7. 半群の定義
集合Eが演算∘について半群 ﴾E, ∘﴿をなす条件
1. 集合Eが演算∘について閉じている
x, y ∈ E ⟶ x ∘ y ∈ E
2. 集合Eが演算∘について結合的(結合律を満たす)
x, y, z ∈ E ⟶ (x ∘ y) ∘ z = x ∘ (y ∘ z)
※ 可換でなくて良い
単位元, 逆元不要
14. 同型
2つの代数系﴾E, α﴿, ﴾E , α ﴿があるとき、EからE への全単射の写像fを適当に選ぶことによ
って、fが次の条件を満たすとき、fをEからE への同型写像という
x → x , y → y ならばxαy ⟶ x α y
このとき、代数系E はEに同型であるという
AがBに同型であることをA ≈ Bで表す
同型の性質(=同値律)
A ≈ A (反射律)
A ≈ BならばB ≈ A (対称律)
A ≈ B, B ≈ CならばA ≈ C (推移律)
′ ′ ′
′
′ ′ ′ ′ ′
′
15. 準同型
2つの代数系﴾E, α﴿, ﴾E , α ﴿において、次の条件を満たすEからE への全射の写像fが存在す
るとき、E はEに準同型という
x → x , y → y ならばxαy ⟶ x α y
代数系の同型と準同型は図形で見れば合同と相似にあたる
準同型は同型よりも緩やかな概念で適用範囲が広い
単射でなくて良いという点がポイント
集合から元への写像ができる
′ ′ ′
′
′ ′ ′ ′ ′
16. 準同型写像
2つの代数系﴾E, α﴿, ﴾E , α ﴿があるとき、EからE への写像fが次の条件を満たすとき、fを﴾
E, α﴿から﴾E , α ﴿への準同型写像という
x → x , y → y ならばxαy ⟶ x α y
もっと簡単にf(x) = x , f(y) = y , f(xαy) = x α y , f(xαy) = f(x)α f(y)
ここで、x, y ∈ E, x , y ∈ E
EからE への準同型写像fをEからE への表現ともいう
Eの構造がE の一部にうつしだされるから
′ ′ ′
′ ′
′ ′ ′ ′ ′
′ ′ ′ ′ ′ ′
′ ′ ′
′ ′
′
35. 群の同型
2つの群﴾E, α﴿, ﴾E , α ﴿があるとき、EからE への全単射の写像fが存在し、以下をみたすと
き、fを同型写像といい、E はEに同型である
x ⟶ x , y ⟶ y ならばxαy ⟶ x α y
ここで、x, y ∈ E, x , y ∈ E
′ ′ ′
′
′ ′ ′ ′ ′
′ ′ ′
36. 群の準同型
2つの群﴾E, α﴿, ﴾E , α ﴿において、EからE への写像fが存在し、以下をみたすとき、fを準
同型写像といい、fが全射の準同型写像のときはE はEに準同型である
x ⟶ x , y ⟶ y ならばxαy ⟶ x α y
ここで、x, y ∈ E, x , y ∈ E
′ ′ ′
′
′ ′ ′ ′ ′
′ ′ ′
37. 群の類別
1つの集合を共通要素のない部分集合に完全に分けるのが類別
条件を整理すると以下になる
どの類にも要素がある
A ≠ ϕ (i = 1, 2, … , n)
類別からもれる元がない
Ω = A ∪ A ⋯ ∪ A = A
どの元も2つ以上の類に属することがない
A ∩ A ≠ ϕ (i ≠ j)
集合Ωの2元x, yに対し、同値関係xRyがあれば、同値なものどうしを集めることによっ
て類別できる
同値律は以下であった
xRx (反射律)
xRy ⇛ yRx(対称律)
xRy, yRz ⇛ xRz(推移律)
i
1 2 n ⋃i=1
n
i
i j
38. 剰余群
群Gの部分群をHとする。HのGにおける指数が有限のときは
G = Ha + Hb + ⋯ + Hk(右剰余類)
ならば
G = a H + b H + ⋯ + k H(左剰余類)
※ 可換群の場合は左右を区別する必要ないため、単に剰余類という
指数の定義
剰余類の個数が有限のときは、その個数をHのGにおける指数という
−1 −1 −1
39. 合同
群Gの部分群をH、a, b ∈ Gとする。
Hを法とする右合同は同値関係で、これによってGは
G = Ha + Hb + ⋯(右分解)
の形に分解される。
Hを法とする左合同も同値関係で、これによってGは
G = aH + bH + ⋯(左分解)
の形に分類される。
※ 群Gが可換群のときはy = xhとy = hxは同値
同値関係x ∼ yの定義
y = hx (h ∈ H, x, y ∈ G)
同値関係の別表現: ﴾i﴿ y ∈ Hx, ﴾ii﴿ yx ∈ H, ﴾iii﴿ Hx = Hy−1
45. 正規部分群
群Gの部分群HがGの任意の元(ここではa)に対して
aHa = H, a Ha = H, aH = Ha
をみたすとき、HをGの正規部分または不変部分群という
どんな群Gにおいても、G自身と{e}とは正規部分群である
群GがGと{e}以外に正規部分群をもたないとき、Gは単純群である
たとえば群Gの位数が素数なら、部分群はGと{e}に限るから、正規部分群もこれ以
外にあり得ない
−1 −1
47. 群の直積
中国式剰余定理
m, n ≠ 0が互いに素な整数なら、Z/mnZはZ/mZ × Z/nZと同型である
系
上の定理の状況でa, bをma + nb = 1となる整数とする。このとき、x, y ∈ Zに対して
z = may + nbxとおくと、z + mZ = x + mZ、z + nZ = y + nZである
50. 対照群、交代群
3文字についての置換全体の群
S = {e, (A B C), (A C B), (A B), (A C), (B C)}
では、そのうちの偶置換全体の集合
A = {e, (A B C), (A C B)}
は部分群であったが、これは正規部分群でもあった。
上のS を3次の対照群といい、A を3次の交代群という
一般化
n個の文字の置換全体の集合S をn次の対照群という
S の元のうち偶数置換全体A は部分群をなし、これをn次の交代群という
3
3
3 3
n
n n
51. 準同型定理(第一同型定理)
2つの群G, G があって、fはGからG への全射な準同型写像とする。このとき
G の単位元e の原像をHとすると、Hは正規部分群である
商群G/HはG と同型である
正規部分群H、すなわちG の単位元e の原像f (e )を準同型写像fの核﴾kernel﴿という
′ ′
′ ′
′
′ ′ −1 ′
59. シローの定理
Gの部分群Hで∣H∣ = p となるものがある。このような部分群Hをシローp部分群とい
う
シローp部分群Hを一つ固定する。K ⊂ Gが部分群で∣K∣がpがべきなら、g ∈ Gがあ
り、K ⊂ gHg となる。特に、Kを含むGのシローp部分群がある
Gのすべてのシローp部分群は共役である
シローp部分群の数sはs = ∣G∣/∣N (H)∣ ≡ 1 mod pという条件を満たす
※ シローの定理は正規部分群の存在などを示すのに使う基本的な道具である
a
−1
G
60. 有限アーベル群
有限アーベル群の基本定理
Gが有限アーベル群なら、整数e , ⋯ , e ≥ 2でi = 1, ⋯ , n − 1に対しe ∣e となるもの
があり、
G ≅ Z/e Z × ⋯ × Z/e Z
となる。また、この条件をみたすe , ⋯ , e は一意的に定まる。ただし、n = 0の場合は
G ≅ {0}と解釈する
1 n i i+1
1 n
1 n
61. 有限アーベル群
有限アーベル群の基本定理2
Gを有限アーベル群とするとき、次が成り立つ
1. 素数p , ⋯ , p (重複を許す)と正数a , ⋯ , a があり、
G ≅ Z/p Z × ⋯ × Z/p Z
となる。また、p , ⋯ , p は順序を除いて一意的に定まる
2. 素数pに対し、G(p)をp = pであるiすべてに関するZ/p Zの直積とすると、Gはすべ
てのG(p)の直積である、G(p)はGのシローp部分群である
1 t 1 t
1
a1
t
aa
1
a1
t
a1
i i
ai