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救急医療における薬剤師の関わり:NICU最前線

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ファーマシューティカル・ケア研究会研修会
「救急医療における薬剤師の関わり:NICU最前線」
2015年2月3日

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救急医療における薬剤師の関わり:NICU最前線

  1. 1. NICU最前線 愛仁会高槻病院 総合周産期母子医療センター 菊池 新 (新生児科医、国際認定ラクテーション・コンサルタント) 高槻市マスコットキャラクター 「はにたん」 ファーマシューティカル・ケア研究会研修会 「救急医療における薬剤師の関わり」 2015年2月3日(火)
  2. 2. 目次 1. 周産期医療に関する統計 2. 高槻病院NICUの紹介と入院患者統計 3. 高槻病院における超低出生体重児の管理 4. NICU薬剤師の現状と期待される役割 5. 母乳栄養について 6. 母乳と薬剤
  3. 3. 周産期医療に関する統計
  4. 4. 出生体重1500g未満児の体重別出生数 49 82 154 172 250 336 291 1441 2209 2456 2694 2865 2814 2914 4482 4227 4703 5034 5082 4853 4854 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000 1980年 1990年 1995年 2000年 2005年 2009年 2010年 ~499g 500~999g 1000~1499g (厚生労働省人口動態統計)
  5. 5. 出生数と低出生体重児出生割合の推移 (厚生労働省人口動態統計) 1960 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2009
  6. 6. 母の年齢階級別低出生体重児出生割合 (厚生労働省人口動態統計) 母の年齢が高くなるほど、低出生体重児の占める割合が高 い。 (%)
  7. 7. 乳児死亡率・新生児死亡率の推移 60.1 30.7 13.1 7.5 4.6 3.2 2.6 2.4 27.5 17.0 8.7 4.9 2.6 1.8 1.2 1.20.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2008 2009 乳児死亡率 新生児死亡率 (厚生労働省人口動態統計) (出生千対)
  8. 8. 極低出生体重児の出生体重別生存率 ≦500g 501~750g 751~1000g 1001~ 1250g 1251~ 1500g 生存 314 2306 3315 3808 4702 死亡 314 617 305 164 156 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 死亡 生存 (周産期母子医療ネットワークデータベース)対象:2003~2007年出生児
  9. 9. 極低出生体重児の在胎週数別生存率 22,23週 24,25週 26,27週 28,29週 30,31週 生存 527 1812 2699 3529 2979 死亡 433 395 271 164 109 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 死亡 生存 (周産期母子医療ネットワークデータベース)対象:2003~2007年出生児
  10. 10. 在胎週数別生存率の比較 城所博之, 脳と発達41(2): 118-123, 2009.
  11. 11. 超低出生体重児の発達評価:3歳時 75.0 70.2 62.2 62.6 10.9 14.9 18.2 20.3 14.1 14.9 19.6 17.1 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 1990年 1995年 2000年 2005年 正常 境界 異常 上谷良行.周産期医学42(5):597-600, 2012.
  12. 12. 超低出生体重児の発達評価:6歳時 64.3 60.9 57.4 56.9 18.2 18.8 16.0 23.3 17.5 20.3 26.6 19.8 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 1990年 1995年 2000年 2005年※ 正常 境界 異常 上谷良行.周産期医学42(5):597-600, 2012. ※2005年は中間報告
  13. 13. 単位:パーセント 上谷良行.周産期医学42(5):597-600, 2012. 超低出生体重児の長期予後: 3歳時 1990年 n=853 1995年 n=757 2000年 n=790 2005年 n=701 総合発達評価 正常 75 70.2 62.2 62.6 境界 10.9 14.9 18.2 20.3 異常 14.1 14.9 19.6 17.1 脳性麻痺 12.0 14.3 16.3 12.4 視力障害 全体 8.3 6.9 9.0 8.5 両眼失明 2.2 1.2 0.6 0.4 片眼失明 0.6 0.7 0.0 0.3 弱視 5.5 5.0 6.1 3.6 聴力障害 2.2 2.1 2.4 1.7 てんかん 4.3 3.8 3.7 3.2 反復性呼吸障害/喘息 11.1/8.0 8.1/9.2 4.4/7.2 4.0/8.8 在宅酸素療法 3.6 3.7 5.1 4.6
  14. 14. 超低出生体重児の長期予後:6歳時 1990年 n=548 1995年 n=394 2000年 n=451 2005年 中間集計 精神発達 正常 64.3 60.9 57.4 境界 18.2 18.8 16.0 19.8 異常 17.5 20.3 26.6 23.3 脳性麻痺 13.5 15.5 17.3 12.6 視覚障害 失明(両眼) 3.1 (2.2) 2.0 (1.0) 2.4 (1.4) 0.0 (0.0) 弱視 12.6 10.4 10.3 12.5 斜視 11.1 7.4 7.7 6.0 聴力障害 2.0 0.5 3.2 2.7 てんかん 5.8 5.1 5.4 2.8 注意欠陥多動障害 3.3 1.4 1.3 3.2 反復性呼吸器感染/喘息 4.0/7.5 7.6/10.7 5.8/7.0 5.0/11.8 在宅酸素療法 0.0 1.8 0.2 1.1 単位:パーセント 上谷良行.周産期医学42(5):597-600, 2012.
  15. 15. 超低出生体重児の就学について 1990年 1995年 2000年 2005年 中間集計 普通学級 83.2% 80% 75% 59% 障害児学級 5% 4% 8% 11% 養護学級 5% 6% 6% 7% 未定 7% 10% 11% 23% 就学猶予 5例 2例 1例 0例 上谷良行.周産期医学42(5):597-600, 2012.
  16. 16. 子宮内環境からNICU環境へ 胎内生活 従来型のNICU環境 • まぶしい • 騒々しい • 頻回の処置 • 医療者中心 2005年ごろの高槻病院 スライド提供:森口紀子
  17. 17. 100年以上前の新生児病棟 ウプサラ大学カンガルーマザーケアセミナー資料
  18. 18. 昔:医療者中心の医療や看護 ウプサラ大学カンガルーマザーケアセミナー資料
  19. 19. 1976 昔:治療を理由とした家族との分離 ウプサラ大学カンガルーマザーケアセミナー資料
  20. 20. 家族がわが子を診て育てるNICUへ ウプサラ大学カンガルーマザーケアセミナー資料
  21. 21. 家族と離れているときも快適な環境を 高槻病院
  22. 22. Developmental Careとは? • 子ども、家族、環境の間の相互作用を支援 • 子ども、家族の個別的ニーズを支援 • ケアとケア環境を調整することで支援 • 妊娠中、出生時から退院、乳幼児期以降も支援 • 入院中から地域と連携して支援 • 早期から家族をケア参加に巻き込む • 発達(行動を通して脳成熟へ)を支援する National Association of Neonatal Nurses(NANN): Carole Kenner ed. Developmental Care of Newborns & Infants, A Guide for Health Professionals. Mosby, 2004. 森口紀子:NIDCAPモデルに基づいたDC(総論).第5回DCセミナー資料よ り
  23. 23. NICUにおけるケアの質の転換 森口紀子:NIDCAPモデルに基づいたDC(総論).第5回DCセミナー資料よ り 課題達成・基準に基づい た ⇒ 関係性に基づいた スタッフの業務中心 ⇒ 赤ちゃんのリズムに合わせ る 危機的状況に基づいた ⇒ 発達性に基づいた 障害(問題)の修復 ⇒ 赤ちゃんの強みを養育する 科学的技術に焦点をおい た ⇒ 人との交流に焦点をおいた 生物学的存在 ⇒ 全人的存在 活動に基づいた ⇒ 振り返り(内省)に基づい た 個別の行為 ⇒ 協働する Als H: 1998.
  24. 24. 高槻病院NICUの紹介と 入院患者統計
  25. 25. 社会医療法人愛仁会 高槻病院 総合周産期母子医療センター 赤ちゃんにやさしい病院 地域医療支援病院 卒後臨床研修評価機構認定病院 日本医療機能評価機構認定病院 (一般200床以上500床未満 /Ver5.0) ★病床数 477 床 産科 47 床 MFICU 6 床 NICU 21 床 GCU 24 床 ★分娩件数 1484 件 現在のNICUはここ
  26. 26. NICU入院患者数の推移:高槻病院 267 262 323 350 384 349 323 388 371 470 437 371 326 167 167 134 118 127 120 156 91 86 98 104 100 112 0 100 200 300 400 500 600 院外出生 院内出生
  27. 27. 在胎週数別NICU入院患者:高槻病院 200 1 200 2 200 3 200 4 200 5 200 6 200 7 200 8 200 9 201 0 201 1 201 2 201 3 ≧2500 g 224 209 215 227 252 195 205 211 216 282 241 227 200 <2500 g 83 96 120 91 116 105 123 104 102 122 133 96 105 <2000 g 62 68 58 64 72 89 74 78 73 71 83 76 58 <1500 g 37 35 33 46 27 37 36 40 36 51 34 30 28 <1000 g 28 21 31 40 44 43 41 46 30 42 41 43 48 0 100 200 300 400 500 600 ≧2500 g <2500 g <2000 g <1500 g <1000 g
  28. 28. 出生体重別NICU入院患者:高槻病院 200 4 200 5 200 6 200 7 200 8 200 9 201 0 201 1 201 2 201 3 37週以上 232 259 191 229 194 217 272 250 232 194 32-26週 149 180 195 162 195 175 195 209 166 156 28-31週 50 29 42 50 46 36 57 50 33 40 24-27週 33 34 31 31 37 23 31 23 30 29 22-23週 4 9 10 7 7 6 13 9 10 20 0 100 200 300 400 500 600 37週以上 32-26週 28-31週 24-27週 22-23週
  29. 29. NICU病棟 Zone 1 Zone 2 • 重症児 • 気管挿管中 • 急性期の 超早産児 • 軽症児 • DPAP/酸素 • 慢性期の • 超早産児 12床 9床
  30. 30. GCU病棟 • 現在24床 • 慢性期の早産児 挿管・気管切開管理の児 • 在宅医療の支援が必要な児
  31. 31. 高槻病院における 超低出生体重児の管理
  32. 32. 超低出生体重児の管理:高槻病院 出生前~分娩時 産前訪問:主に予後、早期の経過、栄養について 積極的な母体ステロイド投与⇒胎児肺の成長促進 児に負担の少ない分娩方法(幸帽児・底部横切開) 蘇生は医師2名とNICU看護師1名以上で 滅菌袋へ収容・胸腹部に保護剤貼付⇒皮膚の保護 鎮静・鎮痛や環境 原則として全例フェンタニル点滴静注 必要に応じてフェノバルビタールを静注(以前は坐 薬) minimal handling:検査・処置は最小限に 音や光刺激など不快な刺激を減らす 可能な限り早期から、そして濃密な両親の関わりを
  33. 33. 超低出生体重児の管理:高槻病院 循環(血圧管理) 血圧管理:中間血圧>在胎週数 ⇒ 日齢1~中間血圧≧30 積極的なステロイド使用(ハイドロコルチゾン) カテコラミンのルチーン使用なし 後負荷不整合があれば血管拡張剤(NTG)を使用 動脈管:22-23週前半はインドメタシン予防投与を実施、あとは個別 評価 呼吸 原則3日間はSIMV管理→その後HFOに(ドレーゲル社製VN500を使用) 鎮静と呼吸器条件の調整で自発呼吸をなくし、血圧変動を最小限に 鎮静:フェンタニル持続点滴、必要に応じてフェノバルビタール静注 栄養/消化管 “Early aggressive parenteral and enteral nutrition” 経静脈栄養: アミノ酸3.5-4.0g/kg/day(日齢1~) 経腸栄養: Own mother’s milk(日齢0/1~) 分娩直後より搾乳(手・電動搾乳器)、必要時はもらい乳を実施 浣腸:急性期は医師が適宜実施 十二指腸チューブによる注入や大建中湯の使用(慢性期)
  34. 34. 症例: 出生前から出生直後 在胎23週6日 女児 出生体重640g 【妊娠分娩経過】 母35歳、自然妊娠成立の経産婦。近医で妊婦健診受診。 22週5日性器出血で総合病院紹介、一旦軽快し経過観察。 23週4日に当院紹介。前期破水による羊水過小を認め、 子宮収縮抑制したが、母体感染兆候と胎児頻拍を認め、 23週6日に緊急帝王切開で出生。 【出生時経過】 出生時啼泣弱く、生後1分マスク換気開始。皮膚色改善 悪く 4分に気管挿管。陽圧換気にて皮膚色、酸素化は改善。 酸素40%と高い陽圧を要し、臨床的に呼吸窮迫症候群と 診断しサーファクテン®を1V投与。両親面会後にNICU入
  35. 35. 症例: 急性期管理 【呼吸】 入院後SIMVで呼吸管理 Day5~高頻度振動換気(HFO)に変更 急性期より胸部X線で網状索状影→慢性肺疾患 【循環】 (1)血圧・相対的副腎皮質不全に対して ステロイド:Day1-2 Hydrocortisone1.5mg/kg静注 本症例はカテコラミンや血管拡張剤は使用せず (2)動脈管開存症に対して IndomethacinをDay1は0.1mg/kg、Day2-4は0.2mg/kg投与 心エコーや臓器血流の所見や尿量を指標に投与量を決定
  36. 36. 症例:生後72時間の輸液 体重640g 日齢0 日齢1 日齢2 点 滴 持 続 静 注 中心静脈 PI紫 (臍カテ 青) 主 管 50%糖液 10㎖ プレアミンP 32㎖ カルチコール 8㎖ ヘパリン 0.5㎖ 1.3㎖/h 50%糖液 10㎖ プレアミンP 32㎖ カルチコール 8㎖ ヘパリン 0.5㎖ 1.5㎖/h 50%糖液 7㎖ プレアミンP 19㎖ カルチコール 4㎖ 蒸留水 20㎖ ビタジェクト0.6㎖ ヘパリン 0.5㎖ 3.0㎖/h 側 管 フェンタニル 0.5㎖ 生食 20㎖ 0.3㎖/h フェンタニル 0.5㎖ 生食 20㎖ 0.3㎖/h フェンタニル 0.5㎖ 生食 20㎖ 0.3㎖/h 中心静脈 PI緑 (臍カテ白) 5%糖液 20㎖ ヘパリン 0.2㎖ 0.2㎖/h リン酸Na 5㎖ 生食 15㎖ ヘパリン 0.2㎖ 1.5㎖/h リン酸Na 5㎖ 生食 15㎖ ヘパリン 0.2㎖ 1.5㎖/h 動脈ライン ヘパリン生食 0.2㎖/h ヘパリン生食 0.2㎖/h ヘパリン生食 0.2㎖/h 静注 点滴静注 ケイツーN 1mg*1 ノーベルバール 7.5mg*1 ビクシリン 50mg*3 アミカシン 6mg*1 ヴェノグロブリン 600mg*1 ビクシリン 50mg*3 アミカシン 7mg*1 プロジフ 3.2mg*1 インダシン 0.06mg*1 ソルコーテフ 1mg*1 ビクシリン 50mg*3 アミカシン 7mg*1 インダシン 0.13mg*1 ソルコーテフ 1mg*1
  37. 37. 症例: 急性期以降の管理 【呼吸】 Day11~酸素化増悪を認め、Hydrocortisoneを使用 その後も慢性肺疾患による呼吸状態悪化にて反復使用 Day45~SIMV管理に変更、Day52に抜管試みたが成功せず Day74~リンデロン®静注とボスミン®吸入で抜管成功 最終的には近隣NICUへ転院し、在宅酸素療法で退院 【循環】 Day19 動脈管開存症に対し動脈管閉鎖術を実施 (Indomethacinを3回投与したが閉鎖せず) 【栄養】 Day0~中心静脈栄養(プレアミンP®)、Day1~経腸栄養 開始 Day8に経腸栄養で100ml/kg到達→静脈栄養を中止 入院中、退院後も母乳のみ 入院中は強化母乳(森永HMS-1®)を使用
  38. 38. 症例: 退院前の評価と長期予後 【神経学的評価】 頭部エコーで脳室内出血や脳室周囲白質軟化症は認めず 頭部MRI・脳波・聴覚検査(ABR)のいずれも異常なし ※近隣のNICUに転院後実施 【退院後経過】 転院先にてフォローアップ健診を実施 発達検査にて明らかな運動精神発達遅滞なし
  39. 39. NICU患児の短期予後(2012):高槻 在胎週数 症例数 新生児 死亡 乳児 死亡 新生児 死亡率 生存 退院率 22-23週 10 1 0 10.0% 90.0% 24-27週 30 1 1 3.3% 93.3% 28-31週 33 1 0 3.0% 97.0% 32-36週 174 0 0 0.0% 100% 37週以上 224 1 0 0.4% 99.6% 計 471 4 1 0.8% 98.9%
  40. 40. NICU患児の短期予後(2012):高槻 在胎週数 症例数 新生児 死亡 乳児 死亡 新生児 死亡率 生存 退院率 <500g 4 0 0 0.0% 100% <1000g 39 3 1 7.7% 89.7% <1500g 30 0 0 0.0% 100% <2000g 75 0 0 0.0% 100% <2500g 96 0 0 0.0% 100% ≧2500g 227 1 0 0.4% 99.6% 計 471 4 1 0.8% 98.9%
  41. 41. 在胎22-23週児の合併症:高槻病院 在胎22週児 在胎23週児 2006-10 (n=11) 2011-14 (n=7) 2006-10 (n=27) 2011-14 (n=30) 脳室内出血III-IV 度 36% 14%↓ 15% 3%↓ 慢性肺疾患36週 60% 100% 38% 60% 敗血症 27% 71% 22% 10%↓ 未熟児網膜症 9% 43% 37% 33% 動脈管結紮術 18% 29% 30% 20% 壊死性腸炎 9% 14% 15% 3%↓ 直近4年間で重症IVH、在胎23週児のNECと敗血症が著明に減少
  42. 42. 在胎22-23週児の短期予後:高槻病院 在胎22週児 在胎23週児 2006-10 (n=11) 2011-14 (n=7) 2006-10 (n=27) 2011-14 (n=30) 生存退院 36% 100%↑ 81% 97%↑ 在院日数 185±58 194±20 197±106 164±51 退院時修正週数 48.9±8.1 50.4±2.8 51.6±15. 2 47.0±7.5 退院時体重 (cm) 3374±93 0 3491±76 8 3618±137 8 3658±123 5 退院時身長 (cm) 50.6±3.8 50.0±2.6 50.9±8.4 36.3±3.9 退院時頭囲 直近4年間で短期予後は在胎22,23週ともに改善
  43. 43. 新生児搬送:高槻病院 1. 当院への搬送 • 主に三島医療圏より • 年間100件前後 • 内科的疾患に限らず、 小児外科・脳神経外科 疾患の搬送も多い 2. 当院からの搬送 • 先天性心疾患の手術目的:大阪医大、国立循環器病セン ター • 先天代謝異常の透析目的:大阪府立母子保健総合医療セン ター 178 167 145 125 149 139 168 95 94 110 107 100 111 0 2 4 6 8 10 12 14 0 50 100 150 200 新生児搬送(左軸) 二次搬送(右軸)
  44. 44. NICU薬剤師の現状と 期待される役割
  45. 45. NICU担当薬剤師の主な業務と役割 • 処方鑑査 • 薬剤情報提供(薬効、副作用、配合変化、投与方 法等) • 中心静脈輸液の調製(NICU病棟内) • TDM(薬物血中濃度測定) • 服薬指導 • 医薬品管理 • 近年はサテライトファーマシーを設置している施設も増加 し、専従薬剤師が平日日勤は病棟に常駐し、注射薬の調製 等の業務を行っている施設も見られる
  46. 46. 主なNICU頻用薬剤:高槻病院 注射薬 (特定生物由来製品を除く) 内服薬 外用・点眼 薬 フィジオ35 ソリタT4 KN3号 ヴィーンF 生理食塩水 20%,50%糖液 カルチコール プレアミンP イントラ ファット イントラリポ ス ビタジェクト メドレニック メイロン シナジス ビクシリン アミカシン スルバシリン ペントシリン バンコマイシン リネゾリド ソルコーテフ アプニション レスピア ドプラム ガスター ノーベルバール ドルミカム プレセデックス リコモジュリン インダシン ミリスロー ル ミルリノン イノバン ドブタミン ボスミン リプル レスピア アプネカット 10%NaCL リン酸ナトリウム インクレミン アルファロー ル ラシックス アルダクトン ダイアモック ス 大建中湯 チラーヂンS ジアゾキサイ ド フェノバール 亜鉛華軟膏 白色ワセリン エコリシン (点眼・眼軟膏) カプト点眼 バクトロバン 吸入薬・ 気管投与薬 ボスミン オルガドロン サーファクテ ン
  47. 47. NICU担当薬剤師の関与度調査 笠原一朗ら(横浜市立大学附属市民総合医療センター薬剤部) 対象:全国の総合周産期母子医療センター88施設 2010年 2012年 2014年 アンケート回収率 42% 45% 76% 1. NICU担当薬剤師の配置 42% 45% 54% 2. クリーンベンチの設置 - - 33% 3. 薬剤師による注射剤調製 46% 32% 57% 4. 薬剤管理指導料算定の実施 27% 19% 30% 5. 薬剤師のNICUカンファレンス参加 20% 24% 34%
  48. 48. NICU担当薬剤師の配置:高槻病院 • クリーンベンチの導入 NICU担当薬剤師配置以前からNICU看護師が輸液調整に使 用 現在は平日日勤帯の輸液調整をNICU担当薬剤師が実施 • NICU担当看護師の配置 薬剤科より薬剤師配置の要望あり 2014年春ごろから実施 現在NICU担当の薬剤師は1名 (日勤の輸液調整時にもう1名)
  49. 49. 医師・看護師への情報提供:高槻病 院 • 投与ルートや配合禁忌といった情報をまとめた便覧の提 供 • 時間外や休日に看護師が行う輸液作成手順の提供 • 新規採用薬に関する勉強会の開催
  50. 50. NICU担当薬剤師の日常業務:高槻 1. 医薬品管理 平日朝夕2回、管理薬品をチェック 2. 輸液調整 午前中の定期処方以外に、臨時処方にも対応 3. 内服指導 主にインクレミン、アルファロール、チラーヂンSなど 4. 薬剤情報提供 勉強会: 先日カフェイン(レスピア®)の勉強会を開催 投与ルート(フィルター通過の可否など)に関する情報 薬剤の母乳移行に関する情報 5. TDM 主にバンコマイシン、フェノバルビタール、テオフィリ ン
  51. 51. 母乳栄養について ~赤ちゃんが母乳で育つことがなぜ重要なのか~
  52. 52. アメリカ・ニューヨー ク市 フィリピン
  53. 53. アメリカ テキサス州
  54. 54. アメリカ・マサチューセッツ州
  55. 55. 乳児栄養法の全国調査 一般調査による乳児栄養法の割合 51.6 42.4 44.1 45.7 43.8 52.5 42.8 35 4.6 5.1 13.1 19.3 0% 20% 40% 60% 80% 100% 2010 2000 1990 1980 月齢1~2 56.8 39.4 37.5 34.6 30 30.5 29.4 24.9 13.2 30.2 33.1 40.5 0% 20% 40% 60% 80% 100% 2010 2000 1990 1980 月齢3~4 母乳 混合 人工 厚生労働省:平成22年乳幼児身体発育調査
  56. 56. 母乳育児に関する妊娠中の考え 43.1% 52.9% 1.0% 2.7% 0.3% ぜひ母乳で育てたい 母乳がでれば母乳で 育てたい 粉ミルクで育てたい 特に考えなかった 不詳 厚生労働省:平成18年乳幼児身体発育調査
  57. 57. 母乳育児の利点 赤ちゃんにとっての利点 母親にとっての利点 1. 疾病の予防や軽症化 2. 母乳は最適な栄養源である 3. 顔全体の筋肉や顎を発達さ せる 4. 消化に良く、便秘になりに くい 5. 免疫機能を強化する 6. 愛着と信頼感を深める 7. いつも新鮮・適温・衛生的 8. アレルギーのリスクを下げ る 9. 認知能力を発達させる 10.早期接触により体温・呼吸数 の安定や常在細菌叢の獲得 を助ける 1. 妊娠前の体重復帰を促す 2. 排卵を抑制する 3. 精神的な安定をもたらす 4. 乳癌・卵巣癌・子宮体癌の罹患率を 低下させる 5. 閉経後の大腿骨頸部骨折や骨粗鬆 症が減る可能性がある 6. 衛生的・経済的で手間がかからない 7. 災害時にも衛生環境が悪化して も、授乳でき、母と子双方の精神 的安定に役立つ 8. 児が欲しがるとき、欲しいだけ飲 ませることができる 58 涌谷桐子編:すぐ使える70の事例から学ぶ母乳育児支援ブック, 2009(一部改 変)
  58. 58. 低出生体重児・早産児に重要な母乳の利点 • 胃から十二指腸への移行が早い。 • 腸管の透過性を早く低下させる(正期産児)。 • 胃残が少なく、経腸栄養の確立が早い。 • 腸管の成長、蠕動運動、成熟を促す因子が母乳中に存在する。 • 母乳中の酵素は児の未熟な消化吸収を助ける。 • 栄養確立が早く、栄養輸液の合併症を減らし、輸液期間を短縮さ せ、点滴による感染症や漏れを減らし、入院期間が短縮する。 • 母乳で育てられた児では壊死性腸炎を来す頻度が低い。 • 敗血症の罹患率が減少する。 • 尿路感染症の減少に関連する。 • 母乳で育った極低出生体重児では知能指数がより高い傾向にある。 • 母乳で育った極低出生体重児では視機能の発達がよく、 未熟児網膜症の発症頻度が少ない。 • 抗酸化作用があり、酸化的ストレスから早産児を守る。 中村和恵:Neonatal Care 25(8):791, 2012 (改変)
  59. 59. 母乳栄養の健康面での利点 先進国における母乳育児と比較した人工栄養の危険度 60 疾患 相対 リスク 疾患 相対 リスク アレルギー疾 患 2-7倍 1型糖尿病 2.4倍 中耳炎 3倍 乳幼児突然死症候群 2倍 胃腸炎 3倍 肺炎・気管支炎 1.7-5倍 髄膜炎 3.8倍 炎症性腸疾患 1.5-1.9倍 尿路感染症 2.5-5.5倍 ホジキン腫瘍 1-6.7倍 アメリカ小児科学会:母乳育児のすべて-お母さんになるあなたへ-, メディカ出版, 2002.
  60. 60. 母乳育児による疾病予防効果 母乳育児をしないことによる健康上のリスク 対象と疾患名 増加率 (%) 対象と疾患名 増加率 (%) 正期産 児 〔感染症〕 急性中耳炎 下気道感染による乳児期の入院 胃腸炎 100 257 178 〔小児がん〕 急性リンパ性白血病 急性骨髄性白血病 23 18 〔アレルギー疾患〕 アトピー性皮膚炎 喘息(家族歴あり) 喘息(家族歴なし) 47 67 35 〔乳児死亡率〕 乳幼児突然死症候群 56 〔肥満と糖尿病〕 小児肥満 2型糖尿病 32 64 早産児 壊死性腸炎 138 母親 乳がん 卵巣がん 4 27 The Surgeon General’s Call to Action to Support Breastfeeding 2011 U.S.
  61. 61. 感染症の予防効果 【急性中耳炎】 • 3か月母乳栄養児は人工栄養児と比べて、そのリスクが半 減 • 6か月母乳栄養児は混合・人工栄養児と比べて、リスクは 1/3 【下気道感染】(肺炎等) • 工業先進国で4か月母乳栄養児は人工栄養児と比べて • 下気道感染で入院する危険性が1/3以下になる 【胃腸炎】 • 混合・人工栄養児は母乳栄養児と比べて、リスクが2.8倍増 加 【その他】 水野克己:母乳育児学, 南山堂, 東京 2012, p1-4
  62. 62. アメリカ心臓病学会(AHA) 2011年1月の公式見解で 母乳育児が小児期の さまざまな疾患だけでなく、 その後の 肥満症を減らす効果 について認めた。 さらに成人期の高血圧や 高脂血症に対する効果の 可能性についても言及し、 さらなる研究が必要だと 述べている。 63
  63. 63. 64
  64. 64. 肥満傾向のこどもが増えている ここ30年で肥満傾向のこどもは2~3倍に増加したと言われてい る 学校保健統計調査(文部科学省) 2.6 3.1 4.3 5.3 5.9 6.5 6.6 5.6 4.9 4.1 5.4 6.8 8.3 9.5 9.4 9.6 8.4 7.9 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 6歳 7歳 8歳 9歳 10歳 11歳 12歳 13歳 14歳 肥満傾向児の出現率(年齢別) 1977年 1993年 2013年
  65. 65. 肥満傾向のこどもが増えている 平成20年度学校保健統計調査(文部科学省) 9~17歳の男子の10人に1人は肥 満
  66. 66. 小中学生の2型糖尿病も増えている
  67. 67. 母乳育児と小児肥満の関係 母乳育児により小児肥満のリスクが22%減少する。 68 Arenz S, et al. Int J Obes 28:1247-1256, 2004.
  68. 68. 母乳育児期間と過体重の関係 • 母乳育児期間が 1か月長くなると、将来の過体重リスクを4%低下させる。 9か月以上になると、将来の過体重リスクを32%低下させ る。 69 Harder T, et al. Am J Epidemiol, 162: 397-403, 2005. 1.00 0.81 0.76 0.67 0.68 0.00 0.50 1.00 1.50 <1 1~3 4~5 7~9 >9 オッズ比 母乳育児期間(か月)
  69. 69. 日本のメタボリック症候群 1.成人 男性の23.0%、女性の8.9%がメタボリック症候群で、予備 軍は男性22.6%、女性7.8% 2.小児 一般小児集団の1.9%がメタボリック症候群 肥満度≧20%の小児肥満の約10%が小児メタボリック症候 群の基準に該当する 15歳以上の小児2型糖尿病は過去15年間で約2.5倍増加 小児期に肥満や、心血管系の危険因子がある場合、55歳以 前の死亡率が高いという報告がある。 日本においても小児肥満の予防は将来のメタボリック症候 群の一次予防として重要な課題である。 70
  70. 70. 母乳育児と2型糖尿病の関係 • システマティックレビュー:過去23文献から7文献を抽出 • 母乳栄養児は人工栄養児と比べて、将来2型糖尿病の 罹患リスクが39%低くなる。 Owen CG, et al. Am J Clin Nutr, 84: 1043-1054, 2006.
  71. 71. 母乳育児の長期的効果 母乳育児の成人疾患に及ぼす影響の検討(WHO, 2007) • 過体重/肥満: 22%減少 • 総コレステロール: 6.9mg/dl低下 • 2型糖尿病: 37%減少 • 血圧: 収縮期1.21mmHg低下 拡張期0.49mmHg低下 母乳育児が成人のメタボリック症候群の予防となると 結論づけている。 72 Horta BL, et al. World Health Organization, Geneva 2007: 1-57
  72. 72. 母乳栄養による感染防御効果 Furman L, et al. The effect of maternal milk on neonatal morbidity of very low-birth-weight infants. Arch Pediatr Adolesc Med. 2003 Jan;157(1):66-71. • 目的: 極低出生体重児の疾病率低下に対する母乳栄 養の 量的効果に関する検討 • 方法:極低出生体重児109名を対象としたコホート研究 • 対象: 出生体重:平均1056g 在胎週数:平均28週 性別:男児57% 人種:白人43% 栄養法:母乳栄養児(混合を含む)が79名(66%) そのうち32名が生後4週時点で50ml/kg以上の母乳を摂取
  73. 73. 母乳栄養による感染防御効果 Furman L, et al. Arch Pediatr Adolesc Med, 15:66-71, 2003 母乳摂取量が 1日50ml/kg以上 在胎週数、性別、人種等の交絡因子を考慮しても 母乳摂取量が50ml/kg/day以上の児では 敗血症(罹患回数)が73%減少
  74. 74. 未熟児網膜症の予防効果 Hylander MA, et al. Association of human milk feedings with a reduction in retinopathy of prematurity among very low birthweight infants. J Perinatol. 2001 Sep;21(6):356-62. • 目的:極低出生体重児における未熟児網膜症(ROP)に対す る母乳栄養の効果について検討 • 方法:VLBW児283名を対象としたコホート研究 • 対象:ROPと診断した174名 • 栄養法:母乳栄養児100名、人工栄養児74名 ※両群間で婚姻状況、医療保険、母の喫煙・違法薬物使 用、出生体重に有意差あり
  75. 75. 未熟児網膜症の予防効果 Hylander MA, et al. J. Perinatol. 21(6):356-62, 2001. 在胎週数、酸素投与日数、Apgar5分値、 人種等の交絡因子を考慮しても 母乳栄養はROPのリスクを54%低下
  76. 76. Vohr BR, et al. Beneficial effects of breast milk in the neonatal intensive care unit on the developmental outcome of extremely low birth weight infants at 18 months of age. Pediatrics 2006; 118; e115. 運動精神発達予後の改善効果 超低出生体重児1035名を 対象としたコホート研究 平均在胎週数:26週 平均出生体重:約800g 母乳栄養群775名(74.9%)※ 人工栄養群260名(25.1%) ※混合栄養を含む
  77. 77. 運動精神発達予後の改善効果 修正18~22か月時点のBayley発達検査 母乳栄養群は人工栄養群と比較して ①精神発達指数MDI≧85が有意に多く ②運動発達指数PDIの平均値が有意に高く ③行動情緒評価BRSの2項目が有意に高かった。 母乳栄養群では1歳までの再入院率が人工栄養群と 比較して有意に少なかった。(23.2% vs 30.1%) Betty RV, et al. Pediatrics 2006; 118; e115.
  78. 78. 運動精神発達予後の改善効果 入院中の母乳摂取量が10ml/kg/day増加する毎に、 Bayley発達検査の各スコアが上昇 MDIスコアが0.53ポイント PDIスコアが0.63ポイント BRSスコアが0.82ポイント 母乳摂取量に比例して発達予後が改善(量依存性) Betty RV, et al. Pediatrics 2006; 118; e115.
  79. 79. 超低出生体重児の 栄養管理の実際
  80. 80. 急性期の栄養が神経学的発達に影響する Stephens BE, et al. First-week protein and energy intakes are associated with 18-month developmental outcomes in extremely low birth weight infants. Pediatrics 2009 123(5):1337-43. • 目的:超低出生体重児の生後早期の蛋白・エネルギー摂 取が神経学的発達や発育に与える影響について検討 • 方法:ELBW児148名の生後4週間の栄養をカルテから調査 • 対象:うち修正18か月の評価を実施した124名(84%)を検 討 • 結果: 出生体重787±133g 在胎週数:25.9±1.6週 性別:男児43% SGA児:13% 合併症:CLD 22%, NEC 16%, IVH(III-IV) 4%, PVL 1%
  81. 81. エネルギー摂取量が 10kcal/kg/日 増加するごとに 修正18か月のMDI*が 4.6ポイント上昇 蛋白摂取量が 1g/kg/日 増加するごとに 修正18か月のMDI*が 8.2ポイント上昇 *MDI (Mental Developmental Index) Bayley乳幼児発達検査の心理発達指標
  82. 82. Early aggressive nutrition(EAN) • 極低出生体重(VLBW)児では胎内で臍帯から得られて いた栄養が供給されなくなると、生後早期から栄養学 的緊急事態に陥る。 • 生後早期から胎児発育を目指して、蛋白異化を抑制す るだけの十分なアミノ酸の投与を主体としたEANを行 うことが、長期にわたる成長や発達予後、成人期の健 康に寄与すると考えられている。 • 近年は経腸栄養もより早期から開始することを合わ せ、Early aggressive parenteral and enteral strategyとも呼 ばれている。 Adamkin DH. Minerva Pediatr 2007; 59: 369-77. Thureen PJ, et al. Semin Neonatol 2001; 6: 403-415.
  83. 83. 在胎週数別の蛋白喪失量 超早産児における生後1週間の蛋白喪失量は正期産児の2倍 Denne SC, et al. Semin Perinat 31 (2): 56-60, 2007.
  84. 84. ブドウ糖単独では蛋白を喪失する • 超低出生体重児では蛋白が供給されず、ブドウ糖単独で は 生後1週間の間に毎日1~2%の体蛋白を喪失する • 一方胎児では、1日あたり2g/kgの蛋白蓄積があるDenne SC, et al. Semin Perinat 31 (2): 56-60, 2007. 図 在胎26週、出生体重1000gの児の体蛋白量の理論上推移 胎児の蛋白蓄積 ブドウ糖単独投与
  85. 85. 栄養学的緊急状態とは Stokowski LA. http://www.medscape.com/viewarticle/494953/
  86. 86. VLBW児に対するEANの推奨レベル 治療内容 推奨の強さ エビデンスの 質 1)速やかなエネルギー供給 ブドウ糖投与を6mg/kg/分以上で開始 生後7日以内に10mg/kg/分まで増量 血糖を50-120mg/dLに維持 推奨 される B 2)速やかな経静脈的アミノ酸投与 生後数時間以内に3.0g/kg/日で投与開始 0.5g/kg/日ずつ、4.0g/kg/日まで増量 推奨 される B 3)生後24~30時間以内に脂肪乳剤投与を開始 0.5-1.0g/kg/日で開始 0.5-1.0g/kg/日ずつ、3.0-3.5g/kg/日まで増量 推奨 される B 4)生後5日以内に少量の経腸栄養を開始 約10ml/kg/日で開始(可能なら母乳で) 10-20ml/kg/日ずつ、数日間で150ml/kg/日まで 増量 推奨 される B Ehrenkranz RA. Semin Perinat 2007; 31: 48-55.
  87. 87. 急性期の栄養管理:症例 【症例】 在胎23週6日 出生体重640g 女児 Apgar5/8 【妊娠分娩経過】 母37歳 1G1P 自然妊娠 産科合併症・感染症なし 22週6日・23週2日 出血あり近医受診し異常なし 23週5日 再度出血あり当院産科搬送、高位破水 23週6日 羊水減少し子宮内感染を認め緊急CS 【出生時経過】 出生直後弱い啼泣あり心拍100以上。マスク換気(酸素60%)開 始。 生後4分に気管挿管し、人工換気開始し皮膚色少し改善。 酸素40%でSpO2 90%台に上昇。サーファクテン1/2Vを気管内投 与。 生後15分すぎ母と面会し、タッチング実施してNICU入院。
  88. 88. 実際の急性期栄養管理:高槻病院 日齢 中心静脈栄養 経管栄養 0 50%ブドウ糖液 10mL プレアミンP 32mL カルチコール 8mL ヘパリン100U/mL 0.5mL 1.3mL/hr ブドウ糖 10%糖液 GIR 3.4 mg/kg/min アミノ酸 2.4 g/kg/day カルシウム 3.0 mEq/kg/day 【指示】 NPO 届いたら口腔内塗布 【実施状況】 なし(母乳分泌未) 1 50%ブドウ糖液 10mL プレアミンP 32mL カルチコール 8mL ヘパリン100U/mL 0.5mL 2.0mL/hr ブドウ糖 10%糖液 GIR 5.2 mg/kg/min アミノ酸 3.6 g/kg/day カルシウム 4.7 mEq/kg/day 【指示】 母乳0.5ml×8回 口腔内塗布可 【実施状況】 母乳0.5ml×2回 毎回口腔内塗布
  89. 89. 実際の急性期栄養管理:高槻病院 日齢 中心静脈栄養 経管栄養 2 50%ブドウ糖液 7mL プレアミンP 19mL カルチコール 4mL 蒸留水 20mL ビタジェクトA0.4/B0.2mL ヘパリン100U/mL 0.5mL 3.0mL/hr ブドウ糖 7%糖液 GIR 5.5 mg/kg/min アミノ酸 3.2g/kg/day カルシウム 3.5mEq/kg/day 【指示】 母乳1.0ml×8回 【実施状況】 母乳0.5ml×4+1.0ml×4 3 内容は上記と同じ 2.5mL/hr ブドウ糖 7%糖液 GIR 4.6 mg/kg/min アミノ酸 2.7 g/kg/day カルシウム 2.9 mEq/kg/day 【指示】 母乳1.0ml×12回 【実施状況】 母乳1ml×10
  90. 90. 初乳の口腔内塗布 • 生まれて初めて届いた少量の母乳から実施 • できる限り経口哺乳が可能になるまで継続 • 人工呼吸中の児に対しても実施 • 可能ならば面会や同室している母親の前で実施 (母親自身にやってもらうことも) 赤ちゃんには、 おっぱいが必要 わたしのおっぱいは 大切にされている
  91. 91. 超早期授乳の実際:福島医大 出生体重 初回投与量 増量開始 (初日) 増量開始 (2日目以降) 400~599g 0.3ml×8回 0.5ml×8回 0.3ml/回ずつ増量 600~799g 0.5ml×8回 0.8ml×8回 0.5ml/回ずつ増量 800~999g 0.7ml×8回 1.0ml×8回 0.7ml/回ずつ増量 1000~1249g 1.0ml×8回 1.5ml×8回 1.0ml/回ずつ増量 1250~1499g 2.0ml×8回 4.0ml×8回 2.0ml/回ずつ増量 1500~1999g 3.0ml×8回 6.0ml×8回 3.0ml/回ずつ増量 2000g~ 5.0ml×8回 10.0ml×8回 5.0ml/回ずつ増量 • 増量開始基準:投与前の胃内吸引量が、3回連続して投与した量より少ない場 合 • 400~999g:Neonatal Research Network(NRN)で定めた授乳計画量 • 1000g~:福島県立医大医学部附属病院総合周産期母子医療センターで定めた 授乳計画量 河原田勉,氏家二郞ら:未熟児新生児誌16(2): 72-80, 2004.
  92. 92. 超早期授乳の実際:高槻病院 出生体重 0~24 時間 24~48 時間 48~72 時間 72~96 時間 以降 400~599g 0.3ml 0.5ml 0.5ml 0.5ml 0.5ml/回ずつ 600~799g 0.5ml 1.0ml 1.0ml 1.0ml 1.0ml/回ずつ 800~999g 1.0ml 1.5ml 1.5ml 2.0ml 1.0ml/回ずつ 授乳回数 4回 4回 8回 12回
  93. 93. 経腸栄養の開始時間:高槻病院 0.0 24.0 48.0 72.0 96.0 22.0 23.0 24.0 25.0 26.0 27.0 28.0 栄養開始時間(口腔内塗布を含む) 在胎週数(週) 生後時間(時 間) 在胎28週未満出生の児の多くで 生後48時間までに経腸栄養が 開始されていた
  94. 94. 急性期の経腸栄養:高槻病院 0 20 40 60 80 100 120 140 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 日齢 水分率(ml/kg/ 日) 対象:2013年7月~2014年4月に入院した 在胎28週未満の早産児24名中23名 除外:日齢12に敗血症で死亡退院した1名 在胎週数:24.7±1.7週 出生体重:680±220g (424~1266g) 水分率100到達 日齢10.8±3.6 (日齢6~19)
  95. 95. 在胎22-23週児の栄養と発育:高槻 【対象】 当院に2006年1月1日から 2012年12月31日に入院した 在胎22・23週児56例のうち 以下の症例を除外した33例 ※除外:新生児死亡10例、消化器疾患合併7例、SGA児4例、 退院・転院例(修正40週時点)2例 【検討方法】 前期群:2006-2010年、後期群:2011-2012年 在胎週数、出生時身体計測値、栄養に関する主要な指 標、 在胎40週時点の身体計測値について、電子カルテから 全例 除外 対象 前期群 38例 17例 21例 後期群 18例 7例 12例
  96. 96. 在胎週数と出生時計測値 前期群 (n=21) 後期群 (n=12) P 在胎週数 23.3±0.4 23.3±0.3 N.S. 体重(g) 563±54 553±49 N.S. 身長(cm) 29.8±1.9 29.5±1.2 N.S. 頭囲(cm) 21.5±2.6 21.3±2.7 N.S. 胸囲(cm) 20.2±3.1 18.8±0.7 N.S.
  97. 97. NICU入院中の栄養管理 前期群 後期群 P ア ミ ノ 酸 経 静 脈 栄 養 開始日齢 1.7±1.1 0.2±0.4 P<0.05 終了日齢 12.4±4.4 11.7±3.5 N.S. 開始量(g/kg/day) 0.79±0.57 1.88±0.48 P<0.05 最大量(g/kg/day) 1.72±0.92 3.32±0.59 P<0.05 経 腸 栄 養 開始日齢 1.6±0.9 1.1±0.7 N.S. WQ100到達日齢 11.9±4.2 11.3±3.5 N.S. 強化母乳開始日齢 21.3±7.6 19.6±5.8 N.S. 日齢30ミルク量(ml/kg) 132±31 151±20 N.S.
  98. 98. 修正40週時点の身体計測値 前期群 後期群 P 体重(g) 2227±343 2642±330 P<0.01 身長(cm) 44.4±2.9 45.3±2.2 N.S. 頭囲(cm) 33.3±1.7 34.9±1.2 P<0.01 胸囲(cm) 29.7±2.0 31.4±1.4 P<0.05
  99. 99. 修正18か月時点の身体計測値 前期群 (n=10) 後期群 (n=4) P 体重(g) 8479±721 9291±240 P<0.05 身長(cm) 75.3±3.4 78.1±2.0 N.S. 頭囲(cm) 45.8±0.8 46.6±0.8 N.S.
  100. 100. 修正18か月時点の神経学的予後 前期群 (n=11) 後期群 (n=6) 姿勢・運動≧85 3 (27%) 3 (50%) 認知・適応≧85 3 (27%) 4 (67%) 言語・社会≧85 1 (9%) 4 (67%) 全領域≧85 4 (36%) 4 (67%) 発達検査未実施の 理由 遅滞のため実施不可7 転居2 受診せず1 転居3 実施不可1(ALTE) 修正18か月未満2 新版K式発達検査において、各領域とも修正月齢で85以上を「正常」と 評価
  101. 101. 乳児栄養法の全国調査 一般調査による乳児栄養法の割合 51.6 42.4 44.1 45.7 43.8 52.5 42.8 35 4.6 5.1 13.1 19.3 0% 20% 40% 60% 80% 100% 2010 2000 1990 1980 月齢1~2 56.8 39.4 37.5 34.6 30 30.5 29.4 24.9 13.2 30.2 33.1 40.5 0% 20% 40% 60% 80% 100% 2010 2000 1990 1980 月齢3~4 母乳 混合 人工 厚生労働省:平成22年乳幼児身体発育調査
  102. 102. 世界各国の母乳栄養率との比較 国・施設 調査年 1か月 2か月 3か月 4か月 6か月 日本 2000 45 42 39 36 ドイツ 1997-1998 42 33 10 オーストリア 1998 92 85 46 デンマーク 1999-2001 84 48 51 中国(北京) 2000 48 15 高槻病院 2013 81 72 103 The WHO Global Database on Breastfeeding (2000-2007) http://apps.who.int/research/iycf/bfcf/ ※当院データは赤ちゃんにやさしい病院データベースより抽出
  103. 103. NICUにおける母乳栄養率データ • アメリカ:Boston Medical Center NICU 生後2週間:母乳栄養*66%(1999)→80%(2009) *混合含む Parker M, et al. J Hum Lact.29(3):354-8, 2013. • イタリア:NICU12施設から退院した極低出生体重児594名 退院時:母乳栄養30.5%、混合24.0%、人工栄養45.5% Davanzo R, et al. Paediatr Perinat Epidemiol.23(6):591-6, 2009. • イタリア:Bambino Gesù Children's Hospital (BFH) 退院時:母乳栄養21.2%(1998)→64.0%(2002) Dall'Oglio I, et al. Acta Paediatr.96(11):1626-31, 2007. • ブラジル:Darcy Vargas Maternity Hospital(BFH) 退院時:母乳栄養84.4%、混合10.2%、人工栄養5.4% do Nascimento MB, Issler H. J Hum Lact.21(1):47-52.2005.
  104. 104. NICU/GCU入院初期栄養方法:高槻病院 0% 20% 40% 60% 80% 100% 2009 2010 2011 2012 母乳 混合 人工 0% 20% 40% 60% 80% 100% 2009 2010 2011 2012 母乳 混合 人工 0% 20% 40% 60% 80% 100% 2009 2010 2011 2012 母乳 混合 人工 0% 20% 40% 60% 80% 100% 2009 2010 2011 2012 母乳 混合 人工 在胎22~27週 在胎28~31週 在胎32~36週 在胎37週以上 2009~2012年にNICU入院した新生児における 入院後24時間の栄養方法は 母乳のみ20.5%、混合69.0%、人工乳のみ10.5% (全体の89.5%で母乳栄養を行っていた。)
  105. 105. NICU/GCU退院時栄養方法:高槻病院 0% 20% 40% 60% 80% 100% 2012 年度 2011 年度 母乳 混合 人工 0% 20% 40% 60% 80% 100% 2012 年度 2011 年度 母乳 混合 人工 0% 20% 40% 60% 80% 100% 2012 年度 2011 年度 母乳 混合 人工 0% 20% 40% 60% 80% 100% 2012 年度 2011 年度 母乳 混合 人工 在胎22~27週 在胎28~31週 在胎32~36週 在胎37週以上 2012年度にGCU入院した新生児における GCU退院時(退院前72時間)の栄養方法は 母乳のみ32.8%、混合53.3%、人工乳のみ14.0% (全体の86.0%で母乳栄養を行っていた。)
  106. 106. 母乳と薬剤
  107. 107. 母乳を介した乳児への薬剤移行 • 内服薬は消化管から吸収されて、大部分は肝臓を通って 血中へ移行する。 • 静脈投与された薬剤では血中濃度が一時的に高濃度にな るが、一般的に消化管での吸収不良が悪い薬剤が経静脈 投与されており、母乳中へ移行しても乳児の腸管からほ とんど吸収されない。 • 血漿中の薬剤は主に乳腺上皮細胞を通過して受動拡散に より母乳中に移行するが、生後早期は細胞間隙からの傍 細胞拡散により移行する。しかし早期は母乳分泌量が少 なく児への影響はほとんどないと考えられる。 Hale and Ilett, Drug Therapy and Breastfeeding: From Theory to Clinical Practice. Parthenon Publishing, 2006
  108. 108. 薬剤が母乳中へ移行する経路 図 薬剤が母乳中へ移行する経路:傍細胞拡散と経細胞拡散
  109. 109. 薬剤が母乳中へ移行する経路 図 腺房上皮細胞による母乳成分分泌と細胞内外への薬剤移行
  110. 110. 薬剤の乳汁移行に関係する因子 • ほとんどの薬剤は母乳にわずかにしか移行しない • 精神神経系の薬剤には移行しやすいものがある • 抗がん剤や放射性物質等は少なくても影響が考えられる 和田友香・村島温子:母体の薬剤服用と授乳.新生児栄養学.メジカルビュー130-135, 2014. 薬剤側 母親側 児側 • 分子量 • 脂溶性 • 蛋白結合率 • 乳汁/血漿薬物濃度比 • 解離定数(pKa) • 半減期 • 経口生体利用率 • 血中濃度 • 母乳分泌量 • 母乳の組成 • 児の年齢や体重 • 哺乳量と哺乳回数 • 腸管からの吸収率 • 薬剤代謝機能 腎機能、肝機能、 代謝酵素活性等 • 薬剤感受性
  111. 111. 薬剤の乳汁移行:薬剤側因子 1. 分子量 分子量が大きいほど移行しにくい 100Da以上ではほとんど移行せず、200~500Da以下では 移行しやすい 2. 脂溶性 脂溶性が低い薬剤ほど移行しにくい 3. 蛋白結合率 蛋白結合率が高いほど移行しにくい 4. 乳汁/血漿薬剤濃度比 M/P比(Milk-to-plasma Ratio) 乳汁/母体血漿中の薬剤濃度比 高いほど移行しやすく、M/P比<1の薬剤は移行しにく い ある一点で採取された母乳と血漿の濃度比から計算され る 正確には母乳中薬剤濃度AUCと血中薬剤濃度AUCの比
  112. 112. 薬剤の乳汁移行:薬剤側因子 5. 解離定数 pKa 薬剤の解離定数、イオン化の状態を表す 値が小さいほど酸性である pKaが低い薬剤は弱塩基性の血漿中ではイオン化しやす く、 乳汁移行しやすい 6. 半減期 T1/2 半減期が短い薬剤ほど移行しにくい 7. 経口生体利用率 Bioavailability 薬剤投与後最終的に血漿へ到達する薬剤の割合 経口生体利用率が低いほど移行しにくい
  113. 113. 薬剤の乳汁移行:母親側因子 1. 血中濃度 投与量・回数・経路、代謝機能、感受性の影響で変化 2. 母乳分泌量 3. 母乳の組成 母乳中の蛋白質・脂肪等の組成は初乳/成乳、前乳/後 乳、 成熟児分娩/早産児分娩によって変化
  114. 114. 児への薬剤移行の推定方法 1. 相対的乳児投与量 Relative Infant Dose(RID) 母乳を介する薬の用量※(mg/kg/日) ×100(%) 乳児の治療量(mg/kg/日) 乳児の治療量が決まっていないときは、母親の体重あたりの 治療量でも代用可能 TID10%以上の薬剤は注意が必要、多くの薬剤ではRID<1% ※理論的乳児薬物摂取量(Theoretical Infant Dose:TID) =母乳中薬剤濃度×摂取した母乳量 母乳中薬剤濃度=母親の血中濃度×M/P比 2. Exposure Index(EI) EI=M/P比×10×児の薬剤クリアランスCL(ml/kg/分) 多くの薬剤でM/P比、成人CLとも1以下→EI<10% EIが高い薬:フェノバルビタール、エトスクシミド、プリミ ドン、テオフィリン、リチウム、ヨード製剤
  115. 115. 主な参考資料 • 伊藤真也・村島温子:妊娠と授乳.南山堂(東京),2010. • 伊藤真也・村島温子ほか:向精神薬と妊娠・授乳.南山堂(東京), 2014. • 五十嵐隆編:小児科臨床ピクシス16 新生児医療.中山書店(東 京),2010. • 板橋家頭夫編:新生児栄養学-発達生理から臨床まで-.メジカル ビュー(東京), 2014. • 「ウプサラ大学NICUカンガルーマザーケアセミナー」資料集,2009. • 「第4回ディベロップメンタルケア・ベーシックコース」資料集, 日 本ディベロップメンタルケア(DC)研究会,2011. • 「第10回医師のための母乳育児支援セミナーinつくば」資料集, 日本 ラクテーション・コンサルタント協会,2014.

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