1. Chord#における経路表の維持管理コスト削減手法 大阪市立大学大学院 創造都市研究科 呉 承彦 安倍 広多 石橋 勇人 松浦 敏雄

2. 背景 P2P(Peer-to-Peer)ネットワークとは ネットワークに接続された多数のノード(コンピュータなど)で分散処理をする技術 耐故障性，スケーラビリティ，負荷分散などに優れている 大きく分けて 非構造化P2Pネットワーク 構造化P2Pネットワーク 構造化P2Pネットワーク ネットワークでの構造(トポロジ)に制約を設けることで，ノードを高速に検索可能な方式 構造化P2Pネットワークの一つにChord#がある 2

3. Chord# Chordと同じようなリング状のネットワーク Chordと異なる点 keyをハッシングしない 各ノードにはkeyが割り当てられ，keyの昇順にノードがソートされる 範囲検索が可能 Skip graphに比べて 平均経路長が短い（利点） 最大経路長が押さえられる（利点） 経路表の維持管理にコストがかかる（欠点） 3

4. 本研究の目的 Chord#における経路表の維持管理コストを削減する ネットワーク近接性を考慮したルーティングの実現（今回省略） 4

5. Chord#の構造｜successor N0 N1 N7 successor N6 N2 N5 N3 N4 5

6. Chord#の構造｜predecessor N0 N1 N7 predecessor N6 N2 N5 N3 N4 6

7. Chord#の構造｜finger table N1のFinger Table N0 Successor N1+20 Predecessor N1+21 N1 N7 N1+22 N2の Finger Table ２０node N6 N2 ２１nodes ２２nodes N3のFinger Table N5 N3 N5 N4 7

8. Chord#の構造｜finger table N1のFinger Table N0 Successor N1+20 Predecessor N1+21 N1 N7 N1+22 O(log2𝑁)で 検索可能 （N=ノード数） N2の Finger Table Finger tableの高さ ２０node N6 N2 ２１nodes log2𝑁 ２２nodes N3のFinger Table ・・・ N5 N3 N5 N4 8

9. Chord#の構造｜finger table N1のFinger Table N0 Successor Predecessor N1 N7 N2の Finger Table N2 N6 N2 N3のFinger Table N5 N3 N4 9

10. Chord#の構造｜finger table N1のFinger Table N0 Successor Predecessor N1 N7 N2の Finger Table N3 N6 N2 N3のFinger Table N5 N3 N4 10

11. Chord#の構造｜finger table N1のFinger Table N0 Successor Predecessor N1 N7 1回の finger tableの更新に必要なメッセージ数 2log2𝑁 N2の Finger Table N3 N6 N2 N3のFinger Table このメッセージ数を 減らしたい! N5 N3 N5 N4 11

12. Chord#｜successor list N0のSuccessor list Successor N0 Predecessor N1 N7 N6 N2 N5 N3 N4 12

13. Chord#｜successor list N0のSuccessor list Successor N0 Predecessor N1 N7 N6 N2 N5 N3 N4 13

14. Chord#｜successor list N0のSuccessor list Successor N0 Predecessor N1 N7 N6 N2 N5 N3 N4 14

18. finger tableの更新コスト削減手法 N0のfinger table fingertableを 2log2𝑁の メッセージをかけて更新 転送1 N1の finger table N2のfinger table 転送2 18

19. finger tableの更新コスト削減手法 N0のfinger table fingertableを 2log2𝑁の メッセージをかけて更新 アクティブな更新 転送1 N1の finger table パッシブな更新 N2のfinger table パッシブな更新 転送2 19

21. 全てのノード(N個)がアクティブな更新を行う

22. 提案手法

23. 𝑁𝑠+1個のノードのみがアクティブな更新を行う パッシブな更新を行うノード数（𝑠） アクティブな更新を行うノード数は1𝑠+1に削減 アクティブな更新 アクティブな更新 メッセージ数も削減 20

24. finger tableの更新処理 定期的に更新する必要がある 更新方法(アクティブ or パッシブ)を自律的に決める 一定時間(t)内に他のノードからfinger tableを受信するとパッシブな更新を行う 一定時間(t)が経過するとアクティブな更新を行う 21

26. 更新待ち時間の導入 更新周期(t)に更新待ち時間(k×β)を加える 更新周期(t) アクティブな更新 更新待ち時間(k×β) N0 N1 N2 N3 アクティブな更新 パッシブな更新 パッシブな更新 パッシブな更新 finger table finger table finger table t 更新待ち時間 t t t アクティブな 更新開始 0×β s×β 1×β 2×β パッシブな更新 パッシブな更新 23 ※s：パッシブな更新を行うノード数

27. 更新待ち時間の導入 更新周期(t)に更新待ち時間(k×β)を加える アクティブな更新が特定のノードに集中しないように 更新周期(t) アクティブな更新 更新待ち時間(k×β) N0 N1 N2 N3 アクティブな更新 パッシブな更新 パッシブな更新 パッシブな更新 finger table finger table finger table t 更新待ち時間 t 最初にパッシブな更新を行ったノードの更新待ち時間を最小に t t アクティブな 更新開始 0×β s×β 1×β アクティブな更新を行ったノードの更新待ち時間を最大に 2×β パッシブな更新 パッシブな更新 24 ※s：パッシブな更新を行うノード数

29. ノード当たり平均メッセージ数を計測（2000秒間）

30. ノード数：1024ノード

31. 更新周期：20秒

32. β：0.5秒

33. パッシブな更新を行うノード数（s）：0～19回

34. 試行回数：100回Chord# 2log2𝑁 ノードあたり平均メッセージ数 パッシブな更新をするノードが多いほど， ノード当たり平均メッセージ数が減少 シミュレーション 理論値 2(log2𝑁+𝑠)𝑠+1 パッシブな更新を行うノード数(s) 25

36. ノード数：1024ノード

37. 更新周期：20秒

38. β：0.5秒

39. 転送回数（s）：4回

40. 試行回数：10回全てのノードがほぼ均等にアクティブな更新を行っている

41. まとめ Chord#におけるfinger tableの更新に必要なメッセージ数の削減手法を提案 finger tableを2次元配列に拡張 パッシブな更新により，メッセージ数を削減 シミュレーションにより，メッセージ数が数分の１に減少することを確認 アクティブな更新を行うノードを分散 今後の課題 ノードの参加離脱（Churn）による影響の解析 ネットワーク近接性を考慮したルーティング（本発表では省略）の有効性を評価 25