2019年に「FIT切れ」になる設備が再びFITを申請するのを防止することに関するメモです。

1. 10kW未満太陽光発電設備向け余剰買取制度の
「二重取り」防止に関する参考資料
（2019年に「FIT切れ」になる設備に対し、再びFITを申請するケースの防止について）
2018.3.14
産総研 太陽光発電研究センター 櫻井啓一郎

2. 2009年当時の住宅用太陽光発電設備(4kW)の想定収支例
・FIT対象期間の10年で初期投資がほぼ回収できる（それまでは20年以上が当たり前だった）
・その後は自家消費による電力料金低減と、余剰分の火力原価程度の買取で
20年後時点でほぼ収支トントン。20年超稼働すれば、多少の利益もあり得る
・なるべく短期間での初期費用回収を可能にすると同時に、国民負担をなるべく抑える設定
・ネットメータリング＋火力原価程度での余剰電力買取で、維持費は捻出可能
（今後の“FIT切れ”設備の取扱いにも左右される）
住宅向けFIT（余剰電力買取制度）の趣旨
（10年経過後の余剰電力買取額：
10円/kWhを想定）

3. 10年経過後に、再びFITの適用を受けた場合
（10年経過後の余剰電力買取額：
26円/kWhを想定）
・1回目のFIT対象期間の10年で初期投資はほぼ回収済み。その後の利益のみが増える。
・国民負担が増える。
・新規設備を増やすインセンティブにもなりにくい
（その目的ならば、初期10年間の額を増やす方が効果的）
・保守点検費用がかさむ設備を継続稼働させるインセンティブにはなるかも知れないが、
新規設備の信頼性・耐久性向上を促す観点からは好ましくない

4. FIT「二重取り」を防ぐ方法
・最近生産されたモジュールやパワコンに限定する方法
・最も簡便な方法
・（例えば）３年以内に生産された機器であることの証明等を義務づけ？
・同じ住所や所有者の場合、ランダムに実地検査も？
・虚偽の申請であった場合の罰則等の規定（買取停止、返金、刑事訴追等）？
・中古のモジュールについて
・一度FIT対象となった設備を解体して他の設備で使う可能性が考えられるため、
ある程度以上古いものは対象にしない方が望ましいと考えられる。
・中古で安価に設置できた場合、FITの対象でなくても、ネットメータリング＋電力会社提供の
余剰電力買取メニューで初期費用を回収できるかも知れない。