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2.
■10~20年に一度の大変革期 私は今、10~20年に一度の大きな事業機会が訪れていると考えています。ご存知の通り、 DeNAやGREEは現在スマートフォンのソーシャルアプリの開発にたいへん力を入れています が、その元となったのが、フィーチャーフォン(従来タイプの多機能携帯電話、いわゆる「ガラ ケー」)のソーシャルアプリのヒットです。「怪盗ロワイヤル」に始まり、各社に数百億円の利益 をもたらしました。その画期的な利益をもたらしたソーシャルアプリがスマートフォンでも同様 の売上・利益をあげる可能性が高くなってきました。携帯ショップで普通に機種変更をすれば、 Androidを購入することになりますし、auがiPhone販売を開始したことも、そうした傾向を後押し しています。 既存のサービスも、今後はすべてIT化・ソーシャル化が進みます。Facebook、Twitter、あるい はmixi等との連携、フル活用は当然のこととして、通常の通販やネットスーパーに加え、今後 は、家賃からレジャー、食事、食品、服……など現金やクレジットカードで支払われていたも ののかなりがIT化され、ソーシャル化されます。ソーシャルコマースの売上げは、2015年まで に世界全体で6倍に増えるといわれています。また、Grouponに代表されるオンライン・ツー・ オフライン(O2O)も注目され、米国だけで80兆円の地域消費のかなりの部分がオンラインに 移り始めると見られています。日本では、Lococom(ロココム)、ジモティーという会社がすでに 活動を始めています。 このようなビジネスチャンスは、ソーシャルメディアだけでなく、コミュニケーション、ネットワー キング、マーケティング、リコメンデーション、。ソーシャルゲーム、電子書籍、動画、TV等すべ てに渡ります。FacebookやTwitterの発展とiPhone、Androidの世界規模での普及により、今 後すべてが変わっていきます。 ■イノベーションを加速する、世界と国内の動き 米国では、PayPal創業者が24人の天才少年少女に、2年間の学校休学を条件として、1人当 たり800万円の起業を全面支援しています。専門家を多数動員して、起業を支援します。その 是非の議論もあるとは思いますが、イノベーションを加速する方向であることは間違いありま せん。 新サービス開発ベンチャーへの少額投資も急激に伸びています。いずれも、スマートフォンに 着目しています。スマートフォンの伸び、ソーシャルメディアの発展、クラウドの普及、開発環
2
3.
境の整備等から、費用をあまりかけず急速にベンチャーを立ち上げる“Lean Startup”というア プローチがかなり普及してきました。 シリコンバレーの「スーパーエンジェル」ロン・コンウェイ氏は、Google、Facebook、Twitter、 PayPal……など、今、脚光を浴びている多くの企業に最初から投資してきた人物です。現在 でも毎日5社、1週間で25社と面接し、そのうち1社に投資。年間で50社への投資を行っていま す。ユニークな点は、ビジネスプランではなく、デモを見て決定していることです。Y Combinatorは、2005年以降、300社以上に出資し、1社平均150万円という比較的少額の資金 提供ですが、ネットワーキング、起業環境を含め非常に効果的なサポートをして成功確率を 上げています。現在のLean Startupとシリコンバレーの隆盛にはY
Combinatorの貢献がかな り大きいと考えられます。また、1社当たりの投資額が800~2000万円で、オフィスも提供する 500 Startupsという少額投資VC、インキュベータも注目されています。ここ数年、シリコンバレ ーにはこのような会社が増え、ソーシャルメディア・スマートフォンビジネスを後押ししています。 2000年前後にも同じような動きがありましたが、今回が大きく異なる点は、少額投資であるこ と、評価額等はあまりバブルになっていないこと、開発・リリースまでが非常に短期間であるこ となどです。 日本でも同様の動きが一部で始まっています。サムライインキュベートやネットエイジ、孫泰 蔵氏、インキュベートファンド等が、活動しています。200~400万円であれば、かなり短期間 に投資が決定されます。 このような大きな変化には、先ほど申し上げたLean Startupという起業形態の影響が大きいと 考えられます。「元手をあまりかけずに、ヒットしそうなアプリ・サービスを短期間に立ち上げ る」という新しい起業の形は、従来とは大きく異なります。ユニークなアプリやゲームを企画で きる人材と優秀なプログラマーさえいれば、1~2カ月足らずで制作し、全世界に提供できる。 ユーザーに感動を与えるアプリ・サービスであれば、口コミで数万~数十万人に広がり、爆発 的に伸びていきます。そうなれば広告費収入もある程度期待できますし、収益モデルのオプ ションが拡がります。ソーシャルメディア、スマートフォンの発展で、独創性のある面白いサー ビス、楽しいサービス、良いサービスを作れば全世界を相手に勝負ができる、という点が、従 来との大きな違いです。 Facebookの場合は、2004年にマーク・ザッカーバーグ氏が1人数週間で作り上げました。その 前の「フェイスマッシュ」にいたっては、映画では一晩で開発したと言われています。費用も、 数百万円以内、あるいは数十万円程度の場合もあります。こうしたアプローチは4~5年ほど 前から急激に一般化しており、日本でも今年に入って非常に多くの学生や社会人が取り組み 始めました。Lean Startupが可能となった背景には、安くて使いやすいクラウドの登場があり 3
4.
ます。iPhone、Androidの普及、およびアプリ・サービスがAPIを公開して、プラットフォーム化し ている点もあげられます。また、開発者の視点で言うと、自分が作らないと誰かが作ってしま う、という状況があります。 FacebookやTwitterは、東日本大震災後、公共機関の運行、地震・原発速報、あるいは救援 情報等に関して、「情報ライフライン」の役割を担いました。携帯電話は地震の瞬間から使え なくなり、携帯メールも数時間以上の遅延が出て使いものになりませんでした。一方、 Facebook、Twitterは緊急の連絡を確実にできたため、多くのユーザーが使い慣れました。こ の結果、優れたアプリ・サービスなどについてもすぐツイートし、リツイートされる(受け取った ツイートをさらに拡散すること)ことが当たり前になりました。つまり、注目を集めれば一瞬で何 万人に広まるインフラができたということになります。スピード感あるサービス・事業展開によ り、ベンチャーの資金調達も少額であれば大幅に容易になりました。人材も殺到しています。 この動きをさらに加速すべく、今年7月~9月には世界を目指したアプリ・サービス開発を目的 として、学生エンジニア対象の「ブレークスルーキャンプ」を開催しました。日本マイクロソフト さん他の協賛も得て、開発オフィス・宿泊場所を2ヶ月間無料で提供し、地方からの交通費一 往復分も提供しました。食費補助も一人あたり月1~2万円提供し、学生エンジニアの参加を 促しました。予想を上回る49チーム、160名の応募で、23チーム100名が参加した非常に活発 な活動となりました。毎週木曜日夜には、FacebookのJapan Country Managerの児玉太郎氏 や孫泰蔵氏、セカイカメラで有名な頓智ドットの井口尊仁氏も来てくださり、心温まる応援をい ただきました。高校生も数名合宿に参加しており、決勝で2位を獲得したのは高校生チームで した。こういう若い芽が日本でもすでに育ってきています。 ITに加え、クリーンテクノロジー分野への関心も高まっています。7月には「グリーンベンチャー サミット」を開催し、100名ほどが参加しました。また、「自然エネルギーで行こう!」という、太 陽光・太陽熱、風力などによる自然エネルギーの普及を促進するグループのイベントには、 200数十名が集いました。Facebookからは、こうした催しへの招待状が毎週数通届きます。カ ンファレンス会場を提供してくれる会社も多数あり、開催費用は殆どが無料で、多くの参加者 が集まってきています。 ■日本の展望のために 日本も少しだけシリコンバレーに近づきました。IT
ベンチャーの壁もかなり低くなりました。た だ、日本にもう少し足りないものがあります。まず、1 社に 5~10 億円以上を投資するベンチャ ーキャピタル(VC)がほとんどありません。大企業から独立する技術者も少数です。ベンチャ ーから製品・サービスを積極的に購入する企業や、ベンチャーを買収する中堅・大企業も少 4
5.
数派です。リスクを取ってチャレンジする人を応援する文化はまだまだ強くなく、官公庁もベン チャーへの特別支援ができにくい状況です。したがって、IT ベンチャーはまだしも、クリーンテ クノロジーやハードウェア・新材料ベンチャーの発展はまだまだこれからです。 私が本日お伝えしたかったのは、ソーシャルメディア、スマートフォン、Lean Startup
の発展に より、世界が今、大きく変わろうとしているということです。その対象は、IT 系だけに限らず、あ らゆる分野で大きな変化が起きます。今すぐに積極的に動かないと、国内で何とか築いてき た収益ベースもずたずたになってしまうリスクも大きくなってきました。Facebook や Google が 誕生して急成長した時のように、無数に湧き出る超小型・超高速ベンチャーが 1~2 年で数千 倍に成長するのを傍観することになります。様子見をしているうちに、到底追いつけないほど 先に行かれてしまいます。ガラケーの時代とは違い、海外の無数の起業家がスマートフォン ベースで乱入し、なだれ込んできます。自分がやらなければ、誰かがやってしまう、ビジネス の競争原理さえ変えてしまう、という状況にあります。まずは、立ち上がって、皆さんの目でこ の変化を見てください。何が起きているかわかったら、すぐ行動に移しましょう。他の人にも伝 えてください。ぜひ一緒に変化をリードしていきましょう。我々が最先端でいるためには、最低 限の情報武装が必要です。勉強会、セミナー、企画イベントなども春以降、毎週数回開かれ ています。ぜひ参加してみてください。きっと驚かれると思います。 ■ 質疑応答 Q: 「日本にはもう少し足りないものがある」ということで、ベンチャーから積極的に購入する企業 が少ないと言われました。とはいえ、日本では実績の無い会社からの調達はなかなか難しい のが現実です。ところで、シリコンバレーや海外の企業は積極的にベンチャーからも商品やサ ービスを調達していますか。もしそうだとすれば、企業構造の何が日本と海外で違うのでしょ うか。 A: 日本の大企業の大半は、かなり官僚的でリスクヘッジ志向が強いので、自分からなかなか動 かないし、動くにしても購買までのプロセスが非常に長くなる傾向があります。一方、欧米、少 なくとも米国では、良いものであれば早期に決定されます。実績がない場合も、製品・サービ スの質が高ければ十分購入につながります。この点での日本のベンチャー環境を改善する ため、政府購買の 5%を創業 5 年以内の企業からにするなどを、総務省と経済産業省にお願 いしたこともありました。政府への販売実績があれば、ベンチャーにとって実績になり、大企 業とのビジネスも飛躍的にやりやすくなります。 Q: 「ベンチャーキャピタル(VC)やエンジェル投資家が少ない」という点に関しては、政府は何をすべ 5
6.
きでしょうか。産業革新機構のマッチングファンドは 99 年にできましたが、その後、ベンチャーブー ムが去ってから、動きが鈍くなっているようです。これらを使って、次に何ができるでしょうか。 A: 米国の場合、年金等の機関投資家から
VC に相当量の資金が投資されますが、日本の場合はそ うではありません。ぜひお願いしたいのは、たとえば VC が 50 億円集めたら同額を政府から出資し て 100 億円にする、あるいは VC が 5 千万円出資したら同額をベンチャーに出資して 1 億円にす る、という形で政府がマッチングファンドを提供することです。投資判断は民間企業の VC が全力 で行い、質を上げますが、資金補助によってリスクを下げることで、より多くの方が VC に参入する、 あるいは積極的に投資するという状況を作っていただければと思います。 産業革新機構に関しても、たいへん期待していたのですが、ファンド・オブ・ファンズは基本的にや らない、アーリー段階は対象外とするなど、方針が途中で変わったことが残念です。元の方針に 戻して、ファンド・オブ・ファンズをやっていただきたいし、アーリーにもどんどん出していただきたい と思います。 (了) 6