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Mais de KazuhitoKitamura (20)
20230524いろいろTV出演資料
- 2. 北村 和人
KITAMURA Kazuhito
所 属 ・ 職
佐賀県産業労働部 産業DX・スタートアップ総括監
こ れ ま で
新採で入庁した水産局でノリ養殖業の協業化を立ち上げ。以来、救急医療・災害医療の体制整備や学力調査を
活用した学力向上・学校組織マネジメント、ふるさと納税など各分野で新たな取組。
産業労働部ではIT産業の振興や起業・創業支援、産業人材の育成・確保に取り組み、2020年度、新たに創設さ
れたDX・スタートアップ推進室(現産業DX・スタートアップ推進グループ)に。
で き る こ と
大和総研への派遣研修を契機にマクロ経済学や計量経済学を足場の一つに。
またこれを契機に統計分析やデータサイエンス、機械学習などもたしなむ程度には習得。
コ ン タ ク ト
個人:kitamura-kazuhito@pref.saga.lg.jp DXSTグループ:innovation@pref.saga.lg.jp
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(個人)
Facebook
(DXST室)
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Exploratory
ダッシュボード
Kindle
2
- 8. 8
Goals ①デジタルをビジネスの常識に ②世界を目指せる起業の聖地へ (参考①)
新聞等の
メディア
掲載件数
モニタリング
指標
(参考②)
外部からの
講演等
依頼件数
モニタリング
指標
Objectives
①-1
利活用拡大
①-2
DX人材育成
②-1
ビジネス創出
②-2
事業拡大
KPIs
県内企業の
デジタル
技術導入数
スマート化
センター
延利用者数
DX人材講座
受講者数
企業や起業家の
県外での
受賞件数
(DX含む)
個別指導
プログラム
採択数
県が支援する
起業家による
資金調達件数
R2
(30)
71
(1,500)
2,551
(100)
応募717⇒100
(2)
1
(10)
応募16⇒12
(16)
22
30 14
R3
(30)
86
(2,000)
3,148
(200)
応募862⇒200
(2)
5
(15)
応募27⇒15
(20)
32
61 15
R4
(30)
86
(2,700)
3,755
(200)
応募970⇒200
(2)
11
(18)
応募34⇒17
(30)
29
126 21
R5
(100) (3,200) (200) (3) (21) (30)
出所
毎年度末の
協力企業
アンケート
スマート化
センター調べ
Samurai
及びNinja
受託者集計
当室調べ 当室調べ 当室調べ 当室調べ 当室調べ
( )は目標
- 16. 参考:これまでの経緯
新産業・基礎科学課 産業企画課 産業政策課 DX・スタートアップ推進室
H25~27 H28~29 H30 R1 R2 R3 R4
経営革新
地域産業支援センター指定管理・運営費補助
創業等支援拠点活動促進事業(支援C補助)
ネクストスタートアップ創出事業(ベンチャー交流ネット
とチャレンジカップを継承、新たにコンシェルジュ配置)
Startup Gateway(起業・事業創出コアプログラム)
Startup Boost(資金調達集中指導プログラム)
クラウドファンディング協定・VC協定
トライアル発注
トライアル発注首都圏商談会
Startup Connect(マッチング支援個別指導プログラム)
Startup Launch事業化補助事業
やわらかBiz創出事業
データ&デザイン新市場創出事業
産業DX啓発推進事業(スマート化センター等)
AI・IoT活用可能性実証事業⇒DXマインド創出実現事業
DXコミュニケータ & DXアクセラレータ
SAGA Smart Samurai & SAGA Smart Community
SAGA Smart Ninja
(経営担当へ)
(企画担当へ)
(廃止・下記事業へ)
(VC協定追加)
(to B版追加)
(廃止)
(廃止)
(廃止)
(廃止)
(Community追加)
- 20. (2001)
y = -0.3003x + 0.1609
R² = 0.3202
(2018)
y = -0.1837x + 0.1724
R² = 0.1174
5%
10%
15%
20%
25%
30%
35%
40%
-40% -20% 0% 20% 40%
公的部門の移転所得/県民所得
移出超過/名目GDP
移出超過と移転所得
2001
2018
佐賀
(2001)
y = -0.4772x + 0.1667
R² = 0.3622
(2018)
y = -0.6125x + 0.1949
R² = 0.4597
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
35%
40%
45%
50%
-40% -20% 0% 20% 40%
就職に伴う県外流出率
移出超過/名目GDP
各県の移出超過と県外流出率
2001
2018
佐賀
70% 75% 80% 85%
奈良県
島根県
和歌山県
佐賀県
香川県
茨城県
鳥取県
進学に伴う県外流出率
20% 25% 30% 35% 40%
青森県
鹿児島県
宮崎県
熊本県
佐賀県
奈良県
高知県
就職に伴う県外流出率
20
高校卒業後の人材流出率は
全国的に見ても高い
データの出所)文科省「学校基本調査」、各県及び内閣府「都道府県民経済計算」
人は稼げないところから
稼げるところへ
以前は赤字の地域は公的部門の
所得移転で補填されていた
- 24. 24
民主化・
コモディティ化
リープフロッグ データ資本主義
格差を生み出すのは単に
知っているかどうか
行動したかどうか
積み上げる必要はない
最先端の安くて便利な
ツールをまずは入口に
手間なく取得する
何であれまずは溜める
何かあれば試してみる
SaaS
No-Code
Cloud
Subscription
Freemium
あんなツールが
月数千円で
開発も簡単
自分でできる
なまじきちっとした
ものがあると
かえって足かせに…
むしろ
何もない方が
しがらみもない
イマドキのAI=
パターン認識技術の
価値の源泉はデータ
多種多様なデータ
があるのは現場
実は地方って、案外、捨てたものじゃないのかも?
- 25. 25
都市 地方
優れたビジネス環境
協業先・商談先が見つけやすい
専門性が高い支援者・協力者も
資金調達の機会や選択肢も多い
困ったら“ライス”ワークも様々
得意なことを生かし
気が利いたプロダクトを作って
評価に満足出来たら売却して次へ
とかならたぶん、都合がいい
ビジネス環境ではかないませんが…
仕事も生活も時間を安く買える
起業家が少ない
=いろんな人々が関わってくれる
現場もデータもイシューも多々
時間や現場や理解者があることで
「自分の問題」に向き合い
「みんなの問題」に昇華させ
世の中を変えていく(かも?)
果たしてどちらがスタートアップ的だろうか?
- 33. 利用者数:延3,755名(R4)
延2,148名(R3)
相談件数: 164件(R4)
33
目的
テクノロジーを活用した県内産業の
生産性向上及びビジネス創出の支援
受託者 EWM、佐賀銀行、佐賀電算センター
所在地 工業技術センター生産技術棟内
開館時間 平日午前9時から午後5時まで
提供する
機能
個別相談(オンライン可)
DXリサーチ(簡易診断)
アプリやデバイスの体験
セミナー・イベント
マッチング支援
URL https://www.saga-smart.jp
運営状況
外観 サイト
ショールーム セミナー風景
ITフェア(イベント) 交流会(イベント)
平均して
300名/月
平成30年10月に開設、当時、同種の施設は全国初。最近、他県でも類似施設を開設する例も。
- 36. 令和2年度 令和3年度 令和4年度
応募 受講 修了 応募 受講 修了 応募 受講
Smart
Samurai
在職者 373 49 46 469 104 85 331 46
求職・転職志望 219 42 24 231 73 57 212 41
学生など 125 9 5 162 23 16 84 13
合計 717 100 75 862 200 158 627 100
Smart
Ninja
合計(在職者) 343 108
36
Smart Samurai
Smart Ninja
Smart Community
Pythonを中心とした4ヶ月程度のオンライン講座
採用側企業との交流・コミュニティ形成
SaaSやノーコードなどの4ヶ月程度の講座
受講者の所属企業での実践・課題解決もフォロー
エンジニアやDX関係者による自主的な活動を促進
イベントやセミナー等を公募、広報や経費を支援
- 43. 43
<R3.10~R4.3 えびすFMリレー出演> <R4.4~ 佐賀新聞「さがスタートアップの現場から」>
10月19日 フレル
7月27日 すみなす
4月26日 WIDE
8月25日 ハードコア
5月26日 Dessun
1月26日 NEXS
9月27日 Notuje
6月29日 LightGear
3月9日 Retocos
- 52. 52
裾野拡大への実効性ある仕掛けや仕組み
• DXコミュニケータの改善
• 商工団体や金融機関の活用
育成したDX人材の活動促進
• Smart Communityの推進
• Terakoyaの展開やコミュニティ形成
スマート化センターの場所や施設等検討
事業拡大への新たな機会提供
• プロモーション支援⇒プレゼンス確立
• 人材確保、組織形成⇒起業家から企業へ
資金調達の仕組みや環境づくり
• エクイティファイナンスの事例創出
• ファンドレーザー協定への融資の追加
• 産業振興機構など関係機関の活用
民間ベースの起業支援活動の推進
• ベンチャー交流ネットワークの見直し
• 九 州 NBC や EO 九 州 、 和 多 屋 OIC 、
SAGAMONDなどとの適切な関係形成
起業家等の活動拠点についての検討
そのうえで、最終的には年度末、300人規模のイベントを開催(できるかどうか?)
ハンズオン支援の手法確立と事例創出
• DXアクセラレータの受託者多様化
• スマート化センターによるビジネス創出
- 53. 53
北村
議会や講演・寄稿などから、個別メンタリングやコンサル、データ分析、DTPなどその他なんでも…
産業DXチーム スタートアップチーム
秋吉
稲田
佐藤
村川
西本
ビジネス創出支援
例)Startup Gateway、コンシェルジュ、
チャレンジカップ・GCF
事業拡大支援
例)Startup Promote、Startup Assign
ファンドレーザー協定、アワード支
援、
KVM、起業家の活動拠点の在り方
事業確立支援
例)Startup Boost、Startup Connect、
Startup Launch、トライアル発注、
DXST Fes(ST側及び全体)
非定型タスク、突発案件、難航案件
パブリシティ、プロモーション
チームマネジメント、進行管理
ステークホルダーマネジメント(メッセ
ンジャー等への対応の最終管理を含む)
村上
山下
松雪
井原
県内企業のDX支援
例)スマート化C・Smart Community 、
DXST Fes(DX側)、
DXアクセラレータ(主:半数~6割)
DX人材の育成・確保
例)Smart Samurai &Ninja、Terakoya
DXコミュニケータ
DXアクセラレータ(副:数件程度)
非定型タスク、突発案件、難航案件
ITフェアやMAICなど関係機関連携
スマート化センターの在り方
DXアクセラレータ(副:数件程度)
チームマネジメント、進行管理
ステークホルダーマネジメント(Slack
等への対応の最終管理を含む)
めまぐるしいフィールドなので当然、日々、進化・深化します。なので「書かれていることさえやればいい」ではなく、「各々のテー
マ全体を所管するポジションとして、書かれていないことも含めて『何を』『なぜ』やるべきか?」を常に考えてください。
- 54. 54
上司や関係者の「言葉尻」を追わないよ
うに努めてください。
「決まっている」で思考停止せず、年度
途中でも大胆に見直すことを推奨します。
「データ資本主義」と言わるほど、デー
タは重要な経営資源であり、それを扱う
ためのリテラシーを備えるのは、ナレッ
ジワーカーとして、もはやマストです。
でも「なぜその数字なのか?」を察する
力がなければ、データもそれを扱うスキ
ルも宝の持ち腐れになってしまいます。
データについて学ぶとともに
数字の背後にある
構図や力学を想像する力を
「何を ?」ではなく
「なぜ ?」をこそ
大事にしましょう
言われたか
するべきか等
そう言われたか
それをやるのか等
他課室のように「何でもまずは担当者か
ら積み上げ」ではなく、「難易度や繁閑
に応じてタスクを分担、各々が担う」と
いうスタイルです。
役職層も事務仕事含めて担う場面があり
ますし、担当も「わからない」「できな
い」と言わず挑戦しなきゃいけない場面
があります。
一人一人が
プレイングマネージャーの
意識を持ちましょう
わからないことは聞いていいが、調べれ
ばわかるものは聞かずにまず自分で調べ
るクセを。
変わることを怖れないよう。居心地が悪
い場にこそ成長の機会があります。
上の仕事を「とる」「奪う」意識と行動
を推奨します。
めまぐるしいフィールド故に
不断に学び、成長し続ける
ことが求められます
決裁は必要最小限、日々の軽易な意思決
定等はメールや口頭で十分です。
情報共有はメールのCCやデスクネッツ、
Messengerを用いて時間の節約を。
報告のための会議や打ち合わせは不要。
階層的な
情報伝達や意思形成は
極力、排除します
- 55. 55
1. メールは、不要or機密でない限りCC or BCCにinnovation@pref.saga.lg.jpを設定ください。当然、氾濫します
が、個々のメールの要否は受取側が取捨選択します。個別にリマインドを要する場合は該当者に口頭で補足を。
2. 行事予定・行動予定は原則、Outlookに登録ください。総括監以外の場合は所属の、総括監を含む場合は部の予定
に登録のうえ、参加者に出席依頼を。また、総括監に出席を求める場合は、kazuhitokitamura@gmail.comにも。
3. 外部(庁内他部署含む)とのやりとりはデスクネッツに登録ください。登録時のメールをもって報告・情報共有
に代えます。うちの役所には記録の習慣がなく、時間が「積み重ならない(何度もゼロから話し合う)」場面が
多々ありますが、日々の業務の建設的遂行から引継ぎの際の企業等の情報の効率的な引き渡しにも寄与します。
4. 主なステークホルダー(企業、起業家、事業受託者等)とは、何らかのコミュニケーションツール(Messenger、
Slack、Teams、Chatwork等)でスレッドやチャネルをあらかじめ設定することを推奨します。高速・高頻度な
フィードバックループで打ち手を不断に改善し、仕事の質を向上させるのは当グループのスタイルの一つです。
5. 限られたマンパワーで成果を達成するため、様々な事務事業をアウトソースしていますが、受託者とは協働・共
創とともに「競争」も意識してください。受託を通じた情報の非対称性でいつの間にか足元を見られないよう、
あるいは異なった事務事業はできるだけ別の受託者に委ねて相互の競争と適度な緊張感が保たれるよう、など。
6. 他部署のように「なんでもまずは担当者」ではなく、タスクの難易度や個々の繁閑に応じて役職層含めて分担し
て処理します。例えば、議会答弁は専ら窓際対応ですし(聴取の同席は希望があれば係長以下も可)、講義・講
演や寄稿の類は専ら本人が資料作成含めて行います。総括監等が雑務的な照会に対応する場面も割とあります。
7. 係長は、担当者の時間を本業に集中させるため、周辺タスクや非定型タスクを引き取ることを意識してください。
副課長は、事務事業の質を担保するため、出口チェックやステークホルダーマネジメントを意識してください(な
ので例えば室内メール、これまで全部、私がフィードバックしてましたが、今後はまずは副課長から返信を)。
そのうえで、担当者はそうして生み出された時間を使って「一歩先」の仕事をする(先回りして手を打つ、老婆
心に思えてもやってみる等)を意識してください。
- 56. 56
1. 今回、副課長2人制とした意図は、これまで主に「1(総括監)対 7(参事以下)」の関係性でやってきたものの、業務量やス
テークホルダーの増で対応が困難になってきたことが一因です。よって両副課長におかれては、各チーム(産業DX、スタート
アップ)をまずは各々が率いるという自覚と責任をもって臨んでください。
2. 1との兼ね合いで、各チームにマネジメントは2名もいらないでしょうから、両係長は割と実務を担うことになります。より具体
的には、産業DXの方ではコンサル部分を一部分担したり、関係先の交通整理をやったり、少し息の長いテーマを担う、他方、ス
タートアップの方では西本さんが新採ですので、当面の間、基本的には係長との二人三脚でといったようなところでしょう。当グ
ループの場合、総括監も含めて各々に難易度等に応じて手作業その他を担うことが多いので、そこからしたら違和感はないものの、
他課室から来た方からすれば係長の在り方も若干、異なると思うので、念頭においておいてください。
3. 産業DXとスタートアップでのステークホルダーマネジメント上の大きな違いは、前者が基本的には(DXアクセラレータを除い
て)事業受託者とのやりとりが中心となることに対し、後者は受託者はもとより、その先の起業家等ともまた、直接的なやりとり
が発生することが多い点です。今回、この点からくる日々の事務雑務のボリュームの違いもあって、スタートアップには担当者を
1名増員しますが、そのことで起業家等との関わりの密度が薄くなると仕事の質も低下しますから、勘違いしないように。
4. 担当者5名中、西本さん以外の4名は、自らの政策テーマ(事業やタスクではありません。テーマや領域として振っています。こ
こも勘違いしないよう)について、各副課長のマネジメントの下、主体的かつ自律的に取り組んでいくことがまずは基本です。
5. 限られた人数でそれなりの仕事をするために多方面にアウトソースしてますが、原則論として以下、留意を。
「まとめてどっかに一括」が楽ですが、そうしていません。仮に丸投げすると、受託者との情報の非対称性がいずれ、受託者優
位の構図を生んで仕事がマンネリ化しうること、複数の受託者を相互に競わせてこそ健全な緊張感を保てること等からです。
他課室のように「受託者にお任せ・丸投げ」にしません。諸々の実務・雑務や定型業務は受託者に任せて構いませんが、さり
とて丸投げになるとつまらない仕事に終わりますので。
イベント等では受託者や支援対象、ゲストだけでなく、私達自身もそれぞれが出番をもって登壇等します。事業主体はあくま
で私達であり、プレゼンス確立のために必要なことで、「県の顔」が見えないのは私もですが、それ以上に知事も嫌います。
- 58. 佐賀大学大学院キャリアデザイン特論
“自分の問題”の見つけ方・付き合い方
Prev.
Next
R² = 0.5104
0%
10%
20%
30%
40%
-30% -20% -10% 0% 10% 20%
高校生県外就職率
移出超過・不突合/名目GDP
各県の移出超過と高校生の県外就職率( 1999年)
出所)「県民経済計算」「学校基本調査」
佐賀県
人は稼げないところから稼げるところへ
地方は都市に、一方的に“依存”してきた?
58
R² = 0.4124
5%
10%
15%
20%
25%
-30% -20% -10% 0% 10% 20%
一般政府経常移転/可処分所得
(
公的所得移転によるいわば「補填」)
移出超過・不突合/名目GDP
( いわば民間取引における「収支尻」)
各県の移出超過と移転所得( 1999年)
出所)内閣府「県民経済計算」
佐賀県
稼げないところには財政移転で補填
地方 都市
生産要素:ヒト=余剰労働力、カネ=家計の資金余剰
成長の果実の再分配
(都市の供給過剰に対する)移出先市場の提供
重点投入で
効率的に成長
(工業化社会の論理)
- 59. 佐賀大学大学院キャリアデザイン特論
“自分の問題”の見つけ方・付き合い方
Prev.
Next
なぜ、アメリカは世界の“市場”&“警察官”に?
59
-2.0%
-1.5%
-1.0%
-0.5%
0.0%
0.5%
1.0%
1.5%
80 85 90 95 00 05 10 15
各国・経済圏の経常収支(名目:USドル、GDPの世界計に対する比)
日本 アメリカ ユーロ圏 OECD(他を除く) 中国 BRICs&G20 NIEs&ASEAN OPEC その他
出所)IMF「World Economic Outlook」
アメリカが 市場を提供しながら…
米ドルの外貨準備に伴う米国債需要を背景に
y = 0.3364x + 8.773
R² = 0.7503
12.2
12.4
12.6
12.8
13.0
13.2
13.4
10.0 10.5 11.0 11.5 12.0 12.5 13.0 13.5
ln(アメリカの国防支出)
ln(日本・NIES・ASEAN・中国の経常収支)
アジアの経常収支とアメリカの国防支出
(ドルベース:対数変換値)
83~90年
91~00年
01~12年
出所)IMF「World Economic Outlook」(Apr.2014)、OECD「OECDstat.」(2014)
※ なお、名目値のため規模の問題があることから、双方を対数変換している
日本
アジアNIEs ASEAN
中国
その“見返り”に
米の財政支出や
経常赤字を
ファイナンス?
米の赤字縮小
ユーロ圏の
黒字転換
Notas do Editor
- 二つ、例をあげたい。一つはわが国の都市と地方。地方交付税や法人税の分配などを巡って東京都などから「地方は依存している」という議論がしばしばあるが、本当にそうだろうか。
このグラフ、点は各都道府県、左のグラフの横軸は移出超過、つまり、県を国と見立てればいわば貿易収支、縦軸は高校生の県外就職率。他方、右のグラフの横軸は左と同じ移出超過、縦軸は政府部門の財政移転で要は補助金や交付税。なお、1999年と古いデータだが、なぜなのかはまた後で。
ご覧のように双方とも負の相関があるが、左は「稼げないところから稼げるところに人が出ていく」といった関係を、右は「よそから稼げないところには稼げるところから財政移転で補填する」、つまり、民の取引の収支尻を財政で補填している関係を示す。これらを見ると確かに、依存と言いたくなるのも分かる。
だが、実はこれには高度成長期以来のわが国の成長モデルが関係している。つまり、ヒトやカネといった生産要素を都市部に集め、重点的に投資することで高成長を実現する、という、まさに工業化社会らしい発想。だから、その成長の果実を地方に再分配し、そのことで都市の供給過剰への市場を提供するとともに生産要素の再生産・再供給にもつなげる、そういう枠組み。
こう考えると、地方だけが都市に一方的に依存しているとは言えない面も。
- 二つ目は国際経済。このグラフは各国・地域の経常収支を世界のGDP合計に対する割合で示したもの。80年代以降、アメリカは毎年、赤字だが、これは同国が基軸通貨国だから。つまり、貿易決済に必要な外貨準備を多くの国では米ドルで保有しているため、その運用に米国債を購入する。よってアメリカは、「いつも諸外国からお金を貸してもらえる」立場にあり、その結果、「稼ぐ以上に費やす」ことが可能。
そのうえでグラフの上半分の黒字の側をみると、80年代半ば頃からはわが国、次いでNIEsなどアジア新興国、それから90年代にはいると同じアジアでもASEANなど後発国、さらに最近では中国が一定以上の黒字を記録。ちょうどこれは、これらの国の経済成長の時期と符合する。つまり、アメリカの経常収支赤字がこれらの成長のための輸出先市場を提供してきたわけだ。もっとも、最近ではこうしたやり方が金融危機を契機に見直しを迫られつつあり、アメリカの赤字幅が縮小するにつれ、アジアの黒字幅も縮小、これが相互依存という側面の一つ。
また、アメリカも単に気前よくマーケットを提供しているわけではなくて…右のグラフの横軸はわが国や中国、アジア各国などの経常収支黒字、縦軸はアメリカの国防支出。ご覧になってわかるように結構強い正の相関。つまりアメリカも漫然と市場を開放してアジアの成長を促してきたのではなく、そうやってアジア諸国が稼いだ黒字で国防支出をはじめ経常赤字をファイナンスさせてきたわけだ。
- わが国ではここ30年ほど、自己責任とか、「がんばった者が報われる社会」とか、ともすれば「がんばった者『さえ』報われればいい」といった論調も。ただ、ここまでの議論を踏まえるとそれがホントに正しいのかは疑問。
自己責任論的なものが台頭してきた背景には、経済学の歴史が深く関係。経済の畑でない人でもアダムスミスの「神の見えざる手」という言葉は知っていると思うが、あれが18世紀。ところが20世紀に入って大恐慌が起こり、世界が戦争に向かっていく一方、経済学の世界でも市場に任せるだけでは失業や貧困は解決しないという、いわゆるケインズ経済学が台頭。それらは1950~60年代の「福祉国家」に行きつくが、その後、オイルショックなども契機に物価と失業率という、ケインズ経済学の下ではキャンセルアウトし得るはずのマクロ指標が双方ともに上昇するというスタグフレーションが慢性化。そこで出てきたのが「やっぱり、市場に任せるべきだ」といういわゆる新古典派経済学。もっとも、これらも例えば「現実的ではない」とか「経済主体はそこまで合理的ではない」とかいろんな異論を呈されてはきたものの、主流派の地位に居続けたわけだけど、10年ほど前にサブプライムローン問題やリーマンショック、ギリシャ危機やユーロ危機といった金融危機へと至り、今、再考を迫られている。
この主流派経済学的な世界観を図で示すとこう。彼らのモデルでは経済主体の最適化行動の下、需要と供給が均衡し、いわゆるパレート最適の意味で効率的な資源配分が実現されるミクロの市場メカニズムをそのままマクロに拡大して捉える。市場に任せておけばなんでもうまくいくので、格差や貧困も自己責任だし、そこから抜け出したければ「生めや増やせや」的に専ら供給側でシャカリキに頑張るしかない、といった立場。
ただ、これまで見た二つの例からしても、均衡・最適化したミクロの市場メカニズムがマクロの隅々まで行き渡っているというのは、あまりにも「ファンタジー」にすぎるんじゃないだろうか。国際経済にしろ、地域経済にしろ、むしろミクロの不均衡がマクロで相殺されると捉えた方が現実の経済は理解しやすい。すると彼らが思うほど市場は万能ではないし、また先ほどの都市と地方の件でも、アメリカとアジアの件でも、実体経済だけでなくお金の動きもまた、実体経済に影響を与えていると考えるのが普通だ。すると経済主体や経済単位の間の関係は、主流派が言うように個々独立したものではなく、むしろ相互依存的なものと捉えるべきだし、このシステムの持続可能性はまさにそうしたプラグマティックな視点を伴ってこそ、見えてくると思う。
※ 現実の経済は(少なくとも短期では)価格調整ではなく数量調整。なぜなら価格には一定の粘着性があるから。開放経済では数量調整の「バッファー」として海外部門が機能。結果、域内需給は均衡しないのが普通。加えて、経済の金融化に伴って、こうした実体経済における需給の不均衡を清算、さらには助長・固定化させる方向に資本フロー(資産取引)が機能する。結果、現象理解にしろ、政策分析にしろ、世の関心は「いかに均衡に導くか」や「いかなる均衡から他のいかなる均衡に転移するか」ではなく、「いかなる不均衡から他のいかなる不均衡に転移するか」であるのが現実。
- そのような視点から自分と社会や世界を捉えなおすと、「がんばった者が報われればいい」のではなく、むしろ「情けは人の為ならず」の方がフィットする。いくつか例を挙げると、例えばこういったこと。国や地域といった大きな部分から、自分の会社とか、果ては職業とかに至るまで、「儲かった」と喜んでいるが、その分、他者が割を食っていたら、いずれ自分の首を絞めることにもなるし、ビジネスにしろ何にしろ、そうした視点なくば持続可能な絵は描けない。
市場経済の下では一人勝ちを続けることはできないし、赤字と黒字とか強者と弱者ってのは同じコインの表と裏。だからこそ、「自分だけ」ではなく、「社会や地域、世界」を考えるということが、キレイゴトとかヒトゴトではなくて、自分自身にとっての足場であり、働き、生活していく基盤を維持するためのものという視点が見えてくる。つまり、持続可能性なり、SDGsというテーマは、まさに自分のためにこそ、考える必要がある問題である。
- 教育に携わったのは十年ほど前、当時、教育界ではPISAショックがバズワードだった。国際学力調査でわが国があまりいい成績をとれなかったという話だが、背景にあるのは工業化社会から知識社会への変化。
工業化社会とは、たとえて言うと「とにかく作れば売れる」時代。だから問題を解決する力が大事。だがその後、社会の成熟化や飽和、グローバルな市場の統合、ITなどの発達を経て「何を作るべきかすらわからない」時代に。すると問題の解決以前に発見・定義する力が大事、となる。
このような中、昔は先ほどの都市の地方とのかつての成長モデルの中、教育も規格化されたルーティンワーカーの大量養成が大事だったが、今はそれではいけないのではないか、というのが当時の最大のテーマ。
- ということで、ご多分に漏れず、現場の教師や大学などと、こうした時代の変化を踏まえた授業開発に取り組んだわけだが…メンバーである現場の教師を観察していて、不思議なことに気づいた。例えば「熱心なのは事実だが、自ら手をあげようとはしない」「何かと言えば教育委員会をはじめ、『権威』や『正解』を求める」「“先生”は間違えることができない=間違っているのは他人で、自分は間違っていない」など。
そんな風景やその背景を考えながら思い至ったのが、「なるほど、児童生徒の問題は、そもそも教師や教育現場自身の問題でもあるんだ」ということ。確かに考えてみれば、教科書や指導要領はPISAショックを経て変わったが、「ナショナルミニマム」という言葉を隠れ蓑に、文科省や教育委員会が学校の箸の上げ下ろしまで口を挟む仕組みや体質は何一つ変わっていない、だったら、そういう中で自発的に考え、行動するということは教師にとって徒労に終わりがちだし、教師がそうなら、児童生徒もまた同様になりかねないよな、と。
- 役所に限らず、民間でもある程度の規模になれば「組織の常識は世間の非常識」ということは多々あるし、昨今の企業不祥事などでも明らか。ただ、その組織の中だけを見てみると往々にしてそうなりがちで、すると組織の外にも足場を持つことが重要。
私の場合は恵まれていたんだと思うけど、例えば教育委員会の頃は上意下達的な教育行政に割と批判的な教育職もいたし、あるいは産業セクションではITやベンチャーなど、これまでの産業振興にいわばアンチテーゼを感じている層もいた。組織の中だけを見て絶対視するのではなく、組織の外からも組織を見るということは、自分が「まっとう」であるためには大事で、これは冒頭の持続可能性やSDGsなどにも通じることの一つ。
- 「未経験のことにも臆せず向き合う」「居心地のいい場所ではなく、悪い場所にあえて出向く」というのは成長のために大事なこと。
自分の場合、大学時代は地域経済や産業論などをやっていたが、役所に入ったからとてそういう部署にいくわけではない。ただ、これだけ多くの部署に異動すると、それらそれぞれのドメイン知識はもちろん、仕事を通じてある種の汎用的・普遍的なスキルや知識も身につく。
ざっと例示すると例えばその時々ごとにこういうことがあげられるが、それが結果、自分の今のコアスキルを形作っているのも確か。