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クチコミの影響⼒と効果測定
埼⽟⼤学 経済経営系⼤学院
加藤拓⺒
マーケティング #10
今回の位置付け
顧客管理と効果測定
戦略と実⾏
価値づくりの考え⽅
調査による客観的な状況把握
#01 マーケティング
#02 ブランドマネジメント
#04 市場調査
#08 ランダム化⽐較試験
#09 感性⼯学
#05 消費者⾏動
#06 回帰分析
#03 ロイヤルティとCRM
#10 クチコミ
#11 戦略と組織能⼒
仮説⽴案 具現化 検証
#07 知覚品質
#12 まとめ
対象のプロセス
コンセプト
検証
ラインナップ戦略 コンセプト
策定
知覚品質検証
価値づくり
市場反応
想定される社会変化・消費者の⽣活変化
を踏まえ,解決すべき問題は何か︖
どんな困っている⼈(実⽤+⼼理)に
どんな価値を提供するのか︖
そのコンセプトは
購⼊意向・⽀払意思額
を⾼めるか︖
コンセプトを⼀貫して,
かつ⾼い知覚品質で具現化できているか︖
消費者はコンセプトを感じ取り,
購⼊⾏動を起こしているか︖
ブランド評価
消費者のロイヤルティ
は⾼まっているか︖
商品・サービスを市場に投⼊した結果,購⼊実績だけでなく,反応を評価する
1. 効果測定の視点
2. クチコミの影響⼒
3. 否定的なクチコミへの対応
4. テレビ広告の効果測定
5. まとめ
アジェンダ
1. 効果測定の視点
2. クチコミの影響⼒
3. 否定的なクチコミへの対応
4. テレビ広告の効果測定
5. まとめ
アジェンダ
オフライン・オンラインのいずれにせよ,「商業的な意図を持たない会話」を指す
クチコミとは何か︖
1: Arndt, J. (1967). Word of mouth advertising: A review of the literature. Advertising Research Foundation.
商業的意図をずに交わされる
商品・サービスに関する
対⾯の⼝頭コミュニケーション1
近年は,インターネット上で交わされる
記述形式のコミュニケーション
をeクチコミ(e-word-of-mouth)と呼ぶ
最も拡散⼒があるEarned Mediaは,消費者主体のため,ブランドの向上にも毀損にもなる
3つのメディア
Paid
Media
Owned
Media
Earned
Media
費⽤を払って利⽤するメディア
他者発信で獲得したメディア企業が保有するメディア
• 企業Webサイト
• 企業公式SNS
• パンフレット
• SNS
• クチコミサイト, 掲⽰板
• インターネット記事
• Web広告
• テレビ広告
クチコミの呼び⽅
• WOM: Word Of Mouth
• CGM: Consumer Generated Media
• UGC: User Generated Contents
• VOC: Voice Of Customer
市場の声は,消費者のクチコミだけでなく,多様なデータソースが利⽤可能
VoCからVoSへ
研究
業界団体
新卒者・転職者シンクタンク
格付会社
メディア
消費者
従業員株主・投資家
TV
従業員
意識調査
サービスレポート
リコール情報
特許
コールセンター
店頭
SNS・ブログ
⼝コミサイト
Youtube市場調査
インターネット記事
新聞
雑誌
投資家ブログ
格付けレポート
株主総会議事録 報告書・⽇報
販売店レポート
転職クチコミ
新卒クチコミ
決算資料
調査
論⽂
書籍
専⾨誌
産業レポート
業界新聞
Voice of
Stakeholder
アナリストレポート
⾦融機関Webサイト
株主通信
有価証券報告書
ニュースレター
Attention Interest Search Action Share
AISAS
• 興味を持った商品は,すぐにインターネットで検索して購⼊⾏動する
• ⾏動は購⼊で終わらず,クチコミをインターネット上で共有する
消費者の⾏動は,購⼊だけでなく,クチコミによる「体験の共有」まで⾏われる
基本的な消費者⾏動モデル
Attention Interest Desire Memory Action
AIDMA
• 認知(Attention)→感情(Interest, Desire, Memory)→⾏動(Action)
• 購⼊⾏動を起こすには,記憶してもらう必要がある
クチコミは,商品・サービスの市場投⼊後の重要な結果指標の1つである
クチコミの位置付け
商品企画の
材料
市場投⼊後
の結果確認
クチコミ
商品を購⼊・経験した消費者の声から
・コンセプトに価値を感じているか︖
・コンセプトは具現化されているか︖
を確認し,重視すべき不満は迅速に改善する
企画の材料として要素を抽出する⽬的が多い.
しかし,クチコミは短⽂で批評されているものである.
件数が多いからと⾔って,その機能を強化すれば
もっと売れるわけではない.
価値を考える作業はマーケターの仕事である.
○
△
コンセプトとその具現化に価値を感じていなければ,継続的にブランドを強化できない
事実としての
数字を評価
コンセプトに価値を
感じているかを評価
購⼊実績 価値
市場投⼊後の2つの評価視点
単純な反復購⼊ ≠ ロイヤルティの⾼さから⽣まれる反復購⼊
• ブランドにこだわりはなく,価格が安いから継続している
• 会社から⾃宅の帰り途中にあるから継続している
• 特に理由はないが,なんとなく継続している
⾒せかけの反復購⼊⾏動
⾏動指標のみ扱うことは危険であり,⾏動・態度の両⾯でロイヤルティを測定すべき
Dick, A. S., & Basu, K. (1994). Customer loyalty: toward an integrated conceptual framework. Journal of the academy of marketing science, 22(2), 99-113.
⾒せかけの
ロイヤルティ
真の
ロイヤルティ
多
­ 潜在的ロイヤルティ少
反
復
購
⼊
低 ⾼
好意的態度
反復購⼊ができない
制約の理解が重要
新しい商品・サービスが普及していく過程では,5つの異なる集団の意思決定を経る
Rogers, E. M. (2003). Diffusion of innovations. 5, Free Press.
イノベーションの普及過程
(1)新しいものを誰よりも早く使うことに執念を持ち,最初期段階で冒険的に採⽤する
(2)新しいものを思慮深く判断して初期段階で採⽤し,意⾒を発信して周囲に影響を与える
(3)普及率が半数を超える前に,品質と価格が成熟したことを確認して採⽤する
(4)多数派が採⽤したことを確認し,周囲の圧⼒を受けながら慎重に採⽤する
(5) 最も保守的であり,広く普及した後に,確実に良いことがわかったうえで採⽤する
(1)
Innovators
2.5%
(2)
Early
Adopters
13.5%
(3)
Early
Majority
34%
(4)
Late
Majority
34%
(5)
Laggards
16%
MarketShare
「アーリーアダプターの意⾒」と「アーリーマジョリティの受け⽌め⽅」の理解が重要
Moore, G. A., McKenna, R. (1999). Crossing the Chasm: Marketing and Selling High-Tech Products to Mainstream Customers. HarperPB.
キャズムを超える
Innovators
2.5%
Early
Adopters
13.5%
Early
Majority
34%
Late
Majority
34%
Laggards
16%
MarketShare
Chasm
新しい商品が普及するには,アーリーマジョリティが採⽤することが必要である.
しかし,アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間には,性質が⼤きく異
なる深い溝(キャズム)が存在し,多くの商品はこのキャズムを超えられずに消える.
(キャズムを超えなかった例︓セグウェイ,3Dテレビなど)
「アーリーアダプターの意⾒」と「アーリーマジョリティの受け⽌め⽅」の理解が重要
インフルエンサーのクチコミ
Early
Adopters
13.5%
Early
Majority
34%
MarketShare
Chasm
• アーリーアダプターは,商品の普及への影響⼒を持つインフルエンサーに
該当し,そのクチコミを把握することが極めて重要
• また,アーリーマジョリティがそれらのクチコミをどのように捉えている
かも併せて理解する必要がある
クチコミ
新しい商品・サービスは,過剰な期待が幻滅された後に,徐々に成熟して安定していく
Gartner. ハイプ・サイクル. https://www.gartner.com/jp/research/methodologies/gartner-hype-cycle
ハイプサイクル
新しい技術やサービスが時間の経過ととも進化する過程を視覚的に説明
クチコミは,企業のあらゆる部⾨に関係し,適切なフィードバック・対策の体制が必要
クチコミのユースケース
クチコミ
マーケティング
R&D
品質
プロモーション
販売
カスタマーケア
⽣産
⼈事
法務
不満の抽出,コンセプト⾔及率の確認,ブランド毀損リスク検知
開発へのフィードバック,他社⽐較
品質問題の早期検知
プロモーション効果測定,メディア評価
顧客クレームの販売店へのフィードバック
不満・不備に対するマニュアル更新,誤った情報を流布する顧客への対応
需要予測の精度向上による⽣産計画最適化
新卒・中採の⼊社・退社理由の把握
偽情報の検知と対策,訴訟リスクの検知, 他社事例の収集
映像紹介
1. 効果測定の視点
2. クチコミの影響⼒
3. 否定的なクチコミへの対応
4. テレビ広告の効果測定
5. まとめ
アジェンダ
増加し続けるクチコミの量
クチコミの発信量・受信量は⽇々増え続け,影響⼒を増している
1: Domo. Data Never Sleeps 6.0. https://www.domo.com/learn/data-never-sleeps-6 (2020/4/1アクセス)
2: Facebook. Facebookのミッション. https://about.fb.com/ja/company-info/ (2020/4/1アクセス)
• Googleでは,毎分387万回の検索が実⾏される1
• Twitterでは,毎分47万件ツイートされる1
• Instagramでは,毎分5万枚の写真が投稿される1
• Facebookでは,1⽇1,000億回以上メッセージが送信される2
多額の予算を投⼊した広告よりも,クチコミのほうがはるかに⼤きな影響を持つ
クチコミから広まったブラックサンダー
• 1994年に発売を開始したが,潤沢な宣伝予算がなく,販売チャネルは駄菓⼦屋
に限定されていたため,販売状況は芳しくなかった
• 「低価格の割にボリュームが多い」という特性から⼤学⽣協にチャネルを転換
した結果,京都⼤学で菓⼦部⾨の売上トップになり,かつ「⽣協の⽩⽯さん*」
に取り上げられ,クチコミが広がった
• 取り扱いを停⽌していたコンビニも再度試験販売し,好評を得て全国に拡⼤した
笠井清志. (2011).⼤学⽣協でのヒットが救った. IT mediaビジネス. https://www.itmedia.co.jp/makoto/articles/1102/22/news007.html
ニュートップリーダー. (2013). 『ブラックサンダー』(1994年発売/有楽製菓). http://www.newtopleader.jp/pickup/hit/1563/
*東京農⼯⼤学⽣協の学⽣からの要望に対し,「⼀⾔カード」にユーモアに富んだ回答をする職員で,その反響から書籍化もされた.
Image from:有楽製菓
クチコミの影響⼒は,インターネットが普及する前から理解されている
インターネット普及前から注⽬されるクチコミの影響⼒
1: Martilla, J. A. (1971). Word-of-mouth communication in the industrial adoption process. Journal of Marketing Research, 8(2), 173-178.
2: Arndt, J. (1967). Role of product-related conversations in the diffusion of a new product. Journal of marketing Research, 4(3), 291-295.
3: Bone, P. F. (1995). Word-of-mouth effects on short-term and long-term product judgments. Journal of business research, 32(3), 213-223.
4: Solomon, M. R. (1994). Buying, having and being. London: Prenticle Hall.
• クチコミは影響⼒の⾼さから,過去半世紀にわたって重要性が認識されてきた
• 消費者は,肯定的なクチコミに接するほど,その商品を購⼊する確率が⾼まる1
• 消費者は,商品評価や選択といった詰めの段階ではクチコミに頼る2
• クチコミは,短期的にも,⻑期的にも,ブランドへの態度に影響を与える3
• 特に馴染みのない商品ほど,クチコミの影響⼒は⼤きくなる4
Amazon.comの書籍において,
クチコミの内容が改善されることで,
売り上げに影響を与える1
Yahoo映画サイトのクチコミは,
公開初週にアクセスが最も活発になり,
その量は興⾏収⼊に影響を与える2
⾞のeクチコミは,ブランドイメージ
とブランドの購⼊意向に影響を与える
最も効果的な要因の1つである3
レストランのクチコミサイトにおいて,
専⾨の編集者よりも⼀般の消費者の⽅
がサイトの⼈気に影響⼒がある4
インターネット上のクチコミの影響⼒も,多様な業界で確認されている
1: Chevalier, J. A., Mayzlin, D. (2006). The effect of word of mouth on sales: Online book reviews. Journal of marketing research, 43(3), 345-354.
2: Liu, Y. (2006). Word of mouth for movies: Its dynamics and impact on box office revenue. Journal of marketing, 70(3), 74-89.
3: Jalilvand, M. R., & Samiei, N. (2012). The effect of electronic word of mouth on brand image and purchase intention. Marketing Intelligence & Planning.
4: Zhang, Z., Ye, Q., Law, R., Li, Y. (2010). The impact of e-word-of-mouth on the online popularity of restaurants: A comparison of consumer reviews and editor
reviews. International Journal of Hospitality Management, 29(4), 694-700.
多様な業界で実証されるeクチコミの影響⼒
消費者⾏動への影響
安価な菓⼦に⽐べると低くなるが,効果な⾞ですらクチコミ⾏動の25%は購⼊に影響
76% 74% 71%
0%
20%
40%
60%
80%
関⼼ 欲求 購⼊
菓⼦
58%
47%
42%
0%
20%
40%
60%
80%
関⼼ 欲求 購⼊
PC
49%
35%
25%
0%
20%
40%
60%
関⼼ 欲求 購⼊
⾞
⼭本晶, ⽚平秀貴. (2008). インフルエンサーの発⾒とクチコミの効果--AIDEES モデルの実証分析. マ-ケティングジャ-ナル, 28(1), 4-18.
SNSが普及したことで,世界はますます狭くなっており,クチコミの影響⼒は増すばかり
6⼈介せば誰とでも繋がる
1: Milgram, S. (1967). The small world problem. Psychology today, 2(1), 60-67.
2: Bhagat, S. (2016). Three and a half degrees of separation. February 4, https://research.fb.com/blog/2016/02/three-and-a-half-degrees-of-separation/
3: GREE. GREE(グリー)の始まり. https://corp.gree.net/jp/ja/corporate/origin/ (2020/4/1アクセス)
• Stanley Milgramが1967年に提唱した,「平均して知り合いを6⼈介すると,
世界中の⼈々と繋がることができる」という仮説1
• Facebookがアクティブユーザー約16億⼈を対象に調査した結果,平均して
3.57⼈を介すれば誰とでも繋がっている状態であることを明らかにした2
6次の隔たり(Six Degrees of Separation)
※GREEという社名は,Six De“gree”s of Separationが由来となっている3
SNSが普及したことで,世界はますます狭くなっており,クチコミの影響⼒は増すばかり
ギネス認定されたPPAP
Justin Bieber(@justinbieber). (2016). Twitter. September 28.
PPAPは,ビルボードHot100にランクインした最も短い曲としてギネスに認定1
1: ⽇本経済新聞. (2016). ピコ太郎さん、ギネス認定 1曲の⻑さが最短. 10/29, https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG29H1E_Z21C16A0000000/
「消費者が情報をコントロールする時代の到来」とさえ⾔われるほど,影響⼒が増⼤
Bloom. (2007). HOW AND WHY WE PICKED THE CONSUMER AS AGENCY OF THE YEAR. January 8, https://adage.com/article/news/picked-consumer-agency-year/114153
Grossman, L. (2006). You ̶ Yes, You ̶ Are TIME's Person of the Year. TIME. December 25, http://content.time.com/time/magazine/article/0,9171,1570810,00.html
消費者の影響⼒の増加
2006年にAd AgeがAgency of the Year に”The Consumer”,
TIMEがPerson of the Yearに”You”を選定.
Image from Advertising Age Image from Time
クチコミは消費者の実体験から⽣み出されており,信頼を得やすい
クチコミの信頼性の⾼さ
0%
20%
40%
60%
80%
100%
北⽶ 欧州 アジア・太平洋 中東・アフリカ 中南⽶
知⼈からの推奨 インターネット上の⼝コミ 企業Webサイト 新聞記事 テレビ広告
各国消費者の媒体に対する信頼
Nielsen. (2013). 「広告やブランドメッセージに対する信頼」グローバル調査. https://www.nielsen.com/wp-
content/uploads/sites/3/2019/05/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E7%89%88%E3%83%AC%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88-nielsen-
global-trust-in-advertising-report-september-2013.pdf
価値づくりにおける測定すべき消費者の知覚
購⼊⾏動に対するクチコミの影響⼒から,「推奨意向」という指標が重視されている
認知 消費者が知らないと何も始まらない
「買いたいほどではない」では価値ではない
「安いなら買う」では価値が低い
「1回で⼗分」では利益率が低い
(再購⼊意向・推奨意向)
コンセプトが理由で
なければ再現性が低い
購⼊意向
⽀払意思額
ロイヤルティ
コンセプト
想起率
どの動機を刺激することを狙っているか︖,どの動機から投稿されているか︖
Dichter, E. (1966). How word-of-mouth advertising works. Harvard business review, 44, 147-166.
内容動機
製品関与 経験から得た情報を伝えたい欲求
1
⾃⼰関与 情報を発信することでステー タスを誇⽰したい欲求
2
他者関与 情報を伝えることで相⼿の役に⽴ちたい欲求
3
メッセージ関与
⾃⾝の体験は伴わないが,興味を抱いた広告等の
メッセージを発信したい欲求
4
クチコミの動機
「感動を伝えたい」と消費者が感じる要素は,その商品・サービスにあるか︖
⼭本晶. (2014). キーパーソン・マーケティング: なぜ, あの⼈のクチコミは影響⼒があるのか. 東洋経済新報社.
発信されるカテゴリー・期待されるカテゴリー
1位
2位
3位
発信される
旅⾏
本・雑誌
映画
「感動を伝えたい」
期待される
PC
旅⾏
化粧品
「失敗したくない」
ブランドが制作・発信したコンテンツよりも,消費者が制作したコンテンツの⽅が広まる⼒がある
Coca-Colaの迅速な戦略転換
1: Gourville. J., Fisher, N. (2013). Coca-Cola: Liquid and Linked. Harvard Business School Case 514-024
2: ⼩⻄圭介. (2013). ソーシャル時代の ブランドコミュニティ戦略: つながる, 発信する, 共に創るためのプラットフォーム構築法. ダイヤモンド社.
メディアの多様化が進み,消費者のネットワークが台頭していることを踏まえ,
多様なメディアをリンクさせながら,ブランドメッセージを消費者がコンテンツ化
できるようインターネットに流し,個⼈の情報発信⼒を借りて広めてもらう狙い1,2
Liquid & Linked
マスメディア 多様なメディアメディア
ブランドからの発信 消費者間の拡散浸透
広告表⽰回数(インプレッション) 消費者の発信数(エクスプレッション)指標
ブランドがコンテンツ制作 消費者が⾃らコンテンツ制作コンテンツ
Before After
商品の経験をいかに投稿してもらうかは,メーカーが考慮すべき事項になっている
共有機能の商品への組み込み
1: Aral, S., & Walker, D. (2011). Forget Viral Marketing-Make the Product Itself Viral. Harvard Business Review, 89, 34-35.
商品に「共有」ボタンを加えることで,
クチコミが購⼊に与える影響が4倍になる1
顧客だけでなく,従業員や採⽤候補者であえ,クチコミは⼤きな役割を果たす
⼈材採⽤におけるクチコミ
⽊下達夫. (2019).メルカリが挑む世界中の多様な⼈材が活躍できる組織づくり. Diamond Harvard Business Review. 10⽉号.
私たちは従業員体験(Employee Experience, EX)だけでなく,
採⽤の候補者体験(Candidate Experience:CX) 最⼤化も⽬指している.
⾯接でご縁がなかったとしても,メルカリという会社のファンでい続けて
ほしいという想いと,⾯接のよい経験がクチコミで共有されることで,
採⽤候補者の増加にも直結すると考えている.
メルカリ 執⾏役員CHRO ⽊下達夫⽒
mercari
1. 効果測定の視点
2. クチコミの影響⼒
3. 否定的なクチコミへの対応
4. テレビ広告の効果測定
5. まとめ
アジェンダ
5つ星よりも1つ星
肯定的なクチコミよりも,否定的なクチコミの⽅が影響⼒が⼤きく,対応が必要
1: Chevalier, J. A., & Mayzlin, D. (2006). The effect of word of mouth on sales: Online book reviews. Journal of marketing research, 43(3), 345-354.
Amazon.comの書籍において,
1つ星のレビューの影響は5つ星よりも⼤きい1
否定的なクチコミの拡散
否定的なクチコミは拡散しやすく,かつ着⽬されやすいため,リソースを適切に割くべき
1: Richins, M. L. (1983). Negative word-of-mouth by dissatisfied consumers: A pilot study. Journal of marketing, 47(1), 68-78.
2: Schellekens, G. A., Verlegh, P. W., Smidts, A. (2010). Language abstraction in word of mouth. Journal of Consumer Research, 37(2), 207-223.
3: Desatnick, R. L. (1987). Managing to keep the customer: How to achieve and maintain superior customer service throughout the organization. Jossey-Bass.
4: Ferguson, B. (2006). Black buzz and red ink: the financial impact of negative consumer comments on US airlines. Connected marketing.
5: Williams, M., Buttle, F. (2014). Managing negative word-of-mouth: an exploratory study. Journal of marketing management, 30(13-14), 1423-1447.
• 否定的な⼝コミは,肯定的なクチコミよりも,多くの⼈に伝達されている1
• 新しい商品・サービスに対しては,肯定的なクチコミよりも否定的なクチコミ
に注意を向けやすく,ひどい経験は⼈に伝えたくなる2
• サービスの解約者は,少なくとも9⼈にネガティブな内容伝え,そのうち13%
が20⼈以上に話している3
• ネガティブな⼝コミの発信者は対象ブランドへのロイヤルティが低下し,かつ
受信者は購⼊意向が低下する4
企業は肯定的なクチコミを促進するよりも,
はるかに多くのリソースを否定的なクチコミの管理に費やしている5
例え嘘の否定的なクチコミであっても,消費者は⽇々⽬にしているため,対応が必要
商品・サービスへの不満 偽の情報
価値が期待以下であったり,
品質に不良があった場合の不満
悪意のある虚偽の情報だけでなく,
善意からも拡散された虚偽の情報
否定的なクチコミの分類
商品・サービスの迅速な改善 正しい情報の発信,法的対応
市場に投⼊後の消費者の反応(好評・不評)を⾒ながら,改善を繰り返していく
商品・サービスへの不満 偽の情報
価値が期待以下であったり,
品質に不良があった場合の不満
悪意のある虚偽の情報だけでなく,
善意からも拡散された虚偽の情報
不満への対応
商品・サービスの迅速な改善 正しい情報の発信,法的対応
ブランドマネジメントとは
ブランドは,⾶び道具や突⾶な訴求ではなく,コンセプトの⼀貫した具現化で創造
ブランドマネジメント = コンセプト + ⼀貫した具現化
コンセプト ⼀貫した具現化
実⽤的+⼼理的な問題を解決する
時代によらない価値の定義
定義したコンセプトを
⼀貫して具現化・訴求
Concept
ZMOT
(Zero Moment of Truth)
Webサイトや⼝コミを⾒たとき
FMOT
(First Moment of Truth)
店頭で商品を⾒たとき
SMOT
(Second Moment of Truth)
商品・サービスを利⽤したとき
流⾏
性能・技術
デザイン・UX
本質的な
価値
Who
What
How
どんな困っている⼈に?
どんな価値を︖
どうやって提供するか︖
狙いどころ
ブランドマネジメントは⻑期的な資産構築
確⽴したブランドは,模倣に強く,購⼊⾏動・価格プレミアムに貢献する企業競争⼒に
Ø 経営層はブランド構築が競争優位に貢献するという強い信念が不可⽋
Ø 短期的な利益の減少をも覚悟し,将来に向けた⻑期的な投資を決断
1. ブ ラ ンド マ ネ ジ メ ント は ⻑期的な視座が 不可⽋で ある
Ø ⼈材や情報と同様に,ブランドは貸借対照表に現れない資産
Ø ブランドを定量的に測定することは⾮常に困難 (確⽴した⼿法はない)
Ø ⽬先の利益を優先して,⽬指すブランドに反する決断を⼀度すると,
これまでの投資が無駄になり,挽回にはそれ以上の時間がかかる
2. ブ ラ ンド 資産は 簡単に数値評価で きる もの で は ない
CRMの適切な体制
関係するすべての部⾨に重⼤な不満を共有し,⼀体で改善しなければ価値は変わらない
失敗する企業の傾向
• ⽬的︓有名企業が導⼊した最先端CRMシステムの導⼊
• 課題︓バラバラなデータの統合・可視化
パーソナライズしたプロモーション など
• 体制︓販売部⾨が要件定義,IT部⾨が開発・運⽤
成功する企業の傾向
• ⽬的︓⻑期的に顧客ロイヤリティを築き上げ,利益の改善を図る
• 課題︓顧客のロイヤルティを下げる要因の改善
顧客のロイヤルティを向上する施策の実施
• 体制︓研究開発・マーケティング・販売部⾨を横断し,
商品・サービスを常に改善するプロセス(指標・体制・報酬)を整備
ブランドマネジメントのイメージ
ブランドは「⾶び道具で⼀発逆転」でできるものではなく,「継続的な蓄積」から⽣まれる
「すべての消費者がたった1つの不満もない完璧さ」など存在せず,
コンセプトの完成度を1つ1つ⾼め続ける意思とプロセスが重要
(永遠に到達しない)
⽬指すコンセプト
時間
現在地
ブランドを⾼め続ける
現実の道
技術的制約から
難しい道
ゴール
…
フェーズ1
フェーズ2
品質
この積み重ねた時間の⻑さこそ,
他社の模倣を防ぐ企業競争⼒
レポートクチコミに基づく対応
(価値ある)否定的なクチコミに対し,アップデート・リカバリー・訴求という対応を積み重ねる
企業
収集
除去
分析
商品の
アップデート
訴求
サービス
リカバリー
市場に存在するクチコミのうち,⼤部分はゴミであり,
価値ある情報を抽出し,意思決定に届ける仕組みが不可⽋
コンセプト デザイン ⾛⾏性能 安全性能 快適性能
レポート
過去の類似ケースの対応と結果
コンセプトには共感があるものの,Yの要素の具現化が
不⼗分な部分があり,改善が必要である.
まとめ
事象
■事象は何か︖
YYYY/MM/DDに,はじめて顧客が問題Xに⾔及し,
MM/DDから急速に同様な声が拡散している.
収集したクチコミのレポート例
⼤量のクチコミから,価値ある情報を迅速に抽出する収集・分析の体系化を⾏う
重要度と対象部⾨
★
重要度
緊急度
■重⼤さの程度は︖ ■関係する部⾨はどこか︖
時系列 影響範囲
消費者の声
■消費者はどう受け⽌めているか︖
・コンセプトに共感して購⼊したが,期待外れだった
・⽅向性はいいのに,使ってみたら全然ダメだった...
研究 開発 デザイン 製造
品質
マーケ
ティング
販売 サービス
■どんな推移をしているか︖ ■他の市場の反応は︖
■過去・他社の類似ケースの対応⽅法と結果は︖
■事実と分析結果を踏まえて,どうすべきか︖
失敗後のサービスリカバリー
パラドックスの存在が指摘されるほど,リカバリーは成功すれば効果が⼤きい
1:Maxham III, J. G., Netemeyer, R. G. (2002). Modeling customer perceptions of complaint handling over time: the effects of perceived justice on satisfaction and intent.
Journal of retailing, 78(4), 239-252.
2: De Matos, C. A., Henrique, J. L., Alberto Vargas Rossi, C. (2007). Service recovery paradox: a meta-analysis. Journal of service research, 10(1), 60-77.
• 顧客が知覚するサービスリカバリーの公正性は,企業全体の満⾜に貢献し,
肯定的なクチコミを発⽣させる1
• 効果的なサービスリカバリーを経験した顧客は,失敗を経験しなかった顧客
よりも,結果として⾼い満⾜度を持つ「サービスリカバリーパラドックス」もある2
企業の失敗により,失った顧客の信頼を回復するため,
顧客からの苦情に基づいて,適切かつ迅速な謝罪と対応をすること
サービスリカバリー
失敗なし
失敗あり
購⼊
満⾜
不満⾜ リカバリー 満⾜
>
「プロセス」か「結果」か︖
プロセス軽視のリカバリーは, 消費者の⼼理的価値を下げるため, 両⾯の設計が不可⽋
結果重視
レストランでハンバーガーを注⽂したにもかかわらず,
店員はピザを持ってきたため,あなたは注⽂した
ものと違うことを伝えた.
店員は何も⾔わずピザを下げ,その後厨房から
戻ってくると,ハンバーガーを切らしてしまったといい,
次回無料券を⼿渡してきた.
プロセス重視
レストランでハンバーガーを注⽂したにもかかわらず,
店員はピザを持ってきたため,あなたは注⽂した
ものと違うことを伝えた.
店員は丁寧に謝りピザを下げ,その後店⻑が来て
深く謝罪し,ハンバーガーを切らしてしまったといい,
代わりのものを注⽂してもらえないかと頼んできた.
⽇本⼈消費者は,結果よりもプロセスを重視したサービスリカバリーを⾼く評価する
Q. 以下のレストランの対応をどのくらい肯定的・否定的に感じるか︖
鈴⽊智⼦, ⽵村幸祐, 浜村武. (2018). 結果またはプロセス重視のサービス・リカバリーに対する評価と⾏為同定の関係. 流通研究, 21(1), 67-75..
アップデート vs 完璧の追求
サービスリカバリーだけでなく,技術制約をクリアできた段階でアップデートする取り組み
1: Tesla.運転の未来. https://www.tesla.com/jp/autopilot (2020/4/1アクセス)
主にアメリカのテクノロジー企業 ⽇本の製造業
コンセプトの受容性を確認できたら,
技術的制約から不⼗分であっても,
市場に投⼊し,顧客の反応を⾒つつ,
追いついた技術でアップデート
完璧に開発を仕上げてから世に出す
傾向が強く,開発期間が⻑期化し,
商機を逃すケースが多いとされる
現在販売している⾞は,将来利⽤可能となる完全⾃動運転を提供
できるハードウェアを標準装備しており,ソフトウェアアップデートを通して
継続的に機能が向上するよう設計されている1
Tesla
iPod touchのアップデート
コンセプトの妥当性が確認されれば,その具現化精度をアップデートで⾼めていく
1:⽥⼦學・⽥⼦裕⼦ (2019). 突き抜けるデザインマネジメント. ⽇経BP.
• コンセプトの正当性を細かく刻みながら⽴証するアジャイル型プロセスの例とされる
• 発売時は,カレンダー,Youtube,時計,計算機の4つのアプリケーションのみであった
• その4ヶ⽉後には,メール,マップ,株価,メモ,天気が追加され,発売当初に購⼊
した消費者は,iTunes Storeでアップデートが可能な設計であった
ブランドを⾼め続ける姿勢
ブランドコンセプトをよりよく具現化する⽅法を常に模索し,検証しているか︖
ディズニーランドは永遠に完成しない.
この世界に想像⼒が残っている限り,成⻑し続ける.
Walt Disney
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如何に早く偽の情報を検知し,適切な対応をするか︖
商品・サービスへの不満 偽の情報
価値が期待以下であったり,
品質に不良があった場合の不満
悪意のある虚偽の情報だけでなく,
善意からも拡散された虚偽の情報
偽の情報への対応
商品・サービスの迅速な改善 正しい情報の発信,法的対応
広告収⼊や著名⼈・企業の信⽤失墜を⽬的とした,感情的内容を含む偽情報
フェイクニュースとは
• 嘘
• デマ
• 誤情報
• 偽情報
• 陰謀
• プロパガンダ
• 扇情的ゴシップ
• 偽画像・偽動画
etc
1: 総務省. (2019). 特集︓ 進化するデジタル経済とその先にあるSociety 5.0. 情報通信⽩書. https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/pdf/n1400000.pdf
偽の情報がインターネット上を拡散して
現実世界に負の影響をもたらす現象.
必ずしも偽ではないものも含まれ,
嘘か真実かは主観で変わる可能性もある.1
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フェイクニュースの影響⼒が顕在化した事例であり,企業においても早期検知が重要
フェイクニュースの脅威
1: ⽊内登英. (2019). ⽶⼤統領選挙でのフェイクニュース拡散を検証. NRI, https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2019/fis/kiuchi/0115
2: 前嶋和弘ら. (2019).現代アメリカ政治とメディア.東洋経済新報社.
3: BuzzFeed. (2016).⽶⼤統領選の終盤、Facebook上では偽ニュースが本物を逆転した. https://www.buzzfeed.com/jp/bfjapan/fakenews-facebook
4: Allcott, H., & Gentzkow, M. (2017). Social media and fake news in the 2016 election. Journal of economic perspectives, 31(2), 211-36.
2016年 アメリカ⼤統領選挙
• ケンブリッジ・アナリティカ社は,Facebookで利⽤できる性格診断アプリを利
⽤し,学術⽬的として最⼤8,700万⼈分の個⼈データを収集した.その後,⼤
統領選挙で同社はトランプ陣営に雇われ,取得した情報から有権者の嗜好や政
治的⽅向性を把握て,トランプ候補に有利な情報と対⽴候補のクリントン⽒に
不利な情報(フェイクニュース)を流し,トランプ候補の勝利に貢献した.1
• 「ローマ法王がトランプ⽀持」といった虚偽情報がソーシャルメディアで拡散2
• 主要メディアの選挙ニュースよりも,偽の選挙ニュースの⽅がFacebook上で多
くのエンゲージメントを獲得した3
• 選挙前3ヶ⽉間で,トランプ有利なフェイクニュースは3,000万回,クリントン
不利なフェイクニュースは800万回もシェアされている4
攻撃を⽬的としたクチコミには,実体験以上の悪意のある内容が含まれる可能性
消費者からの報復攻撃
• 消費者は,被った損失と同等になるよう攻撃的なクチコミを発信する1
(customer retaliation, 顧客の報復)
• ブランドにダメージを与えることを強く決意した消費者は,⽐較的少ない労⼒
でブランドに⼤きな混乱をもたらすことが可能である2
(consumer brand sabotage, 消費者のブランド妨害活動)
• 消費者とブランドの関係性が強いほど,関係が終了した後のブランドへの報復
⾏動の可能性が⾼くなる3
(anti-brand actions)
1: Huefner, J., Hunt, H. K. (2000). Consumer retaliation as a response to dissatisfaction. Journal of Consumer Satisfaction, Dissatisfaction and Complaining Behavior, 13,
61-82.
2: Kähr, A., Nyffenegger, B., Krohmer, H., Hoyer, W. D. (2016). When hostile consumers wreak havoc on your brand: The phenomenon of consumer brand sabotage.
Journal of marketing, 80(3), 25-41.
3: Johnson, A. R., Matear, M., Thomson, M. (2011). A coal in the heart: Self-relevance as a post-exit predictor of consumer anti-brand actions. Journal of Consumer
Research, 38(1), 108-125.
消費者視点からも,「やらせ」と認識されると,企業の信⽤を失うリスクが⼤きい
1: ⼩畑徳彦. (2017). ⽶国におけるステルス・マーケティングの規制. 流通科学⼤学論集―流通・経営編, 30(1), 31-55.
ステマのリスク
ステルスマーケティング
• ⾦銭的報酬を受けたインフルエンサーが,その事実を隠した状態で
企業の意図を訴求したり,記事を装って広告を掲載する⾏為
• 記事と同じ体裁をとったネイティブ広告がインターネットで増えて
いるが,広告と理解しにくい場合はステルスマーケティングに該当
• アメリカでは,消費者を誤認させる広告は欺まん的⾏為として,
連邦取引委員会で規制されており,違反した場合は提訴される1
• ⽇本でも,消費者庁が景品表⽰法の不当にあたる例を提⽰している1
ステマの疑惑がかけられた時点で,否定的なクチコミが⼀気に拡散してしまう
1: 福井健策. (2020). 『アナ雪2』も失敗 SNSの「仕込み」「ステマ」はどこまでOK︖. ⽇経XTREND, 1/7, https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/skillup/00009/00082/
2: ⽇本経済新聞. (2012). 「⾷べログ」やらせ投稿、景表法に抵触 消費者庁が指針発表. 5/9, https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0904S_Z00C12A5CR8000/
「アナと雪の⼥王2」のステマ疑惑
アナと雪の⼥王2
広告代理店から依頼を受けたウェブ漫画家が映画を絶賛する漫画を
PR表記なしでツイートした結果,ステマと批判され,漫画家とウォ
ルトディズニー・ジャパンが謝罪するに⾄った1
⾷べログ
好意的なクチコミ投稿を請け負う不正業者に飲⾷事業者が依頼して
いたことが発覚した2
クチコミはあらゆる部⾨に関係する重要情報であり,共有・対策の体制整備が不可⽋
クチコミは販売部⾨だけのものではない
クチコミ
マーケティング
R&D
品質
プロモーション
販売
カスタマーケア
⽣産
⼈事
法務
不満の抽出,コンセプト⾔及率の確認,ブランド毀損リスク検知
開発へのフィードバック,他社⽐較
品質問題の早期検知
プロモーション効果測定,メディア評価
顧客クレームの販売店へのフィードバック
不満・不備に対するマニュアル更新,誤った情報を流布する顧客への対応
需要予測の精度向上による⽣産計画最適化
新卒・中採の⼊社・退社理由の把握
偽情報の検知と対策,訴訟リスクの検知, 他社事例の収集
1. 効果測定の視点
2. クチコミの影響⼒
3. 否定的なクチコミへの対応
4. テレビ広告の効果測定
5. まとめ
アジェンダ
インターネット広告に抜かれたテレビ広告
テレビ広告は1兆8,000億円と依然として⼤きいが,ついにインターネット広告が抜く
株式会社電通. (2020). 2019年⽇本の広告費. https://www.dentsu.co.jp/knowledge/ad_cost/
⽇本における媒体別の広告費推移 (億円)
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
2008年
2009年
2010年
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
2017年
2018年
2019年
広告費(億円)
インターネット テレビメディア 新聞 雑誌 ラジオ
※総広告費︓約7兆円
広告費の多い企業
Toyotaの4,900億円,Sonyの3,855億円,Suntoryの3,801億円が上位3社
1: ⽇経広告研究所. 有⼒企業の広告宣伝費(2018年度). https://www.nikkei-koken.gr.jp/research/research.php?research=0&recno=788
⽇本における広告費ランキング1
順位 企業
広告費
(百万円)
売上⾼に占める
広告費の割合
1 トヨタ⾃動⾞ 490,093 1.62%
2 ソニー 385,500 4.45%
3 サントリーホールディングス 380,118 15.10%
4 ⽇産⾃動⾞ 302,472 2.61%
5 楽天 193,279 17.55%
6 イオン 188,760 2.22%
7 リクルートホールディングス 159,163 6.89%
8 サントリー⾷品インターナショナル 157,163 12.18%
9 セブン&アイ・ホールディングス 134,850 1.99%
10 マツダ 126,230 3.54%
テレビとインターネット
10-20代はインターネットの⽅が⻑い時間触れており,30代はほぼ同程度
平⽇の視聴・利⽤時間(分)1
1: 総務省情報通信政策研究所. (2018).平成29年情報通信メディアの利⽤時間と情報⾏動に関する調査報告書.
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/150/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2019/06/06/1417770-012_2_1.pdf
0
100
200
300
10代 20代 30代 40代 50代 60代 全世代
時間(分)
テレビ(リアルタイム+録画) インターネット
影響⼒低下が指摘されるテレビ広告
テレビ広告の影響⼒低下が指摘される中,Webサイト誘引に効果的な接触回数は︖
1: R&D. (2010).テレビ番組の視聴状況と番組録画について. https://www.rad.co.jp/wp-content/uploads/2014/09/newsrelease110214.pdf
2: Nielsen Co., Ltd. (2013). ニールセン、⽣活者のマルチスクリーン利⽤動向を分析~テレビ視聴中にスマートフォンで⾏われているのはゲームやチャット, 2013/11/12,
http://www.netratings.co.jp/news_release/2013/11/Newsrelease20131112.html
DVDレコーダの広告スキップ機能 セカンドスクリーン視聴
広告スキップ機能が⼀般化 TVをつけながら他のデバイスを利⽤
録画視聴でスキップする⼈1
85%
複数デバイスの同時利⽤経験者2
61%
テレビ
広告
スキップ
“ 消費者は広告を回避する傾向を強めている “ 1
Philip Kotler
消費者の広告回避
娯楽性に乏しく,かつ他の情報閲覧の阻害となるWeb広告は,購買⾏動に寄与するのか︖
1︓Kotler, P. (2008). Foreword. Kellogg on Advertising & Media, pp. vii-viii.
2︓Prendergast, G. P et al. (2014). Predicting handbill avoidance in Hong Kong and the UK. European Journal of Marketing, 48, pp. 132-146.
3︓Schlosser, E., et al.(1999). Survey of Internet usersʼ attitudes toward Internet advertising. Journal of interactive marketing, 13(3), 34-54.
4︓村⽥厚⽣, ⾼橋⾥奈, 森若誠. (2010). 広告表⽰が Web 画⾯での情報探索効率に及ぼす影響. ⼈間⼯学, 46(3), pp. 237-242.
• 広告媒体への懐疑⼼が広告回避に繋がる2
• AISASモデルに代表されるように,能動的に興味・好意を有し,
⾃⾝で情報を求めない限り,購⼊⾏動に移りにくい
• 特にWeb広告は,娯楽性に乏しく,情報閲覧の阻害要因となる
- Web広告は,広告全般と⽐較して好意的に捉えられていない3
- Web広告がない場合と⽐較し,情報取得率は,若年層5%減,⾼齢者は14%減4
映っていても⾒ていない
(1990年代でさえ)テレビ広告が⾒られる割合は視聴率よりも低く,注視される割合はもっと低い
1︓Abernethy, A. M. (1991). Television exposure: Programs vs. advertising. Current Issues and Research in Advertising, 13(1-2), 61-77.
2: Capocasa, A., Denon, L., & Lucchi, R. (1985). Understanding audiences of TV commercial breaks: What people do, how they react, how much they recall. In
European Society for Marketing Research Conference.
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• テレビがついている時間の18%は部屋に誰もいない
• テレビ広告の間には,22%の⼈が他のことをしている1
• テレビ広告の間には, 20%の⼈はザッピングする2
多くの消費者が⼀⻫に触れるテレビ広告の拡散⼒を,認知・購⼊促進に⽣かせるか︖
とは⾔うものの
新商品・サービスの認知を獲得するには,テレビ広告は効果的である
Image from auImage from indeed
⾼額な費⽤がかかるため,いかに効率的に認知を獲得し,購⼊意向を⾼めるか︖
(理解できない説明,商品が記憶に残らない⾯⽩いだけの内容,広告賞受賞,等は⽬的ではない)
価値づくりと広告
価値を⾼め続ける投資によって,クチコミが広がり,おのずと選ばれる状態が理想
予算
価値づくり
広告
⾼い成⻑率の企業 低い成⻑率の企業
主に価値づくりに投資しながら,
明確な⽬的で効率的に広告に投⼊
(広告せずとも消費者に選ばれる状態が最も好ましい)
価値づくりを怠って,
広告での短期的な効果に依存
(いつまでたっても利益率が⾼まらない)
予算
価値づくり
広告
散⾒される悪い広告・コピー
あいまいな
コンセプト
解決したい問題が定まっておらず,困っている消費者の顔がなく,
機能を詰め込んだ商品・サービス
• いい感じの⾔葉による”お化粧”のコピー
ü 表⾯だけ取り繕って聞き⼼地の良い⾔葉を並べる
(例︓洗練, 厳選, 究極, プレミアム, ⾰新, 変化, DNA)
ü 内容がないまま,コピーやクリエイティブに頼ろうとする
• 搭載した機能をひたすら列挙したコピー
ü 機能的価値から脱却できぬまま,機能を羅列
ü 「技術の新しさ」や「機能の多さ」を訴求
巧みにうまい⾔葉で騙せたとしても,再購⼊に繋がらず,ロイヤルティも⾼まらない
価値づくりにおける測定すべき消費者の知覚
消費者⾏動のスタート地点は「認知」であり,知ってもらわないと何も始まらない
認知 消費者が知らないと何も始まらない
「買いたいほどではない」では価値ではない
「安いなら買う」では価値が低い
「1回で⼗分」では利益率が低い
(再購⼊意向・推奨意向)
コンセプトが理由で
なければ再現性が低い
購⼊意向
⽀払意思額
ロイヤルティ
コンセプト
想起率
SmartNewsのコンセプトとテレビ広告1
コンセプトに基づいて制作した複数の広告を,購⼊⾏動への貢献度で検証
クーポンアプリを多数⼊れ,使いにくいと感じている⼦育て家族に,
「ニュースを⾒るついでに今⽇のクーポンを発⾒できる」クーポンチャンネル
• 6種類のテレビ広告を制作し,アプリのダウンロード数を検証
• その結果,最もシンプルにコンセプトを訴求した広告が効果的
• SNSで話題になる⾯⽩い広告は,ダウンロードに繋がりにくいと判明
Image from SmartNews
1: ⻄⼝⼀希. (2019). たった⼀⼈の分析から事業は成⻑する 実践 顧客起点マーケティング. 翔泳社.
依然としてテレビ広告の影響は⼤きいが,費⽤も⼤きいからこそ,繰り返し検証すべき
1:Solomon, M. R. (1994). Buying, having and being. London: Prenticle Hall.
2: Noel, H. (2006). The spacing effect: Enhancing memory for repeated marketing stimuli. Journal of consumer psychology, 16(3), 306-320.
3: Krugman, H. E. (1986). Low recall and high recognition of advertising. Journal of Advertising Research, 26(1), 79-86.
テレビ広告の記憶
• 好きなテレビ番組で広告が流れる⽅が記憶に残りやすい1
• テレビ番組のテーマとテレビ広告のメッセージが⼀致している⽅が
記憶に残りやすい1
• 短期間に繰り返し提⽰するよりも,周期的に間隔をおいて繰り返し
提⽰した⽅が思い出しやすい2
• 複数のコーナーで構成され,注意がそれやすいバラエティ番組よりも,
継続的なストーリーのあるドラマの⽅がテレビ広告の効果が⼤きい3
単純接触効果1
• 提⽰する刺激⾃体は中性的であっても,繰り返し接触することで,
好意を⾼める効果.
• 10回までは効果は上昇し,以降は横ばいになる.
広告の接触回数
消費者の⽣活や広告の状況が変われば変化しうるため,常にあるべき姿を模索すべき
1︓Zajonc, R. B. (1968). Attitudinal effects of mere exposure. Journal of personality and social psychology, 9, pp. 1-27.
2: Krugman, H.E. (1972). Why three exposures may be enough. Journal of Advertising Research, 12, 11-14.
3: Calder, B. J., Sternthal, B. (1980). Television commercial wearout: An information processing view. Journal of Marketing Research, 17(2), 173-186.
Three-Hit Theory2
• 広告が最⼤の効果を与えるのは,3回⽬の接触.
• 1回⽬で商品を認識し,2回⽬で便益を理解し,3回⽬で顧客⾃⾝の
ニーズに合致するかを理解するプロセス
※ただし,過度な広告の露出は,消費者の飽きを招き,効果を失う,あるいは
負の効果となるウェアアウト(wear-out)も指摘されている3
消費者は広告のために努⼒しない
消費者に認知的労⼒を要求するような広告は,接触しても,そもそも効果が乏しい
• 商品・サービスと結びつかないもの
• 有名⼈が⽬⽴つ⼀⽅で,商品名や内容が印象に残らないもの
• 情報量が多すぎたり,内容が難しいもの
• 企業⽬線では当たり前の単語でも,⼀般には理解されない専⾨⽤語を使うもの
• 商品・サービスの内容はわかっても,コンセプトが伝わらないもの
(他の商品・サービスとの違いがわからないもの)
接触効果が⾒込みにくいテレビ広告
1:Jacoby, J., Hoyer, W. D. (1989). The comprehension/miscomprehension of print communication: Selected findings. Journal of Consumer Research, 15(4), 434-443.
※広告等のメッセージのうち,21.4%は誤解され,15.5%は「わからない」状態1
広告評価の視点
広告評価は,主に経営・購⼊⾏動・クリエイティブの3つの視点に分類される
視点 内容
経営への影響 売上や時価総額など経営への直接的な影響をマクロな視点で評価
購⼊⾏動への影響 広告接触による購⼊⾏動への影響をミクロな視点で評価
クリエイティブの内容 購⼊⾏動に寄与する広告のクリエイティブ(印象・)を評価
視点 内容
経営への影響 売上や時価総額など経営への直接的な影響をマクロな視点で評価
購⼊⾏動への影響 広告接触による購⼊⾏動への影響をミクロな視点で評価
クリエイティブの内容 購⼊⾏動に寄与する広告のクリエイティブ(印象・)を評価
広告の費⽤や投下量が経営に与える直接的効果を評価するアプローチ
1: Hirschey, M., Weygandt, J. J. (1985). Amortization policy for advertising and research and development expenditures. Journal of Accounting Research, 326-335.
2:⽵内淑恵. (2010).広告コミュニケーション効果―ホリスティック・アプローチによる実証分析―.千倉書房.
3: 福⽥正彦. (2016). 広告宣伝費がブランド価値に与える影響についての実証研究. 管理会計学:⽇ 本管理会計学会誌: 経営管理のための総合雑誌, 24(1), 65-77.
4: 緒⽅勇. (2005). 株価を基礎としたブランド価値評価モデルの実証研究. 管理会計学:⽇ 本管理会計学会誌: 経営管理のための総合雑誌, 13(1-2), 25-38.
テレビ広告の経営への影響評価
• Fortune 500を対象に,TobinʼQ*に対する広告宣伝費と研究開発費の
影響を評価した結果,両者とも正の影響がある2
• 広告投下量(GRP**)は販売実績に正の影響を与える2
• 200社6年間のデータから,広告宣伝費は貨幣価値に換算した企業価値
に対して正の効果を与える3
• 製造業1,091社38年間の財務データから,広告宣伝費より研究開発費
のほうが無形資産形成に与える影響が⼤きい4
**GRP(Gross Rating Point,延視聴率)は,到達率×平均値接触回数で算出する投下量の指標
視聴率1%の番組に,広告を1回流すと,1GRPとなる
*株式市場で評価された企業価値を資本の再取得価格で割った値
q値が1よりも⼤きいと,企業の保有資本価値よりも市場評価の⽅が⾼い(=過⼤評価, 期待が⼤きい)
視点 内容
経営への影響 売上や時価総額など経営への直接的な影響をマクロな視点で評価
購⼊⾏動への影響 広告接触による購⼊⾏動への影響をミクロな視点で評価
クリエイティブの内容 購⼊⾏動に寄与する広告のクリエイティブ(印象・)を評価
かつては評価が難しいとされていた広告
⽇進⽉歩で進化する技術とデータを活⽤し,効果のある広告に集中する
1: Hoffman, D. L., Novak, T. P. (2000). How to acquire customers on the web. Harvard business review, 78(3), pp. 179-188.
かつては,広告接触と購⼊⾏動が紐付くデータが不⾜していたことから,
広告の効果測定は難しかったが,データに恵まれた現在は⼗分に可能.
I know half the money I spend on advertising is wasted,
but I can never find out which half.1
John Wanamaker
ID紐付きで購⼊⾏動を追跡できるデータが増え,広告の精緻な評価が可能に
オンラインとオフラインで繋がるデータ
検索 購⼊
オンライン
オフライン
○
○
広告
Ad
○
­
○
○
○
×
クチコミ
広告への接触が購⼊⾏動に与える影響
意識や⾏動をID紐付きで蓄積し,消費者の購⼊⾏動に与える影響を評価
1: 鈴⽊元也, ⽣⽥⽬崇. (2013). 消費者の異質性を考慮したテレビ CM 効果の分析. 情報科学研究, 33, 1-19.
2: Liaukonyte, J., Teixeira, T., Wilbur, K. C. (2015). Television advertising and online shopping. Marketing Science, 34(3), 311-330.
3: Joo, M., Wilbur, K. C., Zhu, Y. (2016). Effects of TV advertising on keyword search. International Journal of Research in Marketing, 33(3), 508-523.
4: ⽥中佑典, 倉島健, 藤原靖宏, 岩⽥具治, 澤⽥宏. (2015). 社会的影響と広告の影響とを考慮した購買⾏動モデルに基づく購買要因の推定. 第 8 回 Web とデータベースに関するフォーラム論⽂集,
2015, 197-204.
テレビ広告の購⼊⾏動への影響評価
• 同⼀対象者から意識・⾏動調査をしたシングルソースデータを利⽤し,
テレビ広告が購買意向と購買⾏動に与える影響を評価1
• テレビ広告は,オンラインショッピングに影響を与える2
• テレビ広告は,Web上の検索⾏動(ブランド名称の検索)を促進する3
• テレビの前に設置した専⽤の記録装置で⾳声認識して,テレビ広告の
視聴を⾃動で蓄積して効果測定4
視点 内容
経営への影響 売上や時価総額など経営への直接的な影響をマクロな視点で評価
購⼊⾏動への影響 広告接触による購⼊⾏動への影響をミクロな視点で評価
クリエイティブの内容 購⼊⾏動に寄与する広告のクリエイティブ(印象・)を評価
デザインや内容など多様な観点で,広告効果を⾼めるクリエイティブの要素を評価
テレビ広告のクリエイティブへの⽰唆
1:Pieters, R., Wedel, M. (2004). Attention capture and transfer in advertising: Brand, pictorial, and text-size effects. Journal of Marketing, 68(2), 36-50.
2:Pieters, R., Wedel, M. (2007). Goal control of attention to advertising: The Yarbus implication. Journal of consumer research, 34(2), 224-233.
3: Aaker, D. A., Stayman, D. M. (1990). Measuring audience perceptions of commercials and relating them to ad impact. Journal of Advertising Research. 30(4), 7–17.
4:Escalas, J. E. (1998). Advertising narratives: What are they and how do they work. Representing consumers: Voices, views, and visions, 1, 267-289.
5:Kim, E., Ratneshwar, S., Thorson, E. (2017). Why narrative ads work: An integrated process explanation. Journal of Advertising, 46(2), 283-296.
6:野澤智⾏. (2000). タレント・キャラクターがテレビ CM 認知および評価に及ぼす影響. 広告科学, 40, 93-99.
• 広告の画像はサイズに関係なく注意を引くのに優れ,⽂章はサイズに
⽐例して注意を引きつけ,ブランドは他の要素に注意を引きつける1
• 広告の記憶は,ボディコピー,絵的要素,ブランドへの注意が寄与2
• 情報提供性,おもしろさ,いらだち等の要因が広告の態度を形成する3
• 物語調の広告は,夢中にさせ,信頼性を⾼める4,5
• 有名⼈を広告に起⽤することで,注意を喚起する6
ただし...
マーケター クリエイター
ブリーフィングにて
「何を⾔うか︖」を定義
“What to say”
クリエイティブにて
「どう⾔うか︖」を具現化
“How to say”
マーケターとクリエイターは役割が異なる.
「餅は餅屋」でクリエイティブはプロフェッショナルに委託すべき.
過去のデータからクリエイティブの⽰唆を導いても,過去の延⻑戦でしかない
+ 科学的な効果測定
ブリーフィングがあいまいなまま,広告を制作しても,効果は⾒込めない
企業・商品のコンセプト 広告の対象となる企業・商品のコンセプトは何か︖
広告の⽬的 この広告で何を達成したいのか︖
ターゲット
誰に語りかけるのか︖
その⼈たちは,どんな実⽤的・⼼理的問題を抱えているのか︖
メッセージ
何を伝えるのか︖
なぜそれは伝わるのか︖(根拠)
効果測定と⽬標
どのように効果を測定するのか︖
⽬標は何か︖
ブリーフィングが命
ブリーフィングの⾻⼦
1. 効果測定の視点
2. クチコミの影響⼒
3. 否定的なクチコミへの対応
4. テレビ広告の効果測定
5. まとめ
アジェンダ
まとめ
• 商品・サービスを市場投⼊した後の効果測定は,販売実績だけでなく,
コンセプトとその具現化に価値を感じているかの評価もすべき
• 商品の普及への影響⼒を持つアーリーアダプターがどのように感じ,
どんなクチコミを発信しているかを重要視する
• 広告よりも⾮常に⼤きな影響⼒があるクチコミは,消費者の実体験か
ら⽣み出されているため,共感されやすく,購⼊⾏動を促進する
• 否定的なクチコミに対して,商品・サービスのアップデート,サービ
スリカバリー,コミュニケーション等の適切な対応が重要である
• 市場に存在するクチコミのうち,⼤部分はゴミであり,価値ある情報
を抽出し,意思決定に届ける収集・分析の仕組みと体制が不可⽋
END
https://researchmap.jp/hm_tk

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