中小企業における企業価値創造リスクマネジメント入門以前

@2018 LifeDrumLab Co., inc All Rights Reserved
中小企業における企業価値創造
～リスクマネジメント入門以前～
2018/2/12
株式会社ライフドラムラボ代表
今井健太郎

@2018 LifeDrumLab Co., inc All Rights Reserved@2018 LifeDrumLab Co., inc All Rights Reserved 2
0. 弊社紹介
株式会社ライフドラムラボは、中小企業を中心に、社会的インパクトを含む、企業価値
の最大化を専門としたコンサルファームとなります
今井健太郎（いまいけんたろう）
埼玉県深谷市生まれ。
早稲田大学政治経済学部国際政治経済学科卒
・専門は国際金融と開発経済
・第54回全日本大学囲碁選手権で全国制覇
野村総合研究所金融ITイノベーション本部
・保険業界を中心とした調査・研究
・内部統制やリスクマネジメントに関わるコンサルティング
・ファンドラップ販売に関わるフロントシステム企画、営業
等
株式会社ライフドラムラボ、代表取締役
・事業会社の経営戦略、中期経営計画策定支援、事業承継
・外資戦略系コンサルファームのPJ支援
等
代表取締役社長プロフィール項目内容
会社名
株式会社ライフドラムラボ
（LifeDrumLab Inc.）
所在地
〒108‐0014
東京都港区芝5丁目27番3号A-17号室
ホーム
ページ
https://www.lifedrumlab.co.jp/
電話番号 080-5384-6535（代表）
事業内容
中小企業の社会的インパクトを含む、企業価
値の最大化を専門としたコンサルファーム
・経営戦略策定支援、CSV経営支援
・途上国BOP、SDGsビジネス企画・支援
・企業文化、リスクマネジメント支援
・IR、CSR（統合報告書）策定支援
・事業承継、M&A実行支援
等
代表取締役今井健太郎

1. 要旨
リスク（不確実性）は、「0」にすることは出来ず、限られたリソースの中で、優先順位付
けを行い、適切にマネジメントすることが重要
• リスクとは不確実性（悪い事・良い事を含む）を意味し、不確実性を「0」することは出
来ない、限られたリソースの中で、効果的にリスクに対処することが求められる
– リスクの優先順位付けの手法は多様だが、最も一般的なものは、「発生確率」×
「影響度」による順位付け
• 企業経営において主要なリスクは、「外的要因リスク」「オペレーショナルリスク」「財
務リスク」に分類される
– リスクマネジメントは、もっぱらオペレーショナルな対応策であるリスクコント
ロールと、金銭面での対応策であるリスクファイナンスに切り分けて議論される
こともある
– 経営学の分野で最初に、リスクマネジメントの重要性を指摘したのはフランスの
アンリファーヨル「産業ならびに一般の管理」（1916年）
– ハーバード・ビジネス・レビュー（HBR）に、アメリカのラッセル・ギャラガー
が「リスクマネジメント～コスト管理の新局面～」という論文を発表し市民権を
得る（1956年）

1. 要旨
個別最適ではなく、全社的なリスクマネジメント(ERM)が求められる、また“適切”な
CSR活動は負のリスクを軽減する
• 場当たり的で安易な、個別最適なリスク対策は、組織に矛盾と非効率を生み出す可能性が
高く、リスクマネジメントは全社視点での管理（ERM）が求められる
– エンタープライズリスクマネジメントの導入には、COSOフレームワークが活用可
能。基本的には、リスクの優先順位付けと、将来の姿と現状のギャップを埋める
手段
– リスクマネジメントは、重要であるが、緊急度が低い領域。このセグメントの優
先順位をいかにあげるかは重要となる
• リスクマネジメントを実施していても、想定外の事態は発生しうる。想定外の事態の対策
として、BCP（事業継続計画）と危機対応計画の立案が求められる
– 大企業についてはBCP策定がスタンダードに、中堅企業についても約7割の企業が
2015年時点でBCPを整備している状況
• CSRの定義次第では、リスクマネジメントも一部内包する概念。本来は、適切なCSRの実
施が企業リスクの低減につながる

2. リスクとは
リスクとは不確実性（悪い事・良い事を含む）を意味し、不確実性を「0」することは出来
ない、限られたリソースの中で、効果的にリスクに対処することが求められる
リスクはゼロにならない優先すべきリスクの特定
0
1
2
3
4
5
6
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
 リスク対策の為の、リスク対策では意味がない（リスクはなく
ならない）
 限られたリソースの中で、優先順位を定め、効果的なリスク
マネジメントが求められる
 対処すべきリスクの特定の手法は多様だが、最も一般的な
ものは、「発生確率」×「影響度」により優先順位付けを実施
 また、発生確率や影響度の分類は、俗人性を排除する為に、
リスク基準を別途設けることが求められる
リスク
リスク対策
𝑟𝑗 = 𝑅 𝐹 + [𝑏𝑗 × 𝑟 𝑚 − 𝑅 𝐹 ]
発生確率
影響度
最優先
高
中
低
小中大
Undiversifiable Risk

2. 代表的なリスク
企業経営において主要なリスクは、「外的要因リスク」「オペレーショナルリスク」「財務
リスク」に分類される、全てのリスクに対応するのではなく、各社優先順位付けが必須
外的要因
リスク
オペレーショナル
リスク
財務リスク
自然災害リスク
人為災害リスク
環境変化リスク
システムリスク
人的リスク
コンプライアンスリスク
情報セキュリティリスク
事務・業務リスク
その他リスク
市場リスク
信用リスク
流動性リスク
 例：地震・津波・火事等
 例：サイバー攻撃、テロ、戦争等
 例：政治・経済・法規制変更・テクノロジーの進化等
 例：システム停止、システム誤作動等
 例：人材流出（ヘッドハンティング）等
 例：法律・倫理・社内規定違反等
 例：情報漏えい、改ざん、消失等
 例：作業ミス、判断ミス等
 例：品質・風評リスク等
 例：貸し倒れ等
 例：金利・為替変動・株高等
 例：資産売却不能等

参考）リスクマネジメントとは
リスクマネジメントは、もっぱらオペレーショナルな対応策であるリスクコントロールと、
金銭面での対応策であるリスクファイナンスに切り分けて議論されることもある
リスクマネジメント
【リスクコントロール】
 BCP策定
 代替拠点整備
 標準化
 耐震化等
 リスクコントロールについては、主に、オペレーショナルリスク
に対応するための施策をさす
 リスクファイナンスについては、主に、財務リスクに対応する
ための施策をさす
【リスクファイナンス】
 保険
 デリバティブ
 キャットボンド
 コミットメントライン等
リスクマネジメントリスクマネジメントの古典～現在
 経営学の分野で最初に、リスクマネジメントの重要性を指摘したの
はフランスのアンリファーヨル
 1916年の「産業ならびに一般の管理」という論文の中でリスクマネ
ジメントに言及
 1956年にハーバード・ビジネス・レビュー（HBR）に、アメリカのラッ
セル・ギャラガーが「リスクマネジメント～コスト管理の新局面～」と
いう論文を発表
 リスク管理や安全管理にどれだけコストをかけられるか？が主要
命題に
 現代、リスクマネジメントを含む、経営上の意思決定およびガバナ
ンス、また、それを支える内部統制システムの誠実性・透明性・説
明責任が強く求められるように

2. エンタープライズリスクマネジメントとは
場当たり的で安易な、個別最適なリスク対策は、組織に矛盾と非効率を生み出す可能
性が高く、リスクマネジメントは全社視点での管理が求められる
個別最適なリスク管理エンタープライズリスクマネジメント
代表取締役
事業部
経営企
画部
システ
ム部
総務・
法務部
人事部
品
質
リ
ス
ク
管
理
環
境
変
化
リ
ス
ク
管
理
情
報
セ
キ
ュ
リ
テ
ィ
ー
管
理
コ
ン
プ
ラ
イ
ア
ン
ス
管
理
人
的
リ
ス
ク
管
理
？？
 例えば、テクノロジーの進化による環境変化リスクと、情報セ
キュリティ等、時にリスク管理のベクトルが相反することも
 企業全体のリスク戦略を担う組織や機能を構築し、相反する
リスクの調整、二重管理、抜けもれ・適切なPDCAの推進が求
められる
土台
エンタープライスリスクマネジメント（ERM）
品
質
リ
ス
ク
管
理
環
境
変
化
リ
ス
ク
管
理
情
報
セ
キ
ュ
リ
テ
ィ
ー
管
理
コ
ン
プ
ラ
イ
ア
ン
ス
管
理
人
的
リ
ス
ク
管
理
企業経営
等

参考） COSOフレームワークとは
エンタープライズリスクマネジメントの導入には、COSOフレームワークが活用可能。
基本的には、リスクの優先順位付けと、将来の姿と現状のギャップを埋める手段
内部環境
目的の設定
事象の識別
リスク評価
リスク対応
統制活動
情報・伝達
監視活動
戦
略
業
務
報
告
法
令
順
守
機能
事業単位
部門
全社レベル
COSOフレームワーク ERM導入のステップ
 エンタープライズリスクマネジメントは、企業戦略の設定にお
いて適用され、企業に影響を与える可能性のある事象を識
別し、リスクを許容範囲に収めるように管理し、事業目的の
遂行に関する合理的保証を提供するもの
「Enterprise Risk Management -Integrated Framework, The Committee of Sponsoring Organizations of the Treadway
Commission September 2004"Executive Summary" p 7」に基づき、ライフドラムラボが作成
 企業にとって優先順位の高いリスクを識別、理解し、状況を明らか
にする。
 COSO フレームワークを使用して、現状の組織のリスクマネジメント
能力を把握する
 COSO フレームワークを使用して、将来望まれる組織のリスクマネ
ジメント能力を設定する。
 ギャップの大きさと、そのギャップを埋めるために必要な改善施策
を分析し、明確にする。
 望まれるERM能力を向上に向けた計画を立案する
 全体的な取り組みの効果的な統合と調整を確実に行ううえで必要
な監視・指導・PDCAを回す
Protiviti「Guide to Enterprise Risk Management: Frequently Asked Questions」に基づき、ライフドラムラボが作成

2. リスクマネジメントの立ち位置
リスクマネジメントは、重要であるが、緊急度が低い領域。個人においても、このセグメ
ントの優先順位をいかにあげるかは重要
従業員の優先順位例法人の優先順位例
 自己研鑽
 親孝行
等
 顧客からの要望
 社長からの指示
等
 同僚とのランチ？
等
 メールの返信
 上司からの頼み
等
 リスクマネジメント
 顧客対応
 資金繰り
等
 オフィス美化？
等
 問い合わせ？
等
重要度大
緊急度大
重要度大
緊急度大

3. BCP
リスクマネジメントを実施していても、想定外の事態は発生しうる。想定外の事態の対
策として、BCP（事業継続計画）と危機対応計画の立案が求められる
通常のリスクマネジメント体制想定外の事態が発生した際の事前準備
 エンタープライズ機能・組織が中心となり、限られた時間とリ
ソースを前提の上、効果的なリスクマネジメント戦略を立案
 その土台の上で、各事業部等がリスク対策を実施
土台
エンタープライスリスクマネジメント（ERM）
品
質
リ
ス
ク
管
理
環
境
変
化
リ
ス
ク
管
理
情
報
セ
キ
ュ
リ
テ
ィ
ー
管
理
コ
ン
プ
ラ
イ
ア
ン
ス
管
理
人
的
リ
ス
ク
管
理
企業経営
等
異常事態
BCP
事業継続計
画
危機対応
計画
 異常事態が発生してもいかに事業を継続させるかBCPに計
画
 ただし、事業以前に従業員の安全が脅かされる事態（大地
震等）が発生した場合の、危機対応計画もセットで立案
 誰が、どこに、どうやってあつまる
か？
 何を決定するか？
 情報収集・伝達手段はどうするか？
 どのステークホルダーに連絡する
か？
等
 基本方針の策定
 影響度評価・被害想定
 組織体制・指揮命令系統の明確化
 バックアップ体制
 二次災害防止、教育・訓練
 マニュアル整備
等

3. BCPの策定状況
大企業についてはBCP策定がスタンダードに、中堅企業についても約7割の企業が
2015年時点でBCPを整備している状況
内閣府：平成27年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査に基づき、ライフドラムラボが作成
27.6
45.8
53.6
60.4
30.8
26.5
19.9
15
16.9
21.3
15
16.4
24.7
6.4
11.5
8.2
0 20 40 60 80 100
2009
2011
2013
2015
策定済み策定中策定予定その他
12.6
20.8
25.3
29.9
14.6
14.9
12
12.1
15
30.7
18.1
30.2
57.8
33.7
44.6
27.8
0 20 40 60 80 100
2009
2011
2013
2015
策定済み策定中策定予定その他
大企業のBCP策定状況中堅企業のBCP策定状況
年
%
年
%

4. リスクマネジメントとCSR・CSV
CSRの定義次第では、リスクマネジメントも一部内包する概念。適切なCSRの実施が
企業リスクの低減につながる
CSRとリスクマネジメントの関係性
さいたま市：CSRチェックリスト～中小企業のためのCSR読本～を基にライフドラムラボが作成
攻める
CSR
守る
CSR
ビジネスによる
社会課題の解決
（CSV）
倫理的行動による
企業価値向上
倫理的行動による
リスク軽減
法的責任の遂行
経済的責任の遂行
レピュテー
ションリスク
労災リスク
人材
機会損失
CSRによる
期待される負のリスク低減
情報セキュリ
ティー
等

@2018 LifeDrumLab Co., inc All Rights Reserved
ご清聴ありがとうございました
株式会社ライフドラムラボ
〒108-0014
東京都港区芝5丁目27番3号A-17号室
http://lifedrumlab.co.jp
代表取締役：今井健太郎
メール：k-imai@lifedrumlab.co.jp
リスクマネジメントやBCPについても、お気軽にご連絡ください

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