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Meiji ebm2011

2011明治薬科

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Meiji ebm2011

  1. 1. EBMのバックグラウンドを知ろう -この20年やってきたこと- 名郷直樹
  2. 2. 自己紹介  1986年 自治医大卒  同年 名古屋第二赤十字病院研修医  1988年 作手村国保診療所  1992年 自治医大地域医療学  1995年 作手村国保診療所  2003年 社団法人地域医療振興協会  地域医療研修センター  2006年 東京北社会保険病院臨床研修センター  2011年 武蔵国分寺公園クリニック  専門領域 医者 挫折の日々 EBMの日々 地域医療の日々 地域医療教育の日々 都市での地域医療
  3. 3. アウトライン  なぜ医者になったか  最初のへき地赴任  EBMとの出会い  高血圧、糖尿病、コレステロールでの実践  副腎に求めよ  EBMの5つのステップ  PECOと情報収集の基本
  4. 4. 副腎に求めよ  どんな話だと思いますか?  隣同士話し合ってみてください
  5. 5. 私が医者になったわけ 進路を決めた過程
  6. 6. 高校2年に遡る  3年は理系クラスへ  どちらかというと理系科目が得意  それ以上の進路は白紙  高校の掲示板に一枚の張り紙  自治医科大学学生募集要項  授業料全額、生活費貸与  両親の離婚、経済状態の困窮
  7. 7. 入学試験での忘れられない出来事  試験会場へ行くバスが満員で乗れない  次のバスでは間に合わない  バス停に6人の受験生が取り残された  タクシーを呼んでもなかなかこない  ようやく来たタクシーには4人しか乗れない  さてどうする?
  8. 8. 医者になった理由  入学試験のことを考えても  自分は医者にふさわしくない  学費が不要な自治医大があったから  今になって、どう考えてもはっきりとした理由 がないことだけが、はっきりとわかる  理由はすべてあとづけの言い訳に過ぎない
  9. 9. 医学生時代  入学試験のことなんかは忘れてしまって  入寮の日  私がしたかったのは家を離れた一人暮らし  医者になりたかったわけではない  1人暮らしのやりたい度を100とすれば  医者になりたい度は0.3、ひょっとしてマイナス?
  10. 10. 学生時代  前半はラグビー三昧  後半は、勉学?  しかし、病棟が嫌いで  ちょっと失敗したかな  選択研修は、診療所、病理、皮膚、血液  相変わらず、試験は得意  無事国家試験合格
  11. 11. 1986年 医師としてのスタート  名古屋市内の大病院で  休まず、寝ないで一所懸命研修  週100時間労働、月5-6回の当直  土日の休みは年数日  盆と正月はなし  夏休みは土日を含めて3日  いろいろな技術が身につきました
  12. 12. 私がへき地へ行ったわけ 地域医療という意識はうすく
  13. 13. なぜへき地医療に?  別に理由はない  自治医大の義務として  どうしても地域医療がやりたいかと問われ れば、別にそうでもない  他に賭けることもないので  金を返すのは大変だし
  14. 14. へき地診療所医療の現実  いつも時間外だけかかる患者さん  話が止まらない患者さん  本当は都会の大病院に行きたい患者さん  いつもこれでいいのだろうかと不安な自分  非協力的な行政、地域になじめない家族  へき地医療に興味がもてない
  15. 15. 自分のおかれた環境の特殊さ  社会保険集団指導会、出席せずに放置  個別指導の通知、出頭命令  君は何年目だ!  3年目です  3年目といえば同級生はみんな一生懸命病院でがん ばっている時期に、君はそんなところで一体何やって いるんだ!!!  これはとんでもないことだ!  でもやりたいこともないので耐えられた
  16. 16. これまでのいろいろを振り返る わたし自身のEBM実践の始まり
  17. 17. 様々な疑問  上の血圧だけが高い多くの老人に降圧薬?  健診で精査を勧められる高コレステロールの中 年女性が何十パーセントもいる  腰痛患者に牽引や電気をかけるのは何の役に 立っているのだろう  便潜血陽性患者でいくら検査しても一人の大腸 癌が見つからない  あまり興味ももてないし  どうしていいのかわからない
  18. 18. 73歳男性、上の血圧が高い  血圧以外はなんともない  これまで病気したことない  ついでに測ってもらった血圧が高いというんだけど  収縮期高血圧って、動脈が固くなっているんだから、 下げすぎるとかえって臓器の血流が悪くなる?  研修病院の指導医に聞くと  「軽めにやっておけばいいよ」  わからないまま4年が過ぎる
  19. 19. 後期研修:卒後7年目  はっきりした目的もなく、母校自治医大で  ちょっと休憩しながら考えよう  内視鏡やエコーの研修でもするかな  研究まがいのこともしたのでまとめられるかな  自分の医者としてのルーツに戻って  「俺の医者としての人生はここから始まった」  柔道部物語を読んでいて
  20. 20. EBMとの出会い それは偶然から始まった
  21. 21. 1991 SackettのClinical Epidemiology  個々の答えにたどり着く方法が 書かれていた  EBMのはしり  まだ誰もEBMなんていってい ない頃  自分一人でもなんとかなるかも しれない  Sackettの言うとおりにやって みました  診療所に赴任して4年、来年からは大学で後期研修  何か予習したほうがいいことがありますか?
  22. 22. こんなことが書いてある  クロフィブラートでコレステロールを治療  コレステロール 9%減少  心筋梗塞 0.89から0.74に減少  死亡 0.52から0.62に増加  コレステロールは減ったが死亡が増加した!  血圧でも同じことが起こっているかも Lancet 2; 1980: 379
  23. 23. 1992 EBM Working Group  最初にEBMという言葉に出 会ったとき  論文の使い方シリーズ  あのSackettが書いている!  読みやすい英語  洗練された内容  臨床疫学から進化
  24. 24. Users’ Guide of Medical Literature  論文を読むことが重要ではない  論文を目の前の患者に使うことが重要だ  患者シナリオから始まり  情報収集し、批判的吟味し  最初の患者に戻ってどうするかを示す  ここに重要な全てがすべてこめられていた
  25. 25. EBMの手法で勉強してみると 意外に1人でやれる ネット環境も急速に進歩 20年でこんな論文を利用してきた
  26. 26. MEDLINEで検索してみると  Hypertension  Systolic  Stroke  Randomized Controlled Trial in PT  Clinical Epidemiologyに書いてある方法  SHEP研究が検索される!
  27. 27. 収縮期高血圧を治療すると  脳卒中が減る (JAMA 1991; 265: 3255) ここへ至る中で学んだことは「EBM実践ワークブック」として出版 死亡も減少傾向
  28. 28. ようやく気づく  なにも知らなかった  知らないことすら知らなかった  降圧薬の効果すら知らずに降圧薬を処方 していた  しかし、知らないのは自分だけではない  今は、少なくとも知らないことを知っている  知らないことを知って分、いけてるかも  EBMという武器も知ったし
  29. 29. EBMを通して得た3つの疑問  新しい降圧薬は古いものよりどれほど効 果が高いのか  薬物による血糖治療は心血管合併症をど れほど減らすのか  スタチンは死亡を増加させることなく、心筋 梗塞を予防できるか  これらの疑問に答えるRCTが進行中であるこ とがわかった  今もこの疑問に対する勉強が続いています
  30. 30. 従来薬についてのメタ分析  脳卒中 0.49 (0.39-0.62) 0.71 (0.59-0.82)  心筋梗塞 0.99 (0.83-1.18) 0.93 (0.80-1.09) JAMA 1997; 277: 739-745. 高用量利尿薬 β遮断薬 • 利尿薬、ベータ遮断薬では心筋梗塞が予想ほど減らない! • 新薬に変更すべき?
  31. 31. 従来薬と新薬の比較  Lancet 2001; 358:1305-1315.  脳卒中について:差はない (予想通り)
  32. 32. 従来薬と新薬の比較  みんなACEやCa拮抗薬ばかり使うけど  心筋梗塞についても ほとんど差がない!
  33. 33. 従来薬の治療効果、再び  脳卒中 0.49 (0.39-0.62) 0.66 (0.55-0.78) 0.71 (0.59-0.82)  心筋梗塞 0.99 (0.83-1.18) 0.72 (0.61-0.85) 0.93 (0.80-1.09) JAMA 1997; 277: 739-745. 高用量利尿薬 低用量利尿薬 β遮断薬 低用量の利尿剤で心筋梗塞も少なくなることが 10年以上も前にわかっていた!
  34. 34. ACEとARBを比較したメタ分析 Journal of Hypertension 2007, 25:951–9
  35. 35. ARBでガンが増える?  Lancet Oncol 2010; 11: 627
  36. 36. 糖尿病では? 血糖を下げれば下げるほどいい?
  37. 37. UGDP研究:最初の臨床試験 血糖は下がったが心血管死亡は増加した!  P: 2型糖尿病  E: 薬物治療  C: プラセボ  O: 心血管死亡  Diabetes. 1970;19 :Suppl:789-830.
  38. 38. 集中的に血糖を下げると 糖尿病の合併症 UKPDS33 Lancet 1998; 352: 837
  39. 39. 血糖と血圧を下げる効果の対比 BMJ 1998;317:703–13Lancet 1998; 352: 837–53 144/82 vs 154/87 mm HgHbA1c 7% vs 7.9%
  40. 40. UKPDSの10年後  血圧治療はあとからでも追いつく  血糖治療は最初が肝心? N Engl J Med 2008;359:1577. N Engl J Med 2008;359:1565
  41. 41. 糖尿病の集中治療のその後 とんでもないことになってます
  42. 42. ACCORD試験  P: 合併症の既往があるか 他の危険因子を持つの2型糖尿病患者  E: HbA1c6%を目標に集中治療  C: HbA1c7-7.9%を目標の標準治療  O: 非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中 心血管疾患による死亡
  43. 43. 2008 ACCORD試験:死亡が増加  N Engl J Med 2008;358:2545
  44. 44. 2010年 ACCORD 細血管障害  Lancet 2010; 376: 419
  45. 45. 2010年 ACCORD 血圧治療  N Engl J Med 2010;362:1575  120mmHg  140mmHg
  46. 46. 2009年 VADT  心血管疾患:RR 0.88(0.74 to 1.05)  死亡:RR 1.07 (0.81 to 1.42)  N Engl J Med 2009;360:129-39.
  47. 47. さらに新しい研究(メタ分析)  P:2型糖尿病患者に  E:薬物での集中的な治療  C:標準的な治療と比べて  O:網膜症、腎障害はどうなるか 心筋梗塞、脳卒中、死亡がどうなるか  Cochrane Database Syst Rev.  2011 Jun 15;6:CD008143
  48. 48. 総死亡  相対危険 1.01
  49. 49. 総死亡:大規模試験のみ  相対危険 0.96
  50. 50. 心血管死亡  相対危険 0.92
  51. 51. 細血管障害  相対危険 0.89
  52. 52. 末期腎不全  相対危険 0.87
  53. 53. 網膜症  相対危険 0.79
  54. 54. 実際の患者さんで:インスリン治療 Lancet. 2010 Feb 6;375(9713):481-9 死 亡 率
  55. 55. 実際の患者さんで:経口糖尿病薬 Lancet. 2010 Feb 6;375(9713):481-9 死 亡 率
  56. 56. コレステロールでは? クロフィブラートでは死亡が増加?
  57. 57. SackettのClinical Epidemiology  クロフィブラートでコレステロールを治療  コレステロール 9%減少  心筋梗塞 0.89から0.74に減少  死亡 0.52から0.62に増加  コレステロールは減ったが死亡が増加した!  糖尿病でも同じことが起こっている!  その後のコレステロール治療は? Lancet 2; 1980: 379
  58. 58. 35のRCTをまとめたメタ分析 -JAMAのユーザーズガイド通りに検索 10.5 1.5 High Risk (>50 death/1000人年) Medium Risk (10-50 death) Low Risk <10 death Smith GD, et al. BMJ 1993; 306: 1367-1373 死亡についてのオッズ比 0.74(0.60-0.92) 0.96(0.84-1.09) 1.22(1.06-1.42)
  59. 59. スタチンの登場 スタチンによるRCTの結果がもうす ぐ出るらしい それを楽しみに毎週雑誌をチェック
  60. 60. 出ました  WOSCOPS  1995年  心筋梗塞も  死亡も  どちらも減少 NEJM 1995; 333: 1301.
  61. 61. WOSCOPS以後  心筋梗塞を減少させるだけでなく、死亡も 減少した!  安心して、コレステロールを下げられる!  Evidence-Based Pravastatin?  本当?
  62. 62. スタチンと死亡のメタ分析 死亡増加の危険が残る? MediumとLowの境目 Clinical Evidence issue4 日本人の一次予防
  63. 63. スタチンとガン  Circulation 2002; 105: 2341-2346.  CARE、LIPID、WOSCOPSの3つのRCT  Pravastatinの投与により  内分泌系悪性腫瘍 12 → 24  筋骨格系悪性腫瘍 1 → 9  悪性腫瘍全体では  プラセボ群 914/9783 (9.3%)  Pravastatin群 946/9809 (9.6%)  統計学的な有意差はなし
  64. 64. 高齢者ではガンが増加? Lancet 2002; 360: 1623-30.
  65. 65. 14のRCTからのメタ分析 Lancet 2005; 366:1267.
  66. 66. ここまでのまとめ  スタチンにより死亡を増加させることなく、 心筋梗塞を減らすことができる  ただ絶対危険の低い日本人では検討され ていない  絶対危険の低い集団では死亡が増加する 危険  ガン増加の可能性が否定できていない
  67. 67. 日本のデータも 観察研究ではありますが ガン、死亡との関連
  68. 68. コレステロールと脳出血(日本) 小町善男. 成人病の予防医学 1978 珠真書房
  69. 69. コレステロールと総死亡(日本人)  Iso H, et al. J Clin Epidemiol 1994; 47: 961-969.  前向きコホート研究  1SD(34mg/dl)のコレステロール減少は  21%の総死亡の増加と有意に関連  26%のガン死亡の増加と有意に関連
  70. 70. 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 ~160 160~200 200~240 240~ 男 女 * * *P<0.05 コレステロールと総死亡 J Epidemiol. 2011;21(1):67
  71. 71. 脳出血死亡と総コレステロール 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 ~160 160-200 200-240 240- コレステロール 相対危険 M W
  72. 72. がん死亡と総コレステロール 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 ~160 160-200 200-240 240- コレステロール 相対危険 M W
  73. 73. 心不全死亡と総コレステロール 0 1 2 3 4 5 6 7 ~160 160-200 200-240 240- コレステロール 相対危険 M W
  74. 74. 日本人での介入研究 なぜか発表はアメリカでしたが
  75. 75. MEGA Study  Primary prevention of cardiovascular disease with pravastatin in Japan (MEGA Study): a prospective randomised controlled trial.  Lancet 2006; 368: 1155–63
  76. 76. 心筋梗塞についての結果  対照群 0.5%  プラバスタチン群 0.33%  RR 0.66  RRR 34%  NNT 590 (1年間)
  77. 77. 冠動脈疾患について
  78. 78. 死亡に関して
  79. 79. がんについて  ガンの増加はない  心筋梗塞よりがんのほうが多い!
  80. 80. WOSCOPSと重ねる  NNTは3-5倍 MEGA WOSCOPS
  81. 81. スタチン以後の治療 何を追加すればいいのか
  82. 82. 再びスタチン以外  Ezetimibe(ゼチーア)  N Engl J Med 2008;359:1343 しかし、がん死亡が 2.5%から4.1%に増加!
  83. 83. Fibrate再び  Am Heart J 2007;154:943  非心血管疾患死亡が増加する!
  84. 84. ここまでのまとめ  わかりきったと思っていたことをEBMの手 法で勉強してみたら  薬が血圧を下げる、血糖を下げる、コレステ ロールを下げるのは間違いない  血圧治療は従来薬と新薬に差はない  血糖を下げすぎは危険  コレステロールを下げると心筋梗塞以外が増 加するかもしれない
  85. 85. 真のアウトカム  高コレステロール塞患者  代用のアウトカム:コレステロール  真のアウトカム:突然死、死亡  高血圧患者  代用のアウトカム:血圧  真のアウトカム:脳卒中、死亡  糖尿病患者  代用のアウトカム:血糖、HbA1c  真のアウトカム:糖尿病合併症、死亡
  86. 86. 臨床研究の歴史  代用のアウトカムの効果が、真のアウトカ ムで否定される歴史  コレステロールを下げても死亡率は減らない どころか、増加するかもしれない  血糖を厳しく下げすぎると死亡率が増加する かもしれない
  87. 87. EBMはソクラテスだった  内容でなく方法が重要  わかってないことをわかっていない  わかっていると思っていることも間違い  要するに何もわかってない  今学んだことはどんどん古くなる  ということを学んだ  無知の知
  88. 88. EBMの5つのステップ 1.患者の問題の定式化 2.問題についての情報収集 3.情報の批判的吟味 4.情報の患者への適用 5.1-4のステップの評価
  89. 89. EBMの5つのステップ 1.患者の問題の定式化 2.問題についての情報収集 3.情報の批判的吟味 4.情報の患者への適用 5.1-4のステップの評価
  90. 90. 問題のカテゴリー  頻度  診断  予後・リスク  因果関係・副作用  治療・予防  費用
  91. 91. 患者シナリオ  65歳男性、5年前から糖尿病で治療中。今回、名 古屋から転勤のため、当院を受診した  身長162cm、体重68kg、血圧126/70mmHg  HbA1c 6%台、父が心筋梗塞で50代で死亡  心筋梗塞、脳卒中の既往、Triopathyはない  メトフォルミン、スタチン、ACEの投与を受けている
  92. 92. 問題の定式化  Patient どんな患者に  Exposure 何をすると  Comparison 何に対して  Outcome どうなるか
  93. 93. PECOで定式化してみよう  シナリオの患者の問題を  PECOの形で定式化してみましょう  3つ以上のPECOをあげてください  それぞれ3つのアウトカムを考えてください  その3つの優先順位をつけてください  完成したらA4用紙に書き込んでください
  94. 94. Step1.問題の定式化 治療編  Patient:高血圧を合併する2型糖尿病患者で  Exposure:ACE阻害薬を投与して  Comparison:他の降圧薬と比べて  Outcome:  心筋梗塞、脳卒中が減少するか  死亡が減少するか  幸せになるか
  95. 95. Step1.問題の定式化 治療編  Patient:2型糖尿病患者で  Exposure:スタチンを投与して  Comparison:投与しないのと比べて  Outcome:  心筋梗塞、脳卒中が減少するか  死亡が減少するか  幸せになるか
  96. 96. Step1.問題の定式化 治療編  Patient:2型糖尿病患者で  Exposure:メトホルミンを投与して  Comparison:他の血糖降下薬と比べて  Outcome:  糖尿病性合併症が減少するか  心筋梗塞、脳卒中が減少するか  死亡が減少するか  幸せになるか
  97. 97. 患者シナリオ続き  アスピリンの投与も受けている  毎年胃の検査が必要だといわれ、内視鏡検査を 毎年受けているが、できればしたくない  胃潰瘍になりやすいというのも心配である  転院を期にアスピリンやめることができないか相 談しようと思っている
  98. 98. Step1.問題の定式化 治療編  Patient:2型糖尿病患者で  Exposure:アスピリンを投与して  Comparison:投与しないのと比べて  Outcome:  糖尿病性合併症が減少するか  心筋梗塞、脳卒中が減少するか  死亡が減少するか  幸せになるか
  99. 99. Step1 問題の定式化 個別行動目標  臨床上の疑問をカテゴリー別に分類できる  臨床上の疑問をPECOで定式化できる  患者中心のOutcomeの設定ができる
  100. 100. Step1.実践のために 1.患者と積極的にコミュニケーション 2.自分の疑問でなく患者の疑問から 3.疑問に思ったらすぐ定式化 4.定式化したら書き留める 5.主治医と積極的にコミュニケーション
  101. 101. 作手村国民健康保険診療所
  102. 102. EBMの5つのステップ 1.患者の問題の定式化 2.問題についての情報収集 3.情報の批判的吟味 4.情報の患者への適用 5.1-4のステップの評価
  103. 103. グループワーク  あなたが先ほどのPECOについて勉強する とき、どんな方法で勉強しますか  隣同士で  グループで話し合ってみましょう
  104. 104. まずはMEDLINEから  米国国立医学図書館(NLM)  1950年以降 1500万以上の論文  5000誌 37ヶ国語 (日本雑誌 約150)  2-4000論文が毎日追加  MeSHと呼ばれるキーワードで整理  47%がアメリカの雑誌に掲載された論文  90%が英語の論文、79%が英語抄録つき
  105. 105. PubMe(www.pubmed.gov)  MEDLINE検索のオンラインデータベース  1997年以降無料  MeSH付与以前のデータも収載  MeSHで検索すると最新論文が検索されない  全文データベースにリンク  PubMedCentral 約300誌が全文で提供  全文がすでに公開されている雑誌にもリンク
  106. 106. PubMedのclinical queries  therapy, diagnosis, prognosis, etiology , clinical prediction guidesのいずれかを選択  broadな検索(見落としが少ない)か、narrow な高い検索(はずれのない論文への絞込み) かのいずれかの選択  主な検索語句を入力して検索開始  システマティックレビューに絞り込むことも可能  EBMの手法に基づく総説、メタ分析
  107. 107. PubMedのclinical queries
  108. 108. PECOTのTのまとめ Type of Question  治療  診断  予後  副作用 Type of Design → RCT → 感度、特異度 → コホート → 症例対照研究、症例報告を 含め何でも •Questionが決まるとDesignが決まる •どんな場合もメタ分析があるといい
  109. 109. MEDLINE検索のまとめ  PECOTを利用  Clinical queriesを使おう  疑問のカテゴリーを選べば勝手にいい検索式  まともにMEDLINEを検索するのは大変!
  110. 110. 実際は  MEDLINE検索はたまにしかうまくいかない  もっと現実的な情報収集は?  いい情報があるんです
  111. 111. 6Sアプローチ 高レベルから検索! 1. Computerized decision support 2. UpToDate, DyneMed 3. ACP Journal Club, POEMs 4. Cochrane (CDSR, DARE) 5. ACP Journal Club, POEMs 6. PubMed (Clinical Queries) Straus SE 2011 Systems Summaries Synopsis Synthesis Studies Synopsis
  112. 112. お薦めのデータベース  ACP Journal Club  http://www.acpjc.org/?wni  Cochrane Library  http://www.cochrane.org/index0.htm  Clinical Evidence  http://www.clincalevidence.com/  PubMed clinical queries  http://www.ncbi.nlm.nih.gov/PubMed/
  113. 113. 日本語のデータベース  日本のガイドライン  東邦大学医学メディアセンター  http://www.mnc.toho- u.ac.jp/mmc/guideline/  MINDs(医療情報サービス)  http://minds.jcqhc.or.jp/to/index.aspx  CMEC Journal Club
  114. 114. Community Medicine Evidence Center  CMEC-TV  ビデオ配信によるエビデンスの情報提供(無料)  CMECジャーナルクラブ  Community Medicine Evidence Center編集部 が提供する英語論文(ランダム化比較試験、メタ アナリシス)の日本語要約の提供サービス  週1本の配信、4月からは2本/週  5250円/年  http://www.cmec.jp/
  115. 115. CMEC-TVの糖尿病の項目
  116. 116. CMECジャーナルクラブ
  117. 117. コクランライブラリー Archiebald Cochrane 「全ての医学的介入の評価にはランダム化 比較試験が必要で、それらの情報が収集、 要約、アップデートされ、必要な人に伝えら れるべき」
  118. 118. 1992 Cochrane Library  今はなきマック版  当時中身はほとんど 空っぽ
  119. 119. システマティックレビュー  特定の課題について  系統的に  情報収集と批判的吟味をし  治療・予防の有効性の情報を提供する  CD-ROM 年4回の改訂  MeSHで検索可能
  120. 120. Cochraneの一例
  121. 121. メタ分析の結果の見方  四角が相対危険  相対危険が1より小さい →治療が有効  横棒が95%信頼区間  横棒が1の縦線と交わらない →危険率0.05で統計学的有意 相対危険が、1より小で 95%信頼区間は1を含まない →統計学的にも有効な治療
  122. 122. Cochraneの一例
  123. 123. Clinical Evidence  1999年創刊  日常的な臨床介入に対する効果を要約  6ヶ月ごとに改定  Recommendationの提示を目標にしていない  Step4の作業は臨床医の仕事であることを強調  2001年9月日本語訳が出版後2号で中止  2007年8月日本語訳がコンサイス版で復活  その後日本語訳さなされず
  124. 124. 1999 Clinical Evidence  最初はこんなに薄かった  徐々に厚くなり  雑誌媒体は要約だけに  現在はBestPracticeとい うデータベースの一部に
  125. 125. ACP Journal Club  1991発刊(ACP)  アメリカ内科学会  1論文1ページ  構造化抄録(Structured Abstract)  専門家のコメント  主要雑誌のみを対象  2ヶ月に一度  Ann Intern Medの巻末に掲載
  126. 126. 構造化抄録(Structured Abstract) メニュー形式 総合医学誌が採用 (AIM,JAMA,BMJなど) 論文を読む側に立った抄録
  127. 127. 治療の論文の構造化抄録 Question(問題) Design(研究デザイン) Setting(研究が行われた場所、設定) Patients(対象患者) Intervention(治療法) Main outcome measures(主なアウトカム) Main results(主な結果) Conclusion(結論)
  128. 128. ACP Joutnal Club おまけ  今はなきフロッピー版
  129. 129. 二次情報のまとめ  Cochrane Library: synthesis 多くの論文を1つに  ACP Journal Club:synopsis 1つの論文を1ページに  Clinical Evidence:summaries レビューも原著も1つに
  130. 130. Step2 情報収集 個別行動目標 1. 情報源の種類と特徴を理解する 2. MEDLINEのClinical Queriesが利用できる 3.主要な二次資料が利用できる
  131. 131. Step2.実践のために 1.教科書は仕事場に 2.仕事場にコンピュータ、インターネットを 3.二次資料の積極利用 4.だめもとで検索する 5.検索は3分以内に 6.より簡単な勉強法を探す 7.DI室を情報センターに!
  132. 132. PECOからPECOTへ 検索を意識したステップ1
  133. 133. 問題の定式化:PECOT  Patient どんな患者に  Exposure 何をすると  Comparison 何に対して  Outcome どうなるか  Type of question  治療、診断、予後、副作用  Type of study design  RCT、症例対照、コホート、メタ分析
  134. 134. 問題の定式化(PECO)  Patient:食事・運動でHbA1cが改善しない 糖尿病患者に  Exposure:どんな薬剤を投与すれば  Comparison:投与しないのと比べて  Outcome:血糖が下がるか 糖尿病性合併症が減少するか 心筋梗塞・脳梗塞が減少するか 死亡が減少するか
  135. 135. 問題の定式化(PECOT治療編)  Patient:食事・運動でHbA1c、 血圧が改善しない糖尿病患者に  Exposure:どんな薬剤を投与すれば  Comparison:投与しないのと比べて  Outcome:糖尿病性合併症が減少するか 死亡が減少するか  Type of question:治療  Type of study design:ランダム化比較試験
  136. 136. 問題の定式化(PECOT診断編)  Patient:糖尿病の患者に  Exposure:モノフィラメントテスト陰性の場合  Comparison:陽性の場合と比べて  Outcome:糖尿病性神経障害の可能性は  Type of question:診断  Type of study design:横断研究
  137. 137. 問題の定式化(PECOT予後編)  Patient:糖尿病の患者  Exposure:放置した場合  Comparison:糖尿病のない人と比べて  Outcome:死亡率は  Type of question:予後  Type of study design:コホート研究
  138. 138. EBMの5つのステップ 1.患者の問題の定式化 2.問題についての情報収集 3.情報の批判的吟味 4.情報の患者への適用 5.1-4のステップの評価
  139. 139. Step2 情報収集 個別行動目標 1. 情報源の種類と特徴を理解する 2. MEDLINEのClinical Queriesが利用できる 3.主要な二次資料が利用できる
  140. 140. 実際の検索  東邦大学医学メディアセンター、MINDS  CMECジャーナルクラブ  ACP Journal Club  PubMedのClinical Queries  Cochrane Library  Clinical Evidence  次回までに自分でもPubMedを検索してみよう
  141. 141. Step2.実践のために 1.教科書は仕事場に 2.仕事場にコンピュータ、インターネットを 3.二次資料の積極利用 4.だめもとで検索する 5.検索は3分以内に 6.より簡単な勉強法を探す 7.DI室を情報センターに!
  142. 142. 師匠からの贈りもの 自分が医者であり続ける意味
  143. 143. 30年以上前ニューヨークで  五十嵐正紘先生(わが師匠)  副腎白質脳症の研究中  死亡した患者さんから研究材料をもらう  偉い先生から脳を持っていく  五十嵐先生がもらう頃には、副腎くらいしか残っ ていない  「そうしたら、そっからみっかっちゃんたんだよね」  http://www.igaku- shoin.co.jp/nwsppr/n2006dir/n2694dir/n2694_04. htm
  144. 144. 次の時代の王道は 今の邪道から生まれる 前地域医療学教授 五十嵐正紘
  145. 145. すべての文化は辺境から 誰が言ったか知らない
  146. 146. 副腎に戻る 私にとっての副腎
  147. 147. 15年前、自治医大で  最初の4年間のへき地診療所勤務  自治医大なんて大学へ行ったためにまともな臨床医 になる道から外れてしまったな  副腎の話を聞いて  脳みそをもらいたかったのに、副腎しか残っていな かった、普通はそこで終わり  発見したことでなく、調べたことに意義がある  どうせ義務だし  へき地医療は副腎かもしれない!  その道具としてEBMがある
  148. 148. 副腎に求めよ 副腎はどこにあるか?
  149. 149. 副腎はどこにあるか?  副腎はどこにあるか、隣同士話し合ってみ てください
  150. 150. どうすればいいのか  自分が何をやりたいかではなく  地域にあわせる  患者にあわせる  求められる仕事をする  ことにより道が開けてきた  副腎から欠損酵素が見つかったように  そこにある患者に向き合えば結構いいことある  EBMはその時の最大の武器の一つ
  151. 151. 副腎はそこにある 探すところすべてに副腎がある
  152. 152. みんな似たことを言っていた  ピカソ  私は探さない、見つけるのだ  チルチルミチル  青い鳥は最初からそこにいた  名郷直樹  どんな医者になりたいか考えない  目指す医者はそこにある  へき地医療は青い鳥だった
  153. 153. くどいようですがもう一度 副腎に求めよ 自分を探すな、副腎探せ
  154. 154. 私の好きな詩 われらの父よ 天にましますわれらの父よ そちらにおいで願います 地上にはわれらが残りましょう こちらもときおりすてきです ジャック プレベール
  155. 155. プレベールにならって 天にましますわれらの父よ 都会においで願います へき地にはわれらが残りましょう こちらもときおりすてきです 名郷直樹 今は都会で開業してしまいましたが 天国からすれば地上はへき地だ
  156. 156. 今日のまとめ  自分のやりたいことでなく  目の前にある問題に  副腎  無意味と思わず取り組んだら  意外な道が開けてきた  EBMが役に立った
  157. 157. 参考図書  EBMは道具に過ぎない
  158. 158. 副作用と向き合う 名郷直樹
  159. 159. 今回の内容  副作用を発見するために  目の前の患者から  ACE阻害薬と咳  サリドマイド  ジョージワシントンはなぜ死んだか  これまでの研究結果から  タミフルと異常行動  スタチンと横紋筋融解…  個々の副作用ではなく「考え方」を学ぶ
  160. 160. Do no harm. せめて害にならないように
  161. 161. 既知の副作用と未知の副作用  未知の副作用  さてどうするか  まずはこの問題から  既知の副作用  勉強する  副作用についてのEBMの実践のさわり  今日の後半で
  162. 162. どんなときに副作用を疑うか  これまで患者さんを前にして副作用を疑っ たのはどのようなときですか  個人で  隣同士で  グループで
  163. 163. 聞いたことのない 副作用へのアプローチ 疑わない限り、決して気づかない
  164. 164. 患者さんを前に  心当たりのない副作用らしき情報に対し、 どのように対応していたでしょうか  「この前の薬を飲み始めてから、頭痛がす るんです」  「多分関係ないと思いますよ」  それでいいのか?  これまでどう対応してきましたか  隣同士で
  165. 165. ACEと咳  ACE阻害薬の咳の副作用はどのように発 見されたと思いますか  個人で  隣同士で  グループで
  166. 166. ACEと咳の関連の最初の報告  配布した資料を読んでみよう  Arch Intern Med 1985; 145: 1524.  この報告でACEによる咳と判断してよいか どうか  ACEと咳の関係についてそれまでまったく 聞いたことがなかったとして  隣同士で  グループで
  167. 167. どうしたら副作用と気づけるか  以下のような訴えはよくあります  「この前の薬を飲むようになってから、**が出 やすい気がするんですけど」  どう対応すべきか、グループで考えてみよ う
  168. 168. 副作用判定スコア  Sackett DL, et al. Clinical Epidemiology 1991; 299  10の質問で副作用かどうかを判定する  配布した資料から、先ほどの症例報告の スコアを計算してみよう  個人で  隣同士で  グループで
  169. 169. 副作用を否定するためには  0点のときに副作用かどうかは疑わしい  1点でもあれば副作用を否定できない!  とにかく疑うことが大事  疑えば1例目の報告者になれるかも  ただあまり疑いすぎも患者に迷惑
  170. 170. さらに副作用の検討をするために  どんな研究をするとよいと思いますか  個人で  グループで  症例対照研究という方法があります
  171. 171. 症例対照研究  過去に何があったか? 研究開始曝露因子の評価 アウトカム発症 発症なし 曝露因子あり 曝露因子なし 曝露因子あり 曝露因子なし
  172. 172. ACEと咳の関係を見た症例対照研究  Angiotensin converting enzyme inhibitor associated cough: a population-based case-control study.  J Clin Epidemiol. 1995 Jun;48(6):851-7.  オッズ比 2.5 (1.6-3.9)  2.5倍と聞いてどうですか?  グループで話し合ってみましょう
  173. 173. サリドマイド  サリドマイドについて知っていますか?  睡眠薬  四肢欠損  映画 「典子は今」  サリドマイドと上肢の奇形の関連  どのように関連が見出されたと思いますか
  174. 174. サリドマイドの初期の論文  Brit. J. Pharmacol. 1960; 15: 111.  抄録を読んでみよう  Thalidomide (a-phthalimidoglutarimide, " Distaval," " Contergan ") is a new sedative hypnotic drug which produces no toxic effects when administered orally to animals in massive doses.  この報告でもって副作用なしと判断する問 題点について話し合ってみよう
  175. 175. サリドマイド事件の歴史  1957 西ドイツでサリドマイド発売  1958 日本でも発売  1960 四肢欠損の症例報告  サリドマイドとは無関係に  1961 11月16日小児科医レンツが四肢欠損 と サリドマイドの関連を報告、回収を勧 告 アメリカでは販売が許可されず 同月27日 西ドイツ国内から回収  1962 9月日本での回収決定
  176. 176. レンツ博士  目の前の患者の観察、聞き取りのみから  1人の四肢欠損の患者の母親  母親は妊娠中のサリドマイド服用のためだと  他の患者家族への聞き取り  サリドマイドと四肢欠損の関連を見出す  わずか5日間
  177. 177. 症例対照研究で(レンツら) 奇形 非奇形 服用 90 2 非服用 22 186 オッズ比=(90/22)/(2/186)=380 日本医事新報 1969; 2351: 29
  178. 178. アメリカが認可しなかった理由  FDAのケルシー  「安全性を示す動物実験が十分でない」  そのうちに胎児奇形の報告:オッズ比 380  絶対に必要な薬ではない  安全性を重視する立場の徹底  「因果関係が明確でない」のではなく  「安全性が明確でない」  「疑わしきは規制する」
  179. 179. 日本の対応  「疑わしきは規制せず」  オッズ比 380でも!  ドイツが1961,12に回収  翌年9月になってようやく回収  その後の長い裁判  オッズ比が380でも因果関係ははっきりしないと  安全性がはっきりしないとは言わない!  さらに薬害エイズ、肝炎 サリドマイド禍の人びと 筑摩書房 1981
  180. 180. 目の前の患者では 気がつかない副作用 以外に知られていない重大な副作 用
  181. 181. コレステロール低下薬で  Ezetimibe(ゼチーア)  N Engl J Med 2008;359:1343 しかし、がん死亡が 2.5%から4.1%に増加!
  182. 182. Fibrateでは(古い薬ですが)  Am Heart J 2007;154:943  非心血管疾患死亡が増加する!
  183. 183. 新しい薬の評価の限界  臨床試験での副作用の評価は限定的  代用のアウトカムのレベルで認可  副作用は市販後の情報が重要  サリドマイドの最初の報告のように  新薬の副作用の検討はなされていない  特に新薬は副作用に注目  未知の副作用に注意  市販後大規模な観察研究で明らかになる
  184. 184. どんなときに副作用を疑うか  患者さんを前にして副作用を疑うのはどの ようなときですか?  個人で  隣同士で  グループで
  185. 185. まず疑うこと  多分大丈夫、ではなくて  ひょっとしたら副作用かも  新しい薬は特に注意  それがまずスタート  疑わなければ、決して見つからない  ACEと咳の関係を知らないで、ACEを飲み 始めた患者が咳が出るといったときに、副 作用と疑えるかどうか
  186. 186. 可逆的な副作用と不可逆的な副作用  可逆的な副作用は評価しやすい  例えばACE阻害薬による咳  起きた後でも時間をかけて評価できる  チャレンジテストができるかもしれない  不可逆的な副作用は予防が大事  サリドマイド事件  効果より害を重視しなければいけない状況  万が一おきたら「疑わしきは罰する」
  187. 187. 治療効果より害を重視する状況  治療をしないという選択肢がありうる  代替の安全な治療がある  上記に合致すれば疑いであっても害を重く見 る  サリドマイドを飲まずに生活することは十分可 能  ACE以外の多くの降圧剤の存在  アメリカではサリドマイドは発売すらされず
  188. 188. 致死的な状況での副作用 効果も大事だが、副作用も大事
  189. 189. 致死的状況での副作用  致死的な状況での致死的な副作用は見逃 される  死に行く人を見捨てられるか、というのだが  どうせ死んでしまうので、薬のせいで死んでも 気づきにくい
  190. 190. 致死的な状況での副作用評価  ジョージワシントンはどうして死んだか  喉頭蓋炎  瀉血療法  当時の最先端医療  「最先端の瀉血医療を施しても死んだのだから 仕方ない」  100年近くを経て、Oslerですら瀉血療法を行っていた  なぜ死んだのか、グループで話し合ってみよう
  191. 191. Sackettが(EBMの親玉)  致死率が高い病気に対する有害な治療は気づ かれにくい  逆に自然に改善する疾患も治療のおかげで治っ たと間違えやすい  治療を拒否するような患者に比べ、治療を積極 的に受け入れるような患者はもともと予後がよい  ワシントンの場合のように、優れた専門医の治療 は過大評価されやすい  治療効果は過大評価されるゆえに副作用評価が重要 Gairdner Wightman Award受賞講演
  192. 192. 致死的な状況でマスクされる副作用  具体的な例について考えてみよう  個人で  隣同士で  グループで
  193. 193. DICに対するAT-IIIの効果  結局出血して死んでしまうのでAT-IIIによる出 血の増加が気づかれにくい  BMJ 2007;335;1248-1251;
  194. 194. ここまでのまとめ  副作用の発見は疑うことから始まる  新薬の副作用は特に要注意  代替の治療がある、自然軽快する、致死 的でない場合は、治療効果より副作用を 重視  致死的な状況での副作用を見逃しやすい
  195. 195. 質問があれば 興味を持って参加できていますか?
  196. 196. よく知られた副作用を評価する 実はよく知らないかも
  197. 197. タミフルと異常行動  タミフルと異常行動の因果関係について  どのように考えているか  隣同士で  グループで共有しよう
  198. 198. H17年度 横田班  タミフルと異常言動との関連性  未使用群 10.6%  使用群11.9%  上記の結果をどう解釈しますか?  報告書では、「有意差を認めず」  NNH=1/(0.119-0.106)=77人  77人投与すると1人異常言動が増える、かもしれない
  199. 199. 平成19年緊急安全情報  10歳以上の未成年の患者においては、因 果関係は不明である  サリドマイド事件のにおい  安全性が不明確といわない  (中略)原則として本剤(タミフル)の使用を 差し控えること  ここは進歩した
  200. 200. 平成21年 廣田班  10代の患者に限定  オッズ比 1.54倍  統計学的な有意差なし  上記の結果をどう解釈しますか  グループで話し合ってみよう  「タミフルと異常な行動との因果関係に明確な 結論を出すことは困難」  サリドマイドを思い出す  1.54倍危険なんだけど…
  201. 201. 同じ結果を見ての違う結論  10.6%から11.9%に増加  オッズ比 1.54  どちらも有意差なし  上記の様々な解釈を考えよう  個人で  隣同士で  グループで
  202. 202. 副作用についての情報の解釈  ケルシーに習って  「疑わしきは規制する」  タミフルでは  「タミフルによって異常行動が出現する危険が 否定できない」  「タミフルによって異常行動か出現するとは結 論できない」  どちらが好ましい表現か、グループで話し合っ てみよう
  203. 203. 平成21年安全対策調査会  これまでの調査結果において、10代の予 防的な安全対策を変更する積極的な根拠 が得られているという認識ではないため、 現在の安全対策を継続することが適当と 判断した  結果的には妥当な判断  変えるという態度が取れないだけ?  医療の現場は逆にタミフルを使うという態度が 変えられない
  204. 204. これらの情報を見て  情報の示し方  最終的な対応  それぞれについてどう考えるか  グループで話し合ってみよう
  205. 205. 私の解釈  報告書は、製薬メーカーに配慮して、異常 行動との因果関係ははっきりせず、ハイリ スク患者への投与を妨げるものではないと 記述  世の中に配慮して、10代への原則禁止は 続行という記述  以前よりはちょっとはまともになった  ただサリドマイドを長引かせた体質は変わって いないかもしれない
  206. 206. しかし現実は  昨年の豚インフルエンザ流行時に  10代でもタミフル希望者が続出  私自身もたくさん処方しました  副作用に甘いのは厚生労働省や医者だけ でない!
  207. 207. スタチンと横紋筋融解  どんなことをきっかけに発見されるか  個人で  グループで  全身倦怠  筋肉痛  褐色尿  CPK上昇  まず発見のきっかけをよく知ること
  208. 208. 副作用についてのエビデンス 治療のエビデンスとは違います
  209. 209. メタ分析で  35のRCTのメタ分析  スタチン群で0.17%  対照群で0.13%  少し多いが有意差なし  スタチンで横紋筋融解の危険が増すという ことはないということだろうか  グループで話し合ってみよう
  210. 210. 副作用のエビデンス  RCTやそのメタ分析の結果で判断してはい けない  重大だがまれな副作用は市販後の観察研 究で始めて明らかになる  観察研究のメタ分析までたどる
  211. 211. UpToDateとその孫引きで  横紋筋融解による入院  0.44人/10000人年 (0.20-0.84)  致死的な横紋筋融解の頻度  0.15/100万処方  シンバスタチンとフィブラートの併用  5.98/10000人年  セリバスタチンとフィブラートの併用  1053/10000人年 JAMA. 2004; 292: 2585-90.
  212. 212. さらに情報を集積した市販後調査で  致死的な横紋筋融解  セリバスタチン 3.16/100万処方  平均 0.15/100万処方 N Engl J Med. 2002; 346: 539-40.
  213. 213. 副作用情報について患者に伝える  スタチンを飲んでいる人のうち、横紋筋融 解について説明を受けた人がどれくらいあ るだろうか  薬局窓口でどれくらいの人に説明している だろうか  薬の説明時、具体的にどう説明すべきか  グループで話し合ってみよう
  214. 214. なじみはないがよくある副作用 身近に気がつかない副作用あり
  215. 215. SU剤と心血管疾患  SU剤は糖尿病についてどんな効果がある でしょうか  血糖を下げる  網膜症、腎症を減少させる  心血管疾患を減少させる?  寿命を延ばす?
  216. 216. 臨床研究で  UGDP研究 (2型糖尿病最初の大規模試験)  P: 2型糖尿病患者  E: トルブタマイドを投与して  C: プラセボと比べて  O: 心血管死亡が減少するか (心筋梗塞、脳卒中、末梢血管疾患) Diabetes. 1970;19:Suppl:789-830.
  217. 217. UGDP研究の結果  結果  ト:17.6%  プ:6.0%  RR 2.93  p=0.005  NNH 9人 (8年間)
  218. 218. 病態生理で  SU剤が、ATP-Kチャンネルの阻害し、冠 動脈の平滑筋を収縮させ、心筋虚血を悪 化  ATP-Kチャンネル開存薬である冠拡張薬 のニコランジルの作用と拮抗する  Potassium channels in the cardiovascular system. Diabetes Res Clin Pract 1995; 28 (suppl 1): S91-S98.  Cardiovascular effects of sulphonylurea derivatives. Diabetologia 1995; 38: 116– 21.
  219. 219. その後トルブタミドはどうなったか  エビデンスでだめ  病態生理でだめ  どうなったと思いますか  隣同士で  グループで話し合ってみよう
  220. 220. いまだ立派な薬価収載薬 薬 品 名 規 格 薬 価 後 発 メーカー トルブタミド錠250mg「NT」 錠 8.6 - ニプロ ブタマイド錠250 錠 8.6 - 富山 トルブタミド錠250mg 錠 8.6 - - トルブタミド錠「タケシマ」250mg 錠 8.6 - ニプロ ヂアベトース錠250mg 錠 8.6 - 日医工 トルブタミド錠250mg「トーワ」 錠 8.6 - 東和 ブタマイド錠500 錠 10.8 - 富山 トルブタミド錠500mg 錠 10.8 - - ヘキストラスチノン錠 0.5g500mg 錠 14.7 - サノフィ・アベンティス トルブタミド g 15.3 - - ヘキストラスチノン散100% g 15.3 - サノフィ・アベンティス
  221. 221. トルブタミドを販売し続けていいのか?  グループで話し合ってみよう  血糖を下げるという点での評価のみ  病態生理での欠点も明らか  臨床試験のエビデンスも有害  病態生理を重視しているわけでもない  サリドマイドは1年で回収されたがトルブタミド は40年使われ続けている
  222. 222. 低血糖と降圧薬  病態生理とエビデンス  低血糖を起こしやすい降圧薬はなんでしょう  グループで話し合ってください  病態生理では低血糖の症状をマスクする ベータ遮断薬が危険  エビデンスでは?  どんなエビデンスがあるか知っていますか
  223. 223. ACEが危険?  2つの症例対照研究  Lancet 1995;345(8959):1195-8  Diabetes Care 1997;20(9):1363-7  結果 Lancet Diabetes Care  ACE阻害薬 2.8 (1.4-5.7) 3.2 ( 1.2- 8.3,)  β遮断薬 1.0 (0.4-2.1) 0.9 (0.3-3.3)
  224. 224. まだまだ様々なネタが…  ホルモン補充療法と心血管疾患  Cox2選択性鎮痛薬と心血管疾患  LABAと喘息死  降圧薬と腎細胞がん  PPIによるクロピドグレルの効果抑制  インスリンとがん  ARBとがん
  225. 225. 長時間作動型β遮断薬と死亡 Annals of Internal Medicine 2006; 144 : 904
  226. 226. ランタスとがん  がんの罹患  死亡 Diabetologia. 2009 Sep;52(9):1732
  227. 227. ARBとがん Lancet Oncol 2010; 11: 627–36  前もってがんをアウトカムに設定した研究 で  相対危険 1.11 (1.04-1.18)
  228. 228. COPDに対する抗コリン薬で BMJ
  229. 229. 副作用は意外に多い 入院患者での検討データ
  230. 230. 副作用の頻度  処方間違いの頻度は  副作用による入院の頻度は  致死的な副作用の頻度は  隣同士で話し合ってみましょう
  231. 231. 副作用以前に:処方間違いの頻度  全処方の7%  52エラー/100入院  24エラー/1000日入院  Drug Saf. 2009;32(5):379-89. PMID: 19419233.  小児では 19%  Arch Dis Child. 2010;95(2):113-8. PMID: 20133327.
  232. 232. メタ分析で  25の研究を統合  副作用による入院  平均5.3% 最低0.16%、最高15.7%  小児4.1%、成人6.3%、老人10.7%  循環器用薬が最多 Ann Pharmacother 2008; 42: 1017
  233. 233. 副作用の頻度(英国、カナダ)  重症副作用 6.7% (5.2-8.2)  致死的副作用 0.32% (0.23-0.41) JAMA 1998; 279: 1200.  1998-2005 0.50%  2005 0.56%  抗がん剤 15.7%  鎮痛剤 11.7%  循環器 10.1% Clinical Pharmacology 2007; 7: 9.
  234. 234. 致死的副作用(入院患者中)  総計 3.1%  上部消化管出血 37%  脳出血 29%  心血管疾患 8%  他の出血 8%  腎不全 6%  NSAIDs 18%  循環器用薬 8% Br J Phramacol 2007; 65: 573 5.9% 52.9% 17.6% 17.6% 47% 抗血栓薬 65% Int J Clin Phramacolo Ther 2009; 47: 596
  235. 235. 副作用が明らかになるまで  臨床上の観察、病態生理の背景  治療効果検討時の不十分な検討  市販後の情報の集積  症例シリーズ  症例対照研究  コホート研究  それらのメタ分析  病態生理の確認  治療効果の検討よりはるかに困難
  236. 236. 副作用の隠蔽と開示  新薬開発  治療効果の宣伝  副作用の隠蔽  そういう面がどうしても払拭できない  臨床家の役割  患者の観察とこれまでの情報、研究の学習  治療効果を控えめに  副作用を大きめに
  237. 237. 世の中は治療効果に甘く、副作 用に厳しい だからこそ、個人個人の臨床家の役割が大きい
  238. 238. メーカからの資金提供と効果  資金提供がある研究のほうが有意によい結果 JAMA 2003;289:454-465
  239. 239. メーカーから資金提供と副作用 は  副作用報告について有意に擁護的 N Engl J Med 1998;338:101
  240. 240. 副作用と判断する決め手  経験、直感  病態生理  臨床研究のエビデンス  メーカーの判断  厚生労働省の判断  世の中の流れ  病態生理、エビデンスより大きな決め手がたくさんあ る  どれも間違う危険性
  241. 241. 今日の内容を振り返って  今日の内容全体を振り返って  気づいたこと  印象に残ったこと  その他なんでも  グループで共有し話し合おう
  242. 242. 参考図書  ステップアップEBM実践ワークブック  南江堂 2009  臨床研究のABC  メディカルサイエンス社 2009  薬の疑問 Q&A  羊土社 2010  臨床研究と論文作成のコツ:読む・研究する・書く  東京医学社 2011
  243. 243. なんでも質問してください

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