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1. ハイフローネーザルカニューラ
（ネーザルハイフロー）
2021.09.09 川内市医師会立市民病院

2. ネーザルハイフローとは？
• 鼻カニューラを使用して高流量高濃度の酸素を加温・加湿した
状態で投与できる酸素療法の一つである。

3. 適応
• 高CO2血症を合併していない低酸素性急性呼吸不全患者
• 術後や抜管後の呼吸不全予防もしくは呼吸不全時
• NPPVの前段階もしくは離脱期
• NPPV困難例、拒否例
• 緩和ケア

4. NHFのメリット・効果

5. QOLを維持できる
• 高濃度酸素を投与しながら会話および飲水・食事可能
• 違和感が少なく、忍容性が高い

6. 高濃度酸素を正確なFiO2設定で投与できる
• 高流量であるため、設定した酸素濃度を安定して投与できる
• リザーバー付きマスクでは到達できない100%純酸素も理論上
は投与可能

7. 高濃度酸素を正確なFiO2設定で投与できる
• 換気量500mL/回、呼吸数20回、吸気:呼気＝1:2→500mL/秒
• 通常の経鼻カニューラ 1L/分→1000mL/分→17mL/秒
空気 483mL 酸素17mL
1回換気量500mL
必ず希釈される！！！

8. 高濃度酸素を正確なFiO2設定で投与できる
• 換気量500mL/回、呼吸数20回、吸気:呼気＝1:2→500mL/秒
• NHF 30L/分→30000mL/分→ 500mL/秒
酸素500mL
1回換気量500mL
希釈されない！！！

9. 加温・加湿
• ほぼ体温に相当する温度で相対湿度100%までの加温加湿
• 気道の粘液線毛クリアランスの維持
分泌物の移動性維持、無気肺形成予防、呼吸器感染リスクの軽減

10. 解剖学的死腔の洗い出し
• 高流量の酸素投与により死腔にたまった呼気ガスを洗い出すこ
とでCO2の再吸入を防ぎ、ガス交換、換気効率を上げる。

11. PEEP効果
• 呼気終末陽圧換気（PEEP）：呼気終末時に気道内を陽圧にす
ることにより、呼気時に肺胞が虚脱するのを防ぐ。
病気が見える 呼吸器内科より引用

12. PEEP効果
• 呼気終末陽圧換気（PEEP）：呼気時にもわずかな陽圧を残し
た状態で再び吸気を開始させる方法。
レジデントのためのやさしイイ呼吸器教室より引用

13. PEEP効果
• 呼気終末陽圧換気（PEEP）：呼気時にもわずかな陽圧を残し
た状態で再び吸気を開始させる方法。
• PEEPにより呼吸に関与する肺胞が増える→PaO2改善
• NHFでかかるPEEPは口を閉じた状態、40L/分で2.58cmH2O。
→おまけ程度の効果と考えた方が良い

14. • 気道の粘液線毛クリアランス維持
• 上気道抵抗の軽減
• 高濃度高流量酸素
• 解剖学的死腔の洗い出し
• PEEP効果
1回換気量増加、呼吸数減少、呼吸困難軽減

15. 実際の使用方法

17. 給水チャンバーの取り付け
• キャップを抜く
• 給水チューブを止めているブラケット
を外す
• 付属のアダプタをチャンバーの垂直
ポートにはめ込み、給水チューブを配
置して固定する

18. 給水チャンバーの取り付け
• フィンガーガードを押し下げながら給
水チャンバーを押し入れる
• 本体の青いチャンバーポートにアダプ
タをはめ込む
• フィンガーガードがカチッとはまるま
でしっかり押し込む

19. 給水バッグの取り付け
• バッグスパイクを蒸留水バッグに穿刺
し、通気キャップを開く
• 適切な水位まで自動的に蒸留水が満ち、
バッグが空になるまではその水位が維
持される

20. 熱線入り回路の取り付け
• プラスチックスリーブを持ち上げ、接
続しスリーブを押し下げてロックする。
• 適切な水位まで自動的に蒸留水が満ち、
バッグが空になるまではその水位が維
持される

21. ユニットの起動
• 「オン・オフ」ボタンを押してユニッ
トを起動する
• 暖機運転が終了すると使用可能となる

22. 鼻カニューラの選択
• 鼻のプロング（鼻孔に入る部分）
は3サイズあり、患者の鼻孔に合わ
せて選択（鼻孔の50%くらい）す
る
• バンドは耳の上を通し、回路の重
みに耐えられるようにネックスト
ラップを使用する

23. FiO2・流量の設定
• FiO2は呼吸状態に合わせて調整
• 吸気時も鼻孔脇からフローが漏れるように設定する
• 個人的には・・・
流量40L/分、FiO2 100%から開始して適切なFiO2まで下げる

24. その他の話

25. NHF開始後のアセスメント
• SpO2
• 呼吸様式の変化（胸郭の動き、呼吸補助筋の使用）
• 呼吸数の減少
• 呼吸苦の改善
• 血ガス
30分〜1時間程度で評価を行う
人工呼吸管理の必要性も検討する

26. 皮膚トラブル
• 鼻中隔前面、耳介、頬部などに潰瘍、発赤を生じる場合あり
• 適宜保護材、ガーゼなどを使用し、カニューラが直接皮膚に触
れないようにする
みんなの呼吸器Respica 18(6): 730-731, 2020.

27. 不快感
• 「鼻の奥が痛い」、「熱い」、「音がうるさい」など
• 安易に設定は変更せずに協力を得たいところ
• 上記の対応のため流量を落とす、温度設定を下げるなどすると
メリットが得られにくく、かえって不快感が増す場合もある
→協力が得られない場合は設定変更する

28. 電源
• 必ず緑色の無停電非常電源、または赤色の特別非常電源に接続
する

29. 終わり