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OpenStack オペレータの抱える課題とサミットでの議論
~gooでのOpenStack導入事例を交え~
2015年7月13日(月)
日本電信電話株式会社
NTTソフトウェアイノベーションセンタ
夏目貴史
5周年特別企画: OpenStack Summitの歩き方
2
内容
• OpenStack Summitで運用者(オペレータ)の課題が
どのように扱われているか
– Vancouverのサミットでの前半の事例紹介の課題に関す
る発表と議論の紹介
• 運用者(オペレータ)の立場からOpenStack Summit
Tokyoに期待できること
3
運用者(Ops)から見たVancouver Summit
• Conference
– キーノート/ゼネラル/ブレイクアウト・セッション
• 事例
• ノウハウ
• Design Summit
– Opsセッション
• 運用のエキスパートが事例、課題、改善方法などについて議論する
• 運用者の観点から開発者にフィードバックを行なう
4
アップグレード
• さきほどの事例での課題
– アップグレード戦略(2バージョン・アップグレード)
– ライブ・アップグレードは可能か
• サミットでの主な発表や議論の内容
– アップグレード戦略
• 事例としてはHavanaからIcehouseの事例が多かった
(IcehouseからJunoの事例も)
• HavanaからJunoへの2バージョン・アップグレードの事例も[1]
• コンポーネントによってはアップグレードしない選択肢もある
– ライブ・アップグレード
• ユーザのAPI実行のダウンタイムをゼロとした事例はなかった
• アップグレードの途中はユーザにAPIリクエストをさせないが、
管理者がAPIリクエストできるようにしておくのが良い
– ツールによる自動化
• Ansible/Puppetの事例が多い
– 検証環境
• 段階的なアップグレード検証(ステージング環境)が必要
5
スケーラビリティ
• さきほどの事例での課題
– Cell(Nova)のスケジューリング
– 将来的な複数データセンタ構成への対応
• サミットでの主な発表や議論の内容
– Cell v2(Nova)
• 現在開発中
• Cell v1は複数Cellに跨った処理に
問題があったため、開発が開始された
• CellとAvailability Zoneの関係[2]
– CellとAvailability Zoneは独立であるべき
(包含関係にはない)
– Novaプロジェクトにフィードバックする
(Novaプロジェクトからの意見照会)
• ロードマップ
– Liberty(2015年10月リリース予定)では最低限シングル・セル構成の実
装が目標
– 次のMリリースで複数セル構成に対応させる予定
– Cell v1からのコンバージョン(移行)パスも議論されている
6
スケーラビリティ(続き)
• サミットでの主な発表や議論の内容(続き)
– 複数データセンタ構成への対応
• データセンタごとにリージョンを
構成している事例があった[3]
(Walmart)
– ネットワーク・セグメンテーション(Neutron)[2]
• 現在はNeutron を導入する上で、同一リージョン内の全てのノー
ドがL2ネットワークで接続されている必要があり、L2ネットワーク
を分割して構成することができない
• 上記の要件が大規模なシステムを構築する上で問題であるとい
う声が数多くあがり、 Neutronプロジェクトに要望としてネット
ワーク・セグメンテーション(複数のL2ネットワークへの分割)の
導入を上げることになった
7
ログ
• さきほどの事例での課題
– トラブルシューティング
– DEBUGレベルだとログの出力量が多い
• サミットでの主な発表や議論の内容
– ログ解析
• データサイエンスに基づく分析手法による
ログ解析の効率化の事例[4](Cisco Systems)
– 膨大な量のログが出力されることを前提とした解決方法
– メトリックとグループ化したログ・メッセージについて、その相関関係を利用してログ
解析を効率化
• コンポーネントを跨った処理の追跡
– APIリクエストに紐付くRequest IDがコンポーネントごとに異なるので、追跡
が厳密には難しい
– NTTとNTTデータが現在提案しているLog request id mappings[5]の他の案
と比較した議論
→ Log Working GroupやCross ProjectのIRCミーティングで引き続き議論し
て活動中
– 課金の議論
• Ceilometerを利用している企業がセッション参加者の3分の2程度と多
かった[6]が、スケールに課題あり
8
OpenStack Summit Tokyoで期待できること
• 事例の収集
– 他のユーザ(運用者)のベスト・プラクティス、
アンチ・パターン、課題
• 開発へのフィードバック
– 運用者の意見の反映
• 自分たちの提案のアピールおよび
議論
– それ以降の議論に繋げることができる
ご清聴ありがとうございました。
9
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参考サイト
• [1] Hold my beer and watch this! Upgrading from Havana to
Juno in one fell swoop with live customers.
– https://www.openstack.org/summit/vancouver-2015/summit-
videos/presentation/hold-my-beer-and-watch-this-upgrading-from-havana-to-
juno-in-one-fell-swoop-with-live-customers
• [2] Large Deployments Team Work Session
– https://etherpad.openstack.org/p/YVR-ops-large-deployments
• [3] Walmart's Openstack Journey
– https://www.openstack.org/summit/vancouver-2015/summit-
videos/presentation/walmart-and-039s-openstack-journey
• [4] Demystifying Logs in OpenStack Clouds
– https://www.openstack.org/summit/vancouver-2015/summit-
videos/presentation/demystifying-logs-in-openstack-clouds
• [5] Log request id mappings(Return request ID to caller)
– https://review.openstack.org/#/c/156508/
• [6] Ops: Billing / show back / charge back - how do I do that?
– https://etherpad.openstack.org/p/YVR-ops-billing

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OpenStack Summitの歩き方: OpenStack オペレータの抱える課題とサミットでの議論 ~gooでのOpenStack導入事例を交え~

  • 2. 2 内容 • OpenStack Summitで運用者(オペレータ)の課題が どのように扱われているか – Vancouverのサミットでの前半の事例紹介の課題に関す る発表と議論の紹介 • 運用者(オペレータ)の立場からOpenStack Summit Tokyoに期待できること
  • 3. 3 運用者(Ops)から見たVancouver Summit • Conference – キーノート/ゼネラル/ブレイクアウト・セッション • 事例 • ノウハウ • Design Summit – Opsセッション • 運用のエキスパートが事例、課題、改善方法などについて議論する • 運用者の観点から開発者にフィードバックを行なう
  • 4. 4 アップグレード • さきほどの事例での課題 – アップグレード戦略(2バージョン・アップグレード) – ライブ・アップグレードは可能か • サミットでの主な発表や議論の内容 – アップグレード戦略 • 事例としてはHavanaからIcehouseの事例が多かった (IcehouseからJunoの事例も) • HavanaからJunoへの2バージョン・アップグレードの事例も[1] • コンポーネントによってはアップグレードしない選択肢もある – ライブ・アップグレード • ユーザのAPI実行のダウンタイムをゼロとした事例はなかった • アップグレードの途中はユーザにAPIリクエストをさせないが、 管理者がAPIリクエストできるようにしておくのが良い – ツールによる自動化 • Ansible/Puppetの事例が多い – 検証環境 • 段階的なアップグレード検証(ステージング環境)が必要
  • 5. 5 スケーラビリティ • さきほどの事例での課題 – Cell(Nova)のスケジューリング – 将来的な複数データセンタ構成への対応 • サミットでの主な発表や議論の内容 – Cell v2(Nova) • 現在開発中 • Cell v1は複数Cellに跨った処理に 問題があったため、開発が開始された • CellとAvailability Zoneの関係[2] – CellとAvailability Zoneは独立であるべき (包含関係にはない) – Novaプロジェクトにフィードバックする (Novaプロジェクトからの意見照会) • ロードマップ – Liberty(2015年10月リリース予定)では最低限シングル・セル構成の実 装が目標 – 次のMリリースで複数セル構成に対応させる予定 – Cell v1からのコンバージョン(移行)パスも議論されている
  • 6. 6 スケーラビリティ(続き) • サミットでの主な発表や議論の内容(続き) – 複数データセンタ構成への対応 • データセンタごとにリージョンを 構成している事例があった[3] (Walmart) – ネットワーク・セグメンテーション(Neutron)[2] • 現在はNeutron を導入する上で、同一リージョン内の全てのノー ドがL2ネットワークで接続されている必要があり、L2ネットワーク を分割して構成することができない • 上記の要件が大規模なシステムを構築する上で問題であるとい う声が数多くあがり、 Neutronプロジェクトに要望としてネット ワーク・セグメンテーション(複数のL2ネットワークへの分割)の 導入を上げることになった
  • 7. 7 ログ • さきほどの事例での課題 – トラブルシューティング – DEBUGレベルだとログの出力量が多い • サミットでの主な発表や議論の内容 – ログ解析 • データサイエンスに基づく分析手法による ログ解析の効率化の事例[4](Cisco Systems) – 膨大な量のログが出力されることを前提とした解決方法 – メトリックとグループ化したログ・メッセージについて、その相関関係を利用してログ 解析を効率化 • コンポーネントを跨った処理の追跡 – APIリクエストに紐付くRequest IDがコンポーネントごとに異なるので、追跡 が厳密には難しい – NTTとNTTデータが現在提案しているLog request id mappings[5]の他の案 と比較した議論 → Log Working GroupやCross ProjectのIRCミーティングで引き続き議論し て活動中 – 課金の議論 • Ceilometerを利用している企業がセッション参加者の3分の2程度と多 かった[6]が、スケールに課題あり
  • 8. 8 OpenStack Summit Tokyoで期待できること • 事例の収集 – 他のユーザ(運用者)のベスト・プラクティス、 アンチ・パターン、課題 • 開発へのフィードバック – 運用者の意見の反映 • 自分たちの提案のアピールおよび 議論 – それ以降の議論に繋げることができる
  • 10. 10 参考サイト • [1] Hold my beer and watch this! Upgrading from Havana to Juno in one fell swoop with live customers. – https://www.openstack.org/summit/vancouver-2015/summit- videos/presentation/hold-my-beer-and-watch-this-upgrading-from-havana-to- juno-in-one-fell-swoop-with-live-customers • [2] Large Deployments Team Work Session – https://etherpad.openstack.org/p/YVR-ops-large-deployments • [3] Walmart's Openstack Journey – https://www.openstack.org/summit/vancouver-2015/summit- videos/presentation/walmart-and-039s-openstack-journey • [4] Demystifying Logs in OpenStack Clouds – https://www.openstack.org/summit/vancouver-2015/summit- videos/presentation/demystifying-logs-in-openstack-clouds • [5] Log request id mappings(Return request ID to caller) – https://review.openstack.org/#/c/156508/ • [6] Ops: Billing / show back / charge back - how do I do that? – https://etherpad.openstack.org/p/YVR-ops-billing