海外事例にみるヘルスデータ利活用と ＩＴリスク管理
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1. Health IT（米国）とeHealth（EU）の考え方 2. データ利活用基盤構築の海外動向 3. ヘルスデータ利活用を推進するITリスク管理 4. まとめ／Q&A
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Mais de Eiji Sasahara, Ph.D., MBA 笹原英司
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海外事例にみるヘルスデータ利活用と ＩＴリスク管理
- 1. 海外事例にみるヘルスデータ利活用と ＩＴリスク管理 2016年11月21日 博士（医薬学） 笹原英司 在日米国商工会議所・ヘルスケアIT小委員会 委員長 特定非営利活動法人ヘルスケアクラウド研究会 理事 一般社団法人日本クラウドセキュリティアライアンス 代表理事
- 2. 在日米国商工会議所と関西の連携活動 2 在日米国商工会議所の社会貢献活動の原点は、 阪神・淡路大震災時の復旧・復興支援（1995年） 「One Kansaiイニシアティブ」コンセプト ⇒World Master Games 2021で関西広域連合と連携 2015年7月、関西支部・ヘルスケアIT小委員会・欧州 ビジネス協会共催で「Healthy Women」セミナー開催
- 3. AGENDA 1. Health IT（米国）とeHealth（EU）の考え方 2. データ利活用基盤構築の海外動向 3. ヘルスデータ利活用を推進するITリスク管理 4. まとめ／Q&A 3
- 4. 1. Health IT（米国）とeHealth（EU）の考え方 4 1-1. ACCJ-EBC連携のご紹介 1-2. Health IT（米国）の考え方 1-3. eHealth（EU）の考え方
- 5. 1-1. ACCJ-EBC連携のご紹介(1) 5 ACCJ-EBC医療政策白書 2015年版 • 41の分野 • 198の政策提言 注力分野： • 健康や予防、早期発見・早期治療 • 非感染症疾患（NCD） • 感染症 • 女性の健康 • 医療IT・在宅医療 • 再生医療 • 感染予防および管理（HAI） • 患者および医療従事者の安全性
- 6. 1-1. ACCJ-EBC連携のご紹介(2) 6 • 予防志向型の医療パラダイムに政策転換 予防、検査、早期発見、早期治療に重きを置く • 医療資源の効率的な配分 生産性を向上させ無駄を省く • 科学的調査に基づくデータによる世界の成功事例 好意的な影響をもたらす見込みのある政策案 • 日本の成長戦略の目標と一致 経済成長を支える可能性のある提言 疾患予防 • コスト効率の高い 疾患管理 • 患者の生活の質向上 • 労働 生産性の向上
- 7. 1-1. ACCJ-EBC連携のご紹介(3) 7 • ヘルスリテラシーと教育 女性がライフプランの設計において正しい知識に基づいた判断を行える健康教育 • 女性の健康 ライフステージによって多様に変化する女性特有の健康リスクに対処する • リプロダクティブヘルス（性と生殖に関する健康） 経口避妊薬（OC）へのアクセスの改善 女性の健康に関する政策提言書 女性の健康と経済成長 ～女性の健康増進を通じた 女性の活躍推進と経済成長～
- 8. 1-2. Health IT（米国）の考え方（1） 保健福祉省（HHS）の国家医療 IT 調整室（ONC） 「連邦ヘルスIT戦略計画2011－2015」（2011年9月） ビジョン：情報を利用して個人に力を与え、集団健康管理を 向上させるヘルスシステム 目的：情報技術の利用によって全米国民の健康とヘルスケ アを向上させる 目標 ヘルスITの意味のある利用による電子カルテの採用と情報交換の達成 ヘルスITの利用によるケアの改善、集団健康管理の改善、ヘルスケア 費用の削減 ヘルスITにおける確信と信頼の鼓舞 ヘルスITにより、個人の健康とヘルスケアシステムの改善を可能にする 高速学習と技術的進歩の達成 8
- 9. 1-2. Health IT（米国）の考え方（2） 「連邦ヘルスIT戦略計画2011－2015」の戦略マップ 9 出典：Office of the National Coordinator for Health Information Technology 「Federal Health Information Technology Strategic Plan 2011－2015」（2011年9月）
- 10. 1-2. Health IT（米国）の考え方（3） 保健福祉省（HHS）の国家医療 IT 調整室（ONC） 「連邦ヘルスIT戦略計画2015－2020」」（2015年9月） ビジョン：高品質のケア、より低いコスト、健康な集団、関与 する個人 ミッション：最も重要な時、どこでもアクセスできる技術と健康 医療情報の利用を通して、個人および地域の健康や幸福を 向上させる 目標 人間中心で自己管理による健康の促進 医療供給と地域保健の変革 研究・科学知識・イノベーションの促進 国家のヘルスITインフラストラクチャの強化 10
- 11. 1-2. Health IT（米国）の考え方（4） 「国家のためのコネクテッドヘルスとケア：相互運用性ロード マップバージョン1」」のタイムライン 米国の2025年問題対応～第1次ベビーブーマーの高齢化 2015～2017年：ヘルスデータの利活用基盤整備 2018～2020年：相互運用性を備えたヘルスITの拡張 2021～2024年：学習するヘルスシステム（例．AI活用） 11 出典：Office of the National Coordinator for Health Information Technology 「Connecting Health and Care for the Nation: A Shared Nationwide Interoperability Final Version 1.0」（2015年1月）
- 12. 1-3. eHealth （EU）の考え方（1） 欧州連合（EU）「リスボン戦略」（2000年3月） 2010年までに欧州を、世界で最も競争力があり知を基盤と する経済圏として構築する 欧州連合（EU）「eEurope 2002行動計画」（2001年3月） インターネット利活用の推奨領域：オンラインによるヘルス 欧州委員会（EC）「eヘルス行動計画2004」（2004年5月） 対象領域 eヘルス支援に向けた共通課題への取組とフレームワーク 構築の手法 eヘルス提供の加速に向けたパイロット計画 ベストプラクティスと評価プロセスの共有 12
- 17. 2. データ利活用基盤構築の海外動向 17 2-1. まちづくりからヘルスデータへ ～米国シカゴ市の事例～ 2-2. コミュニティ主導型の社会課題解決 ～米国ボストン市の事例～
- 18. 2-1. まちづくりからヘルスデータへ ～米国シカゴ市の事例～(1) 官民連携型の非営利組織「スマートシカゴ・コラボレティブ」 2000年代半ばにデジタルデバイドの解消を目的として、設 立された非営利組織「パートナーシップ・フォー・デジタルシ カゴ」が母体 リーマンショック以降、ICT利活用でシカゴの抱える日常的 な社会課題の解決を目指す官民協働組織へと発展 市民サービス、健康医療、教育、技術インフラストラクチャ、 オープンデータの5領域で、プロジェクトに関与 健康医療分野の実績：Chicago Health Atlas、Smart Health Centers、Foodborne Chicago、Health Data Liberationなど 18
- 19. 2-1. まちづくりからヘルスデータへ ～米国シカゴ市の事例～(2) Chicago Health Atlas シカゴ市内の疾病別患者数、医療保険加入状況、医療施 設数などのデータを可視化して提供 市民参加型オープンイノベーションとオープンソースソフト ウェアを活用してシステムを構築 ⇒ モジュール化 19 結核患者分布状況 感染症専門医療施設分布状況
- 20. 2-1. まちづくりからヘルスデータへ ～米国シカゴ市の事例～(3) シカゴ市の市民参加型イノベーション支援組織体制 Department of Innovation and Technology （DoIT） Office of the Chief Information Officer （CIO） Enterprise Systems Software Development & Application Support Enterprise Architecture （Chief Technology Officer） Technical Operations Information Security（Chief Information Security Officer） Planning, Policy & Management Data Science（Chief Data Officer） Finance and Administration 20
- 22. 2-2. コミュニティ主導型の社会課題解決 ～米国ボストン市の事例～(1) Youth Lead the Change 青少年の予算決定プロセスへの関与を促進させることを目的として、行 政機関から独立したチームがコミュニティを運営 12歳～25歳のボストン在住の青少年が集まって市の予算100万ドルの 使い道を決める公開コンテストを実施 プロジェクトから生まれたアウトプットを、ボストン市の正式な調達プロセ スにおける提案依頼書（RFP）として採用 22
- 24. 2-2. コミュニティ主導型の社会課題解決 ～米国ボストン市の事例～(3) ボストン市のシビックテック・コミュニティ支援体制 シビック・コーダー 先進的な技術や手法を利用して、一般市民が行政とより良い関係を結 ぶためのツールを開発し、地域レベルの社会課題を解決して関係性を強 化する 地域住民を対象とするアウトリーチ活動やハッカソンなどを実施し、行 政機関内部および外部の民間企業、NPO、教育・研究機関との連携を図 る シビック・プロダクト・マネージャー ボストン市が市民向けに提供する「Discover BPS」、「Citizens Connect 」、「StreetBump」、「Boston About Results」など、各種アプリケーション の基盤を支える市民関係性マネジメント（CRM）システムの統括責任者と して、地域住民と行政機関との結び付きの状況を管理しながら、関係性 の維持・拡張・強化を図る 24
- 25. 2-2. コミュニティ主導型の社会課題解決 ～米国ボストン市の事例～(4) ボストン市のシビックテクノロジー支援組織体制 Department of Innovation and Technology （DoIT） 【デジタル戦略】～行政のITは市民のための製品である Engaging Citizens Connecting the City Closing the Digital Divide Increasing Efficiency Continuously Innovating Adapting Services to Meeting Changing Needs Creative Funding Working Collaboratively Creating a Sustainable City Open Government 25
- 26. 3. ヘルスデータ利活用を推進するITリスク管理 26 3-1. ヘルスデータ利活用のユースケース 3-2. 次世代ヘルスデータを取り巻く セキュリティ／プライバシー対策 3-3. データ・ドリブン・アプローチとＩＴリスク管理
- 27. 3-1. ヘルスデータ利活用のユースケース(1) ユースケース：病理診断画像化／デジタル病理診断 2-Dと3-D病理診断の例 27 出典：NIST Big Data interoperability Framework Version 1.0 Working Drafts. (2015年4月)
- 28. 3-1. ヘルスデータ利活用のユースケース(2) ビッグデータシステムの全体イメージ 28 出典：NIST Big Data interoperability Framework Version 1.0. (2015年9月)
- 29. 3-1. ヘルスデータ利活用のユースケース(3) ビッグデータを支えるクラウドとHadoopの分散処理技術 29 出典：Cloud Security Alliance Big Data Working Group「Big Data Analytics for Security Intelligence」 （2013年9月）
- 30. 3-1. ヘルスデータ利活用のユースケース(4) Hadoopシステムのセキュリティ／プライバシー脅威（例） 30 出典：Cloud Security Alliance Big Data Working Group「Expanded Top Ten Big Data Security and Privacy Challenges」 （2013年4月）を基に、 日本クラウドセキュリティアライアンス・ビッグデータユーザーワーキンググループが作成 （2014年2月）
- 31. 3-1. ヘルスデータ利活用のユースケース(5) 遠隔医療モニタリング 「IoT」×「クラウド」×「Big Data」 の掛け合わせ 31 出典：Cloud Security Alliance 「New Security Guidance for Early Adopters of the IoT」（2015年4月）
- 33. 3-2. 次世代ヘルスデータを取り巻く セキュリティ／プライバシー対策(2) ・IoT安全管理： クローズド型の電子制御システム（OT：Operational Technology） ・重要（医療）インフラのサイバーセキュリティ管理： オープン型の情報通信システム（IT：Information Technology） 33 ←フィジカル空間 サイバー空間→ ← オ ー プ ン 型 ク ロ ー ズ ド 型 → 重要インフラ （医療） サイバーセキュリティ 管理 IoT 安全管理
- 35. 3-3. データ・ドリブン・アプローチと ＩＴリスク管理(1) 先進的スマートシティ構築に活かすビッグデータデザイン （「京都スマートシティエキスポ2016」より） Smart People = Smart Cities Technology is the enabler – not the goal! 35 Design ＋ Data ＋ Science People （Citizen Engagement） Collaborative Governance ① ②
- 36. 3-3. データ・ドリブン・アプローチと ＩＴリスク管理(2) OECD：デジタル・セキュリティ・リスクマネジメント・サイクル 36 出典：OECD「Data-driven Innovation for Growth and Well-being」（2014年10月） ・オーケストレータ ー役は誰？ ・責任分界点は？
- 37. 3-3. データ・ドリブン・アプローチと ＩＴリスク管理(3) ・IoTとビッグデータが連携するバリューチェーンの情報フロー バッチ処理とリアルタイム処理の融合へ →「仕組みを運用でカバーする」時代の終焉 →開発と運用を連携させる「DevOps」への期待が高まる 37 出典：NIST Big Data interoperability Framework Version 1.0 (2015年9月)