https://www.watney.co.jp/course?wix-vod-video-id=a0d5e43b6d5049a6b36ce3c0630c4924&wix-vod-comp-id=comp-jfnqv23o# 経営戦略論/基礎科目 大阪大学 経済学研究科・経済学部　中川 功一准教授

1. 経営戦略論
第4回
外部環境分析
ポーターの5要因分析（2/2）
大阪大学経済学研究科・経済学部
中川功一
Allegro_assai@hotmail.com

2. ポーターの業界構造の5要因分析
（Porter’s 5 forces analysis）
新規参入
競合企業
代替品
売り手 買い手
自社を取り巻く環境について幅広く検討し、利益圧迫要因が
何なのかを分析するツール。

3. ヨコの構造：商品が生む価値の取り合い構造
5要因分析 本日の内容
自社売り手 買い手
※学習のポイント
・ちょっと難しいツールなので、学習に工夫を
・タテ：市場の取り合いと、ヨコ：価値の取り合いは
分けて考える。
・常にリアルビジネスをイメージする。
を、ふたたび任天堂 小型ゲーム機事業で考える。

4. 価値の取り合い？

5. 商品
価格
300万円
商品が生み出している価値は、
顧客と自社とで取り合い
かりに、商品が社会に生み出している価値を金額で計算できるとしたならば、
社会価値 － 商品価格 ＝ 顧客の便益 となる。
顧客の
便益
200万円
商品が生み出している価値
500万円
ここが
自分たちの
取り分！
ここが
自分たちの
取り分！
自動車
メーカー
顧客

6. 商品
価格
300万円
商品を売った稼ぎは、
自社と部品・材料業者で取り合い
部品メーカー
自動車メーカー
顧客
自社
付加価値
100万円
部品・材料
価格
200万円
ここが
自分たちの
取り分！
ここが
自分たちの
取り分！

7. 商品の価値は、
顧客、自社、部材業者の3社で取り合っている
部材メーカー
200万
自社売り手 買い手
自社
100万
顧客
200万
この「価値の取り合い」構造の中から、
自分の取り分を大きくしなければ！
というのがヨコ軸の焦点。

8. （まとめ 1/3）
• ポーターの5要因分析、ヨコの軸は、商品・サ
ービスが生み出す「価値の取り合い」。

9. 第4要因：買い手との交渉
重要
ポーターの5要因分析では、
顧客とは「価値の取り分をめぐって争う交渉相手」である。
顧客はどれくらいタフ・ネゴシエーターか？
価格への敏感さ、他社商品への切り替え、
そもそも「別になくても困らない」などと言われはしないか？

10. 「違いのわかる客」は、商売上は楽な客
「違いがわからない客」は、手ごわい
商品の良さを高く評価してくれて、高い金を
払ってまで買おうとしてくれる顧客は、実に
「イージーな交渉相手」。
1円でも安いものを探し、
おまけで気を引いたりもせねばならず、
最後は気まぐれに選ぶ。
そんな顧客こそが「タフな交渉相手」。

11. 演習
任天堂 小型ゲーム機事業にとって、
顧客は「タフな交渉相手」か？
彼らは、「自分の少ないおこづか
い」あるいは「数少ない誕生日など
の機会」を活用して、真剣に悩み
ながら、ゲーム機を購入する。
親というハードルも存在する。
買ってもらうためにはいくつもの関
門を乗り越えないければならない、
とてもタフな交渉相手である。
→重大な利益圧迫要因
3DSのユーザーは子供たち。

12. 第5要因： 売り手との交渉
部材供給業者は、
どれくらいタフな交渉相手か？
※買い手との交渉と、ロジックは全く同じ

13. 3DSの高精細3Dタッチパネルはシャープ
しか生産できなかった（当時）。シャープ
が出荷を止めれば3DSは生産できない。
3DSは、3D液晶こそが商品コンセプトの
核であり、ここで交渉が不調に終われば
新商品は出せない。
☆きわめて売り手の交渉力が高く、粗利
益が圧迫されている。
→これも、重大な利益圧迫要因
演習
任天堂 小型ゲーム機事業にとって、
部材業者は「タフな交渉相手」か？
任天堂3DSの部材として主なもののひとつが「液晶ディスプレイ」×2。
このうち1つは3D表示が可能な先端品。

14. （まとめ 2/3）
• 第4要因「買い手との交渉」では、顧客がタフな交渉相手か
どうかが問われる。
• 第5要因「売り手との交渉」では、部材業者がタフな交渉相
手かどうかが問われる。
• 自社の利益を圧迫している交渉相手がいるかどうかを特定
する。

15. ポーターの5要因分析による戦略立案
「価値の取り合い」編
今回も、戦略立案まできちんとたどり着こう！
部材業者
自社売り手 買い手
自社 顧客

16. 演習
任天堂 小型ゲーム機の
買い手・売り手交渉への対応を考えよ！
買い手
売り手
→他の品には目もくれず、３DSが欲しくなるよ
うな魅力的なゲーム開発＆ベンダー取り込み
「マリオ」「妖怪ウォッチ」
→教育系ソフトなどを充実させ、CMでも積極
アピールすることで、親の反感を取り除く
→3Dディスプレイを捨てる
「2DS」
前回同様、任天堂が実践している戦略は、5要因分析でよく読み解けることが分かるはず。

17. （まとめ 3/3）
• ポーターの5要因分析、マスターできただろうか？5つの
要因を調べていけば、自社の利益にダメージを与えてい
る要因が見えてくる。そこに対して、対応策を考えるところ
までが5要因分析である！