SlideShare uma empresa Scribd logo
1 de 27
Baixar para ler offline
1




GAMES FOR LEARNING:
ゲームを用いた学習の事例

             早稲田大学大学院
             福山佑樹
自己紹介
福山佑樹 (Yuki Fukuyama)
【所属】
  早稲田大学大学院人間科学研究科
   博士課程1年
【研究】
 ゲーム×学習に関する研究と実践

 (環境学習ゲーム・組織市民行動ゲームの開発/デジタル
ゲームの教育効果の研究/WSの実施等)
 組織や職場に関する研究

(職場学習と組織市民行動の調査/対話システムの研究)
                         2
ゲーム×学習
3



     最近こんなニュースがありました(日経)
     「坂の上の雲」とボードゲーム

    1897年秋山真之はアメリカで“兵棋演習”に感銘を
    受け日本にも導入した

    ⇒ボードゲームを学習に使用するという考えは
     日本においても100年以上前からあった!
ゲームを学習に利用するメリット
4




    1 .モチベーションの喚起・維持
    2 .全体像の把握や活動プロセスの理解
    3 .安全な環境での体験学習
    4 .重要な学習項目を強調した学習体験
    5 .行為・失敗を通した学習
                   (藤本, 2007)
今回のテーマは…
5



   “Quest to Learn”→学校教育

   “Find the Future”→非正規教育(生涯教育)
とあったので…

           ゲーム×大人の学び
発表の概要
6



    1.ビジネスゲームと学習
    ⇒ビジネスゲームの歴史

    2.ゲームを利用した研究事例
    ⇒“組織市民行動ゲーム” もそドラ
7




         ビジネスゲームとは?

“Development in Business Gaming
 A Review of the Past 40 Year”
Faria et.al
Simulation & Gaming, vol.40 no.4 p464-487,2009
ビジネスゲームとは?
8


    会社経営の模擬演習を行う教育ツール
     日常業務から困難な状況までを想定
    ⇒経営体験による学習(小嶌,2009)

    ⇒コンセプチュアルスキル
     コミュニケーションスキル
     テクニカルスキル
     の訓練などに使用される
ビジネスゲームはなぜ行われるか
9


       304のビジネスゲーム研究をレビュー
    ⇒5つの目的が浮かび上がった


    1.ビジネスゲームを通しての経験
    2.戦略形成
    3.意志決定スキル
    4.ゲームからの学習結果や目標
    5.チームワークの形成
                             Faria, A. J ,2009
ゲーム目的の変遷(順位)
10


               1970s       2000s
     学習成果や目標    1              3
     意志決定       2              4
     チームワーク     3              5
     経験の獲得      4              1
     戦略形成       5              2

     成果重視の学習から経験重視の学習へ!
                       Faria, A. J ,2009
11




 組織市民行動ゲーム
“もそドラ”の開発と実践
研究の概要
12


     職場の多忙化により,従業員が成果の出にくい行動
     に取り組まなくなっている
               ↓ しかし…
     成果に直結しないが、職場を円滑にする行動の重
     要性は古くから指摘されている
              ↓ そこで…
     「組織市民行動」の重要性を学習するためのゲーム
     教材を開発し、評価を行った
組織市民行動(OCB)とは?
13



     ①任意の行動であり
     ②公式の報酬システムによって
      直接、もしくは明確に承認されて
      いるものではなく
     ③集合的に組織の効率を促進するのも
      のである
                  (Organ.1988)
簡単にいうと…
14



     誰もやる必要はないし、
     やってもお金がもらえるわけではない、
     でも、誰か or みんながやると、
     職場が円滑になるような行動
     (ex.新人に仕事を教える/時間を厳守する)
ゲームを用いた理由
15



     OCBは,個人が日常で経験できる行動
     ⇒日常性の高さから重要性や,知識を得づらい

     ゲームのメリットを生かすと…
     ⇒日常から切り離された環境で“全体像を掴み”,
     “重要な箇所を強調した形”で経験しながら学ぶ
     ことが出来る
ゲームがデザインする経験
16

     1.日常にあるOCBをカード化
     →どんな行動がOCBなのか、どんな効果があるのか?

     2.ドラフトゲームというルール
     →現実の有限な時間の中でどんな行動をするのか?

     3.“成果主義”を再現したルール
     →厳しい成果主義の中でどのように行動するのか?

     4.社会的ジレンマ性のあるルール
     →誰もOCBをしないと、会社が倒産し全員が負けになる
     ルール下でどうするのか?
17




組織市民行動ゲームルール
ゲームの流れ~概要~
18




     1.カードを「1枚」取る
     2.時計回りに残りのカード全部を回す
     3.回ってきたカードから「1枚」取る
     4.上記を6回繰り返したらゲーム終了!
勝敗条件
19



            大前提:
       会社の目標が達成されている
              ↓
     未達の場合、倒産=全員GAME OVER

     目標達成の場合:
     「個人成果」がもっとも多い人の勝ち!
ゲームで使用するカード
20
                                         休んでいる

     • 組織市民行動カード                       人の仕事を手伝う

                                        ○○さんは、
     日本版組織市民行動尺度                        休みか・・・
                                       ちょっと手伝おう
     (田中,2008)の項目をカード
     化したもの。会社全体の成果                    全体成果+30%

     に貢献するカード                            自分の成果ー1
                                      裏になっているカード1枚を
                                          表にできる


                         目標に着実に
     • 成果行動カード
                         何はなくとも
     会社の中で、個人の成果を         まずは
                         目標達成だね
     あげるカード。ビジネスパー
     ソンへのヒアリングから作成      個人成果+2
                        静かに処理順カードの
                        順位を自分が1番にする
21




ゲームの結果
結果
22


        参加者はほとんどのOCBを重要であると認識
     ⇒しかし、「援助行動」は負荷が高いと参加者が認識
     されてしまった



     リフレクションシートより
     「組織市民行動は重要だと思うが自己犠牲を
     しすぎるとシンドイ」
結果
23


        「組織市民行動についての知識」を獲得
     ⇒組織市民行動の重要性について日常の仕事とリ
     ンクさせながら振り返った


     リフレクションシートより
     「全体への貢献(組織市民行動)がないと会社が成り
     立たないことが分かったが,自分が日常でそれをで
     きているのかということを考えさせられた」
結果
24


        成果行動と対比しながら組織市民行動について
         考察するリフレクションシートが多かった
     ⇒組織市民行動について,成果行動との対比の中
     で学ぶことが出来た

     リフレクションシートより
     「成果をあげるTop Playerは尐数で良い,他の
     人は平均的にそこそこの成果をあげつつ全体
     を助けるような協力行動をする(ことが会社に
     とって重要である)」
まとめ(経験のデザイン)
25


     OCBの重要性をプレイヤーに認知させる
     →ゲーム内でOCBが重要になるような設計
     OCBに関する知識をプレイヤーに与える
     →学術的な裏付けのあるカード内容/現実と照らし
     合わせて納得感のあるルール作り
     現実世界とのリンクを意識させる
     →リフレクション活動の充実/ルール作り
反省点/課題
26


     個人的な価値観にもっと目を向ける
     →OCBを重視して“負けた”参加者に何らかの形で報いる
         ようなルール(ex.感謝のことば)

        よりゲームの生きる場所での実施
     →公募で集めた人ではなく、あるコミュニティでの実施

        “大人”の価値変容は難しいことを意識する
     →より没入できる経験のデザイン
     →リフレクションの充実
Outro(ゲームで何が解決出来るの?)
27


        “いろいろ研修やってるんだけど、今ひとつ腹落ちし
         ないんだよねぇ…”
     →“経験”を通じた学び

        “やりがいがないといって新人がすぐに辞めちゃうん
         だよね、面白くなるのはこれからなのに…”
     →ゲーミフィケーションによる“楽しさ”の付与

        “飲み会でみんなで集まってもなんか話すことない
         んだよねぇ”
     →ゲームによる“共通経験”の作成

Mais conteúdo relacionado

Mais procurados

Design base recruit_book_ver1.4 (1)
Design  base recruit_book_ver1.4 (1)Design  base recruit_book_ver1.4 (1)
Design base recruit_book_ver1.4 (1)DESIGNBASE1
 
ゲーミフィケーション
ゲーミフィケーションゲーミフィケーション
ゲーミフィケーションRyuji Enoki
 
経営シミュレーションゲーム型研修「屋台屋本舗」
経営シミュレーションゲーム型研修「屋台屋本舗」経営シミュレーションゲーム型研修「屋台屋本舗」
経営シミュレーションゲーム型研修「屋台屋本舗」Jun Chiba
 
砂漠からの脱出ゲームオンライン
砂漠からの脱出ゲームオンライン砂漠からの脱出ゲームオンライン
砂漠からの脱出ゲームオンラインJun Chiba
 
野球のポジション当てゲーム オンライン
野球のポジション当てゲーム オンライン野球のポジション当てゲーム オンライン
野球のポジション当てゲーム オンラインJun Chiba
 
NASAゲームオンライン
NASAゲームオンラインNASAゲームオンライン
NASAゲームオンラインJun Chiba
 
野球のポジション当てゲームオンライン
野球のポジション当てゲームオンライン野球のポジション当てゲームオンライン
野球のポジション当てゲームオンラインJun Chiba
 
企業向け 謎解きゲーム 「汚れた企画書の謎」
企業向け 謎解きゲーム 「汚れた企画書の謎」企業向け 謎解きゲーム 「汚れた企画書の謎」
企業向け 謎解きゲーム 「汚れた企画書の謎」Jun Chiba
 
謎解き会社経営オンライン 説明資料
謎解き会社経営オンライン 説明資料謎解き会社経営オンライン 説明資料
謎解き会社経営オンライン 説明資料Jun Chiba
 

Mais procurados (11)

Design base recruit_book_ver1.4 (1)
Design  base recruit_book_ver1.4 (1)Design  base recruit_book_ver1.4 (1)
Design base recruit_book_ver1.4 (1)
 
ゲーミフィケーション
ゲーミフィケーションゲーミフィケーション
ゲーミフィケーション
 
経営シミュレーションゲーム型研修「屋台屋本舗」
経営シミュレーションゲーム型研修「屋台屋本舗」経営シミュレーションゲーム型研修「屋台屋本舗」
経営シミュレーションゲーム型研修「屋台屋本舗」
 
砂漠からの脱出ゲームオンライン
砂漠からの脱出ゲームオンライン砂漠からの脱出ゲームオンライン
砂漠からの脱出ゲームオンライン
 
野球のポジション当てゲーム オンライン
野球のポジション当てゲーム オンライン野球のポジション当てゲーム オンライン
野球のポジション当てゲーム オンライン
 
NASAゲームオンライン
NASAゲームオンラインNASAゲームオンライン
NASAゲームオンライン
 
Algo battle
Algo battleAlgo battle
Algo battle
 
20111026 bg finance
20111026 bg finance20111026 bg finance
20111026 bg finance
 
野球のポジション当てゲームオンライン
野球のポジション当てゲームオンライン野球のポジション当てゲームオンライン
野球のポジション当てゲームオンライン
 
企業向け 謎解きゲーム 「汚れた企画書の謎」
企業向け 謎解きゲーム 「汚れた企画書の謎」企業向け 謎解きゲーム 「汚れた企画書の謎」
企業向け 謎解きゲーム 「汚れた企画書の謎」
 
謎解き会社経営オンライン 説明資料
謎解き会社経営オンライン 説明資料謎解き会社経営オンライン 説明資料
謎解き会社経営オンライン 説明資料
 

Semelhante a Games for learning_fukuyama

Beyonds social layer(1)
Beyonds social layer(1) Beyonds social layer(1)
Beyonds social layer(1) Kohei Kumazawa
 
ゲーミフィケーション
ゲーミフィケーションゲーミフィケーション
ゲーミフィケーションRyuji Enoki
 
市民活動のこんなこと・こんなひと
市民活動のこんなこと・こんなひと市民活動のこんなこと・こんなひと
市民活動のこんなこと・こんなひと翔太郎 秋山
 
埼玉工業大学 2011年秋学期 ボランティアの研究 第9回 新しいボランティア論・社会と組織
埼玉工業大学 2011年秋学期 ボランティアの研究 第9回 新しいボランティア論・社会と組織埼玉工業大学 2011年秋学期 ボランティアの研究 第9回 新しいボランティア論・社会と組織
埼玉工業大学 2011年秋学期 ボランティアの研究 第9回 新しいボランティア論・社会と組織Yoshihiko Suko (Ph.D) / BADO! Inc. of CEO
 
120913【横浜市受託事業】就職フェア事前説明会用
120913【横浜市受託事業】就職フェア事前説明会用120913【横浜市受託事業】就職フェア事前説明会用
120913【横浜市受託事業】就職フェア事前説明会用謙次 野村
 
パラダイス振り返り:Game×Learning×job20110615
パラダイス振り返り:Game×Learning×job20110615パラダイス振り返り:Game×Learning×job20110615
パラダイス振り返り:Game×Learning×job20110615kojitakahashi
 
197x 2nd Lt Up
197x 2nd Lt Up197x 2nd Lt Up
197x 2nd Lt Upatsuizo
 
2011 0707taikenkai fukuyama
2011 0707taikenkai fukuyama2011 0707taikenkai fukuyama
2011 0707taikenkai fukuyamaYuki Fukuyama
 
事業を生み出すコミュニティの実践手法
事業を生み出すコミュニティの実践手法事業を生み出すコミュニティの実践手法
事業を生み出すコミュニティの実践手法Takuji Hiroishi
 
労働環境セミナービットグルーヴ様スライド
労働環境セミナービットグルーヴ様スライド労働環境セミナービットグルーヴ様スライド
労働環境セミナービットグルーヴ様スライドKiyoko Kawanaka
 
常識を疑え ゲームの企画書に望まれるものと期待されるもの (HDIfes#3 2014-6-21)
常識を疑え ゲームの企画書に望まれるものと期待されるもの (HDIfes#3 2014-6-21)常識を疑え ゲームの企画書に望まれるものと期待されるもの (HDIfes#3 2014-6-21)
常識を疑え ゲームの企画書に望まれるものと期待されるもの (HDIfes#3 2014-6-21)uehara1974
 
社内SNSと巻き込み力
社内SNSと巻き込み力社内SNSと巻き込み力
社内SNSと巻き込み力八木橋 パチ
 
分科会D:NPO法人DNA 代表 沼田翔二朗氏
分科会D:NPO法人DNA 代表 沼田翔二朗氏分科会D:NPO法人DNA 代表 沼田翔二朗氏
分科会D:NPO法人DNA 代表 沼田翔二朗氏crfactory
 
Gamification ws part3_for_share
Gamification ws part3_for_shareGamification ws part3_for_share
Gamification ws part3_for_shareYuki Fukuyama
 
Lt「5分で分かる!e xtremeprogramming」.ppt
Lt「5分で分かる!e xtremeprogramming」.pptLt「5分で分かる!e xtremeprogramming」.ppt
Lt「5分で分かる!e xtremeprogramming」.ppttakepu
 
2012就職活動すすめかた【配布資料】
2012就職活動すすめかた【配布資料】2012就職活動すすめかた【配布資料】
2012就職活動すすめかた【配布資料】URANO HEIYA
 
ソーシャルゲームコンサル
ソーシャルゲームコンサルソーシャルゲームコンサル
ソーシャルゲームコンサルTakumi Kawamori
 
パソナテックのAI人材育成の取り組みのご紹介
パソナテックのAI人材育成の取り組みのご紹介パソナテックのAI人材育成の取り組みのご紹介
パソナテックのAI人材育成の取り組みのご紹介Natsutani Minoru
 

Semelhante a Games for learning_fukuyama (20)

2011jahrd fukuyama
2011jahrd fukuyama2011jahrd fukuyama
2011jahrd fukuyama
 
Beyonds social layer(1)
Beyonds social layer(1) Beyonds social layer(1)
Beyonds social layer(1)
 
ゲーミフィケーション
ゲーミフィケーションゲーミフィケーション
ゲーミフィケーション
 
市民活動のこんなこと・こんなひと
市民活動のこんなこと・こんなひと市民活動のこんなこと・こんなひと
市民活動のこんなこと・こんなひと
 
埼玉工業大学 2011年秋学期 ボランティアの研究 第9回 新しいボランティア論・社会と組織
埼玉工業大学 2011年秋学期 ボランティアの研究 第9回 新しいボランティア論・社会と組織埼玉工業大学 2011年秋学期 ボランティアの研究 第9回 新しいボランティア論・社会と組織
埼玉工業大学 2011年秋学期 ボランティアの研究 第9回 新しいボランティア論・社会と組織
 
120913【横浜市受託事業】就職フェア事前説明会用
120913【横浜市受託事業】就職フェア事前説明会用120913【横浜市受託事業】就職フェア事前説明会用
120913【横浜市受託事業】就職フェア事前説明会用
 
パラダイス振り返り:Game×Learning×job20110615
パラダイス振り返り:Game×Learning×job20110615パラダイス振り返り:Game×Learning×job20110615
パラダイス振り返り:Game×Learning×job20110615
 
197x 2nd Lt Up
197x 2nd Lt Up197x 2nd Lt Up
197x 2nd Lt Up
 
2011 0707taikenkai fukuyama
2011 0707taikenkai fukuyama2011 0707taikenkai fukuyama
2011 0707taikenkai fukuyama
 
事業を生み出すコミュニティの実践手法
事業を生み出すコミュニティの実践手法事業を生み出すコミュニティの実践手法
事業を生み出すコミュニティの実践手法
 
労働環境セミナービットグルーヴ様スライド
労働環境セミナービットグルーヴ様スライド労働環境セミナービットグルーヴ様スライド
労働環境セミナービットグルーヴ様スライド
 
常識を疑え ゲームの企画書に望まれるものと期待されるもの (HDIfes#3 2014-6-21)
常識を疑え ゲームの企画書に望まれるものと期待されるもの (HDIfes#3 2014-6-21)常識を疑え ゲームの企画書に望まれるものと期待されるもの (HDIfes#3 2014-6-21)
常識を疑え ゲームの企画書に望まれるものと期待されるもの (HDIfes#3 2014-6-21)
 
社内SNSと巻き込み力
社内SNSと巻き込み力社内SNSと巻き込み力
社内SNSと巻き込み力
 
分科会D:NPO法人DNA 代表 沼田翔二朗氏
分科会D:NPO法人DNA 代表 沼田翔二朗氏分科会D:NPO法人DNA 代表 沼田翔二朗氏
分科会D:NPO法人DNA 代表 沼田翔二朗氏
 
Gamification ws part3_for_share
Gamification ws part3_for_shareGamification ws part3_for_share
Gamification ws part3_for_share
 
Lt「5分で分かる!e xtremeprogramming」.ppt
Lt「5分で分かる!e xtremeprogramming」.pptLt「5分で分かる!e xtremeprogramming」.ppt
Lt「5分で分かる!e xtremeprogramming」.ppt
 
2012就職活動すすめかた【配布資料】
2012就職活動すすめかた【配布資料】2012就職活動すすめかた【配布資料】
2012就職活動すすめかた【配布資料】
 
ソーシャルゲームコンサル
ソーシャルゲームコンサルソーシャルゲームコンサル
ソーシャルゲームコンサル
 
OCBgame for_share
OCBgame for_shareOCBgame for_share
OCBgame for_share
 
パソナテックのAI人材育成の取り組みのご紹介
パソナテックのAI人材育成の取り組みのご紹介パソナテックのAI人材育成の取り組みのご紹介
パソナテックのAI人材育成の取り組みのご紹介
 

Games for learning_fukuyama

  • 1. 1 GAMES FOR LEARNING: ゲームを用いた学習の事例 早稲田大学大学院 福山佑樹
  • 2. 自己紹介 福山佑樹 (Yuki Fukuyama) 【所属】 早稲田大学大学院人間科学研究科 博士課程1年 【研究】  ゲーム×学習に関する研究と実践 (環境学習ゲーム・組織市民行動ゲームの開発/デジタル ゲームの教育効果の研究/WSの実施等)  組織や職場に関する研究 (職場学習と組織市民行動の調査/対話システムの研究) 2
  • 3. ゲーム×学習 3  最近こんなニュースがありました(日経)  「坂の上の雲」とボードゲーム 1897年秋山真之はアメリカで“兵棋演習”に感銘を 受け日本にも導入した ⇒ボードゲームを学習に使用するという考えは 日本においても100年以上前からあった!
  • 4. ゲームを学習に利用するメリット 4 1 .モチベーションの喚起・維持 2 .全体像の把握や活動プロセスの理解 3 .安全な環境での体験学習 4 .重要な学習項目を強調した学習体験 5 .行為・失敗を通した学習 (藤本, 2007)
  • 5. 今回のテーマは… 5  “Quest to Learn”→学校教育  “Find the Future”→非正規教育(生涯教育) とあったので… ゲーム×大人の学び
  • 6. 発表の概要 6 1.ビジネスゲームと学習 ⇒ビジネスゲームの歴史 2.ゲームを利用した研究事例 ⇒“組織市民行動ゲーム” もそドラ
  • 7. 7 ビジネスゲームとは? “Development in Business Gaming A Review of the Past 40 Year” Faria et.al Simulation & Gaming, vol.40 no.4 p464-487,2009
  • 8. ビジネスゲームとは? 8 会社経営の模擬演習を行う教育ツール 日常業務から困難な状況までを想定 ⇒経営体験による学習(小嶌,2009) ⇒コンセプチュアルスキル コミュニケーションスキル テクニカルスキル の訓練などに使用される
  • 9. ビジネスゲームはなぜ行われるか 9  304のビジネスゲーム研究をレビュー ⇒5つの目的が浮かび上がった 1.ビジネスゲームを通しての経験 2.戦略形成 3.意志決定スキル 4.ゲームからの学習結果や目標 5.チームワークの形成 Faria, A. J ,2009
  • 10. ゲーム目的の変遷(順位) 10 1970s 2000s 学習成果や目標 1 3 意志決定 2 4 チームワーク 3 5 経験の獲得 4 1 戦略形成 5 2 成果重視の学習から経験重視の学習へ! Faria, A. J ,2009
  • 12. 研究の概要 12 職場の多忙化により,従業員が成果の出にくい行動 に取り組まなくなっている ↓ しかし… 成果に直結しないが、職場を円滑にする行動の重 要性は古くから指摘されている ↓ そこで… 「組織市民行動」の重要性を学習するためのゲーム 教材を開発し、評価を行った
  • 13. 組織市民行動(OCB)とは? 13 ①任意の行動であり ②公式の報酬システムによって 直接、もしくは明確に承認されて いるものではなく ③集合的に組織の効率を促進するのも のである (Organ.1988)
  • 14. 簡単にいうと… 14 誰もやる必要はないし、 やってもお金がもらえるわけではない、 でも、誰か or みんながやると、 職場が円滑になるような行動 (ex.新人に仕事を教える/時間を厳守する)
  • 15. ゲームを用いた理由 15 OCBは,個人が日常で経験できる行動 ⇒日常性の高さから重要性や,知識を得づらい ゲームのメリットを生かすと… ⇒日常から切り離された環境で“全体像を掴み”, “重要な箇所を強調した形”で経験しながら学ぶ ことが出来る
  • 16. ゲームがデザインする経験 16 1.日常にあるOCBをカード化 →どんな行動がOCBなのか、どんな効果があるのか? 2.ドラフトゲームというルール →現実の有限な時間の中でどんな行動をするのか? 3.“成果主義”を再現したルール →厳しい成果主義の中でどのように行動するのか? 4.社会的ジレンマ性のあるルール →誰もOCBをしないと、会社が倒産し全員が負けになる ルール下でどうするのか?
  • 18. ゲームの流れ~概要~ 18 1.カードを「1枚」取る 2.時計回りに残りのカード全部を回す 3.回ってきたカードから「1枚」取る 4.上記を6回繰り返したらゲーム終了!
  • 19. 勝敗条件 19 大前提: 会社の目標が達成されている ↓ 未達の場合、倒産=全員GAME OVER 目標達成の場合: 「個人成果」がもっとも多い人の勝ち!
  • 20. ゲームで使用するカード 20 休んでいる • 組織市民行動カード 人の仕事を手伝う ○○さんは、 日本版組織市民行動尺度 休みか・・・ ちょっと手伝おう (田中,2008)の項目をカード 化したもの。会社全体の成果 全体成果+30% に貢献するカード 自分の成果ー1 裏になっているカード1枚を 表にできる 目標に着実に • 成果行動カード 何はなくとも 会社の中で、個人の成果を まずは 目標達成だね あげるカード。ビジネスパー ソンへのヒアリングから作成 個人成果+2 静かに処理順カードの 順位を自分が1番にする
  • 22. 結果 22  参加者はほとんどのOCBを重要であると認識 ⇒しかし、「援助行動」は負荷が高いと参加者が認識 されてしまった リフレクションシートより 「組織市民行動は重要だと思うが自己犠牲を しすぎるとシンドイ」
  • 23. 結果 23  「組織市民行動についての知識」を獲得 ⇒組織市民行動の重要性について日常の仕事とリ ンクさせながら振り返った リフレクションシートより 「全体への貢献(組織市民行動)がないと会社が成り 立たないことが分かったが,自分が日常でそれをで きているのかということを考えさせられた」
  • 24. 結果 24  成果行動と対比しながら組織市民行動について 考察するリフレクションシートが多かった ⇒組織市民行動について,成果行動との対比の中 で学ぶことが出来た リフレクションシートより 「成果をあげるTop Playerは尐数で良い,他の 人は平均的にそこそこの成果をあげつつ全体 を助けるような協力行動をする(ことが会社に とって重要である)」
  • 25. まとめ(経験のデザイン) 25 OCBの重要性をプレイヤーに認知させる →ゲーム内でOCBが重要になるような設計 OCBに関する知識をプレイヤーに与える →学術的な裏付けのあるカード内容/現実と照らし 合わせて納得感のあるルール作り 現実世界とのリンクを意識させる →リフレクション活動の充実/ルール作り
  • 26. 反省点/課題 26 個人的な価値観にもっと目を向ける →OCBを重視して“負けた”参加者に何らかの形で報いる ようなルール(ex.感謝のことば)  よりゲームの生きる場所での実施 →公募で集めた人ではなく、あるコミュニティでの実施  “大人”の価値変容は難しいことを意識する →より没入できる経験のデザイン →リフレクションの充実
  • 27. Outro(ゲームで何が解決出来るの?) 27  “いろいろ研修やってるんだけど、今ひとつ腹落ちし ないんだよねぇ…” →“経験”を通じた学び  “やりがいがないといって新人がすぐに辞めちゃうん だよね、面白くなるのはこれからなのに…” →ゲーミフィケーションによる“楽しさ”の付与  “飲み会でみんなで集まってもなんか話すことない んだよねぇ” →ゲームによる“共通経験”の作成