SlideShare uma empresa Scribd logo
1 de 10
HASCミーティング2015
角速度センサによる
歩行および階段昇降の識別
2016/01/20 (水)
名田 太河
1/10
滋賀県立大学 工学部 電子システム工学科
ネットワーク情報工学分野
名田 太河
宮城 茂幸 准教授
ライトニングトーク
1. 概要
– 背景
• 加速度を用いた閾値等による
歩行と階段昇降の識別は難しい。
• 脚の角度による識別を行った研究[1]がある。
– 目標
• ポケット内のスマートフォンの角速度センサーにより
歩行と階段昇降時の角度の違いを求め
各状態の識別を行う。
2016/01/20 (水)
名田 太河
2/10
[1] Diaz, E. (2015). Inertial Pocket Navigation System: Unaided 3D Positioning. Sensors, 15(4), 9169.
2. 先行研究
– 歩行時の平均値と比較
– 脚の角度は角速度、加速度センサより推定
• 角速度センサーの積分値ではドリフト誤差が生じる。
2016/01/20 (水)
名田 太河
3/10
図1: 脚の角度による歩行状態の識別結果
Diaz, E. (2015). Inertial Pocket Navigation System: Unaided 3D Positioning. Sensors, 15(4), 9169. から引用
階段上昇 階段下降歩行
3. 前提条件
– 重力加速度と進行方向に垂直な軸を
脚に生じる角速度として利用
• 主に一軸に歩行による角度変動が現れると想定する。
– 歩行状態はバッチ式に識別
• オフセット補正に静止区間が必要なため。
– 動作区間の両端に静止区間を用意
• オフセット補正に静止区間が必要なため。
– 最初の非静止区間は歩行状態に設定
• 識別に歩行状態での平均値が必要なため。
2016/01/20 (水)
名田 太河
4/10
4. 角度の推定
– 角速度センサーの積分値より脚の角度を推定
• ドリフト誤差に対するオフセット補正が必要となる。
2016/01/20 (水)
名田 太河
5/10
図2: 角速度及び角度に対するオフセット補正の適用結果
20160114132737-0-gyro.csv
角速度を
台形積分
↓
静止時に
0に戻らない
角度に対して
オフセット補正
↓
静止時に
0に戻る
4. 角度の推定
– 移動平均によるオフセット補正
• 階段上昇、下降の特徴が失われる。
– 静止時と動作時で補正値を変更
• 静止区間: 移動平均による補正値を適用する。
• 非静止区間: 区間端の補正値から一次関数を求め
一次関数から求まる補正値を適用する。
2016/01/20 (水)
名田 太河
6/10
図3: 本研究で用いるオフセット補正の手法
time
offset
5. 歩行状態の推定
– 先行研究のアルゴリズムを利用
• 歩行開始、終了時の状態は前後の推定を参照した。
2016/01/20 (水)
名田 太河
7/10
図4: ステップ検出の実行結果の一部
20151118142100-0-gyro.csv
端は脚の角度が
小さい
⇩
後続の推定に支障
↓
歩行状態の
平均値に用いない
&
端の推定が不正確
↓
前後の推定を利用
階段上昇階段下降
歩行
6. 評価
– 独自に計測したデータ
• Xperia™ Z3 Compact、Galaxy™ S2 / S3で計測した。
• サンプリングレートはそれぞれ
約200 Hz (Xperia)、約100Hz (Galaxy)となった。
– 評価方法
• 各状態が生じている時間を推定した時間と比較した。
• 12人で測定し時間に基づく推定割合を求めた。
2016/01/20 (水)
名田 太河
8/10
歩行 階段上昇 階段下降
歩行 76.1% 13.7% 10.1%
階段上昇 1.6% 97.7% 0.7%
階段下降 18.2% 4.7% 77.1%
推定割合
状態
表1: 独自に計測したデータに対する推定結果
6. 評価
– HASCコーパス(2012, 2013, 2015, IPSC)
• 装着位置が「waist」の角速度データを用いた。
• 「jog」や「skip」のデータを除外した。
• 「walk」のデータが先頭に来るようにした。
– 評価方法
• ラベルの区間における主状態をラベルと比較した。
2016/01/20 (水)
名田 太河
9/10
静止 歩行 階段上昇 階段下降
静止 91.7% 4.5% 3.0% 0.8%
歩行 7.1% 57.9% 27.4% 7.6%
階段上昇 25.9% 22.2% 45.7% 6.2%
階段下降 27.7% 27.7% 7.2% 37.3%
推定割合(推定時間/ラ ベル付けさ れた時間)
ラ ベル
表2: HASCコーパスに対する推定結果
7. 結論
– 結果
• 独自に計測したデータにおける推定では
各状態において76.1%以上の精度を示した。
• HASCコーパスのデータにおける推定では
階段上昇は45.7%、階段上昇は37.3%と
独自に計測したデータより悪い精度を示した。
– 課題
• 曲がりながら歩行する場合に積分値が大きくずれる。
• 積分値のずれにより強力なオフセット補正がかかる。
• 最大→最小あるいは最小→最大の角度差が小さくなる。
• ステップとして検出されなくなる。
2016/01/20 (水)
名田 太河
10/10

Mais conteúdo relacionado

Mais procurados

深層リカレントニューラルネットワークを用いた日本語述語項構造解析
深層リカレントニューラルネットワークを用いた日本語述語項構造解析深層リカレントニューラルネットワークを用いた日本語述語項構造解析
深層リカレントニューラルネットワークを用いた日本語述語項構造解析Hiroki Ouchi
 
ROSによるロボットソフトウェアの開発
ROSによるロボットソフトウェアの開発ROSによるロボットソフトウェアの開発
ROSによるロボットソフトウェアの開発Yuji Yamauchi
 
正常稼働状態の表現学習に基づく風車異常検知
正常稼働状態の表現学習に基づく風車異常検知正常稼働状態の表現学習に基づく風車異常検知
正常稼働状態の表現学習に基づく風車異常検知pcl-lab
 
SSII2021 [TS1] Visual SLAM ~カメラ幾何の基礎から最近の技術動向まで~
SSII2021 [TS1] Visual SLAM ~カメラ幾何の基礎から最近の技術動向まで~SSII2021 [TS1] Visual SLAM ~カメラ幾何の基礎から最近の技術動向まで~
SSII2021 [TS1] Visual SLAM ~カメラ幾何の基礎から最近の技術動向まで~SSII
 
関東コンピュータビジョン勉強会
関東コンピュータビジョン勉強会関東コンピュータビジョン勉強会
関東コンピュータビジョン勉強会nonane
 
DSIRNLP06 Nested Pitman-Yor Language Model
DSIRNLP06 Nested Pitman-Yor Language ModelDSIRNLP06 Nested Pitman-Yor Language Model
DSIRNLP06 Nested Pitman-Yor Language ModelKei Uchiumi
 
[DL輪読会]Neural Radiance Flow for 4D View Synthesis and Video Processing (NeRF...
[DL輪読会]Neural Radiance Flow for 4D View Synthesis and Video  Processing (NeRF...[DL輪読会]Neural Radiance Flow for 4D View Synthesis and Video  Processing (NeRF...
[DL輪読会]Neural Radiance Flow for 4D View Synthesis and Video Processing (NeRF...Deep Learning JP
 
OCL in Papyrus Introduction
OCL in Papyrus IntroductionOCL in Papyrus Introduction
OCL in Papyrus IntroductionAkira Tanaka
 
論文読んだよ “State Lattice-based Motion Planning for Autonomous On-Road Driving”
論文読んだよ “State Lattice-based Motion Planning for Autonomous On-Road Driving”論文読んだよ “State Lattice-based Motion Planning for Autonomous On-Road Driving”
論文読んだよ “State Lattice-based Motion Planning for Autonomous On-Road Driving”Adachi (OEI)
 
東京工業大学・鈴木良郎との「AI共同研究」や「当ラボへの配属」をご検討頂いている方へ
東京工業大学・鈴木良郎との「AI共同研究」や「当ラボへの配属」をご検討頂いている方へ東京工業大学・鈴木良郎との「AI共同研究」や「当ラボへの配属」をご検討頂いている方へ
東京工業大学・鈴木良郎との「AI共同研究」や「当ラボへの配属」をご検討頂いている方へssuser1bf283
 
時系列分析による異常検知入門
時系列分析による異常検知入門時系列分析による異常検知入門
時系列分析による異常検知入門Yohei Sato
 
makoto shing (stability ai) - image model fine-tuning - wandb_event_230525.pdf
makoto shing (stability ai) - image model fine-tuning - wandb_event_230525.pdfmakoto shing (stability ai) - image model fine-tuning - wandb_event_230525.pdf
makoto shing (stability ai) - image model fine-tuning - wandb_event_230525.pdfAkira Shibata
 
【DL輪読会】Foundation Models for Decision Making: Problems, Methods, and Opportun...
【DL輪読会】Foundation Models for Decision Making: Problems, Methods, and Opportun...【DL輪読会】Foundation Models for Decision Making: Problems, Methods, and Opportun...
【DL輪読会】Foundation Models for Decision Making: Problems, Methods, and Opportun...Deep Learning JP
 
[DL輪読会]NeRF: Representing Scenes as Neural Radiance Fields for View Synthesis
[DL輪読会]NeRF: Representing Scenes as Neural Radiance Fields for View Synthesis[DL輪読会]NeRF: Representing Scenes as Neural Radiance Fields for View Synthesis
[DL輪読会]NeRF: Representing Scenes as Neural Radiance Fields for View SynthesisDeep Learning JP
 
シェーダ体系の話
シェーダ体系の話シェーダ体系の話
シェーダ体系の話fumoto kazuhiro
 
Skip Connection まとめ(Neural Network)
Skip Connection まとめ(Neural Network)Skip Connection まとめ(Neural Network)
Skip Connection まとめ(Neural Network)Yamato OKAMOTO
 
時系列データ分析
時系列データ分析時系列データ分析
時系列データ分析graySpace999
 
Visual-SLAM技術を利用した 果樹園の3次元圃場地図の作成
Visual-SLAM技術を利用した果樹園の3次元圃場地図の作成Visual-SLAM技術を利用した果樹園の3次元圃場地図の作成
Visual-SLAM技術を利用した 果樹園の3次元圃場地図の作成Masahiro Tsukano
 
Go-ICP: グローバル最適(Globally optimal) なICPの解説
Go-ICP: グローバル最適(Globally optimal) なICPの解説Go-ICP: グローバル最適(Globally optimal) なICPの解説
Go-ICP: グローバル最適(Globally optimal) なICPの解説Yusuke Sekikawa
 
関数データ解析の概要とその方法
関数データ解析の概要とその方法関数データ解析の概要とその方法
関数データ解析の概要とその方法Hidetoshi Matsui
 

Mais procurados (20)

深層リカレントニューラルネットワークを用いた日本語述語項構造解析
深層リカレントニューラルネットワークを用いた日本語述語項構造解析深層リカレントニューラルネットワークを用いた日本語述語項構造解析
深層リカレントニューラルネットワークを用いた日本語述語項構造解析
 
ROSによるロボットソフトウェアの開発
ROSによるロボットソフトウェアの開発ROSによるロボットソフトウェアの開発
ROSによるロボットソフトウェアの開発
 
正常稼働状態の表現学習に基づく風車異常検知
正常稼働状態の表現学習に基づく風車異常検知正常稼働状態の表現学習に基づく風車異常検知
正常稼働状態の表現学習に基づく風車異常検知
 
SSII2021 [TS1] Visual SLAM ~カメラ幾何の基礎から最近の技術動向まで~
SSII2021 [TS1] Visual SLAM ~カメラ幾何の基礎から最近の技術動向まで~SSII2021 [TS1] Visual SLAM ~カメラ幾何の基礎から最近の技術動向まで~
SSII2021 [TS1] Visual SLAM ~カメラ幾何の基礎から最近の技術動向まで~
 
関東コンピュータビジョン勉強会
関東コンピュータビジョン勉強会関東コンピュータビジョン勉強会
関東コンピュータビジョン勉強会
 
DSIRNLP06 Nested Pitman-Yor Language Model
DSIRNLP06 Nested Pitman-Yor Language ModelDSIRNLP06 Nested Pitman-Yor Language Model
DSIRNLP06 Nested Pitman-Yor Language Model
 
[DL輪読会]Neural Radiance Flow for 4D View Synthesis and Video Processing (NeRF...
[DL輪読会]Neural Radiance Flow for 4D View Synthesis and Video  Processing (NeRF...[DL輪読会]Neural Radiance Flow for 4D View Synthesis and Video  Processing (NeRF...
[DL輪読会]Neural Radiance Flow for 4D View Synthesis and Video Processing (NeRF...
 
OCL in Papyrus Introduction
OCL in Papyrus IntroductionOCL in Papyrus Introduction
OCL in Papyrus Introduction
 
論文読んだよ “State Lattice-based Motion Planning for Autonomous On-Road Driving”
論文読んだよ “State Lattice-based Motion Planning for Autonomous On-Road Driving”論文読んだよ “State Lattice-based Motion Planning for Autonomous On-Road Driving”
論文読んだよ “State Lattice-based Motion Planning for Autonomous On-Road Driving”
 
東京工業大学・鈴木良郎との「AI共同研究」や「当ラボへの配属」をご検討頂いている方へ
東京工業大学・鈴木良郎との「AI共同研究」や「当ラボへの配属」をご検討頂いている方へ東京工業大学・鈴木良郎との「AI共同研究」や「当ラボへの配属」をご検討頂いている方へ
東京工業大学・鈴木良郎との「AI共同研究」や「当ラボへの配属」をご検討頂いている方へ
 
時系列分析による異常検知入門
時系列分析による異常検知入門時系列分析による異常検知入門
時系列分析による異常検知入門
 
makoto shing (stability ai) - image model fine-tuning - wandb_event_230525.pdf
makoto shing (stability ai) - image model fine-tuning - wandb_event_230525.pdfmakoto shing (stability ai) - image model fine-tuning - wandb_event_230525.pdf
makoto shing (stability ai) - image model fine-tuning - wandb_event_230525.pdf
 
【DL輪読会】Foundation Models for Decision Making: Problems, Methods, and Opportun...
【DL輪読会】Foundation Models for Decision Making: Problems, Methods, and Opportun...【DL輪読会】Foundation Models for Decision Making: Problems, Methods, and Opportun...
【DL輪読会】Foundation Models for Decision Making: Problems, Methods, and Opportun...
 
[DL輪読会]NeRF: Representing Scenes as Neural Radiance Fields for View Synthesis
[DL輪読会]NeRF: Representing Scenes as Neural Radiance Fields for View Synthesis[DL輪読会]NeRF: Representing Scenes as Neural Radiance Fields for View Synthesis
[DL輪読会]NeRF: Representing Scenes as Neural Radiance Fields for View Synthesis
 
シェーダ体系の話
シェーダ体系の話シェーダ体系の話
シェーダ体系の話
 
Skip Connection まとめ(Neural Network)
Skip Connection まとめ(Neural Network)Skip Connection まとめ(Neural Network)
Skip Connection まとめ(Neural Network)
 
時系列データ分析
時系列データ分析時系列データ分析
時系列データ分析
 
Visual-SLAM技術を利用した 果樹園の3次元圃場地図の作成
Visual-SLAM技術を利用した果樹園の3次元圃場地図の作成Visual-SLAM技術を利用した果樹園の3次元圃場地図の作成
Visual-SLAM技術を利用した 果樹園の3次元圃場地図の作成
 
Go-ICP: グローバル最適(Globally optimal) なICPの解説
Go-ICP: グローバル最適(Globally optimal) なICPの解説Go-ICP: グローバル最適(Globally optimal) なICPの解説
Go-ICP: グローバル最適(Globally optimal) なICPの解説
 
関数データ解析の概要とその方法
関数データ解析の概要とその方法関数データ解析の概要とその方法
関数データ解析の概要とその方法
 

Destaque

介護サービス向上のための テキスト分析と センシング実験について
介護サービス向上のためのテキスト分析とセンシング実験について介護サービス向上のためのテキスト分析とセンシング実験について
介護サービス向上のための テキスト分析と センシング実験についてSozo Inoue
 
湘南ミーティングChallenges for Real-time Activity Recognition報告
湘南ミーティングChallenges for Real-time Activity Recognition報告湘南ミーティングChallenges for Real-time Activity Recognition報告
湘南ミーティングChallenges for Real-time Activity Recognition報告Sozo Inoue
 
行動認識用データ収集を通じたデータロガーの開発
行動認識用データ収集を通じたデータロガーの開発行動認識用データ収集を通じたデータロガーの開発
行動認識用データ収集を通じたデータロガーの開発Sozo Inoue
 
Device WebAPI 20160407
Device WebAPI 20160407Device WebAPI 20160407
Device WebAPI 20160407陽平 山口
 
PDRビジネス元年 (と言い出してから半年)
PDRビジネス元年(と言い出してから半年)PDRビジネス元年(と言い出してから半年)
PDRビジネス元年 (と言い出してから半年)Sozo Inoue
 
Senstickを使った姿勢・状態検出
Senstickを使った姿勢・状態検出Senstickを使った姿勢・状態検出
Senstickを使った姿勢・状態検出Ubi NAIST
 
HASC Challenge2010 へのお誘い
HASC Challenge2010 へのお誘いHASC Challenge2010 へのお誘い
HASC Challenge2010 へのお誘いNobuo Kawaguchi
 
UbiComp/ISWC 2015 PDR Challenge proposal
UbiComp/ISWC 2015 PDR Challenge proposalUbiComp/ISWC 2015 PDR Challenge proposal
UbiComp/ISWC 2015 PDR Challenge proposalNobuo Kawaguchi
 
HASCとWekaを使って行動認識
HASCとWekaを使って行動認識HASCとWekaを使って行動認識
HASCとWekaを使って行動認識Yuta Takahashi
 
測って図る:データ駆動型サービス工学の実践
測って図る:データ駆動型サービス工学の実践測って図る:データ駆動型サービス工学の実践
測って図る:データ駆動型サービス工学の実践Kurata Takeshi
 
自然言語処理のためのDeep Learning
自然言語処理のためのDeep Learning自然言語処理のためのDeep Learning
自然言語処理のためのDeep LearningYuta Kikuchi
 

Destaque (12)

介護サービス向上のための テキスト分析と センシング実験について
介護サービス向上のためのテキスト分析とセンシング実験について介護サービス向上のためのテキスト分析とセンシング実験について
介護サービス向上のための テキスト分析と センシング実験について
 
湘南ミーティングChallenges for Real-time Activity Recognition報告
湘南ミーティングChallenges for Real-time Activity Recognition報告湘南ミーティングChallenges for Real-time Activity Recognition報告
湘南ミーティングChallenges for Real-time Activity Recognition報告
 
行動認識用データ収集を通じたデータロガーの開発
行動認識用データ収集を通じたデータロガーの開発行動認識用データ収集を通じたデータロガーの開発
行動認識用データ収集を通じたデータロガーの開発
 
Device WebAPI 20160407
Device WebAPI 20160407Device WebAPI 20160407
Device WebAPI 20160407
 
PDRビジネス元年 (と言い出してから半年)
PDRビジネス元年(と言い出してから半年)PDRビジネス元年(と言い出してから半年)
PDRビジネス元年 (と言い出してから半年)
 
Senstickを使った姿勢・状態検出
Senstickを使った姿勢・状態検出Senstickを使った姿勢・状態検出
Senstickを使った姿勢・状態検出
 
Vespa heritage
Vespa heritageVespa heritage
Vespa heritage
 
HASC Challenge2010 へのお誘い
HASC Challenge2010 へのお誘いHASC Challenge2010 へのお誘い
HASC Challenge2010 へのお誘い
 
UbiComp/ISWC 2015 PDR Challenge proposal
UbiComp/ISWC 2015 PDR Challenge proposalUbiComp/ISWC 2015 PDR Challenge proposal
UbiComp/ISWC 2015 PDR Challenge proposal
 
HASCとWekaを使って行動認識
HASCとWekaを使って行動認識HASCとWekaを使って行動認識
HASCとWekaを使って行動認識
 
測って図る:データ駆動型サービス工学の実践
測って図る:データ駆動型サービス工学の実践測って図る:データ駆動型サービス工学の実践
測って図る:データ駆動型サービス工学の実践
 
自然言語処理のためのDeep Learning
自然言語処理のためのDeep Learning自然言語処理のためのDeep Learning
自然言語処理のためのDeep Learning
 

角速度センサによる 歩行および階段昇降の識別

  • 1. HASCミーティング2015 角速度センサによる 歩行および階段昇降の識別 2016/01/20 (水) 名田 太河 1/10 滋賀県立大学 工学部 電子システム工学科 ネットワーク情報工学分野 名田 太河 宮城 茂幸 准教授 ライトニングトーク
  • 2. 1. 概要 – 背景 • 加速度を用いた閾値等による 歩行と階段昇降の識別は難しい。 • 脚の角度による識別を行った研究[1]がある。 – 目標 • ポケット内のスマートフォンの角速度センサーにより 歩行と階段昇降時の角度の違いを求め 各状態の識別を行う。 2016/01/20 (水) 名田 太河 2/10 [1] Diaz, E. (2015). Inertial Pocket Navigation System: Unaided 3D Positioning. Sensors, 15(4), 9169.
  • 3. 2. 先行研究 – 歩行時の平均値と比較 – 脚の角度は角速度、加速度センサより推定 • 角速度センサーの積分値ではドリフト誤差が生じる。 2016/01/20 (水) 名田 太河 3/10 図1: 脚の角度による歩行状態の識別結果 Diaz, E. (2015). Inertial Pocket Navigation System: Unaided 3D Positioning. Sensors, 15(4), 9169. から引用 階段上昇 階段下降歩行
  • 4. 3. 前提条件 – 重力加速度と進行方向に垂直な軸を 脚に生じる角速度として利用 • 主に一軸に歩行による角度変動が現れると想定する。 – 歩行状態はバッチ式に識別 • オフセット補正に静止区間が必要なため。 – 動作区間の両端に静止区間を用意 • オフセット補正に静止区間が必要なため。 – 最初の非静止区間は歩行状態に設定 • 識別に歩行状態での平均値が必要なため。 2016/01/20 (水) 名田 太河 4/10
  • 5. 4. 角度の推定 – 角速度センサーの積分値より脚の角度を推定 • ドリフト誤差に対するオフセット補正が必要となる。 2016/01/20 (水) 名田 太河 5/10 図2: 角速度及び角度に対するオフセット補正の適用結果 20160114132737-0-gyro.csv 角速度を 台形積分 ↓ 静止時に 0に戻らない 角度に対して オフセット補正 ↓ 静止時に 0に戻る
  • 6. 4. 角度の推定 – 移動平均によるオフセット補正 • 階段上昇、下降の特徴が失われる。 – 静止時と動作時で補正値を変更 • 静止区間: 移動平均による補正値を適用する。 • 非静止区間: 区間端の補正値から一次関数を求め 一次関数から求まる補正値を適用する。 2016/01/20 (水) 名田 太河 6/10 図3: 本研究で用いるオフセット補正の手法 time offset
  • 7. 5. 歩行状態の推定 – 先行研究のアルゴリズムを利用 • 歩行開始、終了時の状態は前後の推定を参照した。 2016/01/20 (水) 名田 太河 7/10 図4: ステップ検出の実行結果の一部 20151118142100-0-gyro.csv 端は脚の角度が 小さい ⇩ 後続の推定に支障 ↓ 歩行状態の 平均値に用いない & 端の推定が不正確 ↓ 前後の推定を利用 階段上昇階段下降 歩行
  • 8. 6. 評価 – 独自に計測したデータ • Xperia™ Z3 Compact、Galaxy™ S2 / S3で計測した。 • サンプリングレートはそれぞれ 約200 Hz (Xperia)、約100Hz (Galaxy)となった。 – 評価方法 • 各状態が生じている時間を推定した時間と比較した。 • 12人で測定し時間に基づく推定割合を求めた。 2016/01/20 (水) 名田 太河 8/10 歩行 階段上昇 階段下降 歩行 76.1% 13.7% 10.1% 階段上昇 1.6% 97.7% 0.7% 階段下降 18.2% 4.7% 77.1% 推定割合 状態 表1: 独自に計測したデータに対する推定結果
  • 9. 6. 評価 – HASCコーパス(2012, 2013, 2015, IPSC) • 装着位置が「waist」の角速度データを用いた。 • 「jog」や「skip」のデータを除外した。 • 「walk」のデータが先頭に来るようにした。 – 評価方法 • ラベルの区間における主状態をラベルと比較した。 2016/01/20 (水) 名田 太河 9/10 静止 歩行 階段上昇 階段下降 静止 91.7% 4.5% 3.0% 0.8% 歩行 7.1% 57.9% 27.4% 7.6% 階段上昇 25.9% 22.2% 45.7% 6.2% 階段下降 27.7% 27.7% 7.2% 37.3% 推定割合(推定時間/ラ ベル付けさ れた時間) ラ ベル 表2: HASCコーパスに対する推定結果
  • 10. 7. 結論 – 結果 • 独自に計測したデータにおける推定では 各状態において76.1%以上の精度を示した。 • HASCコーパスのデータにおける推定では 階段上昇は45.7%、階段上昇は37.3%と 独自に計測したデータより悪い精度を示した。 – 課題 • 曲がりながら歩行する場合に積分値が大きくずれる。 • 積分値のずれにより強力なオフセット補正がかかる。 • 最大→最小あるいは最小→最大の角度差が小さくなる。 • ステップとして検出されなくなる。 2016/01/20 (水) 名田 太河 10/10

Notas do Editor

  1. 滋賀県立大学、工学部、電子システム工学科の学部4年生、名田太河と申します。 本日は、角速度センサによる、歩行および階段昇降の識別について、説明いたします。
  2. まず、本研究について、説明いたします。 歩行および階段昇降の識別が、本研究のテーマとなっておりますが、加速度センサの測定値による識別が困難であるという点が出発点となっております。 一方で、センサから脚の角度を求め、この角度から識別を行った研究があり、本研究では、スマートフォンの角速度センサから脚の角度を求め、歩行および階段昇降の識別を行うことを目標に設定しました。
  3. 本研究の前に、脚の角度による識別を行った先行研究についてご説明します。 図をご覧ください。歩行、階段上昇、歩行、階段下降と変化した場合の脚の角度のプロットになります。 ここで、歩行時の平均より差と最高角度が大きい場合には階段上昇、平均より差が小さく最小角度が大きい場合には階段下降、その他を歩行と推定しています。 したがって、スマートフォンの角速度センサから、脚の角度を求め、脚の角度から一歩における最大角度と最小角度を求める必要があります。 しかし、スマートフォンの角速度センサを積分するだけでは、センサのドリフト誤差により、この図のような角度を得ることはできませんでした。
  4. 本研究での前提条件をご説明します。 まず、状態推定に必要な脚の角度が、重力加速度と進行方向に対して垂直な軸に生じると考え、対象の一軸の測定値より推定を行いました。 また、オフセット補正の方法より、状態推定はバッチ式に適用し、かつデータの両端には静止区間を設けて推定を行いました。 さらに、識別アルゴリズムには歩行状態での平均値が必要なため、最初の非静止区間は歩行状態と想定して推定を行いました。
  5. それでは、実際の推定の流れを説明していきたいと思います。 図において、赤線が脚の角度とみなす角度となりますが、先ほど申しました通り、角速度センサの積分値は、静止状態において0度に戻らず、角度にはズレが生じているため、補正を適用する必要があります。
  6. オフセット補正の手法ですが、単純に移動平均によりドリフト誤差を打ち消した場合、階段上昇や階段下降といった状態における角度差も消えてしまうため、静止時と動作時で補正値を変更することにしました。 下の図のように、静止区間においては、移動平均を用いますが、非静止区間においては、移動平均により求められた非静止区間の両端の補正値から一時関数を求め、一次関数から直線的な補正値を計算して適用しました。
  7. 続いて、求められた角度から最高角度と最小角度を求め、先行研究に沿ったアルゴリズムを適用しました。 図において、赤が歩行、青が階段下降、緑が階段上昇となり、背景が実際の区間、線の色が推定値になりますが、一定の推定が行えていることがわかります。 今回、歩き始めと終わりは、歩幅が小さくなることにより推定に誤りが生じるため、端の状態においては、歩行状態の平均値に用いず、前後の推定を参照するように実装しました。
  8. 次に、評価結果についてご説明します。 今回はまず、複数端末で同時に測定するためのアプリを製作し、それを用いて独自に計測したデータを用いて評価を行いました。 評価基準としては、測定データの一歩一歩の正確な状態を推定結果と比較し、状態の時間に基づいて、各状態の推定割合を求めました。 表から、歩行状態と階段下降は4分の3以上、階段上昇に関しては概ね正確に推定されたことがわかります。
  9. 一方で、HASCコーパスのデータをもとに推定した結果、先ほどより悪化した推定結果が得られました。 データは、前提条件に沿うように修正したものを利用しましたが、測定条件が独自に計測したデータとは異なるものがあったこと、また歩行時に曲がっていた場合のオフセット補正に異常がみられたことから、推定に誤りが多く生じたと考えられました。
  10. 結果として、独自に計測したデータでは各状態で76%以上と良い推定が得られましたが、HASCコーパスのデータでは階段上昇が37%と良い推定は得られませんでした。 課題として、一つは曲がりながらのオフセット補正に追考の余地があると考えられました。 現状では、曲がる際に強力なオフセット補正が適用され、最大から最小方向への角度差、あるいはその逆の差が小さくなり、ステップとして検出されない、静止状態に識別されていると考えられました。