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協同農業普及事業の運営に関する指針
第一 基本的な考え方
第一 基本的な考え方
協同農業普及事業とは?
• 農業改良助長法の規定に基づく
• 都道府県が国と協同して普及指導員を置
く
• 直接農業者に接して農業経営及び農村生
活の改善に関する科学的技術及び知識の
普及指導を行う
主体的に農業経営及び農村生活の
改善に取り組む農業者の育成
農業の持続的な発展及び農村の振興
背景
• 農業は国民の生活を支える食と安心して
暮らせる環境維持に必要不可欠だが…
農業所得の減少
農業従事者の減少と高齢化
農業面積の減少 …etc.
農業の食と環境を支える機能が損なわれかねな
い!
「我が国の食と農林漁業の
再生のための基本方針・行動計
画」
• H23/10月決定
• 今後5年で競争力・体質強化、地域振興に
向けた施策を集中展開
• 東日本大震災からの復旧・復興及び原子
力災害対策への取組も課題
協同農業普及事業では何をする?
• 食糧自給率の向上
• 農業・農村における新たな価値の創出
• 国民に対する安全な食糧の安定供給
普及指導員は何をする?
• スペシャリスト機能
 農業者に対し、地域の特性に応じて農業に関する高度な技術及
び当該技術に関する知識(経営含む)の普及指導を行う
• コーディネート機能
 地域農業について、先進的な役割を担う農業者及び地域内外の
関係機関との連携の下、関係者による将来展望の教諭、課題の
明確化、課題に対応するための方策の策定及び実施等を支援す
る
技術を核として、農業者と消費者等との結びつ
きの構築を含め、地域農業の生産面、流通面等
における革新を総合的に支援する
第二 普及指導活動の基本的な課題
基本となる7つの課題
食糧自給率の向上に向けた戦略作物等の生産に対する支援
麦、大豆、米粉用米、飼料用米 …etc.
需要に応じた生産拡大
生産性の向上
品質の向上
戸別所得補償制度も踏まえて…
需要確保のため、耕畜連携等も支援
農業・農村の六時産業化等による
収益力向上に向けた取組に対する支援
• 地産地消の推進
• 加工、直接販売等による農畜産物等の付
加価値向上
• 地域資源を活用した産業の創出
• 消費者、実需者ニーズに応じた農畜産物
等の供給
• 当該ニーズの創出、生産コストの縮減、
輸出の促進
人と農地の問題の解決に向けた取組に
対する支援
1. 人・農地プラン(地域農業マスタープラ
ン)等の作成の取組に対する支援
2. 家族経営体、集落営農、法人経営、新規
農業者等
農地集積、経営発展等の取組
地域の中心となる
経営体たち
食品の安全性向上に向けた取組に対する支
援
生産現場におけるリスク管理措置の実施
資材の適正な使用の取組に対する支援
農業生産工程管理(GAP)の導入、
内容の高度化を支援
持続可能な農業生産に向けた取組及び農業
分野における地球環境対策に対する支援
環境負荷の低減
地球温暖化防止
生物多様性保全
総合的病害虫・雑草管理(IPM)の取組支援
有機農業の取組支援
地球温暖化に適応する農業生産の支援
農村の振興に向けた取組に対する支援
• 鳥獣被害対策の推進
• 遊休農地の有効活用
• 多様な関係者が連携した農業・農村を支
える活動の推進
東日本大震災からの復旧・復興及び
原子力災害対策への取組に対する支援
• 農業者の集団化
• 新たな品目や高度な生産・管理技術の導
入
• 高付加価値化の推進
• 原子力災害に対応した安全な農作物の生
産
第三
普及指導員の配置に関する基本的事項
普及指導員と農業革新支援専門員
普及指導員の配置
農業者の高度かつ多様なニーズ
地域農業の抱える課題
普及指導員に求められる機能が
十分発揮されるような配置
普及指導員の任用資格を有する者の
計画的な養成と確保
農業革新支援専門員の配置
研究機関、教育機関、行政機関等との連携強化
高度な!専門性を!有する!
専門技術の高度化
政策課題への対応
普及指導員の専門分野ごとにおける普及指導活動の総括・指
導
※ 配置は「主要な農政分野・技術分野ごと」で、特に規定は無い
※2 名称は農業革新支援専門員でなくともよい。ただし、農業者等に農
業革新支援専門員であると分かるようにする(どうやって?)
第四
普及指導員の資質の向上に関する基本的事項
継続的な!資質の向上!
なぜ資質の向上を定めているのか
• 近年の農業分野における技術革新や農業
者の高度かつ多様なニーズ、農業地域に
おける課題に的確に対応するためには資
質の向上が必要
• 普及指導員の職務は複雑かつ困難なもの
なので、自主的な資質向上の取組を助長
し、優秀な人材を確保するために普及指
導手当を運用するよう努める
向上を図るべき資質
• 農業に関する高度な技術と関連知識
• 地域農業における課題を明確化し、対応
するための方策を策定し実施への支援を
行う技術と知識
全ての普及指導員は共通して備えるべきで、
継続的な向上を図る必要がある
※ マーケティングに係る資質についても、農畜産物の安定供給と付加価値向上
に向けた取組を支援するため、向上を図る必要がある。
資質向上の方法
• 国と県との役割分担を踏まえた上で、経
験年数や知識、技術の習得状況に応じた
研修体系を策定する
• 計画的にOJTを行う
• 国が行う研修を活用する
• 先進的農業者、大学、試験研究機関、民
間企業、普及指導員の経験者等と連携す
る
• 調査研究の実施と成果の共有に関する取
組も、資質向上に活用する
第五
普及指導活動の方法に関する基本的事項
普及指導活動のアウトライン
普及指導活動の重点化
• 課題の重点化
 農政の展開方法・各地域の状況に応じ、
必要性・緊急性の高いもの
• 対象の重点化
 認定農業者や青年農業者などの、経営改善に
意欲的な農業経営及びその集団
 新規就農者や新規参入者
 経営参画に意欲的な女性農業者
関係機関等との連携
• 地域の関係機関
• 試験研究機関
• 教育機関
• 行政機関
• 民間
…etc. との役割分担と連携強
化
地域農業の振興
関係機関等との連携
地域の関係機関との連携
• 市町村、農業委員会、農業協同組合、金
融機関などと連携
• 普及事業推進のための協議会(普及指導
員や地域の関係機関を中心として構成)
も活用
• 林業・水産業に関する普及指導員、商工
会議所など農業以外の産業に関する指導
機関との連携にも留意する
関係機関等との連携
試験研究機関、教育機関等との連携
• 都道府県試験研究機関や農業者研修教育
施設との一体的な取組の充実強化に努め
る
• 課題の内容に応じ、独法、大学、民間企
業など技術シーズを有する者と連携
• 国民の農業への理解増進、将来にわたっ
ての農業従事者確保に資するよう、農業
に関する教育に対して必要な協力を行う
※シーズ:(seeds) 企業(主に製造業者)が持つ新技術のこと。シーズをベース
にした新製品を提示することで新たなニーズが発掘されることもある。技術の
関係機関等との連携
行政機関との連携
• 国の重要政策や技術政策を踏まえた普及
指導活動の実施に努める。
• 補助事業、制度資金などの活用を支援す
る。
• 普及指導活動を通じて得られた効果や課
題については積極的に情報発信をする。
関係機関等との連携
民間等との連携の強化
• 普及指導協力委員制度を利用する、など
により、民間の専門家や先導的農業者の
協力を得る。
• 民間企業など多様な者との連携を強化。
• 経営改善や六次産業化に向けて、金融機
関や支援機関と適切に役割分担を行い連
携して実施する。
関係機関等との連携
都道府県間の連携
• 全国的な課題に対し、都道府県間の情報
共有と技術協力等に努める。
• 国は取組が円滑に進むように、連携体制
の構築に取り組む。
普及指導計画の策定と評価
実施方針に即して、対象者や関係機関との
合意形成を図りつつ普及指導計画を策定。
計画に基づいて普及指導活動を実施。
成果について客観的な評価を行う。
評価結果を次年度以降の計画に反映。
調査研究の実施およびその成果の活用
地域の特性に応じて農業に関する高度な技
術と関係する知識を組み立てる
調査研究を実施して実証などを行う
成果を普及指導に活用
普及指導センターの運営
• 農業者等に対する情報提供・相談の場
• 普及指導員の活動拠点の場
※ 名称は普及指導センター等でなくとも良い。ただし、農業者等には普及指
導センターであると分かるようにすること(どうやって…?)
農業革新支援センターの整備
• 高度相談・支援部門として
 先進的農業者等からの高度かつ専門的な技術
や経営に関する相談に対応する
 先進的農業者等からの直接相談、普及指導セ
ンターで対応が困難な相談に適時適切に対応
• 全国的ネットワークを通じ、必要に応じ
て関係者からの協力や情報を得る
※ 名称は農業革新支援センターでなくとも良いが、農業者等には農業革新
支援センターであることが分かるように配慮する(だからどうやって
…?)
研修教育の充実強化
• 農業者研修教育施設
 実践的な研修教育、職業訓練を行う中核機関
 研修の効率化のため、他機関と連携に努める
 リーダーとしての資質向上に向けた研修教育
も行う
• 普及指導員や農業者研修教育施設、青年
農業者等育成センターは連携し、就農前
後の継続的な支援に努める
• 地域では市町村、農協、先導的農業者と
連携して農業の担い手を支援する体制を
整備
第六
その他協同農業普及事業の運営に関する基本的事項
その他
• 国は、農業情勢の変化、農業政策の動
向、普及指導活動の実態等を踏まえ、実
情に即した普及事業の見直しに取り組
む。

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