イントラプレナーズ会議番外編：冷えたお味噌汁と、散逸構造と、ゆらぎと。

世界のイントラプレナーたちは今、
何を考え、どのように変革を仕掛けているのか
株式会社BIOTOPE 小林泰紘
番外編：冷えたお味噌汁と、散逸構造と、ゆらぎと。
〜ゆらぎを共振させ、新たな秩序を生み出し続ける「自己変革型組織」〜
2017.3.16 @ corporate innovators’ meetup

本日お話ししたいこと
1. 先行き不透明な急激な変化の中で、イノベーション創造は自律性
の高い組織への変革抜きには語れない時代になってきている
2. 組織の免疫システムを乗り越え、組織を巻き込んでいくイントラ
プレナーには「コンテキスト・デザイン力」が求められ、DTやLS
などの手法は事業開発だけでなく組織変革のための技術へと進化
している
3. 芽生えた変化の種を組織全体の変革やケイパビリティとして昇
華・スケールさせていくために、社内外リソースの連携や変革を
媒介するカタリスト型人材が鍵になる（偶然を必然に変える仕組
み）
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おまけ：冷えたお味噌汁について
ゆらぎを共振させ、新たな秩序を生み出し続ける「自己変革型組織」
本資料

3
新たな秩序を生み出し続ける
自己変革型組織とは

散逸構造論（dissipative structure）
• 散逸構造とは、熱力学的に平衡でない状態にある開放系構造を指す。すなわ
ち、エネルギーが散逸していく流れの中に自己組織化のもと発生する、定常
的な構造である。イリヤ・プリゴジンが提唱し、ノーベル化学賞を受賞した。
定常開放系、非平衡開放系とも言う。
• 散逸構造は、岩石のようにそれ自体で安定した自らの構造を保っているよう
な構造とは異なり、例えば潮という運動エネルギーが流れ込むことによって
生じる内海の渦潮のように、一定の入力のあるときにだけその構造が維持さ
れ続けるようなものを指す。
（wikipedia）

5
混沌（無秩序）から秩序が生まれる

6
混沌（無秩序）構造（秩序）→

エントロピー増大の法則
• 世界（宇宙）は、常に「秩序
→混沌」へと向かっている
（時間が経つとどんどん無秩
序になっていく）
非平衡開放なシステム（散逸系）では
混沌の中から自律的に動的な秩序が生まれる（=自己組織化）
散逸構造論
• エネルギーや情報の流れのあるシステ
ムが不安定で平衡から遠い状態になる
と、混沌の中に新しい秩序や構造が生
まれていく（エントロピー増大の法則
の逆の現象）
• 静的な平衡モデルから動的な非平衡モ
デルへと拡張
• 「動的」な秩序化が起こる非平衡開放
系を「散逸系」とよび、散逸系での秩
序形成を「自己組織化」と定義
（平衡系で起きる「静的」な秩序化の
ことを「自己集合」として区別）

自己組織化のもと、ランダム性を持つ自律的なゆらぎと
全体とのフィードバックループの中で突然変異的に新秩序が起こる
• エントロピーはランダムな動きの中で
増大する確率が高いだけで、常に逆行
し秩序を形成するシステムの可能性
（ゆらぎ）がある
• 無秩序と混沌の中に常にある「ゆら
ぎ」が「ポジティブ・フィードバッ
ク」を引き起こした時、「自己組織
化」の過程を通して、混沌から秩序あ
る構造が自発的に生じる
散逸構造論（続き）

9
適応力のある組織は絶えず不均衡状態を保ち、組織内に混沌、緊張、多様
性、迷い、曖昧性、遊び、不規則な変化、不安定性などを発生させている
- 野中郁次郎
星雲や渦、乱流など自然は定常的に渦や乱流やゆらぎを生み出しており、
そこから自己生成的に秩序構造がつくられる
- エピキュロス（ギリシャの自然哲学者）

• 生きている自己組織のシステムの特徴の一つは、構成要素に自主的
なゆらぎ（平均からのずれ）が許されていること（バイオホロニク
ス/清水博）
• 自主的な振る舞いを持った要素をホロン（全体子）というが、ただ
勝手にランダムに揺らぐわけではなく、相互の情報を感じて協調的
に振る舞うという重要な性質を持っている
• このため周りの要素と協調して、自然に秩序を作り出していく自己
組織化の能力を持っている
（野中郁次郎/企業進化論）

• 個には個性があり、自主性を持った行動には多様性・偶然性が付
与される（予定調和・決定論ではない部分を絶えず残している）
• 自律性を高い行動を許すことは、組織が偶然性を取り込む確率を
高める
• ただし、個のゆらぎ（混沌）を組織化する（偶然を必然につなげ
る）ためにはフィードバックシステムを共存させておかなければ
ならない
自己組織化には絶えず「個のゆらぎ」が関与する

イントラプレナーシップへの示唆
新たな秩序を生み出し続けるために：
• 組織を絶えず不均衡（解放）状態にし、積極的に個のゆ
らぎを発生させ、偶然の情報を取り込む可能性を拡大し
ておく（↔︎ 階層構造による効率化）
• 自律的で個性を持つホロンは相互に感じ合うことで協調
的に振る舞うことを促す（透明性）
• ゆらぎは、個と全体との間のフィードバックシステムに
よって淘汰、維持、発展していく（混沌の組織化、偶然
と必然のマネジメント）

変化への対応力を高めたレジリエントな組織づくり
存在意義
MTP
組織全体の求心力を高めていく存
在意義・野心的な未来（Massive
Transformative Purpose）
求心
妄信的な個人の思い・ビジョンを
ベースとした現場からの自律的な
ゆらぎ
自律
内外の集合知や資産を呼び込み、
スピーディな価値共創・リフレー
ムの場づくりとプロトタイプ
共創
現場で起こったゆらぎを組織へ共
振させ、創造的な文化や共感を広
げていく仕掛け
共振
ビジョン

外の力で壊された卵は、命を終えてしまう
もし内から殻を破った時、命が始まる

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