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財団法人図書館振興財団
平成 22 年度助成事業実施報告書




      ライブラリー×ウェブの力を飛躍させる




              平成 23 年 6 月 30 日




                     1
支出内訳変更理由書
      図書館振興財団に助成金として申請していた額より実際の額が変更されたことにより、全体
      的な支出内訳の見直しが必要となり、下記のような組み換えを行っています。
      予算の組み換えを行った事業については、自主事業収入を向上させることで、不足分を補っ

図書館振興財団助成金の用途内訳:                 申請時の          申請額の        申請額の         助成額の       助成時の
                                 当初予算         均等割当額       実質割当額        均等割当額       修正予算
  (運営事業費)アカデミック・リソース・ガイド業務       1,890,000    1,260,000    1,890,000   1,071,000   1,890,000
委託費
  (運営事業費)しずくラボ業務委託費               1,260,000     840,000    1,260,000     714,000   1,260,000
  (運営事業費)法人化準備費                     315,000     210,000      220,500     178,500     200,000
  (運営事業費)ノート PC・iPad 購入費、通信設備設    5,250,000   3,500,000    4,200,000   2,975,000   3,900,000
置費
  (研修事業費)総会、Camp、講座の会場費、 旅費、謝金    2,895,000   1,930,000    1,737,000   1,640,500   1,100,000
  (派遣事業費)海外派遣 2 名分                  840,000     560,000      420,000     476,000     150,000
  (認定事業費)会議費、旅費                     525,000     350,000      100,000     297,500           0
  (提言事業費)会議費、印刷費、謝金                 525,000     350,000      172,500     297,500           0
  (繰越金)                           1,500,000   1,000,000            0     850,000           0
                           総額:   15,000,000   9,999,999   10,000,000   8,499,999   8,500,000


      ていく予定です。
      なお、事業費が 0 円になっている事業(認定事業、提言事業)についても、実施見送りはせず、
      メンバーの無償奉仕や業務受託企業への業務追加によって、実施していきます。




                                     2
目  次


0. まえがき ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(丸山高広)


1. 運営事業


1.1 事務局運営業務委託・・・・・・・・(アカデミックリソースガイド株式会社)


1.2 ウェブサイト制作・管理業務委託・・・・・・・・・・(株式会社しずくラボ)


1.3 諸費・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(藤田方江)


1.4 法人化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(丸山高広)


1.5 備品・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(林 賢紀)


2. 研修事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(藤田方江)


2.1 総合展・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(丸山高広)


2.2 第 1 回ワークショップ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(丸山高広)


2.3 第 2 回ワークショップ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(阪口哲男)


2.4 第 3 回ワークショップ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(江草由佳)


2.5 第 4 回ワークショップ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(笹沼 崇)


2.6 第 5 回ワークショップ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(林 賢紀)


3. 提言事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (米田 渉)


4. 派遣事業


4.1 Code4Lib 2011・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(高久雅生)


4.2 報告会&Camp・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(江草由佳・高久雅生)


5. 選定事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・(岡本 真)




                       3
まえがき


2010 年 8 月、私ども Code4Lib JAPAN は全国に ICT(情報通信技術)に明るい図書館員を
全国に増やしていきたいとの目的でスタートしました。


すでに米国で始まっていた Code4Lib の活動を 2010 年の Code4Lib Conference に参加した
高久雅生、江草由佳や阪口哲男、林賢紀(以上、現・Code4Lib JAPAN コアメンバー)による
報告会でシェアすることから、日本にも同様のネットワークづくりが必要であるという気
運が高まりました。
日本においても、各地の図書館でスキルの高い図書館員たちが孤軍奮闘している様を知る
につけ、 に明るい図書館員のスキルアップとそうしたスキルを持つ図書館員たちによる
    ICT
ネットワークづくりの必要性を感じた方々への呼びかけを行いました。それに応じた者た
ちが集まり、図書館振興財団の助成金を受けることも相まって、Code4Lib JAPAN の活動を
スタートしました。


この一年間、すでに 5 回のワークショップを含めたスキルアップの場、開発と交流を兼ねた
キャンプ、図書館総合展におけるフォーラム等、数多くの事業を実施し、多くの図書館員や
図書館関係者の方々とのネットワークを広げて来ました。さらに、私どもの活動を支えてい
ただく個人サポーターのみなさんや企業スポンサー様のご支援も賜っております。


私たちはこの一年間の活動を通じ、図書館サービスにおける ICT の利活用には、まだまだ多
くの可能性があることを知りました。すぐにでも図書館サービスとして反映できるものも
あれば、そうではないこともありますが、それでも ICT に目覚めた図書館員が全国に増えて
いくことは、この国の図書館の発展に大きな力になっていくと確信しています。


今後は、一人ひとりのスキルアップのための事業を実施するとともに、図書館における ICT
推進のためのリーダー役を育て、全国各地でニーズの大小によらずスキルアップを展開で
きる取り組みや、いずれは図書館利用者の方々への ICT を活用したメディアプログラムの
提供等ができる人材育成も視野に入れながら、活動を展開してまいります。


これからも、日本の図書館をヤバくする集団である Code4Lib JAPAN の活動にご期待くだ
さい。


Code4Lib JAPAN
代表 丸山高弘




                             4
事業名:運営事業(事務局運営業務委託)
受託者名:アカデミック・リソース・ガイド株式会社
期間:2010 年 7 月~2011 年 6 月
事業費:1,890,000 円(税込)


概要:
Code4Lib JAPAN のコアメンバーは全員が常勤の職を持っているため、勤務時は Code4Lib
JAPAN の業務に従事することができない。しかし、その状況では目指す活動を実施すること
が難しい。そこで、コアメンバーの一人でもある岡本真が経営するアカデミック・リソー
ス・ガイド株式会社に事務局運営業務を委託することにした。
同社では、2010 年 7 月から 2011 年 6 月にかけての 12 ヶ月間、Code4Lib JAPAN より事務局
運営業務の委託を受け、これを実施した。
実質的に立ち上げの準備段階にあった 2010 年 7 月から 10 月までは、弊社代表取締役の岡
本真が目安として 1 ヶ月につき 3 日をあてて業務にあたり、2010 年 11 月以降は別途業務契
約を締結した藤田方江(現事務局員)に全体の業務量の 2/3 を移管した。


目的:
コアメンバーの自主的な協力に依存することなく、また、各メンバーの公私両面における多
忙さに引きずられることなく、事務局が独立して業務を遂行することにより、組織としての
早期の安定的な稼働を実現する。


内容:
事務局としての主な業務は以下の通りである。
1.コアメンバー用メーリングリストの作成・運営
2.サポーター用メーリングリストの作成・運営
3.各種事業の進捗管理
4.収支管理(含む銀行口座作成等)
5.広報・印刷物作成
6.問い合わせ対応
7.スポンサー獲得交渉
8.メディアリレーション(含む各種媒体執筆機会の作成)
9.図書館総合展等でのイベント開催手配
10.その他、Code4Lib JAPAN の運営にかかる各種業務


課題:
本業務にあたるスタッフの確保を早期に実現する予定だったが、当初想定していた人物
(計 2 名)の都合がつかなくなり、岡本が運営業務にあたらざるを得なくなった。冒頭に記
した通り、この状況は 2010 年 11 月に解消されたが、より早期での人員確保が重要であった
と考える。

                              5
事業名:運営事業(ウェブサイト制作・管理業務委託)
受託者名:株式会社しずくラボ
実施期間:2011 年 7 月~2011 年 6 月
事業費:1,260,000 円(税込)


概要:
Code4Lib JAPAN の各活動の円滑な遂行のためには、ウェブ上での情報発信や人員募集、お
よびウェブ上の各種情報共有ツールの活用が不可欠であると想定され、ウェブ関係の環境
構築・運用技術者が必要であった。しかし、活動開始当初は情報発信内容や利用ツールが流
動的であり、完全な仕様策定の上、外部業者へ発注することが困難であった。そこで、コアメ
ンバーでもある小野永貴と常川真央が経営する株式会社しずくラボに業務委託を行うこと
で、活動進捗にあわせて適宜柔軟に変更・実装の対応ができる体制をとった。


目的:
Code4Lib JAPAN の各活動の広報宣伝の主たる媒体となるウェブサイトの制作・運用を行
う。また、それに必要なウェブサーバーの構築・管理を行うと同時に、ウェブ上でのブラン
ドとなるドメイン名や、安全にウェブ上で情報の送受信を行うための SSL 証明書等の取
得・管理も行う。なお、次年度以降の活動や予算状況が未定の状況の中で、たとえ低予算下
でも継続可能なよう、極力低コストで運用可能な形で実現し、かつ ICT 活用推進団体として
恥じない必要十分な品質のウェブシステムを構築することを、両立すること目標とした。そ
のため、コアメンバーがコンテンツを自由に編集可能な CMS(コンテンツ・マネジメン
ト・システム)を採用することとした。
また、将来的に Wiki 等の情報共有システムの利用や、オープンソース図書館システムの試験
導入、システム・技術実験に利用できるサーバー等のニーズが当初はあったため、多様なシ
ステムの動作環境として拡張利用できるサーバー環境を目指した。そこで、低廉な VPS(仮
想プライベートサーバー)上に Linux をインストールした環境を構築する方法を採用した。


内容:
ウェブサイトの制作・管理にかかる主な業務は以下の通りである。
1. 独自ドメイン「code4lib.jp」の取得・管理、DNS 設定
2. VPS(仮想プライベートサーバー)の契約・管理
3. Linux のインストール・設定、パッケージの更新等の保守
4. コンテンツ管理システム WordPress の構築・カスタマイズ開発
5. WordPress テンプレートデザインの制作,Web サイト用画像編集
6. SSL 証明書の取得・管理、個人情報送受信フォームの https 化設定


また、ドメイン管理に関連する業務として、以下も付随サービスとして行った。
7. 独自ドメインでの Google Apps の契約、Google Apps 各種サービスの設定・管理
8. Google Apps による独自ドメインでのメールアカウントの発行、メール転送設定

                             6
課題:
VPS を採用したため拡張性や柔軟性が高いが、管理運用や引継ぎにかかる技術レベルが高
度化してしまった。将来的な拡張性を重視するだけでなく、実際に現在必要とされている環
境を、管理・運用が容易な構成で用意することが今後は望まれる。


また、ウェブサイト上でサポーター、スポンサーを募集するフォームを、WordPress の機能
を用いて独自に構築しているが、新たに同様のフォームを作成することは設定の手間が必
要となってしまっている。そのため、Google Spreadsheet などのフォームを容易に作成でき
る外部サービスを利用することも考えたが、外部企業のサービスに個人情報が送信される
ことを嫌う利用者もいることが懸念された。管理コスト削減のための外部サービス利用と、
個人情報の管理とのバランスを、今後は議論する必要がある。




                         7
事業名:運営事業(機材)
担当者名:林賢紀
事業費:3,917,731 円(税込)


概要:
主として研修事業で行うワークショップにおける実習環境を確保するため、パソコンその
他、必要な諸機材を調達・運用した。これら機材については、ワークショップの他、Code4Lib
JAPAN 主催・共催・後援・協力等のイベントの際に使用した。また、機材の有効活用を図る
ため、他団体等の要望に応じてパソコンの貸出を行った(1 台 5,000 円/1 日)。


目的:
研修事業で行うワークショップを全国各地で円滑に開催できるよう、パソコン及びネット
ワーク回線等の実習環境を整備する。


内容:
ワークショップの当初計画とコアメンバーによる検討に基づき、必要な諸機材の調達を計
画した。これら機材は、2010 年 9 月より順次購入し、 月 25 日、 日に開催した第 1 回ワー
                             9       26
クショップより使用を開始した。


成果:
本機材は主としてワークショップで使用したが、各回の実習内容に対してパソコンのスペ
ック等は十分なものであった。また、搬送用ケースを用意したことで、機材の整理や宅配便
による機材の搬送等もスムースに行うことができた。 5 回のワークショップ以外でも、
                        計                以
下のイベント等で機材を使用することにより、機材の有効活用を図った。


Code4Lib 主催・共催・後援・協力イベントでの使用:
・図書館総合展フォーラム「Code4Lib JAPAN Meeting & Exhibits 2010」(2010/11/24)
・Code4Lib 参加報告会&Code4Lib JAPAN Camp 2011 (2011/03/05-07)
・ディジタル図書館ワークショップ:Code4Lib JAPAN スペシャルパネル「システムライブ
ラリアンの要請と養成」(2011/03/10)
・saveMLAK 緊急討議「東日本大震災 被災支援と MLAK-いまわたしたちにできること
は」(2011/04/23)
・saveMLAK「うきうき Wiki 祭り」第1回〜第4回(2010/04/24, 04/30, 05/18, 06/09)


その他団体への機材の貸出:
・NPO 法人横浜コミュニティデザイン・ラボ (2011/02/15, 2/28) 延べ 13 台、39,000 円(税
込)
・(任)テレワークセンター横浜



                                  8
課題:
運用当初は、Windows Update やウイルスバスターのウイルスパターンファイルの更新等、
パソコンのメンテナンスをワークショップ等の開催の都度行う等、セットアップに延べ 2 時
間以上を要していたが、専任事務局員やアルバイトによるメンテナンスの実施により解消
した。
ネットワーク接続環境として e-mobile(Pocket Wi-Fi) 2 回線を準備し、ワークショップ等で
使用したが、回線の輻輳等により満足な接続環境を受講者に提供できない状況が幾度か発
生した。これに対しては、WiMax 等、より高速な回線の使用や 30 人弱の会場における安定し
た無線接続手法について調査研究を行う等、費用対効果と実運用の可否を重視しつつ対応
を検討したい。




                           9
事業名:運営事業(諸費)
担当者名:藤田方江
事業費:202,386 円


概要:
運営事業のための会議を行う会場費や交通費、印刷費を支出した。会議としては主に
Code4Lib JAPAN 発足式典である Lift Off や、2011 年 1 月に内部の運営会議&合宿を開催し
た。


目的:
Code4Lib JAPAN が今後も運営を続けていくための足がかりとなる活動をはじめ、ある程度
の予測される課題を事前に解決できるよう準備する。
運営会議を通じてコアメンバーの意識統一と問題意識共有を図り、円滑な運営のために
種々の課題を解決する。


内容:
普段は主にメーリングリスト上での情報共有が主ではあるが、やはり今後の方針等、大事な
ことを決断するためには顔を合わせて話しあうことが必要である。


成果:
運営会議の結果、事務局として専任の事務局員が必要だという結果にまとまり、事務局員を
置くことを決定した。
2010 年度末までの間に法人化することは、図書館振興財団からの助成金額が希望額を下回
った結果、初期の活動計画を一部見直したことや、これまでの研修事業の進み具合も考慮し
て見送られたが、事務局員を置くことで、これまで滞っていた運営面での懸念が解消されれ
ば、法人化も困難ではないとの判断に至った。
また、人手があるときに同時に機材のアップデート等も行い、効率的に作業を進めることが
できた。


課題:
必ずコアメンバーが全員揃う日、というのがなかなか設定しづらいので、前もって計画的に
会議の頻度等を定め、なるべく多くの出席があるように務める必要がある。




                            10
法人化について
Code4Lib JAPAN 設立の折、この活動を持続可能なものとするために「法人化」の検討を加え
ていた。 スキルを身につけるための体験学習としてのワークショッププログラムの実施、
    ICT
図書館総合展におけるフォーラム等のイベントの実施、合宿等を通じ、法人化の手法につい
て検討しているが、現在のところ具体的な法人化には至っていない。
この理由は、主として図書館振興財団からの助成金額が希望額を下回った結果、初期の活動
計画を一部見直したため、また研修事業の進捗を考慮したためである。


Code4Lib JAPAN の活動における参加形態は、以下のように多様性を持っている。
1. 図書館サービスに ICT を活用することに対して関心を持っている人たち
2. Code4Lib JAPAN のワークショップやイベントへの参加者
3. Code4Lib JAPAN の活動を支援するサポーター(個人)とスポンサー(団体)
4. 事業の実施を確実にするための事務局
5. 設立に集ったコアメンバー
それぞれの目的や役割を考えると、必ずしも法人化が最適解ではない。むしろ多様な参加形
態に対して、法人化の必要なものと法人化の必要が必ずしもないものとに分けて検討する
必要がある。
この一年間の活動を通じ、Code4Lib JAPAN の法人化を急がず、むしろ活動を通して最適解
として必要性が認められる範囲について法人化を検討するものとする。


事務局の業務委託
Code4Lib JAPAN では、運営の要となる事務局機能を、アカデミック・リソース・ガイド株
式会社に依頼した。同社では、Code4Lib JAPAN の事務を担う業務契約を別途締結し、主とし
てこの活動の事務作業を行なうことができた。これは、コアメンバー各自がそれぞれの業務
を持っている中で、Code4Lib JAPAN の活動に割ける時間に制約があるため、運営の要とし
ての事務局員を採用できたことは、とても大きな力となった。


法人化へのこれからの取り組み
Code4Lib JAPAN の活動は、当団体のためだけのものではなく、より大きく、日本の図書館、
引いては図書館をとりまく社会の発展のために寄与することができる。さらに法人化の手
続きを踏むことで、当団体が非営利的な活動であるのに対し、十分に営利追求も可能となる
参加者のためのコミュニティとしての「Code4Lib JAPAN という名のネットワーク」 事務
                                             と、
局の発展形としての「社会起業化(営利活動としての組織)」の二分化によって、より持続
可能な活動ができることから、事務局長および事務局員を中心に法人化の準備に取り組ん
でいる。




                          11
研修事業概要


目標:
2011 年 6 月までに、合計 100 人にワークショップに参加いただき、図書館における ICT 活用
を促進するだけでなく、 を活用しようとする図書館員や関係者間の情報交換や相談が気
           ICT
軽にできるコミュニティー形成を目指す。


2011 年 6 月末までに実施したワークショップ一覧と参加者数
 ・第 1 回ワークショップ(2010 年 9 月 24 日~25 日;山中湖情報創造館)/ 3 名
 ・第 2 回ワークショップ(2010 年 10 月 24 日;筑波大学春日エリア)/ 18 名
 ・第 3 回ワークショップ(2010 年 12 月 12 日~13 日;あわら温泉 まつや千千)/ 26 名
 ・第 5 回ワークショップ(2011 年 3 月 19 日;関西学院大学大阪梅田キャンパス)/ 28 名
 ・第 4 回*1 ワークショップ(2011 年 6 月 14 日;潮来市立図書館)/ 16 名
*1:第 4 回ワークショップについては、 月 14 日の開催を予定していたが、
                     3                  東日本大震災の
影響により延期した結果、第 5 回ワークショップと順番が前後している。


全 5 回のワークショップの参加者の総数は 91 名と、数値目標として掲げた 100 名には到達
しなかった。しかし、研修事業全体としては、 月 5 日から 3 日間開催したテクニカル Camp
                     3
の参加者(15 名)も含めて考えると参加者数としては 106 名を達成したことになる。数値
的な目標よりもワークショップ自体を単なる知識の習得のための場としてではなく、参加
者同士が教えあったり、普段の仕事では知り合うことができない図書館で働く者同士のコ
ミュニティーをつくる場としてうまく機能していたといえる。これは、ワークショップ後に
実施しているアンケートにおいても、実習内容は難しかったが、満足している、というコメ
ントが大多数であったことからもうかがえる。




                           12
事業名:Code4Lib JAPAN 第 1 回 ワークショップ
開催テーマ:「図書館からはじめるデジタルアーカイブ」
開催地:山梨県山中湖村・山中湖情報創造館
講師:丸山高弘、小野永貴、林賢紀
実施日:2010 年 9 月 24 日(金)~25 日(土)
参加者数:3 名
事業費:95,303 円


目的:
公共図書館における、デジタル写真によるアーカイブづくりに必要な知識と技術を学び、実
際にインターネット上のサービスである Flickr(フリッカー)を用いたアーカイブづくり
の実践を体験的に学習する。地域資料のデジタル化はもとより、図書館の日々の活動を記録
しアーカイブすることの大切さを学ぶ。


内容:
・ワークシートを用いた進行
自己紹介から最終的なアーカイブづくりまでを、書き込み式の「ワークシート」を用いて実
施。「自己紹介シート」
  (       「参加理由を分析」
                  「この2日間のゴール」
                            「デジタルアーカイブのテ
ーマ」)
・レクチャー「山中湖情報創造館の事例発表」
山中湖情報創造館の指定管理者である、NPO 法人地域資料デジタル化研究会におけるデジ
タルアーカイブづくりの事例から、山中湖情報創造館における図書館としてのデジタルア
ーカイブづくりの取り組みを講義。また、Flickr を使うことの長所と短所についても学んだ。
・Flickr(フリッカー)実習
 アカウントの取得から最初の一枚のアップロードまでを実習。さらに Flickr を使っている
事例を、
   「The Commons」や米国図書館協会(ALA)や米国の図書館における活用事例を確
認しあう。
・写真撮影実習
 山中湖情報創造館の館内および周辺屋外に出て、写真撮影を実習する。
・今回のワークショップで、どのようなアーカイブをつくるかをまとめる。
・情報の組織化手法について、リチャード・ワーマンの情報の組織化手法を学ぶとともに、
「The BIG6」を用いてアーカイブづくりの基本的な企画を立案し、撮影した写真を元にアー
カイブづくりに取り組む。


成果:
Code4Lib JAPAN の最初のワークショップであり、参加人数も少なかったが体験的に学ぶこ
とができた。参加者が使用したサービス Flickr は無料版としてであったが、その後、各自で有
料版にアップグレードし、アーカイブづくりを継続している。図書館サービスとして「公式」
なものとして扱われるには至っていないが、低予算ですぐに始められるデジタルアーカイ

                            13
ブ手法として有効である。


課題:(参加者を確保すること)
第 1 回目のワークショップを実施したが、参加者が 3 名はあまりにも少なかった。
考えられる反省点としては、
 1. 告知が十分ではなかった(特に山梨県内での告知が不十分だった)
 2. 開催地サイドで他のイベントとの連続開催を企画したため、本ワークショップの
参加者にとっては好ましくない日程での開催となった等が考えられる。




                     14
事業名:Code4Lib JAPAN 第 2 回ワークショップ
開催テーマ:「ウェブのログファイルを読む・解析する」
開催地:茨城県つくば市・筑波大学春日エリア
講師:江草由佳、小野永貴、阪口哲男、高久雅生、林賢紀
実施日:2010 年 10 月 24 日(日)10:30~16:30
事業費:136,063 円
参加者数:18 名


目的:
ウェブサイトのログファイルの内容を正しく知ることによって、非来館型サービスの充実
強化を目標とする。図書館のウェブサイトへのアクセスを「来館者」ととらえ、ログファイル
の分析等から正しい来館者数を把握するための方法を学び、自館に持ち帰って実サービス
への反映を可能とすることを目指す。


内容:
午前はログファイルの内容を理解するための基礎知識を解説する講義編とし、午後はそれ
を踏まえて、実際のウェブサイトのログファイルをサンプルとして、その内容の読み方や解
析ツールの使い方を実習した。
・午前:講義編「ウェブサイトのログファイルとその概要」
ウェブサイトのログファイルを読み、理解するために必要な IP アドレスやウェブの通信プ
ロトコル等の基本的な知識について阪口からの講義を行った。
・午後:実習編
講師陣が普段管理しているウェブサイトの実際のログをサンプルとして受講者に配布し、
無償で利用可能なログビューワーソフトや解析ツールを実際に用いる実習を高久による解
説を交えながら実施した。
最後に講義編と実習編を通しての質疑や議論を行い、受講者それぞれの事例等も交えなが
ら受講者者と講師で活発な意見交換がなされた。


成果:
すべての受講者が演習中に実際のウェブサイトのログファイルの閲覧と解析を体感するこ
とができた。事後のアンケートによると、ログファイルについて断片的ではなくまとめて学
ぶことにより、理解が深まる等、受講者の満足度も高かった。


事後アンケートの結果は次の通りである。(18 名中 18 名回答)
・満足した:     15(83%)
・やや満足した: 3(17%)
・やや不満である: 0(0%)
・不満である:     0(0%)



                               15
事業名:Code4Lib JAPAN 第 3 回ワークショップ
開催テーマ:「API は怖くない!−RSS から API まで便利な仕組みを使い倒そう」
開催地:福井県あわら市・あわら温泉 まつや千千
講師:江草由佳、高久雅生、岡本真
実施日:2010 年 12 月 12 日(日)13:00~12 月 13 日(月)12:00
事業費:309,290 円
参加者数:26 名


目的:
RSS/API の仕組みを理解し、サービスをつくることを目標とし、ワークショップ開催後に、
自館に持ち帰って実サービスで運用可能にすることを目指す。


内容:
1 名 1 分間のライトニングトーク形式での自己紹介をし、相互の問題意識を共有した。次に 、
API についての高久からの講義を行った。RSS 読み込みモジュールを使用して、十数行のコ
ードを HTML に追加するだけで、RSS からの情報を HTML 埋め込む演習、Yahoo! Pipes を
使って、アイコンを追加したり、つなげたりするだけで、レファレンス協同データベースの
API データを RSS へ変換する演習を行った。
夜には、旅館の一室に集まって、図書館サービスやシステムについて、日頃疑問に思ってい
ることなど語りあい親睦を深めた。
2 日目は、チームにわかれてグループ討議をおこない、チームごとの発表と、講師と参加者の
一員でもあった大向一輝氏(国立情報学研究所)からの講評を行った。


成果:
すべての受講者が演習中に RSS や API を活用して実際に動くサービスを構築できた。ワー
クショップ終了直後の 2010 年 12 月 15 日には、ワークショップでの成果を生かして、福井
県立図書館のウェブサイトで「最近のレファレンス事例」 が、
                          *1 また京都府立図書館のウェ
ブサイト内で「京都府立図書館が登録した最新事例」*2(レファレンス協同データベースの
API と Yahoo! pipes、RSS 読み込みモジュールを使って作成)が受講者の手によって公開
された。ワークショップ開催後も参加者メーリングリストを活用したことで、参考書につい
ての情報交換や、持ちかえって試した際にうまくいかなかった点について相談したりなど
のコミュニティー形成という点でも成果があった。ワークショップ後の満足度アンケート
結果は次の通り(26 名中 23 名回答)。
 ・満足した: 19(83%)

 ・やや満足した: 4(17%)

 ・やや不満である: 0(0%)

 ・不満である: 0(0%)



                               16
*1 福井県立図書館「最近のレファレンス事例」:
http://www.library.pref.fukui.jp/reference/reference_top.html#jirei
*2 京都府立図書館「京都府立図書館が登録した最新事例」:
http://www.library.pref.kyoto.jp/refdb.html




                                              17
事業名:Code4Lib JAPAN 第 4 回ワークショップ
開催テーマ:「新着雑誌記事速報を作ってみよう!-RSS を活用した図書館サービス作成
講座」
開催地:茨城県潮来市・潮来市立図書館
講師:笹沼崇、牧野雄二、船見康之
実施日:2011 年 6 月 13 日(月)10:00~17:00
 ※ 2011 年 3 月 14 日(月)に開催予定だったが東日本大震災のため延期
事業費:69,691 円
 ※潮来市立図書館より会場、プロジェクター、スクリーン、ノートパソコンをご提供いた
だきき、会場設営、駅と会場間の送迎、昼食手配等もご協力いただいた。
受講者数:16 名


目的:
1. 国立国会図書館や富士山マガジンサービスの配信する雑誌記事情報を利用し、自館所蔵
雑誌の新着雑誌記事速報システムをその場で構築する。
2. ワークショップで構築した成果物を公開する方法について検討する。


内容:
・イントロダクション:笹沼、船見
 最初に避難経路の確認を行い、延期から再開に至る経緯を説明。続いて、今回のワークシ
ョップの目標について概説。参加型の研修なので、積極的に声を掛けて欲しいと説き、講師、
参加者全員による 1 分間での自己紹介を実施。
・レクチャー:牧野「RSS について学ぼう」
 RSS とは何なのかを解説し、RSS リーダーで何ができるのかを紹介。続いて RSS の中身
を解説し、フィードの種類やマークアップ言語について説明。
・レクチャー:講義(牧野)「RSS リーダーを活用したサービス開発」
 昼食後、新着雑誌記事速報システムの機能、仕組みについて解説。サンプルを元に、全員で
3 タイトルを登録する簡単な実習を行った。
・演習:全員
 実際に参加者が持参したリストに基づき、各自の所属館の新着雑誌記事速報を作成した。
・レクチャー:牧野「新着雑誌記事速報の応用」
 新着雑誌記事速報システムのカスタマイズ方法、サーバーでの公開方法について解説。
・ディスカッション:全員「今日の成果を自館で公開するには」
 各館に持ち帰り公開するのにあたって、どのような問題があるのかを検討。潮来市立図書
館長より、起案の仕方に関するアドバイスをいただいた他、こうした仕掛けは図書館サーバ
ー以外の場所に置いても有効であり、公式サイトからのリンクが許されなかったとしても
Google で検索できれば見てもらえるといった話が出た。




                               18
成果:
自館に持ち帰り、引き続き、受け入れタイトルを登録することで、そのまま公開できる仕掛
けを各自構築することができた。個別サポートも継続的にメールで実施した結果、 月 30 日
                                     6
に茨城県筑西市立図書館が、7 月 24 日に潮来市立図書館が同システムを公開している。


事後のアンケート結果は次の通り。


・満足した:9 名(60%)
・やや満足した:6 名(40%)
・やや不満である:0 名(0%)
・不満である:0 名(0%)


なお、参加者が自由に歩き回りやすい会場レイアウトに加え、会場付近に食事を取れる場所
がなかったため弁当を手配し、会場内で全員が一緒に昼食をとったことと、演習中にゆうき
図書館スタッフの手作りお菓子を振る舞い、ティータイムを催したことなどで、参加者相互
の交流も図ることができた。


課題:
パソコンやウェブに関する前提知識を問わず参加者を募集した結果、ワークショップでの
質問内容のレベルも多岐に渡った。このように参加者のスキルが多岐に渡るワークショッ
プの際には、レベルの異なる質問・相談に迅速に対応すべく講師以外にアシスタントの人
数をある程度揃える必要があるかもしれない。参加者間の相互ヘルプで乗り切ろう、といっ
た空気をより醸成することも含め、次回以降対応していきたい。




                     19
事業名:Code4Lib JAPAN 第 5 回ワークショップ
開催テーマ:「めざせ!図書館発、USTREAM 中継!-基礎から、集客ノウハウまで」
開催地:大阪府大阪市・関西学院大学大阪梅田キャンパス
講師:岡本真、林賢紀
実施日:2011 年 3 月 19 日(土)11:00~18:00
事業費:169,021 円 ※今回は、大学図書館問題研究会兵庫支部主催の関西 3 支部(兵庫、
大阪、京都)新春合同例会として開催したものである。
受講者数:28 名


目的:
USTREAM の基本操作を身につけること、また、中継を盛り上げるためのスキルを理解し、
体得することである。


内容:
基本操作についての講義の後、講義で得た知識を実際の場面とほぼ同じ状況にてグループ
ごとに演習を行った。USTREAM 中継を番組として企画し、その企画を実行するにあたって
必要な告知、Twitter との連携、視聴者向けフォローアップ等を含めたものである。番組中継
については、 度実施したのち、
      1        同じ番組をもう 1 度実施し、 度目の反省を活かせるような
                              1
構成とした。最後に受講者および講師より、相互に番組の講評や感想等の意見交換を行った


成果:
USTREAM による中継のみならず Twitter を活用したフォローアップまで、実運用に近い形
式での実習を通じ、イベント中継のためのノウハウを受講者に説明できたことから、当初の
目標を達成したものと考える。また、大学図書館問題研究会兵庫支部というコミュニティー
を基盤としたワークショップではあったが、グループ分けにより受講者相互の交流も図ら
れた。事後のアンケートによる満足度も高い。(28 名中 22 名回答)
・満足した:16(73%)
・やや満足した:6(27%)
・やや不満である:0(0%)
・不満である:0(0%)


課題:
「USTREAM 実習」というインターネットが必須、かつ広帯域の回線が必要なワークショッ
プであるため、回線の確保に努めたが、会場となった関西学院大学大阪梅田キャンパスでの
使用教室でのみ、持ち込みの e-moblie2 回線では不足であった。参加者の協力を得てようや
く接続できる等、実習そのものが困難な状況もあった。これは実際の中継でも起こりえる状
況であり、受講者の参考となった面もあると思われるが、実習に耐えうるネットワーク構築
については再検討の必要がある。



                               20
事業名:提言事業
担当者名:阪口哲男、小野亘、常川真央、米田渉、江草由佳、高久雅生、林賢紀
実施日(期間):2010 年 10 月~2011 年 6 月
事業費:77,240 円


概要:
図書館の最新情報技術活用促進のための様々な提言を、Code4Lib JAPAN メンバーや外部の
識者を交えて進めている。
図書館コンテンツの幅広い利用のために Web-API が標準的に装備されていくことが必要で、
その第 1 段階として、
           「URL の固定化(パーマリンク)の必要性の提言」をまとめ、公表した。


目的:
図書館のコンテンツをインターネット上に提供することは、当たり前になりつつあるが、再
利用、引用を推し進めるためには、URL の固定化(パーマリンク)、すなわち唯一の URL で
あることが望まれる。


対象:
公共図書館、大学図書館等、館種を問わないあらゆる図書館


内容:
まず、図書館のウェブサイトや図書館システムに関わる様々な会合や会議における議論等
の情報収集を進めた。そして、URL 固定化において必要とされる要件や、注意点を討議し、以
下の 3 つにまとめた。
1. 個々の書誌に対して、その館で永続して持つ書誌 ID(以下、ユニーク ID)を持つように
仕様に定める。
2. ユーザーに見せる URL と内部的 URL を分けられるようにする。
3. プログラミング言語や実装依存の URL や拡張子は利用しないで、シンプルな URL にする。


成果(売上):
提言をまとめ、2011 年 6 月 28 日に Code4Lib JAPAN サイトに公開した。


課題:
実装に至るよう提言を広く広報していくことが必要である。また、様々な館種における実装
上の課題を検討し、把握・解決できるよう支援していくことが次のステップである。
そして、この提言から Web-API 提言に繋げていくことが提言事業の大きな目標である。




                             21
事業名:Code4Lib 2011 派遣事業
担当者名:高久雅生
実施日:2011 年 2 月 7 日~2011 年 2 月 10 日
開催場所:アメリカ インディアナ州ブルーミントン(インディアナ大学)
事業費:195,673 円


目的:
Code4Lib 2011 カンファレンスは毎年北米で開催される、本家 Code4Lib コミュニティー最
大のイベントである。国内の図書館関連分野のエンジニア等を対象として、Code4Lib 2011
カンファレンスへの参加者を公募のうえ選定し、派遣する。先端的人材による対面での交流
を通じて、人材育成と国際交流に資することを目指す。


内容:
Code4Lib 2011 カンファレンスの会議参加費、旅費および宿泊費を助成した。
まず、最大2名を対象として派遣することとして公募を行った。4名の応募があり、選定は
2名の外部有識者を加えて行い、厳正な審査の結果、公募申請内容から優秀と認められた1
名(田辺浩介氏・慶應義塾大学、合同会社次世代図書館システム)を選定した。
カンファレンスには派遣者に加えて、Code4Lib JAPAN のコアメンバー4名を含む日本から
の参加者計6名が参加した。


成果:
田辺氏は、カンファレンスにおいてライトニングトークで短い時間ながら発表を行い、自身
が開発を進める Enju や NDL サーチのアーキテクチャー、活動を紹介した(*1)。他にも 、
Code4Lib JAPAN コアメンバーの林賢紀(*2)、小野永貴(*3)もライトニングトークを行い、
日本における活動成果の国際的な発信に貢献した。
その他、正規プログラム以外にも、会場となった宿泊所で行われたソーシャルイベントでも
参加者が積極的に交流を進めた。
また、これらカンファレンスの模様は、Twitter 上でも随時積極的に発信(*4)することによ
り、国内の非参加者とも共有を図るとともに、帰国後の 3 月 5 日には報告会を東京で開催し、
活動や当地の様子等を報告した。


Ref:
[1] "10. NDL Search -- Kosuke Tanabe". http://code4lib.org/conference/2011/lightning
[2] "11. Making integrated search system which your choice - primo central index or
summon? - Takanori Hayashi". http://code4lib.org/conference/2011/lightning
[3] "5. Two Engineering Projects of LIS at Tsukuba in Japan: Project Shizuku and Project
Lie (Slides) -- Haruki Ono". http://code4lib.org/conference/2011/lightning
[4] "Togetter - Code4Lib 2011 カンファレンス #c4l11jp". http://togetter.com/li/99483



                                              22
事業名:Code4Lib 2011 参加報告会&Camp
担当者名:高久雅生、江草由佳、丸山高広、林賢紀、阪口哲男、小野亘、小野永貴、常川真央、岡
本真
実施日:2011 年 3 月 5 日~2011 年 3 月 7 日
開催場所:東京都港区・南青山会館
事業費:537,920 円
参加者数:15 名(報告会)、6 名(Camp)


目的:
Code4Lib 2011 カンファレンス参加者による報告を行い、その経験を国内の図書館関係者で
共有する。また、図書館システムや API を扱ったことのある開発経験者、図書館関連システ
ムやツールの開発者が集い、実際に手を動かして相互に助け合いながら、さまざまなツール
の開発を進めるとともに交流も深める。


内容:
前半を Code4Lib 2011 カンファレンスの報告会として、カンファレンス参加者(林、江草、
高久、小野(永)、田辺浩介氏(派遣者))が自身の発表内容や会議、交流の模様を報告し
た。後半は Camp イベントとし、参加者各人がそれぞれのテーマを持ち寄って、図書館に関
連するシステムやツールを実際に開発した。一部のテーマに関しては参加者間でお互いの
作業内容を相談しながら開発する等、自発的な共同作業も行われた。最終日には、それぞれ
が開発したツールやシステムの成果を発表し、成果を共有した。


成果:
たった2泊の短い期間ながら、参加者全員がなんらかのツールやシステムを開発した。たと
えば、以下のような成果が報告された。
1. JavaScript を通じた OPAC 画面カスタマイズ(OPAC+):たとえば、Google ブックス
書影や Flickr 画像検索とのマッシュアップ、子ども向け画面例カスタマイズ等
2. Solr+Rails による書誌データベースの構築
3. Springer API による画像検索
4. Node.js によるチャット型検索システム
等。その他、Solr や Next-L Enju 等のオープンソースソフトウェアの使い方チュートリアル
文書を作成する等、直接的な開発以外の側面からの成果も得られた。
各人の得意なツールやプログラミング言語等を相互に教えあうことで相互の交流が深まっ
た。また、3日間を通じて、Twitter や USTREAM を随時積極活用し、Camp の記録も行った。
-(1日目)http://togetter.com/li/108466
-(2日目)http://togetter.com/li/108841
-(3日目)http://togetter.com/li/108956
Camp の成果については、ライトニングトークを行い、USTREAM で配信し、記録も行った
(http://www.ustream.tv/recorded/13099374)。

                                      23
事業名:選定事業
担当者名:岡本真
実施日:2010 年 7 月〜2011 年 6 月
事業費:0 円
※アカデミック・リソース・ガイド株式会社への受託額に作業費を含むものとする。


概要:
図書館振興財団の助成金が当初希望額に満たなかったため、当初の予定を一部変更し、外部
有識者への報酬を支払ってのヒアリング等をとりやめて実施した。 1 年間をかけて、
                              約         数年
前にサービス提供が開始された事例も含めて調査し、2011 年 8 月に最初の 10 事例を公表し
た。
図書館における ICT 活用を推進するため、優れた前例となっている実践事例をグッドプラ
クティスとして選定し、広く紹介することで、ICT 活用に乗り出す図書館を増やしていく。


内容:
あらかじめ以下の目安を定め、Code4Lib JAPAN コアメンバー間での意見交換に基づき、選
定を実施した。


1.グッドプラクティスの図書館への導入拡大を促進するため、図書館が提供するサービス
を対象とした。このため、原則的に個人や団体は除外。
2.1.にも関連するが、外部ベンダーの機能を利用するサービスも対象とした。他方、図書
館が利用できる外部サービス、たとえばカーリルや Next-L/Enju は除外した。
3.Code4Lib JAPAN コアメンバーが関わるサービスや Code4Lib JAPAN の研修事業の成
果も除外せずに選定。


なお、選定にあたっては、賞の授与という性格の事業ではないため、特に選定先への事前の
打診は行っていない。
2011 年は以下の 10 サービスをグッドプラクティスとして選定した。


◆1.国立国会図書館 - カレントアウェアネス・ポータル
http://current.ndl.go.jp/
2008 年 2 月のリニューアル以降、定期的に情報を更新し続け、いまや図書館業界にとって速
報性や網羅性の点でなくてはならない存在となっている。また、リニューアルに際しては、
現在海外の公共機関ではデファクトスタンダードになりつつある CMS(コンテンツ・マネ
ジメント・システム)である Drupal を日本でも早期に採用した点も評価したい。日本での
認知度や利用率も徐々に上がってきており、図書館業界には珍しい先駆者としての取り組
みである。




                            24
◆2.ゆうき図書館 - 新着雑誌記事速報
http://lib-yuki.city.yuki.lg.jp/room_ad/sokuhou-blog.html
国立国会図書館の雑誌記事索引の RSS、株式会社富士山マガジンサービスの目次新着情報
「Fujisan RSS」 Google AJAX Feed API を組み合わせた新着雑誌記事速報を提供している。
             と
雑誌の永久保存を行う図書館という特性を考慮し、自館に見合ったサービスを提供してい
る点、また作成・運用マニュアルの提供等によって同様の取り組みを実施したい図書館を
支援している点を評価する。


◆3.福井県立図書館 - 最近のレファレンス事例
http://www.library.pref.fukui.jp/reference/reference_top.html#jirei
同館がかねてから国立国会図書館によるレファレンス協同データベース事業に精力的に協
力・貢献し、多数のレファレンス事例を提供している。今回、
                           Code4Lib JAPAN 主催のワーク
ショップにおいて習得した技術を用いて、自館提供データを自館サイトでも閲覧可能な状
態を創り出し、利用者のニーズに応えている点を評価する。


◆4.東松島市立図書館 - たすけあおう Nippon 東日本大震災ほしい物リスト(Amazon)
http://www.amazon.co.jp/wishlist/2PZIMTSXH8VUO
東日本大震災によって亡失した資料類の回復のため、Amazon ほしい物リストを利用した受
援者側のニーズに見合った物資支援マッチングを実現している。すでに被災地で用いられ
ている仕組みであるが、その活用に図書館業界の中で最も早く取り組んだ点を評価する。


◆5.野田市立図書館 - web-OPAC+
http://www.library-noda.jp/OPP0100
OPAC(オンライン蔵書検索システム)に比較的、簡易な作業で自館蔵書以外の外部サイト
の情報を表示する仕組みを提供している。多大なコストを要さずに、図書館が判断した利用
者が必要とする情報を提供できる仕組みを実現していることを評価する。


◆6.国立天文台 - 天文情報センター暦計算室
http://www.nao.ac.jp/koyomi/
Google カレンダーを使用して暦情報を提供し、Google カレンダー利用者が暦を自分のカレ
ンダーに取り込めるようにしている。それに際して、カレンダーに入力する項目の記述にも
一定程度の配慮が見られる点を特に評価する。


◆7.神奈川県立図書館 - レファレンス事例集
http://www.klnet.pref.kanagawa.jp/common/ref_data.htm
国立国会図書館のレファレンス協同データベースから自館提供データを検索できるように
している。協同データベース事業への貢献と自館サービスの両立を実現している点を評価
する。



                                              25
◆8.農林水産研究情報総合センター - ALIS WebOPAC OpenSearch 対応と XML 出力イン
ターフェース
http://library.affrc.go.jp/API/
自館所蔵の書誌データを API 経由で公開・提供している。国立機関とは言え、決して大規模
な組織ではないにも関わらず、2008 年という早い段階からデータのオープン化を進めてき
た先駆者としての役割を特に評価する。


◆9.国立情報学研究所(NII) - CiNii
http://ci.nii.ac.jp/
数度に渡るリニューアルを経て、日本全国の大学・研究機関はもとより、一般の市民に向け
て学術論文検索サービスを提供し、専門知へのアクセスを保障している。特にユーザーイン
ターフェースへの徹底したこだわりを持ち、誰にでも使いやすいサービスを実現している
点を評価する。


◆10.成田市立図書館 - おすすめリスト
http://www.library.narita.chiba.jp/news/2009/n-20090627_recommendation.html
2009 年に近年論議が盛んになっていた貸出履歴を用いた資料の推薦(レコメンド)システ
ムを提供している。
        「図書館の自由」として謳われる利用者の秘密保護に十分に配慮しつつ、
同時に利用者の利便性を高めるという困難な課題に取り組み、一つの答えを出した点を特
に評価する。


課題:
選定対象がグッドプラクティスであることをより広く広報していく必要がある。Code4Lib
JAPAN の第 1 期の広報活動の多くは、その存在や目的を伝えるものが主であったが、 2 期
                                           第
以降はグッドプラクティスの紹介にも力を入れていく必要がある。
また、グッドプラクティスの追加を順次行っていくことや、一度選定したグッドプラクティ
スが時代の流れ等を理由に有効性を失った場合にどのように対応するか、検討していく必
要がある。




                                          26

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20110630Code4Lib JAPAN報告書

  • 1. 財団法人図書館振興財団 平成 22 年度助成事業実施報告書 ライブラリー×ウェブの力を飛躍させる 平成 23 年 6 月 30 日 1
  • 2. 支出内訳変更理由書 図書館振興財団に助成金として申請していた額より実際の額が変更されたことにより、全体 的な支出内訳の見直しが必要となり、下記のような組み換えを行っています。 予算の組み換えを行った事業については、自主事業収入を向上させることで、不足分を補っ 図書館振興財団助成金の用途内訳: 申請時の 申請額の 申請額の 助成額の 助成時の 当初予算 均等割当額 実質割当額 均等割当額 修正予算   (運営事業費)アカデミック・リソース・ガイド業務 1,890,000 1,260,000 1,890,000 1,071,000 1,890,000 委託費   (運営事業費)しずくラボ業務委託費 1,260,000 840,000 1,260,000 714,000 1,260,000   (運営事業費)法人化準備費 315,000 210,000 220,500 178,500 200,000   (運営事業費)ノート PC・iPad 購入費、通信設備設 5,250,000 3,500,000 4,200,000 2,975,000 3,900,000 置費   (研修事業費)総会、Camp、講座の会場費、 旅費、謝金 2,895,000 1,930,000 1,737,000 1,640,500 1,100,000   (派遣事業費)海外派遣 2 名分 840,000 560,000 420,000 476,000 150,000   (認定事業費)会議費、旅費 525,000 350,000 100,000 297,500 0   (提言事業費)会議費、印刷費、謝金 525,000 350,000 172,500 297,500 0   (繰越金)            1,500,000 1,000,000 0 850,000 0 総額: 15,000,000 9,999,999 10,000,000 8,499,999 8,500,000 ていく予定です。 なお、事業費が 0 円になっている事業(認定事業、提言事業)についても、実施見送りはせず、 メンバーの無償奉仕や業務受託企業への業務追加によって、実施していきます。 2
  • 3. 目  次 0. まえがき ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(丸山高広) 1. 運営事業 1.1 事務局運営業務委託・・・・・・・・(アカデミックリソースガイド株式会社) 1.2 ウェブサイト制作・管理業務委託・・・・・・・・・・(株式会社しずくラボ) 1.3 諸費・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(藤田方江) 1.4 法人化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(丸山高広) 1.5 備品・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(林 賢紀) 2. 研修事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(藤田方江) 2.1 総合展・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(丸山高広) 2.2 第 1 回ワークショップ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(丸山高広) 2.3 第 2 回ワークショップ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(阪口哲男) 2.4 第 3 回ワークショップ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(江草由佳) 2.5 第 4 回ワークショップ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(笹沼 崇) 2.6 第 5 回ワークショップ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(林 賢紀) 3. 提言事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (米田 渉) 4. 派遣事業 4.1 Code4Lib 2011・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(高久雅生) 4.2 報告会&Camp・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(江草由佳・高久雅生) 5. 選定事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・(岡本 真) 3
  • 4. まえがき 2010 年 8 月、私ども Code4Lib JAPAN は全国に ICT(情報通信技術)に明るい図書館員を 全国に増やしていきたいとの目的でスタートしました。 すでに米国で始まっていた Code4Lib の活動を 2010 年の Code4Lib Conference に参加した 高久雅生、江草由佳や阪口哲男、林賢紀(以上、現・Code4Lib JAPAN コアメンバー)による 報告会でシェアすることから、日本にも同様のネットワークづくりが必要であるという気 運が高まりました。 日本においても、各地の図書館でスキルの高い図書館員たちが孤軍奮闘している様を知る につけ、 に明るい図書館員のスキルアップとそうしたスキルを持つ図書館員たちによる ICT ネットワークづくりの必要性を感じた方々への呼びかけを行いました。それに応じた者た ちが集まり、図書館振興財団の助成金を受けることも相まって、Code4Lib JAPAN の活動を スタートしました。 この一年間、すでに 5 回のワークショップを含めたスキルアップの場、開発と交流を兼ねた キャンプ、図書館総合展におけるフォーラム等、数多くの事業を実施し、多くの図書館員や 図書館関係者の方々とのネットワークを広げて来ました。さらに、私どもの活動を支えてい ただく個人サポーターのみなさんや企業スポンサー様のご支援も賜っております。 私たちはこの一年間の活動を通じ、図書館サービスにおける ICT の利活用には、まだまだ多 くの可能性があることを知りました。すぐにでも図書館サービスとして反映できるものも あれば、そうではないこともありますが、それでも ICT に目覚めた図書館員が全国に増えて いくことは、この国の図書館の発展に大きな力になっていくと確信しています。 今後は、一人ひとりのスキルアップのための事業を実施するとともに、図書館における ICT 推進のためのリーダー役を育て、全国各地でニーズの大小によらずスキルアップを展開で きる取り組みや、いずれは図書館利用者の方々への ICT を活用したメディアプログラムの 提供等ができる人材育成も視野に入れながら、活動を展開してまいります。 これからも、日本の図書館をヤバくする集団である Code4Lib JAPAN の活動にご期待くだ さい。 Code4Lib JAPAN 代表 丸山高弘 4
  • 5. 事業名:運営事業(事務局運営業務委託) 受託者名:アカデミック・リソース・ガイド株式会社 期間:2010 年 7 月~2011 年 6 月 事業費:1,890,000 円(税込) 概要: Code4Lib JAPAN のコアメンバーは全員が常勤の職を持っているため、勤務時は Code4Lib JAPAN の業務に従事することができない。しかし、その状況では目指す活動を実施すること が難しい。そこで、コアメンバーの一人でもある岡本真が経営するアカデミック・リソー ス・ガイド株式会社に事務局運営業務を委託することにした。 同社では、2010 年 7 月から 2011 年 6 月にかけての 12 ヶ月間、Code4Lib JAPAN より事務局 運営業務の委託を受け、これを実施した。 実質的に立ち上げの準備段階にあった 2010 年 7 月から 10 月までは、弊社代表取締役の岡 本真が目安として 1 ヶ月につき 3 日をあてて業務にあたり、2010 年 11 月以降は別途業務契 約を締結した藤田方江(現事務局員)に全体の業務量の 2/3 を移管した。 目的: コアメンバーの自主的な協力に依存することなく、また、各メンバーの公私両面における多 忙さに引きずられることなく、事務局が独立して業務を遂行することにより、組織としての 早期の安定的な稼働を実現する。 内容: 事務局としての主な業務は以下の通りである。 1.コアメンバー用メーリングリストの作成・運営 2.サポーター用メーリングリストの作成・運営 3.各種事業の進捗管理 4.収支管理(含む銀行口座作成等) 5.広報・印刷物作成 6.問い合わせ対応 7.スポンサー獲得交渉 8.メディアリレーション(含む各種媒体執筆機会の作成) 9.図書館総合展等でのイベント開催手配 10.その他、Code4Lib JAPAN の運営にかかる各種業務 課題: 本業務にあたるスタッフの確保を早期に実現する予定だったが、当初想定していた人物 (計 2 名)の都合がつかなくなり、岡本が運営業務にあたらざるを得なくなった。冒頭に記 した通り、この状況は 2010 年 11 月に解消されたが、より早期での人員確保が重要であった と考える。 5
  • 6. 事業名:運営事業(ウェブサイト制作・管理業務委託) 受託者名:株式会社しずくラボ 実施期間:2011 年 7 月~2011 年 6 月 事業費:1,260,000 円(税込) 概要: Code4Lib JAPAN の各活動の円滑な遂行のためには、ウェブ上での情報発信や人員募集、お よびウェブ上の各種情報共有ツールの活用が不可欠であると想定され、ウェブ関係の環境 構築・運用技術者が必要であった。しかし、活動開始当初は情報発信内容や利用ツールが流 動的であり、完全な仕様策定の上、外部業者へ発注することが困難であった。そこで、コアメ ンバーでもある小野永貴と常川真央が経営する株式会社しずくラボに業務委託を行うこと で、活動進捗にあわせて適宜柔軟に変更・実装の対応ができる体制をとった。 目的: Code4Lib JAPAN の各活動の広報宣伝の主たる媒体となるウェブサイトの制作・運用を行 う。また、それに必要なウェブサーバーの構築・管理を行うと同時に、ウェブ上でのブラン ドとなるドメイン名や、安全にウェブ上で情報の送受信を行うための SSL 証明書等の取 得・管理も行う。なお、次年度以降の活動や予算状況が未定の状況の中で、たとえ低予算下 でも継続可能なよう、極力低コストで運用可能な形で実現し、かつ ICT 活用推進団体として 恥じない必要十分な品質のウェブシステムを構築することを、両立すること目標とした。そ のため、コアメンバーがコンテンツを自由に編集可能な CMS(コンテンツ・マネジメン ト・システム)を採用することとした。 また、将来的に Wiki 等の情報共有システムの利用や、オープンソース図書館システムの試験 導入、システム・技術実験に利用できるサーバー等のニーズが当初はあったため、多様なシ ステムの動作環境として拡張利用できるサーバー環境を目指した。そこで、低廉な VPS(仮 想プライベートサーバー)上に Linux をインストールした環境を構築する方法を採用した。 内容: ウェブサイトの制作・管理にかかる主な業務は以下の通りである。 1. 独自ドメイン「code4lib.jp」の取得・管理、DNS 設定 2. VPS(仮想プライベートサーバー)の契約・管理 3. Linux のインストール・設定、パッケージの更新等の保守 4. コンテンツ管理システム WordPress の構築・カスタマイズ開発 5. WordPress テンプレートデザインの制作,Web サイト用画像編集 6. SSL 証明書の取得・管理、個人情報送受信フォームの https 化設定 また、ドメイン管理に関連する業務として、以下も付随サービスとして行った。 7. 独自ドメインでの Google Apps の契約、Google Apps 各種サービスの設定・管理 8. Google Apps による独自ドメインでのメールアカウントの発行、メール転送設定 6
  • 7. 課題: VPS を採用したため拡張性や柔軟性が高いが、管理運用や引継ぎにかかる技術レベルが高 度化してしまった。将来的な拡張性を重視するだけでなく、実際に現在必要とされている環 境を、管理・運用が容易な構成で用意することが今後は望まれる。 また、ウェブサイト上でサポーター、スポンサーを募集するフォームを、WordPress の機能 を用いて独自に構築しているが、新たに同様のフォームを作成することは設定の手間が必 要となってしまっている。そのため、Google Spreadsheet などのフォームを容易に作成でき る外部サービスを利用することも考えたが、外部企業のサービスに個人情報が送信される ことを嫌う利用者もいることが懸念された。管理コスト削減のための外部サービス利用と、 個人情報の管理とのバランスを、今後は議論する必要がある。 7
  • 8. 事業名:運営事業(機材) 担当者名:林賢紀 事業費:3,917,731 円(税込) 概要: 主として研修事業で行うワークショップにおける実習環境を確保するため、パソコンその 他、必要な諸機材を調達・運用した。これら機材については、ワークショップの他、Code4Lib JAPAN 主催・共催・後援・協力等のイベントの際に使用した。また、機材の有効活用を図る ため、他団体等の要望に応じてパソコンの貸出を行った(1 台 5,000 円/1 日)。 目的: 研修事業で行うワークショップを全国各地で円滑に開催できるよう、パソコン及びネット ワーク回線等の実習環境を整備する。 内容: ワークショップの当初計画とコアメンバーによる検討に基づき、必要な諸機材の調達を計 画した。これら機材は、2010 年 9 月より順次購入し、 月 25 日、 日に開催した第 1 回ワー 9 26 クショップより使用を開始した。 成果: 本機材は主としてワークショップで使用したが、各回の実習内容に対してパソコンのスペ ック等は十分なものであった。また、搬送用ケースを用意したことで、機材の整理や宅配便 による機材の搬送等もスムースに行うことができた。 5 回のワークショップ以外でも、 計 以 下のイベント等で機材を使用することにより、機材の有効活用を図った。 Code4Lib 主催・共催・後援・協力イベントでの使用: ・図書館総合展フォーラム「Code4Lib JAPAN Meeting & Exhibits 2010」(2010/11/24) ・Code4Lib 参加報告会&Code4Lib JAPAN Camp 2011 (2011/03/05-07) ・ディジタル図書館ワークショップ:Code4Lib JAPAN スペシャルパネル「システムライブ ラリアンの要請と養成」(2011/03/10) ・saveMLAK 緊急討議「東日本大震災 被災支援と MLAK-いまわたしたちにできること は」(2011/04/23) ・saveMLAK「うきうき Wiki 祭り」第1回〜第4回(2010/04/24, 04/30, 05/18, 06/09) その他団体への機材の貸出: ・NPO 法人横浜コミュニティデザイン・ラボ (2011/02/15, 2/28) 延べ 13 台、39,000 円(税 込) ・(任)テレワークセンター横浜 8
  • 9. 課題: 運用当初は、Windows Update やウイルスバスターのウイルスパターンファイルの更新等、 パソコンのメンテナンスをワークショップ等の開催の都度行う等、セットアップに延べ 2 時 間以上を要していたが、専任事務局員やアルバイトによるメンテナンスの実施により解消 した。 ネットワーク接続環境として e-mobile(Pocket Wi-Fi) 2 回線を準備し、ワークショップ等で 使用したが、回線の輻輳等により満足な接続環境を受講者に提供できない状況が幾度か発 生した。これに対しては、WiMax 等、より高速な回線の使用や 30 人弱の会場における安定し た無線接続手法について調査研究を行う等、費用対効果と実運用の可否を重視しつつ対応 を検討したい。 9
  • 10. 事業名:運営事業(諸費) 担当者名:藤田方江 事業費:202,386 円 概要: 運営事業のための会議を行う会場費や交通費、印刷費を支出した。会議としては主に Code4Lib JAPAN 発足式典である Lift Off や、2011 年 1 月に内部の運営会議&合宿を開催し た。 目的: Code4Lib JAPAN が今後も運営を続けていくための足がかりとなる活動をはじめ、ある程度 の予測される課題を事前に解決できるよう準備する。 運営会議を通じてコアメンバーの意識統一と問題意識共有を図り、円滑な運営のために 種々の課題を解決する。 内容: 普段は主にメーリングリスト上での情報共有が主ではあるが、やはり今後の方針等、大事な ことを決断するためには顔を合わせて話しあうことが必要である。 成果: 運営会議の結果、事務局として専任の事務局員が必要だという結果にまとまり、事務局員を 置くことを決定した。 2010 年度末までの間に法人化することは、図書館振興財団からの助成金額が希望額を下回 った結果、初期の活動計画を一部見直したことや、これまでの研修事業の進み具合も考慮し て見送られたが、事務局員を置くことで、これまで滞っていた運営面での懸念が解消されれ ば、法人化も困難ではないとの判断に至った。 また、人手があるときに同時に機材のアップデート等も行い、効率的に作業を進めることが できた。 課題: 必ずコアメンバーが全員揃う日、というのがなかなか設定しづらいので、前もって計画的に 会議の頻度等を定め、なるべく多くの出席があるように務める必要がある。 10
  • 11. 法人化について Code4Lib JAPAN 設立の折、この活動を持続可能なものとするために「法人化」の検討を加え ていた。 スキルを身につけるための体験学習としてのワークショッププログラムの実施、 ICT 図書館総合展におけるフォーラム等のイベントの実施、合宿等を通じ、法人化の手法につい て検討しているが、現在のところ具体的な法人化には至っていない。 この理由は、主として図書館振興財団からの助成金額が希望額を下回った結果、初期の活動 計画を一部見直したため、また研修事業の進捗を考慮したためである。 Code4Lib JAPAN の活動における参加形態は、以下のように多様性を持っている。 1. 図書館サービスに ICT を活用することに対して関心を持っている人たち 2. Code4Lib JAPAN のワークショップやイベントへの参加者 3. Code4Lib JAPAN の活動を支援するサポーター(個人)とスポンサー(団体) 4. 事業の実施を確実にするための事務局 5. 設立に集ったコアメンバー それぞれの目的や役割を考えると、必ずしも法人化が最適解ではない。むしろ多様な参加形 態に対して、法人化の必要なものと法人化の必要が必ずしもないものとに分けて検討する 必要がある。 この一年間の活動を通じ、Code4Lib JAPAN の法人化を急がず、むしろ活動を通して最適解 として必要性が認められる範囲について法人化を検討するものとする。 事務局の業務委託 Code4Lib JAPAN では、運営の要となる事務局機能を、アカデミック・リソース・ガイド株 式会社に依頼した。同社では、Code4Lib JAPAN の事務を担う業務契約を別途締結し、主とし てこの活動の事務作業を行なうことができた。これは、コアメンバー各自がそれぞれの業務 を持っている中で、Code4Lib JAPAN の活動に割ける時間に制約があるため、運営の要とし ての事務局員を採用できたことは、とても大きな力となった。 法人化へのこれからの取り組み Code4Lib JAPAN の活動は、当団体のためだけのものではなく、より大きく、日本の図書館、 引いては図書館をとりまく社会の発展のために寄与することができる。さらに法人化の手 続きを踏むことで、当団体が非営利的な活動であるのに対し、十分に営利追求も可能となる 参加者のためのコミュニティとしての「Code4Lib JAPAN という名のネットワーク」 事務 と、 局の発展形としての「社会起業化(営利活動としての組織)」の二分化によって、より持続 可能な活動ができることから、事務局長および事務局員を中心に法人化の準備に取り組ん でいる。 11
  • 12. 研修事業概要 目標: 2011 年 6 月までに、合計 100 人にワークショップに参加いただき、図書館における ICT 活用 を促進するだけでなく、 を活用しようとする図書館員や関係者間の情報交換や相談が気 ICT 軽にできるコミュニティー形成を目指す。 2011 年 6 月末までに実施したワークショップ一覧と参加者数  ・第 1 回ワークショップ(2010 年 9 月 24 日~25 日;山中湖情報創造館)/ 3 名  ・第 2 回ワークショップ(2010 年 10 月 24 日;筑波大学春日エリア)/ 18 名  ・第 3 回ワークショップ(2010 年 12 月 12 日~13 日;あわら温泉 まつや千千)/ 26 名  ・第 5 回ワークショップ(2011 年 3 月 19 日;関西学院大学大阪梅田キャンパス)/ 28 名  ・第 4 回*1 ワークショップ(2011 年 6 月 14 日;潮来市立図書館)/ 16 名 *1:第 4 回ワークショップについては、 月 14 日の開催を予定していたが、 3 東日本大震災の 影響により延期した結果、第 5 回ワークショップと順番が前後している。 全 5 回のワークショップの参加者の総数は 91 名と、数値目標として掲げた 100 名には到達 しなかった。しかし、研修事業全体としては、 月 5 日から 3 日間開催したテクニカル Camp 3 の参加者(15 名)も含めて考えると参加者数としては 106 名を達成したことになる。数値 的な目標よりもワークショップ自体を単なる知識の習得のための場としてではなく、参加 者同士が教えあったり、普段の仕事では知り合うことができない図書館で働く者同士のコ ミュニティーをつくる場としてうまく機能していたといえる。これは、ワークショップ後に 実施しているアンケートにおいても、実習内容は難しかったが、満足している、というコメ ントが大多数であったことからもうかがえる。 12
  • 13. 事業名:Code4Lib JAPAN 第 1 回 ワークショップ 開催テーマ:「図書館からはじめるデジタルアーカイブ」 開催地:山梨県山中湖村・山中湖情報創造館 講師:丸山高弘、小野永貴、林賢紀 実施日:2010 年 9 月 24 日(金)~25 日(土) 参加者数:3 名 事業費:95,303 円 目的: 公共図書館における、デジタル写真によるアーカイブづくりに必要な知識と技術を学び、実 際にインターネット上のサービスである Flickr(フリッカー)を用いたアーカイブづくり の実践を体験的に学習する。地域資料のデジタル化はもとより、図書館の日々の活動を記録 しアーカイブすることの大切さを学ぶ。 内容: ・ワークシートを用いた進行 自己紹介から最終的なアーカイブづくりまでを、書き込み式の「ワークシート」を用いて実 施。「自己紹介シート」 ( 「参加理由を分析」 「この2日間のゴール」 「デジタルアーカイブのテ ーマ」) ・レクチャー「山中湖情報創造館の事例発表」 山中湖情報創造館の指定管理者である、NPO 法人地域資料デジタル化研究会におけるデジ タルアーカイブづくりの事例から、山中湖情報創造館における図書館としてのデジタルア ーカイブづくりの取り組みを講義。また、Flickr を使うことの長所と短所についても学んだ。 ・Flickr(フリッカー)実習  アカウントの取得から最初の一枚のアップロードまでを実習。さらに Flickr を使っている 事例を、 「The Commons」や米国図書館協会(ALA)や米国の図書館における活用事例を確 認しあう。 ・写真撮影実習  山中湖情報創造館の館内および周辺屋外に出て、写真撮影を実習する。 ・今回のワークショップで、どのようなアーカイブをつくるかをまとめる。 ・情報の組織化手法について、リチャード・ワーマンの情報の組織化手法を学ぶとともに、 「The BIG6」を用いてアーカイブづくりの基本的な企画を立案し、撮影した写真を元にアー カイブづくりに取り組む。 成果: Code4Lib JAPAN の最初のワークショップであり、参加人数も少なかったが体験的に学ぶこ とができた。参加者が使用したサービス Flickr は無料版としてであったが、その後、各自で有 料版にアップグレードし、アーカイブづくりを継続している。図書館サービスとして「公式」 なものとして扱われるには至っていないが、低予算ですぐに始められるデジタルアーカイ 13
  • 14. ブ手法として有効である。 課題:(参加者を確保すること) 第 1 回目のワークショップを実施したが、参加者が 3 名はあまりにも少なかった。 考えられる反省点としては、  1. 告知が十分ではなかった(特に山梨県内での告知が不十分だった)  2. 開催地サイドで他のイベントとの連続開催を企画したため、本ワークショップの 参加者にとっては好ましくない日程での開催となった等が考えられる。 14
  • 15. 事業名:Code4Lib JAPAN 第 2 回ワークショップ 開催テーマ:「ウェブのログファイルを読む・解析する」 開催地:茨城県つくば市・筑波大学春日エリア 講師:江草由佳、小野永貴、阪口哲男、高久雅生、林賢紀 実施日:2010 年 10 月 24 日(日)10:30~16:30 事業費:136,063 円 参加者数:18 名 目的: ウェブサイトのログファイルの内容を正しく知ることによって、非来館型サービスの充実 強化を目標とする。図書館のウェブサイトへのアクセスを「来館者」ととらえ、ログファイル の分析等から正しい来館者数を把握するための方法を学び、自館に持ち帰って実サービス への反映を可能とすることを目指す。 内容: 午前はログファイルの内容を理解するための基礎知識を解説する講義編とし、午後はそれ を踏まえて、実際のウェブサイトのログファイルをサンプルとして、その内容の読み方や解 析ツールの使い方を実習した。 ・午前:講義編「ウェブサイトのログファイルとその概要」 ウェブサイトのログファイルを読み、理解するために必要な IP アドレスやウェブの通信プ ロトコル等の基本的な知識について阪口からの講義を行った。 ・午後:実習編 講師陣が普段管理しているウェブサイトの実際のログをサンプルとして受講者に配布し、 無償で利用可能なログビューワーソフトや解析ツールを実際に用いる実習を高久による解 説を交えながら実施した。 最後に講義編と実習編を通しての質疑や議論を行い、受講者それぞれの事例等も交えなが ら受講者者と講師で活発な意見交換がなされた。 成果: すべての受講者が演習中に実際のウェブサイトのログファイルの閲覧と解析を体感するこ とができた。事後のアンケートによると、ログファイルについて断片的ではなくまとめて学 ぶことにより、理解が深まる等、受講者の満足度も高かった。 事後アンケートの結果は次の通りである。(18 名中 18 名回答) ・満足した: 15(83%) ・やや満足した: 3(17%) ・やや不満である: 0(0%) ・不満である: 0(0%) 15
  • 16. 事業名:Code4Lib JAPAN 第 3 回ワークショップ 開催テーマ:「API は怖くない!−RSS から API まで便利な仕組みを使い倒そう」 開催地:福井県あわら市・あわら温泉 まつや千千 講師:江草由佳、高久雅生、岡本真 実施日:2010 年 12 月 12 日(日)13:00~12 月 13 日(月)12:00 事業費:309,290 円 参加者数:26 名 目的: RSS/API の仕組みを理解し、サービスをつくることを目標とし、ワークショップ開催後に、 自館に持ち帰って実サービスで運用可能にすることを目指す。 内容: 1 名 1 分間のライトニングトーク形式での自己紹介をし、相互の問題意識を共有した。次に 、 API についての高久からの講義を行った。RSS 読み込みモジュールを使用して、十数行のコ ードを HTML に追加するだけで、RSS からの情報を HTML 埋め込む演習、Yahoo! Pipes を 使って、アイコンを追加したり、つなげたりするだけで、レファレンス協同データベースの API データを RSS へ変換する演習を行った。 夜には、旅館の一室に集まって、図書館サービスやシステムについて、日頃疑問に思ってい ることなど語りあい親睦を深めた。 2 日目は、チームにわかれてグループ討議をおこない、チームごとの発表と、講師と参加者の 一員でもあった大向一輝氏(国立情報学研究所)からの講評を行った。 成果: すべての受講者が演習中に RSS や API を活用して実際に動くサービスを構築できた。ワー クショップ終了直後の 2010 年 12 月 15 日には、ワークショップでの成果を生かして、福井 県立図書館のウェブサイトで「最近のレファレンス事例」 が、 *1 また京都府立図書館のウェ ブサイト内で「京都府立図書館が登録した最新事例」*2(レファレンス協同データベースの API と Yahoo! pipes、RSS 読み込みモジュールを使って作成)が受講者の手によって公開 された。ワークショップ開催後も参加者メーリングリストを活用したことで、参考書につい ての情報交換や、持ちかえって試した際にうまくいかなかった点について相談したりなど のコミュニティー形成という点でも成果があった。ワークショップ後の満足度アンケート 結果は次の通り(26 名中 23 名回答)。  ・満足した: 19(83%)  ・やや満足した: 4(17%)  ・やや不満である: 0(0%)  ・不満である: 0(0%) 16
  • 18. 事業名:Code4Lib JAPAN 第 4 回ワークショップ 開催テーマ:「新着雑誌記事速報を作ってみよう!-RSS を活用した図書館サービス作成 講座」 開催地:茨城県潮来市・潮来市立図書館 講師:笹沼崇、牧野雄二、船見康之 実施日:2011 年 6 月 13 日(月)10:00~17:00  ※ 2011 年 3 月 14 日(月)に開催予定だったが東日本大震災のため延期 事業費:69,691 円  ※潮来市立図書館より会場、プロジェクター、スクリーン、ノートパソコンをご提供いた だきき、会場設営、駅と会場間の送迎、昼食手配等もご協力いただいた。 受講者数:16 名 目的: 1. 国立国会図書館や富士山マガジンサービスの配信する雑誌記事情報を利用し、自館所蔵 雑誌の新着雑誌記事速報システムをその場で構築する。 2. ワークショップで構築した成果物を公開する方法について検討する。 内容: ・イントロダクション:笹沼、船見  最初に避難経路の確認を行い、延期から再開に至る経緯を説明。続いて、今回のワークシ ョップの目標について概説。参加型の研修なので、積極的に声を掛けて欲しいと説き、講師、 参加者全員による 1 分間での自己紹介を実施。 ・レクチャー:牧野「RSS について学ぼう」  RSS とは何なのかを解説し、RSS リーダーで何ができるのかを紹介。続いて RSS の中身 を解説し、フィードの種類やマークアップ言語について説明。 ・レクチャー:講義(牧野)「RSS リーダーを活用したサービス開発」  昼食後、新着雑誌記事速報システムの機能、仕組みについて解説。サンプルを元に、全員で 3 タイトルを登録する簡単な実習を行った。 ・演習:全員  実際に参加者が持参したリストに基づき、各自の所属館の新着雑誌記事速報を作成した。 ・レクチャー:牧野「新着雑誌記事速報の応用」  新着雑誌記事速報システムのカスタマイズ方法、サーバーでの公開方法について解説。 ・ディスカッション:全員「今日の成果を自館で公開するには」  各館に持ち帰り公開するのにあたって、どのような問題があるのかを検討。潮来市立図書 館長より、起案の仕方に関するアドバイスをいただいた他、こうした仕掛けは図書館サーバ ー以外の場所に置いても有効であり、公式サイトからのリンクが許されなかったとしても Google で検索できれば見てもらえるといった話が出た。 18
  • 19. 成果: 自館に持ち帰り、引き続き、受け入れタイトルを登録することで、そのまま公開できる仕掛 けを各自構築することができた。個別サポートも継続的にメールで実施した結果、 月 30 日 6 に茨城県筑西市立図書館が、7 月 24 日に潮来市立図書館が同システムを公開している。 事後のアンケート結果は次の通り。 ・満足した:9 名(60%) ・やや満足した:6 名(40%) ・やや不満である:0 名(0%) ・不満である:0 名(0%) なお、参加者が自由に歩き回りやすい会場レイアウトに加え、会場付近に食事を取れる場所 がなかったため弁当を手配し、会場内で全員が一緒に昼食をとったことと、演習中にゆうき 図書館スタッフの手作りお菓子を振る舞い、ティータイムを催したことなどで、参加者相互 の交流も図ることができた。 課題: パソコンやウェブに関する前提知識を問わず参加者を募集した結果、ワークショップでの 質問内容のレベルも多岐に渡った。このように参加者のスキルが多岐に渡るワークショッ プの際には、レベルの異なる質問・相談に迅速に対応すべく講師以外にアシスタントの人 数をある程度揃える必要があるかもしれない。参加者間の相互ヘルプで乗り切ろう、といっ た空気をより醸成することも含め、次回以降対応していきたい。 19
  • 20. 事業名:Code4Lib JAPAN 第 5 回ワークショップ 開催テーマ:「めざせ!図書館発、USTREAM 中継!-基礎から、集客ノウハウまで」 開催地:大阪府大阪市・関西学院大学大阪梅田キャンパス 講師:岡本真、林賢紀 実施日:2011 年 3 月 19 日(土)11:00~18:00 事業費:169,021 円 ※今回は、大学図書館問題研究会兵庫支部主催の関西 3 支部(兵庫、 大阪、京都)新春合同例会として開催したものである。 受講者数:28 名 目的: USTREAM の基本操作を身につけること、また、中継を盛り上げるためのスキルを理解し、 体得することである。 内容: 基本操作についての講義の後、講義で得た知識を実際の場面とほぼ同じ状況にてグループ ごとに演習を行った。USTREAM 中継を番組として企画し、その企画を実行するにあたって 必要な告知、Twitter との連携、視聴者向けフォローアップ等を含めたものである。番組中継 については、 度実施したのち、 1 同じ番組をもう 1 度実施し、 度目の反省を活かせるような 1 構成とした。最後に受講者および講師より、相互に番組の講評や感想等の意見交換を行った 成果: USTREAM による中継のみならず Twitter を活用したフォローアップまで、実運用に近い形 式での実習を通じ、イベント中継のためのノウハウを受講者に説明できたことから、当初の 目標を達成したものと考える。また、大学図書館問題研究会兵庫支部というコミュニティー を基盤としたワークショップではあったが、グループ分けにより受講者相互の交流も図ら れた。事後のアンケートによる満足度も高い。(28 名中 22 名回答) ・満足した:16(73%) ・やや満足した:6(27%) ・やや不満である:0(0%) ・不満である:0(0%) 課題: 「USTREAM 実習」というインターネットが必須、かつ広帯域の回線が必要なワークショッ プであるため、回線の確保に努めたが、会場となった関西学院大学大阪梅田キャンパスでの 使用教室でのみ、持ち込みの e-moblie2 回線では不足であった。参加者の協力を得てようや く接続できる等、実習そのものが困難な状況もあった。これは実際の中継でも起こりえる状 況であり、受講者の参考となった面もあると思われるが、実習に耐えうるネットワーク構築 については再検討の必要がある。 20
  • 21. 事業名:提言事業 担当者名:阪口哲男、小野亘、常川真央、米田渉、江草由佳、高久雅生、林賢紀 実施日(期間):2010 年 10 月~2011 年 6 月 事業費:77,240 円 概要: 図書館の最新情報技術活用促進のための様々な提言を、Code4Lib JAPAN メンバーや外部の 識者を交えて進めている。 図書館コンテンツの幅広い利用のために Web-API が標準的に装備されていくことが必要で、 その第 1 段階として、 「URL の固定化(パーマリンク)の必要性の提言」をまとめ、公表した。 目的: 図書館のコンテンツをインターネット上に提供することは、当たり前になりつつあるが、再 利用、引用を推し進めるためには、URL の固定化(パーマリンク)、すなわち唯一の URL で あることが望まれる。 対象: 公共図書館、大学図書館等、館種を問わないあらゆる図書館 内容: まず、図書館のウェブサイトや図書館システムに関わる様々な会合や会議における議論等 の情報収集を進めた。そして、URL 固定化において必要とされる要件や、注意点を討議し、以 下の 3 つにまとめた。 1. 個々の書誌に対して、その館で永続して持つ書誌 ID(以下、ユニーク ID)を持つように 仕様に定める。 2. ユーザーに見せる URL と内部的 URL を分けられるようにする。 3. プログラミング言語や実装依存の URL や拡張子は利用しないで、シンプルな URL にする。 成果(売上): 提言をまとめ、2011 年 6 月 28 日に Code4Lib JAPAN サイトに公開した。 課題: 実装に至るよう提言を広く広報していくことが必要である。また、様々な館種における実装 上の課題を検討し、把握・解決できるよう支援していくことが次のステップである。 そして、この提言から Web-API 提言に繋げていくことが提言事業の大きな目標である。 21
  • 22. 事業名:Code4Lib 2011 派遣事業 担当者名:高久雅生 実施日:2011 年 2 月 7 日~2011 年 2 月 10 日 開催場所:アメリカ インディアナ州ブルーミントン(インディアナ大学) 事業費:195,673 円 目的: Code4Lib 2011 カンファレンスは毎年北米で開催される、本家 Code4Lib コミュニティー最 大のイベントである。国内の図書館関連分野のエンジニア等を対象として、Code4Lib 2011 カンファレンスへの参加者を公募のうえ選定し、派遣する。先端的人材による対面での交流 を通じて、人材育成と国際交流に資することを目指す。 内容: Code4Lib 2011 カンファレンスの会議参加費、旅費および宿泊費を助成した。 まず、最大2名を対象として派遣することとして公募を行った。4名の応募があり、選定は 2名の外部有識者を加えて行い、厳正な審査の結果、公募申請内容から優秀と認められた1 名(田辺浩介氏・慶應義塾大学、合同会社次世代図書館システム)を選定した。 カンファレンスには派遣者に加えて、Code4Lib JAPAN のコアメンバー4名を含む日本から の参加者計6名が参加した。 成果: 田辺氏は、カンファレンスにおいてライトニングトークで短い時間ながら発表を行い、自身 が開発を進める Enju や NDL サーチのアーキテクチャー、活動を紹介した(*1)。他にも 、 Code4Lib JAPAN コアメンバーの林賢紀(*2)、小野永貴(*3)もライトニングトークを行い、 日本における活動成果の国際的な発信に貢献した。 その他、正規プログラム以外にも、会場となった宿泊所で行われたソーシャルイベントでも 参加者が積極的に交流を進めた。 また、これらカンファレンスの模様は、Twitter 上でも随時積極的に発信(*4)することによ り、国内の非参加者とも共有を図るとともに、帰国後の 3 月 5 日には報告会を東京で開催し、 活動や当地の様子等を報告した。 Ref: [1] "10. NDL Search -- Kosuke Tanabe". http://code4lib.org/conference/2011/lightning [2] "11. Making integrated search system which your choice - primo central index or summon? - Takanori Hayashi". http://code4lib.org/conference/2011/lightning [3] "5. Two Engineering Projects of LIS at Tsukuba in Japan: Project Shizuku and Project Lie (Slides) -- Haruki Ono". http://code4lib.org/conference/2011/lightning [4] "Togetter - Code4Lib 2011 カンファレンス #c4l11jp". http://togetter.com/li/99483 22
  • 23. 事業名:Code4Lib 2011 参加報告会&Camp 担当者名:高久雅生、江草由佳、丸山高広、林賢紀、阪口哲男、小野亘、小野永貴、常川真央、岡 本真 実施日:2011 年 3 月 5 日~2011 年 3 月 7 日 開催場所:東京都港区・南青山会館 事業費:537,920 円 参加者数:15 名(報告会)、6 名(Camp) 目的: Code4Lib 2011 カンファレンス参加者による報告を行い、その経験を国内の図書館関係者で 共有する。また、図書館システムや API を扱ったことのある開発経験者、図書館関連システ ムやツールの開発者が集い、実際に手を動かして相互に助け合いながら、さまざまなツール の開発を進めるとともに交流も深める。 内容: 前半を Code4Lib 2011 カンファレンスの報告会として、カンファレンス参加者(林、江草、 高久、小野(永)、田辺浩介氏(派遣者))が自身の発表内容や会議、交流の模様を報告し た。後半は Camp イベントとし、参加者各人がそれぞれのテーマを持ち寄って、図書館に関 連するシステムやツールを実際に開発した。一部のテーマに関しては参加者間でお互いの 作業内容を相談しながら開発する等、自発的な共同作業も行われた。最終日には、それぞれ が開発したツールやシステムの成果を発表し、成果を共有した。 成果: たった2泊の短い期間ながら、参加者全員がなんらかのツールやシステムを開発した。たと えば、以下のような成果が報告された。 1. JavaScript を通じた OPAC 画面カスタマイズ(OPAC+):たとえば、Google ブックス 書影や Flickr 画像検索とのマッシュアップ、子ども向け画面例カスタマイズ等 2. Solr+Rails による書誌データベースの構築 3. Springer API による画像検索 4. Node.js によるチャット型検索システム 等。その他、Solr や Next-L Enju 等のオープンソースソフトウェアの使い方チュートリアル 文書を作成する等、直接的な開発以外の側面からの成果も得られた。 各人の得意なツールやプログラミング言語等を相互に教えあうことで相互の交流が深まっ た。また、3日間を通じて、Twitter や USTREAM を随時積極活用し、Camp の記録も行った。 -(1日目)http://togetter.com/li/108466 -(2日目)http://togetter.com/li/108841 -(3日目)http://togetter.com/li/108956 Camp の成果については、ライトニングトークを行い、USTREAM で配信し、記録も行った (http://www.ustream.tv/recorded/13099374)。 23
  • 24. 事業名:選定事業 担当者名:岡本真 実施日:2010 年 7 月〜2011 年 6 月 事業費:0 円 ※アカデミック・リソース・ガイド株式会社への受託額に作業費を含むものとする。 概要: 図書館振興財団の助成金が当初希望額に満たなかったため、当初の予定を一部変更し、外部 有識者への報酬を支払ってのヒアリング等をとりやめて実施した。 1 年間をかけて、 約 数年 前にサービス提供が開始された事例も含めて調査し、2011 年 8 月に最初の 10 事例を公表し た。 図書館における ICT 活用を推進するため、優れた前例となっている実践事例をグッドプラ クティスとして選定し、広く紹介することで、ICT 活用に乗り出す図書館を増やしていく。 内容: あらかじめ以下の目安を定め、Code4Lib JAPAN コアメンバー間での意見交換に基づき、選 定を実施した。 1.グッドプラクティスの図書館への導入拡大を促進するため、図書館が提供するサービス を対象とした。このため、原則的に個人や団体は除外。 2.1.にも関連するが、外部ベンダーの機能を利用するサービスも対象とした。他方、図書 館が利用できる外部サービス、たとえばカーリルや Next-L/Enju は除外した。 3.Code4Lib JAPAN コアメンバーが関わるサービスや Code4Lib JAPAN の研修事業の成 果も除外せずに選定。 なお、選定にあたっては、賞の授与という性格の事業ではないため、特に選定先への事前の 打診は行っていない。 2011 年は以下の 10 サービスをグッドプラクティスとして選定した。 ◆1.国立国会図書館 - カレントアウェアネス・ポータル http://current.ndl.go.jp/ 2008 年 2 月のリニューアル以降、定期的に情報を更新し続け、いまや図書館業界にとって速 報性や網羅性の点でなくてはならない存在となっている。また、リニューアルに際しては、 現在海外の公共機関ではデファクトスタンダードになりつつある CMS(コンテンツ・マネ ジメント・システム)である Drupal を日本でも早期に採用した点も評価したい。日本での 認知度や利用率も徐々に上がってきており、図書館業界には珍しい先駆者としての取り組 みである。 24
  • 25. ◆2.ゆうき図書館 - 新着雑誌記事速報 http://lib-yuki.city.yuki.lg.jp/room_ad/sokuhou-blog.html 国立国会図書館の雑誌記事索引の RSS、株式会社富士山マガジンサービスの目次新着情報 「Fujisan RSS」 Google AJAX Feed API を組み合わせた新着雑誌記事速報を提供している。 と 雑誌の永久保存を行う図書館という特性を考慮し、自館に見合ったサービスを提供してい る点、また作成・運用マニュアルの提供等によって同様の取り組みを実施したい図書館を 支援している点を評価する。 ◆3.福井県立図書館 - 最近のレファレンス事例 http://www.library.pref.fukui.jp/reference/reference_top.html#jirei 同館がかねてから国立国会図書館によるレファレンス協同データベース事業に精力的に協 力・貢献し、多数のレファレンス事例を提供している。今回、 Code4Lib JAPAN 主催のワーク ショップにおいて習得した技術を用いて、自館提供データを自館サイトでも閲覧可能な状 態を創り出し、利用者のニーズに応えている点を評価する。 ◆4.東松島市立図書館 - たすけあおう Nippon 東日本大震災ほしい物リスト(Amazon) http://www.amazon.co.jp/wishlist/2PZIMTSXH8VUO 東日本大震災によって亡失した資料類の回復のため、Amazon ほしい物リストを利用した受 援者側のニーズに見合った物資支援マッチングを実現している。すでに被災地で用いられ ている仕組みであるが、その活用に図書館業界の中で最も早く取り組んだ点を評価する。 ◆5.野田市立図書館 - web-OPAC+ http://www.library-noda.jp/OPP0100 OPAC(オンライン蔵書検索システム)に比較的、簡易な作業で自館蔵書以外の外部サイト の情報を表示する仕組みを提供している。多大なコストを要さずに、図書館が判断した利用 者が必要とする情報を提供できる仕組みを実現していることを評価する。 ◆6.国立天文台 - 天文情報センター暦計算室 http://www.nao.ac.jp/koyomi/ Google カレンダーを使用して暦情報を提供し、Google カレンダー利用者が暦を自分のカレ ンダーに取り込めるようにしている。それに際して、カレンダーに入力する項目の記述にも 一定程度の配慮が見られる点を特に評価する。 ◆7.神奈川県立図書館 - レファレンス事例集 http://www.klnet.pref.kanagawa.jp/common/ref_data.htm 国立国会図書館のレファレンス協同データベースから自館提供データを検索できるように している。協同データベース事業への貢献と自館サービスの両立を実現している点を評価 する。 25
  • 26. ◆8.農林水産研究情報総合センター - ALIS WebOPAC OpenSearch 対応と XML 出力イン ターフェース http://library.affrc.go.jp/API/ 自館所蔵の書誌データを API 経由で公開・提供している。国立機関とは言え、決して大規模 な組織ではないにも関わらず、2008 年という早い段階からデータのオープン化を進めてき た先駆者としての役割を特に評価する。 ◆9.国立情報学研究所(NII) - CiNii http://ci.nii.ac.jp/ 数度に渡るリニューアルを経て、日本全国の大学・研究機関はもとより、一般の市民に向け て学術論文検索サービスを提供し、専門知へのアクセスを保障している。特にユーザーイン ターフェースへの徹底したこだわりを持ち、誰にでも使いやすいサービスを実現している 点を評価する。 ◆10.成田市立図書館 - おすすめリスト http://www.library.narita.chiba.jp/news/2009/n-20090627_recommendation.html 2009 年に近年論議が盛んになっていた貸出履歴を用いた資料の推薦(レコメンド)システ ムを提供している。 「図書館の自由」として謳われる利用者の秘密保護に十分に配慮しつつ、 同時に利用者の利便性を高めるという困難な課題に取り組み、一つの答えを出した点を特 に評価する。 課題: 選定対象がグッドプラクティスであることをより広く広報していく必要がある。Code4Lib JAPAN の第 1 期の広報活動の多くは、その存在や目的を伝えるものが主であったが、 2 期 第 以降はグッドプラクティスの紹介にも力を入れていく必要がある。 また、グッドプラクティスの追加を順次行っていくことや、一度選定したグッドプラクティ スが時代の流れ等を理由に有効性を失った場合にどのように対応するか、検討していく必 要がある。 26