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品質管理について
- 2. 1.1 品質管理の誕生:
(a)品質管理,アメリカのベル研究所で誕生
品質を管理するという問題は,製品をつくるという場面では,時代や地域を
越えて常に存在しているが,近代的な意味での「品質管理」が生まれたのは
1920年代である.ノーベル賞の受賞者を何人も出しているアメリカのベル研
究所で,現代的な意味での品質管理という技術が開発された.その背後にあっ
たのは,近代的な大量生産方式で大量の工業製品をいかに確実に作るかという
課題である。
それまでの工業生産はヨーロッバを中心として発展してきたが,
そこでは個々の製品の品質を作業者の熟練と検査によって作り込む方式を基盤
としていた。ベル研究所のシューハート(W.A.Shewhart)は大量の製品の品
質を全体的にまとめて作り込む方法がないかを考察し,品質管理に統計的方法
を応用することを発案した。この考えは1920年代において一連の論文に発表
されたが,これが現代的な意味での品質管理の出発点といってよいだろう.
1931年には統計的品質管理の古典ともいわれる著作,『Ecomic Conrol of
Quality of Manufacured Product』が出版された。
- 4. (b)軍による普及活動
近代的な意味での品質管理活動が企業において本格的に取り上げられたのは
第二次世界大戦中,アメリカの軍の指導によってである.アメリカの軍は戦争
に用いられる膨大な数の兵器の品質を確保するために,シューハートの考え方
を採用し,これを軍の規格にした。
製品が1つ2つであれば熟練工が腕によりをかけて作ることができるが,1万個あるい
は10万個もの製品を作る場合では話は変わってくる.戦時下においては専門
の軍需工場だけではなくて,一般の民需製品の工場も軍需工場に転換されて,
そこで武器をつくることになる.熟練工だけでモノを作るというわけにはいか
ない.新しいラインが増設されると,そこに未熟な作業者が入ってくる.
そういう状況で大量に作られる製品の品質を確保するにはどうしたらよいか.これ
はアメリカにかぎった話ではなく,どこの国においても問題となったところで
ある.
アメリカの軍はこれを「統計的品質管理によって品質を確保する」とい
うシューハートの理論に求めたのである.軍は非常に強力な購入者である.優
れた研究者とはいえ,ベルの一研究者にすぎないシューハート個人の影響には
限界があるが,軍がこれを規格化し,生産者に対して要求事項として定めたこ
とは,その普及に非常に大きな効果をもたらした。軍自体が統計的品質管理の
手法の教育をアメリカ全土にわたって精力的に行い,アメリカの多くのメー力
一にこれを徹底させた結果,アメリカで統計的品質管理の基礎が構築された.
これが品質管理の実質的な出発点である.
- 9. 製造不良について考えてみよう.購入先の立場からみればたとえ不良が発生
しても,これが確実に選別され,除去あるいは修正されておれば問題にならな
い。
したがって,購入者主導の品質管理は工程での不良の防止よりも,選別,
検査を重視する傾向があり,品質は厳重な検査によって獲得できると考えがち
になる.しかし,供給者の立場からみれば厳重な検査では問題は解決しない。
厳重な検査の結果もたらされるものは工場内での不良品の増加であり,市場で
の外部損失を企業の内部損失に転化するだけで,検査による利点は少ないので
ある.供給者にとって必要なことは工程を改善して不良品をなくすことである。
供給者においては品質管理は厳重な検査ではなく,不良の出ない生産工程を構
築することでなければならない.不良の原因を解析し,工程の改善を行って不
良防止をはかることが品質管理のおもな活動となる。このような品質管理は
日本で発展したため日本的品質管理とよばれることがある。
- 10. 1.2統計的品質管理
(a)統計的品質
たいていの工場では良品と不良品の両方を製造している。どうして良品と不
良品が混じって作られるのであろうか?製品がどのようなものであろうと,ま
たその製造方法がどのようなものであろうと,その原因は常に同じである.
バラツキ—これが不良の原因である.
もし,まったく同じ材料を用いて,まったく同じ機械装置により,まったく同
じ作業のやり方で作られた製品にまったく同じ検査を行ったとすればどうな
るであろうか.製品が何個作られようとも,上の4つの「まったく同じ」とい
う条件が満たされるかぎり,「まったく同じ」製品ができるはずで,全数良品に
なるか,全数不良品になるかのいずれかで,良品と不良品が混じって作られる
ことはない。
全数不良になるのは,用いた材料,機械装置,作業方法,険査のやり方のいずれかが
不適切な場合で,確実に「まったく同じ」不良品が作り出される。上の4つの条件
が完全に満たされれば,作り出される製品は全部「同じ」良品になるはずである.
- 12. 機械加工作業について考察てみよう.切削用の刃物は製品を何個か加工する
問に切れ味が変わってくる.温度の変化により潤滑油の状態にも変化が起こ
る。
セットのやり方,位置ぎめの状態で製品の寸法は変化する。
熱処理作業について考えてみよう。電気炉であれば電圧の変動,温度測定の
誤差,制御の遅れ,ガス炉であればガス圧の変動などで炉温は変化する.炉の
入口付近,天井部,床部,炉壁部,中央部で温度は異なっている.炉に熱処理
材料を装入するとき,材料間の相互の位置関係により受ける熱量はばらつく.
これは製品の品質特性,たとえば硬度に影響を与える.
作業者,これも品質のバラツキに大きな影響を持つ.大きな人,小さな人,
器用な人,不器用な人,力の強い人,弱い人,右利き,左利き一まったく同
じように作業をやっているつもりでも,人によりそのやり方は異なる.同じ人
でもその日その日の気分,体調によって作業の内容は変わってくる.うっかり
ミスがでることもある。
- 13. 検査においても見かけ上、品質にバラツキが発生する.測定器を使う検査であ
れば,測定器の誤差,使い方の違いによってデータはばらつく.目視検査のよ
うな官能検査においては,検査員の判断規準がばらついておれば,それが見か
けの上で品質に変動を与える.検査のバラツキは製品の品質変動には直接関係
しないが,良,不良の判定に影響するのである。
以上のべたように,1つの製品を作るにあたって,その製品の品質特性に影響
を与える要因は無数にあり,外見上同じような状態で作業が行われているよ
うでも,われわれに見えないところで無数の要因で条件が異なっており,これ
が品質に影響する、要因のバラツキという観点から製造工程を眺めるとき,
- 14. 「工程とはバラツキの要因の集まりである」
とすることができる.これらの原因により製品の品質特性は変動し,良品がで
きたり,不良品ができたりする.良,不良の区別は製品が品質規格に合ってい
るか否かによって区別されるものであり、良品といえども規格の中でバラツイてお
り,先にのべたような「まったく同じ良品」ではない.不良の原因はバラ
ツキにある.このバラツキをなくせば不良はなくなる.これは製品の種類,製
製造方法がどのようなものであっても常に成立する単純なしかも強力な原理である.
以上のべたように,まったく同じ条件で作ったつもりであっても細かく観察
るとわずかずつ条件が異なっており,その結果として品質はばらつく.
同時に作られた同じ製品の品質のバラツキがどのような状態にあるかによって,集
団としての品質を考えることができる.同じと思われる条件で連続して作られ
た製品の集まり–これをロツトという–について,品質特性の統計的分布
を考え,この分布全体が規準をどの程度満足しているかによってロットとして
の品質の良し悪しが定められる
- 16. 統計的品質は,製品1個1個の品質ではなく,集団としての品質である.統計的品質
の把握においては,製品の品質特性の測定値は,測定の対象となった
製品の個々の評価のためというよりは,品質特性の分布の推測に用いられる。
品質特性が規格に対する適合,不適合で測定されるときは統計的品質は良品率
または不良率で表される。
統計的品質は,材料や製造条件によって法則的に支配され,好ましい統計的
品質を得るにはこれらの条件を適正に設定し,維持することが必要になる。
個々の製品の品質は検査によって獲得されるのに対し,統計的品質の獲得は材
料,機械、装置,作業,計測の適正な管理によって得られる。製造工程が適切
に設定され,その管理によって製品品質の統計的分布が満足すべき状態にある
とき,品質は工程で作り込まれているという。この場合は,不良品が発生しな
いため,個々の製品について合否の判定を目的とする検査は不要となる。
- 19. 統計的品質管理の創始者であるシューハートは品質変動を管理する立場から,
品質に変動を与える原因を偶然原因(chance cause)と突止原因(assignabe
cause)の2つに分けた.偶然原因は技術的に同一条件で作業を実施して
も結果にバラツキを与える原因で,これを抑えることが技術的,経済的に困難
なもので,上にのべたtrival manyに対応する原因である.これらは避けられ
ない原因、不可避的原因ともよばれる.突止原因とは技術標準,作業標
準が守られなかったり,未設定であった場合に品質が異常になるなど,とくに
大きなバラツキを与える原因である.これらは関係者が協力すれば技術的に除
去しうる原因で異常原因ともよばれる.
通常の製造工程,実験,測定操作では操業条件の変化,装置や計測器の故障,
あるいは使用ミスなどによりいろいろの異常原因が発生する.これらを着実に
除去し,偶然原因だけによる管理状態を目指して改善をはかっていこうとする
のが統計的品質管理の考え方である.
- 20. 管理された状態からとられたデータは,正規分布あるいはそれに近い統計的
分布に従い,異常が発生しなければ,あらかじめ定められた確率で入ると考え
られる限界を設定することができる.この限界を統計的管理限界というが,こ
れは規格,公差とは別の概念である.
規格,公差は品質を規定するものであり,個々の製品の良,不良の判定基準として用いる。
これに対し,管理限界はデータがこの限界を外れた場合,工程に異常があることを意味し
,工程の正常,異常の判定基準として用いる.測定値が管理限界を外れた場合,
処置をとる対象は製品ではなく,工程である.製品の合否を定めるのは製品規格であり,
工程が異常であったとしても,そこで作られた製品が規格に入っていれば,製品と
しては合格である.ただし,工程異常の場合は,品質にも何らかの影響がある
はずであり,異常の状態で作られた製品は一般に検査を入念に行うことが必要
である.
- 21. 1.3全社的品質管理
(a)工場での不良低減
高度の工業製品においては,製品の品質基盤はその設計および製造に関わる
固有の技術にある.この固有の技術なしでよい品質の製品が作れるものではな
い.また,よい品質の製品を作り出すのは優秀な技術者である.しかし,実際場面では
①現有の技術は完全なものが少なく,改善すべき点が多くある.
②優れた技術者は常に不足している.
③たとえ優れた技術者がいても,チームワークが悪く,仕事の進め方が適切
でないとうまくいかない。
のが普通で,このような場合には品質の改善がはかられなければならない.企
業が計画的,組織的,継続的に改善を行うシステムを持つことはきわめて有効
であり,これによって固有技術も進歩し,技術者の能力も向上する.