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サト、マチ、ヒトのエコシステム
立正大学地球環境科学部
環境システム学科
後藤 真太郎
風土共創
ため池農法の文化 :
サト、マチ、ヒト、生きものの
エコシステムで守ってきた
谷津田・里山の構成
http://www.env.go.jp/nature/satoyama/tebiki/02-02_03tebiki.pdf
比企丘陵の谷津地形の分布(立正大学作成)
印旛沼周辺(千葉県)の谷津地形の分布(立正大学作成)
比企丘陵の谷津地形の分布(立正大学作成)
比企丘陵のため池の分布(立正大学作成)
比企丘陵のレガシー
比企丘陵で1500年以上の歴史の中で養われた谷津沼農業文化に改めて着目し、
日本・世界農業遺産に登録申請するため、滑川町、熊谷市、深谷市、東松山市、
小川町、嵐山町、吉見町、寄居町で構成される協議会が2017年7月7日に発足
●なぜこのような農業形態となったのか?
-有利でもあり不利でもある地形条件が生んだ独特のシステム-
●このような農業形態が水・物質循環にもたらす意義
-農業用水・栄養分・土壌の循環システム-
●谷津沼農業がもたらす人・生態系への恵み
風土共創による農業遺産の維持
■ヒトと風土の共創によるエコシステムの維持
• ため池の水を利用する循環システムは人の風土への働きかけであり、沼
さらい、水番などの共同作業を通し、谷津を単位とする,地域のコミュニ
ティーを形成し比企丘陵の農業生産を維持してきた。
• 斜面からため池に入った栄養分や土壌は,沼さらいや川の浚渫を通じ
て,再び栄養や土が斜面に戻されることで循環を維持してきた.
• 沼さらいによって大型魚が除去されたため池ではミヤコタナゴを始め貴重
な生態系が維持されてきた.
• 農業には、食料の供給機能だけでなく、国土保全、自然環境の保全、
景観形成、文化の伝承といった多面的な機能がある。農業の持続的な
発展の基盤として、風土共創によりこれらの機能が適切かつ十分に発
揮されるシステムを形成してきた。
■しかし課題もある
・担い手不足、機械が入りにくいことが人手不足に拍車をかける。
比企丘陵の谷津沼農業文化は農村環境の保全・形成、多面
的機能が発揮され た賜物 この文化を維持し、農業遺産登録申
請を機に、比企丘陵で地域資源を活かした価値共創、消費者との
価値共創、地域内外の人々との価値共創によって維持し、持続可
能な自立した地域を醸成していく。
具体的には、、、
• 地域資源を活かした価値共創
ため池の水管理組織の継続による地域のネットワークの維持 地域ブランドの醸成
観光資源の開拓(エコツーリズム、アグリツーリズム)
• 消費者との価値共創
自治体間のネットワークによる新たな6次産業の創出 環境保全型農家の育成
• 地域内外の人々との価値共創
オーガニックフェスティバルの開催による共創ネットワークの醸成(小川町、熊谷市)
農福連携、食菜教育
風土共創による農業遺産の維持
持続可能な
自立した地域
風土共創による
農業遺産の維持
消費者との
価値共創
地域内外との
価値共創
農業遺産を
活かした
価値共創
6次産業
環境保全型
農家育成
エコ
ツーリズム
農福連携
アグリ
ツーリズム
目標の共有と協働・
実践の場
対話による課題認識・
協働意識の共有
谷津田イノベーション研究会
地域資源を活かした価値共創
ため池の水管理組織の継続による地域のネットワークの維持
地域ブランドの醸成
観光資源の開拓(エコツーリズム、アグリツーリズム)
消費者との価値共創
自治体間のネットワークによる新たな6次産業の創出
環境保全型農家の育成
地域内外の人々との価値共創
オーガニックフェスティバルの開催による共創ネットワークの醸成
(小川町、熊谷市)
農福連携、食菜教育
まとめ
ため池農業の文化は、風土、ヒト、モノ、生きもののエコシステムで守ってきた。
水土とヒトが共創して出来たため池農法に光を当て、風土の資源を利用し
て次世代に繋ぐ。
そのため、自治体間での協力が必要である。
今、農業遺産登録申請をきっかけにまとまる時 !!
2019年2月23日 第13回 熊谷産学官連携まちづくりフォーラム第1部 比企丘陵の風土共創 -サト、マチ、ヒトのエコシステムー

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