太極拳の三大要素であるところの「心」「息」「動」が実際はどのようなものなのか、精緻に説明してくれる。ダイジェスト版

1. 『太極拳と呼吸の科学』
作者：楊進 雨宮隆太 橋逸郎
発刊日：2003年7月18日
発刊元 ベースボールマガジン
｢Book Digest｣

2. 【目次】
第1章 「心」
1. 「心」を知る
2. 「心」と健康を考える
3. 太極拳と「心」のかかわり
4. 感じる「心」が健康を開発する
第2章 「息」
1. 「息」を知る
2. 呼吸の主役たち
3. 太極拳に求められる呼吸とは
第3章 「動」
1. 動きの前提条件
2. スポーツサイエンスと太極拳
第4章 太極拳健康法のメカニズム
1. 健康法の基本はこれだ!
2. 陰陽相済が生む 健康法の内的要因
3. 太極拳のメカニズムが確立する 健康法の外的要因
4. 健康指向の陰 太極拳のアブナイ一面
第5章 まとめ
1. 健康的な動きを決める「息」と「心」
2. 太極拳が太極拳であり続けるために
3. 一生上達を続けるもうひとつのコツ
太極拳を健康法にする12条
健康太極拳基本５ヶ条

3. ２．著者紹介：
楊進（よう すすむ）
宗代の武将楊六郎を始祖に、棍術の名人として名を馳せた楊五
郎を輩し、「楊門女将」として語り継がれるほどの武勇伝をも
つ武門の家系に生まれる。
父は日本の太極拳普及に多大な貢献をした楊名時老師である。
幼いころより父より武術の神髄を学び、その後、台湾の名人王
樹金老師に形意拳を伝授される。
参考サイト：
http://www.naikaken.com/profile/profile.htm
雨宮隆太（あめみや りゅうた）
東京医科大学や杏林大学などで教鞭を執り、数々の研究にも携
わり、さらに呼吸器科、呼吸器外科などの専門医としても診療
を行うなど、ドクターとして実に豊富な経験を重ねてきた雨宮
隆太院長。高名なドクターである一方、太極拳の分野でも院長
の名は知られている。
参考サイト：http://doctorsfile.jp/h/16195/df/1/
橋 逸郎（はし いつろう）
楊進の弟子として太極拳理論研究を補佐、出版、ビデオ制作に
携わる。中部学院大学短期大学部福祉学科にてセラピー入門を
担当。参考サイト： http://www.nara-
taijiquan.org/2012.2.19%20hashisenseikensyuukai.pdf
李天驥老師（右）と楊進（左下）

4. ３．本の概要：
本書は、太極拳の三大要素であるところの「心」「息」「動」が実際は
どのようなものなのか、精緻に説明してくれる。
その中で私が興味を引いたのが太極拳のスローな動きの理由と逆式腹式
呼吸であった。
３.1.太極拳はなぜスローか？
太極拳は、ゆっくりした動きのおかげで細部まで自分が何をしているか
を意識することができる。この「自意識」を保てる範囲でゆっくり動く
ことが、「心」に対する太極拳のいちばん大きな特徴といえる。
ブッタそしてティク・ナット・ハン師が言っているようにゆっくり動作
する事により、自分の行っている動作を意識することができ気づくこと
が可能なのである。
そして、意識して気づくことができるのは人間だけなのである。
しかし無意識で行動している人間のなんと多いことか？
無意識で食べ、無意識で呼吸し、無意識で歩き、無意識で見て、無意識
で聞く。
すべての行動を意識することからハッピーな生活が生まれる。

5. 出典：『太極拳と呼吸の科学』 P73
３.２逆腹式呼吸（丹田呼吸）
逆腹式呼吸は腹式呼吸とは反対に息を吸うときにお腹（上腹部）を凹
ませ、息を吐くときにはお腹（下腹部）を膨らませる呼吸をいう。
逆腹式呼吸はその身体の動きからして、胸式呼吸と上腹部のみを使用
する腹式呼吸の中間に位置づけることができる。
逆腹式呼吸で息を吸うときは主に下部胸郭を用いる胸式呼吸で行われ
る。息を吐くときには同時に上腹部を僅かに凹ませて、下腹部（丹田
）を膨らませて力を入れる。

6. 出典：『太極拳と呼吸の科学』 P73
逆腹式呼吸では息を吸うときに横隔膜が下降してもお腹
は膨らまず、息を吐くときには上腹部を凹ませて、下腹部
を充実させる。

7. ３.２逆腹式呼吸（丹田呼吸）
動画
参考サイト：護身エクササイズメッセージ
http://goshinexercise.junglekouen.com/

8. ３．３胸式呼吸
胸式呼吸は胸郭の拡大、縮小動作を意識して行う呼吸をいう。胸郭の
構造は上部は前に下部は横に広がりやすい構造になっている。胸式呼
吸では息を吸った時に、胸郭全体がやや上に持ち上がり、息を吐けば
下に降りる。胸式呼吸はお腹を意識しないため、息を吸った時にお腹
は上に引っ張られ凹み、息を吐けば緩んで出る。
出典：『太極拳と呼吸の科学』 P63

9. 出典：文部科学省 呼吸についてから図を引用
空気を吸ったり、吐いたりする換気を行うには、肺を取り囲んでいる胸郭
つまり肺のまわりの筋肉や骨の呼吸運動が必要になります。
吸ったり、吐いたりしているときには、横隔膜が上下に動き、胸も上がったり
下がったりしているのがわかります。このような呼吸運動は、生まれてから
ずっと無意識のうちに行っています。

10. ３．４腹式呼吸
腹部の動きを意識して行う呼吸をいう。
息を吸うときはお中を膨らませ、息を吐くときにはお腹を
凹ませる。胸郭の拡張、収縮をあまり意識せず横隔膜の上
下運動を主体とする呼吸であり、そのことから横隔膜呼吸
とも呼ばれている。
出典：『太極拳と呼吸の科学』 P６２

11. 出典：『太極拳と呼吸の科学』 P73
腹式呼吸では息を吐くときにお腹を凹ませるように意識するがお腹を凹
ませるということは内臓が圧迫され腹圧が上昇する事を意味する。
お腹を凹ませたときに横隔膜が緊張していると横隔膜の抵抗によって腹
圧の変化が呼吸に反映されない。

12. 参考サイト：腹式呼吸トレーニング「ブレスティーチャー」
http://www.soul-sense.com/
腹式呼吸はまず二酸化炭素を吐ききり、次に意識的に強く長い息を吐い
てから自然に吸いあげます。
肺の入っている胸腔は主に、肋骨とそれを支え動かす筋群、横隔膜で構
成されています。
胸腔を広げるためには肋骨を開き広げるか横隔膜を収縮させて下げるの
ですが、特に横隔膜を大きく動かすと腹腔が変形し腹が前方へ突き出ま
す。ここから息を吐き出す力は腹筋の収縮と腹圧によるものであるから
腹で呼吸しているように感じられるのです。

13. こちらのサイトも参考、願いします
関連サイト：仏陀の呼吸道