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Semelhante a 20140326電子行政研究会「ネット選挙と2014年東京都知事選挙」 (20)
20140326電子行政研究会「ネット選挙と2014年東京都知事選挙」
- 2. 2
自己紹介
• 立命館大学大学院先端総合学術研究科特別招聘准教授。
• 国際大学GLOCOM客員研究員。北海道大学大学院公共政策学連携研究部附属公共
政策学研究センター研究員等。
• 専門は情報社会論と公共政策。情報化と社会変容、情報と政治(ネット選挙)、社会起
業家の企業家精神醸成過程や政策としての「新しい公共」、地域産業振興、協働推進、
日本のサーフカルチャーの変遷等を研究。
• 1983年京都生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。同大学院政策・メディア研究科
修士課程修了。同大学院政策・メディア研究科後期博士課程単位取得退学。
• 同大学院政策・メディア研究科助教(有期・研究奨励Ⅱ)、(独)中小機構経営支援情報
センターリサーチャー、東洋大学、学習院大学、デジタルハリウッド大学大学院非常勤
講師等を経て現職。
• 著書に『ネット選挙 解禁がもたらす日本社会の変容』(東洋経済新報社)「ネット選挙と
デジタル・デモクラシー」(NHK出版)。共編著・共著に『「統治」を創造する』(春秋社)『大
震災後の社会学』(講談社)ほか。
- 5. 5
ネット選挙解禁の歴史
• 1996年に新党さきがけが旧自治省に問合せ
• 2000年代民主党が解禁を提唱
• 2010年に与野党合意に至るも、その後民主党は推進せず
• 2012年衆院選直前に、安倍総裁が解禁に注力することを宣言。
自民党対象直後から積極的に関与。
• 2013年自民党執行部中心に議論が加速。2013年4月19日の参
院本会議で成立。
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ネット選挙と整合性の課題
――公選法
• 「均質な公平性」と「漸進的改良主義」の競合
– 文書図画の制限列挙形式と、ネットのみ広範に創意工夫と
試行錯誤が可能になったネット選挙の制度設計が共存
• 放送法の「放送」と、ネットにおける動画の関係
– 将来、ネット動画の視聴者数と影響力が増すようになれば、
現行制度が不整合を起こす可能性は高い。
• 法律を横断した大局的な知見の不在と、領域横断が容易な
ウェブサービスの規制困難
– いっそうのネット選挙解禁を、どのようにデザインするか
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ネット選挙と整合性の課題
――政治資金規正法
• 寄付の質的量的規制を定めた、政治資金規正法との齟齬
• たとえば、クラウドファンディングは、下記のような政治資金規正法とどの
ような関係にあるのか。「購入」は、実質的な「寄附」ではないか。
• また「楽天政治LOVEJAPAN」は、献金とともに、献金者データを渡してい
るが、問題ないか。
• (会社等の寄附の制限)
第二十一条
会社、労働組合(労働組合法 (昭和二十四年法律第百七十四号)第二条 に規定
する労働組合をいう。第三項並びに第二十一条の三第一項及び第二項において同
じ。)、職員団体(国家公務員法 (昭和二十二年法律第百二十号)第百八条の二
又は地方公務員法 (昭和二十五年法律第二百六十一号)第五十二条 に規定する
職員団体をいう。第三項並びに第二十一条の三第一項及び第二項において同
じ。)その他の団体は、政党及び政治資金団体以外の者に対しては、政治活動に
関する寄附をしてはならない。
2 前項の規定は、政治団体がする寄附については、適用しない。
3 何人も、会社、労働組合、職員団体その他の団体(政治団体を除く。)に対し
て、政治活動に関する寄附(政党及び政治資金団体に対するものを除く。)をす
ることを勧誘し、又は要求してはならない。
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ネット選挙と整合性の課題
――政治資金規正法
• (公職の候補者の政治活動に関する寄附の禁止)
第二十一条の二 何人も、公職の候補者の政治活動(選挙運動を除
く。)に関して寄附(金銭等によるものに限るものとし、政治団体に対
するものを除く。)をしてはならない。
2 前項の規定は、政党がする寄附については、適用しない。
• (同一の者に対する寄附の制限)
第二十二条 政党及び政治資金団体以外の政治団体のする政治活動に関
する寄附は、各年中において、政党及び政治資金団体以外の同一の政治
団体に対しては、五千万円を超えることができない。
2 個人のする政治活動に関する寄附は、各年中において、政党及び政
治資金団体以外の同一の者に対しては、百五十万円を超えることができ
ない。
3 前項の規定は、資金管理団体の届出をした公職の候補者が当該資金
管理団体に対してする寄附及び遺贈によつてする寄附については、適用
しない。
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ネット選挙解禁の
「誤解」と「理念なき解禁」
• 金のかからない選挙?
• 投票率をあげる?
– 都議選54.9%(史上2番めの低さ)
– 福岡県中間市43.64%(史上最低)
– 2013年参院選52.61%(史上3番目の低さ)
• 電子投票?
– 秘密選挙の原則をいかに担保するか
• 変化仮説or正常化仮説(平準化仮説or通常化仮説)
• なりすましと誹謗中傷の問題。他方、ネット選挙関連の公選法違反は無し
– 2012年12月、三重県桑名市伊藤徳宇市長が、桑名市長選の告示前に出陣式の日程をブログに
掲載して、事前運動で書類送検。
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ソーシャルメディア上の
「ネット世論」の不可能性?
• 世論調査とのズレ
– 世論調査:一時点の、政策についての、フォーマルでスタティックな意見表明
– ネット:流動的で、政治的主題の、インフォーマルでダイナミックなコミュニ
ケーションの軌跡
• 一義の答えを導き出しにくく、コミュニケーションの連続しや
すい主題は、情報転送コストの低いソーシャルメディアの特性
とも相まって、コミュニケーションの総量が増えている?
• 「原発」「憲法」「安全保障」
• 2013年の参院選でも同様の傾向
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ネット選挙で
「勝てる」のか
• 2014年東京都知事選挙における家入一真候補(88,936票)
– 唯一の若年世代候補等の影響
– 過去の選挙におけるネットを背景にした候補との比較
• 2010年参院選:三橋貴明候補(自民党比例区)42,246票
• 2007年参院選:神田 敏晶(無所属東京選挙区)11,222
票
• 「ネット候補」:10万票と得票率2%の壁:選挙区、比例区問
わず、知名度と基盤を持たない候補では三宅のみ。
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ネット選挙で
「勝てる」のか
• 鈴木寛候補、山本太郎候補(552,714票、666,684票)
の評価困難
– 現職候補とテレビタレントとしての認知度
– 三宅洋平、伊藤洋介の落選(176,970票、37,423票)
• ただし、三宅洋平は新しい政治コミュニケーション
を展開、その効果は要検討?
• 宮城選挙区
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政党とネット選挙
• ガバナンスとの連動
– 現在ほぼ自民党のみ対応
– 2000年代からの政治マーケティングの高度化(雑誌等への広告出稿
等の分析)、2004年頃からの党改革検証・推進委員会を通じた手法
の高度化と埼玉8区補選での勝利。
– トゥルースチーム、研修等を通じた「情報収集→分析→フィードバッ
ク→発信」のサイクルを回している
– とはいえ、東京都連でも十分ではない現状
– ネット選挙についての積極的な取り組み
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• 民主党の現状
– 政党内のガバナンスの不在と付け焼き刃的対応
– 博報堂の利用「失敗」
– アプリの「失敗」
政党とネット選挙
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• みんなの党
– 「みんなの候補」
– 規制改革アイディアコンテスト
– ガバナンスとの連動
• ガバナンスの内製化がネット選挙には不可欠?
• ネット選挙は短期的には大きな影響力を持たないが、中長期で情報化の
影響力が増すことは必至。どのように対策をしていくか、与党がネット
選挙でも圧勝という状況を変えていくべき。
政党とネット選挙
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地方選挙における
ネット選挙
• 若年世代の人口が多く、インターネットの
普及率が高く、話題性の高い政令指定都市
レベルの都市部の地方選挙から影響?
– 2013年の地方選挙では話題にはなるも、強い影響は
観察できず。
– リスティング広告利用の活発化
• 2016年の国政選挙前にネット選挙の手法
を試す必要あり。
• 2015年の統一地方選が本番?
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情報伝達の経路と
メディアの「信頼」
• 日本におけるメディア状況の特殊性
– テレビ視聴率1% 50万人∼100万人
– 全国紙3社の新聞発行部数(2012年)
• 読売新聞:約 1000万部
• 朝日新聞 :約750万部
• 毎日新聞:約350万部
• 世界の新聞発行部数1位、2位、4位
– 影響力の(過剰に)大きいマスメディア
が複数存在
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情報伝達の経路と
メディアの「信頼」
• 「Blogosphere」の未形成
– アメリカ中心にネットメディアとそこでの議論が「信頼に足
る」という規範が醸成。
– 日本の状況。
• 「情報の信頼度の高さ」は「テレビ(NHK)」
(47.3%)「新聞」(44.1%)「インターネット」
(7.8%)(日本新聞協会,2011,『2011年全国メディ
ア接触・評価調査報告書』.)
• ただし、実用性に関するスコアでは拮抗している。
– そのような状況で、どのようにして政治や社会に関する主題
について啓発を行うのか。
• ネット「でも」必要だが、それだけでは不十分。マスメ
ディアやセミナー形式等、複数チャネルの使い分けが必
要?