1. 顧客情報を不正に持ち出し売却
（2009年三菱ＵＦＪ証券）
三菱UFJ証券は2009年4月8日、システム部の元社員が顧
客情報148万6651人分を不正に持ち出し、うち4万9159
人分の情報を名簿業者に売却したと発表。

2. 元社員はシステム部の部長代理。エンドユーザーのコンピュータの操作や
データ処理などを支援する立場にいた。
顧客データ処理担当だった元嘱託社員のIDとパスワードを流用し、障害対
応目的と偽って顧客データ管理用のサーバーにアクセス。
顧客情報を抜き出した。
通常は作業用サーバーから外部記録媒体に顧客情報をコピーして持ち出すことはで
きないが、元社員は、オペレータに対して「特殊な作業」と偽り、暗号化した顧客
情報をCDに保存するよう指示。
CDをシステム部で作業すると偽って自宅に持ち帰り、パソコンのハードディスクに
顧客情報を保存。
これを名簿会社３社に対して売却した。

3. 各名簿会社はこれを更に転売。
最終的に顧客情報を入手した業者は８０社にまで拡大。
名簿の転売先は不動産投資会社など。
顧客からの苦情・問い合わせは１万２千件超。
１日に何度もしつこい勧誘電話がかかったりしたという。
中には精神的苦痛を訴える顧客も。

4. 損害額は約７０億円
•「お詫びのしるし」として1万円相当のギフト券を、情報が流出した
約5万人に対して発送
•事件調査や顧客からの問い合わせ対応、顧客情報の売却先となった業
者と交渉するための弁護士費用
•機関投資家からの発注減少による逸失利益など
（専務の意見陳述より）
「一番の損害は目に見えない信用の失墜である。
社会的な信用を傷つけられ、金銭では換算できない損失を
被った」

5. 元社員は懲戒解雇処分とした上で、告訴されている。
また、社長の役員報酬4カ月間30％の減俸をはじめ、
役員7人が減俸処分となり、システム部の職員ら５人もけん責処分となった。