【高速化】C#コンパイラとランタイムのJITとフレームワークの実装に焦点を合わせて、高速なコードの書き方についてTipsを紹介します。C#で基盤やライブラリを作る人向けです。

1. C#で速度を極める
いろは
（前編）
2019/7/19 みんなのC# (#2)
山本 礼貴

2. 自己紹介
• コアコンセプトテクノロジー所属
• 山本 礼貴(やまもと れき)
• Twitter @proprogrammer0
• ブログ C#＋WPFチューニング戦記(お休み中)
• C#ガチ勢
• 速いコード書きたい

3. C#と高速化へのモチベーション
• 基盤やライブラリもC#で書きたい
• 32bit/64bitもCPUの種類も気にしないでも良い
• 大抵保守性が高い
• 速いコードを書く人を支援してくれる仕組みがある
(.NET Framework 4.8 / .NET Core 2.1～ は顕著)
• 中身の事を知っていると、適切な書き方を容易に選べる

4. 効果的に高速化したい
• 80:20の法則とかパレートの法則とか言うけど
「20％のコードが処理時間の80％を占める」
• だから頻度の高い20％のコードを高速化すると速くなる
• 基盤とかライブラリ
• プロファイルやベンチマークして、最適化すべきところを見つ
けよう(思い込みでやるのはダメ)
• ループ処理が大半なのでループのことを考えよう
～何を参考にしたらいいだろう～

5. LINQとループを
知る
ループそのものを高速化するヒントを得る

6. LINQの中身
• その合理的な実装を実際に読んでみる
• 正しく使うため
• 正しく応用するため(高速化のための重要なノウハウがある)
• MicrosoftのReferenceSourceやGitHubの.NET Coreのソースは
宝の山
• ジェネリックとラムダが使えるようになってからのものは特に素晴ら
しい
• 「いろは」なので着目点を勢いよく紹介！

7. LINQの中身
• Whereメソッドの中身
• T配列が最速、次はList<T>、次はIEnumerable<T>
という風に個別実装している
これのおかげで高速だったりメモリ効率が良かったり
配列より速い実装
が可能な場合、
Iterator<T>を実装
する余地もある

8. LINQの中身
• Select().Where() より Where().Select() の方が速い
• 計算から除外するものを最初に捨てるほうが速いのは道理
• だけどそれだけではない
• WhereSelectArrayIterator
WhereSelectListIterator
WhereSelectEnumerableIterator
• LinqでWhere().Select()と連続して書くとこれらのクラスが作られて、
1イテレーションで Where+Selectの処理をしてくれる
• イテレーターもコレクションの種類ごとにある

9. 配列へのfor() vs foreach()
• 昔は明確に差がありforが高速と言われていた
• 今(.NET Framework 4.8/Core 2.1～)は誤差レベルの差しかない
• 配列の境界(OutOfRange)判定はJITが結構マメに省略してくれる
• foreach も境界判定が省略される
• Span<T>, ReadonlySpan<T> に対する foreach()もほぼ等速
• つまりindex を使いたいか/中身を書き換えるかで選択するのが
最良となった
• なおJITが特別扱いしているのは配列とSpan<T>だけ(重要)

10. 配列とSpan<T>と境界判定
• 配列の一部に処理をする場合
• array[index]と書くと、その都度境界判定が入るので遅くなる
• 同メソッド内で明確に0～array.Lengthだと分かる場合は境界判定を省いてくれ
ることがある
• Span<T>は生成時1回しか境界判定しない
• それ以降は特別扱いしてくれるので境界判定がない
• var span = array.AsSpan(1, array.Length - 1);
• array.Skip(1)と同じものを列挙できるが速度はAsSpanが圧勝する

11. LINQとループを知る-まとめ
• LINQでもループでも、配列に対する処理をまずは速くしよう
• Where→Selectを続けて処理
• LINQの実装は高速化の際にとても参考になる
• Indexがほしいときだけfor、それ以外はforeach
• 配列の部分切り出しにはAsSpan

12. 後編につづく…
ループの中身を高速化するにはどうしたらいいんだ…
GCフリーという高速化の魔窟へようこそ