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Toward Research That Matters



Ryohei Fujimaki (NEC Laboratories America)




北海道大学GCOEシンポジウム
自己紹介
 藤巻遼平(フジマキリョウヘイ)●
 略歴
 –   2006年   東京大学工学系研究科航空宇宙工学専攻を卒業
 –   2006年   NEC 中央研究所へ入社
 –   2011年   東京大学工学系研究科航空宇宙工学専攻から博士号取得
 –   2011年   NEC Laboratories America, Inc.へ出向


 現在のポジションと役割
 – 異種混合学習技術開発チーム 技術リーダー
 – データマイニング基盤開発チーム 技術リーダー
 – 大学連携/リクルート/その他




                                                 2
チームの紹介
 Data Mining and Business Analysis Technology Group●
   – 歴史:1990年から約20年にわたり機械学習・データマイニングの研
     究
      • 伝統的には情報理論をベースとする学習理論が得意。最近は機械学習理
        論から、機械学習に基づくデータマイニングに研究の方向がシフト
      • 卒業生(敬称略):安倍(IBM Watson),Hang Li(Huawei),山西(
        東京大学),馬見塚(京都大学),中村(北海道大学),竹内(九州大
        学)など
   – 現在のメンバーは10名弱。最近はダイバーシティを高めるため、いろいろ
     な分野の人が融合しつつある。機械学習/データマイニング(半分くらい)
     、分散並列計算、ソフトウェアアーキテクチャ、支援システム、女子0
 Department of Media Analytics●
   – 北米西海岸のComputer Visionチーム
   – 機械学習をベースにした、画像認識で、世界トップの成果を出し続けてい
     る
      • 2009 PASCAL Visual Objects Classes Challenge Winner
      • 2010 ImageNet Challenge Winner
   – 現在のチームメンバーは8名。Recognitionと3D Reconstruction。             3
研究経歴

                       データマイニング/機械学習
 修士     宇宙機の異常検出           との出会い


                  様々な応用研究と
1−3年目   故障診                     応用研究に
                     の出会い        傾倒
         断        ネットワーク/ヘル
        異常解       スケア/金融/な
3−5年目    析          どなどなど       数理技術
                                への回帰
  博士
  取得                            北米へ出向
5−7年目   データマイニン    異種混合学習     開発/研究/分析
         グ基盤開発                 技術とビジネス

                                       4
現在の主な研究開発活動マップ




                 5
今日のキーメッセージ
 Research practices in industry
   – 最も重要な事は、現場の問題にわくわくし、それとともに研究する事
   – 技術はいつでも問題を解くためにある


 Things useful for Ph.D. candidates to consider
   – グローバルに活躍するためには、世界を広げていく推進力と責任が
     重要
   – Ph.D.はプロへの第一歩。修士卒企業研究員の入社3年間。スキル
     に大きな差がつく時期。勉強しよう!研究しよう!


 Heterogeneous Mixture Learning Project
   – 今日は時間がないと思うので、また次の機会に。
   – ちょっとその前に。。。●


                                                   6
企業研究の楽しいところ/難しいところ
 問題は目の前に
 – 「Real World Application」は目の前にある。わくわくしよう。
 – 研究者の興味と、真のニーズには多くの場合ギャップがある
 人材/人種の多様性●
 – バックグラウンドの違う人と仕事するのは楽しい。一方で衝突も。。
 – 考え方の違いを楽しむ。自分と違う考えに出会うのは成長のチャンス
 プロフェッショナル
 – 周りはみんなプロ。高いプロ意識が必要。最前線で戦い続けるのは大
   変なときもある。
 – 大企業に勤めても、個のプロフェッショナル。個のコラボレーションとし
   てのチーム。
 技術追求と応用のバランス●
 – 真のインパクトの裏には強い技術や理論が必要。一方で、シンプルな
   応用で似た事が実現できるケースも多い。バランスの最適化をどこに
   もってくるのか?
                                              7
研究者の興味と真の問題のギャップ




           Kiri L. Wagstaff, ICML2012より抜粋


                                           8
いい技術が生まれる背景には必ず問題があ
る
 シリコンバレーでは先端サービスのニーズに迫られて技術イ
 ノベーションがおこる
 – MapReduceが流行っているから研究するのではない。MapReduce
   が必要だから研究する  ●




                                           9
Machine Learning that Matters

 今回の話をいただいたときに、最初に頭に浮かんだ論文
   – ICML2012(機械学習の最難関国際会議の1つ)のinvited paper
   – 機械学習コミュニティへの警鐘●


 Machine learning for machine learner’s sake
   – Hyper-focus on Benchmark Datasets
   – Hyper-focus on Abstract Metrics
   – Lack of Follow Through


 Making Machine Learning Matter
   – Meaningful Evaluation Methods
   – Involvement of the World Outside ML
   – Eyes on the Prize

                                                10
Machine Learning that Matters
 Machine Learning Impact Challenges●
  –   機械学習の分析結果に基づいた法的判断か法案を通す (法律)
  –   機械学習システムに基づく意思決定で100万ドルを貯める (経済)
  –   高精度機械翻訳によって、国家間の衝突を回避する (政治)
  –   機械学習によってネットの不正侵入を50%削除する (セキュリティ)
  –   機械学習に基づく診断や医療介入によって人命を救う (医療)
  –   機械学習によって、人間開発指数を10%向上させる (教育)




                                          11
デスバレー
 基礎研究から製品化までの間に存在するギャップ
 – 多くのすばらしい研究がこの壁を越えられずに死んでいく
基礎研究          適用技術             製品

中央研究所   魔の川   応用部門     死の谷   製品開発部門


 – 橋渡し不在、利害関係の発生、お互いへの敬意喪失
 シリコンバレーの企業
                 R&D         プロダクト化

 – 橋渡し不要(RとDが区別なくプロダクトまでの距離が近い)
   • Googleではほとんどがエンジニア。リサーチサイエンティストはごく少数
 自分の技術の面倒は誰がみるのか?●
 – 研究者が歩み寄らない限り、技術を世に出す事はできない
                                            12
論文について、コアコンピタンスについて
 Papers/publications are not purposes. Not things to
  pursuit. They are results.●
   – 北米に出向してすぐに当時のチームリーダーからいわれた事


 The easiest way to publish papers is following future
  work described in famous papers. But, it makes your
  research impact smaller. I don’t like such researches.
   – NECLAの社長とのディスカッションでいわれた事


 藤巻君、いろいろやるのもいいが、コアを作りなさい
   – 入社後に当時のチームリーダーからいわれた事




                                                           13
グローバルに活躍する人の特徴(キャラ)
 自分で考える、決定する、そして責任をとる
 – 責任範囲を見極め自分で決断する。失敗を恐れない。

 わくわくする、世界(活動)を広げる
 – 問題にわくわくする。面白そうな事に首をつっこむ。自分の活動の幅を
   制限せず、どんどん世界を広げよう。議論を恐れない。

 行動に目的意識を持つ事
 – なぜその技術が重要なのか、なぜ論文を書くのか、なぜ、なぜ。。
 – 3年スパンで行動を考える。自分は世界をどうしていきたいのか。今す
   べき事は何か。そして小さな目標を作る。
 – 活躍する人は種まき上手。目的が明確なので各行動が繋がっていく

 コミュニケーション、自分をアピールし、相手を理解する
 – 一人でできる事は限られている。コミュニケーションできない人は、ど
   んなに技術力があっても活躍できない
 – 常に自分をアピールする、一方で相手を知り理解する。        14
求められる人材
 加速する技術革新と求められる力
 – 下がる技術習得コスト。修士レベルの研究は、「誰でもできる」時代
   • オンライン教育素材/無料ジャーナル、最先端技術のOSS化、ベンチマ
     ークデータセットの整備●
 – 強力な専門知識と領域の2歩外と議論ができる広い知識
 – 「のびる人」は、アドバイスをに自分なりの解釈を与え、必要な技術を
   必要に応じて吸収する。その積み重ねが大きな差になる
 問題を発見する力と解決する力
 – 問題を自分から見つけにいく。ただし、問題を作らない。一流研究者
   は、問題への嗅覚と判断力が優れている
 – 解決する力とは、数学が得意とか実装が得意という意味ではない。高
   い壁にあたったときに、直進するのか迂回するのかを判断する力。
 やりきる事の重要さ
 – 小さな事でもよい。やりきったときに技術は自分のものになる
 – やりきった成功体験が成長を加速する
                                         15
Ph.D.コースの学生の差(US vs 日本)
 技術の差
  – 修士課程で日米の学生間に技術力に大きな差はない。日本の学生は優
    秀。ただし、米国は母数が圧倒的に多いので目に見える学生の平均値が
    非常に高い。
  – 博士課程の3年間で大きな差が生まれる場合がある。これは基本能力だ
    けではなく、環境と意識の差によって生まれるように見える
  – 「論理構成力」には大きな差がある。日本の学生は苦手な人が多い
 意識の差
  – 米国のPh.D.学生は、給料をもらいながら研究しているためセミプロ意識
    が強い。「指示を待つ」という事がない
  – トップ会議は「通したらすごい」ではなく、「通さないと卒業できない」
 環境の差
  – Ph.D.を受け入れる環境がIndustry側で整っている。逆に技術職はPh.D.
    を持っている事が前提ともいえる。
  – トップの学生はインターンシップにいくのが当たり前。インダストリーにおけ
    る問題を理解し、front lineの研究者のメンタリングでさらに成長する
  – 北米では人材が流動しており、就職したら安泰ではなく、そこから勝負。
    日本もだいぶ人材の流動性はでてきている。これからの時代は日本でも
    個人のキャリアが重要な時代になるはず。                     16
今日からはじめよう
 外へでよう
 – 留学、インターンシップ、共同研究、研究/技術セミナー、研究コンテ
   スト、国際会議、海外旅行。「外」を知り、世界の動きを感じる
 論文を書こう、ソースコードを書こう、研究体力をつけよう
 – 論文やソースコードは、自分を証明する一つの方法。
 – 勉強、勉強、勉強。。。読んだ論文、Rejectされた論文、書いたコード
   は、必ず自分の財産になる。漫然とせず、必ず目的意識を持ってとり
   くむ。
 英語はコミュニケーションの第一歩●
 – 言葉はコミュニケーションの第一歩。英会話に苦手意識がある人は、
   逃げずに博士課程のうちに克服しよう。オンライン英会話●やTED●
   など、教育素材はいくらでもある。
 – 上手な英語をしゃべれる必要はない。一生懸命しゃべれば、伝える意
   識があれば、相手が聞いてくれる。大事なのはコミュニケーション力
 「自分の」研究を楽しむ!出会いを大切に!●
                                         17
今日のキーメッセージ
 Research practices in industry
   – 最も重要な事は、現場の問題にわくわくし、それとともに研究する事
   – 技術はいつでも問題を解くためにある


 Things useful for Ph.D. candidates to consider
   – グローバルに活躍するためには、世界を広げていく推進力と責任が
     重要
   – Ph.D.はプロへの第一歩。修士卒企業研究員の入社3年間。スキル
     に大きな差がつく時期。勉強しよう!研究しよう!


 Heterogeneous Mixture Learning Project
   – 今日は時間がないと思うので、また次の機会に。




                                                   18
Toward Research That Matters


 Ryohei Fujimaki (NEC Laboratories America)

      ご清聴ありがとうございました
      NEC-Jでインターン、新卒、中途募集中です
      rfujimaki@nec-labs.comまでご連絡ください



北海道大学GCOEシンポジウム

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Amazon SES を勉強してみる その12024/04/12の勉強会で発表されたものです。
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Toward Research that Matters

  • 1. Toward Research That Matters Ryohei Fujimaki (NEC Laboratories America) 北海道大学GCOEシンポジウム
  • 2. 自己紹介  藤巻遼平(フジマキリョウヘイ)●  略歴 – 2006年 東京大学工学系研究科航空宇宙工学専攻を卒業 – 2006年 NEC 中央研究所へ入社 – 2011年 東京大学工学系研究科航空宇宙工学専攻から博士号取得 – 2011年 NEC Laboratories America, Inc.へ出向  現在のポジションと役割 – 異種混合学習技術開発チーム 技術リーダー – データマイニング基盤開発チーム 技術リーダー – 大学連携/リクルート/その他 2
  • 3. チームの紹介  Data Mining and Business Analysis Technology Group● – 歴史:1990年から約20年にわたり機械学習・データマイニングの研 究 • 伝統的には情報理論をベースとする学習理論が得意。最近は機械学習理 論から、機械学習に基づくデータマイニングに研究の方向がシフト • 卒業生(敬称略):安倍(IBM Watson),Hang Li(Huawei),山西( 東京大学),馬見塚(京都大学),中村(北海道大学),竹内(九州大 学)など – 現在のメンバーは10名弱。最近はダイバーシティを高めるため、いろいろ な分野の人が融合しつつある。機械学習/データマイニング(半分くらい) 、分散並列計算、ソフトウェアアーキテクチャ、支援システム、女子0  Department of Media Analytics● – 北米西海岸のComputer Visionチーム – 機械学習をベースにした、画像認識で、世界トップの成果を出し続けてい る • 2009 PASCAL Visual Objects Classes Challenge Winner • 2010 ImageNet Challenge Winner – 現在のチームメンバーは8名。Recognitionと3D Reconstruction。 3
  • 4. 研究経歴 データマイニング/機械学習 修士 宇宙機の異常検出 との出会い 様々な応用研究と 1−3年目 故障診 応用研究に の出会い 傾倒 断 ネットワーク/ヘル 異常解 スケア/金融/な 3−5年目 析 どなどなど 数理技術 への回帰 博士 取得 北米へ出向 5−7年目 データマイニン 異種混合学習 開発/研究/分析 グ基盤開発 技術とビジネス 4
  • 6. 今日のキーメッセージ  Research practices in industry – 最も重要な事は、現場の問題にわくわくし、それとともに研究する事 – 技術はいつでも問題を解くためにある  Things useful for Ph.D. candidates to consider – グローバルに活躍するためには、世界を広げていく推進力と責任が 重要 – Ph.D.はプロへの第一歩。修士卒企業研究員の入社3年間。スキル に大きな差がつく時期。勉強しよう!研究しよう!  Heterogeneous Mixture Learning Project – 今日は時間がないと思うので、また次の機会に。 – ちょっとその前に。。。● 6
  • 7. 企業研究の楽しいところ/難しいところ  問題は目の前に – 「Real World Application」は目の前にある。わくわくしよう。 – 研究者の興味と、真のニーズには多くの場合ギャップがある  人材/人種の多様性● – バックグラウンドの違う人と仕事するのは楽しい。一方で衝突も。。 – 考え方の違いを楽しむ。自分と違う考えに出会うのは成長のチャンス  プロフェッショナル – 周りはみんなプロ。高いプロ意識が必要。最前線で戦い続けるのは大 変なときもある。 – 大企業に勤めても、個のプロフェッショナル。個のコラボレーションとし てのチーム。  技術追求と応用のバランス● – 真のインパクトの裏には強い技術や理論が必要。一方で、シンプルな 応用で似た事が実現できるケースも多い。バランスの最適化をどこに もってくるのか? 7
  • 8. 研究者の興味と真の問題のギャップ Kiri L. Wagstaff, ICML2012より抜粋 8
  • 9. いい技術が生まれる背景には必ず問題があ る  シリコンバレーでは先端サービスのニーズに迫られて技術イ ノベーションがおこる – MapReduceが流行っているから研究するのではない。MapReduce が必要だから研究する ● 9
  • 10. Machine Learning that Matters  今回の話をいただいたときに、最初に頭に浮かんだ論文 – ICML2012(機械学習の最難関国際会議の1つ)のinvited paper – 機械学習コミュニティへの警鐘●  Machine learning for machine learner’s sake – Hyper-focus on Benchmark Datasets – Hyper-focus on Abstract Metrics – Lack of Follow Through  Making Machine Learning Matter – Meaningful Evaluation Methods – Involvement of the World Outside ML – Eyes on the Prize 10
  • 11. Machine Learning that Matters  Machine Learning Impact Challenges● – 機械学習の分析結果に基づいた法的判断か法案を通す (法律) – 機械学習システムに基づく意思決定で100万ドルを貯める (経済) – 高精度機械翻訳によって、国家間の衝突を回避する (政治) – 機械学習によってネットの不正侵入を50%削除する (セキュリティ) – 機械学習に基づく診断や医療介入によって人命を救う (医療) – 機械学習によって、人間開発指数を10%向上させる (教育) 11
  • 12. デスバレー  基礎研究から製品化までの間に存在するギャップ – 多くのすばらしい研究がこの壁を越えられずに死んでいく 基礎研究 適用技術 製品 中央研究所 魔の川 応用部門 死の谷 製品開発部門 – 橋渡し不在、利害関係の発生、お互いへの敬意喪失  シリコンバレーの企業 R&D プロダクト化 – 橋渡し不要(RとDが区別なくプロダクトまでの距離が近い) • Googleではほとんどがエンジニア。リサーチサイエンティストはごく少数  自分の技術の面倒は誰がみるのか?● – 研究者が歩み寄らない限り、技術を世に出す事はできない 12
  • 13. 論文について、コアコンピタンスについて  Papers/publications are not purposes. Not things to pursuit. They are results.● – 北米に出向してすぐに当時のチームリーダーからいわれた事  The easiest way to publish papers is following future work described in famous papers. But, it makes your research impact smaller. I don’t like such researches. – NECLAの社長とのディスカッションでいわれた事  藤巻君、いろいろやるのもいいが、コアを作りなさい – 入社後に当時のチームリーダーからいわれた事 13
  • 14. グローバルに活躍する人の特徴(キャラ)  自分で考える、決定する、そして責任をとる – 責任範囲を見極め自分で決断する。失敗を恐れない。  わくわくする、世界(活動)を広げる – 問題にわくわくする。面白そうな事に首をつっこむ。自分の活動の幅を 制限せず、どんどん世界を広げよう。議論を恐れない。  行動に目的意識を持つ事 – なぜその技術が重要なのか、なぜ論文を書くのか、なぜ、なぜ。。 – 3年スパンで行動を考える。自分は世界をどうしていきたいのか。今す べき事は何か。そして小さな目標を作る。 – 活躍する人は種まき上手。目的が明確なので各行動が繋がっていく  コミュニケーション、自分をアピールし、相手を理解する – 一人でできる事は限られている。コミュニケーションできない人は、ど んなに技術力があっても活躍できない – 常に自分をアピールする、一方で相手を知り理解する。 14
  • 15. 求められる人材  加速する技術革新と求められる力 – 下がる技術習得コスト。修士レベルの研究は、「誰でもできる」時代 • オンライン教育素材/無料ジャーナル、最先端技術のOSS化、ベンチマ ークデータセットの整備● – 強力な専門知識と領域の2歩外と議論ができる広い知識 – 「のびる人」は、アドバイスをに自分なりの解釈を与え、必要な技術を 必要に応じて吸収する。その積み重ねが大きな差になる  問題を発見する力と解決する力 – 問題を自分から見つけにいく。ただし、問題を作らない。一流研究者 は、問題への嗅覚と判断力が優れている – 解決する力とは、数学が得意とか実装が得意という意味ではない。高 い壁にあたったときに、直進するのか迂回するのかを判断する力。  やりきる事の重要さ – 小さな事でもよい。やりきったときに技術は自分のものになる – やりきった成功体験が成長を加速する 15
  • 16. Ph.D.コースの学生の差(US vs 日本)  技術の差 – 修士課程で日米の学生間に技術力に大きな差はない。日本の学生は優 秀。ただし、米国は母数が圧倒的に多いので目に見える学生の平均値が 非常に高い。 – 博士課程の3年間で大きな差が生まれる場合がある。これは基本能力だ けではなく、環境と意識の差によって生まれるように見える – 「論理構成力」には大きな差がある。日本の学生は苦手な人が多い  意識の差 – 米国のPh.D.学生は、給料をもらいながら研究しているためセミプロ意識 が強い。「指示を待つ」という事がない – トップ会議は「通したらすごい」ではなく、「通さないと卒業できない」  環境の差 – Ph.D.を受け入れる環境がIndustry側で整っている。逆に技術職はPh.D. を持っている事が前提ともいえる。 – トップの学生はインターンシップにいくのが当たり前。インダストリーにおけ る問題を理解し、front lineの研究者のメンタリングでさらに成長する – 北米では人材が流動しており、就職したら安泰ではなく、そこから勝負。 日本もだいぶ人材の流動性はでてきている。これからの時代は日本でも 個人のキャリアが重要な時代になるはず。 16
  • 17. 今日からはじめよう  外へでよう – 留学、インターンシップ、共同研究、研究/技術セミナー、研究コンテ スト、国際会議、海外旅行。「外」を知り、世界の動きを感じる  論文を書こう、ソースコードを書こう、研究体力をつけよう – 論文やソースコードは、自分を証明する一つの方法。 – 勉強、勉強、勉強。。。読んだ論文、Rejectされた論文、書いたコード は、必ず自分の財産になる。漫然とせず、必ず目的意識を持ってとり くむ。  英語はコミュニケーションの第一歩● – 言葉はコミュニケーションの第一歩。英会話に苦手意識がある人は、 逃げずに博士課程のうちに克服しよう。オンライン英会話●やTED● など、教育素材はいくらでもある。 – 上手な英語をしゃべれる必要はない。一生懸命しゃべれば、伝える意 識があれば、相手が聞いてくれる。大事なのはコミュニケーション力  「自分の」研究を楽しむ!出会いを大切に!● 17
  • 18. 今日のキーメッセージ  Research practices in industry – 最も重要な事は、現場の問題にわくわくし、それとともに研究する事 – 技術はいつでも問題を解くためにある  Things useful for Ph.D. candidates to consider – グローバルに活躍するためには、世界を広げていく推進力と責任が 重要 – Ph.D.はプロへの第一歩。修士卒企業研究員の入社3年間。スキル に大きな差がつく時期。勉強しよう!研究しよう!  Heterogeneous Mixture Learning Project – 今日は時間がないと思うので、また次の機会に。 18
  • 19. Toward Research That Matters Ryohei Fujimaki (NEC Laboratories America) ご清聴ありがとうございました NEC-Jでインターン、新卒、中途募集中です rfujimaki@nec-labs.comまでご連絡ください 北海道大学GCOEシンポジウム