臨床の場で患者・医療者の意思決定とその合意形成を同時に可能とする，医療における新しいコミュニケーションです．

1. Shared decision making
新しい医療のコミュニケーション

2. 父権主義と消費者主義
• 患者は医師の指示に従えば良い
（父権主義：Paternalism）
• 患者のことを最も知っているのは患者自身
であり，決めるのは情報を得た患者である
（消費者主義：Consumerism）．

3. Shared decision making（SDM）
• 父権主義と消費者主義の対立的な関係を解き
患者と医療者の協働と問題解決を目指す
新たな調和的アプローチ

4. 個々の患者の状態最善のエビデンス
最良の意思決定・合意形成へ
（将来，臨床家のプロフェッショ
ナリズムのひとつになる）

5. SDMのステップ
1. 最善の方法がわからない，厳しい状況に直面した
場合に行われる．
2. 「医療者のもつ情報」と「患者の持つ情報（価値観，
希望，社会的役割，背景を含む）」を照らし合わせ，
複数の選択肢を吟味し，協力して意思決定を行う．
3. 患者の抱える葛藤や責任は重くなる可能性がある
が，最終決定を患者が行ったとしても，その責任を
分かち合う．

6. 必須４要素
1. 少なくとも医療者と患者が関与する
2. 両者が情報を共有する
3. 両者が希望の治療について，合意を形成す
るステップを踏む
4. 実施する治療についての合意に達する
Soc Sci Med 1997: 44, 681-92

7. 具体的な９つのステップ
1. 意思決定の必要性を認識する
2. 両者が対等のパートナーと認識する
3. 可能なすべての選択肢を同等のものとして述べる
4. 選択肢のメリット・デメリットの情報を交換する
5. 医療者が患者の理解と期待を吟味する．
6. 意向・希望を提示する
7. 選択肢と合意に向けて話し合う
8. 意思決定を共有する
9. 共有した意思決定のアウトカムを評価する時期を相談する
Patient Educ Couns 2010: 80, 94-9

8. 参考図書