コンピュータが、システムの「主役」から「構成要素(部品)」になった ※基本的には「コンピュータ」だが、小型で安価
  • 12. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 「Lチカ」のパラダイムシフト MCU #Component=1 $1 Oscillator(555) #Component=4 $1.5 while(1){ a = 1; sleep(1); a = 0; sleep(1); } 可能だが非現実的なLチカ 合理的なLチカ マイコン(MCU)を使って 「Lチカ」しない理由がない コスト、機能性、・・・ コンピュータの使い方がもったいなくなくなった Mooreの法則の結果、コンピュータが「部品」になった例
  • 13. Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術の「民主化」とMake
  • 14. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術の進歩と独裁化 科学技術の進歩=社会水準の向上 科学技術の進歩=技術の高度化・複雑化 「製造者」と「利用者」の分離 製造者の「特権」: 原材料の入手(原油、電子部品、・・・) 工場・製造装置 販売チャンネル 利用者の「意識」 「ものは買う物」 大量生産・大量消費の時代が長く続いた
  • 15. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術の民主化へ 技術を、市民の手に「取り戻す」流れ 大量生産→ロングテールへ 「技術の民主化」を可能にする技術革新 実はルネッサンス時代への回帰でもある 様々な技術的・社会的背景が揃った 半導体・コンピュータの部品化・民主化 デジタル加工技術の普及 “Maker”ムーブメントへ
  • 16. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ FabLabの源泉 「(ほぼ)なんでも作る方法」 (MITでの演習) 上流から下流まで一通りを すべて体験する 「作りたいもの」を 「具現化する」プロセス http://fab.cba.mit.edu/classes/MIT/863.08/
  • 17. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ FabLabと、その派生コミュニティ 加工機をコアにしたものづくりコミュニティ レーザーカッター、3Dプリンタ等 DIYからDo It With Others (DIWO)へ 現在、日本では鎌倉とつくば他 「製造技術の民主化」 →市民が「製品は買うものではなく作るもの」へ カフェ併設などの派生型も
  • 18. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Makeの要請:ロングテール (昔)少数のヒット商品 →(今)多数のニッチ商品 ニッチも多数なので 総和は大きい 例:音楽販売では、 25,000位以下で売上の40% 「一部のヒット商品」がなくなる 音楽業界:△25%(’01〜’07) ヒットアルバム:△60%(’01〜’07) (C.アンダーソン「ロングテール」,早川書房 (2009))
  • 19. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ “Maker”ムーブメントへ 従来型の「大量生産型」産業を 補完するものとして一定の定着 ものづくりの「ロングテール」を支える技術革新 3Dプリンタ等によるプロトタイピング クラウド・ファンディング(市場調査・資金調達) サプライチェーン活用による 小ロット量産の低ハードル化 「モノへの愛着」の重要性 (熱心なファン) 「製造業・製造技術」の 「民主化」とでも呼ぶべき現象 C.アンダーソン 「MAKERS」 (NHK出版,2012)
  • 20. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Make: 理工離れ?どこの世界の話? “Maker”の活動の広がり 実はみんな「作るのが大好き」 FabLab(レーザーカッター、 3Dプリンタ等の加工機を コアにしたコミュニティ) 今までは「技術が手元になかった」だけ 道具・技術が「民主化」されて、 使えるようになった MakerFaireTokyo2013 の様子
  • 21. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術の「民主化」がもたらすもの (以前)プロのみ 音楽、映画、・・・ 我々は「消費者」 (現在)アマチュアでもコンテンツを 作ることができる DTM, Vocaloid, … YouTube, … 我々は「制作者」にもなれる (可能性・裾野が広がった) 宮下芳明「コンテンツは民主化をめざす ―表現のためのメディア技術」 (明治大学出版会, 2015)
  • 22. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術の「民主化」がもたらすもの プログラミング (以前)PCもプログラミングツールも高価 「遊び」から始められない (現在)PCもプログラミングツールも安価orタダ 「遊び」などから始められる =敷居の低下=裾野の広がり
  • 23. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術の「民主化」がもたらすもの 裾野が広がる=イノベータの多様化 「アツい思い」を具現化する 道具がある 多様性=イノベーションの土壌 小川進「ユーザーイノベーション: 消費者から始まるものづくりの未来」 (東洋経済新報社, 2013) (L.Fleming, Harvard Business Review, 8(9), pp.22-24 (2004))
  • 24. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 「技術の民主化」の必要条件 技術が「道具」になる 開発/発明される お店で買えるようになる 使い方が知られるようになる みんなが使うようになる それが「道具」となって、次のステップへ プロのみ マニア(ハイレベルアマチュア)向け だれでも プロ(詳しい人)しか使えない アマ(詳しくない人)でも使える
  • 25. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術が生まれて「道具」になるまで エリンギの例 1993年に日本へ 2003年ごろから一般化 ↑10年かかって「道具」に 料理番組、調理例・・・ 農林水産省「平成20年度 農林水産物貿易円滑化推進事業 台湾・香港・シンガポール・タイにおける品目別市場実態調査 (生鮮きのこ)報告書」(林野庁経営課特用林産対策室 )より
  • 26. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 道具としてのマイコンボード 文具のように、いつのまにかなくなるので 常時ストック、という感覚
  • 27. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 「Makerの道具」としてのArduino Arduino←→それまでのマイコンボード USBケーブルのみでPC接続(給電・通信・書き込み) DTRリセット(PCからリセットをかける) メスソケット(ジャンパ線を挿せる) ArduinoIDE(ソフトウエアはこれで完結。ライブラリと サンプルも) いずれも「なんだ、そんなことか」と思えること (特に、「詳しい人」にとっては) しかし、それで「世の中が 変わった」のも事実
  • 28. Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 「技術」の教育実践の変化と 「プロ」の役割
  • 29. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 最近の秋葉原(あきば) ※客層が変わってきている(こっちの) (昔)ロボコン高専生・電子工作マニア(おっさん) (今)↑+親子連れ,美大生 29 西餅「ハルロック」
  • 30. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 「Lチカの次」の谷 Arduinoなどで、マイコン(Lチカ)デビュー ・・・さて、その次は・・・? センサ? モータ? 制御プログラム? 「とりあえずつないで動く」のレベルの次が とたんにハードルが上がる
  • 31. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 「なぜ電子回路を学ぶのか?」 身の回りのものは、ほとんど 電子回路で動いている。 情報/IT社会だからこそ、 電子回路の勉強は大事! プログラミングなんて軟弱。 ハードウエア・電子回路こそ、 本当に大事だし、役にたつ。 なんでその大事さがわからないかなあ(嘆)。 そんなこと言われても、コンピュータは 使えるしなあ。 プログラミングのほうが楽しいし。 電子回路っても、何ができるか よくわからないんだよなあ。
  • 32. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 「で、なぜ電子回路を学ぶのか?」 「世の中、ほとんどの機器が電子回路で動い ているから」 でも知らなくてもスマホもネットも使える ・・・よね? プログラミングの勉強をしたいし・・・ 電子回路からコンピュータの限度を知る =「使いこなせる」 ソフト/ハードで分けずに両方できるとお得
  • 33. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ “Make”で、いろいろつながってきた 電子回路(理論) エレクトロニクス(産業) 電子工作(ホビー)
  • 34. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ “Make”の教育実践の例 M5Stackでセンサ・IoT(共通機材) プログラミング入門、センサ、 アクチュエータ、 IoT (Webスクレイピング、IFTTT、 LINE) 「純正」ではないセンサ類も(IOピンを直接制御) ブラウザからWiFi経由でコーディング・実行(UIFlow)
  • 35. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ “Make”の教育実践の例 電子情報通信学類「情報通信実験第1」(3週分) CdS分圧などの回路も少々、Pythonも 共通教育「デザイン思考とプロトタイピング」(1Q) 文系の学生も 金沢美大「デザイン工学」(4回分) 製品デザイン専攻3年生、早速作品制作に応用も 先導学類「デザイン思考」(うち2回分:予定) 文理融合学科、プロトタイピングの道具として 最後に「自由課題」を設定 あったらいいな、と思うものを考えて実装 柔軟な発想と、それを具現化する経験
  • 36. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ “Make”の課外活動の例 理系文系関係なく「なんかつくってみたい」という学生はいる そういう学生の「きっかけ」の場 メインはオンライン(Discord)、ときどき作業 対面での作業の経験・対話も、けっこう有効そう
  • 37. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ プロの役割・意義の向上 「電子回路-電子工作-エレクトロニクス」が Makeの登場・普及で、やっとつながった 電子回路を勉強 机上の理論(←いままで) +Makeの実践(その裏づけ) やってみると、怪しい知識の 限界に気づく 勉強したら、Makeで「生かせる」
  • 38. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ プロの仕事:公共事業型 例:センシングシステム 高価・高性能な観測機 広い観測網、高い信頼性 得られるデータの高い公共性 維持のための継続的な(主に公的)資金提供 「先立つもの」が必要 ロングテールに向かない 例:おばあちゃんセンシング (畑や裏山は気になるが、「発注」できるはずがなく、 自分で観測) (AMEDAS観測所) 38
  • 39. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ アマの仕事:趣味型 例:センシングシステム 観測機を自作 狭い観測網、低い信頼性 得られるデータはオレ向け その人にとっては「死活問題」の場合もある ロングテール向き 高いモチベーション 「具現化の道具」がそろってきた (道具の民主化=まさにMake) そこからプロへ進化できる 「でっかいさとるさん:山梨県でお米と野菜を作るでっかい人」blogより http://www.jumbo-satoru.net/wordpress/ 39
  • 40. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 期待されるプロの役割 民主化された根幹回路技術(プロしかできない) 特に、電力(エナジーハーベスト)と 通信(ラスト1メータ・IoT (Internet of Things)) 電子回路の設計技術の提供 汎用のマイコン・回路と設計ツール(スマートアナログ、PSoC、 FPGA等) 、および「ユーザコミュニティ」 (悪い例:がじぇっとるねさす・・・技術先行、ユーザ不在) ユーザへのサポート ロングテールの裾ほど事業規模は小さい =兼業やアマチュア形態が多い アマチュア作品・趣味を「製品・事業」へ昇華させる 「受託開発」だけでなくコンサルティングなども 40
  • 41. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ ライフスタイルの多様化? 41 器具メーカー コミュニティ (カフェ・大会) 素材メーカー (ランニング) 産業・ビジネス
  • 42. Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術の「民主化」ののラスボス :半導体
  • 43. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 半導体は「道具」になっているか? 「ハード」=電子回路、プリント基板あたり 「集積回路(半導体チップ)」までは、なかなか どうしても「今あるもの・使えるもの」を使う カメラ、Kinect、マイコン、FPGA・・・ 新技術で、一気にパラダイムが変わることがある 「集積回路をつくれる」という道具 =「いまできること」という発想の縛りから開放 Depth画像 ※昔は「可能だが高価」 →Kinect後は「誰でも使える」 →ユーザインタフェース界の革命
  • 44. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 集積回路(IC)は「道具」か?:調査 https://www.youtube.com/watch?v=A188CYfuKQ0 http://www.nicovideo.jp/watch/sm23660093 CMOS 0.18um 5Al 2.5mm x 2.5mm RingOSC x 1001 T-FF (Div) (※LSI=集積回路のこと)
  • 45. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Lチカ動画:ニコ動でのコメント  こっから?  ニコ技界のTOKIO  ゲートの無駄遣い  ここから!!?  ひでえ、勿体ない使い方wwwww  マジかよ。レジストレベルの設計とか ガチすぎる。  無駄遣い過ぎるだろw  贅沢というかなんというか  え?まじでここからかよ」wwww」」  IC版FusionPCB的なところが現れれば・・・  (FPGAでは)いかんのか?  俺はFPGAで我慢することにする  いや、そこまでは必要ないです  量産品すらFPGA使う時代に専用LSI・・・  アマチュアはFPGAで良いんだよなぁ・・・w 「集積回路=すごいことをやるためのもの」という意識
  • 46. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ なんでこんなアホなことを? LSIは「道具」になりきっているか? オレLSI 「作る?ちょっとそこまでは・・・」「使うけど・・・」 他の技術はどうなってきたか? コンピュータ:大型機→PC マイコン:H8→Arduino プリント基板:業務用→アマチュア 3Dプリンタ:業務用→フィギュア 動画編集:映画→YouTube/ニコ動
  • 47. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Mooreの法則がもたらしたもの LSI設計・製造コストの高騰 シャトル製造サービス〜$1k 製造初期コスト(マスク)〜$1M 設計ツール 〜$1M 秘密保持契約(NDA; Non Disclosure Agreement) : Priceless 製造工場 〜$1G cf:プリント基板製造($10~)、Arduino($10~) cf: 設計CAD&コンパイラ(IDE)(Free~) 「専用LSIつくってLチカ」ってもったいない&無駄遣いすぎる
  • 48. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ これまでに・・・ 「懲りずに再度、LED点滅用のLSIを つくってLチカをやってみた」 Inkscape設計、クリーンルームで製造、 センサ 「また懲りずに再度、LED点滅用の LSIをつくってLチカをやってみた 」 555互換(デジアナ混載) 「またまた懲りずに再度、LED点滅用 のLSIをつくってLチカをやってみた 」 Cortex-M0(HDLから設計)
  • 49. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ オレLSIをつくってみたい:実践 情報収集・整理 探せば、ないことはない 仲間さがし やや古めのテクノロジで NDAフリー &オープンソース GitHubで回路をシェア http://j.mp/make_lsi
  • 50. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ ・・・と思っていたら NDA不要・オープンソースなチップ設計環境 やや議論が発散気味な印象だが、猛スピードで整備中 予定では11月に相乗り試作 「なんてNDAなしでできたんですかね?」 →「だって130nmなんて枯れた技術だし、 隠すより、エコシステム作ったほうがいいじゃん?」 ※ほかにも世界中にいくつか似たプロジェクトがある
  • 51. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ チップ製造のお手軽化(基板の感覚) 1[um]/3Alプロセス・0.5inウエハに Cortex-M0コアが4ショットは入る カスタムなペリフェラル・アナログ・センサ・MEMS の混載も(これが数万円&1週間@1個から) 「つくって試す」ことで抜群の教育効果 ※0.18[um]/3Alでの配置配線結果の レイアウトデータ(GDS)を1/0.18=28倍に 拡大して作成
  • 52. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ LSIが道具になるとは・・・ 『3Dプリンタは、私たちに「何をつくりたいの か」を問いかけているのです。』 あなたなら、何を作りますか? いまのうちから、考えておいても 損はないはず。
  • 53. 2021/8/21 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ まとめ Mooreの法則とコンピュータの道具化 技術の「民主化」の土壌 技術の「民主化」とMake ホビー-電子回路-エレクトロニクスが やっとつながった 「技術」の教育実践の変化と「プロ」の役割 ホビー-電子回路-エレクトロニクスがつながった 時代にこそ、「プロ」の価値が高まる 技術の「民主化」のラスボス:半導体 世界的にも進行中