「今日のチューリング賞」はチューリング賞受賞者を簡単に紹介するシリーズです。 今回は、イギリスの計算機科学者であり、EDSACの開発などを通じて
デジタルコンピュータの発展に大きく貢献したことで知られるモーリス・ウィルクスを紹介します。

1. 今日のチューリング賞
14.モーリス・ウィルクス(1967年受賞)

2. コンピュータ・サイエンス分野において、
大きな功績を挙げた人物に対して送られる賞。
1966年開始。
受賞者は一年に一人のみ。
2018年6月現在、52名(組)。
よって、チューリング賞受賞者を知れば
コンピュータの歴史が大体わかる。
チューリング賞とは

3. モーリス・ウィルクス
今日紹介するチューリング賞受賞者
1913-2010
イギリスの計算機科学者
ケンブリッジ大学 所属
1967年チューリング賞受賞

4. 1894ウィーナー
計算機科学の先駆者たち
1880 19201900
※青枠はチューリング賞受賞者
1903ノイマン 1912チューリング 1916シャノン
1906ゲーデル 1913ウィルクス1903チャーチ1791バベッジ

5. デジタルコンピュータ黎明期の
主要な研究者の一人
ウィルクスの主な功績

6. ウィルクス以前のコンピューター(1/3)
1936イギリス:
論文「計算可能性について」
• 仮想機械「チューリング・マシン」
を想定し、機械において計算不可能
な問題を論じた。
1937アメリカ: Model K
• 「デジタルコンピュータの父」
スティピッツが開発した計算機。
※各国で似た開発は秘密裏には存在。
チューリング
スティピッツ

7. ウィルクス以前のコンピューター(2/3)
1943~アメリカ: ENIAC
• 弾道計算を目的とした電子計算機。
• モークリーとエッカートらが開発。
• 原子爆弾の計算にも使われた。
モークリー
エッカート

8. ウィルクス以前のコンピューター(3/3)
1946~アメリカ：EDVAC
• モークリー・エッカートにノイマン
を加えたメンバーで開発。
• プログラム内蔵型の「ノイマン型」
コンピューターの最初の例とされる。 ノイマン

9. ウィルクスの功績①EDSAC
• 1949年、EDVACの影響を受けて
ウィルクスをリーダーに
ケンブリッジ大学で開発された。
• EDVACの実運用が遅れたため、
世界初の実用的なプログラム内蔵
方式の電子計算機となった。

10. ウィルクスの功績②マイクロプログラム方式
• 初期の電子計算機のCPUは、
レジスタの接続や演算装置への計算命令を
とにかく順番に行なっていた。
• マイクロプログラム方式では、
CPUへの命令セットを組み合わせることで、
複雑な処理が簡単に実装可能となる。
※その対価として、遅い
• ウィルクスは「条件付き実行」= if文の概念を
導入し、CPU開発を単純化した。

11. まとめ

12. EDSACの開発などを通じて
デジタルコンピュータの発展に
大きく貢献した。
モーリス・ウィルクスのまとめ