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ブロックチェーン〜信頼の源泉の民主化のもたらす変革
- 5. Copyright© Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
今まで難しかったことが
できるようになる。
Make it possible to perform hitherto
unattainable things.
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1. 価値尺度 - Value scale
2. 交換(決済)手段 - Mean of exchange
3. 価値の保蔵 – Store of value
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photo by John Hill
100
Bricks
造る/Make 貯蔵/Store 発行/Issue 使う/Use
(source) Graphicstocks
(source) Graphicstocks
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1. 価値尺度 – Value scale
→ 1レンガ、2レンガ… =Good
1 brick, 2 bricks, …
2. 交換(決済)手段 - Mean of exchange
→ 倉荷証券=可搬。価値も安定=Good
warehouse security = portable
3. 価値の保蔵 – Store of value
→ 腐らない。価格も安定=Good
non-perishable
- 13. Copyright© Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
レンガ本位制の課題
1. (そもそもレンガの需要がそんなにない)
→ 労働力の貯蔵にすれば良いのだが、今日はそこに
は行かない
2. レンガの確認コスト(偽物レンガかも)
3. レンガの保管コスト(盗まれるかも)
4. 倉荷証券の不正発行
5. 倉荷証券の確認コスト(偽造倉荷証券かも)
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レンガ本位制の課題
1. (そもそもレンガの需要がそんなにない)
→ 労働力の貯蔵にすれば良いのだが、今日はそこに
は行かない
2. レンガの確認コスト(偽物レンガかも)
3. レンガの保管コスト(盗まれるかも)
4. 倉荷証券の不正発行
5. 倉荷証券の確認コスト(偽造倉荷証券かも)
ブロック
チェーンで
解決?!
Editor's Notes
- こんにちは。今日、パネルディスカッションのモデレータを務めさせていただきます、野村総研の崎村です。ぐぐっていただくとわたしについては色々出てきますので、自己紹介は割愛します。
今日はスピーチの時間を30分頂いているのですが、パネルディスカッションを長めに取るために、15分程度でまず問題意識の共有をして、パネルに入っていきたいと思います。
- ブロックチェーンの特徴は
- 検証可能であるというところにあると思っています。
- この検証可能性は、Immutable, Transparent というブロックチェーンの2つの特性に寄ってもたらされています。
- これがあることによって、今まで難しかったことができるようになる可能性があります。
- 例えば、デジタル貨幣。
Bitcoinは貨幣としては極めて性能が悪い。貨幣は 1. 価値尺度 2. 交換(決済)手段 3. 価値の保蔵
の3つの性能が良いことが求められるが、Bitcoin等は「1. 価値尺度」としての性能が絶望的に低い。Bitcoin等の価格が乱高下するということは、「1. 価値尺度」として役に立っていないということ。「1. 価値尺度」が満たされないと、当然2も3も満たされない。
- これは、貨幣発行が「神」が予め決めたとおりにしかならず、硬直的で需要弾力性が極めて低いことに由来する。
- 本来望ましいのはこの図のように、供給弾力性が極めて高い状態。
このような状態であれば、需要が増えても減っても貨幣の価格は変わらない。
極めて安定的な優れた貨幣になる。
- 【思考実験】レンガ本位制
(建物の多くが日干しレンガで作られ、レンガへの実需が大きいという前提で)
レンガを通貨にしようというもの。
- 日干しレンガは、土を混ぜて型枠に入れて乾かすだけだから資本も要らずだれでも簡単に作れる。
レンガは重くて持ち歩きには不向きだが、これは倉庫に入れて、倉庫にレンガが入っているという証明である倉荷証券を倉庫に発行してもらって、それを取引手段とするもの。つまり、個々人がレンガを資産として、それに対応する貨幣~お札を、誰もが発行できる、そういうシステム。(ちなみに、金本位制における貨幣も倉荷証券。)
発行されすぎて値崩れしてインフレ(貨幣価値が下落)になる?
ならない。実需としてのレンガ需要があるから、実物剤としてのレンガ以下にはならない。
- これは、Bitcoinや金本位制に比べて
誰もが「簡単」に発行できる。民主的(v.s. 神・王・資本家)。
- しかも、1. 2. 3. と貨幣としての性能も良い。ではなぜそれが採用されないのか?
- 1.~5. つまり、いたるところにウソをつくインセンティブがあり、それを検証して排除していくのにコストがかかりすぎる。
- しかし、ブロックチェーンによってある程度解決できると思いませんか?少なくとも、4, 5 あたりは行けそう。
- これはBlockchainの「検証可能性」によってもたらされるもの。
これまでは、貨幣の個人発行のような「民主化」をすると「検証コスト」が高く付きすぎて実現していなかった。
BCの相互検証可能性によって検証コストを下げることができれば、こうしたことが可能になる可能性がある。
- これは社会のあり方を大きく変えるだろう。個人貨幣発行は思考実験としての一例。
- 会計:現在は個社・グループの中に閉じて、会計士が検証するという仕組み。
複式簿記は近代経済を成立させるための偉大な発明だったが、全てが個社のコントロール下にあるので、矛盾が現れないように数字の操作をすることが可能。よく見ますよね?不正会計。エンロン。これは大きな社会コストを産んでいる。
- しかし、会計が個社に閉じずに、全ての取引がリアルタイムでブロックチェーンに記録されて行くようになったらどうか?
モノの所有権の移転・つまり名義書換と同時に、買い手の口座から資金が引かれ、売り手の口座にクレジットされる。それがワンセットでブロックチェーンに書き込まれ、みながそれを自動検証している。不正会計は、ダブルスペンディングの検出と同様にして検出され得る。→ 会計事務所という institutional trust から、ネットワーク整合性チェックによるpeer verification(同輩による確認)への移行。
- 他の例
ソーシャルレンディング
Self Sovereign Identity
- こうした手段の民主化ができなかったのは、個人や小規模事業者を「信頼」するメカニズムがなかったから。
Peer Verificationが行われているということを「信頼」できるようになれば、信頼の源泉を「Institutional Trust (組織への信頼)」から「System trust」に移行することができ、
- これまで着想はあっても実施できなかったような個人や小規模事業者などの「末端・Edge」からのイノベーションが可能になっていくのではないか?そしてそれが産む社会変革は、Citizen をmassからindividual(個)として尊重するようになり、個別のニーズに応えるようになり、
- それが産む社会変革は、Citizen をmassからindividual(個)として尊重するようになり、個別のニーズに応えるようになり、CXも根本的な改善を見ていくのではないか?
- というわけで、パネルディスカッション…。