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2018 年度 卒業論文
研究テーマ
「資金調達手段としての銀行の役割の変化とクラウドファンディングの登場」
2016 年 12 月 15 日
社会環境設計学科
(学籍番号 14EC279)
小原 大和
埼玉大学経済学部
1
目次
はじめに
第Ⅰ章 金融機関を取り巻く金融環境と銀行の変化
第 1 節 バブル崩壊後からの金融情勢の変化
第 2 節 金融情勢の変化による金融機関の変化
小括
第Ⅱ章 地域密着型金融における銀行の役割
(1) 地域密着型金融の取り組みと成果
(2) 現在の融資状況
(3) 銀行の役割
小括
第Ⅲ章 クラウドファンディングの登場
第 1 節 クラウドファンディングの概要と成功事例
(1)クラウドファンディングの概要
(2)日本におけるクラウドファンディングの現状
第2節 成功事例と従来型資金調達方法との比較
(1)クラウドファンディングの成功事例
(2)従来資金調達手段との比較
第Ⅳ章 融資型クラウドファンディングが与える銀行への影響
第1節 P2P ファイナンスと融資型クラウドファンディング(ソーシャルレン
ディング
第2節 ソーシャルレンディングの銀行への影響
第Ⅴ章 結論
参考文献
1
はじめに
本稿では、「資金調達手段としての銀行の役割の変化とクラウドファンディングの登場」
というテーマを扱っていく。近年、クラウドファンディングを活用した新規事業がメディア
で大きく取り上げられ、資金調達にあえぐ中小企業やベンチャー企業が次々と資金調達に
成功してきた。中には、クラウドファンディングを活用する大手企業も現れ始め、年々クラ
ウドファンディングというものの存在が資金調達手段として浸透しつつある。そんな中で、
このテーマを扱う理由としては、クラウドファンディングが、従来の最も代表的な資金調達
手段である銀行の「融資」にも影響しているのではないかと興味を持ったからである。融資
という資金調達手段の優位性を維持できなければ、クラウドファンディングがその役割に
取って代わる可能性も考えられる。また、その役割を担う銀行が今までどのような役割を担
い、そしてそれを変化させてきたのかを知ったうえで、クラウドファンディングの登場によ
って、銀行の役割がどのような変化を迫られているのかを考察したいと考えた。そこで、本
稿では、第Ⅰ章で銀行をはじめとした金融機関を取り囲む金融情勢と銀行の変化、第Ⅱ章で
は、その後現在まで続く地域密着型金融について、第Ⅲ章ではクラウドファンディングの登
場について、その特徴をまとめている。そして、第Ⅳ章では、銀行の融資に最も近い存在で
ある融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)が与える銀行への影響につ
いて考察し、最後に現在の銀行が、どういった役割の変化を迎えてきているのかを考えてい
きたい。
第Ⅰ章 金融機関を取り巻く金融環境と銀行の変化
第1節 バブル崩壊後からの金融情勢の変化
第1節ではバブル崩壊後の日本の金融情勢について述べていく。次節で、企業に融資をす
る立場の銀行の立ち位置を考察する上で、バブル崩壊後から現代に至るまでの金融情勢を
政府が行った金融政策の面からまとめていきたい。
(a)バブル崩壊後の緩和政策
バブル崩壊後の金融環境の変化を見ていくと、一貫して緩和状況にあった。1991 年から
1995 年まで、バブル崩壊後の日本の景気が後退していることを打開するため、公定歩合を
9 回にわたり引き下げ、金融緩和政策が続いた。1995 年には、公定歩合が 0.5%という世界
的に類を見ない低水準となった。それに伴い貸出金利も低下したが、依然として景気回復は
緩やかであったことから、超低金利は続いた。(図1参照)
2
図1 主要金利の推移
出所)商工総合研究所『金融環境の変化と中小企業』2015 6ページ。
1990 年代後半に入ると、金融緩和状態の中で、大手金融機関の破綻や住専問題1が金融シ
ステムを動揺させた。そのため、史上最低水準の公定歩合をさらに引き下げるゼロ金利政策
が実施されることになった。具体的に日銀が行ったのは、「破綻金融機関に対する特融2の発
動や、コールレートの急上昇に対する 3 兆 7,000 億円の資金供給などにより、金融システ
ム不安の鎮静化を図った。しかしながら、企業マインドは冷え込み、一方で金融機関の企業
向け貸出は低迷した。」3その後 2000 年に一旦ゼロ金利政策を解除するものの、2000 年以
降、IT バブルの崩壊に伴って 2001 年には復活し、金融緩和の主たる操作目標を従来の無
担保コール翌日物金利から日銀の当座預金残高の「量」に変更した量的緩和政策を新たに導
入した。これにより、日銀の当座預金残高は 5 兆円に増加し、無担保コールは、ほぼゼロに
なった。
しかし、当初の目標日銀預金残高は出発時点の 5 兆円から、2004.01.20 の 30-35 兆円へ
と 6~7 倍に増額された。その後 2006 年に入り、景気向上に伴って量的緩和政策とゼロ金
利政策が解除され、翌年には無担保コールの誘導目標が 0.5%前後に引き上げられた。4
(b)リーマンショック・東日本大震災時の混乱
1 住宅金融専門会社の不良債権問題。
2 日銀が金融システムの安定のために実施する特別の条件による貸付
3 商工総合研究所 『金融環境の変化と中小企業』商工総合研究所、2015 年
4 金能斗『超金融緩和政策の効果について』愛知学院大学論議 商学研究 47 2006 年
96 貢
3
2007 年米国のサブプライムローン問題5の表面化後、国際金融資本市場は不安定さを増
した。リーマンショックの影響で輸出による経済回復をしていた日本は、世界同時株安と
円高による影響で大打撃を受けた。(この間のいざなみ景気の内実は、輸出主導のそれだ
ったのである。それゆえ、 アメリカのサブプライム危機-リーマンショックによる景気
後退はアメリカの輸入を減退させ、そのことが本国以上に日本に危機的な状況を生じせし
めた。輸出の対前年度増加率が 08 年度にはマイナス 10.2%になっていることはそうした
ことを意味している。)6 これに対して、各国の中央銀行は政策金利を大幅に引き下げる
とともに、積極的な資金提供を行い、国際金融市場の危機的な状況は安定に向かった。こ
うした中、日本では 2008 年まで日銀による無担保コールの誘導目標を 0.5%にして金融緩
和を続けていたが、リーマンショックを契機に国際金融危機が勃発すると、日銀は政策金
利を 2008 年 10 月、12 月と連続して引き下げるとともに、潤沢な資金供給を実施し、国
内金融市場の安定確保に努めた。それまで 0.75%であった無担保コールの誘導目標は、10
月に 0.3%、12 月には 0.1%となった。7
2011 年 3 月の東日本大震災の影響で、日本の生産設備やサプライチェーンが破壊され、
大きな打撃を受けた。これを受けて日銀は、被災地への資金供給や損傷現金引換え依頼へ
の対応、被災地した金融機関の国庫・国際事務の支援などの処置を実施した。こうした、
取り組みもあり、金融面では持ち直したが、2011 年には欧州債務問題8が顕在化し、海外
経済が減速した。その結果、日銀は金融緩和の強化を行い、政府は「デフレ脱却に向けた
取り組みについて」を発表した。
(c)アベノミクスにおける量的・質的金融緩和
2012 年民主党から政権を奪取する形で発足した安倍内閣は①大胆な金融政策、②機動的
な財政政策、③民間投資を喚起する成長戦略の 3 本の矢からなる経済政策を打ち出した。
このうち、①の大胆な金融政策の「量的・質的金融緩和」を見ていく。「量的・質的金融
緩和」は通称、「異次元緩和」とも呼ばれるもので、これは、消費者物価の前年比上昇比
率2%の「物価安定の目標」を 2 年程度の期間を念頭において、できるだけ早期に実現す
るためにマネタリーベース9および長期国債・ETF10等の保有額を 2 年間で 2 倍にし、長期
国債買入れの平均残存期間を 2 倍以上に延長するなど、これまでにない量的・質的にも次
元の違う金融政策になっている。
日本の金融政策をめぐっては、「デフレは、経済低迷の原因ではなく結果である。金融
5 サブプライムとは、アメリカにおいて、貸し付けられるローンのうち、優良顧客(プラ
イム層)向けでないものをいう。通常のローンの審査にはとおらないような信用度の低い
人(つまり、低所得者)向けのローンであり、 高金利である。主に住宅や自動車を担保
として行われている。今回は、その一部に返済が滞り、不良債権化が生じていた。
6 田中史郎『アメリカ発金融危機と日本経済~2008 年危機とその後~』人文社会科学論叢
19 号 2010 年 72 貢
7 商工総合研究所、2015、12~13 貢
8 2010 年に入って、ギリシャで問題化した国家単位の粉飾により同国の財政が極めて悪化
していることが発覚後、ギリシャ国債は一挙に暴落、公務員改革などの財政再建も思うよ
うに進まず、ギリシャ政府が「財政再建の達成は困難」と発表したことから、IMF などの
支援審査が中止され同国の国債2年物利回りが 100%を突破、EU 諸国の支援にもかかわ
らずデフォルト(債務不履行)の可能性が現実味を増し、支援していた EU 諸国、海外経
済に影響を与えた問題。
9 中央銀行が供給する通貨のこと。日本では、市場に出回っているお金である流通現金
(「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」)と「日銀の当座預金」を合わせたもの。
10 上場投資信託のことで、上場しているため株の売買と同じように証券会社を通じて取引
が可能。
4
政策の効果は限定的であり、金融政策だけではデフレから脱却できない。」という議論
と、「デフレは貨幣現象である。デフレの原因は資金供給の不足である。」があるが、日銀
音金融緩和水準は、マネタリーベース総額の対 GDP 比でみると欧米と遜色ないものの、
通貨供給増加率でみると金融危機後に 2 倍~3 倍になるまで躊躇せずに増加させた欧米に
及ばない規模であり、どちらかというと日銀の不十分な資金供給が円高とデフレの原因に
なっていると批判されてきた。11
ここで、現時点のアベノミクスの効果を見ていくと、名目 GDP も実質 GDP も振り幅は
あるものの改善傾向にある。(図2、3より)
図2 名目 GDP と実質 GDP の変化率
出所:内閣府「国民経済計算」
図2を例にとると、名目 GDP も実質 GDP も 2012 年第2四半期(4 月-6 月)に落ち込
むもそこから、2013 年第1四半期(1 月-3 月)まで増加傾向にある。同様の傾向が 2014
年第1四半期(1 月-3 月)から 2015 年第1四半期(1 月-3 月)でも起きている。また、
日経平均株価を見ても(図3)、安倍内閣発足時の 2012 年から着実に 1 万円台を超え、安
定的に上昇している。
このような推移の中で、(さて,このような中で,安倍首相は,第三次改造内閣を 2015
年9月に発足させるにあたり,記者会見で「アベノミクスは第2ステージに移行する」と
述べ,「希望を生み出す強い経済」,「夢をつむぐ子育て支援」,「安心につながる社会保
障」という新たな「新3本の矢」を掲げた。それぞれの「矢」には,「GDP600 兆円」(名
目),「出生率 1.8」,「介護離職ゼロ」という目標が設定されている。しかしながら,こう
した目標をどのような理論的な背景に基づきながら,達成していくのか,そのシナリオは
「三本の矢」のように明確であるとは言いにくい。)12
との意見もあるが、全体としてはこ
11 佐藤洋一『金融危機防止策としてのアベノミクス』大妻女子大学杞要社会情報学研究
2013 年 35~37 貢 参照
12 矢尾板俊平 2016 年『日本経済再生と安倍政権の経済政策-アベノミクスの現状と課
題-』淑徳大学研究紀要(総合福祉学部・コミュニティ政策学部)50 号 123 貢
5
のままの形で景気は回復していくものと考えられる。
図3 日経平均株価の推移
出所:日経平均プロフィル
(d)小括
以上のように、バブル崩壊から日本の低迷した景気を回復させるための政府の動向を見
てきたが、一貫して中央銀行を介して行う超低金利の緩和政策を続けて、企業の投資活動
を喚起し、日本経済の回復を狙うものであった。しかし、リーマンショック以降の主要先
進国の経済において政策金利がゼロ%近辺まで低下していたことから、通常の金融政策の
ように、プラス金利の金融環境においての政策金利の上げ下げを通して実態経済に直接影
響を与えようとするやり方が通用しなくなった。このため、直接政策金利を持たない量
的・質的金融緩和が実施されることになった。現時点では上述したように、金融情勢の面
では回復傾向にあるように思われる。次節では、企業に融資をする金融機関側から変化を
見ていきたい。
第2節 金融情勢の変化による金融機関の変化
(a) バブル崩壊後の不良債権問題
バブル崩壊後、金融環境を取り巻く環境は、土地や株式の資産価値が下落する中で厳し
さを増していた。なかでも問題になったのが金融機関の不良債権問題だった。当時の「金
融機関の不良債権処理は、バブル崩壊後、住宅金融専門会社(住専)問題として表面化
し、次に金融機関の破綻が中小から大手へと波及し、我が国全体の金融システム不安の発
生へとつながっていった。」(商工総合研究所、前掲書、19 貢)住専は、バブル崩壊後の新
規融資の伸び悩みや既住融資の元利金回収難、担保割れといった事態に直面し、急速に経
営が悪化した。その後も悪化が進んだため、1996 年には公的負担 6,850 億円を予算に盛り
込んだ、住専処理法が可決された。同年 7 月には住専処理のため(株)住宅金融債権管理
機構が設立され、7 社の住専は解散した。また、1990 年代には信用組合や第二地銀など住
専以外の一般の金融機関も破綻が続いた。そして、この流れは大手銀行にも続き、1990 年
代後半には相次いで破綻が起こった。(特融を受けた主な銀行 北海道拓殖銀行、みどり
6
銀行、陽徳シティ銀行など)13こうした金融システム不安が広がるなか、中小企業に対す
る貸し渋りが大きな問題となった。その要因には金融 3 法の一つ、健全化法案が考えられ
る。
この時期、住専処理法と同時に成立した金融 3 法(健全化法・更生特例法・改正預金保
険法)は、金融機関の破綻の未然防止から破綻時の早期対策までの仕組みを定めたもので
あり、その一つの健全化法では、早期是正処置と呼ばれる、監督当局が自己資本比率とい
う客観的比率を用いて適時是正処理を行うことで、できるだけ早期に金融機関経営の安全
性を担保する処置がとられることになった。これにより、自己資本比率が一定基準を下回
った金融機関に対し、金融当局が業務改善計画書の提出命令や業務停止命令を発動できる
仕組みが 1998 年に整えられた。また、その仕組みの基準となる自己資本比率には、国際
的に活動する銀行間の競争条件の平等化及び国際的な銀行システムの安定性向上を目的と
する国際統一基準として、自己資本比率規制が制定された。この自己資本比率規制(BIS
規制)は、銀行の保有資産の信用リスクに対応するもので、海外で活動する銀行はリス
ク・アセットの 8%以上の自己資本を維持しなければならなかった。「当時の邦銀は欧米の
銀行に比較すると狭義の自己資本がほぼ半分に過ぎず、不足分を株式含み益などの広義の
自己資本でカバーしており、株価下落に等に弱い体質であったことから、グローバル競争
等に備えて自己資本の増強や資産圧縮等の対応が必要とされた。」(商工総合研究所、前掲
書、22~23 貢)このため、銀行は自己資本比率の維持向上を目的とした資産(貸出)の圧
縮へと対応せざるをえなかった。また、早期是正処置の導入とともに、銀行は自己査定に
より適切な償却引当を行って決算に反映させることになった。その結果、当時の金融シス
テム不安の中で、中小企業の信用力が低下すると、その貸出金について償却や引当が増加
する形で銀行の利益を圧迫し、融資態度の萎縮につながったものと思われる。
その後、1998 年これらの金融不安を解消すべく、金勇機能再生関連法と金融機能早期健
全化法が制定され、同年、貸し渋り対策の立法処置として 30 兆円近くの公的資金の投入
を見込んだ金融安定化 2 法を成立させた。この法案は、銀行の自己資本を政府の公的資金
により増強させることで貸し渋り問題を解消するものであった。「しかし、公的資金の投
入基準が明白でなかったことや横並びの申請、リストラ計画の不十分さなどといった多く
の課題が残り、公的資金投入後も金融システム不安の解消まで至らなかった。」商工総合
研究所、前掲書、30 貢)
そして、この間に中小企業政策の基本方針を示す中小企業基本法では「多様で活力ある
中小企業の育成・発展」を図ることを政策理念として「中小企業の経営地盤の強化」、「中
小企業の経営革新や創業促進「セーフティの整備」の 3 点が中小企業政策の目標として定
められた。このうち「セーフティネット」の整備に関しては売掛債権担保融資促進制度14
の創設、セーフティネット保障・貸付の充実、DIP ファイナンス15の推進などの処置がな
された。また、度重なる金融機関の破綻増加と不良債権処理をめぐる議論の中、民間金融
に対する検査・監督業務が金融監督庁に分離され、2000 年には金融庁に再編された。
(b)金融再生プログラムと貸し渋り問題の改善
不良債権問題は、1997 年度以降 2000 年まで毎年 10 兆円規模の大規模なものであっ
た。2002 年になると政府は、「集中調整期間」として 2004 年までの間に「金融再生プロ
13伊豆久 2013 年『金融機関の破綻処理と日本銀行』証券経済研究 第 84 号 85~88 貢
14中小企業者が借入金を返済できないときは信用保証協会が金融機関に貸付残高の9割を
代位弁済するとともに、金融機関及び信用保証協会は売掛債権から回収を行う制度。
15民事再生法等を申し立てた倒産企業が、申立直後から計画認可までの期間において、運
転資金を調達できずに、事業の継続が困難な場合に、この事業の価値を維持させる一時的
な運転資金融資のこと。
7
グラム」を作成し不良債権問題の正常化を図った。この「金融再生プログラム」の中で、
大きな特徴となっているのが、「リレーションシップ・バンキング」16の強化である。「金
融プログラム」は実施スケジュールに基づき着実に不良債権処理を進めていくものであっ
たが、中小・地域金融機関が有する不良債権には、地域の中小企業の競争力低下・非効率
性といった地域経済の構造問題そのものに起因するものが多数を占め、金融機関の融資が
直接企業の存続に大きく影響するものも多かった。このため、その影響を念頭に置きつ
つ、地域ごとの実態に合わせた対応の必要が生じた。このことから、「リレーションシッ
プ・バンキングの機能強化に関するアクションプログラム―中・小・地域金融機関の不良
債権問題の解決に向けた中小企業金融の再生と持続可能性(サステナビリティ)の確保
―」がとりまとめられた。このプログラムでは、2004 年までの「集中調整期間」中に各金
融機関及び行政が取り組むべきものとして、①中小企業金融の再生に向けた取り組み(創
業・新規事業支援機能等の強化、経営相談など)②各金融機関の健全性の確保、収益性の
向上等に向けた取組み(資産査定・信用リスク管理の厳格化、収益管理の厳格化、ガバナ
ンスの強化、法令遵守)③アクションプログラムの推進体制(リレーションシップ・バン
キングの機能強化計画の策定)の 3 点が挙げられた。17
そして、これらの方針で、中小・地域金融機関の不良債権処理について進められること
となった結果、地域銀行の不良債権化率は着実に低下していくこととなり、主要の不良債
権問題が正常化した 2004 年度には 5・5%に、2006 年には 4.0%と 2002 年のピーク時の
半分以下になった。(前掲、金融庁「リレーションシップ・バンキングの機能強化に関す
るアクションプログラム」)また、貸出に関しては「この間、金融機関では総貸出、中小
企業向け貸出ともに 2004 年まで減少が続いたが、上記のように(リレーションシップ・
バンキングの機能強化に関するアクションプログラムの進展の結果)本格的な不良債権処
理が進展し、概ね正常化したとみられる 2005 年度には、銀行、信金・信組ともにようや
くプラスに転じた。」(商工総合研究所、前掲書、39 貢)と、貸し渋り問題に対して改善が
見られた。
その後 2005 年に、このプログラムが終了することから、新たに「地域密着型金融の機
能強化に関するアクションプログラム」がつくられた。方針としては、前プログラムと変
わらず、地域密着型金融の機能強化により、中小企業金融のさらなる促進を目指すもの
で、創業・新事業支援機能等の強化事業再生に向けた積極的な取り組み、担保・保障制度
に依存しない融資の推進が図られた。その結果、大手行では、中小企業向けのスピード審
査による無担保・第三者保証不要の融資商品が開発されたり、地域金融機関では「集中改
善期間」に担保・保証に過度に依存しない融資が進められた。また、リレーションシッ
プ・バンキングの機能強化をはじめとする地域密着型金融の流れは現在でも地域金融の主
流になっている。
(c)リーマンショックと東日本大震災への対応
2008 年のリーマンショックに伴う世界的大不況が日本を襲った。日本においては国内金
融機関の損失がそれほど大きくなかったこともあり、緊急保障制度やセーフティネット付
与など、金融行政は国内の不況対策に重点を置かれた。次いで 2009 年には「経済危機対
策」として、中小企業の資金繰り支援として、緊急保障の枠を 20 兆から 30 兆円に拡大す
るとともに、据置期間を 2 年に延長した。また、同年 12 月には、民間金融機関に対して
中小企業などから貸付条件の変更があった場合、その企業の状況を考慮して、できる限り
16長期的に継続する取引関係の中から、金融機関が借り手企業の経営者の資質や事業の将
来性等についての情報を得て融資を実行すること。貸出しに当っての審査コスト等が軽減
され金融の円滑化が図られ、リスクを適切に反映した貸出しの実施や借り手の業績が悪化
した場合の適切な再生支援等により、貸し手・借り手双方の健全性の確保できる。
17 金融庁 HP リレーションシップ・バンキングの機能強化に関するアクションプログラム
(http://www.fsa.go.jp/news/newsj/14/ginkou/f-20030328-2.html)
8
変更処置をとるように努めなければならないとする努力義務が定められた中小企業円滑法
が施行された。
2013 年 3 月の震災後、政府は地域の中小企業に対して、資金繰り対策・2 重債務問題対
策、工場や商店街への支援に乗り出した。このうち、資金繰り対策としては「災害復旧付
与」が実施された。「貸付限度額(別枠)は,日本政策金融公庫については,中小企業事
業別枠が1億 5000 万円,国民生活事業別枠が 3000 万円,商工中金については別枠1億
5000 万円であった。この貸付の貸付金利は基準金利が適用され,同公庫の中小事業は
1.75%,国民生活事業は 2.25%,商工中金は 1.75%であったが,被害が特に多かった中
小企業者等は,1000 万円を 限度として特別措置を受けることができ,この特例金利は基
準金利から 0.9%を引き下げたものであった。」18これらのまた、復興に向けて再スタート
を切るために既往債務が負担になって新規資金調達が困難となっている事業者に向けて
(株)東日本大震災事業者再生支援機構が設立された。
(d)小括
以上のように、バブル崩壊後から震災までの金融機関側の対応を見てきたが、バブル崩
壊後は、住専問題を処理するために定められた金融 3 法によって、貸し渋り問題が生みだ
され、金融システム不安の中で住専債務の処理が続いていた。この流れを断ち切るべく、
2002 年の「金融システム再生プログラム」が実施され、債務処理とリレーションシップ・
バンキングの機能強化がはじまった。このプログラムにより、ようやく不良債権化率か落
ち着き、貸出率も 2005 年にプラスに転じた。そして、その後のリーマンショック・震災
の影響を受けつつも金融機関は、政府の政策に乗じて地域密着型金融として創業・新規事
業支援、担保・保障に過度に依存しない融資の推進、リレーションシップ・バンキングの
機能強化を推し進めていった。なかでも、リレーションシップ・バンキングの機能強化を
引き継ぐ地域密着型金融の流れが、近年に続く金融機関の目立った特徴であった。次章で
は、第Ⅰ章の結果を踏まえ、地域密着型金融としての取り組みとそれに伴う中小企業への
融資状況について述べ、中小企業・ベンチャー企業の資金調達手段としての融資について
考察していく。
第Ⅱ章 地域密着型金融における銀行の役割
第 1 節 地域密着型金融の取り組みと成果
(1) 地域密着型金融の評価
前述したように「地域密着型金融」という言葉は、リレーションシップ・バンキングか
らの流れを引き継いでおり内容としては、ほぼ同義である。「リレーションシップ・バン
キング」は地域に着目すれば「地域密着型金融」と言うことができるからである。(英語
表現をカタカナに置き換えたものよりも 「地域密着型金融」 という日本語表現のほうが日
本人になじみやすいとも考えられる。 ~だが金融庁は上記のことを考慮して 2005 年3月
29 日以来, 「リレーションシップ・バンキング」 という表現に代わって, 「地域密着型金融」
という表現を用いるようになっているのであろう。)19
18齊藤壽彦『東日本大震災と被災中小企業支援金融 ―政策金融と信用保証を中心として
― 』国府台経済研究 24 号 2014 年 16 貢
政府が迅速に復旧付与できたのは、震災の経験があったためであり、この他に「東日本大
震災復興特別付与制度」も創設された。
19齊藤壽彦『地域密着型金融』千葉商大論叢 49(2), 2012 年、24 貢
9
ここでもう一度、地域密着型金融の意義についてまとめると①長期取引により貸出しの
審査コストが軽減され、また質的情報の入手により情報の非対称性が緩和され金融の円滑
化が図られる。②信用リスクを適切に反映した収益性を伴う貸出が実施される。③借手は
業績悪化した場合に適切に再生支援され、貸手と借手双方の健全性の確保が図られる。
以上の 3 点が挙げられるが、果たして本当にこのような機能を果たしているのだろう
か。金融庁が行ったアンケートを見てみると次のような結果が分かった。
図4 金融庁による地域密着型金融のアンケート
金融庁 HP「地域金融機関の地域密着型金融の取組み等に対する利用者等の評価に関するアンケート調査結果等の概
要」(http://www.fsa.go.jp/news/27/ginkou/20150821-2.html)
図3の(1)地域密着型金融の取組姿勢に対しての評価を見てみると、平成 24 年度から
26 年度までで積極的・やや積極的であると評価したのは、全体で 49.2%から 58.0%に増加
した。(2)顧客企業に対するコンサルティング機能の発揮では、平成 24 年度から 26 年度
まで積極的・やや積極的を合わせると(ⅰ)顧客企業との日常的・継続的な接触で 55.3%
から 55.4%、(ⅱ)目利きの能力を発揮し、顧客の事業性を評価する能力は 26.7%、から
32.3%の推移であった。このことから、確かにプラス評価が増加傾向にあると言えなくも
ないが、(ⅰ)(ⅱ)の日常的な接触や事業性の評価といった観点の推移を見ても、情報の
非対称性をカバーするというリレーションシップ・バンキングの強みを活かせているとは
思われない。
10
(2)現在の融資状況
しかし、一方で銀行の貸出態度・貸出預金残高を見ると、次のようになる。
図4 日銀短観による貸出態度判断 DI と中小企業景状調査
図5 中小企業向け銀行貸出残高前年比
出所:日本銀行「短観」(https://www.boj.or.jp/statistics/outline/exp/tk/faqtk.htm/)
図4の貸出態度を見てみると、ここ数年は「緩い」との評価がなされ、図5の貸出残高を
見ても増加傾向にある。このことから、現在の融資環境としては、比較的受けやすい環境
にあると思われる。また、(1)で見てきたような地域密着型金融に関する意見には、「利
用者の意見が厳しいほど、金融機関に期待するもの、つまり金融機関が地域においてどの
ような付加価値を生み出すべきであるかを如実に物語っているように思える。」(商工総合
研究所、前掲書、57 貢)との見方もあり、評価と、実際の融資状況の厳しさ・融資額は
11
別々の問題だと思われる。実際には、図4,5で示すような融資に対する態度と額は改善
傾向にあると言える。
(3)地域密着型金融から見た銀行の役割の変化
ここで、地域密着型金融における銀行の役割を一旦見ていくと、従来型の銀行の役割は
単なる資金の貸し手の意味合いが強かった。しかし、貸し渋り問題が景気の低迷を助長さ
せていたことから、リレーションシップ・バンキングとしての機能強化が叫ばれるように
なると、取引相手の仲介や経営相談など、その取り組みは単なる貸し手ではなく、ビジネ
スパートナーとしてともに付加価値を生み出していく関係性へと変化していった。そうい
った意味で、(1)(2)で見た結果は、金融機関に対して求められるものが変わっていっ
た結果であると言える。
(4)資金調達手段としての融資
次に資金調達手段としての融資をみていくと、融資は前述したように貸出の改善傾向が
見られるものの審査が厳しく、創業後の追加融資が他の資金調達手段よりも難しい。出資
と比較してみると、返済と利子の支払いの義務が生じる。一方で、出資のように経営の支
配権を奪われる心配がないため、経営者は経営に集中することができるというメリットも
ある。しかしながら、これまで見てきた金融変化の中で貸手である銀行は、景気によって
貸渋りなどの問題を引き起こす可能性がある。このため、現在の銀行を含む金融機関に新
たなフィンテックという脅威が登場した。
(5)フィンテックの登場
フィンテックとは、金融(Finance)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造
語のことである。リーマンショックが起こった当時、金融機関が中小企業や低所得者への
融資を貸し渋ったところに、目を付けた IT 企業がネットから融資を受けられる新たな金
融サービスを開始したことがきっかけで生まれた IT を駆使した金融や決済などの技術革
新をいう。例えば、代表的なものは後述するクラウドファンディングや Square20や
PayPal などの電子決済サービスである。これらのサービスがあれば、今までのように資
金調達のために銀行から融資を借りる必要や、SNS を使った送金サービスが今後整ってく
れば、わざわざ銀行や ATM に行く手間もかからない。従来のような企業が銀行に頼る形
はフィンテックの浸透とともに変化してきている。21
(6)小括
地域密着型金融の例と銀行の役割の変化を今まで見てきたが、企業が銀行に求める役割
は単なる資金の貸し手ではなく、取引先の仲介などによる事業パートナーとしての位置づ
けに変化してきた。金融環境のみならず、フィンテックのような技術革新により資金調達
手段としての銀行・ビジネスパートナーとしての銀行の役割はさらに変化を求められてい
るように思われる。次章では、新たな技術革新であるフィンテックの中から、クラウドフ
ァンディングを取り上げて、その影響について考察していく。
第Ⅲ章 クラウドファンディングの登場
第Ⅲ章では、前章で述べたフィンテックの中からクラウドファンディングを取り上げて
いく。クラウドファンディングを取り上げた理由としては、フィンテックの中で資金調達
手段として、銀行の融資の役割に取って代わる可能性が最も高い資金調達手段であったか
らだ。まずは、クラウドファンディングの成り立ちや成功事例を見つつ、従来の資金調達
手段との比較を行いたい。
20 小型のカード読み取り機をスマホに差し込んでクレジットカード通すだけで、どこでも
クレジット決済できるサービスのこと。
21 日経コンピュータ『FinTech 革命』日系 BP 社 2015 年 120~123 貢
12
第 1 節 クラウドファンディングの概要と成功事例
(1) クラウドファンディングの概要
クラウドファンディング「Crowd Funding」とは、「群衆(Crowd)」からの「資金調
達(Funding)」の語を用いた造語であり、一般的には投資家と資金需要者をインターネッ
ト上で結び付け、多数の投資家から少額の資金を集める仕組みのことである。クラウドフ
ァンディングには、そのリターンの種類によって「寄付型」「購入型」「投資型」「融資
型」「株式型」の5つの種類がある。さらに金銭ではなく、モノやサービスによってリタ
ーンを受け取ることが出来る「非投資タイプ」(寄付型、購入型)と、金銭によってリタ
ーンを得られる「投資タイプ」(投資型、融資型、株式型)に分けることが出来る。それ
ぞれを詳しく見ていくと、以下のようになる。
・寄付型:海外の難民救済や災害復興などの支援を行う際の資金調達に適している。社会
貢献性の高いプロジェクトが多く、出資を行っても、モノやサービスのリターンはない。
通常の寄付活動であれば、自分が寄付したお金の使用先が不透明であるが、寄付型クラウ
ドファンディングの場合、プロジェクトの責任者が資金の使い道について明確に報告する
ことで、より多くの共感を得つつ、さらなる資金調達が可能になる。
・購入型:新しいサービスやモノの開発に関する資金調達に適している。アートや新製
品、ファッションなど多岐にわたる。最近であれば、女優の「のん」がヒロインの声優役
を務めた長編アニメ『この世界の片隅に』22がある。支援者はモノやサービスのリターン
を受け取ることができ、プロジェクトの立ち上げから応援していることが「つながり」と
して支援者へ満足感を提供できるのが最大の特長である。
・投資型:事業者は資金調達後、その事業で売上を獲得し、出資者はリターンとして売り
上げの一部を投資した金額に応じて分配金を受け取ることが出来る。その他にも、モノや
サービスを受け取る場合もある。
・融資型:「ソーシャルレンディング」とも呼ばれることがある。必要資金が少ない、設
立年数が浅いなどの理由から銀行から融資を受け取れない企業や、銀行以外にも資金調達
手段が欲しい企業に適している。リターンとして、一般の預金等に比べて高い利回りの返
済金利や元本を受け取ることが出来る。
・株式型:未上場企業が 1 社あたり上限一億円、一人当たり最大 50 万まで株を購入する
ことが出来る。新規事業や企業の立ち上げの資金調達に適している。普通の株式同様、株
主として配当や株主優待を受けることが出来る。23
22 「Makuake」というクラウドファンディングで募集をかけ、2000 万の資金調達に成功
したアニメ映画。
23 山本純子『入門クラウドファンディング』日本実業出版 2014 年 40~41 貢
13
(2) 日本におけるクラウドファンディングの現状
日本におけるクラウドファンディングの累計支援額は年々伸び続けている。
図6日本の主要クラウドファンディング 累計支援額 月次推移
出所:Visualizing.info 「日本の主要クラウドファンディング 累計支援額 月次推移 (積
み上げグラフ)」(http://visualizing.info/article/4255.html)
図を見ると 2013 年末からクラウドファンディング市場に参入する企業(Shooting
Star,Makuake,など)が増えたことや「クラウドファンディング」そのものの認知度が上
がるにつれ、REDEFOR?や前述した話題性の高い長編アニメなどを扱う Makuake が規模
を拡大していることが推測される。全体的な推移でみると、2014 年に1億円規模であった
市場が現在では 9 億円に到達するくらいにまで伸びている。その話題性からマスメディア
によって取り上げられ、認知度が上がったことも考えられるが、次の2つの要因が考えら
れる。①法整備による募集金額の上限拡大、②共感性と価格性の2つである。
① 法整備による募集金額の上限拡大
2013 年 12 月 12 日、金融庁の金融審議会が「新規・成長企業へのリスクマネーの供
給のあり方等に関するワーキンググループ」を開催し、株式型クラウドファンディン
グの導入が話合われ、翌年の通常国会において「資金調達額は1億未満、個人一人あ
たりの投資額上限は 50 万以下」とする法案が提出され、翌年施行された。この背景に
は、これまで同様の規制があったアメリカで「Jumpstart Our Business Startup Act
法」(JOBS 法)が成立したことにより、今まで法規制が厳しく個人の非上場株式の取
扱いに関して、一部ネットを介して行う少額のものの規制を緩和する流れが日本にも
14
起きたためである。この法整備の結果、募集金額の上限拡大・株式型クラウドファン
ディングの導入によって、各企業のクラウドファンディングの使用が活発化され、現
在のような規模に拡大したと推測される。(山本、前掲書、39 貢)
② 共感性と価格性
クラウドファンディングの特徴として、「共感性」がある。例えば、長編アニメ『世
界の片隅に』のような企画の段階から、出資者が参加することから一緒に作り上げて
いる一体感や、そもそもの企画に関する共感性があることで、資金が集まりやすくな
る。共感性の例をもう一つあげると、REDYFOR?やキャンプファイヤーなどの初期の
プラットフォームが東日本大震災の直後に被災地支援のプロジェクトを立ち上げてい
る。被災した陸前高田市の仮設住宅に新しく作られた図書館の蔵書購入のためのプロ
ジェクト「陸前高田市の空っぽの図書室を本でいっぱいにしようプロジェクト」で
は、862 人から 824 万 5000 円が集まっており、その企画の共感性が高いほど支援者
が増えているケースの一つである。
また、価格も 5000 円代からなど一般の出資者が手を出しやすい価格帯に設定してい
ることで、気軽に出資することができる。通常の株式投資のように1単元あたりの値
段が高額でないことや、完成した映画の鑑賞券や出資者だけしか手に入らない金銭以
外のリターンも出資者を引き付ける要因になっている。
以上の二つの要因がクラウドファンディング市場の規模拡大につながったものと思われ
る。次に、クラウドファンディングの成功事例と従来の資金調達方法とを比較していきた
い。
15
第 2 節 成功事例と従来型資金調達手段との比較
(1) クラウドファンディングの成功事例
(a)ニコニコ学会βプロジェクト
「誰もが自由に研究する新しい学会」をテーマに 2011 年から始まり、年 2 回のペース
でシンポジウムが開催されている。REDYFOR?を通して資金調達を行っているのだが、
注目すべきは、繰り返し複数回クラウドファンディングで資金調達に成功している点だ。
通常の金融機関などで企業側が追加の資金調達を行おうとしても難しいが、出資者の心を
ひきつけるような工夫ができるのがクラウドファンディングの強みである。今回の事例で
あれば、そのリターンである引き換え券の設定にポイントがある。その引き換え券の設定
をまとめた表1を見てみると、毎回出資者の心をつかむ工夫がなされている。24
表1 ニコニコ学会βの REDEFOR?における引換券の設定
出所:(岡本真、前掲書、310 貢)
まず注目したいのが、低価格帯にエンドロールに出資者の名前をのせる点である。実行
者からすれば、名前をのせるだけなので業負担も減り、出資者側からすれば一緒に創り上
げていく共感を生んでいる。また、価格帯が上がると、ニコニコβ学会が開かれるスタジ
オに招待される。ニコニコ生放送というインターネット上で認知度の高いメディアで使用
されるスタジオであり、収容人数も限られている点を考えると、ファン心理を上手くつい
た設定だといえる。この事例では、クラウドファンディングは、追加の資金調達という点
において、アイディア次第でいくらでも出資を募ることができることを示している。
24岡本真『クラウドファンディングの最前線 : READYFOR?の運営経験を通して(<特集>
ファンドレイジング活動) 情報の科学と技術』社団法人情報科学技術協会
64 号, 309-311, 2014 年
16
(b) 大手企業のクラウドファンディング活用例
図7 タカラトミー「スマイルメディくん」
出所:Makuake「スマイルメディくん 募集ページ」
(https://www.makuake.com/project/smile-medi)
タカラトミーは、有限会社デジレクトとのコラボ商品「スマイルメディくん」を大手ク
ラウドファンディング Makuake を活用して 74 万 1000 円の資金調達に成功した。この商
品は、ユーザーの薬の飲み忘れを防止することを目的としてつくられたもので、老化防止
も目的とした会話機能もついている。今回は、先行販売としてテストマーケティングの意
味合いとクラウドファンディングを活用することで商品のプロモーションを行うことを目
的としたものと思われる。
(2)従来型資金調達手段との比較
この二つの成功事例を踏まえつつ、従来型の資金調達手段との比較をしていきたい。ク
ラウドファンディングと従来型の一番の違いは、適格審査の性質にあると思われる。銀行
による融資にしろ、VC や専門の出資者による投資にしろ、そのほとんどが厳正な審査を
必要とする。第 1 章や第 2 章でみたような銀行による融資審査が良い例である。この投資
者が自らの投資対象の適格性を判断するために行う調査全般のことを適格審査(デュー・
デリジェンス)という。従来型の資金調達手段において、投資者側は、資金を出して損失
を出すわけにはいかないため、その審査は専門家による大事なプロセスとなり、第2章で
みたような銀行によるリレーションシップ・バンキングなど、それぞれが企業側と信頼関
係の構築やソフトな情報の獲得により行われてきた。しかし、クラウドファンディングに
おいては、専門家によるそうした審査はなく、資金提供者に何度もアプローチをしている
わけではない。では、その本質的な違いはどこにあるかというと、従来型のような審査に
17
依存したものではなく、出資者の共感性やつながりというところにある。従来型にも創業
者やその事業に対する思いが出資者の出資に対しての考えに大きく影響することがあった
かもしれないが、その受け取り手である出資者の数が圧倒的に多いのがクラウドファンデ
ィングである。だからこそ、従来型の数人からの共感よりも数百人の共感を必要とするク
ラウドファンディングでは、厳格な審査よりも多くの支援者を募る共感性が重要になって
いると考えられる。ある意味では、その共感性が審査になっていると言える。また、共感
性やつながりとった観点で考えると、クラウドファンディングは景気や政策による影響が
少ない。前章でも見たように、従来型の銀行や VC などは景気や政策による影響を受けや
すいが、少額による出資を行う一般出資者の共感性はほとんどが影響なく、貸し渋りのよ
うな問題を起こす心配がない。重要な点は、ニコニコ学会βの事例に見たような支援者の
共感性をいかにして引き出せるかである。
次に、資金調達の規模や段階について比較していく。段階的な各資金調達手段の役割に
ついてまとめた表が以下のようになる。
表2 ファンディング・ライフサイクル
出所:山本、前掲書、44 貢
この図をみると、起業前のテストマーケティングからその後の成長期までをクラウドフ
ァンディングがその役割を担い、資金規模がクラウドファンディングで賄いきれなくなる
と VC、機関投資家と調達手段が推移していくとなっている。日本も同様に規模の拡大と
ともに、資金調達手段は移っていくと思われるが、従来型の資金調達手段のみに依存した
日本の企業の場合、起業後の成長期に実績や信用のない企業が追加で融資をうけるのは難
しい。その点、クラウドファンディングでは、そういった実績や信用による審査の面をク
リアできる。また、起業時のファンディング・ギャップと言われる隔たりも、募集金額の
大きな購入型が埋めてきている。25このため、クラウドファンディングで賄える範囲にお
25 山本、前掲書、44~46 貢
18
いては、柔軟に対応できる。従来型の資金調達手段では、融資先の規模や企業側のニーズ
によって住み分けができていたが、大手であるタカラトミーの事例から分かるように、ク
ラウドファンディングの募集規模の範囲の中では、そういった住み分けの必要がなく、
様々な企業側の要望に応える資金調達手段となっていると思われる。
以上のように、成功事例から従来型との比較を行ってきたが、本質的に多数の出資者の
共感を資金に変えるクラウドファンディングは、従来型のような審査のみによる資金調達
手段とは異なる。また、共感を軸にした手段であることから、従来型のような金融情勢の
変化、政策の変化によって影響を受けてきた機関投資家のように貸し渋りを起こすことも
ない。そして、クラウドファンディングの募集規模の範囲であれば、大手も活用し始める
など、企業側の立場を選ばずに柔軟にそのニーズに応えられる。では、銀行をはじめとし
た融資を基本的な資金調達手段として提供する金融機関は、このクラウドファンディング
の登場でどのような影響を受けるのだろうか?次章では、クラウドファンディングの中で
も、銀行と同じような資金提供手段である融資型クラウドファンディング(ソーシャルレ
ンディング)を取り上げ、その影響について考察していきたい。
第Ⅳ章 融資型クラウドファンディングが与える銀行への影響
第1節 P2P ファイナンスと融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)
ここで融資型クラウドファンディングについて改めて整理すると、ソーシャルレンディ
ングとも呼ばれ、必要資金が少ない・設立年数が浅いなどの理由から銀行から融資を受け
取れない企業や、銀行以外にも資金調達手段が欲しい企業に適しているクラウドファンデ
ィングの種類で、リターンとして、一般の預金等に比べて高い利回りの返済金利や元本を
受け取ることが出来る。こうしたソーシャルレンディングのような、個人と個人の借り手
と貸し手を結ぶ仕組みのことを、“Person to Person”, P2P ファイナンスと呼んでいる。
クラウドファンディングは、この P2P ファイナンスにあたるものである。このうちの融
資型クラウドファンディングの先駆けともいえる企業、レンディング・クラブの登場が、
金融業界に大きな影響を与えた。レンディング・クラブとは 2007 年にアメリカで創業さ
れた企業で、サイト上に借り手と貸し手がそれぞれ必要情報を記入して、入会後リストに
組み込まれ、マッチングする仕組みになっている。注目すべきは、貸し手は借り手のリス
トを見て、自分が投資に用いるお金のうち、いくらを誰に振り分けるかを決める。つま
り、分散投資が個人で可能になったということである。従来において、こういったリスク
の分散を個人で行うことは、技術的にコストがかかりすぎたため、不可能であった。しか
し、「レンディング・クラブのイノベーションは、今まで金融機関のみが行うことができ
た貸付のリスク分散を、個人で行うことを可能にしたのである。」26
また、第2章で述べた、金融機関が融資審査を行う際の情報の非対称性も、クラウドフ
ァンディングを可能にした IT 技術の進歩により、低コストでカバーできるようになって
きている。それは、従来でのように金融機関など融資審査を持つ機関であれば、リレーシ
ョンシップ・バンキングなどを通して、銀行は独自のノウハウを蓄積しているため、一般
人が情報を取得するのに比べて低コストであった。しかし、「情報技術の進歩により P2P
ファイナンス・クラウドファンディングのプラットフォームが広く受け入れられているこ
とは、これらのプラットフォームが従来の金融機関よりも効率よく顧客の情報を取得でき
る可能性を示唆しており、結果として資金調達に必要な「情報取得の対価」が下がるかも
しれない。」(慎、前掲書、58 貢)との指摘があるからだ。今やソーシャルネットワークが
普及した現代において、貸し手は、Facebook や Twitter などのソーシャルネットワークを
活用し、相手の人となりが理解できる。つまり、わざわざ、銀行のようなノウハウがなく
26慎泰俊『ソーシャルファイナンス革命』技術評論社 2012 年 162 貢
19
ても情報の非対称性を乗り越えることが可能になってきていると言える。この相手を知る
ことの重要性を把握していたからこそ、銀行は前述したようなリレーションシップ・バン
キングをはじめとした地域密着型金融を推し進めていると思われるが、ソーシャルネット
ワークの普及と、クラウドファンディングのようなプラットフォームがこのまま進歩を続
けていけば、低コストで融資先の情報を取得できる金融機関の優位性はなくなっていくと
考えられる。
第 2 節 ソーシャルレンディングの銀行への影響
一方で、そういった情報の非対称性を克服しているプラットフォームばかりではない。
中には、情報の非対称性を克服しきれていないものもあり、日本で代表的な融資型クラウ
ドファンディング(ソーシャルレンディング)においては maneo がその例である。その
仕組みを見ていくと、日本では、個人が貸金業登録無しで反復継続してお金を誰かに貸す
ことが禁じられている。そこで、図の8のように借り手と貸し手の間に maneo が入るこ
とにより、「自分の代わりにお金を貸すことが人に出資をする」という形をとった。具体
的には、貸金業登録を行い、反復継続的にお金を貸すことが出来る maneo に個々人々が
出資をする仕組みである。ここでは、匿名契約というものを結んで、貸し手は maneo に
出資をする。そのお金を持って、maneo は借り手にお金を貸している。27 そして、出資
を募るのも金融商品取引業者の登録が必要なため、maneo マーケットがその役割を担い、
借り手の企画に対して出資者を募ることで、個人間の融資を可能にした。
図8 maneo のスキーム
慎泰俊『ソーシャルファイナンス革命』技術評論社 2012 年 188 貢
しかし、問題なのが maneo のシステムにおいては、貸し手と借り手は、相互に ID によ
って匿名化されており、貸し手による借り手への接触も禁止されている。貸し手が借り手
に関する情報として取得できるのは、 maneo マーケット株式会社が提供する借り手に関
する属性情報と、オークションの過程で貸し手が借り手に対して行う質問しかないことで
ある。このことに関して「マイクロファイナンスが活用していた共同体的な社会的結合関
係に比較して、ごく弱いものである。ましてや、銀行や消費者金融機関などの伝統的な金
融仲介機関が得られる情報に比較して、格段に優れたものでもない。」との指摘がある。28
もともと、ソーシャルレンディングは発展途上国の低所得層向けに低利子で借りられてい
27慎泰俊『ソーシャルファイナンス革命』技術評論社 2012 年 188 貢
28森田果『ソーシャルレンディングの機能 : maneo の事例を題材に HOW SOCIAL
LENDING WORKS』グローバル時代の男女共同参画と多文化共生3号, 2010 年、61~
3貢
20
たものだった。そうしたマイクロファイナンスと呼ばれるものにおいては、情報の非対称
性はあったが、村社会という小さなコミュニティ内で、借り手が返済できないことに対し
て個人としての体面を重視する性質が抑止力となっていた。このため、マイクロファイナ
ンスという範囲では情報の非対称性は、問題ではなかった。しかし、日本のような先進国
で活用される場合、特に moneo のようにソーシャルネットワークを活用できない場合、
前述したような金融機関が抱えている情報の非対称性の問題を克服することができず、む
しろ従来の金融機関の方が情報取得に優れていると言える。この点に関しては、maneo 自
身でも、銀行の融資審査項目と似た基準を設けており、あくまでも、銀行やほかの金融機
関でも融資を受けられる企業に対して、資金調達手段の選択肢を提供しているという姿勢
をとっていることになる。森田(2010 年)によれば、「(銀行から借り入れることのできな
い)借手に対してファイナンスを受ける可能性を開くものとして期待することは、正しい
認識ではない」との指摘もある。
では、maneo のような日本のソーシャルレンディングの優位性はどこにあるのかという
と、①適格審査の柔軟性と②リターンの高さである。①審査の柔軟性に関しては、前章の
第 2 節の(c)で述べたように、融資審査を行う上で、実績や前例のない事業において
も、一人一人の貸し手が納得するものであればよいということである。従来型の金融機関
の審査は、そういった意味でリスクを負えず硬直的であった。その点、ソーシャルレンデ
ィングは少額の融資のため、貸し手の心理的なハードルも下がり、資金が集めやすい。②
リターンの高さに関しては、通常の定期預金と比べて高利子であるため、リターンが大き
いということである。金融機関の場合と比較して、人件費やシステム面でのコストがかか
らない分、利子を高く設定できる。また、銀行はリターンが安定している反面、預けたお
金がどのように運用されているか不透明である。一方、ソーシャルレンディングの場合、
リスクが銀行よりも高いが、自分で投資先を選ぶことができる。そしてその他にも、クラ
ウドファンディング特有の共感性により、貸し手の満足感にもつながることや、従来の金
融機関のように政策や景気の影響に左右されにくい点も、重要な点である。
以上のように日本のソーシャルレンディングは、海外や国内の融資型以外の他のプラッ
トフォームのようにソーシャルネットワークを活用して、情報の非対称性を克服するとい
う点においては、まだ従来型の金融機関に追い付いていない。しかし、クラウドファンデ
ィング特有の審査の柔軟さ、共感性、低コストなどの点においては、従来型の金融機関に
比べて優位性を持っているものと考えられる。こういったことを考慮に入れると、資金調
達手段として銀行が今まで担ってきた部分への影響は大きい。情報の非対称性という面で
は、銀行のリレーションシップ・バンキングや独自のノウハウで、その優位性を保ってい
るが、今後ソーシャルネットワークの技術的な進化が進み、日本のソーシャルレンディン
グが活用すれば、その優位性もなくなると思われる。そうなれば、クラウドファンディン
グで賄える範囲においては、従来の銀行と取って代わる可能性もある。
第Ⅴ章 結論
これまで第Ⅰ章では、金融機関を取り囲む金融情勢の変化とそれに伴う銀行の対応と役
割の変化をみてきた。バブル崩壊後からは、一貫して景気回復のための緩和政策が続いて
いた。大手を含む銀行は次々に破綻し、金融システム不安が起こる中、早期是正処置を引
き金に銀行は貸し渋り問題を引き起こし、それによってさらに、中小企業は資金繰り難に
困窮し、経済衰退を助長させる形になった。その後、2002 年「金融プログラム」により、
不良債権問題とリレーションシップ・バンキングの機能強化を推し進めることで、貸し渋
り問題は解消され、現在の地域密着型金融へとつながっていった。そして第Ⅱ章で見たよ
うに、地域密着型金融において、銀行は単なる貸し手から取引仲介や経営相談を行うビジ
ネスパートナーとしてその役割を変化させてきた。全体を通してみると、銀行の役割は今
まで景気や主に政策に左右されていた。しかし、Fintech の技術革新により、クラウドフ
21
ァンディングが登場することで、資金調達手段として銀行が担っていた従来の役割に大き
く影響し始めた。銀行の融資の役割に最も近い存在である融資型クラウドファンディング
(ソーシャルレンディング)においては、まだ情報の非対称性という点では優位である
が、今後ソーシャルネットワークの発達により、そういったプラットフォームが情報の非
対称性を克服する可能性が高い。そういったことを考えると、コストの面、企業側の利便
性、資金提供者の数など、あらゆる面で銀行は競争に負け、資金調達手段としてクラウド
ファンディングが賄える範囲において取って代わられてしまう。そうならないためにも、
今までのような政策に依存した形で役割を変化させていくのではなく、銀行自らが独自の
優位性を創り上げていく必要がある。
参考文献
商工総合研究所 『金融環境の変化と中小企業』商工総合研究所、2015 年
金能斗『超金融緩和政策の効果について』愛知学院大学論議 商学研究 47 2006 年
田中史郎『アメリカ発金融危機と日本経済~2008 年危機とその後~』人文社会科学論叢 19 号 2010 年
佐藤洋一『金融危機防止策としてのアベノミクス』大妻女子大学杞要社会情報学研究 2013 年
矢尾板俊平 2016 年『日本経済再生と安倍政権の経済政策-アベノミクスの現状と課題-』淑徳大学研究
紀要(総合福祉学部・コミュニティ政策学部)50 号
伊豆久 2013 年『金融機関の破綻処理と日本銀行』証券経済研究 第 84 号
齊藤壽彦『東日本大震災と被災中小企業支援金融 ―政策金融と信用保証を中心として― 』国府台経済研
究 24 号 2014 年
齊藤壽彦『地域密着型金融』千葉商大論叢 49(2), 2012 年
日経コンピュータ『FinTech 革命』日系 BP 社 2015 年
山本純子『入門クラウドファンディング』日本実業出版 2014 年
1岡本真『クラウドファンディングの最前線 : READYFOR?の運営経験を通して(<特集>ファンドレイジン
グ活動) 情報の科学と技術』社団法人情報科学技術協会
64 号, 、2014 年
慎泰俊『ソーシャルファイナンス革命』技術評論社 2012 年
1森田果『ソーシャルレンディングの機能 : maneo の事例を題材に HOW SOCIAL LENDING WORKS』
グローバル時代の男女共同参画と多文化共生3号, 2010 年
金融庁 HP リレーションシップ・バンキングの機能強化に関するアクションプログラム
(http://www.fsa.go.jp/news/newsj/14/ginkou/f-20030328-2.html 閲覧日 12 月 3 日
金融庁 HP「地域金融機関の地域密着型金融の取組み等に対する利用者等の評価に関する
アンケート調査結果等の概要」(http://www.fsa.go.jp/news/27/ginkou/20150821-2.html)
閲覧日 2016 年 12 月 10 日
出所:日本銀行「短観」(https://www.boj.or.jp/statistics/outline/exp/tk/faqtk.htm/)
閲覧日 2016 年 12 月 8 日
Visualizing.info 「日本の主要クラウドファンディング 累計支援額 月次推移 (積み上げ
グラフ)」(http://visualizing.info/article/4255.html 閲覧日 2016 年 12 月 9 日
Makuake「スマイルメディくん 募集ページ」
(https://www.makuake.com/project/smile-medi)閲覧日 2016 年 12 月 12 日

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