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住民と共に行う「池干し」による里地・里山保全
- 1. 住民と共に行う
「池干し」による里地・里山保全
鈴鈴 こ も の いしはら まさたか
鹿
鹿
山
三重県 菰野町長 石原正敬
山
脈 伊伊 ブログ:http://blogs.yahoo.co.jp/masa141129
脈
勢
勢 検索キーワード:石原まさたか 風雲日記
湾
湾
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- 2. ◇菰野町の紹介◇
人口 39,978人(平成22年国勢調査)
面積 107.28k㎡
◆三重県の北勢地域、鈴鹿山麓に位置し、面積の約4割が鈴鹿国定公園に指定されている。
◆三滝川・朝明川が流れる平野部では、丘陵地と扇状地が形成されている。
◆湯の山温泉や御在所岳などの観光資源と田園風景が広がる緑豊かな町である。
御在所岳は紅葉の名所
例年10月中旬から11月下旬に
かけて、山上から麓の温泉街へと
彩りを移していく
鈴鹿山麓かもしかハーフマラソン
今年で第7回目を迎える
「人と自然の調和した持続可能なまちづくり」を理念に
人と環境にやさしいまち、にぎわいと活力にみちたまちを目指す
・里地・里山をはじめとする町の生物多様性や美しい自然・田園環境を守る。
・町のもつ貴重な自然資源を、魅力ある地域資源として有効に活用する。
・地球温暖化対策として二酸化炭素排出抑制、森林保全を行う。
・公共用水域の水質保全を図り、従来の水環境を守る。 菰野町の貴重な自然資源
田光(たびか)地区の「シデコブシ群落」
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- 3. 生物多様性を実現するための取り組みと
しての「池干し」
生態系保全活動は人と自然、人と人とをつなぎ、持続可能なまちに繋がっていく
・それぞれの地域固有の地域らしさを保全する一助となる。
・地域住民に世代を超えた一体性が生まれる。
・自然と共に歩んできた過去からの風習・文化を未来へと継承させる。
・里山住民と里山を学びに訪れる人との交流が深まる。
・里山体験をした都市住民による生態系保全活動は、都市での気薄となったコミュニティーを復活させる。
・他国の方に、我が国の古来からの文化・歴史を知ってもらうことで、世界に発信してもらうことができる。
●生物多様性への意識向上を目指すネットワークづくり
・自治体間でのネットワーク形成による情報交換、共通施策の展開
・自治体レベルを超えた各地域の住民、NPO、研究者、企業など、
様々な参加者が幅広く活動に取り組むための支援
・学校から地域社会、都市から里山まで様々な機会や場所での環
境教育、環境学習を推進
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- 4. 「池干し」を題材とした環境保全への取り組みと
持続可能なまちづくりに向けて
1.取り組みの概要
里地・里山保全のための1つの手段として、ため池の水を抜いて「池干し」(関西では
「とび流し」、九州では「堤上げ」と言う模様。)を実践することにより、最終的には、町内
から“外来魚いない宣言”をし、地域全体での環境保全の意識の高揚を目指す。
加えて、 「池干し」を契機として、それぞれの地域固有の地域らしさの保全、活用を成し
遂げることにより、地域力による持続可能なまちづくりを目指す。
楠根ため「池干し」による外来種駆除
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- 5. 2.取り組みの具体的内容
農閑期の12月~2月に外来魚駆除のため、農業用かんがいため池の「池干し」を実施
【 「池干し」の実施状況 】
平成17年度:楠根ため
平成19年度:勘四郎ため・お駒ため こどもCOP10
平成20年度:高塚ため あいち・なごや エクスカーション
(平成22年10月22日)
平成21年度:楠根ため
平成22年度:勘四郎ため
(子どもCOP10あいち・なごや エクスカーションとして、世界の子どもたちも手伝ってくれました)
平成23年度:中ため、高塚ためにて実施予定(平成24年1月29日)
「池干し」(中ため、高塚ため)
平成24年1月29日9:00~「池干し」実施予定の 中ため(左)と高塚ため(右)
開催のパンフレット
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- 6. 【 在来漁放流により本来の生態系の回復 】
「池干し」で保護した在来魚は、田光資源と環境を守る会、東海タナゴ研究会の協力を
得ながら、町内外の水槽等で飼育された後、元のため池に水が張られた農繁期前の3月に
小学生と一緒に放流しています。
平成22年3月2日9:00~
学校の授業の中で在来魚の
放流実施
【 観察会 】
放流した在来魚の生息確認も実施。
平成20年度:勘四郎ため
平成21年度:楠根ため
平成23年度:勘四郎ため
子どもCOP10あいち・なごや
エクスカーション
開催地でもあった勘四郎ため
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- 8. 3.取り組みの効果
【 「池干し」の効果 】
2005年に行われた「池干し」後、放流されたと考えられるオオクチバスやコイ・フナが、採集魚の
約80%をしめる結果となった。
しかしながら、アブラボテの個体数は前回「池干し」時と同じであったが、産卵基質となる二枚貝類
は増えていた。 (楠根ため 平成22年1月17日調べ)
採集された魚類の内訳(比率)
4%
16%
「楠根ため」は、こうした活動と、
国指定のシデコブシ群落を潤す貴重
1% なため池として、全国に約21万箇所
ため池に棲息する在来種・アブラボテ あるため池の中から、
8%
「全国ため池百選」に選ばれている。
61%
10%
アブラボテ カワムツ ヨシノボリ
コイ フナ オオクチバス
【資料提供:東海タナゴ研究会】
採集されたオオクチバス 楠根ため
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- 9. 4.取り組みに至った背景及び、継続されている理由
●始まりは地域住民の「食の回想」にあり。
※ここでの食の回想とは、当町において明治初期頃からの伝統の味と言われる
「鮒の寒露炊き」のことであり、昔は「池干し」により鮒を捕獲していた
●「池干し」をすることで地域の協力と里地・里山保全の意識がどんどん芽生えてきた。
田光米での炊き出し等も実施
小生も新米で地域の人々と餅つき
突き手、返し手の意気を合わせる等
コツもいるし体力も必要
「池干し」というステージで出会った
人々が自然と打ち解け協力し合い、
同じ目標に向かって邁進している様子
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