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西新宿五丁目エリア
都心居住にふさわしいまちを目指して
その分析と提案
DA20048 上江洲 知子
2022/05/30 提出
都市デザイン分野
[食料品店 ( 専門食料品店とスーパーマーケット )] 分析:食料品が買いづらい
①エリア最寄駅:西新宿五丁目駅
②500m 圏外駅 1
都庁前駅
③500m 圏外駅 2
中野坂上駅
④500m 圏外駅 3
西新宿駅
1.37
1.51
1.58
西新宿五丁目(2015)
本町三丁目(2016.1)
弥生町一丁目(2016.1)
一世帯当たり人員
人口一位 人口二位 人口三位
駅 ( 電車、地下鉄 )
公園 ( ポケットパークを含む )
郵便局
保育園
幼稚園
認定こども園
小・中学校 ( 義務教育 )
高等学校
大学・専門学校
歯科
こども医院 ( 小児医院 )
医院、クリニック
大型病院
専門食料品店 ( 八百屋、肉屋 )
スーパーマーケット
飲食店 ( レストラン、居酒屋、
ファストフード、カフェ )
コンビニエンスストア
薬局
図 1-1. 対象エリア施設分布と 500m、1km 圏
0~4 160 190 213
5~9 104 141 152
10~14 69 96 122
15~19 91 101 132
20~24 267 247 400
25~29 407 477 671
30~34 455 481 737
35~39 394 486 577
40~44 361 465 583
45~49 326 435 457
50~54 285 361 370
55~59 231 280 317
60~64 192 203 285
65~69 148 174 332
70~74 151 201 257
75~79 85 127
80~84 79 109
85~89 48 82
90以上 42 53
514
(75歳以上)
西新宿五丁目
(2022.4)
本町三丁目
(2022.1)
弥生町一丁目
(2015.10)
【西新宿五丁目エリア付近の施設分布、分析と考察】
[2. 人口分布と一世帯当たり人員]
表 2-1. 町丁別年齢別人口 表 2-2. 町丁別一世帯当たり人員
図 1-2. 対象エリア施設分布図拡大
<人口分析>
1. (30 代が一番多く、一人暮ら
しが多い )
西新宿五丁目地域は 30~34 歳
本町三丁目は 35~39 歳、弥生
町一丁目は 30~34 歳が一番多
い。三地域全体で人口 1 位 ~
3 位を見ると 25~44 歳に分布
しており、働き世代が多いこ
とが読み取れる。
<施設分布分析>
1. ( エリア内部で食料品店、コンビニエンスストア等の
生活必需品を調達できる店が無い )
図 1-2 より、エリア内にある店舗はほとんどが居酒屋。住
民は日用品や食料を敷地内で調達できない。
西新宿五丁目中心から
半径 1km 圏内
西新宿五丁目中心から
半径 500m 圏内
⑤小規模食料品店:青木精肉店 ⑥敷地外スーパー:マルエツプチ西新宿六丁目店 ⑦敷地外スーパー:ライフ中野坂上店
[考察:まちの姿と必要な施設、分析と考察]
働く世代が多いまち。しかし、日々の暮らしに必要なモノが買いづらい。
西新宿五丁目エリアは
[病院 ( 歯科、小児医院、医院・クリニック、大型病院 )] 分析:エリア境界線まで行かないと病院が無いため、急病
時が大変
⑧小児医院:やよい町こども医院 ⑨ 医院:伊藤外科内科医院
エリア内にある食料品店は肉
屋 2 店、米屋 1 店、常設では
ない八百屋が 1 店。エリア内
では食料品が揃えられないた
め、エリア外に買いに行かね
ばならない。
歯科、小児医院、医院・クリニックなどの比較的行く頻度が高
い病院がエリアの端にしかないため、急病の時は徒歩か車で行
かねばならない。しかし、エリアの内部は幅員が 4m 以下の道
が多く車も 1 台しか通れないところが多い。急病の時に徒歩で
端まで歩くのは困難だろう。
[駅 ( 電車、地下鉄 )] 分析:交通の便が良く、通学・通勤に適している
エリアは四つの駅に囲まれており
(都営大江戸線)
都庁前→西新宿五丁目→中野坂上
(丸の内線)
西新宿→中野坂上 という二つの線を利用できる。また、
西新宿五丁目駅は、西新宿五丁目・弥生町一丁目・本町三
丁目のいずれの中心から 500m 圏内に
あるため、どの地区に住んでいても通
勤・通学がしやすい。休日に大型スー
パーや大学病院に行く際も利用しやす
い。
⑨
⑤
⑧
①
②
③
④
⑦
⑥
西新宿五丁目エリア
1. ( 食料品店が必要 )
2. ( 日用品を買える店:薬局とコンビニエンスストアが必要 )
3. ( アン部に医院が必要 )
このエリアに最も多く居住している働き世代は家↔職場の往復がメインの生活を送っていると考えられる。近所で食料が
買いづらい現在の状況では、食料のためだけにエリア外に出かけなければならず、不便。エリア内に食料品店が必要だ。
エリア内 ( アン部 ) には薬局とコンビニエンスストアが無い。食料品店の次に、行く頻度が高いこれらの店舗が近所にない
ことは、働き世代をはじめ全ての世代にとって不便である。
現在エリアの外側にしか病院がないが、内部には幅員 4m 未満の道が多く車の通行が困難なため徒歩で行かねばならな
い。急病者を歩かせる大変さを考えると、内部に5つほど病院を作るべき。
安全安心分野【1.対象地区の災害ハザード】
[1-1. 地震]
新宿区
渋谷区
中野区
図 1-1 地震に関する地域危険度測定調査 ( 第 8 回 ) による総合危険度
( 東京都都市整備局、平成 30 年 2 月 )
[1-3. 土砂災害と洪水]
[1-2. 液状化]
家屋倒壊等氾濫想定(河岸侵食)
家屋の流失・倒壊をもたらすような洪水時の河岸侵食が
発生する恐れがある範囲
急傾斜地警戒区域
急傾斜地崩壊危険箇所
急傾斜地特別警戒区域
急傾斜地 30 度かつ高さ 5m 以上の急傾斜地で人家等に
被害を与える恐れのある箇所
西新宿
5丁目
谷底低地
2
3.47 1289 2 1.05 944 3 0.16 1380 2 0.72 774 3
弥生町
1丁目
台地1 3.4 1317 2 1.55 705 3 0.14 1648 2 0.71 780 3
本町
3丁目
台地2 3.05 1477 2 1.04 947 3 0.16 1357 2 0.66 866 3
危険量
(棟/ha)
順位 ランク
建物倒壊危険度 火災危険度 災害時活動困難度 総合危険度
ランク 困難度 順位 ランク
危険量
(棟/ha)
順位 ランク
危険量
(棟/ha)
町丁目名 地盤分類
順位
図 1-3.1 重ねるハザードマップ(国土交通省)
対象敷地
図 1-2.1 新宿区がけ・擁壁や土砂災害警戒区域などの分布状況図
( 新宿区、令和元年 12 月版 )
液状化の可能性がある地域
比較的地盤がゆるく、地下水位の高い砂状地盤
対象敷地
図 1-2.2 土地利用図(国土交通省)
①
対象敷地範囲
<分析>
1. ( 危険度ランク上位 )
対象敷地範囲の西新宿5丁目 ( 新宿区 )、弥生町 1 丁目
( 中野区 )、本町 3 丁目 ( 渋谷区 ) は建物倒壊危険度、火
災危険度、災害時活動困難度においていずれもランク上
位に属し、総合危険度ではランク3に位置する。
※谷底低地:地震が起きた場合に揺れが増幅されやすく、比較的被害が発生しやすい
台地:地震が起きた場合でも揺れが増幅されにくく、被害は発生しにくい
→住宅地建設を目的とした
切土と盛土。
<分析>
1. ( 盛土による液状化リスクの増加 )
今回の敷地は住宅地建設を目的に、尾根の一部を切土
し谷部分へ盛土した土地。よって、盛土部分の西新宿
五丁目エリアは比較的地盤がゆるく液状化の可能性が
ある。
①拡大
( 本町三丁目、
急傾斜地崩壊危険箇所 )
本町三丁目には急傾斜地
警戒区域、急傾斜地特別
警戒区域が含まれる。
<洪水分析>
1. ( 神田川付近地区の洪水想定 )
神田川付近地区では洪水浸水想定が 0.5~2.0m あり、特に沿岸部では洪水時
の河岸侵食が発生する恐れがある。
1. ( 急傾斜地では土砂災害発生時、人家に被害 )
本町三丁目の尾根と谷の境目は高低差が 3.99m
( 断面図参照 ) ある箇所 があり、土砂崩れの危険
が高い急傾斜地崩壊危険箇所に指定されている。
土砂崩れが起こった際に人家などに被害を与える
恐れがある。急傾斜地特別警戒区域に指定されて
いる箇所も含まれるので注意せねばならない。
A
Aʼ
図 1-3.2 A-Aʼ 断面図
A
Aʼ
B;31.23m
B
27.24m
2. ( 谷底低地に属する西新宿5丁目、地震時の被害 )
西新宿5丁目は地盤分類が谷底低地に属し、地震発生時
に揺れが増幅されやすく、比較的被害が発生しやすい。
対して弥生町1丁目、本町 3 丁目は台地に属しており、
地震発生時でも揺れが増幅されにくく被害は発生しに
くい。
洪水浸水想定 [m]
<土砂災害分析>
2. (1階軒下 2/3 まで浸水する恐れ )
神田川付近地区、洪水浸水想定 1.0~2.0m エリアで 2.0m の浸水が生じた場
合、通常の一軒家1階軒下 2/3 まで浸水することになる。
[ どのような配慮が必要か ]
2. ( 液状化の影響を受けやすい木造住宅地 )
建物重量が軽く基礎が浅い木造住宅は液状化の影響を
受けやすく、地震発生時に液状化によって傾斜や沈下
が生じる恐れがある。今回の敷地には木造密集地域が
あり、大きな被害が生じると予想される。
3. ( 木造密集市街地の火災 )
地震発生時に、敷地に含まれる木造密集市街地の火災が
想定される。
3. ( 記録的豪雨発生時の大規模被害 )
近年増え続ける記録的豪雨が発生した場合、土
砂災害と洪水による極めて大きな被害が出ると
予想される。
2. ( 急傾斜地と洪水浸水が深刻なエリアの重なり )
神田川付近の洪水浸水深刻エリアと土砂災害の
恐れがある急傾斜地が重なっており、災害時の
深刻な被害が想定される。
1. ( 防災機能確保のための公共施設、公園を建設 )
対象敷地は防災機能が確保されていないため、防災機能確保のための
公共施設を設備する必要がある。それらの公共施設には公園や広場が
該当する。現在、敷地には渋谷区立二軒家公園があるが、西新宿区地
域、中野区地域の住民からは遠く災害時に避難が遅れる可能性がある。
よって、西新宿地区、中野地区にそれぞれ公園を建設し、防災機能確
保を図る。
2. ( 木造密集市街地の不燃化、高強度化 )
木造密集市街地では、地震発生時に火災や液状化による住居の傾斜沈
下が予想される。したがって、木造住居に不燃化、高強度化を施し、
被害を軽減する。
3. ( 洪水を想定した堤防の強化、土砂災害被害を想定した擁壁の
強化 )
神田川沿岸地域は洪水浸水想定が深刻で、家屋倒壊の恐れもある。し
たがって、洪水を想定し河岸の堤防を強化する。本町三丁目の急傾斜
地崩壊危険箇所では、土砂災害が予想され人家に被害が出る恐れがあ
るため、急傾斜地の擁壁を強化し被害のリスクを下げる。
【2.防災上の課題】
図 2-1. 対象敷地の幅員と防災設備、公共施設地図 ( 地理院地図 )
凡例
図 2-2. 弥生町一丁目、本町三丁目避難施設
♨
敷地境界線
幅員 6m 以上
幅員 4~6m
幅員 4m 未満
学校
公園
避難所
防火水槽
温泉 ( 消火 )
図 2-3. 幅員 6m 以上と半径 140m 円 ( 消防ホースの有効距離 ) 図 2-4. 幅員 4~6m 図 2-5. 幅員 4m 未満
<幅員の分析>
2-3. 消防活動困難区域 2-4. 災害時、暗渠に人があふれる恐れ 2-5. 木密地域の幅員が狭く、二次災害の恐れ
中野区弥生町一丁目住民
指定避難所 ( 水害時 )
中野区弥生町
一丁目住民
指定避難所 ( 震災時 )
渋谷区本町三丁目
指定避難所 新宿区西新宿五丁目住民
指定避難所
敷地中心部は、防火水槽から 140m 以遠、 敷地中心部に存在する暗渠は比較的幅員 地震、火災、水害いずれの発生時に
かつ幅員 6m 以上の道路から 140m 以遠 が広く、中心部の住人はこの歩行空間を おいても最も危険である木密地域の
となる消防活動困難区域 ( 薄紫部分 ) が 利用すると考えられる。その場合、人が 幅員が狭く、二次災害の恐れがある。
発生する。この地区には木密市街地が あふれパニックが発生する恐れがある。
存在する。
[考察:目指すべきまちの理想と取り組む課題]
1. ( 中心部にオープンスペースの確保 )
2. ( 木密地域に重きを置き、敷地中心部の防火水槽設置数を増やす )
3. ( 幅員の拡大、特に 4m 未満の道を優先 )
災害時に自助・共助で対応でき、逃げなくても済むまちへ
そのためには
災害時に一時避難場所や住民の防災活動拠点となるオープンスペース ( 公園や広場 ) を作る。
防災ベンチや防災トイレを設置し、住民たちだけで自助共助できる仕組みを作る。
火災発生時、エリアで燃焼する可能性の高い木密地域を中心に防火水槽を設置する。近所の
方々に日頃から消防水利の存在を知ってもらうためには、消防用水のように井戸のような形
状のもので視覚的にアピールするのも効果的だ。
このエリアの道はほとんどが 4m 未満となっており、二次災害や避難時のパニックが予想さ
れる。4m 未満の道から優先的に幅員拡大し、災害リスクを軽減する。しかしながら、幅員の
拡大は住宅にも影響を与えるため、工事の困難かつ長期化が予想される。住民の方々と協議の
重ね、安全の確保を理解してもらうことが重要だ。
< 急傾斜地警戒特別区域 >
< 消防活動困難区域 >
< 二軒家公園 >
急傾斜地警戒特別区域に指定されていた地点の擁壁。コンクリ
ートで補強されていないところ ( 左 ) されているところ ( 右 ) が
ある。幅員も狭い。
幅員が狭いうえに住宅が密集している。加えて、ここで消火活
動ができないとなると甚大な被害が出るだろう。
規模が小さいため、周辺住民(二軒家町民)の避難ができる程
度のキャパシティしかない。池はあるが、消火できる水量はな
さそうだ。災害時に集まったとしても休めるスペースがほとん
どなく、けが人の救護等はできそうにない…
[避難施設]
西新宿避難場所(広域)
水害時の中野区一丁目住民指定避難場所は神田川を超えたところに
あり、神田川が氾濫した際には使用できない可能性がある。地震時
では、西新宿避難場所が都庁付近になっており、新宿駅からの帰宅
難民者が押し寄せ大パニックになる恐れがある。
(無茶な避難計画:
洪水なのに川を超えろ?地震時は大パニックの新宿駅へ行け?)
ランドスケープ分野
【1.自然環境分析】
L. 10km x 10km.( まち・地域 )
M. 1km x 1km. (学校区・住区)
S. 100m x 100m ( 近隣・用途地区)
始
10km、1km、100m 正方形
神田川
対象敷地境界線
谷エリア
尾根エリア
L. 新宿区は武蔵野台地東端
に位置し、対象エリアは武
蔵野台地より一段高い淀橋
台を含んでいる。
M. 神田川によって削られた
部分と残留した部分で、
①谷エリア②尾根エリア
に分けられる。
[1-1. 現在の地形]
[1-2. 過去と現在、土地の使われ方 ]
(1896 〜 1906 年 ) ( 現在、土地利用図 )
尾根→切土→盛土の様子がわかる。住宅地を作る
目的で、谷エリアに盛土した?
33.43m
現在住宅地のエリアには田んぼが広がっていた。
神田川も現在と違って蛇行している。現在暗渠
となっている神田上水助堀が見られる。
B.32.95m
A.33.18m
26.65m
26.57m
D.28.88m
28.47m
C.26.57m
27.91m
21.45m
(中野区弥生町一丁目)
(対象敷地、断面図)
神田川 谷エリア 尾根エリア 谷エリア
(1944 〜 1954 年)
33.43m
終
S.100m 正方形がちょうど
納まる地区。人工的に整
備されたと考えられる。
田んぼがなくなり、道が整備されている。
→住宅地を作る意図?
神田川の蛇行が無くなっている。
(1)
(2)
(1) (2)
< 全体の分析 >
<断面図分析>
A.
B.
A. から谷エリア (1)C. まで高さ 6.61m、
B. から谷エリア (2)D. まで高さ 4.07m
ある。このことから勾配は、谷エリア
(1) がかなり急で、谷エリア (2) が緩や
かであることがわかる。
尾根エリア - 谷エリア間の標高の差は
大きいが、エリア内の標高はほとんど
変わらない(尾根エリアは平均 33.18m
谷エリア (1) は 26.61m、谷エリア
(2) は 28.42m)
。標高差が少ないと
いうことは住宅地に向いていると
いえる。
1.(切土と盛土)
土地利用図から、切土と盛土によって尾根の勾配を緩やかにした痕跡が見られる。住宅地を作るために
これらを行った。
2.
(神田川の蛇行を改良、暗渠の出現)
1896 〜 1906 年に見られた神田川の蛇行が 1944 〜 1954 年には見られなくなっていることから、住宅地を建設しや
すいように神田川を引き直したと考えられる。その際に田んぼも撤去。神田上水助水堀が通る必要性がなくなり暗
渠になったのではないか。
3.
(整備された街区)
100m 四方の街区が見られることから、住宅地用に人工的に整備されたと考えられる。
自然にできた尾根と谷を人間が住宅地建設を目的として改良した土地
①
②
G
①西新宿五丁目駅前→②西新宿中央公園付近、
③高層ビル建設地区→④西新宿中央公園付近
のように、西新宿中央公園に近づくにつれて植栽が増えていくのが気になった。
①
②
③
④
【2.遠隔まち歩き】
敷地境界線
ガワを巡るコース
アンを巡るコース
S : START, G : GOAL
⑤
⑥
⑦
⑤住宅の間に不自然な隙間(通路?)を発見。
Street View ではここから先に進めないので、
現地で調査するしかない。
⑥道を挟んで反対側にも不自然な隙間が続く。
暗渠では?→今昔マップで照らし合わせた結果、
暗渠だった。
⑦不自然な坂を発見。標高図作成時にこの地点で
凸凹を確認。
→高低差のある所に擁壁が作られる
ので、この壁が擁壁では。
S
G
1.ガワに飲食店や中層ビルが並んでいるのに対し、アンは住宅が密集している。
2.住宅地は植栽がほとんどない。
3.新宿区なので都会的な住宅地(マンションやアパートが建ち並び、一軒家が少ない)をイメ
ージしていたが、アンは田舎と大差なく、一軒家も多かった。
4.擁壁前道路は 3.43m しか幅員がない。緊急車両が通れないのではないか。
5.擁壁前道路とは異なり、暗渠では 4m を超える幅員がある。StreetView では入れないので、
恐らく歩行者専用通路なのだろう。
6. 階段より、高台が 4.5m くらいあることが分かった。
[植栽で気になった箇所]
<遠隔まち歩き分析>
4.08m
4.26m
3.43m
(暗渠幅員)
(擁壁前道路幅員)
⑧高台に上る階段。数えてみると 30 段あったので
蹴上がおそらく 15cm くらいだとして、この高台
は平地との差が 4.5m あることになる。
⑧
⑤ ⑥
⑦
①ʼ
②ʼ
[暗渠]
[ 擁壁 ]
③ʼ
③ʼ:尾根の部分。ひきで見ると周りの土地より高い
のがよくわかる。
⑧の階段は勾配がきつそうだ。
①ʼ:西新宿五丁目駅上空から見た暗渠。道路に
水色の舗装がされており、駅を始点として長く
続いている。
②ʼ:
⑤、
⑥撮影点の上空からとった写真。
⑤を 80m
進むと神田川に行きつく。暗渠と神田川の合流点。
通常の Street View では住宅 2 〜 3 軒ほどの通路に
思えたが、3Dmap で駅から神田川まで続く 400m
の通路だということが分かった。
歩行者通路にしては幅員が広め。
とても狭い。車一台分しか通れ
ない。
→緊急車両通れないのでは?
⑤
⑥
③ʼ
地形的な個性 ( 暗渠と尾根 ) がポテンシャルになる?
西新宿エリア再開発において
S
【3.現地調査報告】 調査日とコンディション:4/22,14:00~15:00, 晴れ ,26.2℃
[ 快適な暗渠上歩行通路(①〜③)]
[ 高床の住宅(⑩、
⑪)]
暗渠の上に橋の跡が残っていた。川が地上を通っていたころの痕跡。
手すりの跡に文字がかかれており、よく見ると「やなぎばし」と書
いてあるのがわかる。このような橋の跡は、暗渠上歩行通路を通る
途中で 2 〜 3 カ所見つけた。
遠隔まち歩きで調べた幅員 4m 越えの暗渠歩行通路。
Street View では通れず様子がわからなかったが、
14 時頃でも日が当たらない、暑い日でも快適に移動
できる空間だった。
や
な
ぎ
ば
し
Street View では気づかなかったが、高床式の住宅を発見。高いところで前面道路
と地面のレベル差が 1.2m ほどある。尾根より一段階低い道路、のさらに一段階
低い土地に住居を建てようとし、その高低差を活かして駐車スペースにした…?
[現地で気になった箇所の写真]
3-1.谷エリア
[ 橋の痕跡(④)]
3-2.尾根エリア
[ 尾根と谷の差を実感(⑦〜⑨)]
Street View で尾根の高さを調べていたがあくまで数値でしか把握していなかったため、実際
に目にしてみると思っていた 2 倍は高かった。友人に立ってもらい擁壁のサイズ感を調べる。
擁壁の始めの部分なので頂上より低い方だが、人間のスケールで考えると十分高い。路地から
ひいて見てみると(⑨)その高さがより実感できる。
実感できる。
友人に立ってもらい、
高さを測定
[尾根へ、その後下ってみる(⑫、
⑬)
]
Street View で通れなかった階段を上って尾根へ(⑫)
。蹴上は 15 セン
チくらいだと思っていたが、勾配が相当きつく、20 センチくらいある
のではないかと思う。階段を上り終え 20 歩ほど歩くと(⑬)坂になり、
住所が渋谷区になっていることに気づいた。
約 3.2m
⑤神田川。コンクリ
の岸壁。
⑥暗渠と神田川の合
流点がどうなってい
るか気になったので
Google map3D で確
認した写真。
S
G
敷地境界線
歩いたコース
S : START, G : GOAL
※番号と通った順番は関係なし
環境共生分野
[太陽光発電ポテンシャル]
[太陽熱利用ポテンシャル]
総面積:12639.5 ㎡
植栽:511.2 ㎡
緑被率:4.0%
( 特徴 )
マンションや高層ビルの敷地内
に植栽されているケースが多い。
エリア左端にある巨大な樹木
で緑被率を稼いだ。
(Street View
でも入れず、個人所有なのか不
明。
)
総面積:11540.3 ㎡
植栽:107.2 ㎡
緑被率:0.93%
(特徴)
住宅が密集しており植栽のスペ
ースもないほど狭い。暗渠の歩
行通路に低木や花が植えられて
いたが緑被率を高める程のもの
ではなかった。
敷地境界線
エリア①
(ガワ)
エリア②
(アン)
[2.環境ポテンシャルの把握 ] 2-2.
太陽エネルギーポテンシャル
年間予想発電量:111,736[kWh/ 年 ]
敷地当たり:9.212[kWh/ ㎡年 ]
集熱量:2,406,519[MJ/年]
敷地当たり:198.42[MJ/㎡年]
<エリア①
(ガワ)
> <エリア②
(アン)
>
[太陽光発電ポテンシャル]
[太陽熱利用ポテンシャル]
年間予想発電量:182,502[kWh/ 年 ]
敷地当たり:15.96[kWh/ ㎡年 ]
集熱量:3,828,836[MJ/ 年 ]
敷地当たり:334.89[MJ/ ㎡年 ]
1. (エリア①
(ガワ)
:太陽光・熱エネルギー利用がしにくい、エリア②
(アン)
:太陽熱エネルギー利用しやすい)
エリア①
(ガワ)では太陽光発電・太陽集熱で得られるエネルギーボリュームが少なく、太陽エネルギーポテンシャルが低い
。エリア②
(アン)では太陽光発電で得られるエネルギーボリュームは少ないが、太陽集熱で得られるエネルギーボリューム
は多く、太陽熱利用ポテンシャルは期待できる。全体として、エネルギー供給という面では、エリア①
(ガワ)に太陽光とい
う手段は選ばない方がよく、エリア②
(アン)には太陽熱利用を取り入れた方が良い。
2.
(それぞれに適したエネルギー源の配備)
屋上面積でいえば「アン」の方が広い。高層ビルは部屋を積み上げているので、たとえビルの中に何世帯いようが屋上面積
は一世帯分となる。その分、低層、中層住宅が密集している「アン」の方が太陽エネルギーポテンシャルが高くなったと考
えられる。
「ガワ」
「アン」
、それぞれに適したエネルギー設備を適切に配備することが大事。
[太陽光発電でまかなえる戸数]
世帯別 1 年あたりの平均電気使用量が、一戸建て (3人暮らし ):4632[kWh/ 年 ]、集合住宅 (3人暮らし ):3756[kWh/ 年 ] に対して
(エリア①ガワ)
2-1. 緑被率
<エリア①
(ガワ)
>
<エリア②
(アン)
>
<2-1.考察>
1. ( マンションの緑化 )
測定前まではなんとなくエリア②
(アン)の
方が植栽が多いイメージだった(高層ビル
の多いガワには緑が少ないのでは?)
しかし、マンションは一軒家に比べ、敷地
面積に対する床面積が狭い。余ったスペー
スを緑化しているケースが多かった。
2.
(新宿区全体との比較)
令和 2 年度の新宿区緑被率は 17.98%。
今回調査した比率を考えると明らかな差が
ある。新宿中央公園や新宿御苑などの大型
公園で緑被率を稼いでいると考えられる。
2.
(ヒートアイランド)
緑被率の低下、密集した建物による風通し
の阻害や天空率の低下(=住宅密集地域、
木密地域)
、建物の排熱の増加 はヒートア
イランドの原因となる。熱中症にもつなが
る。
(特徴)
東京都における標準的な住宅の敷地
当たり年間予想発電量が 21[kWh/ ㎡
年 ] に対して半分以下の値。ポテン
シャルが期待できない。
(特徴)
東京都における標準的な住宅の敷地
当たり年間熱量計243.0[MJ/㎡年]に対
し近い値だが、及ばない。
(特徴)
東京都における標準的な住宅の年間予
想発電量 21[kWh/ ㎡年 ] に対して、
比較的近い値だが、まだ及ばない。
ポテンシャルはあまり期待できない。
(特徴)
東京都における標準的な住宅の敷地
当たり年間熱量計243.0[MJ/㎡年]と
業務432.0[MJ/㎡年]の間ぐらいの値。
住宅地としてはポテンシャルが期待
できる。
<2-2.考察>
[緑被率増加への具体的な提案]
(暗渠の植栽)
住宅が密集しているエリア②
(アン)では植栽の
場を設けること自体が困難だが、暗渠の部分は
幅員も広く(4.28m)
、植栽が可能であると考え
る。しかし、樹木で暗渠が暗くなってしまい安全
性が失われる恐れがある。
(= 防犯対策がカギ)
[緑被率増加に成功した例:アークヒルズ]
一戸建て (3人暮らし ):24 戸分
集合住宅 (3人暮らし ):29 戸分
( エリア②アン ) 一戸建て (3人暮らし ):39 戸分
集合住宅 (3人暮らし ):48 戸分 まかなえる
1.建物と広場以外は全て緑化
マンション敷地内の建物と広場以外は全て緑化している。緑が育つに
つれ緑被率が上がっている(1990 年:23.3%→2021 年:42.1%)
。
2.屋上庭園
20m を超える高木の育成までを可能にした屋上庭園。
3.周辺環境を考慮した計画
アークヒルズだけでなく、周辺に同様の緑化集合住宅を併せて計画。
付近の公園も考慮して緑被率増加に努めている。ヒートアイランド
緩和や生態系の回復にも効果がある。
[3.温熱環境の測定]
[測定ポイント①
:二軒家公園]
[測定ポイント②
:暗渠遊歩道]
[測定ポイント 3:擁壁]
【全体の分析と考察】
写真 1.1:二軒家公園 写真 1.1 サーモグラフィー
写真 2.1: 暗渠遊歩道 写真 2.1 サーモグラフィー
12m
9m
9m
9m
土の地面 24℃
アルミ塀
24℃
木陰 20℃
水辺 21℃
塀
33℃
アスファルト
暗渠
遊歩道
30℃
日影
26℃
植栽
23℃
アスファルト
道路 38℃
日影 22℃
擁壁緑化部
23℃
擁壁ブロック部
24℃
測定日:2022/5/19
気温:27.8℃
風速:0.8m/s 方位:
測定日:2022/5/19
気温:28.4℃
風速:0m/s 方位:
測定日:2022/5/19
気温:28.3℃
風速:1.1m/s
方位:
写真 1.2: 二軒家公園内水辺 写真 1.2 のサーモグラフィー 写真 1.3:二軒家公園天空写真
7m
9m
(体感温度:日なたでも木陰でも暑い)
数値的には木陰と日なたの地面で 4℃の差が出ており、サーモグラ
フィーでも一見日なたの方が極めて熱く見える。しかし、体感温度
的には木陰でも日なたでも差はほとんど感じられなかった。
(表面温度:緑化のあるなしでは大違い)
写真 1.2 水辺のサーモグラフィーでは、緑化による表面温度低下の
様子が顕著に表れ、緑で覆われていない水辺の岸と住宅壁面が高温
になっている。
図 1.1:二軒家公園温熱環境分析図
写真 2.2:遊歩道天空写真
図 2.1: 暗渠遊歩道温熱環境分析図
図 3.1:擁壁温熱環境分析図
写真 3.1:擁壁 写真 3.1 サーモグラフィー 写真 3.2:ブロック擁壁 写真 3.2 のサーモグラフィー
(天空率:高い。放射が阻害され熱がこもる)
(体感温度:他の地点より蒸し暑い。
)
(表面温度:遊歩道の温度が高く、熱気が足元から伝わる)
(体感温度:日差しを遮るものが無く、カラッと暑い)
(表面温度:擁壁→素材や緑の有無で差が生じる。
道路→計測地の中で一番高い。
)
暗渠遊歩道②のエリア(地図参照)には 3 〜 4 階建て
のアパートが立ち並び天空率が高くなっている。天空
率の増加によって放射が阻害され熱がこもる現象が発
生している。
3 地点で唯一風速が 0m/s に加えて熱気がこもり蒸し暑い。アパートが
独自に敷地の一部を緑化しているケースがあるが、歩行者の休憩スペー
ス(日差しをよけられる空間)と言えるほどではなく涼しく感じられる
場所が少ない。
遊歩道がアスファルトでできており、表面温度が 30℃に達していた。
写真 2.1 サーモグラフィーからもわかるように、周囲と比べ一段と温度
が高くなっており、歩行者のための空間とは言えない。
①
②
③
(擁壁:素材パターンと緑)
1.石 or ブロック
2.緑に覆われている or 覆わ
れていない
擁壁前道路は東から西にかけて形成されており、加えて植栽や庇が無い
ため日中は太陽光が遮られることがない。よって、遊歩道とは異なりカ
ラっと乾燥した暑さが特徴だった。
[擁壁]素材:ブロックより石の方が温度が高い。
(写真 3.1)
緑:緑でおおわれている方が温度が低い。( 写真 3.2)
[道路]日中太陽に照らされ続ける地点に加えアスファルト道路のため
計測地の中で一番高い温度になっている。
(図 3.1)
天空率:低い。
①体感温度:放射と風速が影響する。
②表面温度:素材の差、緑の有無が影響する。
③天空率:天空率が高い地域は放射が阻害され熱がこもりやすい
二軒家公園と暗渠遊歩道では暗渠遊歩道の方が暑かった。両者は天空率による放射と風速という点において大きく差
が出ていることから、体感温度は放射と風速が影響することが分かった(温度と湿度は 3 地点とも似たような値の
ため影響の確認ができなかった)
。
土の地面の二軒家公園とアスファルト道路の暗渠遊歩道、擁壁では温度に 6℃以上の差が出ている。また、二軒家公
園の水辺や擁壁において、緑に覆われているか否かで温度差が出ている。これらより、表面温度は素材の差、緑の有
無が影響することが分かった。
暗渠遊歩道は他 2 地点と比べ蒸し暑かった。これは、天空率が高いことにより放射が阻害され熱がこもったことに起
因する。
二軒家公園
3~4 階アパート密集地
エリア境界線
観測方向
観測者
資源と課題の把握
[資源:ここにしかない個性があふれる]
[課題:安全面の問題が多い]
(③まちの顔 )
(②住宅に隣接する公園)
(⑦密集する住宅、
幅員の狭い道路が多い)
(防災設備の少なさ)
(食料品店の少なさ)
【資源と課題の把握:どれを活かして、何を克服するか?】
銭湯の羽衣湯。近
隣住民が使うコミ
ュニティ施設の役
割と火災時の消火
用水としての利用
もできる。
周囲の土地より一
段高い尾根エリア
は、見晴らしもよ
く、また、洪水時
の避難場所として
利用できる。
風の通り道となる
河川はヒートアイ
ランド緩和の役割
を果たす。また、
オープン化するこ
とで地域再生を図
ることもできる。
(⑤特徴的な地形)
二軒屋町会災害時一時
集合場所に指定、防災
倉庫も設備されている。
しかし、エリア全体の
居住者を一時避難させ
られるキャパシティが
無いのが課題。
(①魅力的な歩行空間)
(④2つのポテン
シャルを持つ川)
幅員 4m の路地が多いこ
のエリアで、エリア中心
を通る幅員 4m 越えの歩
行空間。付近に密集市街
地が形成されており住民
は災害時にこの遊歩道を
利用して避難できる。
また、暗渠は豪雨時にな
ると神田川へオーバーフ
ローされるため、ある程
度の雨量なら家屋浸水を
防げる。
(⑥擁壁:勾配のきつさ)
エリア内にはスーパーマーケットが無く、エリア中
心から半径 500m 内にあるスーパーマーケットはマ
ルエツプチ西新宿六丁目店(写真)のみ。生活必需
品を買いづらいことが課題のひとつである。
(無茶な避難計画)
エリア内には防災倉庫が
1 つしかなく(写真:二
軒家公園内)
、西新宿五
丁目エリアで火災が発生
した際は二軒家公園から
設備を借りることになる
ため、迅速な消火活動が
行えない可能性がある。
一時避難できるオープン
スペース、防災設備数を
増やさねばならない。
水害時の中野区一丁目住
民指定避難場所は神田川
を超えたところにあり、
神田川が氾濫した際には
使用できない可能性があ
る。地震時では、西新宿
避難場所が都庁付近にな
っており、新宿駅からの
帰宅難民者が押し寄せ大
パニックになる恐れがあ
る。
入れられたら
避難所の地図
周囲より標高が高く洪水時
の避難が期待できる尾根エ
リアだが、尾根へ上る階段
・スロープの勾配がきつく
年配者の避難が困難である。
特に一人暮らしの年配者の
避難が遅れる可能性がある。
このエリアは密集市街地が
多く形成され、4m 以下の
幅員道路が多い。緊急車両
が入れない部分がエリア中
心部に多く存在するため、
災害時・急病人の搬送に時
間がかかる。
②
①
④
③
⑤
⑥
⑦
中野区弥生町一丁目住民
指定避難所 ( 水害時 )
西新宿避難場所(広域)
神田川
新
宿
駅
「安全面」の課題を克服することが優先。
「再生面」では、ここにしかない個性をどう活かせるか。
現在の西新宿五丁目エリアは「安全面」において課題が多く、具体的に述べると1.災害時における、密集市街地および幅員 4m 以下道路での
二次災害や事故。3. 避難計画のあまさ、である。人命を一番に考えると「安全面」の課題を克服することが優先だ。一方、このエリアにはここ
にしかない個性が多く、1. 魅力的な歩行空間。2. ポテンシャルを持つ川。3.特徴的な地形。が挙げられる。
「地域・環境再生面」ではこれらの
個性をどう有効活用するかがカギだ。
西新宿五丁目エリアは
都心居住にふさわしい街
[ 資源を活かすアイデア ]
[課題を活かすアイデア]
<1.神田川:魅力の源泉へ>
エリア現在の神田川は壁面がコンクリートでむき出しの状
態となっている。蒸発冷却が起きやすい河川はヒートアイ
ランド緩和を促すが、河岸壁面を緑化することでさらにそ
の効果が期待できる。壁面を緑化し、冷気をエリア内に流
す。
エリアにはオープンスペース(公園や広場)が少なく地域コ
ミュニティが活性化されにくい。そこで、神田川にサンクン
ガーデンを作り、エリアのコミュニティ創成を図る。
<1.擁壁:誰もが使いやすく>
現在の尾根エリアへのアプローチは階段かスロープだが、
そのほとんどが急勾配になっている。洪水時の避難場所
を想定して、高齢者も、足腰が弱い方も上りやすい、勾
配の緩やかなスロープを設置する。
尾根の擁壁には不法投棄されたゴミが散乱しており、地
域の印象が悪くなっていた。防犯カメラの設置、フェン
スを高くするなどといった捨てにくくする仕組みを取り、
地域の好印象化を図る。
<2.尾根エリア:
いつも安心、
「いざ」も安心できる場所へ>
洪水時、神田川が氾濫した際には中野町一丁目住民は尾根
エリアに避難すると考えられる。そうなると尾根エリアの
住民と中野町住民両者が集合し、混乱が生じる。さらに、
避難施設、設備が整っておらず、現状のままでは洪水時に
逃げてきたとして、一時集合・救護できる屋内スペースや
毛布・食料の蓄えが無く、住民はただ立ち尽くす羽目にな
ってしまう恐れがある。そこで、尾根エリアの一角に避難
設備や物資を蓄えた避難所を建設し、住民の方々が避難し
てきても安心できる空間づくりを施す。
【都心居住にとってふさわしい街とは】
<2.密集市街地、幅員の狭い道路:
昭和の雰囲気残る安全な歩行者ネットワーク>
西新宿五丁目における、都心居住にふさわしい姿とは…
安全で安心。いろんな人を惹きつけ、受け入れるまち。
①安全で安心なまち:いざという時は安全。帰ってくるとほっと安心。
②いろんな人を惹きつけ、受け入れるまち:多様性 ( 世代、世帯、暮らし方、人種 etc…) を受容する
[アイデアを反映した西新宿五丁目エリア]
(避難所の建設)
(快適なまちの源:壁面緑化でまちを涼しく)
(人々を惹きつける:サンクンガーデン)
(世代も身体的特徴も乗り越えて:緩やかなスロープ)
(近寄りがたさを乗り越えて:ゴミ対策)
現在、エリアのほとんどを占めている 4m 幅員道路。住居
間の狭い幅員道路は地域のコミュニティ形成に有効的だが
その数が多すぎるのは防災・救急時に障害を生む恐れがあ
る。エリアの資源である暗渠歩行空間を参考に、魅力的で
安全な歩行空間を増やす。幅員を、ある部分は狭く、ある
部分は広くとり、緩急をつける。コミュニティ形成と防災
両方に特化し、古き良き昭和の雰囲気残る歩行者ネットワ
ークを目指す。
(道路の幅員:広いと狭いの混在)
防災の設備が備わり、災害時には安全に自助・共助で対処できるまち。
誰もが逃げやすい擁壁のスロープ。逃げて安心な尾根の避難所。
新宿には、世代、世帯、暮らし方(一人暮らし、共働き、DINK など)
人種 etc... が全く異なる人々が集まる。そんな人々を惹きつけ受け入
れる仕組みがあるまち。子供達が水遊びできるサンクンガーデン。
一人暮らしや DINKS には夜お散歩できる遊歩道。外国人と日本人が
井戸端会議する狭い路地。
(誰も取り残さない)
(おかえりが言える距離)
仕事・学校から帰ってくるとご近所さんが声をかけてくれるまち。
仕事でやらかしちゃった時も、学校で嫌なことがあった時も、まちに
帰るとほっと一安心できる。密集市街地と幅員の狭い道路を一部残し、
会話ができる距離を保つ。
(人それぞれの好きな場所が見つかるまち)
①
②
③
サンクンガーデン
避難所
勾配の緩いスロープ
幅広道路
まちの魅力は自分で
見つけてもらう!
①散歩中に思いがけず
現在ある暗渠遊歩道の
延長にサンクンガーデ
ンを作り、散歩中に思
いがけず見つけてしま
ったという状況を作る。
魅力をアピールするの
ではなく見つけてもら
うことで主体的にこの
街を好きになってもら
う。
③うねうねぐるぐる
まちを回遊
地図に示したのは幅広
道路アイデア案。この
道路以外は幅員の狭い
道路を残す。エリアを
回遊するように張り巡
らせ、自分で歩いて街
の魅力を見つけてもら
う。飽きない散歩道。
(誰も取り残さない) (おかえりが言える距離)
おかえり
ただいま
おはよう
元気?
みんなの好きはそれぞれ違う
いろんな好きがあふれるまちへ
家
近所でつながる

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まちづくり

  • 2. 都市デザイン分野 [食料品店 ( 専門食料品店とスーパーマーケット )] 分析:食料品が買いづらい ①エリア最寄駅:西新宿五丁目駅 ②500m 圏外駅 1 都庁前駅 ③500m 圏外駅 2 中野坂上駅 ④500m 圏外駅 3 西新宿駅 1.37 1.51 1.58 西新宿五丁目(2015) 本町三丁目(2016.1) 弥生町一丁目(2016.1) 一世帯当たり人員 人口一位 人口二位 人口三位 駅 ( 電車、地下鉄 ) 公園 ( ポケットパークを含む ) 郵便局 保育園 幼稚園 認定こども園 小・中学校 ( 義務教育 ) 高等学校 大学・専門学校 歯科 こども医院 ( 小児医院 ) 医院、クリニック 大型病院 専門食料品店 ( 八百屋、肉屋 ) スーパーマーケット 飲食店 ( レストラン、居酒屋、 ファストフード、カフェ ) コンビニエンスストア 薬局 図 1-1. 対象エリア施設分布と 500m、1km 圏 0~4 160 190 213 5~9 104 141 152 10~14 69 96 122 15~19 91 101 132 20~24 267 247 400 25~29 407 477 671 30~34 455 481 737 35~39 394 486 577 40~44 361 465 583 45~49 326 435 457 50~54 285 361 370 55~59 231 280 317 60~64 192 203 285 65~69 148 174 332 70~74 151 201 257 75~79 85 127 80~84 79 109 85~89 48 82 90以上 42 53 514 (75歳以上) 西新宿五丁目 (2022.4) 本町三丁目 (2022.1) 弥生町一丁目 (2015.10) 【西新宿五丁目エリア付近の施設分布、分析と考察】 [2. 人口分布と一世帯当たり人員] 表 2-1. 町丁別年齢別人口 表 2-2. 町丁別一世帯当たり人員 図 1-2. 対象エリア施設分布図拡大 <人口分析> 1. (30 代が一番多く、一人暮ら しが多い ) 西新宿五丁目地域は 30~34 歳 本町三丁目は 35~39 歳、弥生 町一丁目は 30~34 歳が一番多 い。三地域全体で人口 1 位 ~ 3 位を見ると 25~44 歳に分布 しており、働き世代が多いこ とが読み取れる。 <施設分布分析> 1. ( エリア内部で食料品店、コンビニエンスストア等の 生活必需品を調達できる店が無い ) 図 1-2 より、エリア内にある店舗はほとんどが居酒屋。住 民は日用品や食料を敷地内で調達できない。 西新宿五丁目中心から 半径 1km 圏内 西新宿五丁目中心から 半径 500m 圏内 ⑤小規模食料品店:青木精肉店 ⑥敷地外スーパー:マルエツプチ西新宿六丁目店 ⑦敷地外スーパー:ライフ中野坂上店 [考察:まちの姿と必要な施設、分析と考察] 働く世代が多いまち。しかし、日々の暮らしに必要なモノが買いづらい。 西新宿五丁目エリアは [病院 ( 歯科、小児医院、医院・クリニック、大型病院 )] 分析:エリア境界線まで行かないと病院が無いため、急病 時が大変 ⑧小児医院:やよい町こども医院 ⑨ 医院:伊藤外科内科医院 エリア内にある食料品店は肉 屋 2 店、米屋 1 店、常設では ない八百屋が 1 店。エリア内 では食料品が揃えられないた め、エリア外に買いに行かね ばならない。 歯科、小児医院、医院・クリニックなどの比較的行く頻度が高 い病院がエリアの端にしかないため、急病の時は徒歩か車で行 かねばならない。しかし、エリアの内部は幅員が 4m 以下の道 が多く車も 1 台しか通れないところが多い。急病の時に徒歩で 端まで歩くのは困難だろう。 [駅 ( 電車、地下鉄 )] 分析:交通の便が良く、通学・通勤に適している エリアは四つの駅に囲まれており (都営大江戸線) 都庁前→西新宿五丁目→中野坂上 (丸の内線) 西新宿→中野坂上 という二つの線を利用できる。また、 西新宿五丁目駅は、西新宿五丁目・弥生町一丁目・本町三 丁目のいずれの中心から 500m 圏内に あるため、どの地区に住んでいても通 勤・通学がしやすい。休日に大型スー パーや大学病院に行く際も利用しやす い。 ⑨ ⑤ ⑧ ① ② ③ ④ ⑦ ⑥ 西新宿五丁目エリア 1. ( 食料品店が必要 ) 2. ( 日用品を買える店:薬局とコンビニエンスストアが必要 ) 3. ( アン部に医院が必要 ) このエリアに最も多く居住している働き世代は家↔職場の往復がメインの生活を送っていると考えられる。近所で食料が 買いづらい現在の状況では、食料のためだけにエリア外に出かけなければならず、不便。エリア内に食料品店が必要だ。 エリア内 ( アン部 ) には薬局とコンビニエンスストアが無い。食料品店の次に、行く頻度が高いこれらの店舗が近所にない ことは、働き世代をはじめ全ての世代にとって不便である。 現在エリアの外側にしか病院がないが、内部には幅員 4m 未満の道が多く車の通行が困難なため徒歩で行かねばならな い。急病者を歩かせる大変さを考えると、内部に5つほど病院を作るべき。
  • 3. 安全安心分野【1.対象地区の災害ハザード】 [1-1. 地震] 新宿区 渋谷区 中野区 図 1-1 地震に関する地域危険度測定調査 ( 第 8 回 ) による総合危険度 ( 東京都都市整備局、平成 30 年 2 月 ) [1-3. 土砂災害と洪水] [1-2. 液状化] 家屋倒壊等氾濫想定(河岸侵食) 家屋の流失・倒壊をもたらすような洪水時の河岸侵食が 発生する恐れがある範囲 急傾斜地警戒区域 急傾斜地崩壊危険箇所 急傾斜地特別警戒区域 急傾斜地 30 度かつ高さ 5m 以上の急傾斜地で人家等に 被害を与える恐れのある箇所 西新宿 5丁目 谷底低地 2 3.47 1289 2 1.05 944 3 0.16 1380 2 0.72 774 3 弥生町 1丁目 台地1 3.4 1317 2 1.55 705 3 0.14 1648 2 0.71 780 3 本町 3丁目 台地2 3.05 1477 2 1.04 947 3 0.16 1357 2 0.66 866 3 危険量 (棟/ha) 順位 ランク 建物倒壊危険度 火災危険度 災害時活動困難度 総合危険度 ランク 困難度 順位 ランク 危険量 (棟/ha) 順位 ランク 危険量 (棟/ha) 町丁目名 地盤分類 順位 図 1-3.1 重ねるハザードマップ(国土交通省) 対象敷地 図 1-2.1 新宿区がけ・擁壁や土砂災害警戒区域などの分布状況図 ( 新宿区、令和元年 12 月版 ) 液状化の可能性がある地域 比較的地盤がゆるく、地下水位の高い砂状地盤 対象敷地 図 1-2.2 土地利用図(国土交通省) ① 対象敷地範囲 <分析> 1. ( 危険度ランク上位 ) 対象敷地範囲の西新宿5丁目 ( 新宿区 )、弥生町 1 丁目 ( 中野区 )、本町 3 丁目 ( 渋谷区 ) は建物倒壊危険度、火 災危険度、災害時活動困難度においていずれもランク上 位に属し、総合危険度ではランク3に位置する。 ※谷底低地:地震が起きた場合に揺れが増幅されやすく、比較的被害が発生しやすい 台地:地震が起きた場合でも揺れが増幅されにくく、被害は発生しにくい →住宅地建設を目的とした 切土と盛土。 <分析> 1. ( 盛土による液状化リスクの増加 ) 今回の敷地は住宅地建設を目的に、尾根の一部を切土 し谷部分へ盛土した土地。よって、盛土部分の西新宿 五丁目エリアは比較的地盤がゆるく液状化の可能性が ある。 ①拡大 ( 本町三丁目、 急傾斜地崩壊危険箇所 ) 本町三丁目には急傾斜地 警戒区域、急傾斜地特別 警戒区域が含まれる。 <洪水分析> 1. ( 神田川付近地区の洪水想定 ) 神田川付近地区では洪水浸水想定が 0.5~2.0m あり、特に沿岸部では洪水時 の河岸侵食が発生する恐れがある。 1. ( 急傾斜地では土砂災害発生時、人家に被害 ) 本町三丁目の尾根と谷の境目は高低差が 3.99m ( 断面図参照 ) ある箇所 があり、土砂崩れの危険 が高い急傾斜地崩壊危険箇所に指定されている。 土砂崩れが起こった際に人家などに被害を与える 恐れがある。急傾斜地特別警戒区域に指定されて いる箇所も含まれるので注意せねばならない。 A Aʼ 図 1-3.2 A-Aʼ 断面図 A Aʼ B;31.23m B 27.24m 2. ( 谷底低地に属する西新宿5丁目、地震時の被害 ) 西新宿5丁目は地盤分類が谷底低地に属し、地震発生時 に揺れが増幅されやすく、比較的被害が発生しやすい。 対して弥生町1丁目、本町 3 丁目は台地に属しており、 地震発生時でも揺れが増幅されにくく被害は発生しに くい。 洪水浸水想定 [m] <土砂災害分析> 2. (1階軒下 2/3 まで浸水する恐れ ) 神田川付近地区、洪水浸水想定 1.0~2.0m エリアで 2.0m の浸水が生じた場 合、通常の一軒家1階軒下 2/3 まで浸水することになる。 [ どのような配慮が必要か ] 2. ( 液状化の影響を受けやすい木造住宅地 ) 建物重量が軽く基礎が浅い木造住宅は液状化の影響を 受けやすく、地震発生時に液状化によって傾斜や沈下 が生じる恐れがある。今回の敷地には木造密集地域が あり、大きな被害が生じると予想される。 3. ( 木造密集市街地の火災 ) 地震発生時に、敷地に含まれる木造密集市街地の火災が 想定される。 3. ( 記録的豪雨発生時の大規模被害 ) 近年増え続ける記録的豪雨が発生した場合、土 砂災害と洪水による極めて大きな被害が出ると 予想される。 2. ( 急傾斜地と洪水浸水が深刻なエリアの重なり ) 神田川付近の洪水浸水深刻エリアと土砂災害の 恐れがある急傾斜地が重なっており、災害時の 深刻な被害が想定される。 1. ( 防災機能確保のための公共施設、公園を建設 ) 対象敷地は防災機能が確保されていないため、防災機能確保のための 公共施設を設備する必要がある。それらの公共施設には公園や広場が 該当する。現在、敷地には渋谷区立二軒家公園があるが、西新宿区地 域、中野区地域の住民からは遠く災害時に避難が遅れる可能性がある。 よって、西新宿地区、中野地区にそれぞれ公園を建設し、防災機能確 保を図る。 2. ( 木造密集市街地の不燃化、高強度化 ) 木造密集市街地では、地震発生時に火災や液状化による住居の傾斜沈 下が予想される。したがって、木造住居に不燃化、高強度化を施し、 被害を軽減する。 3. ( 洪水を想定した堤防の強化、土砂災害被害を想定した擁壁の 強化 ) 神田川沿岸地域は洪水浸水想定が深刻で、家屋倒壊の恐れもある。し たがって、洪水を想定し河岸の堤防を強化する。本町三丁目の急傾斜 地崩壊危険箇所では、土砂災害が予想され人家に被害が出る恐れがあ るため、急傾斜地の擁壁を強化し被害のリスクを下げる。
  • 4. 【2.防災上の課題】 図 2-1. 対象敷地の幅員と防災設備、公共施設地図 ( 地理院地図 ) 凡例 図 2-2. 弥生町一丁目、本町三丁目避難施設 ♨ 敷地境界線 幅員 6m 以上 幅員 4~6m 幅員 4m 未満 学校 公園 避難所 防火水槽 温泉 ( 消火 ) 図 2-3. 幅員 6m 以上と半径 140m 円 ( 消防ホースの有効距離 ) 図 2-4. 幅員 4~6m 図 2-5. 幅員 4m 未満 <幅員の分析> 2-3. 消防活動困難区域 2-4. 災害時、暗渠に人があふれる恐れ 2-5. 木密地域の幅員が狭く、二次災害の恐れ 中野区弥生町一丁目住民 指定避難所 ( 水害時 ) 中野区弥生町 一丁目住民 指定避難所 ( 震災時 ) 渋谷区本町三丁目 指定避難所 新宿区西新宿五丁目住民 指定避難所 敷地中心部は、防火水槽から 140m 以遠、 敷地中心部に存在する暗渠は比較的幅員 地震、火災、水害いずれの発生時に かつ幅員 6m 以上の道路から 140m 以遠 が広く、中心部の住人はこの歩行空間を おいても最も危険である木密地域の となる消防活動困難区域 ( 薄紫部分 ) が 利用すると考えられる。その場合、人が 幅員が狭く、二次災害の恐れがある。 発生する。この地区には木密市街地が あふれパニックが発生する恐れがある。 存在する。 [考察:目指すべきまちの理想と取り組む課題] 1. ( 中心部にオープンスペースの確保 ) 2. ( 木密地域に重きを置き、敷地中心部の防火水槽設置数を増やす ) 3. ( 幅員の拡大、特に 4m 未満の道を優先 ) 災害時に自助・共助で対応でき、逃げなくても済むまちへ そのためには 災害時に一時避難場所や住民の防災活動拠点となるオープンスペース ( 公園や広場 ) を作る。 防災ベンチや防災トイレを設置し、住民たちだけで自助共助できる仕組みを作る。 火災発生時、エリアで燃焼する可能性の高い木密地域を中心に防火水槽を設置する。近所の 方々に日頃から消防水利の存在を知ってもらうためには、消防用水のように井戸のような形 状のもので視覚的にアピールするのも効果的だ。 このエリアの道はほとんどが 4m 未満となっており、二次災害や避難時のパニックが予想さ れる。4m 未満の道から優先的に幅員拡大し、災害リスクを軽減する。しかしながら、幅員の 拡大は住宅にも影響を与えるため、工事の困難かつ長期化が予想される。住民の方々と協議の 重ね、安全の確保を理解してもらうことが重要だ。 < 急傾斜地警戒特別区域 > < 消防活動困難区域 > < 二軒家公園 > 急傾斜地警戒特別区域に指定されていた地点の擁壁。コンクリ ートで補強されていないところ ( 左 ) されているところ ( 右 ) が ある。幅員も狭い。 幅員が狭いうえに住宅が密集している。加えて、ここで消火活 動ができないとなると甚大な被害が出るだろう。 規模が小さいため、周辺住民(二軒家町民)の避難ができる程 度のキャパシティしかない。池はあるが、消火できる水量はな さそうだ。災害時に集まったとしても休めるスペースがほとん どなく、けが人の救護等はできそうにない… [避難施設] 西新宿避難場所(広域) 水害時の中野区一丁目住民指定避難場所は神田川を超えたところに あり、神田川が氾濫した際には使用できない可能性がある。地震時 では、西新宿避難場所が都庁付近になっており、新宿駅からの帰宅 難民者が押し寄せ大パニックになる恐れがある。 (無茶な避難計画: 洪水なのに川を超えろ?地震時は大パニックの新宿駅へ行け?)
  • 5. ランドスケープ分野 【1.自然環境分析】 L. 10km x 10km.( まち・地域 ) M. 1km x 1km. (学校区・住区) S. 100m x 100m ( 近隣・用途地区) 始 10km、1km、100m 正方形 神田川 対象敷地境界線 谷エリア 尾根エリア L. 新宿区は武蔵野台地東端 に位置し、対象エリアは武 蔵野台地より一段高い淀橋 台を含んでいる。 M. 神田川によって削られた 部分と残留した部分で、 ①谷エリア②尾根エリア に分けられる。 [1-1. 現在の地形] [1-2. 過去と現在、土地の使われ方 ] (1896 〜 1906 年 ) ( 現在、土地利用図 ) 尾根→切土→盛土の様子がわかる。住宅地を作る 目的で、谷エリアに盛土した? 33.43m 現在住宅地のエリアには田んぼが広がっていた。 神田川も現在と違って蛇行している。現在暗渠 となっている神田上水助堀が見られる。 B.32.95m A.33.18m 26.65m 26.57m D.28.88m 28.47m C.26.57m 27.91m 21.45m (中野区弥生町一丁目) (対象敷地、断面図) 神田川 谷エリア 尾根エリア 谷エリア (1944 〜 1954 年) 33.43m 終 S.100m 正方形がちょうど 納まる地区。人工的に整 備されたと考えられる。 田んぼがなくなり、道が整備されている。 →住宅地を作る意図? 神田川の蛇行が無くなっている。 (1) (2) (1) (2) < 全体の分析 > <断面図分析> A. B. A. から谷エリア (1)C. まで高さ 6.61m、 B. から谷エリア (2)D. まで高さ 4.07m ある。このことから勾配は、谷エリア (1) がかなり急で、谷エリア (2) が緩や かであることがわかる。 尾根エリア - 谷エリア間の標高の差は 大きいが、エリア内の標高はほとんど 変わらない(尾根エリアは平均 33.18m 谷エリア (1) は 26.61m、谷エリア (2) は 28.42m) 。標高差が少ないと いうことは住宅地に向いていると いえる。 1.(切土と盛土) 土地利用図から、切土と盛土によって尾根の勾配を緩やかにした痕跡が見られる。住宅地を作るために これらを行った。 2. (神田川の蛇行を改良、暗渠の出現) 1896 〜 1906 年に見られた神田川の蛇行が 1944 〜 1954 年には見られなくなっていることから、住宅地を建設しや すいように神田川を引き直したと考えられる。その際に田んぼも撤去。神田上水助水堀が通る必要性がなくなり暗 渠になったのではないか。 3. (整備された街区) 100m 四方の街区が見られることから、住宅地用に人工的に整備されたと考えられる。 自然にできた尾根と谷を人間が住宅地建設を目的として改良した土地 ① ②
  • 6. G ①西新宿五丁目駅前→②西新宿中央公園付近、 ③高層ビル建設地区→④西新宿中央公園付近 のように、西新宿中央公園に近づくにつれて植栽が増えていくのが気になった。 ① ② ③ ④ 【2.遠隔まち歩き】 敷地境界線 ガワを巡るコース アンを巡るコース S : START, G : GOAL ⑤ ⑥ ⑦ ⑤住宅の間に不自然な隙間(通路?)を発見。 Street View ではここから先に進めないので、 現地で調査するしかない。 ⑥道を挟んで反対側にも不自然な隙間が続く。 暗渠では?→今昔マップで照らし合わせた結果、 暗渠だった。 ⑦不自然な坂を発見。標高図作成時にこの地点で 凸凹を確認。 →高低差のある所に擁壁が作られる ので、この壁が擁壁では。 S G 1.ガワに飲食店や中層ビルが並んでいるのに対し、アンは住宅が密集している。 2.住宅地は植栽がほとんどない。 3.新宿区なので都会的な住宅地(マンションやアパートが建ち並び、一軒家が少ない)をイメ ージしていたが、アンは田舎と大差なく、一軒家も多かった。 4.擁壁前道路は 3.43m しか幅員がない。緊急車両が通れないのではないか。 5.擁壁前道路とは異なり、暗渠では 4m を超える幅員がある。StreetView では入れないので、 恐らく歩行者専用通路なのだろう。 6. 階段より、高台が 4.5m くらいあることが分かった。 [植栽で気になった箇所] <遠隔まち歩き分析> 4.08m 4.26m 3.43m (暗渠幅員) (擁壁前道路幅員) ⑧高台に上る階段。数えてみると 30 段あったので 蹴上がおそらく 15cm くらいだとして、この高台 は平地との差が 4.5m あることになる。 ⑧ ⑤ ⑥ ⑦ ①ʼ ②ʼ [暗渠] [ 擁壁 ] ③ʼ ③ʼ:尾根の部分。ひきで見ると周りの土地より高い のがよくわかる。 ⑧の階段は勾配がきつそうだ。 ①ʼ:西新宿五丁目駅上空から見た暗渠。道路に 水色の舗装がされており、駅を始点として長く 続いている。 ②ʼ: ⑤、 ⑥撮影点の上空からとった写真。 ⑤を 80m 進むと神田川に行きつく。暗渠と神田川の合流点。 通常の Street View では住宅 2 〜 3 軒ほどの通路に 思えたが、3Dmap で駅から神田川まで続く 400m の通路だということが分かった。 歩行者通路にしては幅員が広め。 とても狭い。車一台分しか通れ ない。 →緊急車両通れないのでは? ⑤ ⑥ ③ʼ 地形的な個性 ( 暗渠と尾根 ) がポテンシャルになる? 西新宿エリア再開発において S
  • 7. 【3.現地調査報告】 調査日とコンディション:4/22,14:00~15:00, 晴れ ,26.2℃ [ 快適な暗渠上歩行通路(①〜③)] [ 高床の住宅(⑩、 ⑪)] 暗渠の上に橋の跡が残っていた。川が地上を通っていたころの痕跡。 手すりの跡に文字がかかれており、よく見ると「やなぎばし」と書 いてあるのがわかる。このような橋の跡は、暗渠上歩行通路を通る 途中で 2 〜 3 カ所見つけた。 遠隔まち歩きで調べた幅員 4m 越えの暗渠歩行通路。 Street View では通れず様子がわからなかったが、 14 時頃でも日が当たらない、暑い日でも快適に移動 できる空間だった。 や な ぎ ば し Street View では気づかなかったが、高床式の住宅を発見。高いところで前面道路 と地面のレベル差が 1.2m ほどある。尾根より一段階低い道路、のさらに一段階 低い土地に住居を建てようとし、その高低差を活かして駐車スペースにした…? [現地で気になった箇所の写真] 3-1.谷エリア [ 橋の痕跡(④)] 3-2.尾根エリア [ 尾根と谷の差を実感(⑦〜⑨)] Street View で尾根の高さを調べていたがあくまで数値でしか把握していなかったため、実際 に目にしてみると思っていた 2 倍は高かった。友人に立ってもらい擁壁のサイズ感を調べる。 擁壁の始めの部分なので頂上より低い方だが、人間のスケールで考えると十分高い。路地から ひいて見てみると(⑨)その高さがより実感できる。 実感できる。 友人に立ってもらい、 高さを測定 [尾根へ、その後下ってみる(⑫、 ⑬) ] Street View で通れなかった階段を上って尾根へ(⑫) 。蹴上は 15 セン チくらいだと思っていたが、勾配が相当きつく、20 センチくらいある のではないかと思う。階段を上り終え 20 歩ほど歩くと(⑬)坂になり、 住所が渋谷区になっていることに気づいた。 約 3.2m ⑤神田川。コンクリ の岸壁。 ⑥暗渠と神田川の合 流点がどうなってい るか気になったので Google map3D で確 認した写真。 S G 敷地境界線 歩いたコース S : START, G : GOAL ※番号と通った順番は関係なし
  • 9. [太陽光発電ポテンシャル] [太陽熱利用ポテンシャル] 総面積:12639.5 ㎡ 植栽:511.2 ㎡ 緑被率:4.0% ( 特徴 ) マンションや高層ビルの敷地内 に植栽されているケースが多い。 エリア左端にある巨大な樹木 で緑被率を稼いだ。 (Street View でも入れず、個人所有なのか不 明。 ) 総面積:11540.3 ㎡ 植栽:107.2 ㎡ 緑被率:0.93% (特徴) 住宅が密集しており植栽のスペ ースもないほど狭い。暗渠の歩 行通路に低木や花が植えられて いたが緑被率を高める程のもの ではなかった。 敷地境界線 エリア① (ガワ) エリア② (アン) [2.環境ポテンシャルの把握 ] 2-2. 太陽エネルギーポテンシャル 年間予想発電量:111,736[kWh/ 年 ] 敷地当たり:9.212[kWh/ ㎡年 ] 集熱量:2,406,519[MJ/年] 敷地当たり:198.42[MJ/㎡年] <エリア① (ガワ) > <エリア② (アン) > [太陽光発電ポテンシャル] [太陽熱利用ポテンシャル] 年間予想発電量:182,502[kWh/ 年 ] 敷地当たり:15.96[kWh/ ㎡年 ] 集熱量:3,828,836[MJ/ 年 ] 敷地当たり:334.89[MJ/ ㎡年 ] 1. (エリア① (ガワ) :太陽光・熱エネルギー利用がしにくい、エリア② (アン) :太陽熱エネルギー利用しやすい) エリア① (ガワ)では太陽光発電・太陽集熱で得られるエネルギーボリュームが少なく、太陽エネルギーポテンシャルが低い 。エリア② (アン)では太陽光発電で得られるエネルギーボリュームは少ないが、太陽集熱で得られるエネルギーボリューム は多く、太陽熱利用ポテンシャルは期待できる。全体として、エネルギー供給という面では、エリア① (ガワ)に太陽光とい う手段は選ばない方がよく、エリア② (アン)には太陽熱利用を取り入れた方が良い。 2. (それぞれに適したエネルギー源の配備) 屋上面積でいえば「アン」の方が広い。高層ビルは部屋を積み上げているので、たとえビルの中に何世帯いようが屋上面積 は一世帯分となる。その分、低層、中層住宅が密集している「アン」の方が太陽エネルギーポテンシャルが高くなったと考 えられる。 「ガワ」 「アン」 、それぞれに適したエネルギー設備を適切に配備することが大事。 [太陽光発電でまかなえる戸数] 世帯別 1 年あたりの平均電気使用量が、一戸建て (3人暮らし ):4632[kWh/ 年 ]、集合住宅 (3人暮らし ):3756[kWh/ 年 ] に対して (エリア①ガワ) 2-1. 緑被率 <エリア① (ガワ) > <エリア② (アン) > <2-1.考察> 1. ( マンションの緑化 ) 測定前まではなんとなくエリア② (アン)の 方が植栽が多いイメージだった(高層ビル の多いガワには緑が少ないのでは?) しかし、マンションは一軒家に比べ、敷地 面積に対する床面積が狭い。余ったスペー スを緑化しているケースが多かった。 2. (新宿区全体との比較) 令和 2 年度の新宿区緑被率は 17.98%。 今回調査した比率を考えると明らかな差が ある。新宿中央公園や新宿御苑などの大型 公園で緑被率を稼いでいると考えられる。 2. (ヒートアイランド) 緑被率の低下、密集した建物による風通し の阻害や天空率の低下(=住宅密集地域、 木密地域) 、建物の排熱の増加 はヒートア イランドの原因となる。熱中症にもつなが る。 (特徴) 東京都における標準的な住宅の敷地 当たり年間予想発電量が 21[kWh/ ㎡ 年 ] に対して半分以下の値。ポテン シャルが期待できない。 (特徴) 東京都における標準的な住宅の敷地 当たり年間熱量計243.0[MJ/㎡年]に対 し近い値だが、及ばない。 (特徴) 東京都における標準的な住宅の年間予 想発電量 21[kWh/ ㎡年 ] に対して、 比較的近い値だが、まだ及ばない。 ポテンシャルはあまり期待できない。 (特徴) 東京都における標準的な住宅の敷地 当たり年間熱量計243.0[MJ/㎡年]と 業務432.0[MJ/㎡年]の間ぐらいの値。 住宅地としてはポテンシャルが期待 できる。 <2-2.考察> [緑被率増加への具体的な提案] (暗渠の植栽) 住宅が密集しているエリア② (アン)では植栽の 場を設けること自体が困難だが、暗渠の部分は 幅員も広く(4.28m) 、植栽が可能であると考え る。しかし、樹木で暗渠が暗くなってしまい安全 性が失われる恐れがある。 (= 防犯対策がカギ) [緑被率増加に成功した例:アークヒルズ] 一戸建て (3人暮らし ):24 戸分 集合住宅 (3人暮らし ):29 戸分 ( エリア②アン ) 一戸建て (3人暮らし ):39 戸分 集合住宅 (3人暮らし ):48 戸分 まかなえる 1.建物と広場以外は全て緑化 マンション敷地内の建物と広場以外は全て緑化している。緑が育つに つれ緑被率が上がっている(1990 年:23.3%→2021 年:42.1%) 。 2.屋上庭園 20m を超える高木の育成までを可能にした屋上庭園。 3.周辺環境を考慮した計画 アークヒルズだけでなく、周辺に同様の緑化集合住宅を併せて計画。 付近の公園も考慮して緑被率増加に努めている。ヒートアイランド 緩和や生態系の回復にも効果がある。
  • 10. [3.温熱環境の測定] [測定ポイント① :二軒家公園] [測定ポイント② :暗渠遊歩道] [測定ポイント 3:擁壁] 【全体の分析と考察】 写真 1.1:二軒家公園 写真 1.1 サーモグラフィー 写真 2.1: 暗渠遊歩道 写真 2.1 サーモグラフィー 12m 9m 9m 9m 土の地面 24℃ アルミ塀 24℃ 木陰 20℃ 水辺 21℃ 塀 33℃ アスファルト 暗渠 遊歩道 30℃ 日影 26℃ 植栽 23℃ アスファルト 道路 38℃ 日影 22℃ 擁壁緑化部 23℃ 擁壁ブロック部 24℃ 測定日:2022/5/19 気温:27.8℃ 風速:0.8m/s 方位: 測定日:2022/5/19 気温:28.4℃ 風速:0m/s 方位: 測定日:2022/5/19 気温:28.3℃ 風速:1.1m/s 方位: 写真 1.2: 二軒家公園内水辺 写真 1.2 のサーモグラフィー 写真 1.3:二軒家公園天空写真 7m 9m (体感温度:日なたでも木陰でも暑い) 数値的には木陰と日なたの地面で 4℃の差が出ており、サーモグラ フィーでも一見日なたの方が極めて熱く見える。しかし、体感温度 的には木陰でも日なたでも差はほとんど感じられなかった。 (表面温度:緑化のあるなしでは大違い) 写真 1.2 水辺のサーモグラフィーでは、緑化による表面温度低下の 様子が顕著に表れ、緑で覆われていない水辺の岸と住宅壁面が高温 になっている。 図 1.1:二軒家公園温熱環境分析図 写真 2.2:遊歩道天空写真 図 2.1: 暗渠遊歩道温熱環境分析図 図 3.1:擁壁温熱環境分析図 写真 3.1:擁壁 写真 3.1 サーモグラフィー 写真 3.2:ブロック擁壁 写真 3.2 のサーモグラフィー (天空率:高い。放射が阻害され熱がこもる) (体感温度:他の地点より蒸し暑い。 ) (表面温度:遊歩道の温度が高く、熱気が足元から伝わる) (体感温度:日差しを遮るものが無く、カラッと暑い) (表面温度:擁壁→素材や緑の有無で差が生じる。 道路→計測地の中で一番高い。 ) 暗渠遊歩道②のエリア(地図参照)には 3 〜 4 階建て のアパートが立ち並び天空率が高くなっている。天空 率の増加によって放射が阻害され熱がこもる現象が発 生している。 3 地点で唯一風速が 0m/s に加えて熱気がこもり蒸し暑い。アパートが 独自に敷地の一部を緑化しているケースがあるが、歩行者の休憩スペー ス(日差しをよけられる空間)と言えるほどではなく涼しく感じられる 場所が少ない。 遊歩道がアスファルトでできており、表面温度が 30℃に達していた。 写真 2.1 サーモグラフィーからもわかるように、周囲と比べ一段と温度 が高くなっており、歩行者のための空間とは言えない。 ① ② ③ (擁壁:素材パターンと緑) 1.石 or ブロック 2.緑に覆われている or 覆わ れていない 擁壁前道路は東から西にかけて形成されており、加えて植栽や庇が無い ため日中は太陽光が遮られることがない。よって、遊歩道とは異なりカ ラっと乾燥した暑さが特徴だった。 [擁壁]素材:ブロックより石の方が温度が高い。 (写真 3.1) 緑:緑でおおわれている方が温度が低い。( 写真 3.2) [道路]日中太陽に照らされ続ける地点に加えアスファルト道路のため 計測地の中で一番高い温度になっている。 (図 3.1) 天空率:低い。 ①体感温度:放射と風速が影響する。 ②表面温度:素材の差、緑の有無が影響する。 ③天空率:天空率が高い地域は放射が阻害され熱がこもりやすい 二軒家公園と暗渠遊歩道では暗渠遊歩道の方が暑かった。両者は天空率による放射と風速という点において大きく差 が出ていることから、体感温度は放射と風速が影響することが分かった(温度と湿度は 3 地点とも似たような値の ため影響の確認ができなかった) 。 土の地面の二軒家公園とアスファルト道路の暗渠遊歩道、擁壁では温度に 6℃以上の差が出ている。また、二軒家公 園の水辺や擁壁において、緑に覆われているか否かで温度差が出ている。これらより、表面温度は素材の差、緑の有 無が影響することが分かった。 暗渠遊歩道は他 2 地点と比べ蒸し暑かった。これは、天空率が高いことにより放射が阻害され熱がこもったことに起 因する。 二軒家公園 3~4 階アパート密集地 エリア境界線 観測方向 観測者
  • 11. 資源と課題の把握 [資源:ここにしかない個性があふれる] [課題:安全面の問題が多い] (③まちの顔 ) (②住宅に隣接する公園) (⑦密集する住宅、 幅員の狭い道路が多い) (防災設備の少なさ) (食料品店の少なさ) 【資源と課題の把握:どれを活かして、何を克服するか?】 銭湯の羽衣湯。近 隣住民が使うコミ ュニティ施設の役 割と火災時の消火 用水としての利用 もできる。 周囲の土地より一 段高い尾根エリア は、見晴らしもよ く、また、洪水時 の避難場所として 利用できる。 風の通り道となる 河川はヒートアイ ランド緩和の役割 を果たす。また、 オープン化するこ とで地域再生を図 ることもできる。 (⑤特徴的な地形) 二軒屋町会災害時一時 集合場所に指定、防災 倉庫も設備されている。 しかし、エリア全体の 居住者を一時避難させ られるキャパシティが 無いのが課題。 (①魅力的な歩行空間) (④2つのポテン シャルを持つ川) 幅員 4m の路地が多いこ のエリアで、エリア中心 を通る幅員 4m 越えの歩 行空間。付近に密集市街 地が形成されており住民 は災害時にこの遊歩道を 利用して避難できる。 また、暗渠は豪雨時にな ると神田川へオーバーフ ローされるため、ある程 度の雨量なら家屋浸水を 防げる。 (⑥擁壁:勾配のきつさ) エリア内にはスーパーマーケットが無く、エリア中 心から半径 500m 内にあるスーパーマーケットはマ ルエツプチ西新宿六丁目店(写真)のみ。生活必需 品を買いづらいことが課題のひとつである。 (無茶な避難計画) エリア内には防災倉庫が 1 つしかなく(写真:二 軒家公園内) 、西新宿五 丁目エリアで火災が発生 した際は二軒家公園から 設備を借りることになる ため、迅速な消火活動が 行えない可能性がある。 一時避難できるオープン スペース、防災設備数を 増やさねばならない。 水害時の中野区一丁目住 民指定避難場所は神田川 を超えたところにあり、 神田川が氾濫した際には 使用できない可能性があ る。地震時では、西新宿 避難場所が都庁付近にな っており、新宿駅からの 帰宅難民者が押し寄せ大 パニックになる恐れがあ る。 入れられたら 避難所の地図 周囲より標高が高く洪水時 の避難が期待できる尾根エ リアだが、尾根へ上る階段 ・スロープの勾配がきつく 年配者の避難が困難である。 特に一人暮らしの年配者の 避難が遅れる可能性がある。 このエリアは密集市街地が 多く形成され、4m 以下の 幅員道路が多い。緊急車両 が入れない部分がエリア中 心部に多く存在するため、 災害時・急病人の搬送に時 間がかかる。 ② ① ④ ③ ⑤ ⑥ ⑦ 中野区弥生町一丁目住民 指定避難所 ( 水害時 ) 西新宿避難場所(広域) 神田川 新 宿 駅 「安全面」の課題を克服することが優先。 「再生面」では、ここにしかない個性をどう活かせるか。 現在の西新宿五丁目エリアは「安全面」において課題が多く、具体的に述べると1.災害時における、密集市街地および幅員 4m 以下道路での 二次災害や事故。3. 避難計画のあまさ、である。人命を一番に考えると「安全面」の課題を克服することが優先だ。一方、このエリアにはここ にしかない個性が多く、1. 魅力的な歩行空間。2. ポテンシャルを持つ川。3.特徴的な地形。が挙げられる。 「地域・環境再生面」ではこれらの 個性をどう有効活用するかがカギだ。 西新宿五丁目エリアは
  • 12. 都心居住にふさわしい街 [ 資源を活かすアイデア ] [課題を活かすアイデア] <1.神田川:魅力の源泉へ> エリア現在の神田川は壁面がコンクリートでむき出しの状 態となっている。蒸発冷却が起きやすい河川はヒートアイ ランド緩和を促すが、河岸壁面を緑化することでさらにそ の効果が期待できる。壁面を緑化し、冷気をエリア内に流 す。 エリアにはオープンスペース(公園や広場)が少なく地域コ ミュニティが活性化されにくい。そこで、神田川にサンクン ガーデンを作り、エリアのコミュニティ創成を図る。 <1.擁壁:誰もが使いやすく> 現在の尾根エリアへのアプローチは階段かスロープだが、 そのほとんどが急勾配になっている。洪水時の避難場所 を想定して、高齢者も、足腰が弱い方も上りやすい、勾 配の緩やかなスロープを設置する。 尾根の擁壁には不法投棄されたゴミが散乱しており、地 域の印象が悪くなっていた。防犯カメラの設置、フェン スを高くするなどといった捨てにくくする仕組みを取り、 地域の好印象化を図る。 <2.尾根エリア: いつも安心、 「いざ」も安心できる場所へ> 洪水時、神田川が氾濫した際には中野町一丁目住民は尾根 エリアに避難すると考えられる。そうなると尾根エリアの 住民と中野町住民両者が集合し、混乱が生じる。さらに、 避難施設、設備が整っておらず、現状のままでは洪水時に 逃げてきたとして、一時集合・救護できる屋内スペースや 毛布・食料の蓄えが無く、住民はただ立ち尽くす羽目にな ってしまう恐れがある。そこで、尾根エリアの一角に避難 設備や物資を蓄えた避難所を建設し、住民の方々が避難し てきても安心できる空間づくりを施す。 【都心居住にとってふさわしい街とは】 <2.密集市街地、幅員の狭い道路: 昭和の雰囲気残る安全な歩行者ネットワーク> 西新宿五丁目における、都心居住にふさわしい姿とは… 安全で安心。いろんな人を惹きつけ、受け入れるまち。 ①安全で安心なまち:いざという時は安全。帰ってくるとほっと安心。 ②いろんな人を惹きつけ、受け入れるまち:多様性 ( 世代、世帯、暮らし方、人種 etc…) を受容する [アイデアを反映した西新宿五丁目エリア] (避難所の建設) (快適なまちの源:壁面緑化でまちを涼しく) (人々を惹きつける:サンクンガーデン) (世代も身体的特徴も乗り越えて:緩やかなスロープ) (近寄りがたさを乗り越えて:ゴミ対策) 現在、エリアのほとんどを占めている 4m 幅員道路。住居 間の狭い幅員道路は地域のコミュニティ形成に有効的だが その数が多すぎるのは防災・救急時に障害を生む恐れがあ る。エリアの資源である暗渠歩行空間を参考に、魅力的で 安全な歩行空間を増やす。幅員を、ある部分は狭く、ある 部分は広くとり、緩急をつける。コミュニティ形成と防災 両方に特化し、古き良き昭和の雰囲気残る歩行者ネットワ ークを目指す。 (道路の幅員:広いと狭いの混在) 防災の設備が備わり、災害時には安全に自助・共助で対処できるまち。 誰もが逃げやすい擁壁のスロープ。逃げて安心な尾根の避難所。 新宿には、世代、世帯、暮らし方(一人暮らし、共働き、DINK など) 人種 etc... が全く異なる人々が集まる。そんな人々を惹きつけ受け入 れる仕組みがあるまち。子供達が水遊びできるサンクンガーデン。 一人暮らしや DINKS には夜お散歩できる遊歩道。外国人と日本人が 井戸端会議する狭い路地。 (誰も取り残さない) (おかえりが言える距離) 仕事・学校から帰ってくるとご近所さんが声をかけてくれるまち。 仕事でやらかしちゃった時も、学校で嫌なことがあった時も、まちに 帰るとほっと一安心できる。密集市街地と幅員の狭い道路を一部残し、 会話ができる距離を保つ。 (人それぞれの好きな場所が見つかるまち) ① ② ③ サンクンガーデン 避難所 勾配の緩いスロープ 幅広道路 まちの魅力は自分で 見つけてもらう! ①散歩中に思いがけず 現在ある暗渠遊歩道の 延長にサンクンガーデ ンを作り、散歩中に思 いがけず見つけてしま ったという状況を作る。 魅力をアピールするの ではなく見つけてもら うことで主体的にこの 街を好きになってもら う。 ③うねうねぐるぐる まちを回遊 地図に示したのは幅広 道路アイデア案。この 道路以外は幅員の狭い 道路を残す。エリアを 回遊するように張り巡 らせ、自分で歩いて街 の魅力を見つけてもら う。飽きない散歩道。 (誰も取り残さない) (おかえりが言える距離) おかえり ただいま おはよう 元気? みんなの好きはそれぞれ違う いろんな好きがあふれるまちへ 家 近所でつながる